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第69号
お奨め国内盤新譜(1)
2013.2.12〜2013.4.5


AEON



MAECD 1223
(国内盤)
\2940
映画出演決定!
 ブレンターノ四重奏団ベートーヴェン第2弾

ベートーヴェン:
 1) 弦楽四重奏曲第16 番 ヘ長調 op.135
 2) 弦楽四重奏曲第15 番 イ短調op.132
ブレンターノ四重奏団:
マーク・スタインバーグ、
セレーナ・キャニン(vn)
ミッシャ・エイモリー(va)
ニナ・マリア・リー(vc)
 カルテット最前線!痛快な躍進をつづけるブレンターノSQ、映画参入で話題必至!
 ベートーヴェンが生涯最後のひとときを賭けて練り上げた傑作中の傑作2編、塗り替えられてゆく名演史——精巧にして深遠、21 世紀型ベートーヴェンの桁外れな周到さ!
 演奏者たちにも相当の神経集中を要求されるためか、そうおいそれと新譜が出てこない充実ジャンルが「ベートーヴェンの後期四重奏曲」...
 しかし時代は移り変わるもので、すでに第12 番・第14 番という難曲2作で痛快な名演を聴かせてくれたアメリカ最前線の超実力派、日本のカルテット・ファンからも熱烈な支持を受けているブレンターノ弦楽四重奏団が、せんだってのアルバムに次ぐ「後期ばかり」の濃密アルバムをまたしても録音してくれました!
 そしてこのブレンターノ弦楽四重奏団、実はかねてからもうひとつの話題の種にもなっていたのです——7月に公開が決まった映画『25 年目の弦楽四重奏』に彼らも出演しサウンドトラックも手がけており(ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14 番が全編にわたってテーマになっている映画——aeon ですでに発売中の音源(MAECD1110・日本語解説付)が同一音源かは確認中)、2013 年春以降には音楽関係者をはじめ、多くの音楽ファンがこのカルテットに否応なく注目することになるはず。
 そしてその演奏内容がまた、カルテットの世界が確実に新しい時代に突入しつつあることを強く感じさせてやまない、既存の傑作盤にもじゅうぶん伍してゆける、21 世紀のこれから聴き深めてゆきたい周到さと瑞々しさにあふれているのです...なにしろブレンターノSQ といえば、1992 年のデビュー早々から破竹の勢いで東海岸のシーンを席巻、クリーヴランド弦楽四重奏賞をはじめいくつかの賞をさらった後にプリンストン大学の常任団体になり(弦楽四重奏団としては初の快挙)、世界に冠たるイギリス室内楽シーンの牙城ウィグモア・ホールの聴衆を熱狂させつづけている超人気団体。
 王道レパートリーに甘んじず、時にはジェズアルドやジョスカン・デプレらルネサンスの多声声楽作品まで弾きこなしてしまう——そういう幅広い視野で現代音楽にも積極的に取り組む彼らが相当さまざまなことをやってきた末、21 世紀型のカルテットとしてこのような桁外れのベートーヴェン像を提案してくれたというのは、ほんとうに快挙というほかありません。後期四重奏曲のなかでもとりわけ長大な部類に入る第15 番は、病気からの快癒を記念して書かれた物語性でも知られる大作。対する第16 番は、死の床にあった頃、ギリシャ劇の常套句を引用して「友よ喝采せよ、喜劇は終わった」と口走ったというベートーヴェンらしい幕引きについて考えさせられる、第15 番とは打って変わって短く切り上げられる最後の作。作品像についての周到な解説も読みごたえあり(全訳添付)、あらためて玄人ファンを(ブレンターノSQ のものに限らず)ベートーヴェンのさまざまな新録音へと振り向かせるには充分、稀有の鑑賞体験を約束してくれる1枚なのです。


ブレンターノ四重奏団
ベートーヴェン第1弾

MAECD1110
(国内盤)
\2940
今や最も注目されている気鋭カルテットが放った、後期の傑作2作
ベートーヴェン:
 1) 弦楽四重奏曲第12 番 変ホ長調 op.127
 2) 弦楽四重奏曲第14 番 嬰ハ短調op.131
ブレンターノ四重奏団:
 マーク・スタインバーグ、
 セレーナ・キャニン(vn)
 ミッシャ・エイモリー(va)
 ニナ・マリア・リー(vc)
AECD1110
輸入盤・日本語解説なし
\1890
 ベートーヴェン演奏が、どんどん塗り替わっている——アメリカ出身、英国からも熱烈な讃美を受け、今や最も注目されている気鋭カルテットが放った、後期の傑作2作の新録音。作品の充実をこともなげに受け止め、さらりと呈示するのに深みたっぷり...たまりません。

 ベートーヴェン新録音!と鳴り物入り風に言うのは、たいてい交響曲の新録音——けれど考えてみれば、ベートーヴェンが生涯をかけて追求した重要ジャンルがあと二つあるわけで、弦楽四重奏曲とピアノ・ソナタの世界でも重要な新録音はもっと出てもいいはずなんですが、全曲録音となるとなかなか出てきませんし(ピアノ・ソナタはZig-Zag Territoires レーベルからF-F.ギィ氏のツィクルスが始まりましたが)、単発での注目度はどうしたものか極度に下がってしまうようです。だからといって、これらのジャンルでの演奏史が千年一日のごとく塗り替わっていないかというと、まったくそんなことはないのです。
 少し前に完成したアルテミス四重奏団の全曲録音や、ライプツィヒ四重奏団の素晴らしい新解釈もありますし、すでに「作品18」の6曲が全て出揃っているミケランジェロ弦楽四重奏団の演奏ももちろん・・・と散発的には注目すべき新録音が「往年の巨匠たち」を追い落とさんばかりの勢いで世に膾炙しつつあります。
 そんな中にもうひとつ、ズシンと響く新録音がまたしても登場いたしました。
 欧米での活躍ぶりは20 世紀末以来めざましいの一言に尽きるアメリカ東海岸の天才集団ブレンターノSQ 。
 彼らが、古楽から現代音楽まで「よい音楽」は何でも丁寧にとりあげてくれるaeon レーベルから世に問う初ベートーヴェン盤は、なんといきなり後期の2作。それも、あの長大な第14 番と本格的な「後期の始まり」を飾る第12 番というのですから、ずいぶん思い切ったことを...と驚かされるわけですが、その演奏を実際に聴いて、なるほど!と腑に落ちかつ深く驚愕。なにしろブレンターノSQ といえば、1992 年のデビュー早々から破竹の勢いで東海岸のシーンを席巻、クリーヴランド弦楽四重奏賞をはじめいくつかの賞をさらった後にプリンストン大学の常任団体になり(弦楽四重奏団としては初の快挙)、世界に冠たるイギリス室内楽シーンの牙城ウィグモア・ホールの聴衆を熱狂させつづけている超人気団体。彼らはとにかく王道レパートリーばかり演奏していればよい、という発想が嫌いらしく、『フーガの技法』に現代作品を織り交ぜたプログラムを披露したり、ジョスカン・デプレのシャンソン、モンテヴェルディやジェズアルドのマドリガーレといったルネサンス〜バロックの声楽作品を弦楽四重奏で弾いてしまったりと、「楽曲構造」というものの面白さを昔から独自に追求してきた知性派グループ。
 完璧な技量、みごとに揃った呼吸で変幻自在にくりひろげられるベートーヴェン後期の複雑精緻な音楽世界。
 余裕綽々の音楽構想からくりだされる演奏の整然とした迫力だけでも魅力十分。
 聴き深めれば深めるほど細部までくっきり、彼らがこれっぽっちの妥協もなしに作品と対峙し続けてきた結果がこの解釈なのだ、ということを否応なしに印象づけられます。
 室内楽をじっくり聴き込む楽しさ、ベートーヴェンの深みを改めて実感できる、忘れがたい名演の登場です。


