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第49号お奨め国内盤新譜(1)



AEON

MAECD0978
(国内盤)
\2940
シューマン:
 1. ピアノ五重奏曲変ホ長調作品 44
 2. ピアノ四重奏曲変ホ長調作品 47
シューマン四重奏団
クリスティアン・ファヴル(p)
テディ・パパヴラミ(vn)
クリストフ・シラー(va)
フランソワ・ギィ(vc)
+ ギューラ・ストゥレル(第2vn)
鬼才テディ・パパヴラミがヴァイオリンを弾いているのに代表されるとおり、ソリストだらけのアンサンブル——フォーレとショーソンの四重奏曲集もめでたく『レコード芸術』準特選を戴きましたが、今回ようやく、2009 年の最新新譜で「その名どおり」のシューマン・アルバムをリリースしてくれました。曲目はもちろん、長年の宿願かなってクララとめでたく結婚したシューマンが、ピアノ作品以外の音楽にはじめて向かうようになってすぐ訪れた「室内楽の年」たる1842 年の2作、ピアノ四重奏曲とピアノ五重奏曲。

ALPHA

Alpha153
(国内盤)
\2940
ホセフ・ルイス・サマニエーゴ(1653〜70 頃活躍):
 ①降誕祭のハカラ「ようはサラダでございます」
 ②エル・ピラルの聖母に捧ぐビヤンシーコ「風の妖女」
 ③楽師たちのトッカータ
 ④降誕祭のビヤンシーコ「ベツレヘムは燃えているか」
 ⑤サクラメントのビヤンシーコ「やさしき糧、神のパン」
 ⑥エル・ピラルの聖母に捧ぐビヤンシーコ
  「大気は金で身を輝かせ」
 ⑦待降節に捧ぐビヤンシーコ
  「愛に浴せば、愛に恵まれる」
 ⑧エル・ピラルの聖母に捧ぐビヤンシーコ
  「よく通る声が大気に響きわたる」
 ⑨アッシジの聖フランチェスコに捧ぐビヤンシーコ
   「もう無理です、溺れてしまう」
 ⑩待降節に捧ぐビヤンシーコ「めでたし、海の星」
ルイス・アントニオ・ゴンザレス(cmb)指揮
アンサンブル「閣下の楽師たち」(古楽器使用)
(ロス・ムシコス・デ・ス・アルテーサ)
これぞ「スペイン・バロックのクリスマス」!
古楽器ならではのエキサイティングな響き満載!民衆的な雰囲気たっぷり、しかも演奏はさりげなく超一流(だってAlpha ですもの!)二重合唱、バロック金管、たおやかなガット弦、セクシーな歌声...寒さもふっとびます!
ヨーロッパ屈指の古楽レーベルAlpha が、今年のクリスマスにはスペインのアツい音楽をもってきてくれました——ヴィヴィッド&エキサイティング、たおやかな歌心と民衆的な勢いの稀有なる交錯、一味違うクリスマスの盛り上がり方がここに詰まっています!
演目の中心は、ビヤンシーコと呼ばれるスペイン・バロックの音楽——教会音楽が基本的にラテン語の祈祷文を歌詞にしていた当時、スペイン民衆のことば(つまりスペイン語)で、民衆が喜びそうなユーモアたっぷりの歌詞を使って書かれた「大衆向け教会音楽」といったところ。スペインではその後もビヤンシーコ=クリスマス音楽、というノリで生き残り続けましたが、実際に待降節(クリスマスのお祭りに向けて準備をする時期)の特定の祝日など、クリスマス前後の祭日のために書かれたビヤンシーコもたくさんあるのです。本盤の演奏は、ここ10年ほど新たな古楽のメッカとなりつつあるスペインで旺盛に活躍する気鋭奏者たちの集う「ロス・ムシコス・デ・ス・アルテーサ(閣下の楽師たち)」なるアンサンブル。ちょっとかけただけで、古楽にうるさいAlpha のお目がねにかなうだけのことはある!と唸らずにはおれないヴィヴィッドな演奏——
トロンボーン(サックバット)は鳴りまくり、バロックギターやバロックハープなど撥弦音が鮮烈なスペイン情緒をかもし、セクシーな歌声がガット弦とあざやかな交錯を聴かせる…作曲者は17 世紀アラゴン地方(スペイン統一のさいカスティーリャ王家と縁戚をむすんだ由緒ある王家のある地域で、音楽の要所でもありました)で活躍した知られざる名匠、ホセ・ルイス・サマニエゴ——この人のことは殆ど知られていないらしいのですが、曲がいいのか演奏がとびきりなせいか、とにかくノレます、伝わってきます。寒さもふっとぶ、本場のアツいスペイン古楽!!
Alpha151
(国内盤)
\2940
ミシェル・コレット(1707〜95):
 1. コミック協奏曲第5番「女はなんて厄介」
 2. コミック協奏曲第24番「ユロン族の行進」
マラン・マレ(1656〜1728):
 3. ソナタ「パリ、聖ジュヌヴィエーヴ=デュ=モン教会の鐘」
ピエール・ド・ラ・ギャルド(1717〜92 頃):
 4. カンタータ「ソナタとは?」
フィリップ・クルボワ(1705〜30 頃活躍):
 5. カンタータ「ドン・キホーテ」
ニコラ・ラコ・ド・グランヴァル(1676〜1753):
 6. カンタータ「エフェソスの未亡人」
カフェ・ツィマーマン(古楽器使用)
ドミニク・ヴィス(カウンターテナー)
ちょっと...なんですか、この豪華な顔合わせは!! あ・の・鬼才歌手ヴィスが、「バッハ:さまざまな楽器による協奏曲」シリーズのカフェ・ツィマーマンとまさかのコラボレーション!
ユニークきわまる演目を、たっぷり面白く、鮮烈明快に…!いやいや、確かにフランス古楽といえばAlpha…ですが、今回の新譜はいきなり豪華どころの騒ぎではありません! フランス古楽シーンで「バロック以前」というジャンルを誰よりも盛り上げた、あのアンサンブル・クレマン・ジャヌカンのスーパー歌手、ドミニク・ヴィス御大が! Alpha きっての名団体、バッハ協奏曲シリーズが止まらぬ人気を博している、あのカフェ・ツィマーマンと! とんでもなく面白いプログラムで共演してしまったんです!
録音技師もユーグ・デショー&アリーヌ・ブロンディオの黄金タッグ…なんてマニアックな情報はさておき、お題は「コミック・カンタータとコミック協奏曲」。時代は18 世紀、ルイ14 世亡きあとのバロック末期、というかロココ前夜のフランス——なにしろ太平天国の時代ですから、上流階級はどんどん楽しいことを求め、きまじめな芸術のそばで、オペラのパロディやユーモアたっぷりの音楽もずいぶん書かれました。
このジャンルでとりわけ有名なのが、20 曲以上の「コミック協奏曲」なる珍ジャンルを残したミシェル・コレット。フランス民謡をベースにバロック晩期の語法を駆使してアレンジされたそれらの音楽は、くつろぎとウィットが気持ちよく交錯する絶品サウンドの名曲ばかり!
さらにマレの名曲「鐘」でカフェ・ツィマーマンのソリストたちの技量をたっぷり堪能するもよし…しかし本盤の白眉は、3曲も収録されている、ドミニク・ヴィスの当意即妙・変幻自在のパフォーマンスが冴えまくるカンタータ!! このジャンル全盛の18 世紀初頭から、珍しい世紀中葉の作例まで、抱腹絶倒必至の歌詞はユーモアたっぷり(今回、ばっちり対訳がつきます!!)、極上演奏でガット弦が交錯するなか、ヴィスは地声の低音から女性のカリカチュアまで、カウンターテナーならでは(否、「ヴィスならでは」!)の多芸ぶりを鮮烈に印象づけてくれます。
日本に数多のヴィス・ファン注目必至!ちなみに、このタッグでの来日公演もひそかに計画進行中…カフェ・ツィマーマンの多芸ぶりも、これで一躍知れ渡るのでは?
Alpha152
(国内盤)
\2940
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750):
 オルガン独奏のための六つのトリオ・ソナタ
  1. ソナタ第1番変ホ長調 BWV525
  2. ソナタ第2番ハ短調 BWV526
  3. ソナタ第3番イ短調 BWV527
  4. ソナタ第4番ホ短調 BWV528
  5. ソナタ第5番ハ長調 BWV529
  6. ソナタ第6番ト長調 BWV530
バンジャマン・アラール (オルガン)
秀逸古楽レーベルAlpha から出てくるバッハ盤には、常に発見と感動がある——フランスを中心に、ここ最近のヨーロッパ古楽界を揺るがし続ける異才鍵盤奏者、アラールがついにAlpha に登場!
堂々たるバッハ解釈は、オールド・ファンにも響くはず!2001 年の日本上陸以来、年を追うごとにリピーターを増やしているフランスきってのインディペンデント・レーベルAlpha——エリック・ル・サージュのシューマン全集をはじめ、近年では現代楽器による傑作盤もずいぶん増えてまいりましたが、実に頼もしいのは、当初の核であった「古楽」を決してなおざりにせず、相変わらず飛びぬけたクオリティの新譜をリリースしつづけてくれているところ。
カフェ・ツィマーマンによる協奏曲シリーズ(Alpha013・048・071・137)や異才エレーヌ・シュミットの無伴奏ヴァイオリン曲集(Alpha082・090)をはじめ、バッハものはどれをとってもハズレなし、幅広い層にアピールする傑作盤をリリースしてきました。今年初頭にも、ブリュノ・コクセが各種バロック・チェロを使い分けてみごとなソナタ集を送り出したのが記憶に新しいところ(Alpha139)。
そんな折、さらなる冒険を味あわせてくれる充実の新譜がここに登場いたします! しかも、古楽シーンに敏感なユーザー様なら「おお!」と唸らざるを得ない人選——2004 年ブリュージュ古楽コンクールで圧巻の優勝をさらって以来、ヨーロッパ古楽界の熾烈な競争に打ち勝ちながら知名度をあげている名手、バンジャマン・アラールのAlpha デビュー盤でもあるのです!
名匠J-C.ツェンダーやアンドレア・マルコン(!)に師事、さらにエリザベート・ジョワイエの薫陶も受け…ってオイ何歳だよ、って話ですが、あらためて生年を調べたら、なんと1985 年生まれというじゃないですか!しかし本盤での演奏はまさに風格たっぷり、とてもそんな若さとは信じられないくらい——テンポをゆったりめにとった解釈には、ヴァルヒャやシュヴァイツァーにも通じる風格と、飾らない自然さからくる瑞々しさが不思議な同居をみせ、ちょっと他に類をみない充実した鑑賞体験をもたらしてくれます。
録音に使われたのは、パリのセーヌ川に浮かぶサン=ルイ島の名所、サン=ルイ教会にある(なぜか)ドイツ・バロック式のオルガン。ジルバーマンとヒルデブラント、ドイツ2大名工の特徴を再現した楽器です(バッハ演奏には最適といえましょう)。古色蒼然としたパイプの振動は実に味わい深く、じんわり響く足鍵盤の音色に支えられながら、神秘的かつ天上的な上声のからみあいをゆったりと聴かせるアラールの腕前に、ただひたすらその響きに身をまかせたくなること必至——的確なストップ選択によって、バッハがこれらの作品に込めた仕掛け(オルガンの手鍵盤2段をそれぞれ1パートずつのソリストに、足鍵盤を低音伴奏に見立て、ひとりでトリオ・ソナタを弾いてしまうというもの)を鮮やかに伝える手腕は、まさに古楽解釈に長けた才人ならではのセンス!
こういうオルガンなら、いつまでも聴いていたいものです

