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第53号マイナー・レーベル新録音新譜(5)



DELOS

DE 3392
¥2300
ホロストフスキー/プーシキン:ロマンス集
 1.グリンカ:忘れない、あの美しいひととき
 2.同:告白
 3.同:血は熱い思いに沸き立ち
 4.同:ザ・ナイト・ゼファー
 5.ダルゴムイシスキー:若者と乙女
 6.ボロディン:遠い祖国の岸へOp.26‐3
 7.リムスキー=コルサコフ:流れたなびく雲が切れ切れになってOp.42‐3
 8.同:グルジアの丘でOp.3‐4
 9.キュイ:ツァールスコエ・セローの像Op.57‐17
 10.同:アイ・ラヴ・ユー
 11メトネル.:ゴーン・アー・マイ・ハーツ・デザイアーOp.3‐2
 12.同:冬の夜Op.13‐1
 13.同:トゥ・ア・ドリーマー
 14.ヴラソフ:バフチサライ宮殿の泉へ
 15.チャイコフスキー:ナイチンゲールOp.60‐4
 16.ラフマニノフ:ドント・シング・トゥ・ミー、フェア・メイデンOp.4‐4
 17.スヴィリドフ:ザ・クリムゾン・フォレスト・シェッズ・イッツ・アティア
ドミトリー・ホロストフスキー(バリトン) 
イヴァリー・イリア(ピアノ)
文豪プーシキンの愛の詩を完璧に歌い上げた究極の1枚

現代最高のバリトン歌手の一人であるホロストフスキーが、故郷ロシアの文豪プーシキンの詩を歌詞に持つ17曲を集めてお届けする究極のロシアン・ロマンス・アルバム。類い稀な彼の表現力によって、ロシア文学の巨魁の実像をみごとに浮き彫りにした、他の誰にも追従できない1枚です。
DE 3399
¥2300
トレヴィサーニ/新世紀フルート協奏曲集
 1.ヘンドリク・ピエナール・ホフメイル(1957〜):
  フルートとヴァイオリンのための協奏曲
 2.アルベルト・コッラ(1968〜):クアジ・ウナ・ロマンツァ
 3.カルロ・ガランテ(1959〜):ソスピーリ・ディ・アリエル
 4.エルナーニ・アギアー(1950〜):ピッコロ・コンチェルティーノ
ラファエレ・トレヴィサーニ(1〜3:フルート、4:ピッコロ)
ピート・クーンホフ (ヴァイオリン)
モスクワ室内管弦楽団
指揮:コンスタンティン・オルベリアン(1)
ロベルト・デュアルテ(2〜4)
21世紀生まれの新作協奏曲をずらりと並べた注目の1枚

イタリア屈指の名フルート奏者トレヴィサーニが、21世紀に入ってから彼に捧げられた4つの新作協奏曲を瑞々しく吹き上げた注目の1枚。イタリア、ブラジル、南アフリカの作曲家の作品を、アメリカのオルべりアン、ブラジルのデュアルテ、南アフリカのクーンホフ、そしてロシアのオケが支えるという、世界を股にかけて活躍する彼ならではの広い交友関係が生み出すフルート&ピッコロの新境地をたっぷりご堪能ください。
DE 3406
¥2300
バザード/
 バザード・パイプ・オルガンOp.37
  〜イン・ライト・オア・ダークネス(世界初録音)
   1.メンデルスゾーン:オルガン・ソナタ変ロ長調Op. 65-4
   2.シューベルト(バザード編):君はわが憩いD.776
   3.ハウエルズ:3つの詩篇-前奏曲Op.32〜第2番(詩篇第139番)
   4.ロイブケ:オルガン・ソナタ ハ短調(詩篇第94番)
シュテファン・バザード(オルガン)
第2長老派教会
ブルーミントン(米インディアナ州)
期待の若手オルガニストが、注目の新オルガンを用いて行った世界初録音

父はオルガン製作者、母はオルガニスト&合唱指揮者という恵まれた音楽環境で育った期待の若手シュテファン・バザードが、ブルーミントンの第2長老派教会に2008年6月に納められた「バザード・パイプ・オルガンOp.37」を用いてお届けする世界初録録音。2009年のジョアン・リピンコット国際コンクールの覇者でもある彼は、この43ストップ&56列の大オルガンをみごとに使いこなし、知性あふれる名演を華麗に繰り広げています。

ECM

476 3855
¥2400→¥2190
ヒリヤード・アンサンブル/オフィチウム・ノヴム
 1.コミタス:何という奇跡
 2.ビザンツ聖歌:聖にして福たる常生なる天の父
 3.ガルバレク:アルティング・フィンズ
 4.K.ニコライ:連祷
 5.コミタス:サーブ、サーブ
 6.ペルト:最も神聖なる神の母
 7.作者不詳:3つのMorillas M'Enamoran
 8.コミタス:私の心は震えている
 9. 同:Hays hark nviranats ukhti
 10.ぺロタン:アレルヤ、処女マリアの誕生 
 11.ガルバレク:ウィ・アー・ザ・スターズ
 12.セフェリス:少しだけ静まる
ヤン・ガルバレク(ソプラノ&テナー・サクソフォーン)
ヒリヤード・アンサンブル
両雄3度目の共演は、待望の「新オフィチウム」

録音:2009年6月29日〜7月1日 ザンクト・ゲロルト修道院、オーストリア <デジタル録音>

100万枚以上の売り上げを記録した大ヒット・アルバム「オフィチウム」の録音から16年。ジャズ・サックスの鬼才ヤン・ガルバレクと、イギリスの名門ヒリヤード・アンサンブルが再び邂逅して世に送り出す第3弾は、21世紀の「新オフィチウム」です。その舞台の中心となるのはアルメニア。中世の宗教音楽とコーカサス地方の民族音楽を巧みに融合した作風で知られる19世紀アルメニアの修道士コミタスの名曲を中心に、ペルトやガルバレクの現代作品までカバーした12曲は、聴き手をふたたび浮遊する自由な音楽宇宙へと誘ってくれることでしょう!
476 3957
¥2400→¥2190
サロネン&ロサンゼルス・フィル/ペルト:交響曲第4番他
 アルヴォ・ペルト:
  1.交響曲第4番《ロサンゼルス》(2008)
  2.カノン・ポカヤネン(1997)
ロサンゼルス・フィルハーモニック
指揮:エサ=ペッカ・サロネン(1)
エストニア・フィルハーモニック室内合唱団
指揮:トヌ・カリユステ(2)
エストニアの鬼才の最新作の初演ライヴが早くもCD化!

録音:2009年1月11〜13日 ウォルト・ディズニー・ホール、ロサンゼルス(1)  <ライヴ>、1997年6月 ニグリステ教会、タリン(2) <デジタル録音>

前作から約40年ぶりとなるアルヴォ・ペルト(1930〜)の最新交響曲(第4番)の初演が早くもCD化。巨匠サロネン&ロス・フィルによって、2009年1月に初演された本作の副題は、その名も《ロサンゼルス》。弦楽オケ、ハープ、ティンパニ、パーカッションの編成による3楽章の構成で、ペルトならではの壮大な音楽世界が鮮やかに展開されています。また、カップリングには、救済の祈りを深く静かに歌い上げた名曲として名高い《カノン・ポカヤネン》を収録。合唱指揮界のカリスマで、ペルトの第一人者でもある名匠カリユステが、手兵エストニア・フィル室内合唱団と残した1997年の名演を収録してあります。
476 3912
¥2400→¥2190
クレーメル&クレメラータ・バルティカ/賛美歌と祈祷
 1.シュテヴァン・コヴァッチ・ティックマイエル:
  アンドレイ・タルコフスキーによる8つの賛美歌(1986/2004)
 2.フランク:ピアノ五重奏曲へ短調
 3.ギヤ・カンチェリ:
  サイレント・プレイアーズ
   (ヴァイオリン、チェロ、室内オーケストラとテープのための)(2007)
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
クレメラータ・バルティカ
「アルゲリッチの再来」の注目の当レーベル・デビュー盤

録音:2008年7月11〜13日 聖ニコラウス教会、ロッケンハウス <ライヴ>  <デジタル録音>

勇壮から崇高な祈りまで、それぞれの音楽作品に最もふさわしい強度と集中力でもって、美しい名演を残してきたヴァイオリンの巨匠クレーメル&クレメラータ・バルティカ。「賛美歌と祈祷」と題し、様々な美しい祈りの調べを集めた当盤の最大の聴きどころは、やはり何と言っても、フランクの名曲「ピアノ五重奏曲」。中でも、ピアノを担当するカティア・ブニアティシヴィリ(1987年グルジア生まれ)は、クレーメルやアルゲリッチの秘蔵っ子として俄かに注目を集めている期待の若手で、先日のラ・フォル・ジュルネで好評を博したのも記憶に新しいところです。音楽性だけでなく、容姿も「アルゲリッチの再来」と言われる彼女は、当盤がECMデビューとなりますが、即興と情熱に満ちた妙技は必聴です!

MD+G

316 12942
¥2300
オーステン/マルセル・デュプレ:オルガン作品集Vol.12
 1.コラールとフーガOp.57
 2.レジーナ・チェリOp.64
 3.79のコラール Op.28〜第61、15、16、76、62、11番
 4.4つの旋法によるフーガOp.63
 5.スケルツォOp.16
 6.79のコラール Op.28〜第24、12、34、43、25番
 7.3つのエレヴァツィオOp.32
 8.サン=トゥーエンのステンドグラスOp.65
 9.スーヴェニールOp.65bis
ベン・ヴァン・オーステン
 (カヴァイエ=コル・オルガン)
デュプレ最晩年の愛器が紡ぎ出す珠玉の遺言状

録音:2010年4月 サンシュルピス教会、パリ

好評裡に着々と進行している名手オーステンによる「マルセル・デュプレ:オルガン作品集」の第12弾は、デュプレが死の直前まで弾いていたと伝えられるパリのサンシュルピス教にあるカヴァイエ=コル・オルガンを用い、彼の絶筆となった《コラールとフーガ》をはじめとした18曲を収録。演奏者のオーステンは、1955年にオランダのハーグ生まれたオルガニスト。オルガニストとして活躍する一方、ロッテルダム音楽院の教授も務めており、当レーベルには、このデュプレ集や、ヴィエルヌ全集の他、フランス・ロマンティック・オルガン作品集など、数多くの名録音を発表しています。
940 16466
(SACD Hybrid)
¥3200
ツァハリアス/モーツァルト:ピアノ協奏曲全集Vol.6
 1.ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
 2. 同 第14番変ホ長調K.449
 3. 同 第15番変ロ長調K.450
クリスティアン・ツァハリアス(ピアノ&指揮)
ローザンヌ室内管弦楽団
綿密で洗練されたモーツァルトのピアノ協奏曲シリーズ待望の第6弾!

録音:2009年6月22〜24日 メトロポール、ローザンヌ<デジタル録音>

綿密で洗練されたソロとオケの掛け合いが高い評価を得ているツァハリアス&ローザンヌ室内管の「モーツァルト:ピアノ協奏曲全集」第6弾。収録曲は、1784〜85年に生れた9つのピアノ協奏曲の中の3曲で、ウィーンにようやく定着し、泉のように溢れんばかりの創作意欲が漲っていた当時の充実が刻印されています。3年前のラ・フォル・ジュルネでも好評を博した同コンビは、今回も録音史に長らく記憶されるであろう、しなやかで瑞々しい名演を聴かせてくれます。
304 16472
¥2300
アンサンブル・ヴィラ・ムジカ/シューマン:室内楽作品集Vol.1
 1.ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ短調Op.121
 2. 同 第1番イ短調Op.105
 3.F.A.E.ソナタ(1853)
アンサンブル・ヴィラ・ムジカ
〔ニコラス・チュマチェンコ(Vn)
 カレ・ランダル(P)〕
当団のベスト盤の一つに数えられる充実のアンサンブル

録音:2009年11月23〜24日 マリエンミュンスター修道院<デジタル録音>

ドイツ各地域のオーケストラから集まったメンバーで構成されるアンサンブル・ヴィラ・ムジカ。これまで当レーベルに30枚以上の録音を残してきた彼らの最新シリーズに選ばれたのは、今年が生誕200周年のシューマン。その第1弾となる当盤は、シューマンがデュッセルドルフで書いた3つのヴァイオリン・ソナタをお届けします。アルゼンチン育ちのヴァイオリニストで、ソロ、アンサンブル、指揮の他方面で活躍するチュマチェンコと、1982年チャイコフスキー国際の入賞者でもあるランダルの充実したデュオでどうぞ。
603 16442
¥2300
ラ・リコルダンツァ/ファイアリー・アンド・サブライム
 1.クヴァンツ:協奏曲第5番ニ長調QV5:45(世界初録音)
 2.ルクレール:トリオ・ソナタ ニ長調Op.2‐8
 3.C.P.E.バッハ:トリオ・ソナタ イ長調Wq.146
 4.グラウン:協奏曲ヘ長調
 5.クヴァンツ:ソナタ ハ長調QV2:Anh.3
 6.ブラヴェ:協奏曲第2番イ短調
ラ・リコルダンツァ
情熱と気品が絶妙にバランスした世界初録音を含む、注目の18世紀音楽作品集

録音:2010年2月12〜14日 マリエンミュンスター修道院<デジタル録音>

ドイツのハノーファー近郊で生まれ、ポツダムで没した18世紀のヨーロッパを代表する名フルート演奏家&作曲家のクヴァンツ。あのフリードリヒ大王のフルート教師も務めた彼の2曲を中心に、18世紀に活躍した作曲家たちの情熱と気品が絶妙にバランスした協奏曲やソナタを6曲収録しました。古楽の第一線で活躍するラ・リコルダンツァの演奏の精度は当盤でもめざましく、彼らがベルリン州立図書館で手稿を発見したクヴァンツの協奏曲は、今回が世界初録音ということもあり、古楽&フルート・ファンは必聴です。
320 16242
¥2300
ロスト/北ドイツのオルガン巡礼Vol.1「リューベック」
 1.Calcanten-Glocke/2.トゥンダー:前奏曲ト長調/
 3.同:来ませ、聖きみ霊/4.同:カンツォーネ ト長調/
 5.同:イエス・キリスト、我らの救い主、我らから神の怒りを取り去りたまえ/
 6.ハッセ:ペダルの前奏曲/7.同:いと高きところには神にのみ栄光あれ/
 8.ブクステフーデ:来ませ、聖きみ霊BuxWV.199/
 9.同:パッサカリア ニ長調BuxWV.161/
 10.同:主よ、我らを汝の御言葉のもとに留めたまえBuxWV.185/
 11.同:ああ、神と主よBuxWV.177/12.同:前奏曲ニ長調BuxWV.140/
 13.同:今ぞ我ら聖霊に乞わんBuxWV.209/
 14.同:カンツォーネ ト長調BuxWV.173/
 15.シファーデッカー:我が心は主を崇め/
 16.J.S.バッハ:暁の星のいと美しきことかな/17.ブルーンス:前奏曲ト長調
マルティン・ロスト
 (シュテルワーゲン・オルガン)
名手ロストの新しいオルガン巡礼の旅は北ドイツへ

録音:2010年5月28〜29日 聖マリエン教会、シュトラールズント<デジタル録音>

東欧各地へのオルガン巡礼シリーズで知られるマルティン・ロストが、今度は北ドイツで新しいシリーズを始めます。その記念すべき第1弾に選ばれたのが、メクレンブルク=フォアポンメルン州の第4の都市シュトラールズント。17世紀にリューベックで活躍した高名なオルガン製作者であるフリーデリヒ・シュテルワールが1653〜59年にかけて製作した聖マリエン教会の巨大オルガンを使って、パワフルかつ爽快な名演を繰り広げます。

TELARC

TEL 31755
\2300
ドナルド・ラニクルズ/R.シュトラウス:グレイト・シュトラウス・シーンズ
 1.《エレクトラ》Op.58〜
  エレクトラとオレストの再会<何をお望みなの、見知らぬ人よ>
 2.《カプリッチョ》Op.85〜月の光の音楽
 3.《影のない女》Op.65〜投獄
 4.《サロメ》Op.54〜7枚のヴェールの踊り
 5.同〜終幕
クリスティーネ・ブリューワー(S)
エリック・オーウェンズ(BB) 
アトランタ交響楽団
指揮:ドナルド・ラニクルズ
20世紀で最も成功したオペラ作曲家と言えるR.シュトラウスは、舞台の最大の見どころや聴きどころであるヒロインに、一貫して重要な役割を与え続けました。それは、《ばらの騎士》の元帥夫人、サロメ、エレクトラ、《カプリッチョ》の伯爵令嬢などに象徴されるように、 運命を自らの手で切り拓く強い女性像は、それぞれの世代の傑出した名歌手たちによって脈々と歌い継がれてきました。アメリカの個性派ソプラノ、クリスティーネ・ブリューワーと、同じくアメリカの実力派バス・バリトン、エリック・オーウェンズの共演による当盤では、4つのオペラから愛の駆け引きの名場面を5つ選りすぐり、人気急上昇中のドナルド・ラニクルズ&アトランタ響の見事な伴奏でお届けします。