ARCO DIVA



UP0145
(国内盤)
\2940
イジー・バールタ(チェロ)
チャイコフスキー(1840〜1893):
 1. アンダンテ・カンタービレ〜弦楽合奏のための
 2. ロココの主題による変奏曲op.33(原典版)
  〜チェロと管弦楽のための
 3.弦楽合奏のための悲歌〜サマーリンを悼んで
 4. 奇想的小品op.62〜チェロと管弦楽のための(原典版)
プロコフィエフ(1891〜1953):
 5. シンフォニエッタ(小交響曲)イ長調 op.48
イジー・バールタ(チェロ)
レオシュ・スワロフスキー指揮
パルドゥビツェ・チェコ室内フィルハーモニー管弦楽団
案内済みの輸入盤
UP 0145-2
\2300→\2090
 あの傑作は、ひどく歪められていた——チャイコフスキーの企図どおりに、それも凄腕の名演で!
 間違いなく現代チェコを代表するチェリスト、異才中の異才イジー・バルタが鮮やかに筋金入りの職人指揮者と描き上げる——
 プロコフィエフの隠れ名作も、引き締まった小編成でぱチェコは隣りのハンガリーとともに、中欧随一の「弦の国」——北の大国に翻弄された時代が長かったからか、仲間同士で「聴き合う」室内楽や室内合奏、小規模合唱などでも素敵な音楽を紡いでくれる団体が多いのですが、度重なる来日で日本でもおなじみの職人的名指揮者スワロフスキーと緊密なタッグを組んできたパルドゥビツェ・チェコ室内フィルはまさに、そうしたチェコならではの室内合奏の良さを理想的に伝えてくれる団体...彼らの最新新譜にはしかし、さらに魅力的な特徴があるのですぱ 今回はチェコと同じく“東の民族”スラヴ系の大国ロシアの2巨頭が主人公...プロコフィエフがまだ若い頃(10 代半ばぱ)に書き上げ、約20 年後に手直しをして手堅い名曲に仕立て上げた『シンフォニエッタ』での緊密かつ優雅なモーツァルト的愉悦の世界(古典交響曲に勝るとも劣らない逸品ぱ)もさることながら、アルバム前半を占めるチャイコフスキー4作品がまた素晴しい——
 スワロフスキーとの信頼関係をありありと示す弦楽合奏2作品のえもいわれぬ滋味とみずみずしさもさることながら、アルバムの白眉はやはり、新譜が出るようで出ないチャイコフスキー畢生の名曲のひとつ『ロココの主題による変奏曲』ぱこの曲は初演者でありチェロの名手でもあり、かつ作曲家としても名をはせたフィッツェンハーゲンの手によって、演奏用の独自改変ヴァージョンが作られ、すでに初演以来100 年以上にわたって、今でも明らかにこちらの方が演奏される機会が多いのですが、それが原作とさまざまな点(変奏の順序の入れ替え、原作にはない展開...)で異なった、まるで別物と言ってもよいくらい換骨奪胎された内容になっていることは、チャイコフスキー・ファンの多くがご存知のとおり。しかも原典版での演奏はめったに録音されない...
 しかしこのアルバムではなんと、おそらく21 世紀現在のチェコで最大級のチェロ奏者といってさしつかえない天才的名手、Supraphon にも名盤あまたのイジー・バルタが、まさしくチャイコフスキーが書いたとおりの「原
典版」でこの傑作を披露してくれるのですぱ聴きなれた作品像を随所でくつがえし、しかも圧倒的な説得力で作品本来の魅力を伝えてくれる——
 バルタとスワロフスキー自身のコメントも収録されている(邦訳付、国内盤のみ)のも嬉しいところ。じっくり聴き究めたい名演集です!

ARS MUSICI



AMCD233483
(国内盤・訳詞付)
\2940
ピアノ連弾編曲版ドイツ・レイエイム
 ブラームス(1833〜1896):
  ドイツ・レクィエム Op.45
  (作曲者自身によるピアノ連弾編曲版)
 シュテファン・フレミング(別トラック朗読部分)
ペーター・シュテンツル&
フォルカー・シュテンツル(歴史的ピアノ連弾)
使用楽器:
ウィーンのヨハン・バプティスト・シュトライヒャー
1880 年製オリジナル
(かつてブラームスが演奏していた楽器)
ご紹介済みの輸入盤
233483
\2100
 作曲者自身がよく知っていたピアノで、作曲者自身による連弾編曲を——合唱の入る、かの超大作がまるでブラームス中期の壮大な新作ピアノ組曲のように聴こえてくる、この嬉しさ——
 別トラック収録の朗読部分を交えて聴くもよし、言葉なしの音楽だけで感じ入るもよし...!