ARCANA

Mer-A331
(国内盤)
\2940
アレッサンドロ・ストラデッラ(1639〜82):
 1. カンタータ「全ての唇に笑みがこぼれ」
  〜独唱3声、2挺のヴァイオリンと通奏低音のための
 2. カンタータ「ああ!なんたる真実」
  〜独唱5声と合奏協奏曲編成のための
ラヴィニア・ベルトッティ(S)
エマヌエラ・ガッリ(S)
カルロ・レポーレ(B)他
マラ・ガラッシ(ハープ)
グイード・モリーニ(cmb)
エンリーコ・ガッティ(バロッククvn&指揮)
ミラノ市立音楽院バロック・オーケストラ(古楽器使用)
秀逸古楽レーベルArcana といえば、エンリーコ・ガッティ——旧盤含め、続々登場します!
まずはストラデッラの大作2曲。コレッリやA.スカルラッティと並ぶ、17 世紀後半のイタリア・バロック代表格...その真価をいかんなく示す、えもいわれぬ美しき解釈に酔う!
Erato の古楽セクション、Valois、Astree...数々のレーベルで古楽シーンを盛り上げ、ひとつの時代を作ってきた伝説的プロデューサー、故ミシェル・ベルンステンが最後に立ちあげたArcana レーベルからは、パウル・バドゥラ=スコダやフェシュテティーチ四重奏団などの巨星ヴェテラン勢が名盤を連発しているほか、リナルド・アレサンドリーニやグナール・レツボールら、今やシーン最前線で「次世代巨匠」として大活躍しているスーパー古楽プレイヤーたちが続々巣立ってきました。巨匠バロック・ヴァイオリン奏者エンリーコ・ガッティもそうした「Arcana で大化けしたスター」のひとり。
本年ようやく来日するアンサンブル415 で、主宰者キアラ・バンキーニの影にひそんでいた「隠れ名手」にすぎなかったこの人が、ひとりのとんでもなく個性的なアーティストだったことを世界が知るにいたった背景には、このレーベルでの飛びぬけた名盤群の存在がきわめて大きな役割を果たしたのでした。
ベルンステン亡き後、しばらく入手不可だった廃盤アイテムも、どうやらようやく復活してくる様子——そんな「Arcana にガッティあり」を印象づけてくれる幸先のよいリリース第一弾が、この痛烈に美しいストラデッラ盤というわけです!
イタリア中西部の名門に生まれたストラデッラは、コレッリが来る前のローマで、貴族たちを相手に、最新流行をふまえた秀逸なカンタータを次々と作曲して名声を馳せたのですが、とある貴族に恋敵と睨まれてしまい、一転、暗殺者に追われる日々へ…ヴェネツィアをへてジェノヴァまで逃げのびたものの、最後には齢42にして謎の死を遂げることに。しかしその音楽は誰もが陶然となるほど美しく、後世人たちも延々その楽譜を求め続けたほどでした(彼を追っていた暗殺者が、彼の音楽のあまりの素晴しさに、仕事を忘れて彼を逃がしてやった…という伝説がまことしやかに語られているくらいです。ちなみにこの話、あのベルリオーズの回想録にも出てきます)。
クリスマス向けの華やかで喜ばしいカンタータ2編を集めた本盤は、バロック・ファンのみならず全音楽ファンを魅了してやまない清らか&コントラスト豊かな音楽美がたっぷり——前半の小規模編成曲もいいのですが、「ああ!なんたる真実」ではコレッリに先駆け、大編成の合奏とソロ楽器群が交錯する合奏協奏曲スタイルを伴奏にとる豪華さ!
ガッティ率いる本場イタリアの気鋭陣も冴えまくり、バロック・ハープの清らかな美音が活躍する局面など、聴きどころも満載!古楽器の喜び、癒しと興奮がたっぷり詰まった、Arcana ならではの絶品バロック盤です!
Mer-A328
(国内盤)
\2940
ヨハン・ヨーゼフ・フィルスマイア(1660?〜1722):
 『技巧的なる調べ 宮廷風』
  〜無伴奏ヴァイオリンのための
 六つのパルティータ(1715 年ザルツブルク刊)
グナール・レツボール(バロック・ヴァイオリン)
演奏も飛びぬけている、見つけてくる楽譜も飛びぬけている——だから古楽奏者は面白い!
音楽大国オーストリアの天才・レツボールが世に問う、バッハ直前の「無伴奏」は技巧的な注目度もさることながら、聴き手を魅了してやまない「うた」が満載の絶品曲集!
秀逸古楽レーベルArcanaで、巨匠バドゥラ=スコダやフェシュテティーチ四重奏団などの大御所と並び、中欧古楽界をしょって立つ名匠として大活躍している異才バロック・ヴァイオリン奏者グナール・レツボールの名盤群が、ぞくぞく再プレスされてまいります…!
古くはハプスブルク皇帝に仕えたフランドル楽派の巨匠たちをはじめ、17 世紀にはシュメルツァーやビーバー、18 世紀にはウィーン古典派…と折々にヨーロッパを代表する音楽家を育ててきたオーストリアには、さまざまな角度でアプローチ可能な古楽遺産がたっぷり眠っているわけですが、その掘り起こしを自ら意欲的に行い、知られざる名曲の数々を痛烈なインパクトある演奏でじかに世に広めてきた天才が、このグナール・レツボールという人。
とにかく見つけてくる楽譜がいちいち面白いのですが、ここに堂々・日本盤初リリースとしてお目見えするのは、なんと1715 年、あのバッハの名品に先駆けること僅か数年前、という微妙な時期に、ザルツブルクで出版されていた「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ集」!! 17 世紀にザルツブルクの宮廷楽師としてドイツ語圏にあまねく名をはせたビーバーに学んだらしい、というくらいしか知られていない謎の作曲家、フィルスマイアという人の作でございます。
その内容たるや、通常の調弦からいくつかの弦の音を変えてゆく「スコルダトゥーラ」という技法(ビーバーをはじめ、オーストリアのヴァイオリン芸術家にはおなじみの手法ですね)をみごとに使いながら、ヴァイオリンという楽器の性能をフル活用し、いっさい伴奏がないにもかかわらず、単体でみごと一人二役(メロディ&伴奏)をつとめたり、高音域から低音域まで幅広い音色の妙を使い分けてみせたり、絶妙の音程間隔による重音奏法で聴き手をはっとさせたり…と、まさにバッハの「無伴奏パルティータ」の先駆ともいうべき注目の瞬間がたっぷり!
どんな困難なパッセージもみごと征服してしまうレツボールの超絶技巧なくしては、その存在意義もまず伝わらなかったことでしょう。微妙にニュアンスを変えながら、あるいは決然と、あるいはしなやかに、ガット弦のたおやかな響きの妙を十全に味あわせてくれる…注目度120%の古楽盤です!
Mer-A350
(国内盤)
\2940
モーツァルト:ピアノ四重奏曲(全2曲)
 1. ピアノ四重奏曲第1番ト短調 KV478
 2. ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調 KV493
パウル・バドゥラ=スコダ(fp/
ウィーンのシャンツ工房1790 年頃製作のオリジナル)
フェシュテティーチ四重奏団員(古楽器使用)
ハイドン・イヤーのこの秋に話題!な、とんでもない巨匠&実力派集団の顔合わせ!
鮮烈をきわめる老巨匠バドゥラ=スコダの勢いと、あざやかなフォルテピアノさばきが老舗集団フェシュテティーチSQの名演とからみあう。これぞ、作曲家の望んだ響き!!フランス随一の経験豊かなプロデューサーが仕掛けてきた秀逸古楽レーベルArcana といえば、あの古楽器カルテットのパイオニアたるフェシュテティーチ四重奏団が大活躍、絶好調で日本版発売が進行中のハイドン弦楽四重奏曲全集をリリースしているレーベル。
ここにはご存知の通り、クイケン兄弟やグナール・レツボールら、世界の古楽シーンを牽引する巨匠たちが続々録音を続けており、夢のような顔合わせでのセッションもしばしば実現するわけですが、この録音もそうした企画のひとつ——意外に録音の少ない傑作、モーツァルトのピアノ四重奏曲2編をピリオド楽器で・というだけでも実はかなり貴重なアイテムなうえ、なんと演奏はフェシュテティーチ四重奏団と、つい先日も来日公演で闊達ぶりを印象づけたばかりの老巨匠、パウル・バドゥラ=スコダという顔ぶれ!
ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、つまり弦楽四重奏からヴァイオリンをひとつ抜いた編成にピアノが加わる「ピアノ四重奏」という編成は、協奏曲のように拡大することもできれば、室内楽としての親密な対話を追及してゆくこともできる、あやういバランスを秘めた編成であり、作曲は一筋縄ではいかないようですが、モーツァルトは歴史に先鞭を切って2曲の作例を残しており、これらがあまりにも傑作なため、その後半世紀近く、この編成を使って作曲する人がめったに現れなかったほどでした。
バドゥラ=スコダはさきのハイドン録音でも使った、1790 年頃にウィーンのシャンツ工房で造られた素晴しいフォルテピアノを縦横無尽に弾きこなし、現代ピアノのゴージャスな響きでは到達しえない、ウィーン古典派の繊細な和声推移をあざやかに浮き彫りにしてゆきます。神がかり的ともいえるハイテンションな演奏ぶりは、どんな時にも風格を漂わせた弾き方をするフェシュテティーチSQ の面々さえも触発し、ヴェテラン勢ならではの緊密至極なアンサンブルをまったく乱すことなく、丁々発止とクオリティの高い音楽を紡ぎ出してゆくさまは、まさに圧巻!
18世紀当時の奏法と楽器が、えもいわれぬ音響バランスを醸し出し、モーツァルトが思い描いていたであろう響きがそのまま現代に蘇ります。これぞ本格派の室内楽、本場の古楽器演奏の粋!
仏Telerama(テレラマ)誌 4フォルティシモ賞 仏Le Monde de la Musique (ル・モンド・ド・ラ・ミュジーク)誌 CHOC(ショック!)特賞 仏Repertoire(レペルトワール)誌 推薦盤
Mer-A326
(国内盤)
\2940
シューマン(1810〜56):
 1. 弦楽四重奏曲第1番 イ短調 作品 41-1
 2. 弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調 作品 41-2
 3. 弦楽四重奏曲第3番 イ長調 作品 41-3
クイケン四重奏団
シギスヴァルト・クイケン、
ヴェロニカ・クイケン(vn)
サラ・クイケン(va)
ヴィーラント・クイケン(vc)
ヴィブラートを抑えた弦音の高雅さ、圧倒的な深み。シューマンも思い描いていたであろう19 世紀奏法による音響の魅力は、点の辛いフランス批評誌での受賞歴が示すとおり!対向配置のヴァイオリン、4人の個性と4人の協和。かつてないシューマン四重奏曲の世界この記念碑的なアルバムに先立つドビュッシーの室内楽作品集で、シギスヴァルト・クイケンは「歴史的楽器による、とか、歴史的に正統的な、とかいったことにこだわったわけではなく、私たちがやれば、それがあくまで“クイケン流儀”になってしまうだけ。[中略]古楽器だろうと何だろうと、音楽家の感性なしに楽器は鳴らない——演奏しているのは、楽器[=古楽器]ではなく、演奏家なのだ」といったコメントを寄せています。その4年後に録音されたこのシューマンの弦楽四重奏曲集は、アーノンクールやレオンハルトの世代に続くピリオド奏法のパイオニアとしての血脈をありありと示しながらも、娘・息子世代が立派な音楽家に成長した21世紀の今だからこその、クイケン一族の並々ならぬ「音楽性」を強く印象づける仕上がりを誇っています。
クララと結婚して間もなく、室内楽に目ざめた若きシューマンが、親友メンデルスゾーンの作例に触発されながら書いたというこれら3曲の弦楽四重奏曲は、現代楽器であろうと古楽器であろうと、なぜか意外にも演奏機会の少ない隠れ名作——それを、弦楽器の歴史的奏法に通じたクイケンたちの周到・濃密な解釈で聴けるとは、なんと嬉しいことでしょう!ヴァイオリンを左右にばらす対向配置をとり、極力ヴィブラートを抑えた「古風な」奏法で描き出されるのは、現代楽器の重厚な響きでは埋もれがちな「シューマンの対位法の綾」であり、またシューマンでなくては描き出しえない、あのドイツ・ロマン派独特の神秘的な透明感でもあり。しかし、その響きは決してクリスタルカラーではありえません。憂鬱と勇気とが絶えず入り混じりながら、刻一刻と表情を変えてゆく和声の美を、あるいは各パートそれぞれが静かに描き出すメロディラインを、彼らクイケン四重奏団は決して押し付けがましくなく、さらりと静かに、深く、そしてあざやかに浮き彫りにしてゆくのです。結果として私たちの心に残る鑑賞体験の、なんと充実することか——!
これら3曲を偏愛されておられるファンも、曲に潜んでいた意外な機微に気づかされること必至。折々のソロも埋もれがちな内声部の動きも、各人これほどこだわりを持って弾ける人たちの演奏であるからこそ、がぜん含蓄を増そうというものです。ピリオド楽器演奏に抵抗ある人にさえ安心しておすすめできる、飛びぬけて味わい深いシューマン世界がここに!
仏Diapason(ディアパゾン)誌5点満点受賞仏Le Monde de la Musique (ル・モンド・ド・ラ・ミュジーク)誌 4ポイント受賞
Mer-A413
(2CD)
(国内盤)
¥3885
ハイドン:ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 3
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)
弦楽四重奏曲集 作品20 「太陽四重奏曲集」(全6曲)
 1.弦楽四重奏曲 ト長調 op.20-3
 2.弦楽四重奏曲 変ホ長調 op.20-1
 3.弦楽四重奏曲 ハ長調 op.20-2
 4.弦楽四重奏曲 ヘ短調 op.20-5
 5.弦楽四重奏曲 イ長調 op.20-6
 6.弦楽四重奏曲 ニ長調 op.20-4
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
ハイドン初期四重奏曲集の——否、弦楽四重奏曲の歴史で最も重要といっても過言ではない「4人が対等」の画期的曲集!! ベルンステン急逝前に出た最後の巻は、市場でもレアな逸品! 全部で58曲もあるハイドンの弦楽四重奏曲ですが、それらは①1770年代に出版された18曲、②1780年代からロンドン遠征前までに作曲された25曲、そして③2度目のロンドン遠征の前後以降の、晩年の15曲…と、ベートーヴェンのそれと同じく、だいたい3期に分けて考えることができます。しかし!その中でも最も大きく作風が変わったのは、おそらく2回だけなのではないかと——ひとつは最後の3曲(「作品77」の2曲と、未完の「作品103」)、そしてもうひとつのターニングポイントが、この1772年の「作品20」なのです。初版楽譜の表紙に太陽の絵が描いてあったことから、今なお「太陽四重奏曲」の渾名で知られるこの曲集、なにがすごいかというと、それまで「第1ヴァイオリンが主役、あとは伴奏役」というふうにヒエラルキーがはっきりしていた弦楽四重奏という編成に、絶対的な民主主義、つまり4人の演奏家が全く対等にわたりあえるような書法を持ち込んだ、室内楽の歴史のうえでも見逃せない新機軸の曲集だったのです! 1760年代を通じて交響曲と弦楽三重奏曲(バリトン三重奏曲)の分野を開拓してきたハイドンの、いわば初期最重要といっても過言ではない曲集にもかかわらず、6曲全てを収めたアルバムは意外と貴重——しかも、ケルンのハイドン研究所とヘンレ楽譜出版社が共同で進めている最新の「原典版校訂」を反映させた決定的解釈を、四半世紀にわたって古楽器で活躍を続けているフェシュテティーチ四重奏団の名演で聴けるとなれば、これを聴き逃す手はありません! ちなみにこの「全曲録音第3巻」は、同シリーズ中、Arcanaの創設者ミシェル・ベルンステンが在命中にリリースした最後の巻—−つまり前代理店時代の末期に発売され、Arcanaの一時経営不振でほとんど流通しなかった「幻の第3巻」でもあります。
Mer-A416
(2CD)
(国内盤)
¥3885
ハイドン:ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 6
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)
弦楽四重奏曲集 作品54&55
    「第1トスト四重奏曲集」(全6曲)
1.弦楽四重奏曲 ト長調 op.54-1
2.弦楽四重奏曲 ハ長調 op.54-2
3.弦楽四重奏曲 ホ長調 op.54-3
4.弦楽四重奏曲 イ長調 op.55-1
5.弦楽四重奏曲 ヘ短調 op.55-2
6.弦楽四重奏曲 変ロ長調 op.55-3
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
「弦楽四重奏曲は、売れる!」と判断したハイドンが最も脂の乗った頃の筆致でばんばん書き飛ばしていった 「全部傑作」の6曲——並居る競合盤を抑えての名演に酔う! 上の「作品20」がハイドン最大のターニングポイントを迎えた1作だったとすれば、こちらの「作品54+55」(3曲ずつ出版されましたが、事実上は2巻でひとつの曲集なのだそう)はハイドンの人気が最も盛り上がった時期、の「最も脂の乗った」1780年代後半の傑作曲集! ハイドンの作風は1790年代以降、老獪なまでに深まってゆく一方ですが、この1780年代後半という時期のハイドン作品は、概して絶妙の愉悦が若々しいセンスとあいまって(といっても、ハイドンは当時もう50歳前後なんですが)、誰が聴いても愉しめるうえ、聴き深めれば聴き深めるほど面白い、つまり「ハズレのない」傑作が居並んでいるようです。事実、前半の「作品54」の収録曲は、数あるハイドンの四重奏曲でも特に競合盤が多い作品群——つまり、演奏家が弾きたくなる音楽なんです(古くはプロアルテSQ、近年ではリンゼイSQやイザイSQ…)。それほどまでに注目すべき作品群でありながら、古楽器録音の現行盤は皆無に近い(昔はDHMに、ヤープ・シュレーダーとスミソニアンSQの傑作盤があったのですが)という現状で、このフェシュテティーチ四重奏団による(後半まで含めた)全6曲収録のアルバムはたいへん貴重! フェシュテティーチ四重奏団は、まだピリオド楽器で弦楽四重奏をやるグループなどめったにいなかった1985年から活躍を続け、今や並ぶ者なき古楽器アンサンブルの雄となったハンガリーの名門グループ——演奏陣はアーノンクールの御膝元でもあった「隠れ古楽拠点」ウィーンでも経験を積んできた腕達者であるとともに、「弦の国」ハンガリーで揉まれてきた演奏家ならではの独特のセンスを古楽器演奏に反映させ、およそ他の追従を許さない深遠・精悍な演奏を打ち出してくる異才集団! ハイドン特有の書法や弦楽器の扱い方までも踏まえながらの、聴き手を深く魅了してやまない説得力あふれる解釈はここでも健在——チェロやヴィオラのソロが際立つ瞬間、18世紀当時のやり方として使われるヴィブラートの妙味など、これぞ本物!といった充実度をじっくり聴ききわめるなら、この中期屈指の曲集による「第6巻」はまさに最適なのです!
Mer-A418
(2CD)
(国内盤)
\3885
ハイドン:ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 8
弦楽四重奏曲集作品71&74「アポニー四重奏曲集」
 1. 四重奏曲変ロ長調 Hob.III-69
 2. 四重奏曲ニ長調 Hob.III-70
 3. 四重奏曲変ホ長調 Hob.III-71
 4. 四重奏曲ハ長調 Hob.III-72
 5. 四重奏曲ニ長調 Hob.III-73
 6. 四重奏曲ト短調 Hob.III-74「騎士」
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
ハイドンの技量、ここに極まる——音楽都市ロンドンでの経験さえも反映された交響曲にも比肩しうるほどの、ひたすら多面的な響き、どこまでも深遠な音楽...周到そのものの古楽解釈と詳細な解説で、この傑作曲集の魅力を心ゆくまで堪能下さい!ドイツのヘンレ楽譜出版が継続刊行している、ハイドン自身に最も近い楽譜資料(本人の自筆譜、同時代の筆写資料あるいは最も信頼できる出版譜...)を底本にした「原典版」による最新校訂楽譜を使い、当時の演奏技術を18 世紀当時からのオリジナル楽器上で周到に再現、ピリオド楽器による弦楽四重奏のパイオニア的存在であるハンガリーのフェシュテティーチ四重奏団が、ケルンにあるハイドン研究所の会員でもあるブダペストの音楽学者、ラースロー・ショムファイ教授の賛助を得て実現した「ハイドンの創意に最も肉薄した弦楽四重奏曲全集」——この「作品71&74」(前頁の「作品54&55」と同様に各3曲の2セットで一組、計6曲の作品集として構想されています)、おそらくハイドン自身の創意が最も幸福な充実をみせていた時期の曲なのではないでしょうか?作曲年代は1792〜93 年、つまりモーツァルトが亡くなった直後、ハイドン自身が最初のロンドン遠征から帰ってきたばかりの頃に書かれた本作6曲は、アポニー伯爵というハンガリーの有力貴族に捧げられてはいるものの、基本的には次なる第二次ロンドン遠征でのお披露目を見据えて作曲されたと考えられており、興行主にしてヴァイオリンの名手J.P.ザロモンら、腕利きの演奏家たちが大ホールで演奏することを念頭に置いてセッティングされたであろう、充実した聴き応えを与えてくれる大作ぞろい。このあと創意をふりしぼるようにして生み出された「作品76」や「作品77」、あるいは未完に終わった「作品103」など最晩期の四重奏曲群が「鬼気迫る最後の炎」といった感じとすれば、この6曲にはもっと余裕綽々のエンターテイメント性が感じられ、何を書いても傑作になってしまう晩年の創意をふんだんに発揮しながら、ハイドン自身楽しんで書いたのだろうな、と思わせる、愉悦あふれる世界が広がっているのです!フェシュテティーチ四重奏団の演奏も例によって充実至極。対向配置のヴァイオリンが対位法構造をさらりと解きほぐし、緊密なアンサンブルで和声推移の面白みもたっぷり味あわせ、さらに各演奏者がそれぞれに披露する、通り一遍の古楽奏法に収まらない「ハンガリー風の響き」が、ほんとうに絶品!