BR KLASSIK

900106
\2300
ミュンヘン国際音楽コンクール優勝者たちによるコンサート
 1.モーツァルト(1756-1791):クラリネット協奏曲イ長調 k622/
 2.グリエール(1875-1956):ハープ協奏曲変ホ長調 Op.74/
 3.コルンゴルト(1897-1957):ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35
セバスチャン・マンツ(クラリネット)…1/
エマニュエル・セソン(ハープ)…2/
パク・ヘユン(ヴァイオリン)…3/
コルネリウス・マイスター(指揮)…1/
ロランス・レーヌ(指揮)…2.3/
バイエルン放送交響楽団
2008 年、2009 年のミュンヘン国際音楽コンクール優勝者たちによる「若き芽のコンサート」です。このコンクールは、1952 年に創設され、ピアノ、ヴァイオリン、声楽、チェロ部門の他、室内楽やハープなどたくさんの楽器の若き演奏家の登竜門として知られています。日本人の入賞者も多いのですが、優勝者が出ることがあまりなく、本当に実力のある人を世界へ送りだす質実剛健なコンクールと言えるのです。このアルバムは、そんな珍しい「優勝者」の瑞々しい演奏を楽しめる1 枚です。2008 年のクラリネット部門優勝者、セバスチャン・マンツは伸びやかなモーツァルトを聴かせます。2009 年のハープ部門の優勝者セソンは、あまり演奏されることのない秘曲、グリエールのハープ協奏曲を演奏。七色の音色で聴衆を魅了しました。また、同年のヴァイオリン部門の優勝者ヘユンは当時17 歳。最年少の優勝者として特に注目を浴びる中、コルンゴルトの協奏曲を文句なく弾きこなしています。さあ、未来の巨匠たちへ拍手を送りましょう。録音 2008 年9 月19 日…1/2009 年9 月18 日…2.3 ミュンヘンヘルクレス・ザールライヴ録音

CPO

777536-2
(2SACD Hybrid)
\6600→¥5990
シューマン(1810-1856):交響曲全集
(ヨアヒム・ドラハイム校訂による
 新シューマン・エディション、ブライトコプフ原典版
(SACD1:
 1.交響曲第 1 番変ロ長調「春」Op.38/
 2.交響曲第 2 番ハ長調 Op.61/
SACD2:
 1.交響曲第 3 番変ホ長調「ライン」Op.97/
 2.交響曲第 4 番ニ短調 Op.120
ロベルト・シューマン・フィルハーモニー管弦楽団/
フランク・ベールマン(指揮)
1993 年から2001 年にかけて出版されたブライトコプフ原典版を使用した演奏です。同じ版を使った演奏には、ボストック指揮チェコ室内フィルハーモニーや、ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団のものがありますが、こちらは、SACD のスペックを最大限に活用した極めて高音質のもの。楽器の持ち味やスコアの細部を聴きとる喜びを存分に味わうことができる素晴らしいアルバムとなっています。シューマンの時代の演奏様式を研究し尽くしたと言うジンマンのフットワークが軽い演奏に比べ、こちらのベールマンは、現代の標準サイズのオーケストラが醸し出す豊かな響きを重視、とりわけ充実した低音部は必ずや聴き手を満足させるに違いありません。
777564-2
(2CD)
\5200→¥4790
ギュンター・ラファエル(1903-1960):ヴァイオリン協奏曲第2 番&ヴァイオリン作品集
CD1:
 1.ヴァイオリン協奏曲第 2 番 Op.87/
 2.ヴァイオリン独奏のためのソナタ Op.46-2/
 3.2 台ヴァイオリンのための二重奏曲 Op.47-1/
 4.ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 Op.47-2/
 5.ヴァイオリンとクラリネットのための二重奏曲Op.47-6/
CD2:
 1.ヴァイオリン・ソナタ Op.12-1/
 2.ヴァイオリン・ソナタ 第3 番 Op.43/
 3.ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ Op.52/
 4.ヴァイオリンとピアノのための「ヤボナー」Op.66a/
 5.ヴァイオリンとオルガンのためのソナタ Op.36
クリスティーネ・ラファエル(ヴァイオリン)…全曲/
北ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団…CD1-1/
ホルヘ・ロッター(指揮)…CD1-1/
マックス・ロスタル(ヴァイオリン&ヴィオラ)…CD1-3,4/
ウルフ・ローゼンホイザー(クラリネット)…CD1-5/
ライナー・ゲップ(ピアノ)…CD2-1,2,3/
エルンスト・グロシェル(ピアノ)…CD2-4/
ヴォルフガンク・シュトックマイヤー(オルガン)…CD2-5
当時の大指揮者がこぞって取り上げた管弦楽作品集の鮮烈なる印象が冷めやらぬ現代作曲家、ギュンター・ラファエル。彼の2番目の娘であるクリスティーネは、まことに才能あるヴァイオリニストでした。しかし、2008 年、彼女は重病を患いこの世を去ってしまいました。彼女は父ギュンターのヴァイオリン作品を全て演奏しており、この貴重な記録を後世に残すため、彼女の夫フレデリックによりアルバム化されたものです。1959 年に書かれた、12 音技法を用いつつも官能的な香りが漂う協奏曲、少し諧謔的な二重奏曲集、など魅力ある作品が並びます。ヴァイオリンと他の様々な楽器の溶け合う音色は、この作曲家の音へのこだわりが感じられることでしょう。
777463-2
\2600
メンデルスゾーン(1809-1847):2 台ピアノのための協奏曲集
 1.2 台ピアノのための協奏曲第 1 番ホ長調/
 2.2 台ピアノのための協奏曲第 2 番変イ長調
ピアノ・デュオ・ジェノヴァ&ディミトロフ/
ミュンヘン放送管弦楽団/
ウルフ・シルマー(指揮)
1823 年から24 年に書かれた2 曲の「2 台ピアノのための協奏曲」です。裕福な家に生まれたメンデルスゾーンは、最高の音楽教育を施されたことでも知られ、幼い頃から神童の呼び名をほしいままにしていました。12 歳の彼は、家族に連れられてワイマールに赴き、ゲーテを訪問します。そして行く先々でコンサートを開き、聴衆の熱狂させました。このピアノ協奏曲は14歳から15 歳の頃に書かれたものです。父親主宰の日曜コンサートでフェリックスとファニー姉弟によって演奏された後は、ほとんど忘れられてしまい、彼の生前にはあまり演奏されることがなかった作品ですが、瑞々しいロマンティシズムに溢れた美しいもので、もっと聴かれてもよい曲でしょう。
777589-2
\2600
ヨハン・ヘリミッヒ・ローマン(1694-1758):ドロットニングホルムの音楽集
 高貴なる結婚式のための音楽
アンサンブル・1700・ルンド/
イョラン・カールソン(指揮)
2010 年6 月19 日、スウェーデンのヴィクトリア王女の結婚式が執り行われました。このアルバムはその歓びの日を記念してリリースされたものです。収録されているのは、スウェーデンのバロック期の大作曲家として知られる、ヨハン・ヘリミッヒ・ローマン(ユーハン・ヘルミク・ルーマン)の作品です。どれも宮廷で演奏されるのにふさわしく、陽気で華やかな舞踏曲と、荘厳な行進曲が含まれています。躍動的な演奏を聴かせるのは、オリジナル楽器による団体「アンサンブル・1700・ルンド」です。若き奏者たちの溌剌とした演奏は祝典ムードを盛り上げます。
777496-2
\2600
パヌフニク(1914-1991):交響的作品集第 2 集
 1.素朴な交響曲(交響曲第 1 番)/
 2.フルートとハープ、弦楽のための協奏交響曲(交響曲第 4 番)/
 3.ポロニア/4.子守歌
アンナ・シコルザク=オレク(ハープ)/
ルーカス・ドゥルゴス(フルート)/
ポーランド放送交響楽団/
ルーカス・ボロヴィツ(指揮)
ワルシャワ生まれ。1932 年から1936 年までワルシャワ、パリ、ウィーンの音楽院に学び、若手の指導にも尽力したポーランドの大作曲家パヌフニクの交響的作品集第2 弾です。彼は10 曲の交響曲を残しましたが、そのほとんどに副題が付けられていて、どれもが示唆に富んだ複雑な構成を持っています。とはいえ、「私の音楽の根源にはポーランドの北部地方の芸術があり、長く厳しい冬の風景(そこに働く農夫たちの姿)と、美しく素朴な田園風景が反映されている」と自身が語るように、静謐で大規模な作品には、そのような原始的な一面も隠されているのでしょう。快活な第1 番の交響曲、楽器編成こそモーツァルトを思わせるものの、曲の表情は静かで儀式めいた第4 番の交響曲、とどちらもユニークな作品です。
777207-2
\2000
ジュスティーニ(1685-1743):
 ツィンバロ・ディ・ピアノのためのソナタ集(フローレンス 1732 年)
  1.ソナタ第 1 番/2.ソナタ第 2 番/3.ソナタ第 7 番/
  4.ソナタ第 8 番/5.ソナタ第 10 番/6.ソナタ第 11 番
ヴォルフガンク・ブルンナー(フォルテ・ピアノ…クリストフォリ・コピー)
ジュスティーニの経歴については、いくつかの教会のオルガニストであったという事以外、あまり知られていません。これらの作品は、フォルテ・ピアノのための残存する最初のソナタとみなされています。フォルテ・ピアノは1700 年の初めにチェンバロ制作者のクリストフォリによって制作され、弦をひっかくチェンバロとは違い、ハンマーで弦を叩くフォルテ・ピアノは鍵盤楽器の可能性を飛躍的に拡大しましたが、最初の頃は値段が高く、なかなか広まらず、1711 年にフランチェスコ・スキピオーネによって雑誌に紹介され、ようやく少しずつ普及していきました。そんな中、このジュスティーニはフォルテ・ピアノのためのソナタを書き、当時は広く知れ渡ることはなかったものの、次世代には大きな影響を与え、後の疾風怒濤期のソナタへと続いていくのです。
777595-2
(3CD 2枚価格)
\5200→¥4790
「音楽新時報」でシューマンが見出した新しき才能たち
 メンデルスゾーン、ヘンゼルト、シュポア、モシェレス、
 ポーリーヌ・ガルシア=ヴィアルド、キンケル、シェーファー、
 J.S.バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ウェーバー、クララ・シューマン、
 そしてシューマン自身の作品集
様々な演奏家
シューマンの生誕200年を記念して発売されるこの3枚組のアルバムは、評論家としての彼の活動に光をあてるものです。新音楽時報(Die Neue Zeitschrift fur Musik)は、ドイツで現在でも発行されている隔月刊の権威ある音楽雑誌ですが、これを創刊したのがシューマンであることは多くの人がご存知でしょう。創刊されたのは1834年4月で、初代主筆はユーリウス・クノルでしたが、記事のほとんどはシューマンが書いていました。その翌年、出版元が変わり、それに伴いシューマンが主筆となり、多数の評論文を発表し、独特の文体とその慧眼で多くの才能を世に出したのです。1843年6月に彼が去ってからも多くの才能を紹介し続け、現在に至っているのです。このアルバムは、1834年から1843年の間に彼が紹介した39人の男性、及び女性作曲家たちの歌曲、ピアノ曲、器楽作品、そして合唱作品を集めたものです。19世紀初めの音楽の流行から、不朽の名作が誕生する瞬間まで様々な角度から楽しむことができます。
777521-2
\2000
シューマン(1810-1856):男声合唱のための合唱曲全集
 1.主人の名誉を作るW.O.17/2.6つの歌Op.33/
 3.3つの歌Op.62/4.3つの遺作/
 5.カノン風リトルネッロOp.65/6.狩の歌Op.137
ジンクフォニカー
シューマンは男声合唱のために5つの歌曲集を書きました。そのうち3つは政治的な色合いが強いものです。例えば、「狩の歌」Op137の作詞者ハインリッヒ・ラウベは、当時ドイツで最も自由主義な気風で知られた「青年ドイツ派」の詩人であり、ハイネの友人でした。このグループはあまりにも政治に批判的な作品ばかりを発表していたため、1835年ドイツ連邦議会により、作品の発禁処分を受けてしまいます(ハイネもやり玉に挙げられました)そんな先進的なラウベの考え方に共感を抱いたシューマンは、敢えて彼らの詩を用いて勇壮な男声合唱を仕上げます。それはシューマン自身の愛国心の表れでもあり、また、間接的な政治批判ともなっているのです。男声のみによる高らかな雄叫び、そして深い瞑想。これらを名手たちの集まりであるジンクフォニカーが見事に歌いあげています。
777351-2
(2CD)
\5200
ダンツィ(1763-1826):交響曲全集
CD1:交響曲P.222,220,218/
CD2:交響曲P.223,221,219
スイス・イタリア語放送管弦楽団/
ハワード・グリフィス(指揮)
ダンツィは1763年に生まれ、マンハイム、ミュンヘン、シュトゥットガルト、カールスルーエの宮廷楽団員として活躍し、バイエルン宮廷楽団では首席チェリストを務めたほどの名手でした。若き頃モーツァルトに出会ってからは、一生敬意を持ち続け、ベートーヴェンと同世代であったにも関わらず劇的な作品を書くことはせず、あくまでも上品でまろやかな作品を書き続け、その作風はウェーバーへと引き継がれたのです。現在では、管楽器を中心とした室内楽の作曲家としてのみ広く知られていて、とりわけ木管五重奏では各楽器の扱いには目を見張るものがあります。しかし、本当のところは当時の主要ジャンル・・・歌劇、教会音楽、交響曲、管弦楽曲、協奏曲などに数多くの作品を書いており、もっと高く評価されても良い人なのではないでしょうか?このアルバムに収録された交響曲集も、古典派からロマン派への橋渡しとしての役割を背負った重要な作品群です。快活な響きが耳を楽しませてくれることでしょう。
777462-2
\2600
ハッセ(1699-1783):宗教作品集
 1.テ・デウム ニ長調/2.聖母マリアのためのリタニアヘ短調/
 3.神のみ母よハ短調/4.タントゥム・エルゴ変ホ長調/
 5.タントゥム・エルゴハ短調/6.天の女王ニ長調
バルバラ・クリスティーナ・ストイデ(ソプラノ)/
スザンヌ・ラングナー(アルト)/
ゲオルグ・ポプルツ(テノール)/
マティアス・ルッツェ(バス)/
ザクセンヴォーカルアンサンブル/
バツドルファー・ホーフカペレ/
マティアス・ユング(指揮)
ハンブルク近郊に生まれたハッセは、1723年にオペラ『アンティゴノス』をもって作曲家デビューを果たし、イタリアへ行き、アレッサンドロ・スカルラッティと友好を深めます。少しずつ名声をあげ、1730年代にはヘンデルに比肩する作曲家とまで高く評価され、120ものオペラを書いたのですが、その作風は18世紀の聴衆たちには受け入れられることなく、いつの間にか歴史上から忘れ去られてしまったのです。今日では、彼は宗教音楽の大家として知られています。教会の礼拝のために書かれた数多くの作品、とりわけ1751年に作曲された「テ・デウム」は中央ヨーロッッパの至るところで演奏され、「ドレスデン・テ・デウム」として知られるようになります。その曲を含む敬虔で神聖な作品を聴いてみてください。
777394-2
\2000
ヴァインベルク(1919-1996):弦楽四重奏曲集第4集
 1.弦楽四重奏曲第5番Op.27/
 2.弦楽四重奏曲第9番Op.80/3.弦楽四重奏曲第14番Op.122
ダネル弦楽四重奏団
ヴァインベルクの第4集の弦楽四重奏曲集です。第5番は彼がモスクワに滞在していた時に書かれた曲で、各々の楽章は「メロディー、ユーモレスク、スケルツォ、即興、セレナーデ」と題されています。この曲と第9番はショスタコーヴィチの影響が多分にあり、重苦しさと苦々しさに満ちています。暗い曲がお好きな人にはぜひオススメしたい逸品です。第14番の四重奏曲は、彼は新たな創造の旅に出かけたようです。切れ目のない5つの楽章は、それぞれ関連づけられながらも、完全に異なるキャラクターを持っていますが、ヴァインベルクはそれらを明確に提示することはありません。イメージを膨らませてお聴きください。演奏はダネル弦楽四重奏団です。いつものことながら緊密なアンサンブルを聞かせます。
777594-2
(2CD)
\5200
ハンブルクの聖なる音楽集1600-1800年
 カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ(1714-1788):
  ハンブルク四半期の音楽
CD1:
 1.今、すべての神に感謝するH 805(復活祭のための音楽)/
 2.主よ、我らを教えたまえH817(聖霊降臨の祝日のための音楽)/
CD2:
 1.見よ、私はあなたの言いつけを熱望するH 812
  (ミカエル祭のための音楽)/
 2.栄光は神の高みにH 811(クリスマスのための音楽)
ヒンムリッシュ・カントライ/
レザミ・ド・フィリップ/
ルトガー・レミー(指揮)
バッハの次男であるC.P.E.バッハは、20代の頃、ベルリンの宮廷楽団員としてフリードリヒ国王に仕え、多くの鍵盤楽器のための作品を書きました。しかし、1768年にテレマンの後任としてハンブルクの宮廷楽長に就任、ここでは夥しい数の宗教作品を書いています。このアルバムに収録されているのはハンブルクの5つの重要な教会のために書かれた4つの作品です。これらは慣習的なカンタータとは異なり、教会の特定の行事のために書かれているもので、その日(日曜日)が来ると5つの教会で一斉に演奏されたのです。どの曲も3本のトランペット、ティンパニー、そしてオルガンを含む華やかな響きを有していますが、曲は使いまわしも多く、それは彼自身の作品であったり、父バッハの作品であったりと、それを探すのもなかなか面白いかと思います。