 ヴィンテージ・ピアノの録音というのもすっかり多くなってきて、20世紀初頭のお値打ちピアノから19世紀のいわくつき楽器まで千差万別...しかし、録音物というのはセッティングにこだわれるならいくらでもこだわりようのある世界。ただ古くて良質なピアノを使えばよいというものでもないわけで、演奏曲目や企画しだいで適切な楽器が選ばれていれば、そしてそれを弾きこなせるだけの適性と技量をそなえた名手が演奏にあたっていれば、他の追従を許さない、どこまでも聴き深めるに足る演奏効果をあげることだったできるわけです。その意味で、このアルバムほど考え抜かれた充実ヴィンテージ・ピアノ盤はそうめったに出てこないに違いありません!
 演目は『ドイツ・レクィエム』——ピアノ曲じゃない?いえいえ、ブラームスの多くの大作がそうであったように、実はこの巨匠畢生の大作にも、作曲者自身によるピアノ連弾用の編曲版が存在していたのです。大管弦楽と巨大編成の合唱とはまるで違う、完全に新しい壮大なピアノ連弾組曲として立ち現れるその音楽に、ここではまるでブラームス自身のアトリエで仕上がったばかりの音楽を聴き確かめているような気分を味わえるとすれば、それは絶妙の採択のうえで準備された使用楽器ゆえのことでもあるのでしょう——なにしろここで使われているのは、ブラームスの生前にウィーンで製作された、1880 年製のシュトライヒャー・ピアノ!ブラームスはこのメーカーのピアノをとりわけ愛していたそうですが、本盤の楽器は彼の友人の金満家が所有していたもので、購入時に楽器を選んだのはなんとブラームスその人だったとか...つまりこの楽器、正真正銘「ブラームスの知っていたピアノ」ということになるわけです!ドイツ楽壇で華々しく活躍する知性派俊才デュオ・ユニットによる演奏解釈はきわめて柔軟でしなやか、それでいて曲の峻厳さをまるで損ねない、堂々たる名演に仕上がっているのが本当に嬉しいところ——
 この種のヴィンテージ・ピアノは扱いに独特のテクニックもいるため、こうした名演は本当に大切に聴き深めてゆきたいところです。
 ちなみに、原作で合唱パートがうたうべきドイツ語歌詞が俳優によって朗読されてもいるのですが、それらは完全に別トラックに収められているため、プレイヤーのトラック操作機能などで完全に朗読なし・ピアノのみの演奏として聴くこともできます——こういう細かな配慮も嬉しいところ。充実の解説文(全訳付)に、Deutsche Harmonia Mundi の分派としてArs Musici レーベルが立ちあがった頃からのディレクター、イェンス・マルコフスキーが自ら稿を寄せていることからも、同レーベルでの本盤への力の入りようがよく伝わってきます。ご注目を!!


CALLIOPE



CAL1212
(国内盤)
\2940
ターリヒ親子&名匠クルト・レーデル指揮
 モーツァルト(1756〜1791):
  ヴァイオリン、ヴィオラと管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 KV364
  ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1 番 ト長調 KV423
  ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番 変ロ長調 KV424
ヤン・ターリヒ2世(vn)
ヤン・ターリヒ(va)
クルト・レーデル指揮
ターリヒ室内管弦楽団
紹介済みの輸入盤
CAL 1212
\2600→\2390
日本語解説書なし
Diapason 誌(フランス) 金賞受賞 !(ディアパゾンドール)
 フランスで——否、国際的に愛されてきたチェコの銘団体ターリヒSQの創設者がその心を受け継ぐ息子とともに残したCalliope活動後期の名盤は、なんと指揮者がクルト・レーデル!新世代的みずみずしさと「時代の滋味」の共存、極上の1枚が復活!
 LP 時代から“極上のフランス盤”のイメージが強い老舗レーベルCalliope(カリオープ…いちおう「カリオペ」は通例に基づいた誤表記)は、数年前にレーベル活動休止したかと思いきや、「管楽器の王国フランス」を代表する凄腕管楽器プレイヤーたちの録音を続々リリースするレーベルとして強い印象を与えてきたIndesens!(アンデサンス)のオーナーが屋号を買い取り、奇跡的な再出発へ——今年は新録音も続々登場しはじめていますが、在庫限りと思われた旧録音のなかにも、こうして装い新たに再発売されるものがまれに出てくるようすも見えてきました(あくまでレアケースながら、組み換えでの新発売なども期待できそう?)。録音1992年、見過ごされがちなCalliope 後期の絶妙録音のひとつ...チェコ随一の弦楽四重奏団、ターリヒSQ(結成1964 年...もうすぐ半世紀!!)の創設者&リーダーであるヤン・ターリヒが、数年後にこの四重奏団のトップ奏者を継承することになる同名の息子とのタッグで、自分はヴィオラにまわって共演したモーツァルトの二重奏曲&協奏交響曲!! かつてヴィオラを好んで弾いたロシア・ヴァイオリン界の巨匠ダヴィド・オイストラフと息子イーゴリとの共演を思わせる親子ですが、オイストラフらがコンドラシン指揮モスクワ・フィルやベルリン・フィルなど大掛かりなフルオーケストラとこの傑作を録音したのに対し、ここではモーツァルトの音楽様式によりふさわしい室内管弦楽との共演、しかも指揮は——LP 時代から現代楽器による理想的な古典派解釈を追求してきた大御所、クルト・レーデルというのがまた貴重!
 PhilipsやEratoからリリースされてきたレーデル指揮の18 世紀もの名盤群(とくにPhilips にはテレマンの受難曲やフリードリヒ大王のフルート協奏曲など、貴重な録音も多々ありました)をご存知の方々なら、その深みある音作り、細部をおろそかにしない解釈の確かさについて思い浮かべられることでしょうが、ここではチェコ気鋭の少数精鋭集団がすばらしい自発性でそのタクトに応え、ピリオド派も頷かせてしまうであろう緊密な音作りでターリヒ父子の名演をあざやかに盛り上げます。そして、二重奏曲2編のえもいわれぬ味わい...!
 チェコは「弦の国」とも言われますが、妙音あざやかなヴィブラートが全く下品にならず、惚れ惚れするほど高雅な旋律のからみあいを描き出してゆくさまはまさに至福...中欧的感性とモーツァルトの相性を痛感する1枚、フランスでの高評価も頷けます!
 