AS MUSIQUE

ASM004
(国内盤)
\2940
『ヴォドリ・ド・セズネの音楽帳』より
 1.ニ長調の組曲(エモン/ド・ヴィゼー)
 2.ト短調のシャコンヌ(作者不詳)
 3.イ短調の組曲(ガロ/ゴーティエ/エモン)
 4.ハ短調の組曲(デュフォー/デュプレ)
 5.ヘ長調のシャコンヌ(作者不詳)
 6.ニ短調の組曲(作者不詳/アルデル/ジャクソン/ゴーティエ)
 7.ト長調のシャコンヌ(ド・ヴィゼー)
 8.嬰へ短調の組曲(デュビュ/ゴーティエ)
 9.ホ短調の組曲
  (作者不詳/ジャクソン/ド・ヴィゼー)
 10.ヘ長調のシャコンヌ(ゴーティエ)
 11.イ長調のシャコンヌ(デュビュ/作者不詳)
クレール・アントニーニ(バロック・リュート)
クープランやフローベルガーの前、フランスで最も高貴だったのは「リュート芸術」!意外にも単体で紹介されてこなかった超・重要な写本をあでやかに奏でるはフランス古楽界の「ひそかな巨匠」——録音少なき大御所、クレール・アントニーニ!!
えー、これは誰が何と言おうと「強力盤」と呼ぶにふさわしい逸品です! 聴けば、わかる。少なくとも、リュート・ファンなら!
ヴォドリ・ド・セズネの写本というのは、17 世紀フランスのリュート音楽の一番おいしいところを集めたような重要な写本で(チェンバロの世界でいえば「ボーアン写本」みたい…って、わかりませんよねそれじゃ)、この国のリュート芸術の狩野派ともいうべき権勢を誇ったゴーティエ一族から、ジャック・ガロ、デュフォー、はては世紀末のド・ヴィゼーまで、大事な巨匠の作品がことごとく収録されているという豪華かつ見過ごしがたい曲集。世に出回っているフランスのリュートものCDでも、典拠にこの写本を使っているアルバムは少なくないはずで、リュート・ファンの方々にもその名をよくご存知の方は少なくないはずですが、単体で注目される機会はまずなかったといっていいくらい——つまり本盤、ちょっとした盲点企画なんです。舞曲あり、組曲あり、変奏曲あり、そして即興性ゆたかな前奏曲芸術にも事欠かず…フローベルガーやシャンボニエールといったフランス・クラヴサン楽派の巨匠たちが模倣したのも、ほかならぬこうしたリュート芸術だったわけですから、これはフランス・バロックのルーツを知るうえで欠かせない企画と言えるでしょう。
で、肝心の演奏がまたすばらしい!何しろフランスではここ20 年以上、ニケにマルゴワールにジャルスキーに…と引く手あまたで古楽界を牽引してきたリュート奏者、クレール・アントニーニ御大が弾いているのですから!リュートのルーツを辿ってペルシャ音楽まで学んだ彼女の解釈は「まさに本場フランス」。たおやかな撥弦の美音を拾う自然派録音はけだし絶品(「癒しのリュート」としても、効きます)。本格派にして親しみやすい、第1 級の銘盤です!