TWO PIANISTS

新レーベル「Two Pianists」の取り扱いを開始いたします。
ニーナ・シューマン、ルイス・マガリャアエスという二人のピアニストによって、南アフリカの古都ステレンボッシュに創立された同レーベルは、南アフリカでも最も有名なレコーディング・エンジニアグループ「ゲルハルト・ルー・オーディオ・キャプチュア」とパートナーシップを結び、録音を開始しました。このレーベルの活動は、ニーナ・シューマン、ルイス・マガリャアエスが共に教鞭をとるステレンボッシュ大学音楽学部の通年プロジェクトの一環でもあり、同大学のリサイタルホールをレコーディングに使用しています。設立当初は2台ピアノのための作品を中心にカタログを構成する計画でしたが、現在はそのカテゴリーを広げつつあり、新進ピアニストのフランソワ・デュ・トワや、バーミンガム市交響楽団で副首席を務めているステレンボッシュ出身のヴァオリニスト、ゾー・ベイヤースとレーベル契約を交わすなど、積極的な展開を見せています。
TP-1039015
\2600
ヴィヴァルディとピアソラの「四季」
 1-3.ヴィヴァルディ(1678-1741):
  ヴァイオリン協奏曲ホ長調 「春」Op. 8 No. 1/
 4.ピアソラ(1921-1992):ブエノスアイレスの四季-
  第2番ブエノスアイレスの夏/
 5-7.ヴィヴァルディ(1678-1741):
  ヴァイオリン協奏曲ト短調 「夏」 Op. 8 No. 2/
 8.ピアソラ(1921-1992):ブエノスアイレスの四季-
  第3番ブエノスアイレスの秋/
 9-11.ヴィヴァルディ(1678-1741):
  ヴァイオリン協奏曲ヘ長調 「秋」 Op. 8 No. 3/
 12.ピアソラ(1921-1992):ブエノスアイレスの四季-
  第4番ブエノスアイレスの冬/
 13-15.ヴィヴァルディ(1678-1741):
  ヴァイオリン協奏曲ヘ短調 「冬」 Op. 8 No. 4/
 16.ピアソラ(1921-1992):ブエノスアイレスの四季-
  第1番ブエノスアイレスの春
ダニエル・ローランド(ヴァイオリン、指揮)/
ステレンボッシュ・カメラータ
ロンドン生まれアムステルダム育ちのソロイスト、ダニエル・ローランドのデビューアルバム。ヴィヴァルディとピアソラの「四季」を交互に配置しリピート再生で循環する曲の配列を採っています。「NO RISK, NO MUSIC」とローランド本人が語るように、非常に大胆な弓さばきで叩き弾くような挑戦的な演奏スタイルですが、ビブラートを極力排してピリオド楽器的にアプローチしているこのヴィヴァルディは繊細さをも兼ね備え、爽快な空気感を醸し出しています。2010年秋には南アフリカツアーが決定しており、この「四季」も主要レパートリーとして組み込まれる予定で、今後の更なる活躍に期待がかかる新鋭ヴァイオリニストです。また、このアルバムはMTN南アフリカ・ミュージック・アウォードにて最優秀ポピュラー・クラシカル・アルバム賞も受賞しています。録音 2008年9月19日-21日南アフリカ、ステレンボッシュ大学フィスマーホール
TP-1039022
\2600
パガニーニの主題による変奏曲
 1-30.ブラームス(1833-1897):
  パガニーニの主題による変奏曲Op.35
   (レンツォ・シルヴェストリによる2台ピアノ編)/
 31.ルトスワフスキ(1913-1994):
  2台ピアノのためのパガニーニの主題による変奏曲/
 32-34.アレンスキー(1861-1906):組曲第1番Op.15/
 35-39.アレンスキー(1861-1906):組曲第2番『シルエット』Op.23/
 40.コープランド(1900-1990):エル・サロン・メヒコ
  (レナード・バーンスタインによる2台ピアノ編)
ニーナ・シューマン(ピアノ)/
ルイス・マガリャアエス(ピアノ)
ベーゼンドルファーモデル280使用
レーベル設立者であるニーナ・シューマンとマガリャアエスによるパガニーニの変奏曲集。有名なブラームスの変奏曲をイタリア・ピアノ界の大御所レンツォ・シルヴェストリが2台ピアノ用に編曲した楽譜を採用しています。2台ピアノだからこそ可能な強弱の表現が印象的で、音がかち合うことなく見事にブレンドされています。また、1941年に若き日のルトスワフスキが書いた「パガニーニ変奏曲」は、ワルシャワのカフェで作曲家による初演という記録が残っており、どこかジャジーな薫りのするオシャレな作品です。録音 2008年6月16日-20日南アフリカ、ステレンボッシュ大学エンドラーホール
TP-1039039
(2CD)
\3400
ラフマニノフ:ピアノ・デュオ作品全集
DISC1:
 1-4.組曲第1番「幻想的絵画」 Op. 5/
 5-8.組曲第2番ハ長調 Op. 17/
 9.幻想小曲集Op. 3-2 前奏曲嬰ハ短調 「鐘」(2台ピアノ編)/
 10.イタリア・ポルカ(エイダ・ブラント編曲)/
 11-12.ロシア狂詩曲(モーリス・ヒンソン編曲)/
DISC2:
 1-3.交響的舞曲Op. 45(2台ピアノ編)/
 4-9.6つの二重奏曲Op. 11
ニーナ・シューマン(ピアノ)/
ルイス・マガリャアエス(ピアノ)
ベーゼンドルファーモデル280使用
2006年にテスト版としてリリースされた一枚。このラフマニノフがヨーロッパで高い評価を受け、レーベルの正式な発足に繋がりました。ラフマニノフの2台ピアノ作品を収録したCDはそのほとんどが組曲と交響的舞曲のみの組み合わせで、それ以外の2台ピアノ作品を収録したディスクは稀有です。この2枚組に収録された前奏曲「鐘」も、その曲の知名度と相反するかのようにCD音源は希少で、なかなかお目にかかるチャンスもありませんが、ソロ・ピアノ版とは違った味わいがあり、是非ともチェックしておきたいところ。ポルトガルのディアリオ・デ・ノティシャス紙のレビュアー、ベルナルド・マリアーノ氏は「まるで1台のピアノで弾いているようなアンサンブル。それでいて2人分のエッセンスがしっかり溶け込んでいる」と大絶賛しています。録音 2006年1月7日-13日南アフリカ、ステレンボッシュ大学エンドラーホール