JS Bach: Inventions and Sinfonias
CAL1211
(国内盤)
\2940
シャンタル・スティリアーニ(p)
 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750)
  2声のインヴェンション(BWV772〜786)と
  3声のシンフォニア(BWV787〜801)全曲
シャンタル・スティリアーニ(p)
使用楽器:
ヴィンテージ・プレイエル N°150884(1910年製)
 100年前のヴィンテージ・ピアノで奏でられる、バッハの最も親密な鍵盤楽曲の世界はなんとまろやかに心に沁みることか——ルフェビュール門下の異才、密かなる多芸派が艶やかに紡ぎ出す、稀有のピアノ世界。奏者自身の解説(全訳付)もわかりやすく、示唆的ぱLP 時代から“極上のフランス盤”のイメージが強い老舗レーベルCalliope(カリオープ…いちおう「カリオペ」は通例に基づいた誤表記)は、数年前にレーベル活動休止したかと思いきや、「管楽器の王国フランス」を代表する凄腕管楽器プレイヤーたちの録音を続々リリースするレーベルとして強い印象を与えてきたIndesensぱ(アンデサンス)のオーナーが屋号を買い取り、奇跡的な再出発へ——今年はその新環境が本格的に整ってきたようで、続々と「あのCalliope 復活ぱ」と言いたくなるラインでの新譜が予告・発売されはじめていますが...これはその真骨頂とでもいうべき痛快なリリース。
 しかも、昨今は管楽器ものばかりではなく、これまでめったに録音をしてこなかったフランス屈指の凄腕ピアニストたち(そういうチェリビダッケやペルルミュテールのような人が、欧州にはそれこそたくさんいるんです...名門音楽院のカリスマ名教師などもそうですが、大手が広告宣伝費をかけてきた人だけが、本物の巨匠じゃないわけで。)との共同関係を深めながら、続々と桁外れなピアノ盤をリリースしつつある最近のIndesensぱ的なテイストもうまく加味された逸品といえそうです。
 ごらんのとおり、ピアノ初学者が必ず通るであろう“最初に弾く本格バッハ”こと『インヴェンションとシンフォニア』の全曲録音なのですが、名盤が多いようで実はそれほど新録音が続々出ているわけでもないこの傑作、新たにディスコグラフィに加わるこのアルバムは、生前のバッハが知っていた楽器チェンバロでの録音でもなく、かといって単なる現代ピアノ録音でもなく——ここで使われているのは、“古き良きフランス”の高雅さと知性を馥郁と湛えた、ベル・エポック期のヴィンテージ・ピアノなのです。
 ショパンやドビュッシーからも愛されたパリのプレイエル社、1910 年製作。演奏家たちからも確かな信頼を得てきたピアノ製作家フレデリク・タサールによる丹念なリストアをへて、古いピアノ特有の、数十年もののボルドーワインを思わせるまろやかな響き、それでいてタッチの妙をうまく伝える知的な音の粒立ちをみごと取り戻したこのピアノを「あえて」バッハ録音に使おうとした弾き手は、フルトヴェングラーとの共演で知られる、ラヴェル、ドビュッシーらのピアニズムを知る巨匠イヴォンヌ・ルフェビュールの愛弟子のひとり、シャンタル・スティリアーニぱ「この曲の親密さには、こういうヴィンテージ・ピアノこそが最適と考えた」という彼女のタッチは、現代スタインウェイなどよりは格段に扱いにくいであろう楽器の機構と特性をよくふまえた、楽器本来のまろやかな響きを大切にした美音を紡ぎ出し、緩急あざやかに同時進行するメロディラインのからみをきれいに浮き彫りにしてゆく——心理的にも、まるですぐそばで奏でられているような味わい深さ、何度も聴き確かめたくなる「ピアノのバッハ」に仕上がっているのです。
 もうひとつの注目点は、「インヴェンション」「シンフォニア」両曲集あわせて周到に入れ替えられた曲順——両曲集でひとつの宇宙がある、と確かに感じられる音楽的な流れに、解釈者の確かな感性をあらためて思い知らされる絶妙な構成。その思いは、ピアニスト自身による長大な解説(全訳付)にも示されているところ。玄人リスナーも納得の好感盤なのです。

CYPRES



MCYP8605
(国内盤・訳詞付)
\2940
マリー=ニコール・ルミュー、衝撃のデビュー盤
 伴奏はダニエル・ブリュメンタール

ベルリオーズ(1803〜1869):
 1. 歌曲集『夏の夜』
ワーグナー(1813〜1883):
 2. ヴェーゼンドンクの五つの歌
 (ヴェーゼンドンク歌曲集)
マーラー(1860〜1911):
 3. リュッケルトの詩による歌曲集
マリー=ニコール・ルミュー(A)
ダニエル・ブリュメンタール(p)
 古楽歌手としてバロック方面で活躍しながら、ドイツ近代も驚くべきスケール感と精緻さで謳いあげてしまう、そして自家薬籠中の「フランスもの」のみずみずしさといったら...
 もはや第一線で活躍中の大物歌手ルミュー、その「衝撃のデビュー盤」はすでに完璧な1枚。

 マリー=ニコール・ルミュー...今や欧州のバロック・オペラ愛好家たちのなかで、彼女の名前を知らない人はまずいないでしょう。日本にも単独来日するようになった異才古楽指揮者J-C.スピノージや、数年前にレコード・アカデミー賞も受賞したバロック界の大立者アラン・カーティスなどのヴィヴァルディ声楽プロジェクトではもはや常連、Naive レーベルでのヘンデルやヴィヴァルディの歌劇作品では大人気のカウンターテナー歌手フィリップ・ジャルスキーのかたわらで主役格のパートを次々とこなし、その一方でサンドリーヌ・ピオーとも新ウィーン楽派の声楽曲集をリリースしてみせ、最新のスケジュールではパリ・バスティーユ歌劇場の大舞台に『ファルスタッフ』のクィックリー夫人役で登場中...舞台映えするスケール感は伸びやかにして繊細な美声によくあらわれ、録音で聴いていてさえもその存在感には誰もがはっとさせられる、そんな独特の新世代コントラルト歌手マリー=ニコール・ルミューが欧州楽壇で一躍有名になったのは、2004 年にブリュッセルで行われたエリザベート王妃国際コンクールの声楽部門における並々ならぬパフォーマンスゆえのことでしたでしょうか...?いずれにせよ、彼女はこのコンクールで非常に優秀な成績を収めたことが高く評価され、フランス語圏ベルギーを代表する実力派レーベルであるCypres で1作の傑作歌曲アルバムを制作、これが彼女の音盤デビューとなりました。
 2004 年、今から9年前のこと——
 それから月日は流れ、Cypres レーベルは2度にわたりディレクターが交替し(前任者たちはその後Fuga Libera やParadisなど、ベルギーの新時代を牽引するレーベルで活躍をみせました)、欧州の歌劇界に深く食い込んでいる若きプロモーターがディレクターとなった今、このレーベルからは続々と注目すべき歌曲アルバムがリリースされているだけでなく、リリース時以降は(とくに日本では)ほとんど流通していなかった名花ルミューのこの飛び抜けた完成度を誇るデビュー盤も忘却の淵には埋もれさせず、装いも新たに新譜のかたちでリリースしてくれました。この新仕様にあわせて解説訳&訳詞つきで国内盤リリースされる本盤には、その後のバロック方面での快進撃とはうらはらに、フランスとドイツの近代歌曲ばかりが集められていますが、しかしその歌唱の細やかなこと、艶やかでスケール感のあることといったら...!
 ピアノ伴奏ながらそれぞれ連作性のある三つの歌曲集どれをとっても聴きごたえ充分な内容になっているのです!(これを埋もれさせておきたくないと考えたCypres ディレクターの気持ちもよくわかるような。)ピアニストはベルギー随一の多忙な実力派、エリザベート王妃国際コンクールの常連伴奏者でもある名手ブリュメンタール!聴くほどに贅沢な1枚、聴きごたえも耳への心地良さも比類ない、見過ごしがたい1枚なのです!

FUGA LIBERA



MFUG594
(国内盤)
\2940
ニキータ・ボリソ=グレプスキー〜スペイン交響曲
 指揮はデュメイ!ソナタの伴奏はジャン=フィリップ・コラール!

