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第48号お奨め国内盤新譜(1)



AEON

MAECD0745
(国内盤)
\2940
リスト:チェロのためのオリジナル&編曲作品全集
 1. 第1エレジー(vc、p、hrp、ハルモニウム)
 2. 第2エレジー 3. 忘れられたロマンス
 4. 眠れない!〜問いと答え(デシャルム編)
 5. ワーグナーの「タンホイザー」より
  おお、わが優しき夕べの星 (リスト&ハワード編)
 6. 女子修道院に隠れて(リスト編)
 7. トリスティア〜オーベルマンの谷
  (vn, vc, p/E.ラッセン編)
 8. オルフェ(vn, vc, p/サン=サーンス編)
 9. 慰め第3番(cl, vc, p/デシャルム編)
 10. 悲しみのゴンドラ(リスト編)
 11. 灰色の雲(リスト編)
  演奏編成特記なしはチェロとピアノ
フィリップ・ベロー(cl)
シモーネ・ベルナルディーニ(vn)
エレオノール・ユレル=カバントゥース(hrp)
フィリップ・ブランデイス(ハルモニウム)
輸入盤は第40号で掲載済み(現在入手不能)。
仏Diapason 誌金賞!!ピアノ曲や宗教曲・管弦楽曲の陰に隠れていた、知られざる「リストの室内楽」−−染みわたるようなチェロの音色が、あの不思議な和声感覚をいっそう引き立てる!仏Diapason 誌、大絶賛。この素晴しき世界を知らずに、リストの全貌は見えてこない...!「リスト」の「室内楽」!どちらも単体だと何ら驚くこともない名詞なのに、この二つをぶつけてみると、なんと意外な感じのすることか…というくらい、リストは室内楽作品を残していないのはご存知のとおり。つい最近、搾り出すようにして作品を集めたヴァイオリン作品集の好企画がリリースされたそうですが、古楽から現代音楽まで良い音楽は分け隔てなくとりあげるaeon からも、チェロのための作品集が1枚——集められているのは「エレジー」や「忘れられたロマンス」をはじめとする貴重なオリジナル作品と、息を呑むばかりにうつくしい本人および同時代人・後世人たちによる編曲作品。それらは圧倒的に後期・晩期作品ばかりでして、ご想像のとおり、チェロの渋く深い中低音も、ちょっとムリしたような独特の高音域も、その音楽性にすっと寄り添う、まさにチェロ向きの音楽が最初から最後まで続くのです(もしリストのオルガン曲を少しでもご存知なら、この感じもさらにリアルにご想像いただけるのでは)。「悲しみのゴンドラ」や「灰色の雲」などはリスト自身もチェロ向きと思ったのでしょう、自身で編曲を手がけていますし…また冒頭のエレジーは(晩期の合唱作品にも通じるような)足踏オルガンやハープの入り混じる擬似中世風(?)の伴奏が、なにやら超自然的な、宗教画の透明感あふれる背景のような美を描き出していて、これも実に味わい深い仕上がり…現代作品で軒並みすばらしい名盤を連発しているフランスの気鋭奏者デシャルムの演奏がこれまた絶妙で、辛口で知られる仏Diapason も大絶賛、ばっちり金賞獲得

 ちょっと素敵なアルバムに出会えた。
 リストのチェロ作品集。そんなものあったのか、という感じで聴き始めたがこれが絶品。
 実際は自作の編曲ものや、他者による編曲もの、中には完全な創作っぽい作品まであって、正確には「リストが絡んだチェロ作品集」というべきかも知れない。
 でもまあ、この美しさの前にはそんな細かいことはどうでもいい。とにかく収めれている音楽が、演奏が素敵なのである。
 ここに収められているのは、夕暮れの、あるいは真夜中の、あるいは夜明けの音楽。
 リスト中期のギラギラ照り付けてくるような直射日光の音楽ではない。あえて言えばひとり飲むバーの天井にほのかにさしこむ間接照明の光。
 ひそやかで、あやしげで、まどろんだような音楽。
 ひとりくつろいでブランデーを飲みながら聴くにはちょっと似合いすぎる。あるいは、大人の女性といっしょに聴くにもちょうどいい。
 仏ディアパソン・ドール賞受賞。・・・そりゃあそうだろう。(店主視聴記より)
MAECD0864
(国内盤)
\2940
ユパンキの音楽を、ギターひとつで
 〜フォルクローレ アルゼンチン音楽のもうひとつの側面〜
アタウアルパ・ユパンキ(1954〜92):
 ①エル・トゥルンバノ②恋に落ちた鳩の踊り
 ③エル・アディオス(今生の別れ)
 ④お祖父さんの色々な歌⑤忘れられた財産
 ⑥貧しき娘⑦わが荷馬車の車軸⑧先住民とケーナ*
 ⑨ペレス・カルドーソへの祈り
 ⑩告別の調べ⑪田舎の踊り⑫ヤナルカのビダラ
 ⑬ラ・カチャルパヤ* ⑭風が吹いて、梢が泣いている
 ⑮南十字星  
ロベルト・アウセル(ギター)
*ベネディクト・フレトー(第2ギター)
タンゴではなく、現代音楽とも違う。アルゼンチンが誇る世界的作曲家ユパンキの音楽はそっと静かに、たおやかに、強く郷愁をかきたてずにおかぬ、フォルクローレの魂そのもの!同郷の天才アウセルの完璧なテクニックと音楽性で、その素朴な情感を、じっくりと...!南米ではブラジルに次ぐ広さを誇る、歴史ある国アルゼンチン——首都ブエノスアイレスは「南米のパリ」と呼ばれるほど、20 世紀初頭にはヨーロッパから続々と新世代が押し寄せ栄華を誇り、ご存知のとおり由緒ある歌劇場(コロン劇場)まで建っています。アルゼンチン音楽といえば、もちろんタンゴ...といいたいところですが、もうひとつ重要ジャンルがあります。その広大な国土の西端にはアンデス山脈が壁のごとくそびえ、北部はボリビアやペルーとも国境を接するこの国には、フォルクローレという重要な民俗音楽の伝統があるんです。「コンドルは飛んでゆく」で有名な、日本でも大都市の駅前や盛り場で見かける、漠然とした寂寥感と脈々たる躍動感とがふしぎに入り混じる、あの音楽...。20 世紀半ばにはロス・フロンテリソスのような世界的バンド、アリエル・ラミレスのような大歌手たちが積極的な活動を通じてフォルクローレを世界に広めて、ある意味でブラジルのショーロのように、独特の立脚点を世界音楽のなかに見出しました。そうした世紀半ばのフォルクローレ・ルネサンスを支えた大御所が、本盤の主人公たるアタウアルパ・ユパンキ!この奇妙なステージネームは、古代インカ帝国の末期を支えた皇帝ふたりの名前をとったそうで、彼自身ケチュア族インディオ家系の父を持ち、インカ帝国の故地で育ち、後年は(ピアソラのように)パリで暮らしながら、自らギターを手にフォルクローレを歌い、新作を次々と発表、シーンの活性化と世界的な認知に大きく貢献したのです(濱田滋郎氏の積極的な紹介ゆえ、ユパンキの潜在的な知名度は決して低くないことを、ここに特記しておきましょう——ためしに「ユパンキ」と日本語でご検索あれ)。痛烈なまでの郷愁で一心を魅了してやまないその音楽を、日本人がもっとも端的なかたちで知るのにぴったりなのが、「よい音楽は時代と場所を問わず」のフランス発・技ありレーベルaeon からの1枚! ユパンキ自身がギター独奏のために作曲したものも含め、時にはギターデュオも交えながら、濃密な生楽器勝負でその魅力をストレートに伝えてくれるのは、同じアルゼンチン出身の世界的名手、ロベルト・アウセル——クラシカルな演奏形態で、しかも完全無欠のテクニックを誇るクラシカルなアプローチをベースにした解釈で(しかし演奏者は南米人、そのエモーションは艶やかにして濃密!)、ラテンアメリカのフォルクローレを堪能できるとは! オシャレなトラックにも事欠かず、においたつ郷愁にひとり涙するようなタッチもあり。これもまた初秋に“効く”、切ない響きがたまらない1枚です!