NAXOS 1CD¥1100

8.559648 セレブリエール:交響曲第 1 番他
 1.交響曲第 1 番(1956)/
 2.「ヌーヴ」-コントラバス協奏曲(1971)…世界初録音/
 3.ヴァイオリン協奏曲「冬」(1991)/
 4.タンゴ・イン・ブルー(2001)/5.ほとんどタンゴ/
 6.日没に彼らは道をゆく-架空の映画のための音楽…世界初録音
ボーンマス交響楽団&合唱団(2,6 のみ)/
ホセ・セレブリエール(指揮)
ウルグアイ出身の作曲家=指揮者セレブリエール(1938-)。彼の自作自演集も第3 集となりました。このアルバムに収録された第1 番の交響曲は、彼が18 歳の時の作品。当時、故郷ウルグアイで青年オーケストラを率いていた頃の意欲的な表現が垣間見えます。彼自身の言葉によれば、「1960 年代と70 年代では作曲スタイルの変化こそあれ、そこに込められたメッセージは同じ」とのことですが、確かに様々な年代に書かれた作品を並べて聴いてみると、その根底に横たわるのは感傷的な心と、濃厚な大気の香り、そして情熱的なリズムでしょうか。第1 集(8.559183)と第2 集(8.559303)もご一緒にいかがでしょうか?
8.570703 パガニーニ:作品集(フリッツ・クライスラーによるヴァイオリンとピアノ編曲版)
 1.ヴァイオリン協奏曲第2 番ロ短調 Op.7 より
  第3 楽章ロンド「ラ・カンパネッラ(鐘)」/
 2.ロッシーニの「シンデレラ」のアリア「悲しみよ去りゆけ」による序奏と変奏曲 Op.12/
 3.常動曲ハ長調 Op.11/
 4.24 のカプリース Op.1 より第13 番変ロ長調/
 5.24 のカプリース Op.1 より第20 番ニ長調/
 6.魔女たちの踊り Op.8/
 7.24 のカプリース Op.1 より第24 番イ短調/
 8.ロッシーニの「タンクレディ」の
  アリア「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲 Op.13
フィリップ・クイント(ヴァイオリン)/
ドミトリー・コーガン(ピアノ)
パガニーニ(1782-1840)とクライスラー(1875-1962)。悪魔的で謎めいたパガニーニと、陽気で気さくなクライスラーと性格上は全く違うようでしたが、2 人ともヴァイオリンの天才であったことは間違いありません。彼らはどちらも世界中を旅し、その妙技で聴衆を熱狂させました。この2 人の才能が融合したこれらの作品、聴いていて楽しいことこの上ありません。冒頭の「ラ・カンパネッラ」も、原曲が一層パワーアップ。驚くこと間違いなしです。ロッシーニの作品による変奏曲も眩いばかりの演奏効果をもたらします。名手クイントの超絶技巧と柔軟な感性にも目を見張ることでしょう。
8.572336 ショパン:ピアノ協奏曲第 2 番ヘ短調 Op.21
(ショパン・ナショナル・エディション原典版使用)
 1-3.ピアノ協奏曲第 2 番ヘ短調 Op.21/
 4-11.「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」による変奏曲変ロ長調 Op.2/
 12-13.アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ Op.22
エルダー・ネボルシン(ピアノ)/
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指
揮)
第1 番(8.572335)に続く、ショパン(1810-1849)の新原典版による第2 番の協奏曲です。こちらも、演奏者はヴィトとネボルシン。既存の版との聴き比べも楽しいですし、ただただ演奏に浸るのもいいでしょう。ヴィトはショパンのスコアを、まるでマーラーのように重厚に響かせ、聴き手に多大なる満足を与えてくれます。カップリングの2 曲も素晴らしい演奏。どうしても技術面が空回りしがちな初期の作品が、堂々とした名曲として立ち現れます。「アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ」のオーケストラパートも、占める割合は少ないとは言え、強烈な存在感を示しています。
8.572236 タイベルク:交響曲第 3 番&ピアノ三重奏曲
 1-4.交響曲第 3 番(1943)/
 5-7.ピアノ三重奏曲ヘ長調(1935-36)
バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団…1-4/
ジョアン・ファレッタ(指揮)…1-4/
ミヒャエル・ルートヴィヒ(ヴァイオリン)…5-7/
ローマン・メキヌコフ(チェロ)…5-7/
チャン・ヤ=フェイ(ピアノ)…5-7
ウィーン生まれの作曲家タイベルク(テュベルク)(1893-1944)。彼は、母親がピアニスト、父親はヴァイオリニストという音楽一家にうまれ、幼い頃から音楽家になることを運命付けられたような人でした。この交響曲第3 番は移住先であるアバツィア(現クロアチア領オバツィア)で1943 年書かれたもので、マーラーの第7 番の交響曲を思わせる重厚な作品となっています。当時、ムッソリーニの失脚により、イタリアはナチス・ドイツの支配下におかれたため、アバツィアに住むタイベルクもその影響を受けざるを得ませんでした。彼自身もユダヤの血を引いていたため、その翌年アウシュビッツに送還され悲劇の死を遂げることになってしまったタイベルク。しかし彼の作品は、ヤン・クーベリックの息子ラファエルに拠って演奏され、忘却の淵に沈むことは避けられたのです。
8.572089 ヴィット:交響曲ハ長調「イェーナ」他
 1-4.交響曲ハ長調「イェーナ」/
 5-8.交響曲 イ長調/9-11.フルート協奏曲ト長調 Op.8
パトリック・ガロワ(フルート&指揮)/
シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ
ベートーヴェンと同じ年に生まれたドイツの作曲家、チェリスト、ヴィット(1770-1836)の交響曲をどうぞ。これを聴いたらあまりの素晴らしさに打ちのめされること間違いありません。彼はカントールの息子として生まれ、ロゼッティに学び、チェロ奏者として活躍、1793 年と1794 年にはクラリネット奏者のヨゼフ・ピールとともに演奏旅行をし、1796 年にはウィーンで大喝采を浴びました。ヴュツルブルク劇場の音楽監督も務め、劇場用に多くのオペラを書きましたが、残念なことにそのほとんどは失われてしまったのです。知名度こそありませんが、これらの楽曲の楽しい事。音が艶々し、どこもかしこもぴかぴか磨きあげられているかのようです。
8.559655 クーマン:夢見るナンタケット島
 1.夢見るミアコメット Op.781/
 2.夢見るノバディール Op.784/
 3.ファゴット五重奏曲 Op.764/
 4.夢見るマダケットOp.774/
 5.夢見るショウケモ Op.811/
 6-11.抒情三重奏曲 Op.710/
 12-13.夢見るサンカティ(弦楽四重奏曲第 4 番) Op.461/
 14.フライング・マシーン Op.775 ※全て世界初録音
クリストファー・ゲッカー(フリューゲル・ホルン…2、ホルン…6-11)/
ローマン・メシーナ(ファゴット)…3/
ツヴィーベル・クァルテット…3.12-13/
ジェフリー・グロスマン(ピアノ)…4.6-11/
エマニュエル・フェルドマン(チェロ)…6-11/
ボフスラフ・マルティヌー・フィルハーモニー管弦楽団…5/
スロヴァキア・ナショナル交響楽団…1.14/
カーク・トレヴァー(指揮)…1.5.14
相変わらず作品数の多すぎる、アメリカの若き作曲家クーマン(1982-)の最新盤です。今作は、米国のマサチューセッツ州ケープ・コッドの南30 マイルに位置する、素晴らしい景観を誇るナンタケット島を題材にした組曲を中心にした興味深い1 枚です。クーマンはこの作品を仕上げるのに7 年の歳月を要し、移ろいゆく美しい景色と風、海の色までを曲に閉じ込めたのです。抒情三重奏曲や、フライング・マシーンは直接の関係こそ示唆されていませんが、やはりこの「ナンカケット」絡みであろうことは、曲の色彩感などから容易に想像されることでしょう。
8.572156 マルケヴィチ:管弦楽作品全集第 6 集
 ある男の彫刻
  <1.前奏曲/2.装飾されたコラール/3.ソナタⅠ:レント/
 4.ソナタⅡ:アンダンティーノ/5.ソナタⅢ:スケルツォ/
 6.ソナタⅣ:ロンド>
MARCO POLO 8.225054 より移行盤
ルーシー・シェルトン(ソプラノ)…2.4.6/
アルンヘム・フィルハーモニー管弦楽団/
クリストファー・リンドン=ジー(指揮)
マルケヴィチ(1912-1983)の管弦楽作品第6 集は、当時、創作力の頂点にあった彼の渾身の作である「ある男の彫刻」を収録。スイスの詩人、小説家であるチャールズ・フェルディナント・ラミュ(ストラヴィンスキーの「兵士の物語」も彼の台本による)のテキストを用いて1939 年に書かれたものの、1982 年、マルケヴィチの死の直前までタイトルすら付けられていませんでした。マルケヴィチはストラヴィンスキーの作品をこよなく愛し、彼の指揮した「兵士の物語」は今でも永遠の名盤として語り継がれていますが、自作の方は第2 部も書かれることなく忘れ去られてしまったのです。緊張感溢れるドラマ仕立ての音楽。身の毛のよだつほどの迫力です。
8.572503 イギリスのリコーダー音楽集
 1-4.レイン(1950-):古風な組曲/
 5-7.アーノルド(1921-2006):
  リコーダーのためのコンチェルティーノ Op.41a(F.レーン編)/
 8-10.ピットフィールド(1903-1999):リコーダー協奏曲/
 11-13.グレグソン(1945-):
  リコーダー、弦楽ハープと打楽器のための「3つのマティスの印象」/
 14-16.ライオン(1938-):リコーダーのためのコンチェルティーノ/
 17-19.ピットフィールド:
  リコーダーと弦楽合奏のための「3 つの海の上のスケッチ」/
 20-21.パロット(1916-):前奏曲とワルツ/
 22-26.バラード(1947-):レシピ
ジョン・ターナー(リコーダー)/
ロイヤル・バレエ・シンフォニア/
ギャヴィン・サザーランド(指揮)…1-10.14-26/
エドワード・グレクソン(指揮)…11-13
リコーダーと言えば、ルネッサンスの時代から変わることのない極めてシンプルな楽器です。しかしそこから出てくる音の多彩なこと。ここではそんな楽器のために書かれた現代の作品をご紹介いたしましょう。この録音のために編曲されたアーノルドのコンチェルティーノや、レイン作曲の「古風な組曲」、これらを始めとした数々の作品は、現代的な響きの中に、どこか鄙びた懐かしさを秘めた味わいです。
8.570877 ガローファロ:ヴァイオリン協奏曲・ロマンティック交響曲
 1-3.ヴァイオリン協奏曲/
 4-7.ロマンティック交響曲
MARCO POLO 8.225183 移行盤
セルゲイ・スタドラー(ヴァイオリン)…1-3/
新モスクワ交響楽団/
ジョエル・スピーゲルマン(指揮)
マリピエーロやカセッラ、ピッツェッティと同じ時期に生まれたイタリアの作曲家ガローファロ(1886-1962)の作品です。若き頃は神童ともてはやされ、多くのオルガン作品や宗教曲を作曲した人ですが、あまり表だった活動をしなかったため、すっかり忘れ去られてしまったという良くあるパターン。そんな作曲家を忘却の彼方から掬いあげたのがアメリカの作曲家=指揮者、スピーゲルマンだったのです。彼は1994 年のモスクワ公演でこの作曲家の「ロマンティック交響曲」を演奏。聴衆から大絶賛されたのでした。ずっとMARCOPOLO レーベルで安定した人気を誇っていた魅力的なアルバムですが、この度NAXOS に再登場。確かに一度聴いたら忘れられなくなるほどの佳作です。
8.559657 ハーゲン:ピアノ三重奏曲全集
 1-4.ピアノ三重奏曲第 3 番「さすらいの旅人」/
 5-7.ピアノ三重奏曲第 1 番「トリオ・コンチェルタンテ」/
 8-11.ピアノ三重奏曲第 2 番「ジャンタン」/
 12-16.ピアノ三重奏曲第 4 番「天使の楽隊」
フィニステラ・ピアノ三重奏団
<メンバー>
パーク・クヮンビン(ヴァイオリン)/
ケヴィン・クレンツ(チェロ)/
ターニャ・スタムブク(ピアノ)
ミルウォーキー生まれの作曲家、ドラゴン・ハーゲン(1961-)は1980 年代から注目され、数々の作品の上演で成功を収め、今に至っています。彼のピアノ三重奏曲はとりわけ音楽性が高く、どの曲も特筆すべき美点を持っています。第1 番は少々実験的ではありますが、研ぎ澄まされた音形と、精巧に仕組まれたパッサカリアが見事。第2 番はナディア・ブーランジェの最後の言葉からインスピレーションを受けており、第3 番はアメリカ民謡に基づいた美しい仕上がり。そして第4 番は彼が敬愛するヴァイオリニスト、ジョイス・リッチー・ストローサルのために書かれています。
8.559650 目覚め-現代アメリカのギターを含む室内楽曲集
 1-3.カーニス(1960-):2 つの目覚めと2 組の子守歌(2006)/
 4.リデルマン(1957-2008):熟成した音(2007)/
 5.マッケイ(1956-):波乱の測定(2006)
ヒラ・プリットマン(ソプラノ)…1-3/
アクセル・シュトラウス(ヴァイオリン)…1-3/
アーロン・ジェイ・カーニス(ピアノ)…1-3/
ラテンアメリカ四重奏団…4/
サンフランシスコ音楽院ギター・アンサンブル…5/
ディヴィッド・タネンバウム(ギター…1-5)(指揮…5 のみ)
現代アメリカの 3 人の作曲家によるギターを用いた室内楽曲集です。この新鮮な響きをとくとお楽しみください。カーニスの美しい歌曲集は、彼自身の「最愛の双子」の子どもたちのために書かれたもの。ソプラノのプリットマンはコリリアーノ作品で先鋭的な歌唱を聴かせた人ですが、ここでは一転、愛情溢れる表情を見せてくれます。リーダーマンの作品は極めて躍動的なギターと弦楽四重奏のための曲であり、またマッケイの作品はタイトル通り、聴き手の感覚を狂わせるような、この世のものとも思えないような不思議な世界を創り上げています。
8.572038 リース:フルートとピアノのための作品集
 1-3.感傷的なソナタ Op.169/
 4.序奏とポロネーズ Op.119/
 5-7.フルートとピアノのためのソナタト長調 Op.87/
 8-14.ポルトガルの讃歌による変奏曲 Op.152-1
ウーヴェ・グロット(フルート)/
マッテオ・ナポリ(ピアノ)
ベートーヴェンの弟子であり、また古典派とロマン派を繋ぐ作曲家として人気の高いリース(1784-1838)。彼は交響曲作家、あるいはピアノ曲の作曲家として良く知られていますが、室内楽もなかなか素晴らしいものを残しています。その中で、フルートの小品は、主に教養あるアマチュア演奏家のために書かれたもので、魅惑的なメロディと煌めくようなピアノ伴奏が魅力です。これらの4 つの作品は彼がイギリスへ旅行した頃(1813-1823 年)の作品とされ、極めて充実した内容を持っています。当時はこのような作品が数多く書かれたのでしょうが、やはりベートーヴェンの弟子たるプライドもあったのでしょうか。単なる技巧的な作品だけでは終わらないところがさすがです。
8.572368 ボッケリーニ:6 つのチェロ・ソナタ(A.ピアッティ編)
 1-3.チェロ・ソナタ第1 番イ長調 G.13/
 4-6.チェロ・ソナタ第2 番ハ長調 G.6/
 7-9.チェロ・ソナタ第3 番ト長調 G.5/
 10-12.チェロ・ソナタ第4 番変ホ長調 G.10/
 13-15.チェロ・ソナタ第5 番ヘ長調 G.1/
 16-18.チェロ・ソナタ第6 番イ長調 G.4
フェドール・アモソフ(チェロ)/
スン・ジェンル(ピアノ)
1771 年にロンドンで発表されたこの6 曲のソナタは、本来チェロと通奏低音のために書かれていました。それを1870 年代にイタリアの名チェリスト、アルフレード・ピアッティがチェロとピアノのために編曲。彼自身が素晴らしい技巧の持ち主だったせいもあり、もともと聴き応え(弾き応え)たっぷりの原曲が、一層輝かしい作品へと変身しています。ボッケリーニ特有の滑るようなパッセージはそのまま、竹を割ったような決然とした響きが耳にも新鮮です。ここで演奏するロシア出身のチェリスト、アモソフは、2007 年クヌシェヴィツキー・コンクールを始めとした多くの国際コンクールの覇者。若々しく溌剌とした音色で聴き手を魅了します。
8.572425 アルウィン:室内楽作品集
 1.クラリネット・ソナタ/2-4.オーボエ・ソナタ/
 5-8.ヴィオラ・ソナタ…世界初録音/
 9-11.オーボエとハープのための組曲/
 12-15.弦楽三重奏曲/
 16-23.対話
  <前奏曲/ロマンス/コラール/フゲッタ/アリオーソ/
  カリヨン/インテルメッツォ/カプリッチョ>
ロバート・プレーン(クラリネット)…1.16-23/
ルーシー・グールド(ヴァイオリン)…16-23/
ソフィア・ラーマン(ピアノ)…1-8.16-23/
サラ・フランシス(オーボエ)…2-4.9-11/
サラ・ジェーン・ブラッドリー(ヴィオラ)…5-8/
ルーシー・ウェイクフォード(ハープ)…9-11/
エルミタージュ弦楽三重奏団…12-15
膨大な作品を残したイギリスの作曲家アルウィン(1905-1985)。室内楽作品はその中でも重要な役割を占めることは間違いないでしょう。このアルバムには、1934 年から1962 年までに作曲された6 つの作品を収録しています。クラリネット・ソナタでは緩やかなメロディーが用いられていますが、その作風は後期になるに従って、少しずつ収斂し、より仄暗い世界へと傾いていくのです。まだ諧謔性のあるオーボエ・ソナタ、そして暗き雲が立ち込めるかのようなヴィオラ・ソナタなど、渋い音楽好きにはたまらない曲集でしょう。「対話」と称された短い8 つの曲は、無駄な物が一切ない、厳しく美しい世界です。
8.572467 マルティヌー:フルートを含む室内楽曲集
 1-4.フルート、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ H.254/
 5-7.フルートとピアノのためのソナタ H.306/
 8-12.ピアノと木管楽器のための六重奏曲 H.174/
 13-15.フルート、チェロとピアノのためのソナタ H.300
ハルデン・マーティンソン(ヴァイオリン)…1-4/
ジョン・フェッリロ(オーボエ)…8-12/
トーマス・マーティン(クラリネット)…8-12/
リチャード・ランティ(ファゴット)…8-12/
スザンヌ・ネルソン(ファゴット)…8-12/
ロンダ・ライダ(チェロ)…13-15/
フェンウィック・スミス(フルート)/
サリー・ピンカス(ピアノ)
チェコの作曲家、マルティヌー(1890-1959)の室内楽作品集です。フルートとヴァイオリン、ピアノのためのソナタH.254 は1936 年パリで作曲され、高名なるフルーティスト、マルセル・モイーズの妻に捧げられた曲です。コンパクトな4 つの楽章からなり、プーランク風の軽快さも感じさせます。H.306 のフルート・ソナタはナチス・ドイツの迫害を逃れ、ニューイングランドで書かれたもの。ニューヨークでは、クーセヴィッツキが彼を擁護し、落胆していたマルティヌーの力になったのです。ここで彼は、この土地固有の鳥の声(ヨタカ)に興味を持ち、終楽章ではその声が取り入れられています。1929 年に書かれた六重奏曲H.174 は12 月のパリを連想させる曲。民謡からジャズまで様々な音楽が聞こえてきます。1944 年に書かれた三重奏曲の自由な作風も期待通り。
8.572497 アイアランド:ヴァイオリン・ソナタ第 1 番&第2 番他
 1-3.ヴァイオリン・ソナタ第 1 番ニ短調/
 4-6.ヴァイオリン・ソナタ第 2 番イ短調/
 7-9.チェロ・ソナタト短調
ルーシー・グールド(ヴァイオリン)…1-6/
アリス・ニアリー(チェロ)…7-9/
ベンジャミン・フリス(ピアノ)
イギリスの実業家、ウォルター・ウィルソン・コベット(1847-1937)が開催した室内楽コンクールに入賞することは、当時のイギリスの若き作曲家たちにとって大きな励みとなりました。もちろんアイアランド(1879-1962)もそんな中の一人。彼は1907年のコンクールに作品(幻想トリオ)を提出し2 等賞を獲得。コベットから多くの言葉をかけてもらい、喜んだアイアランドはヴァイオリン・ソナタをコベットに献呈したのです。第1 番のソナタはどことなくフランス風の趣きを持った30 分を越える大作。とりわけ第2 楽章の幻想的なロマンスが耳に残ります。第2 番はさらに流動的なメロディが印象的な作品です。チェロ・ソナタは幅広く歌うチェロ・パートが美しく、各楽章の色合いの対比も楽しい曲です。
8.572630 期待の新進演奏家シリーズ/アンドラーシュ・チャーキ(ギター)
 1-6.J.S.バッハ(1685-1750):
  リュートのためのパルティータホ長調 BWV1006a/
 7-9.ブリテン(1913-1976):ダウランドによる夜想曲 Op.70
 <瞑想するように-非常に興奮して-休み無く-不安げに/
  行進曲のように-夢見るように-優しく揺れて/
 パッサカリア-ゆっくり、そして静かに>/
 10.デュアート(1919-2004):
  カタルーニャ民謡による変奏曲Op.25/
 11-14.カステルヌォーヴォ=テデスコ(1895-1968):
  ソナタ「ボッケリーニを讃えて」Op.77
アンドラーシュ・チャーキ(ギター)
ブダペストのリスト音楽アカデミーを2007 年に卒業し、現在は助教授として後進の指導を精力的に行っている若きギタリスト、アンドラーシュ・チャーキのデビュー盤です。彼は各地で開催される数多くのコンクールで賞を獲得しましたが、何よりも第51 回東京国際ギターコンクールで優勝したことで、既に日本のファンの間ではおなじみ。このアルバムに楽しみにしていた人も多いのではないでしょうか?ここでは、彼が得意とするバッハを始め、難曲として知られるブリテンの作品や、カステルヌォーヴォ=テデスコの作品とデュアートの作品を演奏、また新たな魅力を振りまいています。彼の持つ確固たる音楽性は、輝かしい将来を期待させてくれるでしょう。
8.559634 ロックバーグ:ピアノ作品集第 4 集
 1-5.カーニバルの音楽