CONCERTO

CNT2043
(国内盤)
\2940
ニーノ・ロータ(1911〜79):
 1.チェロ協奏曲(1973)
 2.弦楽のための協奏曲(1964〜65/1977)
 3. クラリネット三重奏曲 (1973)*
エンリーコ・ブロンツィ(チェロ)
パルマ合奏団(イ・ムジチ・ディ・パルマ)
* アレッサンドロ・カルボナーレ(cl)、
アルベルト・ミオディーニ(p)
画期的な名演が、作曲家ニーノ・ロータを、きちんと近代クラシックの潮流に位置づけます。
希望あふれる古典派ふうチェロ協奏曲、皮肉っぽいユーモアが痛快な弦楽協奏曲、そして室内楽曲は、さながらフェリーニ映画そのものの軽妙さ…本場の解釈も超一流!ニーノ・ロータといえば、多くの人にとってはフェリーニの『道』や『8 1/2』などをはじめとする、20 世紀中盤の映画産業を支えた映画音楽作曲家というイメージが強いかもしれません。しかし実のところ、彼は自身、レスピーギやカゼッラと並んで20 世紀初頭のイタリア楽壇を代表する巨匠、ピッツェッティに師事した純然たる「近代作曲家」のひとりでもありました——そしてごらんのとおり、協奏曲や室内楽曲といった伝統的な作曲形式でも、しばしば時代を代表する、そして妙な「難解さ」に走らない、えもいわれぬ鑑賞体験をもたらしてくれる名品を幾つか残しているのでした。
ロータに生まれ育ったミラノにオフィスを構えるConcerto レーベルが、この音楽大国の「本当に世界に通用する名手」ばかりを集めて録音してくれたこのロータ・アルバムは、がっちり本格的なソロ協奏曲、スマートかつ充実した弦楽合奏作品、そして軽妙にして堅固なクラリネット三重奏曲…と、それぞれ異なる様式美と音楽美を印象づけてくれる名品を集め、イタリア近代特有の「新古典主義」の系譜に連なる巨匠としてのロータをあざやかに印象づけてくれます。
まあ驚いたことに? 作曲年代は1970年前後だというのに、およそバルトークやショスタコーヴィチといった手合いよりもはるかに親しみやすく古典的、いってみれば、晩年のR.シュトラウスのあのモーツァルトに近づいた作風や、あるいはフランス六人組の軽妙洒脱な作風、そういったウィットあふれる親しみやすさが、しっかり堅固な形式感覚と、なんとスマートに折り合っていることでしょう!
こうした作品美のあり方も、本場イタリアの気鋭奏者たちによる極上演奏あればこそ——とくに、チェロ協奏曲でソロを弾いているエンリーコ・ブロンツィは、昨今Brilliant でスマートなボッケリーニ全曲録音をリリース、高く評価されている腕利き! 縦横無尽の弓さばきで渋い美音を響かせ、「イタリアの極上合奏団」らしい滋味と絶妙の揃い具合を楽しませるパルマ合奏団とともに、じんわり効いてくる音楽美を堪能させてくれます!

COO RECORDS

COO 020
(国内盤)
\2940
バッハの鍵盤、七つの古楽器
 〜バロック時代の弦楽器と管楽器で奏でる、
             バッハの鍵盤音楽の世界〜
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750):
 ①『2声のインヴェンション』第11番 BWV782
  (管楽二重奏/弦楽二重奏)
 ②同第4番 BWV775 ③同第10番 BWV781
 ④『平均律クラヴィーア曲集第2集』第10プレリュード BWV879
 ⑤同第20プレリュード BWV889
 ⑥オルガン独奏のためのトリオBWV583
 ⑦『平均律クラヴィーア曲集』第24 プレリュード BWV869
 ⑧同第11 フーガ BWV856
 ⑨『3声のシンフォニア』第13 番 BWV800
 ⑩同第10番 BWV796
 ⑪カンツォーン
   (オルガン独奏のためのトリオ・ソナタ BWV588より)
 ⑫『平均律クラヴィーア曲集第1集』第22プレリュード BWV867
 ⑬同第16フーガ BWV861
 ⑭同第12プレリュードBWV857
 ⑮コラール「キリストは死の縄につき給えり」(J.ヴァルター作)
 ⑯『フーガの技法』BWV1080コントラプンクトゥス1
 ⑰同 コントラプンクトゥス4
 ⑱同 コントラプンクトゥス 10
 ⑲同コントラプンクトゥス8
 ⑳同 2声のフーガ
エリゼオ・バロック・アンサンブル(古楽器使用)]宍戸俊子(パルドゥシュ・ド・ヴィオール)
リゼット・オーベール=ミルレ(テノール&バス・ガンバ)
ヴィヴィアン・ベルグ(オーボエ、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ)
ジャン=フィリップ・イラカーヌ(ファゴット)
バッハの鍵盤音楽のなかに、かくも鮮やかな「対位法」が絡み合っていた——!鍵盤楽器のために用意された楽譜をそのまま使い、7 種類の古楽器で合奏される2・3・4声のバッハ作品群...オーボエ・ダ・カッチャや各種ガンバなど、聴きどころ満載!「バッハの鍵盤作品」とひとくちに言っても膨大な数の作品があるわけですが、何しろ複数のメロディラインをいっぺんに絡み合わせる「対位法」という技芸にすぐれていたバッハのこと、その一つ一つに精緻なメロディの綾が織り成されていると思うと、なんと限りない楽しみが私たちに残されているのだろう...と心躍らざるを得ません。さて、このアルバムが何より面白いのは、そんなバッハの鍵盤作品の楽譜をそのまま持ってきて、原則としてその音符を変えないまま、2〜4人の古楽器奏者がそれぞれ自分の楽器で1パートずつを弾く、という異例の合奏法がとられている点。つまり、チェンバロやオルガンの独奏のために作曲されたバッハ作品の「からくり」が、複数楽器の音色の違いによって鮮やかに浮かび上がるという、異例の音響体験が楽しめるのです! 演目は『2声のインヴェンション』から『平均律クラヴィーア曲集』、さらに『フーガの技法』...といった有名作品の数々、耳に馴染んだあの曲・この曲に「こんなメロディがあったのか!」と嬉しい驚きの連続、それらを初めて聴く方々にも、「古楽の新たなメッカ」のひとつ、フランス語圏スイスを中心に活躍する気鋭奏者たちの闊達なアンサンブルはなんとも耳に快く、穏やかなバッハ体験を味あわせてくれることでしょう。そう——本盤のもうひとつの注目点は、ふだんバッハの器楽作品ばかり聴いていると意外と出会わない、しかしバッハ時代には頻繁に使われていた古楽器の数々を、ソロでじっくり楽しめる点! カンタータで頻出するものの単独ではめったに聴かれないオーボエ・ダ・カッチャの伸びやかさ、バロック・ファゴットの妙音に各種ガンバの立ち回り、はては(ライプツィヒ楽器博物館にも収蔵されている)フランス発の“幻の弦楽器”パルドゥシュ・ド・ヴィオールなど、古雅にして味わい豊かな古楽器の魅力を、あらためて再認識できること必至!です。

CYPRES

MCYP7611
(国内盤)
\2940
マックス・ブルッフ(1838〜1920):
 1. クラリネット、ヴィオラと管弦楽のための協奏曲作品88
 2. ヴィオラと管弦楽のためのロマンス作品84
 3. 八つの小品作品 85
 〜クラリネット、ヴィオラとピアノのための
ジャン=リュク・ヴォタノ(cl)
アルノー・トレット(va)
ジョアン・ファルジョ(p)
パスカル・ロフェ指揮
リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団
繊細と伝統、雄弁と高雅——フランス語圏ベルギーきっての名門リエージュ・フィルが変幻自在の名技を誇る気鋭奏者たちと世に問うたのは、隠れ名匠ブルッフの音楽世界。
生前の名声をはっきり裏付ける晩年の傑作群を、あらゆる先行盤にもまさる絶品演奏で!マックス・ブルッフ!
「ヴァイオリン協奏曲 ト短調」と「スコットランド狂詩曲」、あとはせいぜいチェロのための「コル・ニドライ」…ばかりがとりあげられるこの名匠、ご存知の方はよくご存知のとおり、盛期ドイツ・ロマン派を代表する実にすばらしい作曲家。ブラームスより少し後、20世紀初頭までロマン派の作風を守り続けた巨匠だったのでした。堅固なつくりが美しい交響曲や壮大なオペラ「オデュッソイス」など、ディスクシーンでは意外に録音も少なくなく(ebs レーベルには素敵な連続録音シリーズもありました)、演奏家たちのほうでは是非その魅力を知らしめたい、と思っている人も少なくないようで(このあたりはハイドンやレーガーなんかと同じかも?)実際、聴き始めたら次へ、次へ…と探求したくなること請けあい。ブラームスやドヴォルザーク世代のオーケストラ音楽や室内楽の名品がお好きなら、ぜひ注目すべき名匠でしょう。
さて、このたびCypres から登場する新譜は、そうしたブルッフが晩年の引退生活のなかで書き上げた、クラリネットとヴィオラを主人公とする三つの傑作——ヴァイオリン関係を除くと、この「八つの小品」と二重協奏曲がいちばん演奏されているブルッフ作品のはずで、事実競合盤も少なくないのですが、このベルギー勢の録音の素晴らしさときたら、前頁の弦楽交響曲と同じく、それらと立派に張り合う、否、この場合ははっきり「同曲のリファレンス的録音」とさえ呼べてしまうほどの仕上がりになっているのです!
管弦楽はリエージュ・フィル。フランス語圏ベルギーのドイツ寄りに位置する大都市リエージュで、フランス的美質とドイツ的堅固さを兼ね備えた名門として活躍をみせてきたこの楽団、昨年リリースされたサン=サーンスとジョンゲンの「オルガン付」作品集でも素晴しい成果をあげてくれた名指揮者パスカル・ロフェ(昨今、ちょくちょく来日していますね)と、またもや名演を繰り広げています。各セクションの技量の高さは個人主義のラテン気質、なのにドイツ音楽の構築感と和声推移の妙をみごと踏まえている——ソリスト2人もフランス語圏で大活躍中の気鋭奏者で、その遺憾なき仕上がりゆえ、本盤は早くもフランス某誌での最高評価が決まったとか(まだ未発売号ゆえ、詳しくは書けませんが…)。微妙な色調、中音の魅力、これぞブルッフの味わいが最大限に生きた名演奏!
MCYP8602
(国内盤)
\2940
モーツァルト:オペラ・アリアと演奏会用アリア
 ①タミーリのアリア「いいえ、神々よ」
  (歌劇「牧人の王」KV.208 より)
 ②演奏会用シェーナとアリアKV.70「ベレニーチェとヴォロジェーゾに〜
  いま昇りくる太陽よ」
 ③イリアのレチタティーヴォとアリア「いつになったら果てるのでしょう〜
  父よ、兄弟よ、さようなら」(歌劇「イドメネオ」KV.366より)
 ④イリアのレチタティーヴォと
  アリア「孤独はわが友、そよ風はやさしく〜穏やかな西風よ」
  (歌劇「イドメネオ」KV.366 より)
 ⑤ツァイーデのアリア「虎だ!剣を研ぎ澄ませ」
  (歌劇「ツァイーデ」KV.344より)
 ⑥パミーナのアリア「愛の喜びは夢と消え」
  (歌劇「魔笛」KV.620 より)
 ⑦フォルテピアノのオブリガート付き演奏会用シェーナと
  アリアKV.505「あなたをどうして忘れられよう〜
   いとしい人よ、さようなら」
    (フォルテピアノ独奏:イング・スピネット)
ゾフィー・カルトイザー(ソプラノ)
大野和士指揮
ベルギー王立モネ劇場so.
スーパースター大野和士の絶妙サポートで、その持ち味をみごと発揮するのは古楽大国ベルギー出身、バロック・オペラでも王道レパートリーでも引っ張りだこの今、いちばん聴いておきたい歌姫カルトイザー...飛びきりのモーツァルト歌手です!!
11 月の来日公演も好評裏な新時代のスーパースター、最前線で活躍する大野和士が、先日までの手兵・モネ劇場のオーケストラとともに、ここ数年で飛ぶ鳥を落とす勢いの躍進を続けているベルギー気鋭のソプラノ、ゾフィー・カルトイザーの傑作アリア集をリリースいたします!
もしベルギーにメジャー・レーベルがあったなら、あるいはカンブルラン&ERATO、バルトロメー&EMI のような提携関係が今も成り立ちえていたなら、声楽ものに尽力を惜しまない昨今のメジャー大手も見逃さないであろう企画だと思います。なにしろ演目はモーツァルト!一見、曲目こそ地味かもしれません——確かに夜の女王も伯爵夫人もドラベッラもいません。しかし聴きはじめれば、すぐに判るはず…単体でモーツァルトの歌心や情感表現の細やかさをみごとに示した曲をよくもまあ、これだけ集めたものだ…と舌を巻くようなプログラムになっているのです。否、カルトイザーという歌い手の表現力あればこそ、そこまで細やかにモーツァルトの機微と真髄とが浮き彫りになるのでしょう!運命に裏切られたり、恋する人との願いが叶わないと絶望したり、切ない思いを胸に秘めたヒロインたちの心を、この歌い手はなんと鮮やかに、嫌味なく、うつくしく歌い上げてゆくのでしょうか…!
これまで、Ricercar のグレトリー作品集(MRIC234/「レコード芸術」特選)やボッケリーニの独唱用スターバト・マーテル(MRIC244)、あるいは同じCypres でのモーツァルト歌曲全集(MCYP1650)などでその“本物ぶり”を印象づけてくれた彼女の新たな「名詞代わり」になること必至!の充実解釈ばかりです(本当に、歌ものが大好きなヨーロッパのメジャー各社が手をつけないとは不思議でなりません…いい意味で)。
大野和士の入念なモーツァルト解釈の確かさは、いまさら申すまでもないでしょう。フォルテピアノを交えてのKV.505 の収録も嬉しいところ。実力派集団をみごと統率、歌い手の表現をきれいに引き立てます。映え抜きの逸品アルバム!