ALPHA

Alpha150
(国内盤)
\2940
デュフリ:クラヴサンのための作品集
ジャック・デュフリ(1715〜89):
 ①ラ・フォルクレ(ロンドー)iii
 ②メデー(快活に)iii ③アルマンドハ長調 i
 ④クラント「ラ・ブコン」i ⑤ロンドー i
 ⑥ラ・ミレッティーナ i
 ⑦ラ・ポトゥアン(ロンドー:中庸の速さで)iv
 ⑧シャコンヌ iii⑨アルマンドニ長調 i ⑩クラント i
 ⑪ラ・ヴァンロー i ⑫レ・グラース(たおやかに)iii
 ⑬ラ・ド・ベロンブル(快活に)iii
 ⑭ラ・フェリクス(高貴に)
   iii 第1曲集(1744) ii 第2曲集(1748)
   iii 第3曲集(1756) iv 第4曲集(1768)
エリザベート・ジョワイエ(クラヴサン)
チェンバロ好きが必ずたどりつく「末期バロック〜初期古典派」、その最重要人物デュフリ!レオンハルト御大はじめ、数多くの演奏家と聴衆に愛されてきたこの作曲家の至芸を「インヴェンションとシンフォニア」で画期的境地をみせた名手ジョワイエが、鮮やかに料理!フランスのチェンバロ音楽を語るとき、人はなぜかしばしば「クラヴサン」と、この楽器のことをフランス語で呼んでみたくなるもの——それほどまでに、フランスのチェンバロ音楽は他の国のそれとは一味違う、ユニークな繊細さと雄弁さを誇る独特の世界を醸し出しています。古くはシャンボニエールやダングルベールといった「偉大なる17 世紀」の巨匠たちから続いてきた伝統は、周辺各国の音楽美意識がすっかりギャラントへ古典派へ、と移り変わり、フランスでさえそうした外来音楽のテイストに魅了されつつあった18 世紀半ばになっても、なお独自の歩みを見せていました。クレランボー、マルシャン、クープラン...といった世紀初頭の世代をへて、ロココ時代におけるフランスのクラヴサン音楽家たちは、古くからの繊細な語法を外来のイタリア様式などと絶妙に織り合わせ、クラヴサン(チェンバロ)という楽器にたいする長年の経験をみごと花開かせて、他の追従を許さない、雄弁さと細やかさが相半ばする音楽世界を描き出します。ピアノ登場以前、おそらくこの楽器が最も美しく鳴りひびいたのは、彼らの十指の下でだったのではないでしょうか?そんなわけで、18 世紀中盤のフランス・クラヴサン音楽は古楽ファンや古楽奏者たちにも熱心な信奉者が多いジャンルなのですが(筆頭格をあげるなら、古くはレオンハルト、最近ではスキップ・センペあたりでしょうか)、バルバストル、フォルクレ2世、ロワイエといった強豪を押さえて誰よりも人気があるのは、おそらく、このデュフリに違いありません——作品集が4冊もあるためか単体アルバムは意外と出ないのですが(それだけに、本盤の存在価値もあろうというものです)、生前から18 世紀中盤最大のクラヴサン音楽家、との呼び声の高かったデュフリの音楽は、フランス流儀の繊細さ一辺倒だけでなく、古典派にも追い迫るイタリア的作法のまたとない採り入れ方が奏功していて、後期の作品などは(ある意味で)C.P.E.バッハの良きライヴァル、といった印象さえ与えられるユニークな存在感があるほど。で、フランス古楽に秀でたAlpha レーベルの人選がまた絶妙——根強い売れ筋・バッハの「インヴェンションとシンフォニア」(Alpha034)でみずみずしい存在感を印象づけた気鋭奏者ジョワイエが、南仏のアサス城に眠っていた18 世紀の2段楽器を縦横無尽に操り、明晰さとデリケートさの並存する確かな演奏を繰り広げるのです。Alpha の面目躍如!なフランス古楽盤です。
Alpha148
(国内盤)
\2940
「牧人は詩人」...フランス・ロココの牧歌的ソナタさまざま
 ピエール・ダニカン・フィリドール(1681〜1731):
  1. フルートと通奏低音のための第5組曲ホ短調
 ニコラ・シェドヴィル(1705〜82)伝ヴィヴァルディ:
  2. ミュゼットと通奏低音のための第6ソナタ
  (『忠実な羊飼い』作品13より)
 ジャック・オトテール・ル・ロマン(1674〜1763):
  3. フルートと通奏低音のための第2組曲ハ短調
 ジャン=フェリ・ルベル(1666〜1747):
  4. フルートのためのミュゼットニ長調
 ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ(1691〜1755):
  5. 3本のフルートと通奏低音のためのソナタイ短調
 フランソワ・クープラン(1666〜1733):
  6. フルートと通奏低音による「恋の小夜啼うぐいす」
 ニコラ・シェドヴィル編:
  7. ミュゼットによる三つの小品
 (モンテクレールの「イフィズの嘆き」/
  クープランの「羊飼いたち」/
  モンドンヴィル氏のエール)
 デュグエ(詳細不詳、18 世紀前半に活躍):
  8. トリオ・ソナタハ長調 〜ミュゼット、
   ハーディガーディと通奏低音のための
レ・ミュジシャン・ド・サン・ジュリアン(古楽器使用)
フランソワ・ラザレヴィチ(ミュゼット、フラウト・トラヴェルソ、総指揮)
アレクシス・コセンコ、
フィリップ・アラン=デュプレ(フラウト・トラヴェルソ)
フランス・バロック末期——本格的なソナタや組曲に、意外な楽器や編成が使われた頃。2本、3本と重なりあうトラヴェルソの響きは、なんて切なく、うつくしい——ミュゼット(宮廷バグパイプ)やハーディガーディも絡む、本物のフランス音楽はやはりAlpha!ジャケット絵画はオレンジの衣服と青のバグパイプに白レースの袖飾り、とてもうつくしい配色で、まるで紅葉と青空のよう——そしてそのサウンドも、涼しい風の吹く秋口にぴったり!「フランス古楽はAlpha」なんだなあ、ということを強烈に印象づける、しかも一般向きにも聴きやすい好盤の登場でございます。プログラムの作曲年代は1715 年〜から1740 年頃、つまりバッハやヴィヴァルディと同時代、クープランやフォルクレのいた頃のフランスの音楽。トリオ・ソナタや独奏ソナタ、組曲などの「正統派ジャンル」をしっかり愉しませてくれる比較的オーソドックスな選曲、と思いきや、そこはやっぱりフランス古楽。フラウト・トラヴェルソ(当時の古楽器フルート)を中心に据えながら、まさにこの頃フランスでだけ大流行した二つの「田園風楽器」、ミュゼットとヴィエラルーがフツーに参加しているのです!ヴィエラルーはハーディガーディを、ミュゼットはバグパイプを宮廷向けに改良した楽器で、後者は吹き口なしにふいごで空気を送るシステムのため、ご婦人方も安心して演奏できたのだとか。それらが添える賑やか&のどかな情緒は、フランス・バロックの音楽の語り口になんとハマることでしょう! 作曲者はヴィヴァルディ作と誤って伝えられていた「忠実な羊飼い」の真の作者シェドヴィル(彼はミュゼットの普及に大きく貢献した人でもあります)や、F・ブリュッヘンが再評価を即したオトテールのほか、クープランの「恋の小夜啼うぐいす」など有名曲もあり。フランス古楽界きってのトラヴェルソ奏者ふたりと、現在最高のミュゼット奏者ら、演奏陣の腕前も文句なしに絶品!
Alpha511
(国内盤)
\2940
わが魂の愛する方
〜スペインを去った、地中海各地のセファルディの音楽〜
 ①最愛の伴侶よ、忘れてしまったのかい ②ナニ・ナニ
 ③彼は捕らわれてしまう④ねむれ、愛するわが子
 ⑤この高貴な娘を引き立てたまえ
 ⑥汝、隊商の歌をうたう者/
 おお岩よ、我らが楯よ⑦高い高い、お月さま
 ⑧わが魂の愛する方⑨モーゼ⑩扉を開けて、いとしい人
 ⑪わたしは黒く、美しい⑫ようこそ、私のいとしい人
 ⑬私は知るだろう、そこで何を話すのか
ミシェル・クロード(各種打楽器)
ニマ・ベン・ダヴィッド(ヴィオラ・ダ・ガンバ&歌)
メイラフ・ベン・ダヴィド=ハレル(歌&打楽器&シフォニ) ヤイル・ハレル(歌&タル&打楽器)
東洋と西洋のかけはしをなす鬼才ミシェル・クロード、多元的なる音楽のルーツ・イベリア半島を離れゆく——クープランやヒュームでも実績アリのスーパーガンバ奏者と本格派民俗奏者たちと織りなす、地中海各地に散ったユダヤ人たちの艶やかな音楽...!ミシェル・クロード! ご存知、ル・ポエム・アルモニーク幻の初来日(2005 年、上野の国立西洋美術館でのコンサート)のさい鮮烈な叩き込みをアピールした鬼才打楽器奏者にして、ヨーロッパの古楽器と東洋の民俗楽器を織り交ぜながら、Alpha の「白シリーズ」で、エキゾチックでもありヨーロピアンでもある「ミルテの庭」(Alpha515)と「月の光さす」(Alpha521)という2枚の異色売れ筋アイテムを制作したアンサンブル・アロマートの主宰者——東洋と西洋のはざまをゆくこの天才、同じくAlpha でフランス・バロック(クープランとフォルクレ・Alpha007)とイギリス・ルネサンス(ヒューム大尉の音楽世界・Alpha061)の本格アルバムをリリースしている多芸なガンバ奏者ニマ・ベン・ダヴィドとともに、こんな秀逸盤も作っていたのでした(上述2作の「白シリーズ」好調につき、このたび初めて日本語解説つきリリースとなります)。今度のお題は「地中海各地のセファルディの歌」——中世のイベリア半島では、キリスト教徒・イスラム教徒・そしてユダヤ教徒たちが稀有の共存をみせていたのですが、キリスト教徒のカスティーリャ&アラゴン連合王国が1492 年にイスラム教徒をこの半島から一掃したあとは、ユダヤ人も間もなくこの半島を追い出されることに...かくてフランスを経てトルコへ、エジプトへ、モロッコへ…と地中海各地に散っていったのが、セファルディと呼ばれるイベリア半島出身のユダヤ人たち。彼らはラディノ語と呼ばれるスペイン語の変形語をあやつり、半島にいた頃歌ってきた歌を、時にはトルコ語やアラブ語など各地ごとの言語で歌い替えながら、連綿と歌い継いだのでした。こうして地中海各地に伝わった「スペイン生まれの歌」と器楽曲を、古楽器とイスラム系民俗楽器の混在するアンサンブルで、例によって絶美の音響で聴ける旨味は、たまりません!変幻自在のエキゾチックな打楽器、たおやかなガンバにからむ中近東の笛と、よく聴けば確かにスペイン語風の歌詞を異趣豊かに織り上げてゆく、イスラム風のマカーム(旋法)と…残暑の季節を涼しく、ちょっと風変わりに風流に過ごせる、独特の響きをどうぞ!