ラロ:スペイン交響曲、ソナタ第1 番、他
 〜19世紀フランス、異国情緒と巨匠の弦芸術〜


エドゥアール・ラロ(1823〜1892):
 1. スペイン交響曲 op.21
  〜ヴァイオリンと管弦楽のための
 2.ピアノとヴァイオリンのためのソナタ op.12
 3. アルルカン〜ユーモレスク風素描
 4. ギター op.28 〜ヴァイオリンとピアノのための
ニキータ・ボリソ=グレプスキー(vn)
オーギュスタン・デュメイ指揮
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ジャン=フィリップ・コラール(p)
 新世代名手、続々育つのはもちろん...「上の世代」の溌剌とした若さにも驚かされる
 少数精鋭集団シンフォニア・ヴァルソヴィアが絶妙のサイズ感・一体感で織り上げる「スペイン交響曲」もさることながら、実は室内楽でも天賦の才を発揮したラロの秘曲ソナタを「この名手」で聴けるとはべフランス19 世紀ものの絶妙盤——ベルギー随一の小規模レーベルFuga Libera レーベルの面白さが印象的なかたちであらわれた最近盤、19 世紀フランコ=ベルギー派の大家ヴュータンのヴァイオリン協奏曲全集(MFUG575・3枚組)にもソリストのひとりとして参加していた新世代の凄腕ヴァイオリン奏者ニキータ・ボリソ=グレプスキーが、この全編ラロ作品によるアルバムの主人公…でありながら、見れば見るほど共演陣の豪華さに驚かされる1枚なのです...
 選ばれている作品は、すべて19 世紀フランス楽壇をサン=サーンスやグノー、ビゼーらとともに代表する巨匠中の巨匠、ラロのものばかり。その点からして、すでにありそうでなかなかない企画ですね。
 当盤でも演奏されている、最も有名な『スペイン交響曲』という名のヴァイオリン協奏曲を別にしてしまうと、あとはせいぜいチェロ協奏曲と数曲の歌くらいしか知られていないのがラロとはいえ、19 世紀当時のフランスにおけるその存在感は絶大——だからこそ今にいたるまで「巨匠」との認識が続いているわけですが、その生涯をあらためて振り返る解説(全訳付)にも本盤は大きな存在意義があるところ、よく見れば演奏陣はなんて豪華——
 なにしろEMI レーベル黄金期にフランスものの名盤を続々と出してきた名匠、ジャン=フィリップ・コラールが新録音プレイヤーとして登場しているのです。
 収録曲メイン1曲とアンコール的に収録されている小品2曲は、ボリソ=グレプスキーとコラールとの二重奏。とくに注目すべきはヴァイオリンとピアノのためのソナタ(べ)で、協奏曲やバレエ音楽・オペラなど、たまに話題になるのは管弦楽系の作品ばかりのラロが、実はフランスの室内楽の発展に大きく寄与した、室内楽作曲のセンスもずばぬけていたことをありありと示す充実の音楽内容を、このフランスを代表する大物ピアニストのひとりと若き凄腕奏者の共演で...というだけでも気持ちが高まるところ、その期待感を十二分に満たす名演で収録されているのは嬉しい限りです(Fuga Libera の常として、各楽器の音が明瞭にきわだつエンジニアリングの巧みさも頼もしく...とくに、この室内楽部分を担当したのはAlpha でも活躍している名技術者アリーヌ・ブロンディオ)。
 しかし、メイン曲目である『スペイン交響曲』がまた素晴しい!! ご存知の通り“交響曲”とは言いながら事実上はヴァイオリン協奏曲で、スペイン出身の凄腕奏者サラサーテのために書かれたこの傑作中の傑作、豪奢なオーケストラの大音響と、それを向こうに回して全くひけをとらない存在感を発する超絶技巧のヴァイオリンの対比、変幻自在の異国情緒とロマン派らしい堅固なスケール感が痛快なのは常どおりですが、何より頼もしいのは、引き締まった小規模編成オーケストラが紡ぎ出す伸縮自在のしなやかな音作りが、独奏者ボリソ=ゴレプスキーの呼吸にぴたりと寄り添い、絶妙の一体感で音楽全体が続いてゆくところ——
 なんと巧みな指揮!と思えば、指揮者は自らも世界的ヴァイオリン奏者としてやってきた名匠、オーギュスタン・デュメイではありませんかべ シンフォニア・ヴァルソヴィアの手堅くも意気揚々とした結束力も比類ないところ、独奏者の師でもあるこの指揮者のタクト、改めて聴き深めるに足る魅力を放ってやみません。じっくり付き合いたい1枚でございます。

ご紹介済みの輸入盤
MFUG594
(輸入盤)
\2400→\2190
ラロ:
 (1)スペイン交響曲
 (2)ヴァイオリン・ソナタ
  アルルカン
  ヴァイオリンとピアノのための「ギター」
ニキータ・ボリソ=グレプスキー(vn)
(1)オーギュスタン・デュメイ指揮
 シンフォニア・ヴァルソヴィア
(2)ジャン=フィリップ・コラール(p)


GRAMOLA



GRML98942
(SACD Hybrid)
(国内盤)
\3150
イルンベルガー(vn)の初期メンデルスゾーン!
 メンデルスゾーン(1809〜1847):
  1. ヴァイオリン協奏曲 ニ短調(1823)
  2. ヴァイオリン、ピアノと弦楽合奏のための
    二重協奏曲 ニ短調(1822)
トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガー(vn)
エドゥアルド・トルビアネッリ(fp/
ベーゼンドルファー1846年製)
ロベルト・パーテルノストロ指揮
イスラエル室内管弦楽団
 ロマン派室内管弦楽作品の至宝、メンデルスゾーン初期の傑作2編を、この俊才が鮮やかに!
 闊達・溌剌とした作品の美質をきわだてるのは、引き締まった少数精鋭集団のクールな名演。
 しかも二重協奏曲では、メンデルスゾーン存命時のベーゼンドルファー初期楽器の妙音も…!