  <ファンファーレと行進曲/ブルース/ラルゴ・ドロローソ/
  スフマート/トッカータ-ラグ>/
 6-9.4 つの短いソナタ/
 10.創作主題による変奏曲
サリー・ピンカス(ピアノ)
ロックバーグ(1918-2005)のピアノ作品集第4 集です。第3 集にもかなりメロディアスな作品が含まれていましたが、こちらはもっと大衆的(?)な肌触りが感じられることでしょう。「カーニバルの音楽」は、冒頭こそ現代的な響きですが、それを縫って聞こえてくるのは何とも楽しい音楽。ジャズ、ラグ、そしてブラームスやバッハの引用など、色とりどりです。「4 つの短いソナタ」は強烈な音のぶつかり合いが楽しめますが、音楽の構造はスカルラッティに由来します。そして「変奏曲」はまるで19世紀の音楽。ロックバーグは基本的にロマンティストだったに違いありません。
8.570745 D.スカルラッティ:鍵盤のためのソナタ全集第 12 集
 1.ソナタ変ホ長調 K.193/L.142/P.254/
 2.ソナタイ長調 K.368/L.S.30/P.506/
 3.ソナタ二長調 K.335/L.S.10/P.339/
 4.ソナタヘ短調 K.387/L.175/P.415/
 5.ソナタヘ長調 K.151/L.330/P.238/
 6.ソナタト長調 K.547/L.S.28/P.551/
 7.ソナタイ長調K.323/L.95/P.411/
 8.ソナタハ長調 K.309/L.454/P.333/
 9.ソナタヘ短調 K.185/L.173/P.121/
 10.ソナタヘ短調K.186/L.72/P.46/
 11.ソナタホ長調 K.163/L.63/P.206/
 12.ソナタト長調 K.425/L.333/P.426/
 13.ソナタト短調K.426/L.128/P.128/
 14.ソナタト短調 K.93/L.336/P.38/
 15.ソナタハ長調 K.330/L.55/P.222/
 16.ソナタへ長調K.257/L.169/P.138/
 17.ソナタホ長調 K.381/L.225/P.327/
 18.ソナタハ長調 K.241/L.1802/P.431/
 19.ソナタヘ長調K.469/L.431/P.514
ゲルダ・シュトゥルーハル(ピアノ)
生涯に 555 曲の鍵盤用ソナタを書いたドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)。このアルバムはNAXOS における第12 集の録音となります。このシリーズは今まで全て別の演奏家を起用しているのが特長で、ここではウィーン生まれの若手ピアニスト、ゲルダ・シュトルーハルが切れ味鋭い演奏を聴かせます。彼女はユトレヒトで初期の音楽教育を受け、パフォーミング・アーツ・ウィーン(UMPAV)で更に研鑽を積んだ人。古典派から現代音楽まで幅広いレパートリーを持つという才媛です。
8.570756 モンサルバーチェ:ピアノ作品集第 2 集
 1.ホアキン・トゥリーナの思い出によるアレゴリア(1982)/
 2-4.左手のための3 つの小品
  <モンポウの場合/オスカー・エスプラの思い出のための子守歌/
  ルービンシュタインのためのページ>/
 5-11.ノアの方舟
 <羊/おんどり/象/ノミ/猫/カンガルー/ワルツ>/
 12.シューベルティアーナ/13.秋の牧歌/
 14.ミロンガ/15.ヘネラリフェでの即興曲/
 16-20.5 つの自由な鳥の歌
 <すずめ/ナイチンゲール/クロウタドリ/フィード/カッコウ>/
 21.子守歌/
 22.オーリンクスの朝の歌/23.即興の要約/
 24-26.アルバイシン協奏曲
ホルディ・マソ(ピアノ)/
グラノジェルス室内管弦楽団…24-26/
フランシスコ・ギジェン(指揮)…24-26
20 世紀の最も重要な作曲家の一人、モンサルバーチェ(1912-2002)のピアノ作品集第2 集です。第1 集(8.570744)が彼の初期の作品を収録していたのに対し、こちらは後期の25 年間の作品を集めたもの。極めて興味深い曲が並んでいます。左手のための作品や技術的には比較的容易なのに、実は凄く表現が難しい「ノアの方舟」、などこの作曲家の自由な感性を存分に楽しむことが可能です。「5 つの自由な鳥の歌」は最初「かごに入れられた5 羽の鳥」というタイトルが付けられていたとのことですが、作曲家自身が変更したのだとか。フランスの先人メシアンの影響も強く感じられる作品です。
8.572160 ベートーヴェン:ピアノ変奏曲集
 1.創作主題による15 の変奏曲とフーガ「エロイカ変奏曲」Op.35/
 2.ハイベルのバレエ「妨げられた結婚」の
  「ヴィガノのメヌエット」の主題による12 の変奏曲 WoO68/
 3.ウラニツキーのバレエ「森の娘」からロシア舞曲による
  12 の変奏曲 WoO71/
 4.サリエリの歌劇「ファルスタッフ」の
  二重唱「まさにその通り」の主題による10 の変奏曲 WoO73/
 5.ジュースマイアーの歌劇「スレイマン2世、
  または3人のサルタン妃」による8つの変奏曲 WoO76/
 6.創作主題による6つの変奏曲ニ長調 Op.76
ユ・ヨンユク(ピアノ)
一つの主題を「これでもか」とばかりに変化、発展させ素晴らしい音楽を構築するのが「変奏曲」です。この分野が得意な作曲家って何となく凝り性で粘着系のイメージがありませんか?その最たる人が言わずと知れたベートーヴェン(1770-1827)(バッハやブラームスもそうですね)。彼の変奏曲はあまりにも見事で非のつけどころすらありません。このアルバムの中で最も有名な曲は第1 曲目のものでしょう。このテーマは交響曲第3 番「英雄」の終楽章として知られていますが、もともとはバレエ音楽「プロメテウスの創造物」からのメロディです。あの勇壮なテーマが15 の変奏曲となり耳を喜ばせてくれます。おまけに深遠なフーガまで付いてくるという豪華さ。全6 曲を楽しめば、満漢全席、もしくはフレンチフルコースの食べ放題くらいのお腹一杯感を味わえます。2007 年、ボンのベートーヴェン・コンクールで1 位を獲得した韓国のピアニストによる極上の演奏です。
8.572198 ガブリエリ:鍵盤音楽作品集
 1.第1 旋法のプラエアンブラ/
 2.第1 旋法のリチェルカーレ(第2 集)/
 3.クレキヨン:「はかない喜びのために」によるリチェルカーレ(第5 集)/
 4.第1 旋法のトッカータ/
 5.パッサ・メッツォ・アンティコによるカプリッチョ(第3 集)/
 6.ラッスス:「ある日シュザンヌが」によるカンツォーナ(第5 集)/
 7.「クイ・ラ・ディーラ」によるカンツォーナ(第6 集)/
 8.第9 旋法のトッカータ(第1 集)/
 9.第1 旋法のリチェルカーレ(第3 集)/
 10.第4 旋法のプラエアンブラ/
 11.第4 旋法のリチェルカーレ(第2 集)/
 12.クレキヨン:「フレイスとガイヤルド」によるカンツォーナ(第5 集)/
 13.フェラボスコ:「私は若い娘」によるマドリガーレ(第3 集)/
 14.第10 旋法のトッカータ(「トランシルヴァニア人」から)/
 15.第1 旋法のリチェルカーレ(第2 集)/
 16.リチェルカーレ・アリオーソ(第5 集)/
 17.第3 旋法のリチェルカーレ(第2 集)/
 18.カンツォン・アリオーサ(第3 集)/
 19.ローレ:「別れの時には」によるマドリガル(第3 集)
グレン・ウィルソン(チェンバロ)…1.2.4.5.7.8.10.11.13.14.15.17.19,(スピネット)…3.6.9.12.16.18
イタリアのルネサンス期において、最も影響力があったとされるジョヴァンニ・ガブリエリ(1532/33-1585)。彼の叔父にあたるのが、このアンドレア・ガブリエリです。彼の若い頃については、ほとんど知られていませんが、聖マルコ大寺院のオルガニストの座を争って敗れ、1557 年にヴェネツィア共和国カンナレジオ地区のオルガニストになったことはわかっています。イタリアの鍵盤音楽の発展に大きく寄与し、フーガ、リチェルカーレ、トッカータなどに優れた作品を残しています。合唱音楽を始め、多くの作品を残しましたが、自作の出版に対してはかなり慎重で、彼の作品が世に出回るようになったのは死後のことでした。華やかな中に落ち着きのある優雅な曲集です。
8.572124 ハイドン:ミサ曲第 4 集
 ミサ曲 第 8 番ハ長調「ミサ・チェレンシス」(マリアツェル・ミサ)Hob.XXII:8
 <1.キリエ/2-4.グローリア/5-8.クレド/
  9.サンクトゥス/10.ベネディクトゥス/
  11-12.アニュス・デイ>/
 ミサ曲第 10 番ハ長調「戦時のミサ」Hob.XXII:9
  <13.キリエ/14-16.グローリア/17-20.クレド/
  21.サンクトゥス/22.ベネディクトゥス/
  23-24.アニュス・デイ>
アン・ホイット(ソプラノ)/
キルステン・ゾレク=アヴェラ(アルト)/
ダニエル・ニール(テノール)
/リチャード・リポルド(バス)/
ニューヨーク・トリニティ教会合唱団/
ルベル・バロック管弦楽団/
オーウェン・バーディック(指揮)
マリアツェル修道院のために書かれたミサ曲「ミサ・チェレンシス」は1782 年に作曲されましたが、この当時ハイドン(1732-1809)はほとんどミサ曲を書くことがありませんでした。この曲より以前に書かれたのは1775 年頃の小オルガン・ミサですし、この曲の次に書かれたのは1796 年の「戦時のミサ」です。そのどちらも宮廷のために書かれたのではないところも面白いところです。曲は輝かしく大規模で、楽器の使い方などにも独自性があり、ハイドンの校訂者として名高いランドンはこの曲をとても高く評価しています。もう1 曲の「戦時のミサ」はオーストリアがナポレオンの脅威にさらされていた1796年に作曲されたもので、ティンパニの使い方が特徴的な名曲です。
8.559667 コープランド/オールドリッジ:クラリネット協奏曲集
 オールドリッジ:クラリネット協奏曲(2004)
  <1.軽く、速く/2.穏やかに、定常運動で/
   3.速く、大胆に生き生きと>/
 コープランド:クラリネット協奏曲(1948)
  <4.Ⅰ.ゆっくり表情豊かに/5.Ⅰ.カデンツァ(自由に)/
   6.Ⅱ.やや速く>/7.オールドリッジ:サンバ(1993)
デイヴィッド・シンガー(クラリネット)/
ア・ファー・クライ…1-6/
上海クァルテット…7
オルフェウス室内管弦楽団で長年活躍してきたクラリネット奏者、デイヴィッド・シンガーをソリストに迎えたこの協奏曲集。作品と演奏、この両方の素晴らしさに酔えること間違いありません。ベニー・グッドマンの依頼によって書かれたコープランド(1900-1990)の協奏曲は、1950 年にフリッツ・ライナー指揮のNBC 交響楽団でグッドマンの演奏により世界初演されました。随所にジャズらしさが感じられる小粋な作品です。オールドリッジ(1954-)の作品はクラリネットの名人芸を要求される演奏効果の高い曲。ジャズあり古典的な雰囲気ありの、「21 世紀のコープランド」と評される作品です。目のくらむようなカデンツァが聴きものです。
8.572119 フランツ・シュミット:交響曲第 3 番他
 1-4.交響曲第 3 番イ長調/5.シャコンヌニ短調
ワシリー・シナイスキー(指揮)/
マルメ交響楽団
オーストリアで活躍した作曲家、フランツ・シュミット(1874-1939)の第3 番の交響曲です(第1 番と第2番は8.570828、8.570589 で発売中)。この作品は1927〜28 年にシューベルト生誕100 年の記念祭のために作曲され、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に捧げられています。古典的な形式で書かれていますが、曲想はとても感傷的で、とりわけ第1 楽章は半音階進行を多用した流動的なテーマに彩られ、不安定でとりとめのないメロディは、どことなく聴き手を落ち着かなくさせるでしょう。落ち着いた第2楽章、活動的なスケルツォを経て、終楽章はコラールのような重々しいテーマで幕を開けます。Allegrovivace に転じてからもせわしなく動く低音部は強迫観念のように耳から離れることがありません。併録のシャコンヌは1933 年にクレメンズ・クラウス指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演された作品。古風な旋律が豊かな音で彩られていく様からは、まるで奇跡のような美しさを感じさせます。
8.572290 スコット:ヴァイオリン・ソナタ第1 番, 第3 番他
 1-4.ヴァイオリン・ソナタ第 1 番 Op.59/
 5-7.ソナタ・メロディカ/8-10.ヴァイオリン・ソナタ第 3 番
クレア・ホウィック(ヴァイオリン)/
ソフィア・ラーマン(ピアノ)
近年再評価の気運が高まるイギリスの近代作曲家、シリル・スコットのヴァイオリン・ソナタです。彼はイングランド北部のオクストン出身で、古代ギリシャ研究家の父を持ち、幼い頃から音楽に親しみ21歳で最初の交響曲を完成させています。91 歳という長命を得て、亡くなる2 週間前まで作曲活動を続けましたが、保守的な作風を貫いたためか、亡くなる頃の彼の評価は決して高いものとは言えず、そのまま忘れ去られそうになってしまいましたが、印象派を思わせる美しい音楽は一度聴くと忘れえぬ魅力を持つ故か、熱狂的なファンも多く、最近は演奏される機会も増えてきました。ヴァイオリン・ソナタは彼の室内楽作品の中で重要な部分を占める曲で、とりわけ黙想的な第1 番のソナタは彼の初期の作品の中でも最も成功しているものです。これを聴いてスコットのファンになった人は、MARCOPOLO(8.223485)で管弦楽作品を聴くことができます。
8.572414 カゼッラ:交響曲第 2 番ハ短調 Op.12 他
 1-4.交響曲第 2 番ハ短調 Op.12…世界初録音/
 5.ピアノとオーケストラのための「深夜に」Op.30bis
ユ・ソンヒ(ピアノ)…5/
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
1910 年4 月17 日、マーラー自身の指揮による「復活交響曲」がフランスのシャトレ劇場に鳴り響きました。その時、ドビュッシーは途中で退場してしまいましたが、若き作曲家カゼッラ(1883-1947)の体は興奮で打ち震えていたのです。そして強い感銘を受けたカゼッラがこの交響曲を書いたのは当然の成り行きと言えるでしょう。最初の音、そして打ち鳴らされる鐘の音。これはまさにマーラーそのもの。人間の苦悩を一身に背負ったかのような悲痛な表情を見せています(この交響曲は結局公表されることなく、すっかり忘れ去られてしまっていたものですが、あまりにもマーラーの影響が強いことに気づいた彼自身が封印してしまったのでしょうか? )。イタリア人でありながら、ドイツ音楽へ深く傾倒した彼の根底には、こういう事情があったようです。同じく公表されることのなかった、彼の第1 番の交響曲は8.572413 で聴くことができます。
8.570794 メンデルスゾーン:劇音楽「夏の夜の夢」 Op.61(英語歌唱)
 1.序曲/2.スケルツォ/3.メロドラマ(第2 幕情景 1)/
 4.妖精の行進/5.まだら模様のへびさん/
 6.メロドラマ(第2 幕情景 2)/7.間奏曲/
 8.メロドラマ(第3 幕情景 1)/9.メロドラマ(第3 幕情景 2)/
 10.夜想曲/11.メロドラマ(第4 幕情景 1)/12.結婚行進曲/
 13.メロドラマ(第5 幕情景 1)/14.葬送行進曲/
 15.道化役者たちの踊り/16.メロドラマ(第5 幕情景 1)/17.終曲
ジェニー・ウォラーマン(ソプラノ)/
ペペ・ベッカー(ソプラノ)/
トム・ミソン(ナレーター)/
エイドリアン・グローヴ(ナレーター)/
エミリー・レイモンド(ナレーター)/
アン・マリー・ピアッツァ(ナレーター) 他/
ジェイムス・ジャッド(指揮)/
ニュージーランド交響楽団/
ヴァーシティ・ヴォイセズ/
ノータ・ベネ合唱団
この「夏の夜の夢」は、まず序曲が1826 年に作曲されました。まず、17 歳のメンデルスゾーン(1809-1947)が姉と楽しむためのピアノ連弾曲として書かれ、すぐに管弦楽版として編曲されています。その16 年後、序曲に感銘を受けたプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4 世の勅命によって「夏の夜の夢の付随音楽」が書かれました。現在では序曲も再利用され、一緒に演奏されることが慣例となっています。しかしながら、彼が付けたメロドラマの部分は省略されることが多く、これでは曲の全貌を理解するにあたって片手落ちとなってしまうではありませんか。そこで当盤では(英語ではありますが)全部きちんと演奏しています。どうぞ、シェイクスピアの描いた妖精物語を心の中で再現してください。
8.579002 カサブランカス:過ぎ去った暗黒の時
 1.過ぎ去った暗黒の時(2005)/
 2-4.3 つの警句<大喜び/夜曲/諧謔>/5.ポストリュード/
 6.愛の詩/7.ダリのためのイントラーダ
バルセロナ交響楽団&カタルーニャ管弦楽団/
サルヴァドール・マス・コンデ(指揮)
1956 年、バルセロナ生まれの現代作曲家カサブランカス(1956-)の管弦楽作品集です。ハムレットの7 つの情景(8.579004)も衝撃的な音色に満ちていましたが、こちらも負けてはいません。アルバム・タイトル曲の「過ぎ去った暗黒の時」は、バルセロナ交響楽団とカタロニア全国オーケストラ(OBC)によって委嘱された作品です。暗示に満ちた不可解なタイトルですが、この曲もやはりシェークスピアへの賛辞が込められているといいます。ただ、それはとても抽象的であり、どちらかというと先入観にとらわれることなく、音の響きを純粋に楽しむべく作品と言えるでしょう。演奏には大編成のオーケストラを必要としますが、瞬間になっている音は少なめで、透明感溢れる室内楽的な静けささえ感じさせる不思議な肌触りを持っています。他には比較的有名な「3 つの警句」を始めとした興味深い作品が収録されています。
8.572335 ショパン:ピアノ協奏曲第 1 番ホ短調 Op.11
 (ショパン・ナショナル・エディション原典版使用)
  1-3.ピアノ協奏曲第 1 番ホ短調 Op.11/
  4-7.ポーランドの歌による幻想曲 Op.13/
  8.クラコーヴィアク Op.14
エルダー・ネボルシン(ピアノ)/
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指揮)
NAXOS には、既にセーケイとビレット(ブレイナー盤もありました)の録音があるショパン(1810-1849)の協奏曲第1 番。しかし2010 年のショパン・イヤーに合わせて新録音を出すことになりました。このネボルシンとヴィトの録音、もちろん演奏自体も素晴らしいものですが、何と言っても「ナショナル・エディション」のスコアを用いているところに注目です。ポーランドが国家の威信をかけて、50 年かけてショパンの作品を全て見直し出版した「原典版」は、これまでの資料を全て詳細に研究し、今までになかった事実を見せてくれる、ファンにとっては涙が出るほど嬉しいものです。この協奏曲第1 番では「これまで150年使われてきたスコアとパート譜は、ショパン自身が書いたものとはかけ離れていた」という衝撃的な内容が明かされています。これを聴いてみると、「ショパンは管弦楽法に疎かった」という既成概念が覆されることでしょう。確かに冒頭から充実した響きに満たされた素晴らしいものとなっています。まず聴き比べてみてください。
8.572014 ブライアン:交響曲第 11 番&第15 番他
 1-5.演奏会序曲「勇気のために」(1902-06)/
 6-14.喜劇序曲「メリーハート博士」(1911-12)/
 15-22.交響曲第 11 番(1954)/
 23-28.交響曲第 15 番(1960)
  ※MARCO POLO 8.223588 移行盤
トニー・ロウ(指揮)…1-5.23-28/
エイドリアン・リーパー(指揮)…6-22/
アイルランド国立交響楽団
ハヴァーガル・ブライアン(1876-1972)(本名はウィリアム)は、独学で音楽を学び、小さな教会のオルガニストを務めていました。20 歳になる前にエルガーの合唱曲に接し、当時の新作音楽を熱心に支持するようになります。作曲を始めた当初は、その作品を多くの聴衆に支持され順風満帆な作曲家人生を送るかと思われましたが、様々な事情でドロップ・アウト。生涯に32 曲の交響曲を書きながらも、その作品はほとんど忘れ去られてしまい、現在でもごく一部の熱狂的なファンによって、偉大なる彼の業績が伝えられているに過ぎません。このアルバムには2 つの交響曲と、彼のお気に入りであった「メリーハート博士」(変奏曲の形式で書かれている)、そして豪壮な「勇気のために」が収録されています。これを聴くことで一層ファンが増えること間違いありません。
8.572417 ルエダ:交響曲第 3 番 他
 1-5.交響曲第 3 番「ルース」(2004-2007)
 <火/水/大地/大気/光へ向かって>/
 6.架空の旅「フランシスコ・ゲレーロの思い出に」(1998)
アストゥーリアス交響楽団/
マキシミアーノ・バルデス(指揮)
ピアノ曲集(8.572075)で、その破壊的な音を聴衆に知らしめたマドリッド生まれの作曲家ルエダ(1961-)の管弦楽作品集です。彼は2004 年にスペインの文化省から全国音楽賞を授賞され、その活動が世界的に知られることになりました。この第3 番の交響曲は彼が愛するパワーと色彩が充満した作品で、全ての物質を構成するとされる四大元素の考えを基にした深遠で色彩感豊かな曲です。この曲は2004 年に書き始められましたが、様々な改定を経て2008 年に決定稿が作られます。この演奏はそのスコアを用いたものです。第3 楽章の「大地」は、ホルストの名曲「惑星」へのオマージュとして書かれていて、初演当時から高い評価を受けています。「架空の旅」は、彼がバスク地方の温泉ホテルに滞在していた時に書かれた作品。夜の散歩中に目にした山や川から強い感銘を受け、主人公の性格描写に反映させたというものです。
8.572521 フルートとパーカッションのための音楽集第 2 集
 1.ライサイト(1958-):ボッサではない/
 2.マクドナルド(1958-):悪魔のダンス/