ARCANA

Mer-A412
(2CD)
(国内盤)
¥3885
ハイドン:ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 2
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809):
 弦楽四重奏曲集 作品17(全6曲)
 1.弦楽四重奏曲 ヘ長調 op.17-2
 2.弦楽四重奏曲 ホ長調 op.17-1
 3.弦楽四重奏曲 ニ長調 op.17-6
 4.弦楽四重奏曲 ハ短調 op.17-4
 5.弦楽四重奏曲 変ホ長調 op.17-3
 6.弦楽四重奏曲 ト長調 op.17-5
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
「全集でもないかぎり、なかなか出ない」その1…作品17。しかし充実度は「作品9」以上、聴けば聴くほど面白い フェシュテティーチの極上解釈は、まさに至福そのもの !
Mer-A415
(2CD)
(国内盤)
¥3885
ハイドン:ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 5
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)
弦楽四重奏曲集 作品50「プロイセン」(全6曲)
1.弦楽四重奏曲 変ロ長調 op.50-1
2.弦楽四重奏曲 ハ長調 op.50-2
3.弦楽四重奏曲 変ホ長調 op.50-3
4.弦楽四重奏曲 嬰ヘ短調 op.50-4
5.弦楽四重奏曲 ヘ長調 op.50-5
6.弦楽四重奏曲 ニ長調 op.50-6「かえる」
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
「全集でもないかぎり...」その2は、作品50こと「プロイセン四重奏曲集」! 国際舞台での名声を じゅうぶん裏書する、中期最注目の隠れ名作集が、これ!
充実度…という点では、こちらの「作品50」も負けてはいません。
Mer-A419
(3CD)
(国内盤)
\5040
ハイドン:弦楽四重奏曲集op.76・77&最後の四重奏曲
〜ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 9 〜
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)
 弦楽四重奏曲集作品76「エルデーディ四重奏曲集」
 ①四重奏曲ト長調 Hob.III-75 ②同ニ短調Hob.III-78「五度」
 ③同ハ長調 Hob.III-77「皇帝」
 ④同 変ロ長調 Hob.III-78「日の出」⑤同ニ長調Hob.III-79
 ⑥同変ホ長調 Hob.III-80弦楽四重奏曲集作品77
「ロプコヴィツ四重奏曲集」
 ①四重奏曲ト長調 Hob.III-81
 ②同ヘ長調 Hob.III-8
 2弦楽四重奏曲ニ短調作品103 Hob.III-83「老人」
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
間違いなく、この全集の「クライマックス」——おそらく最も有名な傑作「皇帝」をはじめ渾名つき作品を三つも含む晩期の重要曲集と、ハイドン創作の最後を飾る3作...とくに未完の最終作での抑揚、「皇帝讃歌」での余人かなわぬ境地は、このカルテットならでは!
Mer-A303
(国内盤)
\2940
ドビュッシー:弦楽四重奏曲、最後の三つのソナタ 他
クロード・ドビュッシー(1862〜1918):
 1. 弦楽四重奏曲作品 10
 2. シュランクス〜無伴奏フルートのための
 3. チェロとピアノのためのソナタ
 4. フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
 5. ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
クイケン・アンサンブル(古楽器使用)
シギスヴァルト・クイケン(vn/va)
ヴェロニカ・クイケン(vn)
サラ・クイケン(va)
ヴィーラント・クイケン(vc)
ソフィー・アランク(hrp/エラール1926 年)
バルトルド・クイケン(fl/ボヌヴィル1910 年)
ピート・クイケン(p/エラール1894 年)
Arcana きっての超・名盤が続々復活! クイケン一族の最新シリーズも続々、再登場!まずは、ドビュッシーの室内楽作品群を「すべてクイケン流」、作曲当時のスタイルで解釈してしまった、大絶賛アルバム——正真正銘のドビュッシー、ここに現る。ヴィオラ・ダ・ガンバの巨匠ヴィーラント、指揮者としても異才を発揮するバロック・ヴァイオリン奏者シギスヴァルト、そしてフラウト・トラヴェルソのパイオニア的存在バルトルド…彼ら「クイケン兄弟」がアンサンブルとして活躍をはじめて早数十年、今や彼らの子供世代も立派な演奏家になったり、古楽器製作家として日本で活動していたり...かくて昨今では、シギスヴァルト率いるラ・プティット・バンドに娘たちが参加していることもあれば、親子世代で揃ってインテンスな室内楽アンサンブルを組んで活躍することも珍しくありません——そうした「新クイケン・アンサンブル」による最近のアルバムが、世紀の古楽レーベルArcana でも何作か制作されています。2009 年度からの新スタート以降、まっさきにカタログ復活をとげたのは、なんとピリオド楽器演奏最先端ともいうべき「印象派」、20 世紀初頭のドビュッシー作品集!

ARCO DIVA

UP0105
(国内盤)
\2940
スメタナ(1824〜84):
 1. ピアノ三重奏曲ト短調作品 15
ドヴォルザーク(1841〜1904):
 2. ピアノ三重奏曲第4番ホ短調作品 90「ドゥムキー」
プラハADトリオ
マルティン・カシーク(p)
イジー・フルニーク(vn)
ミロシュ・ヤホダ(vc)
少しずつ更新されてゆく、音楽大国チェコの「いま」——本場ならではの協和感は、みずみずしい新鮮さと、こんなにも素敵に折り合うのだった…!「もう今更スーク・トリオでもないだろうに」という方々、ご注目を。これぞ、伝統の最先端!音楽大国チェコ! ターリヒ、アンチェル、クーベリック、モラヴェッツ、スーク、スメタナ四重奏団…その昔から連綿と忘れがたい偉大な音楽家を輩出しつづけてきたこの国で、今なおきわめてレヴェルの高いプレイヤーたちが続々生まれ続けているのはご存知のとおり。そしてこの国の音楽シーンが世界に誇る一大ジャンルなのが「室内楽」です。“弦の国”と言われるだけあって、隣国のハンガリーと同じく世界的に偉大な弦楽四重奏団が次から次へと生まれていますが(近年でもマルティヌーSQ、ヴィハンSQ、ハースSQ...と“新たな名団体”が続々世界を賑わしています)、ピアノ・トリオも負けてはいません。この編成の場合、諸外国の場合と同じように、3人の演奏家がみなソリストとして旺盛な活躍をみせているケースも多いわけですが、チェコのアンサンブルの場合(協調性には一家言あり・のお国柄もあるのでしょう)それぞれの個性や自発性のぶつかりあいに終始せず、互いに聴きあい、総体としてレヴェルの高い音楽を作り上げようとする意識が奏功している例が少なからずあるようで。プラハADトリオなるこのグループなど、まさにその典型——Arco Diva に名盤続々の気鋭ピアニスト、マルティン・カシークをはじめ、他の2人もソリストとして随所で活躍、協奏曲ソロや室内楽アルバムなどソロ名義の録音も少なからず残している実力派。つまりそれぞれに「自分の音楽」「自分のフィールド」を持ちながら、トリオとして集まると一転、がっちり一体感のある、緊密というよりむしろ、ひとつの有機体といったほうが良さそうな、ぴたりと合った呼吸で鮮やかに音楽を練り上げてゆくのです! 演目が彼らの祖国チェコの室内楽史を代表する2作、スメタナとドヴォルザークの傑作だからでしょうか——さまざまなリズムとテンポが入り乱れ、熱気のあまりアンサンブル崩壊寸前の解釈にも陥りそうな難曲「ドゥムキー」も、胸焼けしそうな熱血演奏も珍しくないスメタナ作も、折々あでやかな「チェコの弦」の歌を響かせ、まろやかさとスピード感の相半ばするピアニズムを活かしながら、一体感はかたときもブレず、両極特有のスラヴ的郷愁をたたえがら、夢のような安定感で突き進んでゆく...これぞ「チェコの“いま”」、瑞々しい本物の室内楽!
UP0030
(国内盤)
\2940
アレグロ・バルバロ、その他の中欧近代音楽の諸相
〜バルトーク、ヤナーチェク、スラヴィツキー、フィシェル〜
 バルトーク(1881〜1945):
  1. アレグロ・バルバロ(野蛮なアレグロ)
 ヤナーチェク(1854〜1928):
  2. 霧の中で(第1集)
  3. ピアノ・ソナタ「1905年10月1日、通りにて」
 クレメント・スラヴィツキー(1910〜99):
  4. ピアノのための三つの小品
  5. ピアノ・ソナタ「生の誘惑」
 ルボシュ・フィシェル(1935〜99):
  6. ピアノ・ソナタ第8番
マルティン・カシーク(ピアノ)
20世紀の、東欧——あらゆる芸術分野で、こんなにおもしろいシーンは滅多にない!
民俗性と芸術性がひとつに混在する多彩なシーンを、ストレートにすこぶる面白く、美しく聴かせられるのは、完璧な知性と技巧のみならずチェコらしさにも事欠かぬ、この人だけ!チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア...中央のさまざまな国々からすぐれた演奏家が次々と世界へ羽ばたいている、20世紀以降の「現代の中欧」。しかし中欧といえば、古くはポーランドがロシアよりも大国だったルネサンス時代から、無数の大芸術家を輩出したバロック〜古典派時代、ロマン派と革命の19世紀における民族意識の高揚、さらに20世紀の共産主義時代...と、つねに偉大な作曲家を生んできた地域でもあります。
ショパン、ドヴォルザーク、バルトーク...そしてショスタコーヴィチがロシアで苦労しながら活躍を続け、シュニトケやグバイドゥーリナがロシア辺境から頭角をあらわしてきた20世紀中盤にも、そうした伝統は脈々と生き続けていたのですが、悲しいかな、こうした「中欧の20世紀」はどうしたものか、文学や映画、粘土アニメほどには日本で知られていないのは不思議なところ。それぞれの国の偉大な名手たちが祖国の同時代人の作品をとりあげても、日本ではどうしても有名作曲家の作品の演奏にばかり注目が集まってしまうせいかもしれません——
 しかし! 音楽大国チェコの「いま」を支える、ソロはもちろん室内楽でもきわだった成果をあげつづけている真の実力派マルティン・カシークがArco Divaレーベルに録音したこの1枚は、演奏時間たった数分ながらきわめて凝縮されたピアニズムが迸る、あのバルトーク初期の重要作「アレグロ・バルバロ」(これも思いのほか録音が少ない!)にはじまり、ヤナーチェク中期の傑作ソナタをへて、さらに20世紀中盤のチェコの作曲家たちを二人...と、「わかりにくい現代音楽」とは一線を画した「近代音楽の系譜」によって20世紀音楽へとすんなり聴き手を導く、じつに周到な知的刺激触発系プログラムになっているのです!
 指周りはピカ一なのにそれを誇張せず、チェコだなあ、と嬉しくなるような滋味あふれる音作りをしてくれるカシークのピアノは、バルトークのじわじわ寄せてくるような感動も、ヤナーチェクの定まりきらぬ魅力も、あるいはフィシェルやスラヴィツキーの手がたい作風も、すべてその魅力をじっくり引き出してゆく頼もしさ!シェーンベルクその他の「知」へ傾いた作品がないことで、純粋にピアノの美しさと表現の広さを堪能させてくれる、そして民族的エネルギーとうつくしい叙情を忘れない音楽が20世紀にもちゃんと伝わっていったことが、ごく端的に伝わる仕組みになっています。こういう演奏に連続して出会えると、みんな現代音楽アレルギーが薄れてくるのでしょうに。あくまで「クラシック」と呼びうる範疇での絶妙の美が、ここに詰まっています!