 オーストリアの俊英トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガーは、もはやGramola レーベルにはなくてはならない存在となってきたようです。
 ヴァイオリンものの新録音とあれば、小品集から異色の傑作・隠れ大作などにいたるまで、ほとんどの場合この若き名手の名がクレジットされているような——しかもそのひとつひとつが、丹念に磨きあげられた解釈と溌剌たる若さとを兼ね備えたスリリングな充実演奏に仕上がっているわけですから、もう彼の名を見たらまず手に取るべき!と言いたくもなるというもので。この調子で、ブラームスやチャイコフスキーの大作協奏曲なども録音する日はいつになるのか...などと夢想しているだけでも楽しくなってしまいます(彼の場合、それらの有名曲の前にバルトークやベルクあたりを録音してみせそうな気も…)。
 今やオーストリア楽壇の重鎮たるイェルク・デームスやパウル・バドゥラ=スコダらの信望もあつく、エフゲニー・シナイスキーというロシア出身の凄腕ヴィンテージ・ピアノ弾きとも良好な共演関係を続け、日本でもおなじみマルティン・ジークハルト率いるスピリット・オヴ・ヨーロッパや本盤でも共演しているパーテルノストロ指揮イスラエル室内管弦楽団などとのタッグも非常に息の合ったアンサンブルが聴ける、室内楽や「室内楽的な協奏曲づくり」のセンスにも秀でたイルンベルガー、近年ではさらに(かつてPan Classics に注目の名盤を連発していた)イタリアきっての古楽鍵盤奏者エドアルド・トルビアネッリとの共演関係も深めつつあるところ——そこへきて本盤では、この古いピアノの演奏法に通暁した名手をゲストに、メンデルスゾーン若書きの傑作協奏曲ふたつを録音してくれたのです!
 イルンベルガーのヴァイオリンはいつも1音1音磨き抜かれて美しく、ゾクゾクするようなフレーズ感覚でメロディラインの美質をすっと浮き彫りにしてくれるのですが、そうしたセンスのかたわら、的確な瞬間に絶妙の音を紡いでみせるトルビアネッリと丁々発止のやりとりが聴かれる二重協奏曲など、よくぞこの顔ぶれで録音してくれました!と心から感謝したくなる仕上がり! しかもトルビアネッリが弾いているのは、めったに見られない「19 世紀前半製のベーゼンドルファー」!!ウィーンのピアノの代名詞ともいえるこのメーカーの初期楽器がいかに美しく初期ロマン派の心を「いま」に息づかせてくれるか、ぜひとも聴き究めて頂きたいところです。
 つとに有名なホ短調協奏曲の蔭なる存在・ニ短調の協奏曲も、なにしろ作品美そのものがまさしくイルンベルガーの弦にぴったり!という感じだけあって、引き締まったイスラエル室内o.の立ち回りとともに、つくづく名品らしさに感じ入らずにはおれない名演となっています!

INDESENS!

Bastian Baumet: Art of the Euphonium
INDE034
(国内盤)
\2940
パリのユーフォニアム
 〜管楽器の王国フランス、金管楽器はさらなる新時代へ

 ジェイムズ・カーナウ(1943〜):
  ①シンフォニック・ヴァリアンツ(共演:パリ・ウィンド・アンサンブル)
 ダニエル・A.ダダーモ(1966〜):
  ②2本のサクソルンのための「フォリア」
   (共演:セバスティアン・ステーン...サクソルン2)
 フィリップ・スパーク(1951〜):
  ③2声のインヴェンション(共演:スティーヴン・ミード...ユーフォニアム2)
  ④パーティ・ピース(共演:ジェラルディーヌ・デュットロンシ...ピアノ)
 ヴラディミール・コスマ(1940〜):
  ⑤ユーフォニアム協奏曲(共演:クー・ド・ヴァン吹奏楽団)
バスティアン・ボーメ(ユーフォニアム、サクソルン)
 まるでサックスのようなニュアンスの豊かさ、トランペット的な抜けの良さ、とびきりの機能性...
 ユーフォニアムという楽器は、さながら金管楽器界のチェロのような存在?とも思わせる味わい豊かな調べの魅力は、パリ警視庁楽団のスーパープレイヤーならではの境地...!
 管楽器の王国フランスの「いま」を代表するスーパープレイヤーたちを早くから集め、痛快なリリースを続けてきたIndesens!レーベル。このところ歴史的ピアノものやフランス近代作曲家たちの妙盤(サン=サーンスやプーランク、エネスクなどの思わぬ室内楽曲集、無伴奏ヴァイオリンの20 世紀作品集...)も相次ぎ、どんどんレーベルの幅が出てきていますが、基本的に「フランスならでは!」というある種の薫り高さと、パリらしい洗練と雑味の絶妙というほかない交錯から生まれる抜群の音楽センスは、どのアルバムにも決して失われることなく馥郁と息づいているのでした。
 そんなIndesens!の本領発揮ともいうべき1枚が、このユーフォニアム・アルバム——クラシック・シーンでも『英雄の生涯』やヤナーチェク『シンフォニエッタ』、ラヴェル版『展覧会の絵』などで聴き手をはっとさせる瞬間をつくりだしているユーフォニアムは、フランス金管合奏の要ともいえるサクソルン属(縦に構えるトランペットのような…って、いちいち説明するまでもないですかね)の中低音ソロ楽器、ないし著しくメロディアスな演奏ができる高めの音域で活躍するチューバ…というような存在として、金管世界に独特の立ち位置を築いてきましたが、このアルバムに寄せられた演奏者自身の解説(全訳付)によれば「ここ10数年でこれほど大きな発展をとげた金管楽器はない」のだそうで。世界的に知られたパリの管楽器メーカー、ビュッフェ=クランポン社の代表奏者もつとめる本盤の主人公バスティアン・ボーメは、信じがたい腕利きばかりが居並ぶ「管の国」フランスの猛者集団、パリ警視庁吹奏楽団のメンバーであるだけでなく、ソキエフ指揮トゥルーズ・カピトール管やフランス国立管、フランス国立放送管、パリ・オペラ座…と第一線の超一流楽団から続々ユーフォニアム奏者として招かれ続けている異才中の異才!20 代半ばにしてこのもてはやされぶりですから(まるでブリュッヘンや(次頁の)モーリス・アンドレなどといった伝説的巨匠たちの若い頃のよう!)末恐ろしいというほかありません。
 近年のユーフォニアム芸術のめざましい発展をありありと印象づけるべく選ばれたプログラムは、昨今定番作品となりつつあるV.コスマの協奏曲をはじめ、なめらかさとパワー、洗練と超絶技巧とを兼ね備えたこの楽器ならではの魅力の諸相、そして奏者ボーメの桁外れなセンスの多面性もじっくり味わえる、そんなヴァラエティの豊かさが嬉しいところ。ブラス・ファンに限らず、多くの人がユーフォニアムという楽器にあらためて開眼すること間違いなし!の1枚!
 