 3-5.ファー(1968-):ケンバン・スリング<バリ/日本/インド>/
 6.ジョリヴェ(1905-1974):30 分/
 7.アンドニャン(1978-):喜びへの憧れ/
 8.キラリ(1954-):ミニアチュア/
 9.マクドナルド:前奏曲第 1番/
 10-11.ヤンセンス(1939-):エリザー/
 12.安倍圭子(1937-):道/
 13.ドゥヴレーズ(1929-):モビール/
 14.メルテンス(1953-):Inergys/
 15.ロサウロ(1952-):2 つの小品より「別れの歌」
マルク・グローウェルス(フルート)/
サラ・モーラドグロー(パーカッション&ヴォイス)/
ローラ・ケサダ(第2 フルート)…14/
サイモン・ドレイクマン(第2 マリンバ)…14/
ジャッキー・コペンズ(第2 マリンバ)…15
ピアソラから「タンゴの歴史」を献呈されたベルギーの名手、グローウェルがまたまたスゴイCD をリリースしました。あまりにも独創的な演奏をするために、常に賛否両論を巻き起こすグローウェルですが、今回のアルバムはいかがでしょうか?今回も珍しい作品が目白押し。世界中から選りすぐった、ここでしか聴けない作品ばかりが並んでいます。こちらが初体験の人は、第1 集(8.557782)にもぜひ耳を傾けてください。
8.559626 レンティーニ:オーケストラ・ホール組曲 他
 1-4.オーケストラ・ホール組曲/5.天使のサイン/
 6-10.チェロとピアノの5 つの小品
 <ディアローグ/幻想/夜想曲/歌/コーダ>/
 11.イースト・コートの溝/
 12-16.セドナからの風景
  <ボイントン峡谷の疫病神/大聖堂の岩/
  コーヒー・ポット/悪魔の橋/ベル・ロック>/
 17-19.モンタージュ
ポール・ガンソン(ファゴット)…1-4/
ジェフリー・アップルゲート(ヴァイオリン)…1-4/
ジェイムズ・ファン・フォルケンブルク(ヴィオラ)…1-4/
マーシー・シャントゥー(チェロ)…1-4/
ジャクリン・デイヴィス(ハープ)…5/
メアリー・ハリス(ヴィオラ)…5/
パンジー・チャン(チェロ)…6-10、17-19/
タン・ショクリャン(ピアノ)…6-10、17-19/
ヴェルヴェット・ブラウン(チューバ)…11/
ロバート・コンウェイ(ピアノ)…11/
シンシア・フォッグ(ヴィオラ)…12-16/
トム・フラハティ(チェロ)…12-16/
ハーヴェイ・サーマー(ヴァイオリン)…17-19
デトロイト生まれの作曲家、レンティーニ(1958-)は幼い頃から少年聖歌隊隊員として歌い、8 歳でギターの魅力に取りつかれました。当然1960 年代から70 年代のロックとビートルズの影響を強く受け、15 歳の時にはロック・ギタリストとして確固たる名声を築いていたのです。また、並行してクラシック・ギターと作曲も学び、多くの室内楽と管弦楽のための作品も書いています。彼の作品は独特な楽器の扱いと、創造的な管弦楽の使い方で、評論家たちから「魅惑的な現代音楽」と絶賛されています。ファゴットの扱いが見事な「オーケストラ・ホール組曲」、ハープとヴィオラによって描かれる、この世のものとも思えないほど美しい「天使のサイン」など、確かに独特な美質を備えた曲が並びます。
8.559659 ウォーカー:室内楽作品と歌曲集
 1.弦楽四重奏曲第 2 番(1968)/
 2.ソプラノと室内アンサンブルのための「詩曲」(1987)/
 3.弦楽のための抒情詩/4.5 つのファンシー/
 5.モドゥス/6.私は荒野を見たことがない/
 7.レスポンス/8.マザー・グース(2054 年頃)/
 9.持って行け、あの唇を/
 10.そして汝は我をこのように捨て去るのか?
ジャネット・スタジオ(ソプラノ)…2/
パトリシア・グリーン(メゾ・ソプラノ)…6-8/
ジェームズ・マーティン(バリトン)…9-10/
ソン・ソノラ弦楽四重奏団…1.3/
キャピトル・チャンバー・アーティスト…2/
ヴィドムス・アンサンブル…4/
シグナス・アンサンブル…5/
ジョージ・ウォーカー(ピアノ)…6-10
黒人初のピューリッツァー賞を獲得した作曲家として知られるウォーカー(1922-)。もともとはピアニストとしてデビューし、オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団とともに、ラフマニノフの協奏曲第3 番を演奏したことでも知られています。その頃から作曲活動にも熱心で、弦楽四重奏曲や交響曲を次々と発表し、こちらも高く評価されています。彼の作品はどれも激しく情熱的で、多くの黒人作曲家がジャズやポップスを重用する中、彼はひたすらクラシックに拘り、無調や12 音を駆使したドラマティックな曲を書き続けています。2000 年にはアメリカのクラシック音楽殿堂入りを果たしました。ここに収録されている曲も、どれもシリアスで親しみ易さはあまり感じられませんが、じっくり味わうことで、その素晴らしさが少しずつ体に浸みこんでいくかと思われます。
8.570875 ピッツェッティ:ピアノ三重奏曲&ヴァイオリン・ソナタ 他
 1-3.ピアノ三重奏曲イ長調/
 4-6.ヴァイオリン・ソナタイ長調/
 7-9.ヴァイオリンとピアノのための「3 つの歌」
レイラ・ラショーニ(ヴァイオリン)/
ラースロー・フェニェー(チェロ)/
アルパスラン・エルチュンゲアルプ(ピアノ)
1921 年にロンドンで刊行された「ミュージカル・タイムズ」誌上で「今日の最も偉大なるイタリアの作曲家」として紹介されたのは当時41 歳のピッツェッティ(1880-1968)でした。とは言うものの、この時にはまだプッチーニは存命であり、音楽界で超大な影響力を誇っていたため、ピッツェッティの存在に目を留める人などほとんどおらず、彼がメジャーな作曲家となるにはまだまだ年月を要することでしょう。このアルバムに収められたヴァイオリン・ソナタはそんな絶賛を浴びる少し前に書かれたもので、戦争時の暗い不安を感じさせながらも、セザール・フランクのヴァイオリン・ソナタとの共通性を感じさせる力強く輝かしい作品です。1925 年に書かれたピアノ三重奏も同じ傾向を持つ曲で、なかなか親しみ易い楽想に満ちた美しい作品です。「3 つの歌」は彼の娘、マリア・テレサに捧げられた比較的簡素な小品。ほっとするような静けさに満ちています。
8.572233 アレンスキー:ピアノ作品集
 1-6.6 つの小品 Op.53(1901)/
 7-10.4 つの練習曲 Op.41(1896)/
 12-22.12 の練習曲 Op.74(1905)/
 23.6つのエスキース「海の近くで」Op.52
アダム・ニーマン(ピアノ)
1861 年にロシア・ノヴゴロドで生まれたアレンスキー(1861-1906)は幼い頃から音楽の勉強を始め、10歳になる頃には幾つものピアノ曲や歌曲を作曲していました。18 歳の時から作曲をリムスキー=コルサコフに師事し、対位法とフーガをペテルブルク音楽院で学び、1882 年には素晴らしい成績で音楽院を卒業しています。このアルバムに収められた様々なピアノ曲は、彼の素晴らしい才能を目の当たりにするものばかり。メロディにおける天賦の感受性は、まさに先人ショパンやシューマンを思わせるほどに見事で、この美質はそのままラフマニノフや、後に対立するも、スクリャービンへと受け継がれています。多くの作曲家から影響を受け、また影響を与えたためか、独自性が乏しく感じられてしまう部分もありますが、じっくり聴いてみると良さがわかってくることでしょう。
8.570942 ルビンシテイン:ピアノ作品集第 2 集(1852-1894)
 1.ロシア風セレナーデロ短調(1879 頃)/
 2-3.2 つのメロディ Op.3(1852)<ヘ長調/ロ長調>/
 4-9.ドレスデンの思い出Op.118(1894)
 <シンプリシタス/情熱的に/ノヴェレッテ/
  カプリース/夜想曲/ポロネーズ>/
 10-11.ロマンスと即興曲Op.26(1854/58)/
 12-16.折句第1 番 Op.37(1856 頃)
ジョセフ・バノヴェツ(ピアノ)
ピアノ作品集第 1 集(8.570941)が好評のロシアのピアニスト&作曲家、アントン・ルビンシテイン(1829-1894)の作品集です。この第2 集は23 歳の時に書かれた、有名な「へ調のメロディ」から、亡くなる年に書かれた「ドレスデンの思い出」まで、作曲家の長い経歴を慮る作品を網羅しています。演奏するのは、GRAMMY 賞も受賞した名手、バノヴェツ。彼の明晰なピアニズムによって、どの曲にもくまなく光が当てられています。トラック1 の「ロシア風セレナーデ」の重苦しくも切ないメロディは、いかなる時もロシア風ですが、どことなく日本の演歌に通じるものがあるような気がしませんか?また、相変わらず色々な物が織り込まれている「折句」での甘い囁き風のメロディにも心惹かれます。
8.572204 リース:ピアノ・ソナタとソナチネ集第 3 集
 1-4.ソナタハ長調 Op.9-2/
 5-7.ソナタ嬰ヘ短調「不運」Op.26/8.夢 Op.49
スーザン・カガン(ピアノ)
名ピアニストであり、ベートーヴェンの友人、そして伝記制作者として知られるフェルディナント・リース(1784-1838)のピアノ・ソナタ集です。彼はクレメンティからハイドン、モーツァルトへとピアノ音楽が変遷していく中、独自の方法でピアノ・ソナタを作曲し始めました。彼の作風はそのままシューベルトやメンデルスゾーンなどのロマン派へと続いて行くものです。ハ長調のソナタは威厳のあるポロネーズで始まり、情緒的な第2 楽章、悲痛な第3 楽章を経て、快活な終楽章へと続きます。巧みな転調などは、古典派の作品には見られないものです。「不運」と題された嬰ヘ短調のソナタは、ベートーヴェンからの影響が見て取れます。第1 楽章の構成などはほとんどそのまま「悲愴ソナタ」ですし、第2 楽章にも第3 楽章からも「ベートーヴェンらしさ」が漂います。ただ、リースはベートーヴェンほどの破壊力を持つことはなく、あくまでも上品な嘆きに留まってしまったところが不運だったと言えるでしょう。単一楽章で書かれた「夢」は6 つの部分からなる事実上のソナタです。1813年に訪れたロンドンで自身の活動を広く知らしめるために書いた作品で、翌年に発表したところ大きな成功を収めることになりました。
8.572426 イギリス歌曲シリーズ第 20 集
 バターワース:「シュロップシャーの若者」からの6 つの歌 他
  1-6.「シュロップシャーの若者」からの6 つの歌
  <今、木々の中でもいちばん美しい桜の木/私が21 歳だった時/
  私の瞳を見ないでください/もうこれ以上考えるな、若者よ/
  多くの若者たち/うちの馬どもは鋤いているだろうか>/
 7-11. 11 のサセックス民謡より
  第7 番-第11 番
  <元気な若い水夫は私を招く/日曜日には17 歳/
  霧の中を彷徨う/真実の恋人の告別/タリーのズボン>/
 12-16.ブレドン・ヒルとその他の歌
 <ブレドン・ヒル/おお、なんと晴れやかな空と平原/
  若者が切なる悩みにため息をつく時/夏の虚ろな草原で/
  後悔の思いで私の心は一杯だ>/
 17.君のために飾りを作ろう/
 18.あなたのキスがこわい/19.安らかに/20.安息/
 21-26. 11 のサセックス民謡より
  第1 番-第6 番
  <あちらに美しき創造物を建てよう/鍛冶屋が私を呼ぶ/
 23.愛の種をまこう弁護人はある日外出した/来たれ、もう一人の私/
 26.かっこう>
ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)/
イアイン・バーンサイド(ピアノ)
NAXOS が精力的にリリースを続ける「イギリス歌曲集シリーズ」は今作で20 を数えます。フィンジやブリテンなど珠玉の作品を耳にして、イギリス音楽の魅力に取りつかれた人も多いことでしょう。このバターワース(1885-1916)の作品も聴けば聴くほどに味わい深いものです。彼は最初、弁護士になるべく勉強を始めますが、イートン・カレッジからオックスフォード大学トリニティ・カレッジに進む中で、ヴォーン・ウィリアムスと出会い音楽の道を志します。残念なことに、第1 次世界大戦で若き命を散らしてしまい、また気に入らない作品は破棄してしまったため、残された作品は本当に少ないのですが、どれも清々しい青春の息吹のようなものが漂う穏健で美しいものばかり。名バリトン、ロデリック・ウィリアムズの伸びやかな声は聴き手の胸を熱い感傷で満たすことでしょう。
8.559358 アメリカの合唱作品集
 1-5.パーシケッティ(1915-1987):ミサ Op.84(1960)/
 6-8.W.シューマン(1910-1992):死のキャロル(1958)/
 9-14.ボルコム(1938-):マスク(1990)/
 15-20.ファイン(1914-1962):砂時計(1949)/
 21-23.フォス(1922-2009):詩篇(1956)
ドワイト・ビグラー&アレーナ・ゴリーナ(ピアノ)/
テキサス大学チェンバー・シンガーズ/
ジェームズ・モロウ(指揮)
多様化する 20 世紀の合唱曲。その中でもとりわけアメリカの作品はヴァラエティが豊かです。ここに収録された5 人の作品も興味深いものばかり。伝統に則った作風があったり、ジャズやゴスペルの影響を強く受けていたり、どれも特色ある美しさを備えています。パーシケッティの「ミサ」は単旋律の聖歌を上品なハーモニーで包みます。W.シューマンの作品は暗黒の闇の中から響いてくるような静謐な美しさがあり、ボルコムの作品はアフリカの情熱的なリズムも感じられる親しみやすい連作です。飛び散る響きが斬新なファインの作品、敬虔さを纏ったフォスの作品。見事な声によるタペストリーをお楽しみください。
8.572371 チマローザ:レクイエム ト短調 アドリアーナ・クチェロヴァ(ソプラノ)/
テレジア・クルツリャコヴァ(アルト)/
ルドヴィット・ルーダ(テノール)/
グスタフ・バラーチェク(バス)/
ルーチニカ合唱団/
カペラ・イストロポリターナ/
カーク・トレヴァー(指揮)
ナポリ生まれのチマローザ(1749-1801)は、ロッシーニが登場するまでは「オペラ・ブッファの第一人者」として知られていました。70 曲ほどある彼のオペラはどれも楽しく軽妙なもので、とりわけ旋律の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります。有名なオーボエ協奏曲なども、美しいメロディ全開で人気が高く、それはこのレクイエムも例外ではありません。彼は生涯に4曲ほどのレクイエムを書いていますが、この作品は1878 年頃のもので、彼がロシアの女帝エカテリーナ2 世の招きでペテルブルクに行っていた時に、当時滞在していたフランス大使の妻の逝去を悼み作曲されたと言われています。随所にオペラティックな展開が見られる華やかなもので、美しいメロディもふんだんに使われています。結局彼はロシアで活動することは諦め、ウィーンで活躍しますが、イタリアに戻ったところで反逆罪に問われ、悲惨な晩年を送ることになるのです。
8.559677 ウィテカー:合唱作品集
 1.彼女の聖なる魂が舞い上がる/2.少年と少女/3.水の夜/
 4.結婚/5.ルクス・アルムク(黄金の光)/6.小さな木/
 7.ダビデ王が息子アブサロムの戦死を聞いた時/
 8.レオナルドは空飛ぶマシーンを夢見る/
 9.私はこの素晴らしき日を神に感謝する/10.眠り/11.小鳥
エローラ・フェスティバル・シンガーズ/
レスリー・デアス(ピアノ)…6.11/
キャロル・バウマン(パーカッション)…8/
ノエル・エジソン(指揮)
熟練した指揮者、および作曲家であるウィテカー(1970-)。彼は精巧なテキストと、ユニークな響きを用いて、この世のものとも思われぬ美しい音楽を作り出します。瞬間の美と調和の確かな表出、そして流動的な時間。これらを軸に、荘厳で光に満ちた音を組み上げ、神秘的で詩情豊かな世界を描いていきます。多声部からなるクラスターの続出は、同時代のペルトやタヴナーの声楽曲との類似性も感じさせますが、全ての聴き手に微笑みをもたらす彼の曲には、暖かさがより強く宿っているようです。聴いているうちに不思議な気分になれることでしょう。
8.572413 カセッラ:交響曲第 1 番ロ短調 Op.5 他
 1-3.交響曲第1 番ロ短調 Op.5(世界初録音)/
 4-6.ピアノ,ティンパニ,パーカッションと弦楽のためのOp.69
デシレ・スクックリア(ピアノ)…4-6/
アントニオ・セラヴォーロ(パーカッション)…4-6/
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
最近、人気が復興しつつあるイタリアの作曲家、カセッラ(1883-1947)の管弦楽作品を4 枚のアルバムに収録するシリーズの第1 作です。世界初録音となる交響曲第1 番は、作曲家の23 歳の誕生日の前日に完成された作品です。パリ音楽院でフォーレに作曲を学んだ彼らしく、先人の影響も多分に認められますが、至るところに若き自信のようなものも感じられ、独自の道を切り開こうとする青年の苦悩が散りばめられているかのようです。暗く垂れこめた雲の間から光が射すかのように美しい第2 楽章に心惹かれぬ人はいないでしょう。かたや1943 年に作曲された「協奏曲」はまるで筋肉が収斂するかのようなメカニカルで躍動的な音楽です。40 年ほどの年月を経ると人はこのように変化していくのですね。しかし終楽章にはまたロマンティックな風景に立ち返ります。これが彼における原風景なのかもしれません。
8.660293-94
(2CD)
ウォレス:歌劇「ラウリーン」全曲
CD1:
 1-18.第1 幕/19-27.第2 幕/
CD2:
 1-10.第2 幕(続き)/11-24.第3 幕
若き貴族ルパート…キース・ルイス(T)/
ルパートの友人、グィルヘルム…ポール・フェリス(T)/
河の王ラインバーグ…デイヴィッド・ソール(B-Br)/
トゥルエンフェルス男爵…ドナルド・マクスウェル(Br)/
地の精ツェリエック…ロデリック・アール(B)/
ラインの妖精ラウリーン(ローレライ)…サリー・シルヴァー(S)/
男爵の娘ギーヴァ…フィオーナ・ジェーンズ(Ms)/
ラインの精霊リバ…バーナデット・キューレン(Ms)/
ヴィクトリア・オペラ管弦楽団&合唱団/
リチャード・ボニング(指揮)
アイルランドのウォーターフォードで生まれたウォレス(1812-1865)は、軍楽隊の楽長であった父親から音楽の手ほどきを受け、10 代の半ばですでに熟練したヴァイオリニスト&ピアニストとして知られていました。20 歳になる前に結婚しましたが、後に家族を捨て冒険旅行に出かけてしまいます。インドでは虎と戦い、南洋では地震に見舞われました(他にも数々の冒険譚がありますが、これらはもしかすると彼の自己申告のみの話なのかもしれません)。ヨーロッパに戻り作曲活動を行いますが、またまた冒険旅行にでかけ波乱の人生を送ります。このオペラはライン河の伝説で名高いローレライを主人公にした作品です。序曲などの雰囲気はウェーバーそのものですが、なかなか楽しい場面が盛りだくさんです。リチャード・ボニングによる新しい版を使用した演奏でお楽しみください。
8.572241 リスト:ピアノ作品全集第 31 集ベルリーニのオペラ編曲集
 1.ベルリーニの「夢遊病の女」の主題による幻想曲 S393/R132/
 2.ノルマの回想 S394/R133/
 3.ベルリーニの歌劇「清教徒」の回想 S390/R129/
 4.ヘクサメロン(演奏会用小品)-「清教徒」の行進曲による華麗な大変奏曲 S392/R131
ウィリアム・ウォルフラム(ピアノ)
オペラの中の名旋律を用いて、華麗なピアノ作品に仕上げることは、19 世紀のピアニストたちにとって必要不可欠な腕の見せ所でした。なかでもリスト(1811-1886)は自らの超絶技巧を惜しげもなく注ぎ込み、数々の作品をこの世に送りだしたのです。このアルバムはベルリーニの美しいメロディをふんだんにつかった聞きごたえのある曲が並びます。なかでも「ノルマの回想」はピアニストの限界に挑戦する難所が次々と出現する、難攻不落の名曲。ウォルフラムの妙技をとくとお聴きください。また、秘曲「ヘクサメロン」はオペラ「清教徒」の中のメロディに、リストの他、ショパン、タールベルク、エルツ、チェルニー、ピクシスの6 人の作曲家が変奏曲を書き、リストがまとめたもの。各々の作曲家の個性を楽しみながら、音の奔流に耳を傾けてみてください。
8.570999 ヒナステラ:ポポル・ヴー(マヤ世界の創造)
 1-5.バレエ音楽「エスタンシア」Op.8 より/
 6-10.クレオール舞踊組曲 Op.15(S.コーエン管弦楽編)/
 11-15.バレエ音楽「パナンビ」Op.1 より/
 16-18.交響的三部作「オジャンタイ」Op.17/
 19-26.ポポル・ヴー(マヤ世界の創造) Op.44 ※1-5.11-15…世界初録音
ロンドン交響楽団…1-5.11-15/
エルサレム交響楽団…6-10/
BBC ウェールズ・ナショナル管弦楽団…16-26/
ジセル・ベン=ドール(指揮)
アルゼンチン生まれの大作曲家ヒナステラ(1916-1983)の5 つの作品です。彼の作品の中でもとりわけ知られる「エスタンシア」と「パナンビ」、インカ文明から霊感を得た「オジャンタイ」、ピアノ曲として書かれた「クレオール舞踊組曲」、そして8 年間の作曲期間を経ても、なおも未完成で終わってしまったマヤ神話をもとにする大作「ポポル・ヴー」。とどれもが野性味と強烈な色彩を放つ魅力的な曲です。思わず体が動きだしてしまいそうな刺激的な音楽は、同じアルゼンチンの名産であるタンゴとはまた違う直截的なエネルギーに満ちています。このジセル・ベン=ドールの演奏は、録音当時世界初録音だった2つの作品を含む、ヒナステラのパイオニア的存在。世界を元気にするために、もう一度ブームを巻き起こしたい熱き名演の登場です。
8.570799 ベック:交響曲集 Op.3
 1-4.交響曲ヘ長調 Op.3-1(Callen 13)/
 5-8.交響曲変ロ長調 Op.3-2(Callen 14)/
 9-12.交響曲ト短調 Op.3-3(Callen 15)/
 13-16.交響曲変ホ長調 Op.3-4(Callen 16)
トロント室内管弦楽団/
ケヴィン・マロン(指揮)