CONCERTO

CNT2048
(国内盤)
\2940
ハイドン:知られざる「ヴァイオリン・ソナタ」
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)
 1. ソナタ変ロ長調 Hob.XVa-1
 2. ソナタニ長調 Hob.XVa-2
 3. ソナタハ長調 Hob.XVa-3
 4. ソナタ変ホ長調 Hob.XV-31「ヤコブの夢」
 5. ソナタソ長調 Hob.XV-32
アルベルト・ボローニ(ヴァイオリン/サント・セラフィーノ1734 年)
ジュゼッペ・F.モドゥーニョ(フォルテピアノ/シャンツ1815 年)
ハイドンの作品目録に「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」なんてないはず…?!しかし、この編成で演奏できる名品は、ちゃんとあったのです!イタリアの気鋭ふたりが鮮やかに解き明かす、絶品ソナタの数々ここに...!77 年の生涯のあいだに、交響曲100 曲以上、弦楽四重奏曲67 曲、ミサ曲多数、ピアノ・ソナタ多数、実はオペラも20 作以上...といったあたりをはじめ、当時の音楽ジャンルはほぼ全てにわたって手がけたかに見えるハイドン。しかし実は彼にも盲点はあって、たとえば(モーツァルトやベートーヴェンが数多く作例を残している)「ヴァイオリンの助奏つきピアノ・ソナタ」、つまりヴァイオリン・ソナタは全く残さなかったらしく、ジャンル別に作品分類されているホーボーケン(Hob.)カタログには、この曲種のカテゴリーは設けられていなかったり...というのが通説だったのですが、ここには意外な「抜け道」が。そもそも、今私たちが古典派のヴァイオリン・ソナタとして認識している音楽というのは、もともと音楽教師がヴァイオリンを弾きながらピアノのレッスンをしたりする、という前提で、ヴァイオリン部分は「あってもなくてもよい」、あくまでピアノを主役に据えた楽曲でした。こうした「任意参加パート」のある鍵盤楽曲というのが18 世紀にはたいへん多く、ヴァイオリン・ソナタのみならず、ピアノ三重奏曲もそうした出来方で仕上げられている曲がかなりありまして。実際、音楽内容的にはチェロが「おまけ」で、ピアノの左手をなぞっているだけのパターンが多々あるのは、ご存知のとおり(体裁を整えるため、ヴァイオリン・ソナタとして書かれた音楽に後からチェロ・パートを加えて出版することも、チェロ・パートを最初から「任意参加」と明記して出版することもありました)。そう——このアルバムに収録されている5曲の「ハイドンのヴァイオリン・ソナタ」は、上述のホーボーケン・カタログで「ピアノ三重奏のための作品」に分類されている曲のなかでも、チェロの参加意義が薄い作品ばかりを集め、音楽のエッセンスを作っているヴァイオリンと鍵盤のパートだけで演奏してみた結果なのです!18 世紀当時も、このような演奏形態がひんぱんに行われていたであろうことは、聴いてみればすぐにわかるはず——何しろ、まったく不足感がないのですから!(逆に、ピアノ三重奏曲としての演奏で「チェロが無駄...」と思われるケースの方が多いのが、この種のハイドン作品の常かもしれません)。演奏者は二人とも日本でも教鞭をとるイタリアの気鋭奏者で、ピアニストのモドゥーニョは巨匠マガロフの門下生であるとともに、フォルテピアノの名手デームスにも師事しており、師匠譲りのみごとなタッチで、晩年のハイドンが好んだシャンツ工房のフォルテピアノを軽やかに弾きこなしてみせる技はまさに秀逸!弦のボローニがイタリア18 世紀の銘器から引き出す美音のやわらかさも、曲の雰囲気をよく捉え、企画の意図を気持ちよく伝えてくれます。偽作扱いされたりするHob.XVa の3曲さえ、説得力確かな演奏でじっくり旨味が引き出され、絶品!

FUGA LIBERA

MFUG519
(国内盤)
\2940
チェロとハープ、近代音楽と伝統
 マラン・マレ(1656〜1728)/メイ・マックル編:
  1. 五つの古い舞曲による組曲
 イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882〜1971)/
  グレゴール・ピアティゴルスキー編:
   2. イタリア風組曲
 マルセル・トゥルニエ(1879〜1951):
  3. さまざまな影像の組曲
 マヌエル・デ・ファリャ(1876〜1946)/
  モーリス・マレシャル編:
   4. スペイン民謡による組曲
ソフィー・アランク(hrp)
マリー・アランク(vc)
クイケン一家のドビュッシー盤(前頁)で、ハープ奏者に抜擢されたのは、この人——妹は、FugaLibera やCypres ですでにおなじみ、新世代を担うベルギー随一のチェロ奏者。「古きよき時代」の響きをヴィヴィッドに現出させる、ハープとチェロのまたのない絡み合い!チェロと、ハープ——そもそもこの組み合わせからして、期待感が煽られるのではないでしょうか。クラシック音楽の「美」をきわめるこの二つの楽器、かたや中低音の伸びやかな音色、かたや繊細に転がる撥音の珠、それらがひとつに合わさったらどんなに素敵だろう、というわけで、このアルバムはこれら人気楽器二つがアンサンブルとなり、音楽が最も美しかった20 世紀初頭のベル・エポック時代へと、私たちを誘ってくれます。もちろん、演奏の素晴らしさなくしては、期待されるべき夢見心地が体現されようはずもありません——本盤の主役たちは、どちらもベルギーから世界に飛び出て、すでにソリストとしてめきめき評価を高めている稀代の名手! チェロのマリー・アランクは、FugaLibera でも昨年セドリック・ティベルギアン(p)と丁々発止のソリスト対決を聴かせてくれましたが、他にもCypres やAlpha でも旺盛な活躍を見せている上り調子のチェリスト。エッジの効いた逞しさと、「しなやか」という言葉がこれほどぴったりくる人も珍しい...といった美音の操り方がたいへん快い音楽を紡ぎだす人です。ハープ奏者はその姉で、妹マリーやその他の実力派奏者たちと「アンサンブル・アルペー」を結成、Cypres に素晴しいジョンゲン・アルバム(MCYP1632)を残してくれた俊英、ソフィー・アランク...というより、前頁を見ていただければすぐおわかりのとおり、クイケン一家のドビュッシー・アルバムで堂々ハープ奏者に抜擢されている達人にほかなりません! 彼女たち2名手が打ち出したプログラムは、どれも味わい深い「組曲」の数々——20世紀初頭最大のハープ芸術家トゥルニエが綴ったあまりに美しいハープ独奏曲のほか、みなチェロ演奏史に名を残す偉大な演奏家たちによる「昔日の巨匠」の名品群の編曲となっています(ハープ部分はソフィー・アランクが編曲)。ストラヴィンスキーの軽妙古典回帰路線を浮き彫りにした「イタリア組曲」は、ハイフェッツやルービンスタインとの共演で知られる大御所ピアティゴルスキーが編曲。ファリャの傑作群は薫り高きフランス派の名匠マレシャル、そしてマレのガンバ作品は、古楽復興など夢また夢・の晩期ロマン派時代、1905年に発表されたメイ・マックルの編曲版(マックルは「女性版カザルス」と絶賞された名匠)! チェロの美、ハープの美が聴き手を陶然とさせる本盤、前頁のドビュッシー盤と同時に聴けば説得力倍増、より深い鑑賞体験へと誘うことでしょう!
MFUG504
(国内盤)
\2940
シェーンベルク(1874〜1951):
 1. 月に憑かれたピエロ作品 21
 2. 室内交響曲作品 9
 (ヴェーベルン編曲による「ピエロ編成」版)
ロビン・エンゲーレン指揮
ヘット・コレクティーフ
ヤクリーヌ・ヤンセン(独唱)
あの衝撃的な「音楽の捧げもの」でヒットをさらったヘット・コレクティーフの本領はやはり近現代もの——全員がスーパープレイヤー、精妙そのもののアンサンブルとまろやかに無調の空間をたゆたう人声との交錯、絶品「ピエロ」に豪華なカップリング付!フルート、クラリネットとピアノ三重奏からなるアンサンブルを「ピエロ編成」と呼ぶそうですが、それはほかでもない、シェーンベルクが1912 年に発表した無調音楽の金字塔的傑作「月に憑かれたピエロ」が、この編成で作曲されていて、そのインパクトと可能性の広さゆえ、この編成による新作が次々と生み出されるようになったから・・・そしてこの編成で5人の演奏家が集まると、フルート+ヴァイオリン+チェロ、クラリネット三重奏、管楽器2本とピアノ...など、きわめてヴァラエティ豊かな編成の作品が演奏できるわけで。現代音楽がほとんど日常的なコンサートシーンにさえ浸透している音楽大国ベルギーで、広範な活躍を続けるスーパープレイヤーたちが集うアンサンブル「ヘット・コレクティーフ」は、まさにこの編成を標準編成にしている鬼才集団。昨年はメシアン「世の終わりの四重奏曲」も同じFuga Libera で録音していますが、日本で特に売れているのは、なんといっても通念を覆す音響体験の連続、おどろくばかりにうつくしい「音楽の捧げもの」(MFUG601)——時にバス・クラリネットが、あるいはピッコロ、フラッタータンギングのフルート、エレキギターを模すかのごとき「ジミ・H に捧ぐ」と副題まで添えられたカノン解釈...と異例のバッハ解釈で私たちを瞠目させてくれた彼らですが、今回ご案内するのは、この五重奏編成の本家本元たる「月に憑かれたピエロ」。独唱(語りのような、歌のような、えもいわれぬ浮遊感のある、あのパート)にはヨーロッパで堅調に活躍の場を広げているオランダの異才ヤクリーヌ・ヤンセンを迎え、バッハの時よりもさらにインテンス、さらに高次の緊張感をさらっと打ち出してみせる、描き出される音響空間の美しさは息をのむばかり...!挑発的なシェーンベルクの作風さえも、美の一部に取り込んでしまうような、精妙そのものの解釈になっています。さらに、併録曲がこれまた注目曲——シェーンベルク自身が「わが最高傑作にして、最も理解されていない」と嘆いたという名品「室内交響曲」の、さらなる室内楽編曲版!マーラーが「千人の交響曲」を書いた1906年、その対極をゆく僅か15 人の室内楽編成のために書かれたこの交響曲、シェーンベルク自身も後年「15人もいたんじゃ聴きづらくて仕方ないのも確か」と思い直し、弟子のヴェーベルンに編曲を依頼、出来上がったのが本盤に収録されている版なのです。「ピエロ編成」にすっきりまとめられた音楽構成が、ヘット・コレクティーフ特有のサウンドでさらに整理され、実に見通しよく知的興奮をさそう…食わず嫌いにもぜひおすすめの、極上の新ウィーン楽派盤!