FUGA LIBERA

MFUG559
(国内盤)
\2940
メンデルスゾーン(1809〜47):
 1. 弦楽のための交響曲第 8 番ニ長調
 2. 弦楽のための交響曲第9番ハ長調「スイス」
 3. 弦楽のための交響曲第 10 番ロ短調
ローラン・ケネル指揮
ヨーロピアン・カメラータ
なめらか、色鮮やか、統一感と温もりと——幸福な少年メンデルスゾーンの心に響いたいかんなき弦楽世界。
すでに名盤あまたの名曲3篇の「それでもあえて聴きたい」傑作盤!
ブリテン曲集が「レコード芸術」特選に輝いた、まごうことなき超実力派たちの極上解釈!
メンデルスゾーン生誕200 周年の2009 年末、駆け込みのようで恐縮ではありますが、ベルギー随一のクセモノレーベルFuga Libera から、この作曲家の素敵なアルバムが登場いたします!
メンデルスゾーンはご存知のとおり、ごく幼いころから多芸な才能をあらわにし、すでに10 代前半から続々と傑作を生み出たわけですが、16 歳の時に書かれた不滅の傑作「弦楽八重奏曲」よりもさらに前、実に12 曲も、弦楽合奏だけで演奏される交響曲を作曲していたのは、ちょっとした音楽ファンには有名な話でしょう。事実、このジャンルにはすでに多数の名盤が出ているわけですが(古くはロス・ポプル&ロンドン祝祭管(Hyperion)やレフ・マルキツ&アムステルダム・シンフォニエッタ(BIS)、抜粋ではイ・ムジチ(Philips)やコンチェルト・ケルン(Warner)、そしてつい昨今もファイ&ハイデルベルク響(Hanssler)…と手ごわい競合盤続々!)、本盤はそうした名盤群をさしおいてなお「あえて聴く価値がある!」と自信をもっておすすめできる1枚!
なにしろ演奏はヨーロピアン・カメラータ、つまり、EU青少年管で巨匠指揮者たちと活動してきた面子の卒業生たちが集うスーパー実力派集団!すでに昨年リリースされたブリテン作品集(シンプル・シンフォニー他...MFUG534)がみごと「レコード芸術」特選に輝き、その精緻な解釈のうまみをご存知の方も少なくないはず——英国勢がメンバーに多いせいか、アンサンブルの一体感は驚くほど。ヴィブラートを抑えたなめらかなサウンドは、クレシェンドやデクレシェンドの瞬間にゾクッとするような美を放ち、壮麗な作品美の盛り上げ方はちっとも嫌味がないのに、すごくセクシーでワクワクさせられる…どの曲も「いい曲だと思っていたけど、ここまですごかったっけ?」と耳を疑う仕上がりなのです!選ばれているのは、エマヌエル・バッハの疾風怒涛的作風に強くインスパイアされたようなロ短調の第10 番(異形の名品…)、そして民謡風の楽想がはさまれる「スイス」こと第9番と、同じく序奏つきの長大な第8番——壮大さから細やかさへ、激情からすがすがしいまでの構築感へ、メンデルスゾーン初期ならではの天衣無縫な天才ぶりがあざやかに示された大作3篇。ハイドン同様、本年メンデルスゾーンを聴き込んでこられ、作曲者理解が進んでおられるファンに「そのうえで、今こそ」とお奨めする価値のある、本当に素晴しい内容を誇る逸品です。
MFUG553
(国内盤)
\2940
マックス・レーガー:
 1. フルート、ヴァイオリンとヴィオラのための
  セレナード 第2番 ト長調op.141a(1915)
 2.フルート、ヴァイオリンとヴィオラのための
  セレナード 第1番 ト長調op.77a(1904)
 3. クラリネット五重奏曲 イ長調op.146 (1915)
アンサンブル・オクサリス
2 曲のセレナード(そのむかしベートーヴェンも作品25 のセレナードで試みた異色編成!)では、トーン・フレットの精妙きわまるフルートが弦2者と軽妙に絡みあい、ショスタコーヴィチを予言するような皮肉っぽさをひとたらし、古典派・ロマン派的に堅固な作品構造を軽やかに解きほぐし、ついつい引き込まれてしまうこと必至! こういう異色の音響体験がめっぽう面白く、しかも「クラシックの範疇」を全く踏み外さない堅固さがたまりません。(ちなみにこの2曲、大昔のClaves の名盤以来の新録音のはず。レアです!)いっぽうクラリネット五重奏曲は競合盤も多数ある「レーガー最後の作品」ですが、がっちりドイツ的な重厚感で攻めるより、しっかり風格を漂わせつつも五つのパートの絡みを明晰に浮き上がらせてくれるアンサンブル・オクサリスのスタイルなら、室内楽を聴き慣れた方も含め、この曲の魅力にすんなり入るには好適と思います。

GRAMOLA

GRML98865
(国内盤)
\2940
ドヴォルザーク(1841〜1904):
 1.ヴァイオリン協奏曲イ短調作品 53
 2.チェロ協奏曲ロ短調 作品 104
シャーンドル・ヤーヴォルカイ(ヴァイオリン)
アーダム・ヤーヴォルカイ(チェロ)
シャーンドル・ギュディ指揮
セゲド交響楽団
近隣同士だからこそ、親近感もあれば、確かに違ったアプローチもできる——共通項は「どちらも弦の国」。ハンガリーの新進気鋭陣が、伝統の味わいたっぷりにチェコの巨匠、ドヴォルザークのロマンティシズムを、鮮烈なパワーで確かに描ききる!
チェコの名手が弾くコダーイやバルトークも独特の味わいがありますが、ハンガリーの腕利き奏者や実力派歌手たちがドヴォルザークやスメタナを手がけると、これもまた格別な結果が出ることしばしば——スロヴァキアをはさんで隣り合うこの中東欧2国、互いに結構文化は違うし(チェコ人はスラヴ系ながら、何だかドイツ人に似て質実剛健だったり、ビール好きで陽気だったり——ハンガリー人はウラル=アルタイ系で、中近東ふうの神秘性を感じさせつつ、辛い唐辛子料理が大好き...)、音楽背景もそこそこ差があるのに、どちらも旧ハプスブルク帝国の支配下だったためもあってか、「他方の音楽」を、実に堂に入った解釈でみごとに弾けるケースが多いような気がします。本場奏者が自国の曲を弾くときだけ醸し出される特別な空気があるとすれば、チェコ人がハンガリーの曲を、ハンガリー人がチェコの曲を弾くときには、いわば懐石風フレンチとか、洋食材による割烹とか、相性の良さあればこその複雑な味わいが出てくる——そんな感じなのでしょう。
そんなわけで、前世紀初頭まで両国とともにハプスブルク帝国の中心だったオーストリアのGramola レーベルから出てきた「ハンガリー勢によるドヴォルザーク・アルバム」は、演奏者の無名度などどこ吹く風?の、痛烈にすばらしい演奏です!
いわずもがな競合盤の少なくない二つの協奏曲——つとに知られたチェロ協奏曲と、曲者奏者ほど注目する?ヴァイオリン協奏曲——ですが、ソリストといいオーケストラといい、あの東欧ならではの妖艶な響き(そういえばチェコもハンガリーも、弦楽器演奏の伝統には一家言あり「弦の国」…)、全員が心をひとつに盛り上がるダイナミックさと統率性、随所で心をとろけさせる美音の妙と痛烈なまでの表現力、どこをとっても「一線以上」の鮮やかさに「これはいい演奏に出会った!」と笑みがこぼれずにはおれない仕上がり!
オーストリア=ハンガリー国境付近出身のヤーヴォルカイ兄弟は、兄(vn)がスピヴァコフ、ヴァルガ、パウクら東欧勢の名匠たちの、弟が名匠ペレーニ(!)やビルスマ(!)ら多彩な名手陣の薫陶を受け、数々のコンクールを破ってきた末、この2009年、本場ウィーンでもっとも有望な若手奏者に授けられるオーストリア銀行の「アーティスト・オヴ・ザ・イヤー」賞に輝いた気鋭。知名度の低さで聴き逃したら、もったいないですよ——というのはオーケストラにも言える話で、さすが東欧諸国、知られていないオーケストラがこれほど痛烈な演奏を聴かせる名手ぞろいとは、なんと贅沢なことでしょう!長く信頼関係を築いてきた音楽監督のもと、全員のやる気が超一流級のパワーを発揮。聴き応えばっちり、曲のうまみたっぷり、これぞ「“東”ならではのドヴォルザーク」——末永くつきあい、魅力の真髄を聴き極めたくなる逸品でございます!

INDESENS!