マンハイム楽派の一人、フランツ・イグナツ・ベック(1734-1809)の交響曲集です。彼は父親から音楽の手ほどきを受け、様々な楽器を習得し、シュターミッツの弟子としてマンハイムの宮廷楽団の奏者となります。彼の才能があまりにも素晴らしかったのでしょう。同業者からいわれのない嫉妬と中傷を受け (例えば、決闘の相手が死んでしまったなど) 、結局のところ、彼はマンハイムを離れヴェネツィアに移住することになります。そこから先も波乱の人生を送った彼の作品は、その生涯に似て、とても劇的で大胆さを備えています。大胆な和声進行、柔軟なリズム、これらが溶け合い絶妙な効果を持つこれらの作品。もっと聴きたい方は「6つの交響曲 Op.1」(8.554071)もどうぞ。
8.579003
¥990
パヴロワ:交響曲第 6 番他
 1-4.交響曲第6 番/
 5-9.サンベリーナ組曲
  <序曲(主題「サンベリーナの放浪」)/
   ワルツ-幻覚/タンゴ/悲しみの歌/王子との出会い>
ミハイル・シェスタコフ(ヴァイオリン)…1-4/
モスクワ・チャイコフスキー交響楽団/
パトリック・ベイトン(指揮)
ロシア生まれで、現在アメリカで活躍している女性作曲家、アラ・パヴロワ(1952-)の最新録音です。彼女はとてもロマンティックな音楽で幅広い称賛を得ていて、既にNAXOS からも4 枚のアルバムが発売されており、そのどれもが聴き手を魅了してやみません。今回の作品は、大画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホに捧げられた「交響曲第6 番」と、北欧の童話作家アンデルセンのおとぎ話「おやゆび姫」に基づいたバレエ「サンベリーナ」からの組曲です。苦渋の生涯を送ったゴッホの代表作「星月夜」からインスピレーションを受けたという交響曲は、哀しみを表す「ト短調」の調性を得て、臆面もなく身悶えする姿を晒すのです。対して、サンベリーナはもっと快活な作品。彷徨うサンベリーナが優しい王子と出会い、幸せをつかむまでが描かれます。これでまた彼女のファンが増えるかも知れません。
8.579004 カサブランカス:ハムレットの7 つの情景他
 1-7.ハムレットの7 つの情景(1989)
  <プロローグ/王宮にて/生きるべきか、死ぬべきか/
  オフェーリア/選手たちのパーティ/ヨリック-オフェーリアの埋葬/終曲>/
 8-10.新しい警句(1997)/11.パッサカリアの旋法による(1993-1996)/
 12-14.警句(1990)/15-16.小さい夜の曲(1992)
パウル・ユトスム(ナレーター)…1-7/
バルセロナ 216/
マネル・バルディビエソ(指揮)
カタロニアの作曲家カサブランカス(1956-)は、音の持つ官能性を徹底的に追及します。この特性は彼の代表作である「ハムレットの7 つの情景」にも顕著に表れ、曲を構成する全ての音には命が宿り、登場人物と背景をたくさんの音で塗り重ねていくのです。第1 の情景の冒頭はチェレスタが用いられ、幽玄な雰囲気を醸し出します。また怯える弦の音色は、薄氷を踏むような脆い人生を表しているかのようです。ハムレットの最も有名な独白は、複雑な対位法に織り込まれてしまいます。そして無垢の象徴オフェーリアは、柔らかい叙情性を帯びた旋律で表されます。シェーンベルクの影響もかすかに感じられる、そして、救いようもないほど悲劇的な物語の結末には、不可解な響きと深い静寂が用意されていました。
8.572264 クラリネット・ハイヴ
 1-4.ピアソラ(1921-1992):
  タンゴの歴史(B.エドワーズによるクラリネット四重奏編)/
 5-8.ハービソン(1938-):トリオ・ソナタ
  (2 本のクラリネットとバス・クラリネット編)/
 9-11.シュラー(1925-):デュオ・ソナタ/
 12.トーマス・E=バーカー(1954-1988):シングル・シックス/
 13-19.パーシケッティ(1915-1987):セレナーデ第 13 番 Op.95/
 20.ジポリン(1959-):ハチの巣
テオドーレ・シェーン(バス・クラリネット…1-12.20)、(第2 クラリネット…13-19)/
ローラ・アーダン(第1 クラリネット…6-11.20)、(第2 クラリネット…1-8)/
リチャード・モラレス(第1 クラリネット…1-4.13-19)/
ティモシー・パラダイス(第1 クラリネット…5-8)、(第2 クラリネット…20)/
ジェームズ・オグニベーネ(バセット・ホルン…1-4)/
エヴァン・ジポリン(バス・クラリネット…20)
このアルバムの最後に収録されている、ジポリンの「ハチの巣」をタイトル名にした、ちょっとオシャレなクラリネット・アルバムです。様々なサイズのクラリネットのために書かれた20 世紀の作品を、まるでハチが蜜を集めるかのように並べてあります。耳にする機会の多いピアソラの「タンゴの歴史」も、クラリネット・アンサンブルで聴くと、感傷的な音色のせいか、いい具合に鋭角さが取れて、まことに穏やかで美しい作品へと変貌するのが興味深いところです。全ての楽章に「速く」と書かれたハービソンのトリオ・ソナタも楽しい曲です。他にもジャズ風味あり、古典的な作品ありと、クラリネットの可能性を極限まで追求した作品がぎっしり詰まっています。
8.559636 グラス:弦楽四重奏曲第 1 番-第4 番
 1-4.弦楽四重奏曲第 2 番「カンパニー」(1983)/
 5-10.弦楽四重奏曲第 3 番「ミシマ」(1985)/
 11-12.弦楽四重奏曲第 1 番(1966)/
 13-15.弦楽四重奏曲第 4 番「バツァク」(1989)
カードゥッチ弦楽四重奏団
<メンバー>
マシュー・デントン(ヴァイオリン)/
マイケル・フレミング(ヴァイオリン)/
オーエン・シュミット=マーティン(ヴィオラ)/
エンマ・デントン(チェロ)
フィリップ・グラス(1937-)が本格的に弦楽四重奏のジャンルに足を踏み入れたのは、いくつかのオペラや映画音楽を書いた後のことで、それ以来、このジャンルにおける彼の貢献度は非常に高いものになりました。このアルバムには4 つの作品が収録されています。1966 年、フランス時代に書かれた第1 番はまだ禁欲的ですが、その後の作品はどれも特徴的で幾分強迫観念的な響きを持ち、聴く者を不安に陥れ絶望の淵でうごめかせると共に、仄かな美しさを感じさせます。魅惑的な第2 番、清廉潔白な響きに満たされた映画音楽「ミシマ」から派生した第3 番、最小限の音形が爆発的なエネルギーを有する瞬間を楽しむ第4 番、これらの独特な音楽は、多くのファンをつかんで離すことはありません。
8.570353 ランジバラン:覚醒・エレジー 他
 1.覚醒/2.常動曲/3.チェロと弦楽合奏のためのエレジー/
 4.弦楽のためのエレジー/
 5-10.ヴァイオリン・デュオのための6 つのカプリース/
 11-13.弦楽四重奏曲
セジョンのソリストたち…1-4/
チェン・シ(ヴァイオリン)…2.5-10/
フランク・ホアン(ヴァイオリン)…5-13/
ウェイン・リン(ヴァイオリン)…11-13/
ベス・グターマン(ヴィオラ)…11-13/
オーレ・アカホシ(チェロ)…3.1-13
イラン生まれでアメリカにベースを置く作曲家、ランジバラン(1955-)の作品集です。「とても高貴で光り輝く思いつき」とアメリカの音楽ガイドでも大絶賛された彼の音楽は、好奇心に溢れた聴衆の心をうまく刺激するようです。戦争に関する平和の勝利を祝す「覚醒」、活発なエネルギーの放出が気持ちよい「常動曲」、命の循環を音で描いた「チェロと弦楽合奏のためのエレジー」そして、そこから派生したチェロのためのエレジー。どれもが何かに突き動かされるような煽情的な音楽です。ヴァイオリンの技法と音色を徹底的に追及した、「6 つのカプリース」、生命と夢、その他儀式めいたもの全てを包括する弦楽四重奏曲も、屈強なる意志の力を感じさせる逸品です。
8.572221 ベートーヴェン:弦楽五重奏曲集
 1-4.弦楽五重奏曲ハ長調 Op.29/
 5-8.弦楽五重奏曲ハ短調 Op.104/
 9.フーガニ長調 Op.137
ジル・シャロン(ヴィオラ)/
ファインアーツ四重奏団
<メンバー>
ラルフ・エヴァンス(ヴァイオリン)/
エフィム・ボイコ(ヴァイオリン)/
チャウンシー・ペターソン(ヴィオラ)/
ヴォルフガンク・ロイファー(チェロ)
かなりのベートーヴェン・ファンでもなかなか手を出さないジャンルの一つ、弦楽五重奏曲をお聴きいただきましょう。何しろ、4 曲ある弦楽五重奏のうち、1 曲はこの盤にも収録されている単一楽章のフーガ Op.137 であり、Op.4 とされる1 曲は、自身の八重奏曲Op.103 のベートーヴェン(1770-1827)自身による編曲であり、またOp.104 は自作のピアノ三重奏曲Op.1-3 を誰かが編曲したもの。純然たる弦楽五重奏は1800 年〜01 年に書かれたOp.29 の1 曲だけというわけです。こんな扱いだけど、決してベートーヴェンが手を抜いたというわけではないという事は、このアルバムを聴いていただければ納得するはずです。弦楽四重奏に、ヴィオラが1 本加わるだけでこんなにも幽玄な音色が生まれる事実を再確認。そしてベートーヴェンの精緻な書法に改めて敬服。ファインアーツ弦楽四重奏団とヴィオラのシャロンの織り成す見事な演奏にうっとり。そして、飛ぶように駆け抜けるフーガに耳を奪われる・・・まさに通向けの音楽です。
8.572177 ボッシ:主題と変奏 Op.115
 1-9.主題と変奏 Op.115/
 10.5 つの小品より「神聖なる家」 Op.132-4/
 11.英雄的小品 Op.128/12.5つの小品より「喜びの時」 Op.132-5/
 13.聖フランチェスコの3 つの契機より「炎熱」Op.140-1/
 14-16.小協奏曲ハ短調 Op.130a/
 17.聖フランチェスコの3 つの契機より「つばめたちとの対話」 Op.140-2
ピエール・ダミアーノ・ペレッティ(オルガン)
イタリアのオルガニスト、エンリコ・ボッシ(1861-1925)の作品集です。当時のイタリアはオペラ全盛でありましたが、彼は終生オルガニストとして活躍、「イタリア器楽曲復興」に貢献した人です。また、ボッシはプッチーニの親友であり、多くの示唆を彼から受けたことでも知られています。このアルバムは、彼の素晴らしいオルガン作品を収録したもので、フランクから受け継がれた重厚な音に、ドビュッシーの印象派的な響きを加えたこの時代特有の音色を心から堪能できることでしょう。これらの曲をあますことなく弾ききったオルガニスト、ペレッティは1974 年生まれの新進気鋭。ウィーンを中心に世界中を飛び回る名手です。
8.559633 ロックバーグ:ピアノ曲集第 3 集
 1-13.パルティータ-変奏曲(1976)
 <前奏曲/間奏曲/ブルレスケ/葬列/即興曲/
  深き鐘/バラード/狂詩曲/メヌエット/カノン/夜想曲/
  アラベスク/三声のフーガ>/
 14.バッハによる(1966)/15.ソナタ-幻想曲(1956)
サリー・ピンカス(ピアノ)
ロックバーグ(1918-2005)のピアノ作品集第3 集です。第1 集(8.559631)や第2 集(8.559632)の難解で複雑な響きに比べると、この第3 集に収録されている「パルティータ-変奏曲」はどことなく耳に優しい瞬間もあり、聴き手はやすやすと彼の世界へ引き込まれてしまいます。しかし、そこはロックバーグ。すぐに音の迷宮へと私たちを連れ去ってしまうのですが・・・。古典的な手法から、最先端の語法まで、様々なテクニックを用いて描かれた12 の作品には、悲劇、原罪、愛など予測不能の世界が描かれていて、まさに目が覚めるほどの面白さです。なかでも「夜想曲」でのなりすましロマン派ぶりには誰しも唖然とすることでしょう。ハープシコード奏者、イーゴリ・キプリスのために書かれた「バッハによる」は2 人の作曲家による親密な対話です。暗く苦痛に満ちた「ソナタ」にも時折抒情的な音が見え隠れするのがロックバーグの持ち味でしょう。
8.572141 トゥリーナ:ピアノ作品集第 6 集
 1-6.リトモス(舞踏幻想曲) Op.43(1928)
 <前奏曲/ダンツァ・レンタ/ヴァルス・トラジーコ/
  ガロティン/間奏曲/東洋風ダンス>/
 7-9.5 つの音の幻想曲 Op.83(1934)
  <前奏曲/トッカータとフーガ/コラール変奏曲>/
 10-12.イタリア風幻想曲 Op.75(1932)
  <幻想的情景/ドリュアス/ナポリ>/
 13.映画の幻想曲 Op.103(1945)/
 14-16.時計の幻想曲 Op.94(1943)/
 17-20.幻想詩曲Op.98(1944)
  <ホテルのロビーで/マドリードの旧市街/
   エンクルシハーダ/映画の夕べ>
ホルディ・マソ(ピアノ)
「幻想」は心が持つ不思議な能力です。最近の出来事から、過去の思い出までありとあらゆることを一瞬に思い起こし、また現実の世界から、遠く離れた世界へと瞬時に旅をすることが可能な能力なのです。このトゥリーナ(1882-1949)のピアノ作品集第6 集はそんな幻想的な作品を集めたもの。幼年期のとめどもない空想、大人になってからの極めて現実的な空想、などなど、その描かれた世界はさまざまです。伝統的なアンダルシアの音楽とフランス印象主義の作風が微妙に入り組んだ独自の音による風景が目の前に広がります。名手ホルディ・マソが紡ぐ「音による不思議な物語」をお楽しみください。
8.572210 マルガリティス&ペティレク:ピアノ作品集
 マルガリティス:
  1.練習曲第1 番(1901)/2.ギリシャ狂詩曲(1902)/
  3-12.組曲「青春」 Op.4(1908-1921)
   <スケルツォ/スケッチ/謝肉祭「ミュンヘンからの手紙」/
   音合わせ「フモレスケ」/
  三部作「モーニング・トワイライト」/三部作「間奏曲」/
  三部作「夕べに」/オルセーの数滴/ベネディクティン/子守歌>/
  13.ソネチネ Op.5(1922)/14-16.詩 Op.10(1923)/
  17-18.2 つのギリシア風田園曲 Op.18(1927)
 フェリックス・ペティレク:
  20-24.6 つのギリシャ風狂詩曲
  <アテネ/エウボイア島/不満/回転木馬の回りの踊り/
   デルフィアン・ラプソディ/ロバー・バンドのセレナーデ>
アポストロス・パリオス(ピアノ)
ギリシャ生まれのマルガリティス(1895-1953)のピアノ作品集です。彼は演奏家、教師、そして作曲家として高名で、ドイツのロマン主義とフランスの印象主義の良いところを取り込んだバランスの良い作品を数多く発表しました。「音楽普遍性」の精神を高く掲げ、シューマンやドビュッシーが追求した夢幻の世界を構築しています。冒頭の練習曲だけは、比較的、奇抜な音の動きをしていますが、他は聴きやすく愛らしいものばかりです。同時に収録されている「6 つのギリシャ風狂詩曲」の作曲家、ペティレク(1892-1951)はブルノ生まれのウィーンの作曲家。29 歳の時にマルガルティスと出会い、その後友情を深めた人です。その縁もあってか、アテネでピアノと作曲を教えるなど、ギリシャの音楽の発展に寄与した人としても知られます。
8.660250-52
(3CD)
モーツァルト:歌劇「クレタの王イドメネオ」K366 全曲
 CD1:1.序曲/2-16.第1 幕/
 CD2:1-14.第2 幕/CD3:1-20.第3 幕
イドメネオ…カート・ストリート(テノール)/
イーリア…アンヘレス・ブランカス・グリン(ソプラノ)/
エレットラ…イアノ・タマール(ソプラノ)/
イダマンテ…ソニア・ガナッシ(ソプラノ)/
アルバーチェ…イェルク・シュナイダー(テノール)/
ネットゥーノの大司祭…ダリオ・マニャボスコ(テノール) 他/
サン・カルロ劇場管弦楽団&合唱団/
マルコ・グィダリーニ(指揮)
モーツァルト(1756-1791)が24 歳から25 歳にかけて作曲したオペラ・セリア「イドメネオ」です。1780年、ミュンヘンの宮廷オペラ監督ゼーアウ伯から依頼を受けたモーツァルトは、11 月から作曲を始め、その次の年の1 月29 日には、もう初演しているのですから何ともはや。天才の仕事には舌をまくばかりです。自分で台本にも手を入れたこともあってか、モーツァルト自身がこの作品をとても気に入っていたといい、充実したアリアが散りばめられた中期の名作となっています。この2004 年の公演は、すでに映像として市場に出回っているものですが、音だけで聴くのもまた違った味わいがあるというものです。粒揃いの歌手たちの名唱が話題になったもので、イドメネオを当たり役としているアメリカのテノール、カート・ストリートや、国際的な人気を誇るソプラノ、ソニア・ガナッシなど布陣は万全です。
8.570926 モーツァルト:荘厳ミサ曲ハ長調 K C1.20(偽作)
マイール:テ・デウムニ長調
プリスカ・エセル=シュトライト(ソプラノ)/
メリット・オスターマン(アルト)/
アンドレアス・ヒルトライター(テノール)/
イェルク・シュナイダー(テノール)/
ロベルト・メルヴァルト(バス) 他/
ジモン・マイール合唱団/
フランツ・ハウク(オルガン)/
インゴルシュタット・グルジア室内管弦楽団/
フランツ・ハウク(指揮)
「荘厳ミサ曲 ハ長調」…ジーモン・マイール(1763-1845)は1802 年にこの曲を書き写した時に「モーツァルト作」と表紙に記しました。この作品が本当にヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)、あるいは彼の父親レオポルドの作品であるのかは永遠の謎になってしまいましたが、いずれにしても、この曲がマイールによって上演された時には聴衆から大絶賛を浴びたのです。一方、マイール自身による祝祭的なテ・デウムは、1805 年のミラノ大聖堂で行われたナポレオンの戴冠式のために書かれたもので、マイールの伝記作家ジローラモ・カルビは、この曲を傑作と宣言したほどの魅力的な作品です。
8.572123 ハイドン:ミサ曲第3 集
 ミサ曲第 6 番ト長調「聖ニコライ・ミサ」Hob.XXII:6
  <1.キリエ/2-4.グローリア/5-7.クレド/8.サンクトゥス/
   9.ベネディクトゥス/10-11.アニュス・デイ>/
 ミサ曲第11 番ニ短調「ネルソン・ミサ」Hob.XXII:11
  <12.キリエ/13-15.グローリア/16-18.クレド/
   19.サンクトゥス/20.ベネディクトゥス/21-22.アニュス・デイ>
アン・ホイット(ソプラノ)…1-22/
ルーシエン・ブラケット(アルト)…1-11/
キルステン・ゾレク=アヴェラ(アルト)…12-22/
スティーヴン・サンズ(テノール)…1-11/
ダニエル・ムトル(テノール)…12-22/
リチャード・リポルド(バス)…1-11/
アンドリュー・ノーレン(バス)…12-22/
ニューヨーク・トリニティ教会合唱団/
レーベル・バロック管弦楽団/
オーウェン・バーディック(指揮)
エステルハージ候ニコラウスの聖名日のために作曲された、初期の傑作「聖ニコライミサ」は 1772 年の作品です。この年は、あの有名な「告別交響曲」が書かれた年。ニコラウス侯の夏の休暇が例年よりも延びてしまったことに対して、その作品で不満を訴えたハイドン(1732-1809)。その意向を汲んで楽員たちを解放したニコラウス侯。そのお礼も込めてこのミサ曲が書かれたとも言われています。もう1 曲は、ハイドン自身が「深き悲しみのミサ」と呼んだ劇的な作品です。ネルソン率いる艦隊がナポレオンの艦隊を打ち破ったという報を訊いたハイドンが、その感激のあまり、ベネディクトにトランペットのファンファーレを付け加えたことから「ネルソン・ミサ」と呼ばれます。この演奏は、オリジナル楽器によるもので、既発のドラホシュ盤(8.554416)との聴き比べも興味深いところです。
8.572345 ヴィドール:歌曲集「海の歌」他
 1-14.歌曲集「海の歌」Op.75
  <海/ささやき/イタリア風セレナーデ/再び夜が更ける/
   小さな青いへび/夜明け/最高の世界/ばらよ、ばら/
   たった一人の夜/雲/痛みはじめ/冬の空/目と声/永遠の休息>/
 15.夜/16.果てしない悲しみ/17.神秘的な夜/
 18.おやすみ、メリテ/19.あなたはこの甘き時を忘れてしまった
マイケル・バンディ(バリトン)/
ジェレミー・フィルセル(ピアノ)
壮麗なオルガン作品で知られるヴィドール(1844-1937)が、こんなに素晴らしい歌曲を書いていたとは、誰が知っていたでしょうか?実は彼多くのジャンルに渡って100 曲近くの作品を残していますが、そのほとんどは現在忘れ去られてしまいました。まずは、この歌曲集「海の歌」を聴いてみてください。フォーレよりもベルリオーズの作品に似た、しっかりとした骨組みを持つ歌曲集です。柔軟で力強いピアノパート、波間を揺蕩うかのような夢見がちな歌声。しかしこれら14 曲の歌曲は、調性や曲順に至るまで入念に準備され、見事な構成を持っているのです。これを聴いて作曲家の名前が即座に出てくる人は恐らくいないでしょう。他に、別のスタイルで書かれた5 曲の歌曲も収録。これは聴きものです。
8.572443 エンデチャー-スペインの哀歌セファルディのロマンスと歌曲集
 1.小さなアーモンドの木/2.私の最愛の娘/3.私の前にあるこの山/
 4.ヘンルーダの小枝/5.死よ、あなたは私たち全てを招く/
 6.少女よ、なぜ泣くの/7.来て、私の愛しい人/
 8.4 年間愛してる/9.今、植物たちが成長している/
 10.美しき鳥よ/11.眠れ、眠れ/12.海に立つ塔/
 13.私の心はアラビアに/14.ねむれ、ねむれ、わが息子/
 15.扉を開けて、可愛い人/16.ニムロド王
カペラ・アンティクァ・デ・チンチラ/
ホセ・フェッレーロ(指揮)
1942 年、イベリアに残っていた最後のイスラム政権は、スペインにおける大規模な排撃によって滅ぼされました。住民たちは祖国を追われ、その多くは南ヨーロッパから中東、北アフリカのオスマン帝国の領域へ移住したのです。彼らをセファルディと呼び、その子孫は今でも世界中で活躍しています。このアルバムに収められたのは、そんな人たちの愛した音楽です。彼らは、記憶の中に残る失われた母国の歌や葬式での挽歌、そして生活に即した歌を、あたかも元からスペインにあったかのように、スペインの言葉で歌い、伝えていくことにしたのです。そして時の流れとともに、言葉や楽器、音楽が追加され、バルカン半島、トルコ、モロッコへと伝わり、独特の様相を帯び「エンデチャー(哀歌)」と呼ばれるようになりました。ここに収録されているのは、そういった時の流れを超えて伝えられてきた歌たちです。