GRAMOLA

GRML98769
(国内盤)
\2940
ショパン:室内楽作品全集
 1. 序奏と華麗なるポロネーズ op.3
 2. ピアノ三重奏曲ト短調 op.8
 3. マイヤベーアの歌劇『悪魔ロベール』の主題に
  よる協奏的大二重奏曲(フランショームとの共作)
 4. チェロとピアノのためのソナタト短調 op.65
 5. ロッシーニの主題による変奏曲(遺作)
  〜フルートとピアノのための
ウィーン・イェス・トリオ
ヨハンネス・イェス=クロップフィッチュ(p)
エリザベト・イェス=クロップフィッチュ(vn)
シュテファン・イェス=クロップフィッチュ(vc)&
ルイーザ・セッロ(fl)
ピアノ独奏だけじゃない! しかし録音はめったになし、の秘曲、シューマンも絶賛したピアノ三重奏曲ほか 、注目すべき傑作群をウィーンきっての新世代一族トリオが、周到・深遠・充実の演奏でじっくり愉しませる!
「ピアノの詩人」ショパンですが、ピアノ独奏や協奏曲ばかり書いていたわけではありません——否、精確を期すなら「初期においては違っていた」といったほうが正しいかもしれません。実際、ショパンのキャリアの中盤に書かれた作品は、事実すべてピアノ曲、といっても過言ではないわけですから...。しかしながら、祖国ポーランドを去ってパリに来たばかりのころ、つまり国際的な名声を博しはじめた頃のショパンは、歌曲や室内楽、そしてあの2曲の協奏曲...と、独奏作品以外にもみるべき作品を数多く作曲していました。なかでも重要なのは、親友だった大チェリストのフランショーム(フランコム)と共作で作曲した「協奏曲的大二重奏曲」および唯一のピアノ三重奏曲——この2曲は発表当初のドイツで書かれた批評が意外に身近なところで読めるくらいなのに(シューマン『音楽と音楽家』吉田秀和訳・岩波文庫)、前者はともかく、なぜか後者はめったに録音されません。本盤はこの非常に貴重かつ重要な作例であるピアノ三重奏曲をはじめ、亡くなる前のショパンが最後に公の場に出たとき演奏したチェロ・ソナタ、もちろん上述の協奏曲的大二重奏曲も含め、さらには真贋が疑問視されているせいもあって存在すら知らない人も多いであろうフルート作品(!)まで、ショパンの室内楽作品のすべてを、音楽都市ウィーンで揉まれた実力派トリオと、イタリア最大のフルート奏者ガッゼローニの門下に学んだ気鋭フルート奏者が、よく練り上げられたアンサンブル、周到な解釈によって、旨味たっぷり、風格あふれるサウンドで愉しませてくれる貴重な企画! この1枚だけで、ショパンの室内楽にひそむ魅力はひとわたり概観できると言って過言ではありません。
主要な部分を担当しているイェス・トリオのイェス=クロップフィッチュ3兄弟は、それぞれにソリストとして一味も二味も個性を感じさせる気鋭奏者たち——ピアニストのヨハンネスは、すでにGramola レーベルで知的なセンスに満ちたソロ・アルバムをリリース、地道にセールスを伸ばしております(GRML98771)。ショパンの魅力を知る上で、古典主義からじわり滲み出てきたロマン情緒をつぶさに知るには、このピアノ三重奏曲をはじめとする室内楽名品群は聴き逃せません!
GRML98852
(国内盤)
\2940
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ KV377/379/526
 1. ソナタイ長調 KV526
 2. ソナタト長調 KV379
 3. ソナタヘ長調 KV377
パウル・バドゥラ=スコダ(Fp)
トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガー(Vn)
フォルテピアノ:ヴァルター1785 年オリジナル
ヴァイオリン:シュタイナー1656 年オリジナル
天才イルンベルガー、デームスのみならず、今度はバドゥラ=スコダとも共演!使用楽器はどちらも純然たるオリジナル、モーツァルトが愛したヴァルターとシュタイナー!変幻自在、魔法のように心とろかすバドゥラ=スコダのピアノ、滋味あふれる弦の音色...トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガーというザルツブルクのヴァイオリニストは、若いだてらに次から次へと新録音をリリースしていますが、どれを聴いてみても、それが伊達や酔狂などではないことがすぐ判る——天才なんだと思います。シューマンの“二つの”協奏曲やパガニーニなどオーケストラとの共演もこなしながら、時には古い楽器を手にとって、モーツァルトからブラームスやウィーン世紀末にいたるまで、さまざまな室内楽のレパートリーを、歴史的奏法をふまえた立派な解釈で聴かせてくれる...そのうえ、若者特有の?瑞々しく伸びやかな感性のあるがゆえ、いかなる音楽をも活き活きとしたものにしてしまうのですから、敵なしです。音楽大国オーストリアの伝統を「いま」に伝える、そんな彼が2作目のモーツァルト・アルバムで共演しているのは、ほかでもない、かのバドゥラ=スコダ御大! 2年前に日本発売となった1枚目のモーツァルト二重奏作品集では、御大やグルダとともに“ウィーンの三羽烏”と並び称された(もう半世紀も前の話ですが)巨匠イェルク・デームスのフォルテピアノとの共演でしたが、なんとも贅沢な話です。

PAN CLASSICS

PC10131
(国内盤・
カラーカタログ付)
\2940
ステッファーニ 17 世紀ドイツを席巻したイタリア人作曲家
〜カンタータ、二重唱、ソナタ...〜
 アゴスティーノ・ステッファーニ(1654〜1728)
  1. 二重唱「この魂を、喜んで鎖に繋がせよう」
  2. 歌劇「恋神は運命が差し向ける」(1709)〜
 ゼウスとヴィーナスの対話
  3. トリオ・ソナタ第4番変ロ長調(伝ステッファーニ)
  4. 二重唱「穏やかならず、この心」
  5. カンタータ「フィレーノ、わが想い人」
  6. ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調(作者不詳)
  7. カンタータ「最も幸福にして不運なる恋人」
  8. 二重唱「恋神の残酷さよ、わたしはもう死にそう」
今村泰典(テオルボ)&
Ens.フォンス・ムジケ(古楽器使用)
フランソワ・フェルナンデス(vn)
モニク・ザネッティ(S)
パスカル・ベルタン(T)
ヨーロッパを拠点に、ますます多角的な活躍を続けるリュート奏者・今村泰典が主宰するスーパープレイヤー集団フォンス・ムジケが、ありあまる実力を見せつける新盤はヘンデルにも多大な影響を与えたハノーファーの大巨匠、ステッファーニが主人公!
ヨーロッパの古楽界で、国を問わず、日本人の演奏家がかなり数多く活躍しているのをご存知でしょうか?輸入盤でもちょっとメンバー表を見てみると、思わぬ高確率で日本人に遭遇することになります。オランダやベルギーの古楽バンド、フランスやスイスの小編成アンサンブル…今でこそ、そうした状況は珍しくないわけですが、ソリストとしても並外れた腕前を誇るかたわら、コンチェルト・ケルン、ルーヴル宮音楽隊、レ・スタジョーネ、パルルマン・ド・ミュジーク…とヨーロッパ随一のアンサンブルで長年にわたり通奏低音奏者をつとめてきた今村泰典氏(リュート)は、楽器だけでは表現しえないバロックの魅力をアンサンブルで表現すべく、稀代の古楽歌手を含む編成でアンサンブル・フォンス・ムジケを結成。文献などでは重視されているのになかなか録音にめぐまれない「真のバロック大作曲家たち」の魅力をあざやかに伝える録音を続けています。
今回リリースされるのも、まさにそうした巨匠中の巨匠、ヘンデルの前任としてハノーファー宮廷の歌劇場をヨーロッパ随一の音楽メッカに仕立てあげたイタリア人、アゴスティーノ・ステッファーニのモノアルバム!
宮廷外交官ならびにカトリック教会の要人としても多忙な活躍をみせたこの作曲家、おそらくモンテヴェルディやカヴァッリの後、A.スカルラッティやボノンチーニらが後期バロックのオペラを世に問うまでの間で活躍した17世紀後半の歌劇作曲家としては最大級の人なのに、作品に当時の政治的アレゴリーが多く含まれているせいか、現在は日陰の存在に甘んじている作曲家…もちろん本分はそうしたオペラなのですが、その魅力そのままに、フォンス・ムジケはトリオ・ソナタ編成の立派な伴奏がつくカンタータを2曲、貴人たちの男女が歌い合わせる楽しみのために提供された室内二重唱を3曲、さらにオペラからの絶妙な抜粋まで含めて、ヘンデルも尊敬してやまなかったというその才覚を多角的に解き明かしてくれるのです。同時代の器楽合奏曲やカンタータの器楽部分では、なんと名手フランソワ・フェルナンデスが大活躍! 歌手ふたりの表現も実に多元的、「17世紀のテレマン」とでも呼びたくなるようなステッファーニの手際よさをありありと印象づける傑作盤です!

