10/14までの紹介分
RICERCAR
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MRIC319
(国内盤)
\2940 |
ゲオルク・ベーム・・・ バッハの師匠
〜オルガンのための作品集〜
ゲオルク・ベーム(1661〜1733):
①プレルディウム(とフーガ)ハ長調 ②高き天より我は来たれり
③いざ来たれ、聖なる霊よ ④汝、昼日にして光なる救世主
⑤プレルディウム(とフーガ)イ短調
⑥最愛の神にのみ統べられし者みな(コラール・パルティータ)
⑦救世主は死の縄に繋がれぬ」(1段の手鍵盤と足鍵盤のための)
⑧救世主は死の縄に繋がれぬ」(1段の手鍵盤と足鍵盤のための)
⑨わが愛しき神に ⑩天にまします我らが父よ
⑪天にまします我らが父よ(2段の手鍵盤と足鍵盤のための)
⑫プレルディウム(とフーガ)ニ短調 |
ベルナール・フォクルール(オルガン)
使用楽器:アルクマール聖ラウレンティウス教会(オランダ)のファン・ハーヘルベール・オルガン |
現代最高の古楽オルガン奏者、バッハ全集(MRIC289)とブクステフーデ全集(MRIC250)で圧倒的支持を集める巨匠フォクルール、「バッハ以前」シリーズの新録は本当に久々!
さりげなく堂々とした風格を幾倍も印象づける、迫力と繊細をあわせもつ銘器の音も痛快!
古楽大国ベルギー随一のRicercar レーベルで、15
年の歳月をかけ、15 種類の歴史的オルガンを使い分けて収録された『バッハ:オルガンのための作品全集』(MRIC289/16
枚組)が今なお熱烈な支持を集めて売れ続けているほか、ブクステフーデのオルガン作品全集(MRIC250/5枚組)をこの作曲家の歿後300
周年に大成、今や日本でも最も人気の高いオルガニストのひとりであるベルギーの名匠、ベルナール・フォクルール。
2009 年にバッハ全集を、また昨2010 年には大バッハ最後の作品である『フーガの技法』をオルガンで弾くという偉業(MRIC303)を打ち立て、なおも好調な売れ行きとともに名を高めつつあるこのオルガニストが、長年にわたって継続しているプロジェクトがあります。
それはヨーロッパ各地にある歴史的オルガンの銘器を渡り歩きながら、「バッハ以前」のドイツ語圏の巨匠たちの傑作を録音し、単体アルバムを制作してその作曲家の名をあらためて現代の聴き手にも印象づけてゆく...というもの。これもRicercar
レーベルで継続している企画で、すでにブクステフーデの先人トゥンダーのアルバム(MRIC239)と、オランダ出身のラインケンとブクステフーデの門弟ブルーンスという新旧の佳作の天才たちのダブル全集(MRIC204)は、すでに日本語解説付でリリースされ、いずれも好評を博しています。
ブクステフーデ全集以後、このシリーズはいったん区切れたのか、まだまだ弾いてほしい名匠はいるのに(ヴェックマン、プレトリウス、スヴェーリンク…)と思っていたところに、2011
年5月に録音したての最新盤がお目見えしてくれるとは、嬉しい限りではありませんか。しかも今回選ばれたのは、オルガンの大家として知られる大バッハが「唯一」直接教えを受けたらしいと判明している先人、ゲオルク・ベームなのです!