ONDINE

ODE-1147
\2300→¥2090
シベリウス(1865-1957):ヴァイオリン協奏曲 他
 1-3.ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47
 4.交響詩「吟遊詩人」Op.64
 5.交響詩「森の精」Op.15
フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)…1-3
ヨーン・ストルゴー(指揮)
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
「ヴァイオリン協奏曲」は自らヴァイオリニストを志したシベリウスの初期の意欲作です。もちろん過去にも数多くの名演が存在し、今盤のソリスト、フランク・ペーター・ツィンマーマンも1991 年にヤンソンス指揮のフィルハーモニア管弦楽団とこの曲を録音しています。当時はドイツ期待の若手と評された彼にとっての17 年ぶりのシベリウス。音色、表現とともに円熟した演奏が展開されています。「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように・・・」このヴァイオリン協奏曲を聴く時の楽しみの一つが、冒頭のヴァイオリンの独奏の部分でしょう。彼は、この部分を颯爽と力強く走り抜けます。第1 楽章中間部のカデンツァもまた同じ。全く迷いがありません。第2 楽章のクライマックスでの悠然とした美しさも心に残るでしょう。そして終楽章。一歩間違うと「炎の祭典」と化する音楽も、ツィンマーマンとストルゴーは品の良さを保ったまま曲を盛り上げていきます。旧盤では、幾分乾いた音色を出すヴァイオリニストとの印象があったのですが、当盤では音色の美しさにも嘆息するばかりです。特に深みのある低音は特筆ものです。2008 年秋からヘルシンキ・フィルハーモニー管の首席指揮者に着任したストルゴーは、このオーケストラとの関係を着々と深めているようです。ヴァイオリン協奏曲でもメリハリのある伴奏を聴かせ、2 曲の交響詩でも申し分のない解釈を見せてくれています。録音 2008 年11 月19-20 日…1-3 2010 年1 月29 日…4, 2010 年3 月18 日…5 ヘルシンキ・フィンランディア・ホール




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