フランスという国はおよそ「クラシック音楽」というものが生み出されて以来、つねに管楽器を大切にしてきた国でした。
古くは太陽王ルイ14世の吹奏楽団グランデキュリー(大厩舎楽団)に始まり、18世紀にはオトテール一族やフィリドール一族が作曲家・楽器製作者として活躍、さらに19世紀以降は「管楽器のためのレパートリーを増やせ!」と「管楽器のための室内楽協会」が発足し、ゴベールやウーブラドゥスをはじめとする偉大な音楽家たちが活躍をみせ、両対戦後には多くの名奏者がアメリカに移住、この新天地のオーケストラ水準を飛躍的に高める一方ランパル(フルート)、ピエルロ(オーボエ)、アラール(バソン)、アンドレ(トランペット)...といった多くの世界的演奏家が輩出、この伝統のすばらしさを世界に印象づけました。
そんな「管の国」フランスならではのレーベルが、自らトランペット奏者として音楽院に学び、同国の伝統を肌で知ってきたプロデューサー、ブノワ・ドーの主宰するIndesens!(アンデサンス)。
2007年に発足して以来、ほぼもっぱら「管楽器のためのフランス音楽」に傾注しつづけ、幅広い人脈によってフランス屈指の名手たちを起用しながら、20タイトルあまりの傑作盤を世に送り出してきました。
近年では管楽器のために限らない「フランス音楽」や、フランスの作曲家に限らない「管楽器のための音楽」でも注目すべきアルバムを続々と計画しています。さらに今後のリリース予定には、サン=サーンスの管楽器室内楽全集やプーランクの同様の企画など、このレーベルでなくては成立しえない世界遺産級プロジェクトも含まれておりいやがおうにも期待値の高まるレーベルとなっています。


INDE001
(国内盤)
\2940
アルフレッド・デザンクロ(1912〜71):
 1.祈祷、哀悼歌と舞踏
アンドレ・ジョリヴェ(1905〜74):
 2.トランペット協奏曲 第2番
アンリ・トマジ(1901〜71):
 3.トランペット協奏曲
シャルル・シェーヌ:
 4.トランペット協奏曲 第1番
アンドレ・ジョリヴェ:
 5.トランペット、ピアノと弦楽のための小協奏曲
エリック・オービエ(トランペット)
マリユス・コンスタン指揮
パリ国立オペラ座管弦楽団
 オーケストラは(昨今メジャーでも録音なんてしていない)パリ国立オペラ座管弦楽団——その指揮は、往年のフランス近現代ものの名盤群でひそかに異才ぶりを発揮してきたマニア垂涎の名指揮者=作曲家、マリユス・コンスタン御大とは、フランス音楽ファンも感涙ものの顔ぶれではありませんか。
 念のため、エリック・オービエについて簡単に紹介を。弱冠19歳でパリ・オペラ座のソリストとなって、飛ぶ鳥を落とす勢いで大活躍——1995年以降は独奏者として世界中を飛び回り、パリ音楽院での教職のみならず、日本も含め各地でマスタークラスを主宰、その名を世界に轟かせる「管の国フランス」の最先端を代表するトランペッター!「21世紀のモーリス・アンドレ」といっても過言ではない存在です。彼がここで吹いているのは、トランペット奏者たちの憧れの的ともいえるジョリヴェやトマジの傑作協奏曲——フランス六人組のセンスをさらに洗練させたような粋なサウンドは、吹奏楽ファンのみならずクラシック・ファンにも十分通用する傑作ばかり(『アランフェス協奏曲』と同時代の作…という言い方をすればわかりやすいでしょうか?)。デザンクロやシェーヌの曲も、鮮烈で上機嫌なコントラストが超カッコイイ!考えてみればこれらフランス系のレパートリーを(マルサリスやナカリャコフなどの国際派ではない)生粋のフランス人の名手が吹いた録音というのは、実はめったになかったりします——しかも本盤はオーケストラや指揮者までフランス人。
折々ゾクゾクさせてくれるエスプリあふれる解釈、まるでトランペットを口笛のように吹きこなすソロ奏者の縦横無尽っぷり。
INDE006
(国内盤)
\2940
金管楽器のためのフランス傑作室内楽
 フランシス・プーランク(1899〜1963):
  1.ホルン、トランペットとトロンボーンのためのソナタ
 アンリ・デュティユー(1916〜2007):
  2. コラール、カデンツァとフガート
   〜トロンボーンとピアノのための
 マルク・デルマス(1885〜1931):
  3. 妖精のバラード 〜ホルンとピアノのための
 ピエリック・ウーディ(1928〜):
  4. ディヴェルティスマン 〜トランペット、
              ホルンとピアノのための
 アンドレ・シペリッチュ(1962〜):
  5. 雑然とした組曲 〜トランペットとピアノのための
 ピエール・ギャベー(1930〜):
  6. レクレアシオン(気晴らし) 〜トランペット、
      ホルン、トロンボーンとピアノのための
フレデリク・メヤルディ(tp)
フランシス・オルヴァル(hr)
ギヨーム・コテ=デュムラン(tb)
ミクロス・シェーン(p)
ブラスの響きは、とにかくカッコイイ!の一言。
——「管の国」の面目躍如、これこそフランス人ならではの金管サウンド。 2人の「パリ管首席奏者」&大ベテラン。けだし絶品の1枚! 
19世紀末から「管楽器のためのレパートリーをもっと増やさなくては!」と意識を高め、同時に折々すばらしい演奏家にも恵まれてきた「管の国」フランス——というと、私たちはついゴベールやランパル(フルート)、アラールやオーダン(バソン)、ピエルロやルルー(オーボエ)、あるいはランスロにメイエに(クラリネット)…と、つい木管楽器を意識しがちかもしれませんが、実は金管楽器にも立派な伝統があるのは、いわずもがな。代表的なのはこの国きっての由緒正しき吹奏楽団ギャルド・レピュブリケーヌの名声ですが、それを支えてきたのが、パリ音楽院の金管クラスを受け持ってきた歴代の偉大な教授たちでした。
本盤のプログラムはパリ音楽院の卒業試験のために書かれた課題曲もあれば、その後のフランス楽壇を担う折々の名手たちに捧げられた作品など、クラシック・ファンには耳新しく、金管楽器奏者もちょっと気になる隠れ名作が続々!
パリ管で現在も活躍するトランペット奏者シペリッチュの名品、室内楽秘曲ファンはまんざら知らなくもないでしょうウーディの異色編成作品などに混じって、デュティユー初期のクラシカルなトロンボーン小品や、プーランクの異色編成による逸品が聴けるのも、クラシック・ファンには嬉しい驚き!
金管楽器というものが、ピアノ伴奏の室内楽でこれほどまでに映えるものか、と耳を疑うナチュラルな響きがたまりません。
INDE009
(国内盤)
\2940
フランス近代の傑作フルート作品集
 ガブリエル・フォーレ(1845〜1924):
  1. 幻想曲 作品79 〜フルートとピアノのための
 クロード・ドビュッシー(1862〜1918):
  2. シュランクス 〜無伴奏フルートのための
  3. 「牧神の午後」への前奏曲
         (ギュスターヴ・サマズイユ編)
 シャルル=マリー・ヴィドール(1844〜1937):
  4. 組曲 作品34 〜フルートとピアノのための
 フランシス・プーランク(1899〜1963):
  5. フルートとピアノのためのソナタ
 フィリップ・ゴベール(1879〜1941):
  6. 幻想曲 〜フルートとピアノのための
 オリヴィエ・メシアン(1908〜92):
 7. 黒つぐみ
 アンドレ・ジョリヴェ(1905〜74):
  8. リノスの歌
ヴァンサン・リュカ(フルート)
エマニュエル・シュトロッセ(ピアノ)
 「管の国」フランスの伝統のなかでも、とりわけ有名なのがフルート演奏の伝統——19世紀からトゥルー、アルテース、タファネル、ゴベール…と名演奏家が続々登場、フォーレ、ドビュッシー、プーランク、ジョリヴェ…といったフランス近代の大作曲家たちも、彼らに触発されて次々とフルート曲の傑作を生み出したうえ、20世紀にはランパルやマリオンのような世界的名手たちが、この楽器への注目度を各段に高めたのでした。しかしそうした「フランス近代の傑作フルート作品群」を上手に集めたアルバムは意外に少なく、しかもどうしたものか、本場フランスの演奏家による録音は非常に稀少。そんな現状を画期的に打開し、お国ものには点の辛い仏『ディアパゾン』誌のレビューでも堂々5点満点に輝いた頼もしい1枚がIndesens!にはあるのです。
ここに堂々国内盤としてリリースされる当盤の主人公は、現在パリ管のソロ奏者をつとめているスーパープレイヤー、ヴァンサン・リュカ! しかもパートナーは「フォル・ジュルネ」でもおなじみの名匠シュトロッセというのですから、なんとも豪華ではありませんか!
このヴァンサン・リュカは、14歳でパリ音楽院に入学、卒業後すぐにトゥルーズ・カピトゥール管に迎えられ、さらにベルリン・フィルで6年活躍した後、現在のポストへ…と華々しい経歴を歩んできた異才。その実力のほどは、並居る名品群の鮮やかな吹き分けもさることながら、フルート奏者の試金石ともいえる「シュランクス」ひとつ聴いただけでも充分伝わることでしょう(玄妙・風格・色彩感…圧倒的な2分49秒!)。
「リノスの歌」やメシアンの「黒つぐみ」といったあたりを収録してくれているのも嬉しいところですが、一般ファンも気になるであろう点は「牧神〜」のフルート&ピアノ編曲版。この歴史的名作で、いかにフルートが冒頭以降も重要な存在なのかを如実にあらわす編曲のうまみが、変幻自在の吹き口でみごと引き立つ注目トラックです!
INDE017
(国内盤)
\2940
「踊る木管五重奏」
 〜管の国フランスの木管五重奏団、蹂躙す〜
 1.ワルツ〜「ジャズ組曲 第1番」より
       (D.ショスタコーヴィチ/ヴェヤール編)
 2. ポルカ〜「五つの易しい舞曲」より(デーネシュ・アガイ)
 3. ア・ラ・クバナ(キューバ風)(E.グラナドス/マカリスター編)
 4. モルト・アレグロ・デチーゾ
   〜「五つの短い舞曲」より(マリオ・ラビスタ)
 5. ルンバ〜「五つの易しい舞曲」より(デーネシュ・アガイ)
 6. フォックストロット〜「ジャズ組曲 第1番」より
        (D.ショスタコーヴィチ/ヴェヤール編)
 7. パスピエ 〜「ベルガマスク組曲」より
    (C.ドビュッシー/ゴードン・デイヴィス編)
 8. ラ・ガリーナ(雌鶏)(L.M.ガッチョーク)
 9. メヌエット〜ディヴェルティメント 第9番より
  (W.A.モーツァルト/ギュンター・ヴァイゲルト編)
 10. 「ラヴォティアーナ」より(フェレンツ・ファルカシュ)
 11. タンゴ〜「五つの易しい舞曲」より(デーネシュ・アガイ)
 12.行進曲 〜「くるみ割り人形」より
    (P.I.チャイコフスキー/トム・ケネディ編)
 13.ボレロ〜「五つの易しい舞曲」より(デーネシュ・アガイ)
 14.ワルツ〜「五つの易しい舞曲」より(デーネシュ・アガイ)
 15. ポルカ〜「ジャズ組曲 第1番」より
        (D.ショスタコーヴィチ/ヴェヤール編)
 16.クヴィンテン・タンツル〜「ウィーンの古い舞曲4編」より
     (作者不詳/ペーター・トッツァウアー編)
 17. カスケーズ(段状滝)(S.ジョプリン/フランケンポール編)
 18. パヴァーヌ〜「マ・メール・ロワ」より
   (M.ラヴェル/デヴィッド・ニッセン編)
 19. ラポツカシュの踊り 〜「17世紀のハンガリー舞曲」より
              (フェレンツ・ファルカシュ)
 20. カドリーユ(コール・.ポーター/A.ハリス編)
 21. ピツィカート・ポルカ(Joh.&Jos.シュトラウス/
                 フリードリヒ・ガブラー編)
アナクルーズ木管五重奏団
エリザベート・デュトリュ( fl)
アントワーヌ・スビヨット( ob)
レミ・バレストロ( cl)
クリストフ・ヴェヤール( hr)
マリー・アブドゥン=ゴンド( bn)
 Indesens ! レーベルにはパリ管の首席奏者たちをはじめとするスーパープレイヤーたちが居並ぶだけでなく、名前こそ知られていないものの「管の国フランス」の層の厚さを実感させてくれる気鋭プレイヤーたちも登場、知名度にとらわれず真の実力者を見つけてくるプロデューサーの慧眼にも驚かされずにはおれません。
Indesens!最新アルバムとなる本盤はそうしたラインの1枚——アナクルーズ木管五重奏団は1994年、当時まだヴェルサイユ音楽院の学生だった5人の管楽器奏者たちによって結成され、すでに15年以上も活動を続けていながら録音機会には恵まれず(レ・ヴァン・フランセやモラゲス五重奏団のような強敵がいると、なかなかCDは作りにくいのでしょう)、諸外国への知名度は決して高くはありません。しかしその演奏ときたら!本盤は欧米各地の「舞曲」に焦点をあて、多彩なプログラムを絶妙の構成感覚で並べて(吹奏楽関係者にはおなじみ?アガイの組曲もきれいにバラしてあります)、折々にドビュッシーやチャイコフスキーらの名曲の編曲(これらも吹奏楽サイドでは有名な編曲だったり。)も交えながら、一糸乱れぬアンサンブルと5人それぞれの自発性あふれる饒舌なスーパープレイで「管の国」フランスならではのめくるめく音響世界を堪能させてくれます。選曲と配列の勝利もあって、次から次へとどんどん聴き進めてしまう——実力あればこその余裕綽々な遊び心にも事欠きません(たとえば、信じられないグリッサンドの妙とか…)。メンバー全員ウマいのですが、慣習的に「木管五重奏」と呼ばれるものの1本混じっている金管、ホルンの立ち回りがこれまた絶妙!バソンとともに、中低音域で金管アンサンブルのような重厚感を醸し出し、木管五重奏の可能性の広さを印象づけてくれます。そんじょそこらのアンソロジーとは格もセンスも違う、「モードと管楽器の国」ならではのエスプリあふれる1枚!
INDE011
(国内盤)
\2940
アレクサンドル・タンスマン(1897〜86):
 1. バソンとピアノのためのソナチネ
ガブリエル・ピエルネ(1863〜1937):
 2. 演奏会用独奏曲
カミーユ・サン=サーンス(1835〜1921):
 3.バソンとピアノのためのソナタ作品 168
アラン・ベルノー(1932〜):
 4. アリュシナシオン(幻覚さまざま)
シャルル・ケクラン(1867〜1950):
 5. 三つの小品作品 34
マルセル・ビッチュ(1921〜):
 6. バソンとピアノのための小協奏曲
ロジェ・ブートリ(1932〜):
 7. アンテルフェランス1
マルク・トレーネル(fg)
パスカル・ゴダール(p)
「こんなにバソンらしく吹かれたファゴットを聴いたことがない!」とプロデューサーも絶賛!バソンの吹き方を知り尽くしていればこそ——世界基準の楽器で、きわめてフランスらしく味わい深も洒脱なサウンドを紡ぎ出すのは、トーンハレ管の首席たるフランス人名手!
フランスでは、ドイツ式ファゴットとは辿ってきた歴史も違う楽器、フレンチバスーン(フランス語で「バソン」)が使われてきた——今や多くの人が知っているこの基本情報ゆえに、フランスで書かれたファゴット音楽は「ファゴットではなく、フランス式バソンで」吹かれてこそ、その妙味が生きるとお考えの方も少なくないに違いありません。バソンならではの高音域の味わい、困難な演奏技巧を克服してこその高雅な音色は、やはりどうしても忘れえぬもの、ドイツ式ファゴットでは不可能な魅力がそこにある...と、多くの人が思っているはず。
ところが、そんな通念を大きく覆す傑作アルバムが、このIndesens!レーべルにあるんです! 演奏は北仏出身のフランス人奏者、マルク・トレーネル。パリ音楽院で名匠ジルベール・オーダンのもと、ばっちりフランス式バソンの演奏法を身につけたこの天才、1999 年から昨2008 年まで名門パリ管弦楽団のソロ・バソン奏者をしていたのですが、その一方で古楽器と現代ファゴットで辣腕をふるう巨匠セルジョ・アゾリーニについてドイツ式ファゴットも学んでおり、2008 年シーズンからはなんとチューリヒ・トーンハレ管のソロ・ファゴット奏者にもなってしまいました。フランス文化に対する裏切りか、自国文化を捨てての国際化の流れか...と思いきや、とんでもない。本盤を聴いて、このトレーネルが独自のやり方で「フランス的美質」を世界に発信していっている天才なのだと判ります。ここで彼が吹いているのは、“管の国”フランスにおけるバソンの歴史を代表する重要作品群——パリ音楽院の課題曲として作曲され、その後この楽器のレパートリーとして定着していった名品ばかり。トレーネル自身もパリ音楽院時代にフランス式バソンで吹いていたであろう傑作群を、ここではドイツ式ファゴットで演奏しているのです!
しかしその演奏には、バソンを熟知していればこそ・のユニークな味わいが...国際的な道具立てで、確実にフランス人にしかできない響きを体現した演奏結果は、Indesens!のプロデューサーも「これほどバソンらしいファゴットはない」と胸を張るほど。ファゴットならではの安定感のなか、独特の歌い回しが味わいを添える——サン=サーンスやケクランなどの近代名品も、他の追従を許さぬほど。ソリストとしても随一なのに室内楽に情熱を燃やすゴダール(p)の絡みも自発性たっぷり、絶品です!