RAMEE

RAM0901
(国内盤)
\2940
レデスマ:ヴァイオリンとバスのためのソナタ集
 〜ボッケリーニやスカルラッティと同時代のスペイン音楽〜
フアン・デ・レデスマ(1713 頃〜1781):
 『ヴァイオリンとバスのためのソナタ集』(1760 頃)
 ①ソナタ 第1番 イ長調 ②ソナタ第2番 ヘ長調
 ③ソナタ第3番 ニ長調 ④ ソナタ 第4番変ホ長調
 ⑤ソナタ第5番イ長調
ブライ・ジュスト(バロック・ヴァイオリン)
エルザ・ホグラル(バロックチェロ)
ベルナルト・ゾンデルマン(バロックギター他)
なんて艶やか、なんて軽やか——バロック最晩期からロココへと移る頃、スペインで大流行していたヴァイオリン音楽は、まさに「タルティーニ + ボッケリーニ」!チェロ&ギターというボッケリーニ低音編成に乗せて、マヨルカ生まれの実力派が飛翔する。
ラ・プティット・バンドやリチェルカール・コンソートなどで幅広く活躍してきたバロック・ヴァイオリン奏者ライナー・アルントが録音から企画までを幅広くこなし、とにかく綺麗なデジパックで上品に仕上げてくる優等な古楽レーベルRAMEE から、ひさしぶりの新譜——クールなバロック・ヴァイオリンものが登場いたします!

RICERCAR

MRIC209
(国内盤)
\2940
パイプオルガンの昔日と現在
 〜中世、バロック、そして...
オリヴィエ・メシアン(1908〜92):
 1)『聖体降臨祭のミサ』より
  アントレ「炎の舌」&ソルティ「風と霊」
ファブリツィオ・カソル(1964〜):
 2) ヒーリング・ザ・ペイン(傷を癒すこと)
ディートリヒ・ブクステフーデ(1637〜1707):
 3) 第1 旋法によるマニフィカト
ベルナール・フォクルール(1953〜):
 4) トッカータ 〜ブクステフーデの様式による
作者不詳(ファエンツァ写本(14 世紀半ば)より):
 5) キリエ(主よ憐れみたまえ)
ニコラ・グリニー(1672〜1703):
 6)「キリエ」を、ターユ管を使って5声で
 7)5声のフーガに「キリエ」の旋律を使って
 8) グラン・ジューでディアローグを
フィリップ・ブースマンス(1936):
 9) ファンファーレII
ベルナール・フォクルール(オルガン)
現代ベルギー最高峰——新発見作品を含む『バッハ:オルガン精選作品集』の「レコ芸」特選でますます名をあげた名手フォクルール、その幅広い感性をいかんなく示す選曲絶妙のプログラム! 近代作品も中世楽曲も、つまみ食いOK な圧倒的名演です!
ヨーロッパに「オルガンの聖地」と呼びたくなる国は幾つかありますが、巨匠セザール・フランクを生んだ国ベルギーもまた、バロック楽器とロマンティック楽器のどちらにも銘器の少なからぬレヴェルの高い地域。その熾烈な競争のなか第一線で活躍する名手をひとり、といえば、今や誰もが間違いなくベルナール・フォクルールの名をあげることでしょう!
たくみな即興演奏のセンスを誇り、作曲家としての横顔も持ち合わせ、さらに1992 年から15 年にわたり王立モネ劇場の総監督もつとめるなど、その幅広い活躍ぶりには目を見張るものがありますが、何より彼は音楽学に通じた第一級のオルガニストなのであり(リチェルカール・コンソート結成時の鍵盤奏者はこのフォクルールでした)、ルネサンスから現代まで広範なレパートリーに等しく熱意をもって取り組める偉大な解釈者なのです。そんな彼が、ブリュッセルのアルス・ムジカ音楽祭の一環としてコンサート・プログラムを組み、ライヴ録音したこのアルバムは、その音楽性を多角的に裏づける完璧なプログラム内容となっています。
フォクルール曰く「古いレパートリーと現代作品を同じプログラムのなかで弾くと、互いをよりよく理解できるし、おのずと両者の輝きが増してくる」といいますが、ここでもブクステフーデと彼自身の作品が、あるいは(近年は舞踏芸術家アラン・プラテルとのコラボレーションでも知られる)カソルの新作とメシアンの古典的名曲が、さらには中世末期の有名な写本にある「キリエ」と多芸な作曲家ブースマンスの「ファンファーレ」が、フランス・バロックの巨星グリニー(フォクルールの弾くフランスもの、なんて貴重!!)…と、多種多様なレパートリー(曲の長さは3分程度から15 分前後までさまざま、ちょうどいい長さですね)がひとつひとつ、時代を越えた近似性と先進性・古典性を感じさせながら、きわめて新鮮な魅力を放って「いま」に息づきます。
演奏楽器は近年改装あいなったブリュッセル大聖堂の銘器——近現代作品での陽光ふりそそぐような美音から、バロック曲での敏捷さ、重低音の味わい深さ、作品美をきわだたせるその響きの妙も注目です!
MRIC279
(国内盤)
\2940
セルマ・イ・サラベルデ、音楽史初のファゴットの達人
 〜2,3,4声と通奏低音のための作品集〜
 修道士バルトロメー・デ・セルマ・イ・サラベルデ
  (1580 / 90 頃〜1638 以降)
 『2、3、4 声と通奏低音で演奏するための
 カンツォーナ、ファンタジア、コルレンテ集』
  (1638 年ヴェネツィア刊)より18 曲
  +カベソーン:鍵盤独奏のための
 「スザンナはある日」による変奏曲
 パレストリーナ:ハープ独奏による「丘は緑に」
Ens.シンタグマ・アミーチ エルザ・フランク(ボンバルディーノ、各種初期ファゴット)
ステファニー・ド・ファイー(ヴァイオリン)
シルヴィー・モケ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ジャン=マルク・エム(チェンバロ、室内オルガン)
アンジェリーク・モイヨン(バロック・ハープ)
「ファゴットは17 世紀末に発明」という説を大きく覆すのは、モンテヴェルディ晩期と同時代、ヴェネツィア楽派華やかなりし頃のスーパープレイヤーによる傑作曲集!フレスコバルディの曲集にも比すべき技巧系合奏曲、Ricercar の精鋭陣が鮮やかに料理!ファゴットという楽器は、比較的あとから出来た管楽器——現存最古のは17 世紀も後半のもの、それ以前にはドゥルツィアンという前身楽器があって、ややこしいことにイタリア語ではこの楽器も「ファゴット」と呼ばれるわけで。かくて前身楽器ドゥルツィアンにいつファゴット=バソンが取って代わったのかは謎なのですが、実はその「謎の17 世紀」にはっきり「ファゴット奏者」という肩書きで活躍していた一人のスペイン人名手がいたことだけは知られています。その名もバルトロメー・セルマ・イ・サラベルデ——1638 年にヴェネツィアで一冊の器楽合奏曲集を出版したこの音楽家については、スペインのマドリード出身で、父親がスペイン宮廷の楽団員だったこと、母方の祖父がドゥルツィアン製作に秀でた楽器職人だったこと以外、ほとんど何も知られていません。しかし1638 年の曲集、ほぼ同時代にローマで刊行されたフレスコバルディの『器楽のためのカンツォーナ集』と並ぶ、この時代の貴重なカンツォーナ集!この時期の先進的な作曲家たちが手がけていた初期バロックのソナタと音楽内容はかなり酷似していますが、曲構造はカンツォーナやファンタジアなど、ルネサンス期から知られている形式のもの。しかし諸々の超絶技巧を盛り込み、さまざまな楽器が折々に圧巻の超絶技巧を聴かせながら絡み合うさまは実にエキサイティング、歌心あふれる緩徐楽節でも、各楽器の音色がきれいに際立ち、古楽器の美しい響きをどこまでもじっくり堪能させてくれます。楽器製作にも秀で、ドゥルツィアンや初期ファゴットの超絶名手でもあるパパセルジオーが、本盤の主役! エルヴェ・ニケの『水上の音楽』プロジェクトでも大活躍した生粋の古楽人間ですが、今回は17 世紀音楽に秀でた他の名手たちとともに、メルセンヌの『普遍的調和』(1636)の記述から4鍵の初期ファゴットを復元。さらにテナーやソプラノの亜種ファゴットも使い、隆々闊達、さまざまな音色の面白さを堪能させてくれます。ハープやガンバも含め、音色の組み合わせの妙は全く興味が尽きません。
MRIC261
(2CD)
(国内盤)
\3885
ビアージョ・マリーニ(1594〜1663)
 ①第8カンツォーナ
 ②ヴァイオリンとコルネットのための第2ソナタ
 ③俗謡「お母さん、わたしを修道女にしないで(ラ・モニカ)」
 ④「ラ・モニカ」による3声のソナタ
 ⑤アリア「ラ・ソランツァ」
 ⑥2挺のヴァイオリンによる4声のためのカプリッチョ
 ⑦合奏によるエコーつきマドリガーレ「薄暗き洞窟」
 ⑧オルガンとコルネットのためのソナタ
 ⑨2本のコルネットとトロンボーンのためのソナタ「ラ・フォスカリーナ」
 ⑩オルガン独奏によるリガトゥーラとド〜初期バロック器楽ソナタの2巨頭〜ゥレッツァ
 ⑪4本のコルネットのための第1カンツォーナ
 ⑫4声のシンフォニア
 ⑬3声のミゼレーレダリオ・カステッロ(17 世紀初頭に活躍)
 ⑭弦楽器その他のための第16 ソナタ
 ⑮2声の上声のための第2ソナタ
 ⑯独唱モテット「神よ喜びたまえ」
 ⑰上声のための第2ソナタ⑱弦楽器群のための第15 ソナタ
 ⑲2挺のヴァイオリンに2本のコルネットのエコーつき第17 ソナタ
 ⑳2挺のヴァイオリンとトロンボーンのための第11ソナタ
 (21)2声の上声とファゴットのための第11 ソナタ
 (22)2声の上声のための第4ソナタ
 (23)2声の上声とトロンボーンのための第12ソナタ
ジャン・チュベリー(木管コルネット)
アンサンブル・ラ・フェニーチェ(古楽器使用)
エンリーコ・パリッツィ (vn) 濱田芳通、ドロン・デヴィッド・シャーウィン(木管コルネット)
クリスティーナ・プルハル(テオルボ、トリプルハープ)マティアス・シュペーター(テオルボ)
ジャン=マルク・エム(チェンバロ)マリア・クリスティーナ・キーア(S)ジョン・エルウィス(T)他
現代楽器プレイヤーが初期バロックに目を向けたからといって、本格派古楽プレイヤーたちの活躍の場が狭まるはずもなく——Ricercar の膨大な廃盤リストから貴重なトラックを再リリースする好評企画から、ブルース・ディッキーの後につづくヨーロッパ最大、いや世界最大の木管コルネット奏者ジャン・チュベリーのアンサンブルによる初期バロック作品集が登場! 今から10 年ほど前のセッションに集うたメンツときたら、現在は自らのアンサンブル「アントネッロ」の主宰者として活躍する濱田芳通、こちらも時期スーパープレイヤー層を支える天才奏者シャーウィンら錚々たるコルネット陣のほか、トロンボーン、絶品ヴァイオリン、さらに通奏低音には大ヴェテラン奏者マティアス・シュペーターや「ラルペッジャータ」のクリスティーナ・プルハル、ソリストとしても大活躍のJ-A.ベティヒャー(org)...と今では考えられない豪華布陣!演目は17 世紀初頭、モンテヴェルディやディンディアがマドリガーレでやっていたような「対比とストレートな感情表現」、つまりバロックそのものの語法を、はじめて楽器だけのアンサンブルで試みた2人の巨匠(ブレシアのマリーニと、ヴェネツィアのカステッロ)それぞれの傑作群にCD1枚ずつが割かれた豪華盤! 木管コルネット(トランペットの仲間と区別すべくこう書きましたが、ようは実際には象牙や木材で作られる、あの角型バロック楽器です)の切なげな高音は、スーパープレイヤーたちの名演で何の苦もなく軽やかに飛翔し、そこへトロンボーンが、ヴァイオリンが、超絶技巧で負けじと絡み合う、古楽器の音色が好きな人にはこたえられない贅沢な音響の交錯が聴かれます。時にはヴァイオリンが1挺2声ずつを奏でる4声ソナタなど、超絶技巧な聴きどころの連続!適宜挟まれる声楽作品では、C.M.キーアら豪華歌手陣も大活躍。初期バロックの旨味ぎっしりの2枚組です!