ベームはハンブルクからもそう遠くない北ドイツのリューネブルクという町でオルガニストをしており、バッハは1700
年から1703 年にかけてこの町におり、ベームの教えを受けたと考えられています。その作風は17
世紀の偉大な伝統を脈々とそのペンに受け継ぎながらも、先人ブクステフーデとは明らかに違う「ベーム特有」というほかない大胆なスケール感の作り方や、思いがけぬ転調、意外な半音階の表現力...といった要素は聴けば聴くほど「なるほど!バッハの元ネタはここだったのか!」と驚かされることばかり。
輸入盤まで視野に入れれば決して競合盤皆無の作曲家ではないとはいえ、これは明らかに、往年のマリー=クレール・アランやヘルムート・ヴァルヒャの名演による拭いがたい記憶をさえ一新する(というか、彼らとは趣きの角度をやや変えた)新たな決定盤。
歴史的検証を経て「最もベームの作風にふさわしい」とフォクルールが判断した17〜18
世紀式の銘器が、瑞々しいタッチを古色蒼然と彩ってくれています。 |
MRIC304
(国内盤)
\2940 |
仏蘭西軍楽は愉し〜ドイツにやってきたオーボエ合奏〜
ヨハン・フィッシャー(1646〜1716):
①組曲イ短調(2ob, t-ob, fg, bc)
ヨハン・ミヒャエル・ミュラー(1683〜1743):
②ソナタ ト短調 ③ソナタ ヘ長調(どちらもob
solo, 2ob,t-ob, fg, bc)
ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681〜1767):
④パルティ(組曲)ハ短調(2ob, t-ob,
fg, bc)
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ(1688〜1758):
⑤協奏曲 ト長調(2ob-c, 2va, 2fg, bc)
クリストフ・フェルスター(1693〜1748):
⑥協奏曲ト長調(3ob, 2fg)
ob: オーボエ/t-ob: ターユ・ド・オーボワ(中音域オーボエ)/
ob-c: オーボエ・ダ・カッチャ/fg:ファゴット/va: ヴィオラ/bc:
通奏低音 |
ブノワ・ローラン(バロックオーボエ、オーボエ・ダ・カッチャ)
アンサンブル・リンガ・フランカ(古楽器使用) |
バッハがオーボエを愛用したのは、フランス文化への憧れがあったから——?!
オーボエという楽器の来し方を解きあかす、18世紀ドイツの知られざる音楽領域。なめらかで温かいニュアンス豊かなバロック木管を、古楽大国最前線の俊英による名演で。
クラシックの世界に多少なじんでくると、古い音楽では弦楽合奏のほか、ことさらオーボエが活躍する機会に恵まれていることに気づかされると思います。リコーダーも横吹式フルートもトランペットもホルンも、1700
年頃にはすでにちゃんと存在していたのに(存在していただけならクラリネットもそうですが)、オーケストラにしたり顔で座っているのはいつもオーボエ(とその同属低音楽器として使われるようになったファゴット)ばかり。バッハもテレマンもヘンデルも、何かとこの楽器を重宝がって、あまつさえ協奏曲などでソロを任せさえしています。バッハのカンタータにいたっては、最も多いオーケストラ編成が「弦+オーボエ群」なのではないでしょうか。テレマンの合奏組曲もそうですし、ヘンデルも「弦楽合奏+オーボエ合奏」という編成をよく使いますね。
・・・なぜか?
それはオーボエという楽器がありふれていたから、というよりもむしろ、宮廷人たちがこの楽器をことさらお洒落なものとして好んだから。
フランスで使われはじめたオーボエは、ルイ14
世の野外バンド「ラ・グランテキュリ(王室大厩舎楽団)」の標準編成に組み込まれて、壮麗で繊細な管楽サウンドを響かせていたのです。当時ドイツ語圏(のみならずヨーロッパ全土)でファッションリーダーといえば、それはすなわちフランス王室。というわけで、ドイツ各地に点在していた貴族の宮廷でも、こぞってフランス風を模したオーボエ合奏が雇われ、宮廷楽団の弦楽器奏者たちとオーケストラでも共演したのでした。
とはいえ、憧れだけではこの複雑な楽器をまねてみせることなど不可能。そのあたりの経緯も含め、オーボエ文化の興味深い歴史を説き明かす音楽学者ジェローム・ルジュヌ氏の詳細解説(全訳付)とともに、バッハと同時代のドイツ宮廷人たちの心を愉しませていた「本物の宮廷音楽」の響きをここに甦らせてくれたのは、古楽大国ベルギーでいま最も多忙なオーボエ奏者のひとりブノワ・ローランのもとに集まった、才能あふれる腕利き古楽奏者たち。
バロック・オーボエの音、あのほんのり淋しげな風情の素朴で繊細な音色が重なりあうとき、その微妙な音のずれが醸し出すオーガニックなニュアンスはまさに、古い風景画の木蔭に息づく色彩変化の味わい。これはぜひとも「音」で実感してみていただきたい境地です。
とにかく演奏陣がとびきり巧いだけでなく、選曲もファッシュやテレマンら比較的有名な「バッハの同時代人」のほか、文献などではよくでてくるヨハン・フィッシャーなど「フランス帰り」の名匠たちも含まれていて、発見の喜びを心ゆくまで堪能させてくれます(これがまた、どれも粒ぞろいの名品…なかにはオーボエ四重奏を“オーケストラ”に見立ててオーボエ独奏が立ちまわる協奏曲もあり)。本格派にして快適・痛快な1枚。 |
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