PAN CLASSICS

PC10215
(国内盤)
\2940
ベラ・バルトーク(1881〜1945):
 1. ヴィオラ協奏曲(最新校訂版)
アルノルト・シェーンベルク(1874〜1951):
 2. 浄夜(弦楽合奏版)
パウル・ヒンデミット(1895〜1963):
 3. 白鳥を焼く男 〜ヴィオラと小管弦楽のための
今 井 信 子 (ヴィオラ)
ガボール・タカーチ=ナジ指揮
ジュネーヴ高等音楽学校管弦楽団
世界的ヴィオラ・プレイヤー今井、ついに世に問う王道中の王道、二つの近代傑作——最初の1音から、明らかに「格」が違う。一瞬にして聴き手をひきつける、この求心力…青少年楽団がどんどん勢いを増す、彼女の存在感の強烈さを感じさせる、稀有の名演!
つい先日も、Pan Classics からヴラディーミル・アシュケナージの傑作盤が!と興奮まじりにお知らせしたばかりですが、このスイスの秀逸レーベルから、さらなるスーパープレイヤーものが登場してまいります。もはや改めて紹介するまでもないでしょう——現代屈指の世界的ヴィオラ・プレイヤー、今井信子の登場でございます! しかも演目は、およそヴィオラ奏者なら憧れぬ者はいないオーケストラ伴奏の傑作2編、「白鳥」と「バルトーク」を「今井の解釈で」といえば、どうして聴かずに過ごせましょうか?バルトークのヴィオラ協奏曲は、晩年の作曲家が、伝説的ヴァイオリニスト・ハイフェッツとの共演でも知られる名手ウィリアム・プリムローズのために書いた一作なのですが、後半部分の楽譜化が完成しておらず、作曲家の弟子で「ピアノ協奏曲第3 番」の補筆完成も手がけたティボール・シェルイに完成が委ねられたものの、その結果は長らく正統性が疑問視されていました。しかし1995 年、作曲家の息子ピーター・バルトークの肝煎りで、ハンガリーの大御所音楽学者でやはりバルトークの弟子でもあったラースロー・ショムファイ(Arcana のハイドン弦楽四重奏曲全集で解説を執筆している、あのショムファイ教授です!)が周到に自筆譜を検討、ついに信頼できる最新校訂版が出来上がったのでした。今回の録音では、このヴァージョンが使われています——決然とした今井の解釈で、バルトークの遺志がありありと甦るというのは、なんと贅沢なことでしょう!
中間では、あの名団体タカーチ四重奏団のリーダーで、名教師としても知られるタカーチ=ナジの鮮やかなリードが冴える「浄夜」がゆったりと間奏の役目をはたし(本当に、しっとり呼吸する弦楽器の美が引き立つ名品でございます)、最後に置かれているのが、自らヴィオラ奏者でもあった近代ドイツの名匠、ヒンデミットの傑作!ドイツ・ルネサンスの大衆的な歌をベースに組み立てられた新古典的スタイルのこの名品でも、今井のソロを囲むオーケストラがみるみる色艶を増し、クライマックスへ向けて濃密度を増してゆくのが頼もしい——ソロの雄弁さ・強烈なまでの求心力はもはや圧倒的。聴き手の意識はことごとく、その中音域へと向かうこと必至です。ヴィオラという楽器の底力をひしひしと感じさせてやまない、大切に聴き続けたい上質の音楽が、ここにあります。
PC10220
(国内盤)
\2940
モーツァルト(1756〜91):
 1. クラリネット協奏曲イ長調 KV591
 2. ピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調 KV452
ヴラディミール・アシュケナージ(指揮・ピアノ)
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ドミトリー・アシュケナージ(クラリネット)
フランツィスカ・ファン・オーイセン(オーボエ)
オティス・クレバー(ファゴット)
マルティン・ロース(ホルン)
名門チェコ・フィルと、巨匠アシュケナージ! しかも、指揮のみならず、ピアノ独奏までも!!
隅々まで磨き抜かれた解釈、パートナーも稀代の才能を誇る息子ドミトリーはじめ、自然体にしてスキのない、さりげなく超一流のモーツァルトを存分に味わえる極上の1枚。
スイスのPan Classics レーベルは、これまでもイザベル・ファウスト(vn)やミケランジェロ弦楽四重奏団(今井信子参加)、ウィーン弦楽六重奏団など、メジャー第一線に出てきそうなアーティストが続々と参加、それぞれに王道路線の強力盤をリリースしてくれていたのですが、ここへきて痛烈なアイテムが1枚飛び出してまいりました——ごらんのとおり、アシュケナージ指揮チェコ・フィル!!! 曲目はモーツァルト!! さらにいうなら、なんとアシュケナージ御大自らピアノを弾いています!しかも小品とかそんなものではなく、がっちり充実室内楽を1 曲…モーツァルト自身も「最高傑作」と自負していたことで知られる、あの聴きどころ満載の「ピアノと管楽器のための五重奏曲」。
演奏に加わった四人の管楽器奏者たちがまた腕利き揃いで、まったくスキのない、それでいて曲そのものの寛いだ魅力がじんわり伝わってくる、こういうのを文字通り「格別」というのでしょう。
注目すべきは、この腕利き管楽器奏者たちのなかに混じって、巨匠の息子にしてこれまた磨きぬかれた感性と技量を誇る名手、ドミトリー・アシュケナージの名があること——もうひとつの収録曲目であるクラリネット協奏曲では、もちろん彼がソロを吹いています。安定感あるテンポ、澄み切ったクラリネットのよどみない歌、そこに宿る晩年のモーツァルトならではの諦念、ソロを彩るオーケストラの、滋味あふれる、何ひとつなおざりにしない至高のチェコ・サウンド...モーツァルトを愛する人なら、この深く染み入るような演奏に感じ入らずにはおれないでしょう。
Exton からリリースされたばかりのピアノ協奏曲盤とはまた違った角度から、経験豊かな指揮者=ピアニストの「いま」をじっくり味わえる、さりげなく充実至極、ひたすらいとおしい新録音です。