SAPHIR

LVC1084
(国内盤)
\2940
バロックへの帰郷 〜現代ヴァイオリンと、バロックの技巧
ダリオ・カステッロ(17 世紀初頭に活躍)
「当世流コンチェルタンテ様式のソナタ集」(1629)より
  ①第3ソナタ ②第12ソナタ
 アルカンジェッロ・コレッリ(1653〜1713)
  トリオ・ソナタ集作品3より
   ③トリオ・ソナタ op.3-8 ④トリオ・ソナタ op.3-9
 ジャン=マリー・ルクレール(1697〜1764)
  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集作品3より
   ⑤ソナタ op.3-5 ⑥ソナタ op.3-6
 マラン・マレ(1656〜1728)
  ⑦聖ジュヌヴィエーヴ=デュ=モン教会の鐘
 ビアージョ・マリーニ(1594〜1663)
  ⑧「ラ・モニカ」の旋律によるソナタ
 ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリ(生歿年不詳)
  ⑨チャコーナ(シャコンヌ)
 アントニオ・ヴィヴァルディ(1678〜1741)
  ⑩トリオ・ソナタ作品1−12「ラ・フォリア」
ジェラール・プーレ(ヴァイオリン)
オリヴィア&ヴィヴィアン・ステンドレール(バロック&現代ヴァイオリン)
イザベル・デュモン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ステーファノ・イントリエリ(チェンバロ)
フランス楽派の弦楽奏法に「一家言あり」の名匠プーレが、今だからこそ挑んだ注目企画!自らは古楽奏法を取り入れた現代ヴァイオリンを弾き、ガット弦奏者と戦い、対話し、えもいわれぬ音楽体験を導き出す——これぞ、21世紀ならではの絶品バロック解釈!!京都フランス音楽アカデミーをはじめ、日本でも教鞭をとり門下生が多いことと関係があるのでしょうか、あるいは度重なる来日公演で、その香気ただようフランス派特有の演奏が、ひろく知れ渡っているためでしょうか——フランスの名手ジェラール・プーレは、昨今ますます日本での知名度と人気が高まっているようです。古典から近代まで幅広いレパートリーをあざやかに弾きこなし、独特の境地で聴き手を魅了してやまないこの名匠が、このたび全くの新境地を切り開きました——バロック音楽、それも初期バロックも視野に入れてのヴァイオリン作品集です!
LVC1105
(国内盤)
\2940
アンドレ・カプレ(1878〜1925):
 『イエスの鏡』〜
  独唱、女声合唱、弦楽合奏とハープのための
ニコール・コルティ指揮
ブリテン合唱団
ノートルダム・ド・パリ少年聖歌隊員
ベアトリス・ゴセ(S)
アンニク・ルーシン、
クレール・ラパン(vn)
ピエール=アンリ・クスエレプ(va)
ジェローム・ペルノー(vc)
ベルナール・カゾラン(cb)
ファブリス・ピエール(hrp)
さりげなく豪華な器楽陣、そして完膚なきまでに清廉な女性合唱、少年ソリスト...カトリックの神秘な祈りがあまりにもぴたりとくる、南仏ペリゴールでの絶美演奏。デュリュフレの「レクィエム」と並ぶ20 世紀フランス最大の傑作、カプレ晩年の代表作!アンドレ・カプレ! フランス近代音楽を愛する人なら誰しも夢中になるこの名前、ご存知でしょうか? ドビュッシーの秘書をつとめながら、ドイツではニキシュやモットルら巨匠指揮者たちに師事して指揮者としても活躍、ボストンや英国でもフランス内外の近代音楽の指揮・紹介につとめ、早くからシェーンベルク作品の熱心な支持者でもあった...そんなカプレは作曲家としても貴台の腕前を誇り、1901 年にはラヴェルやデュポン(LVC1097)を押さえてローマ大賞の優勝者となったほか、数々の見るべき重要作品を残してきました。音盤シーンでは「出れば売れる!」といった印象のある、フランス近代愛好者の眼の色を変えさせるキィパーソンの一人でもありましょう (ありますよね、そういうワード…「プレイエル・ピアノ」とか「ゴールトベルク変奏曲の編曲版」とか「未発表音源」とか)。カプレの作風は、やや穏健な象徴主義サロン的とでもいうような初期から徐々に個性的になって、晩期は実に独創的になってくるわけですが、とりわけ注目すべきは、ショーソンやドビュッシーの使ったような、弦楽器プラスアルファの異色室内楽編成のきわだった扱い方…そしてそうした巧みな楽器法が、後期印象派的というか象徴主義的というか、な作風とみごと手をとりあった傑作が、この「イエスの鏡」という、知る人ぞ知る晩期の傑作なのです!聖母マリアの「五つの喜び」と「五つの悲しみ」と「五つの栄光」、計15 のエピソードにまつわる「ロザリオの祈り」をテーマに書かれたこの作品、グレゴリオ聖歌から中世対位法、近現代までのさまざまな声楽語法にたけたフランス近代シーンの作品らしく、透明感あふれる神秘的な合唱や、不思議な感覚で各声部がたゆたう弦の重なりなど、冒頭からただちに聴き手を魅了せずにはおかない美にあふれています。かつてMarco Polo レーベルから弦楽合奏版で出た録音はNaxos に移行後どうやら廃盤らしく、今後しばらくはこれが唯一入手できる音源となりそう——しかし嬉しいことに、それはフランスが誇る少数精鋭女声集団、ブリテン合唱団による絶美の名演なのです! 美声はノンビブラートで霊妙に重なりあい、そこへ絡む弦楽器はひとり1パートの室内楽編成、よくよく見れば大・大・ヴェテランの室内楽奏者クスエレプだの、ソリストとしても活躍の幅が広い(マルク・ミンコフスキの共演者)ペルノーだの、フランス音楽ファンがいろいろなところで出会う稀代の名手が伴奏陣営を固めているのも嬉しいところ!
LVC1002
(国内盤)
\2940
サティの音楽は、ファゴットに愛される
 〜「ジムノペディ」「スポーツと気晴らし」およびその他の編曲集〜
エリック・サティ(1866〜1925)
 1. 三つのジムノペディ
 2. グノシェンヌ集(全6曲)
 3. 六つの冷たい小品
 4. スポーツと気晴らし*
 * 語り:フィリップ・メイエール
エミール・ナウモフ(ピアノ)
キャサリン・マーキーズ(ファゴット)
本国フランスの批評誌もびっくり——あまりにしっくりハマる、のびやかでトボケたその響き。生粋のパリっ子レーベルSaphirが唯一リリースするサティのCDは、なんと「ファゴット版」!そもそもピアニストは「ピアノでレクイエム」のナウモフ大先生。どうりで絶妙なわけです...ジャケットに堂々と踊る、金色の四つ星ステッカーをご覧ください——かつてフランスの全国紙「ル・モンド」が立ち上げ、今では本紙から離れ「ディアパゾン」と並ぶクラシック批評誌となった「ル・モンド・ド・ラ・ミュジーク」誌のレビューで高得点だったアルバムにのみ貼付される、あのステッカーです。しかしこれ、なんとジャケットに直接印刷されている。つまり、レビュー高評価以降も売れに売れて、初版分が無くなった後も再プレスが続き、雑誌社から手配したステッカーが追いつかず、もういっそ、とジャケットに直接刷ってしまった…という経緯がそこに現れている。そうお考えいただければ、このアルバムがフランスでどれほど支持されてきたかも推して知れようというもので。Saphirレーベル初期のリリースでありながら(もちろん、供給安定以降の国内盤リリースはこれが最初)、いまだに売れ筋というこの1作は、同レーベル唯一の単体サティ盤でもあるわけですが、フランス生粋、パリ生粋というほどフランス音楽に造詣の深いSaphirのプロデューサーは、これがドイツ式ファゴットによる演奏であるにもかかわらず「まったく驚異的」であり「聴き手はただちに征服されてしまう」と絶賛を惜しみません——そう、このアルバムの演奏は、サティのとくに有名な「ジムノペディ」や「グノシェンヌ」などの4傑作を、あろうことか、ファゴットとピアノの二重奏に編曲して演奏してしまっているのです! そしてそれがまた、驚くほどしっくりくる...フランスのバソンの高雅さも捨てがたいところですが、ここはあえてファゴットのトボケた歌いまわしがハマる瞬間が多いようで。冒頭の「ジムノペディ」からして、中低音の温もりある響きで奏でられるメロディラインの圧勝ぶりはただちに明らかに(これをバソンの高音域で吹いたら、サティというより、高雅すぎてフォーレになってしまうでしょう…この種の「抜け具合」「自在な遊び心」が、後半になるほど際立ってきます)。演奏者はミラン・トゥルコヴィチの門下生で、パリ音楽院と並ぶ名門、パリのエコール・ノルマル音楽院でも学んだ「パリのアメリカ人」、マーキーズ(ヨミ確認中)。フランスのエスプリをみごと踏まえた歌い口をサポートするのが、あのパリ音楽院の名教師、「フォーレのレクイエムをピアノ独奏で」のエミール・ナウモフなのですから、なるほど、しっくりくるわけです。
LVC1065
(国内盤)
\2940
ラヴェル:室内楽作品集 《LVC1044 再編成盤》
モーリス・ラヴェル(1875〜1937)
 1. ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
 2. ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
 3. ツィガーヌ〜ヴァイオリンとピアノのための
 4. ピアノ三重奏曲
ジャン=クロード・ペヌティエ(p)
レジス・パスキエ(vn)ローラン・ピドゥー(vc)
※演奏内容は LVC1044 と同一です。『レコード芸術』特選に輝きながらも、制作元プレス切れ→再プレス未定...の傑作盤からピアノ三重奏編成で演奏できる最重要曲目だけを選び出した、買いやすい「1枚もの」。再編成盤ですが、内容はお墨付きの素晴しさ——フランス人による絶品フランスもの!昨年のSaphir レーベル弊社取扱スタート時、まっさきに発売セレクションに含めた既発売盤のひとつに、日本でもおなじみのパスキエ=ピドゥー=ペヌティエ3人組をはじめ、パトリック・ガロワ(fl)やフローラン・エオー(cl)、マリエル・ノルドマン(hrp)...といったフランス最高峰の名手ばかりを集めて録音された極上ラヴェル室内楽アルバムがありました。ごく一部の曲をのぞいてラヴェルの室内楽作品(および、室内楽伴奏つきの歌曲)の大半を収録した、しかも演奏家が演奏家だけに飛びぬけて素晴しい演奏内容を誇る充実の2枚組、当然のように『朝日新聞』の試聴室推薦、『レコード芸術』の特選…と輝かしい評価を賜り、あっというまにSaphir レーベル随一の快調売れ筋アイテムになってしまいました。しかし日本での好評が予想外のタイミングで入ったこともあり(なにしろ、フランスで発売されたのは4年も前です)、定盤の地位を獲得しつつあった昨今になって現行プレス切れ。諸般の事情でプレス再開はかなり先送りになるようです…。非常に残念ではありますが、捨てる神あれば拾う神あり。そのトラックから、パスキエ=ピドゥー=ペヌティエ・トリオの編成だけで演奏していた四つの作品(上にみるとおり、ラヴェル室内楽の最重要作品4曲といって間違いないでしょう)を選び出した再編成盤が制作されておりました。2006 年頃のカタログつきアイテムとしてリリースされた本盤、なにしろ選ばれたのがそういった“肝心な曲”ばかりということもあり、いつになるかわからぬ2枚組盤(品番LVC1044)の再プレスを待つあいだ、立派に売り場で代役を果たしてくれることでしょう (1枚ものということもあって、買いやすくなったとも言えますね)。新古典主義から新様式までラヴェル語法の宝庫たる「ピアノ三重奏曲」を大トリに、パスキエのにおいたつような弦音が陶酔をさそう「ツィガーヌ」と構成感満点のソナタ、そして「ラヴェルの最高傑作」との呼び声も高い弦楽二重奏ソナタ…パリ音楽院が世界に誇る、現代フランス最高の面子だからこそできる境地を、この「芸術の秋」にじっくり聴き極めたいものです。いま一度、ご注目を!