INDE015
(2CD)
(国内盤)
\3465
モーリス・アンドレ、若き日の伝説
 〜フランス20世紀の青春時代!〜

《Disque I 》
 ① ラプソディ・イン・ブルーRhapsody in Blue
 ②へ調の協奏曲 Concertoin F(ディヴェルティスマン)
 ③パリのアメリカ人 Un americain a Paris
 ④サマータイムSummertime
 ⑤シボネー Siboney
 ⑥メキシカン・セレナーデ Serenade pres de Mexico
 ⑦パリに帰るなら Revoir Paris
 ⑧荒野の七人 Les7 Mercenaires
 ⑨ 聞かせてよ愛の言葉をParlez moi d'amour
 ⑩北はアラスカへ Northto Alaska
 ⑪テンダーフライ Tenderfly
 ⑫シューベルトのセレナーデ Serenade de Schubert
 ⑬あなたがいるだけで素敵だった Bei Dir war esimmer so schon
 ⑭ペルディード(失われて)Perdido
 ⑮クロパン・クロポン Clopin-Clopon
 ⑯ラ・パロマ(鳩)La Paloma
《Disque II》
 ①ビーナス Venus ②グラナダ Granada
 ③黒いオルフェ La Chanson d'Orphee
 ④私の彼氏 The Man ILove ⑤ルーレット Roulette
 ⑥クロウタドリとズアオアトリ Merle et pinson
 ⑦ミルト・ポルカMyrto Polka ⑧ホラ・スタッカート Hora Staccato
 ⑨アンダーソンのセレナータ Serenata
 ⑩バン・バン・バン Bam-Bam-Bam
 ⑪ 枯葉 Les feuillesmortes
 ⑫ミロール Mylord
 ⑬ローマのそよ風Venticello di Roma
 ⑭コメ・プリマ(出会った頃みたいに)Come prima
 ⑮プリュ・ジュ・テーム(もう好きじゃないんだ)Plus je t'aime
 ⑯あなたの手をとって Je te tendrai les bras
 ⑰キャラバンCaravan
 ⑱ある微笑 Un certain sourire
 ⑲あなたがとても必要 J'ai tant besoin de toi
 ⑳ヴェニスの謝肉祭 Le Carnaval de Venise
 (21)熊蜂の飛行 Le vol du bourdon
 (22)すてきなキスとはさようなら Bons baisers, a bientot
モーリス・アンドレ(トランペット)
 20世紀の伝説的トランぺッターといえば、何をおいてもまず、マイルズ・デイヴィスかこの人か——
 「管楽器の国フランス」を代表し、さらにはクラシック・トランペット界をも代表した巨匠中の巨匠は筋金入りのエンターテイナーだった!今が聴き時、“ヴィンテージもの”非クラシック系録音の極上さ。
 管楽器の王国フランスを代表する——否、20 世紀を代表するクラシックのトランペット奏者といえば、誰もがこの人の名をあげるのではないでしょうか...モーリス・アンドレ、痛快なまでの輝かしさから甘美さまで、息をのむ精妙さから涙さそう郷愁まで、まさしくトランペット、いや金管楽器というものの常識をくつがえすほどの妙技を数々の録音にも刻み、昨2012 年冬、静かに世を去った稀有なる名匠。その逝去を悼むべく、「フランス=管の国」の最先端を伝えるIndesens!レーベルからは、この伝説的巨匠が若い頃に少しずつリリースしていたヴァリエテ系(つまり、フランス人にとっての軽音楽全般…流行歌や映画音楽、ジャズのヒットナンバーなども含む)の録音を集め、2枚のCD にまとめてじっくり聴かせてくれる企画盤が世に送り出されました。
 日本盤としてリリースするからには...と、著者にしっかりした解説をお願いし(演奏家系の方ではありません。)20 世紀半ばのフランスに息づいていた空気をほのかに漂わせつつ、極上の音楽のひとときを過ごせるこの逸品の魅力そのまま、日本の皆さまにもお届けしてまいります。
 録音は1956〜61 年頃、つまり彼がまだジュネーヴやミュンヘンの難関国際コンクールで続々優勝、とてつもない妙技で世界中を瞠目させていた頃——音楽院入学後たった6 週間で1 等賞をとってしまった異才の若々しさは、そのまま「自分の時代の音楽を吹いている」という自信とあいまってか、20 代とは思えないほど深く味わいあふれるブロウに...いまのプレイヤーたちでさえ敵わないかも?と思わせるほどの、息をのむほどの超絶技巧(けたはずれ!!!)にどこまでも人間味豊かな音楽性が宿るその演奏は、ジャンルなんて言葉には何の意味もない、ただ音楽だけがある...としか思えなくなってくる「うた」に貫かれているのです。これぞ「原点」...ブラス系金管ファンはもちろん、越境系古楽ファンやフランス音楽愛好家にもマストな1作です!

MELOPHONE



MEPH006
(国内盤)
\2940
バッハとニ短調
〜トリオ・ソナタ連作シリーズ3〜
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750):
 ①パストラーレ ヘ長調 BWV590
 ②コラール「わが魂は主を讃えん」BWV733
 ③協奏曲ニ短調 BWV596(ヴィヴァルディの合奏協奏曲op.3-11 による)
 ④コラール「いと高きには神のみにぞ栄光あれ」BWV662
  (『ライプツィヒ・コラール集』より)
 ⑤オルガン独奏のためのトリオ・ソナタ 第3 番 ニ短調BWV527
 ⑥コラール「天にまします我らの父」BWV737
 ⑦小フーガ ト短調 BWV578
 ⑧トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
国分桃代 (オルガン)
使用楽器:聖シンプリチャーノ教会(ミラノ)のアーレント・オルガン
 前2作が相次いで「レコード芸術」特選に。ブリュッセルのフィニステール聖母教会で正規奏者をつとめる国分桃代、満を持しての充実企画「6連作バッハ・シリーズ」。
 第3弾は「オルガン音楽の代名詞」トッカータとフーガや小フーガ、ヴィヴァルディ編曲など有名作揃い!

 すでに名盤あまたのバッハ作品、それも「きちんと録音している人はみな腕達者」という非常に競争率の高い「バッハのオルガン音楽」というジャンルにあって、安さ以外の理由で安定して売れ続けているものには必ず、理由がある——2010 年末よりスタートした、ブリュッセルのフィニステール聖母教会で正規奏者をつとめている国分桃代氏の「トリオ・ソナタ連作シリーズ」もそんなひとつ。