RICERCAR

MRIC205
(国内盤)
\2940
ミヒャエル・プレトリウス(1571〜1621):
 合奏舞曲集『テルプシコーレ』(1612)より
  37 曲の舞曲(7編の舞曲として演奏)
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカール・コンソート(ガンバ属合奏)
フランソワ・フェルナンデス指揮
リチェルカール・コンソート(ヴァイオリン属合奏)
フィリップ・マルフェイト指揮
リュート・バンド(リュート属合奏)
ジャン・チュベリー指揮
ラ・フェニーチェ(管楽器合奏)
あまりに豪奢な、このメンバー!どこを見渡してもスーパープレイヤーだらけ、古楽奏者たちはアンサンブル上手——演奏結果は、おそらく歴史に残る素晴しさ!Ricercar レーベル屈指の名演、『テルプシコーレ』の新たな決定盤ここに堂々、登場!Ricercar レーベルが1980 年の創設以来、折々の最高級の古楽奏者たちを集め、リチェルカール・コンソートのそれをはじめとする画期的な決定的名演を次々とリリースしてきたのは、ご存知のとおり——むかしDecca/L’Oiseau-Lyre からフィリップ・ピケットの傑作録音が出ていたことでも有名な、「バロック初期に、ルネサンス舞曲の集大成として編まれた」合奏曲集『テルプシコーレ』を、とほうもなく豪華なメンバーで演奏してしまった、まさに新時代の金字塔ともいえるアルバムで!17世紀初頭、モンテヴェルディと同じ頃にドイツの宮廷で活躍したプレトリウスは、16 世紀に大いなる盛り上がりをみせた舞曲というジャンルを彼なりに集大成すべく、舞踏大国フランスの名匠たちから教わった古今東西の舞曲311 曲を、数人の楽器奏者で演奏できる合奏曲にアレンジし『テルプシコーレ(舞踏の女神)』の名のもとに刊行しました。1612 年という刊行年代にしては古風な曲も多く、かつ演奏楽器の指定がないため自由な編成で解釈できるのですが、ここでは古楽先進国ベルギーに集まった天才奏者たちが、ガンバ合奏、ヴァイオリン合奏、リュート合奏、管楽器合奏...と大まかに四つのグループを編成、それぞれのやり方で、七つの組曲に編まれた舞曲の数々をあざやかに弾き分けてゆきます。そのエキサイティングなこと、繊細なこと——そもそも演奏が超一流なうえ、組曲の編みかたが絶妙で前後のコントラストが際立って、ファンタジーRPG的ともいえるキャッチーなサウンドはひたすら面白すぎ、とめどなく聴き続けてしまうこと必至! これもひとえに、豪奢メンバーのなせるわざかもしれません。
MRIC289
(16CD)
(国内盤)
\9975
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750):
 オルガン独奏のための作品 全曲
 オルガン独奏のためのトリオ・ソナタ BWV525〜530
 前奏曲とフーガ、トッカータとフーガ、
 ファンタジアとフーガ BWV531〜552
 小さな前奏曲とフーガ BWV553〜560
 ファンタジアとフーガ BWV561〜563
 トッカータとフーガ BWV564〜566
 単独前奏曲 BWV568〜569
 単独ファンタジア BWV570〜572
 単独フーガ BWV574〜579
 パッサカーリャ BWV582
 オルガン独奏のためのトリオ楽章 BWV583〜586(除く584)
 オルガンのためのさまざまな小品 BWV587〜591
 他の作曲家の協奏曲からの独奏編曲 BWV592〜596
 足鍵盤のための練習曲 BWV598
 コラール前奏曲『オルガン小曲集』 BWV599〜644(除く634)
 コラール前奏曲『シュープラー・コラール』 BWV645〜650
 コラール前奏曲『ライプツィヒ・コラール』 BWV651〜668
 コラール前奏曲『鍵盤練習曲集第3巻』 BWV669〜689
 コラール前奏曲『キルンベルガー・コラール』
  BWV690〜713(除く691-3 706-8)
 コラール前奏曲(その他) BWV714〜764
  (除く741・746・748〜750・752・
   754〜757・759〜761・763・764)
 コラール変奏曲 BWV765〜771 (除く770・771)
 新発見のコラール前奏曲
 『ノイマイスター・コラール』 BWV1090〜1120
 2008 年新発見コラール BWV1128
 ・オルガン用とは特定されず、
   鍵盤作品として分類されている曲目(本全集に収録されています)
    四つのデュエット BWV802〜805
    前奏曲とフゲッタ(小フーガ) BWV899・901・902
    ファンタジアとフーガ イ短調 BWV904
    単独フーガ BWV917・945〜947・953・956
    前奏曲ハ長調 BWV943
 ・バッハ作品全集番号(BWV)で分類番号を与えられていない曲目
  (本全集に収録されています)
  コラール「主キリスト、神の息子」
   Herr Chrsit, der einig Gottes Sohn(Anh.55)
  コラール「わが最愛の神に」
   Auf meinen lieber Gott
  コラール「その日、歓喜の王国が」
   Der Tag der ist Freudenreich
  コラール「賢からぬ口は語る」
   Es spricht der unweisen Mund
  コラール「主イエス・キリストは人にして神」
   Herr Jesu Christ war Mensch und Gott
ベルナール・フォクルール(オルガン)
まさかのカタログ復活!!! それも「全部ひとつのお値打ちBOX」で!!!オルガン芸術家ベルナール・フォクルールの名をベルギー全土、いや全世界に知らしめた伝説の全曲録音——
比類ない自然体のタッチは「オルガン嫌い」の方にもぜひお奨め!かつてのRicercar レーベルの一時活動休止によって廃盤になった過去録音のなかでも、飛びぬけて重要な録音がいきなり、すごいタイミングでカタログ復活してしまいました!
リチェルカール・コンソート創設メンバーでもあるベルギー随一のオルガニスト、ベルナール・フォクルールの金字塔ともいうべきバッハ・オルガン作品全曲録音——ちょうど先日「長年の沈黙を破ってのバッハ新録音!」としてリリースした最新録音のバッハ作品集(MRIC276)が『レコード芸術』誌のレビューで特選を頂き、飛ぶように売れていったのがまだ記憶に新しいところですが、あのリリースはあくまで「前菜」だったのですね!レーベル一時活動休止前の「幻の旧リリース・アイテム」を血眼になってお探しのユーザー様も多く、廃盤状態になっているのを惜しんでやまない方々も少なくない録音だっただけに、復活はなんとも嬉しい限り——フォクルールは他にも、2002 年にRicercar レーベルが復活した直後に録音した古楽&近現代作品によるライヴ・アルバム(MRIC209)も先日ようやく日本盤リリース、やはり『レコ芸』特選を戴いておりますから、彼自身に注目の高まっているこのタイミングでの登場は、音盤シーン的にも絶妙といえます!
1982 年から97 年まで、実に15 年もの歳月をかけて連綿と録音されていったこの入魂の全曲録音のあと、フォクルールはしばしバッハ録音をあえて避け、ラインケン、シャイデマン、トゥンダー、ブクステフーデ…と「バッハの先駆者たち」のオルガン作品ばかりをRicercar に録音しつづけていました。2007年、生誕300 周年を記念して録音・リリースされたブクステフーデのオルガン作品全集も、今もって高く評価されつづけている決定的録音(MRIC250)。そうした周到な伝統様式への研究あればこそ、あの最新録音(MRIC276)の充実解釈が生まれたのかと思いきや、それ以前に録音されていたこの全曲録音をあらためて聴き返してみると、ドイツの歴史的傑作!と気負ったりせず、泰然自若のタッチで作品それぞれの持ち味をあざやかに引き出してゆくスタイルは、すでに当時もうしっかり確立されていたのだとわかります。
本人執筆による、とほうもなく充実した分量の解説書も、もちろん完全翻訳!北はハンブルクから南はフライブルクまで、ドイツ各地(およびスイス、ベルギーなど近隣諸国)に残る、ジルバーマンやシュニットガーなどの歴史的オルガン14 基をあざやかに弾き分けての演奏解釈は、教会ごとの自然な響きを大切にした秀逸録音とあいまって、フォクルールならではの「気負わぬ美」を圧倒的に印象づけてやみません。
音楽の父・バッハは何よりもまずオルガンの大家だったけれど、オルガンの響きは何だか恐いし…と苦手意識を抱えておられる方にこそ、この録音は強烈にお奨めできます。

SAPHIR

LVC1102
(国内盤)
\2940
ブラームス(1833〜96):
 1. クラリネット三重奏曲作品 114
バルトーク(1881〜1945):
 2. コントラスト〜クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための
ハチャトゥリアン(1905〜19--):
 3. クラリネット三重奏曲
フローラン・プジュイラ(cl)
デボラ・ネムタヌ(vn)
ヨヴァン・マルコヴィチ(vc)
ロマン・デシャルム(p)
若手だと思ってナメたらいけません——ごらんのとおり、選曲からして只者じゃない!絶品の室内楽、饒舌にして高雅...フランス室内楽シーンのレヴェルの高さを如実に物語る逸品。ハチャトゥリャンが最高!!
いまさら、誰もヨーロッパ楽壇のレヴェルの高さをナメてはいないでしょうけれども...フランスのシーン最前線で活躍する巨匠から若手実力派まで、ほんとうに良い演奏家だけを見つけてくることにかけては天才級の老プロデューサーが主宰するSaphirから、こんな痛烈な新譜がリリースされてきました。ごらんのとおり、「クラリネット、ピアノと弦のための三重奏曲」ばかりを集めた室内楽アルバム——そしてごらんのとおり、演奏陣がどんな人なのか、2009 年11 月現在の時点でお分かりになる方は皆無に等しいと思います。私もそうでした——ところが、興味本位で最初に聴いたハチャトゥリアンから、もう打ちのめされました。まずは曲が良い。のちのソ連暗黒時代には「形式主義」などと批判されたハチャトゥリアンですが、どうしてどうして、30代前半に意気揚々と書かれたこの三重奏曲ときたら、土臭い民族情緒であるはずの何かが、きわめてスマートに、ソナタ形式の確たる形式感と折り合わせられている——複雑な要素が入り込んで曲の味わいを増しているのがショスタコーヴィチだとすれば、この手際よさはむしろ「20世紀のチャイコフスキー」と言いたいような絶妙さ。「剣の舞」などで何かと作曲者名だけが一人歩きしているであろうこの作曲家の真価をかいま見る思い...
で、それをこともなげにやってのけているのが、現在コンクール破り継続中の若手名手プジュイラやネムタヌ(前者はミュンヘンARD3位、後者はブリテン国際2位をはじめ、数々のコンクールで入賞継続中です)、パリ音楽院でリグットやルヴィエ、イヴァルディらのもと室内楽もしっかり学んだばかりの気鋭デシャルム、そして現在のイザイSQのチェロを支えるマルコヴィチ...といった、日本ではまだおよそ無名に近い人々がやってのけているわけですから、驚くほかありません! これはいけるぞ...と思い、アルバム冒頭に戻ってブラームスから聴いたら、やっぱりこれが絶品そのもの。

TRANSART

TRM155
(国内盤)
\2940
ガーシュウィン(1898〜1937):
 1. ラプソディ・イン・ブルー
 2. ピアノ協奏曲ヘ長調
 3. 『ポーギーとベス』による交響的絵画
ブリュノ・フォンテーヌ(ピアノ)
デイヴィッド・ロウ指揮
リル国立管弦楽団
生粋のエンターテイナー!ブリュノ・フォンテーヌが、日本でも待望のレパートリーをついに!
クラシック・ファンには、こういう解釈の方が断然いいように思います——フランス気鋭陣が、極上のシックさとエスプリで描き出す、「ラヴェルの子」ガーシュウィン!

ブリュノ・フォンテーヌ! フランスきってのエンターテイナー、まわりすぎるくらいまわる十指で、圧巻の音楽センスで、すべてのパフォーマンスを薫り高く、エスプリあざやかに仕上げてしまう鬼才ピアニスト——室内楽や歌曲伴奏でも異能を発揮、チェロのオフェリー・ガイヤールや「ディーヴァ」ウィルヘルメニア・フェルナンデス(S)らの天才パートナーとして名盤を連発してきただけでなく、ソロや協奏曲は他の追従を許さない仕上がりをみせ、時折ふらっと来日しては音楽堂を熱狂の渦へといざなう、マエストロ佐渡裕の小憎い共演者...とくに関西方面では「忘れられない夜」を体験された方もさぞや多いに違いありません(うらやましい!)、このブリュノ・フォンテーヌが、来日時にその才能をいかんなく示したレパートリーをついに録音してくれました!
国際的なパフォーマンス精神をしっかり持ち合わせながら、どこまでもフランスらしい「伝統」と「粋」を忘れない、北フランスのリル国立管弦楽団との共演による、ガーシュウィンの傑作ばかりを集めたシックなアルバム!
しかも指揮台に立っているのは、英国からアメリカに移り、オペラ指揮者としての経験を活かしてヴァーサタイルな快進撃を続けている新世代の気鋭指揮者、デイヴィッド・ロウ! この人、時代が時代ならグスターボ・ドゥダメルと並び称されてもいいくらいのパフォーマーでは? と、本盤を聴きながら痛感いたしました。オーケストラ全体の色彩感のみならず、腕利きソロ奏者たちの持ち味を自発性たっぷり引き出してゆくセンスといい、折々ショスタコーヴィチばりの迫力をガーシュウィンのスコアから引き出してみせる本格派っぷりといい、キャラが立ちすぎるほど立ったフォンテーヌのピアノにまったく負けず、極上の協奏的空間を描きあげる才能には、誰しも魅了されずにはおれないはず! リル国立管がこれまた意気揚々で、ソロはうまいし弦は熱いしビシッと揃ってるし、金管・木管の匂い立つような美音をMusica Mumerais の天才技師ふたり(Alpha やAmbroisie の自然派サウンドを作ってきたアリーヌ・ブロンディオとフレデリク・ブリアン!)がきれーいに拾い、ほんとうに夢のようなオーケストラ空間を現出させてくれます。
“クラシック側のガーシュウィン”は、やはりこうした「ヨーロッパ勢の粋を集めた」快演でこそ生きるもの——傑作ピアノ協奏曲も「ラプソディ・イン・ブルー」も、ラヴェルに憧れパリに出てきた前後の曲。マルティヌーがチェコからパリに来たのと同じく、彼もフランス近代の影響を受けた「ラ・ヴァルスとボレロの子」世代だった…と、この上ない痛快演奏で実感させてくれます!



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