TRANSART

TRM150
(国内盤)
\2940
ショパン:24 の前奏曲 +二つのポロネーズ、前奏曲op.45
 1. 24 の前奏曲作品 28(全曲)
 2. 二つのポロネーズ作品 26(第1&2番)
 3. 前奏曲第 25 番作品 45
ロール・ファヴル=カーン (ピアノ)
ネマーニャ・ラドロヴィチとのデュオ来日ツアー以来、じわじわ人気再燃中のところ久々に、ショパンのところへ戻ってきてくれました。
美麗ジャケットも鮮烈に、演奏はさらに自在に、才気煥発!
完璧なコントロールとエスプリ、瞠目・絶品のショパン。ロール・ファヴル=カーン!競争激しきフランスのピアノ世界でめきめき頭角を現し、ほとんど来日もしていないのに日本のピアノ・ファンからも絶大な支持を受け、まさに自由自在のテクニックで、鮮やかな感性で、多くの人を魅了しつづける美しき才人——チャイコフスキーの協奏曲やラフマニノフのソナタのようなメジャー感漂う傑作を圧倒的な香気で演奏するかたわら、19世紀のガッチョークや20世紀のレナルド・アーンのような知名度の低いレパートリーにも適性をみせ、みごとなヴィルトゥオジティと絶妙のエスプリでその魅力を印象づけてみせる、そこに通底しているのは、完璧に磨き抜かれた技巧と、おのずから他者と異なる独特かつ魅惑的な音楽性...メジャー各社の推す巨星たちに何ら劣らぬ技量を持ち合わせながら、ある意味「知る人ぞ知る」的な立ち居地をキープして独特の存在感を放っているこの名手が、2004年リリース以来ずっとレギュラー売れ筋の座を譲らない「ワルツ集」(TRM123)に続く、待望のショパン作品集を世に問います! それも、あの「前奏曲集」全曲という纏まったレパートリーというから嬉しいではありませんか!わくわくするようなハ長調の歌い出しから匂い立つような香気が漂い、その後も才気迸る演奏時間30 秒の嬰ハ短調、繊細なロマン情緒で刻一刻と表情移ろう嬰ニ長調...と「小さきもの」への愛にあふれた濃密な音響空間が紡がれてゆく、1曲ごと聴いたなら、スピリッツか強烈ミントキャンディか、といった一瞬で痛快な気分転換だったり(プチプチ音の弾ける第3曲ト長調とか…)、いきなり1音1音のニュアンスに引きずり込まれてしまったり。全曲通して聴いたなら、最後にはその魔術のようなピアニズムにすっかり陶酔してしまうに違いありません!なにしろロール・ファヴル=カーン、折々に「?!」と思わすそのアプローチは、例によって?曲の通念を壊さない範囲でそこから少—しだけ角度を変えた解釈といいますか、何だか釣り込まれずにはいられない魅力がたっぷりなんです。で、24曲で壮大な音響体験をするのも良いですが、末尾には単独で出版された「第25番」と、あの長大なポロネーズが2曲も収録されているのがまた嬉しいポイント。単独曲の壮大さと静かな呼吸感で、この名手の曲作りを別の角度からじっくり愉しめます。侮れません——否、必聴のショパン解釈です!
TRM166
(国内盤)
\2940
モーツァルト(1756〜91):
 1.ピアノ協奏曲第 18 番変ロ長調 Kv.456
  カデンツァ:モーツァルト
 2.ピアノ協奏曲第 22 番変ホ長調 Kv.482
  カデンツァ:バドゥラ=スコダ(2008)
 3. ピアノ協奏曲第22 番の終楽章(別演奏)
パウル・バドゥラ=スコダ(ピアノ)
巨匠、ますます深まりゆく——昨年、バドゥラ=スコダ 81 歳にして録音された「あえて現代楽器で」のモーツァルト協奏曲シリーズ、最新巻が登場!プラハ室内管も精妙・才気煥発。今回は、ボーナストラックで別演奏も収録した豪勢企画“ウィーンの三羽烏”というのは若い頃の異名、その“若い頃”とは、もう実に半世紀以上前のこと——巨匠バドゥラ=スコダ、今年で齢82 となるこの名匠は録音熱は桁外れ!できるうちに、少しでもモーツァルトの演奏を録音しておこう、後世人に示せるものはすべて出し尽くそう、という気迫さえ伝わってきます。何しろこのTransart レーベルでの協奏曲連続録音も含め、近年の録音では、ほぼ全面的に自分で長大なライナーノートを執筆しているほどなのですから!



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