 大バッハが書いたオルガン曲のなかでも、作曲家自身が歿後しばらく「専門家しか知らない」存在だった時代も含め、決して絶えることなく人気曲でありつづけてきたオルガン音楽の最高傑作、六つのトリオ・ソナタBWV525〜530(何段かあるオルガンの鍵盤のうち2段を左手と右手で弾き分けて2筋のメロディ楽器の代わりにし、足鍵盤で通奏低音役をこなす「一人三役」のソナタ!)からアルバムごとに1曲を選び、その調性に関連したバッハ作品をあわせて収録してゆく...というスタイルで、まともに全曲録音するとCD15 枚は下らないバッハのオルガン音楽の世界を、ほぼ1年に1枚のペースでゆっくり辿ってゆこうというこの好企画、ないしろ演奏そのものが「満を持して!」の充実度を誇りつつ、耳馴染みのよいプログラム進行や、毎回慧眼あらたかに欧州中の異なる銘器をひとつずつ弾いてゆく...という「音」の面での親しみやすさもあいまって、これまでの録音はすべて高評価(『レコード芸術』誌でバッハのオルガン作品集が「特選」に輝くということが、どれだけ大変なことか...)——
 しかし、今度の第3作は前2作にもまして選曲が絶妙!なにしろ今回はニ短調という、たいへん明快・壮大でありながら充足感を感じさせる調性が軸になっていて、この調性は機能和声システムが確立される前から、中世の教会ドリア旋法を受け継ぐ存在として使い慣らされてきたこともあり、オルガン音楽そのものと非常に相性がよいのです。バッハがこの調で書いた音楽としては、何をおいてもまず若い頃の傑作『トッカータとフーガ ニ短調』BWV565 がありますし、この傑作とトリオ・ソナタの第3番ニ短調だけでも本盤はじゅうぶん充実選曲と言えるのですが、そのうえさらに関連した調性の作品も含め、たとえば「小フーガ ト短調」BWV578 のような有名曲もあり、『ライプツィヒ・コラール』からの傑作や初期のドイツ音楽の影響かで書かれたコラールなども聴きどころ...演奏者は楽器と調の相性を毎回ふかく考え抜いていて、今回は名手L.ギエルミが正規奏者をしている、名工アーレントが建造したミラノの銘器が大活躍。古色蒼然とした美音は実に明快、ドイツ作品への適性もぴったりの楽器に演奏者の「気持ち」が乗ると、かくも充実したバッハが聴けるのか!と嬉しくなること請け合いの名演!前2作での期待を上回る録音なのです。

NCA



NCA60187
(国内盤・SACDHybrid)
\3150
シャフラート(1709〜63)古典派前夜、ベルリン楽派の光と影
 〜序曲、協奏曲...〜
クリストフ・シャフラート(1709〜1763)
 1. 序曲 イ長調
 2. フルート協奏曲 ホ短調
 3. 交響曲(シンフォニア)第13 番 ト短調
 4. チェンバロ協奏曲 変ホ長調
 5. 序曲イ短調
ワード・アーマン指揮
ハレ・ヘンデル祝祭管弦楽団(古楽器使用)
コンラート・ヒュンテラー(ft)
アルミン・タールハイム(cmb)
 C.P.E.バッハやクヴァンツら、日本のバロック・ファンをドキドキさせるセンスの良い作曲家が数多く働いていたフリードリヒ大王の宮廷。オムニバス企画盤ではほぼ常連の実力派シャフラート、その至芸を、絶妙の管弦楽曲や協奏曲の名演でたっぷり味わえる名盤。日本語解説付でどうぞ!
  日本のバロック・ファンはいろいろな意味で欧州の古楽ファンとは違い「地元の作曲家」というのがいないぶん、かなりバランスよくさまざまな音楽を愉しんでいるように思うのですが、それでも人気のジャンルというのはあって、よーく見てゆくと、珍しい作曲家まで幅広く聴いている方々でも必ず通る道のひとつが「バッハまわりの作曲家」——古い方で言えばオルガンの巨匠ブクステフーデやバッハ自身が曲を筆写していたフレスコバルディやグリニー、新しい方では息子たち、および息子たちのライヴァルさまざま...とくにC.P.E.バッハ(次男)が大学卒業後に就職した、ポツダム/ベルリンのフリードリヒ大王の宮廷にいた作曲家たちは、古楽器演奏が流行り出す前から東西冷戦時にも“東側”の凄腕奏者たちが好んで弾いていたり、ヴィヴァルディの『四季』やバッハの協奏曲をふだん弾いているような室内合奏団が目先を変えて録音したり...と、かなり昔から日本の私たちも接するチャンスのあった「隠れ巨匠」が多く、おのずとフリードリヒ大王の「宮廷の好み」が日本のバロック・ファンにもしっくりくる、フリードリヒ大王がからんでいる作曲家は知名度にかかわらず喜びの度合が大きい...という現象が生じているようで。
 そもそも晩年のバッハをわざわざ宮廷に呼んで「ピアノを弾かせた」という有名なエピソードなど、フリードリヒ大王はバッハがらみの薀蓄にも事欠きませんから、話題性があるという点でも親しみやすいのかもしれません。しかしそういうことのすべては、そもそもの音楽が美しくセンス抜群だからこそ起こること——「フリードリヒ大王の音楽趣味はイタリア・オペラ寄りの空虚なものだった」なんて勝手なことを書く人も昔から多々いますが、それはあくまで学者目線。
 むだに学術ぶる(それはそれで魅力になることも、ですが)ことなくも知的さを保ちながら、耳の心地良さをセンス良く狙える作曲家でなくては生き残れなかったフリードリヒ大王の宮廷作曲家たちは、概して実に聴きがいのある名曲を多々書いている...だからこそ、演奏家たちもこぞって(自分の演奏を聴きに来るお客さんのことも考えながら)進んで彼らの音楽を演奏・録音しつづけてきたわけです。その喜び、「一部の学者のエゴ」で潰されてたまるものですかぱそもそもフリードリヒ大王の宮廷で活動していた作曲家たちの多くは、逆に音楽学が大好きなベルリン市内のインテリ音楽ファンも相手にしていたわけで、書こうと思えば難しい曲だって書けた凄腕作曲家も多かったわけですし。
 さて、ドイツ屈指の筋金入りの知性派レーベルNCA には、そんなベルリン楽派屈指の天才でありながらCD1枚にまとまって出てくることは少ない「隠れ名匠」シャフラートの合奏曲を集めた痛快なアルバムがあり、経営体制変更前はほとんど出回らなかった逸品なのですが、新体制化でSACD-Hybrid でリリースされたのを今回、ついに充実解説の訳付・国内流通でお届けできることに。
 バッハやテレマンの協奏曲とハイドンの初期交響曲のあいだをゆくような、耳になじみやすい1740〜50 年代の傑作の数々を演奏するのに、さりげなくドイツ古楽界きっての大物奏者たちが独奏陣を占めています。

PAN CLASSICS



PC10281
(国内盤)
\2940
エフゲニー・コロリョフ(ピアノ)
 プロコフィエフ(1891〜1953):

  1.ピアノ・ソナタ 第2 番 ニ短調op.14(1912)
  2.ピアノ・ソナタ 第4番 ハ短調op.29(1917)
  3.ピアノ・ソナタ 第7番 変ロ長調op.83(1939/42「戦争ソナタ 第2番」
エフゲニー・コロリョフ(ピアノ)
 アファナシエフ、ソコロフ、リュビモフらと同世代、すでに「巨匠中の巨匠」!!
 ロシア・ピアニズムのおどろくべき未踏の地、稀代のバッハ解釈者たる大御所コロリョフの弾くプロコフィエフは超絶技巧をものともしない、堅固&雄大なピアニズム——ピアノ・ファン必聴の音楽世界!

 「ロシア・ピアニズム」——その広大無辺の宇宙は、冷戦終結から20年以上の歳月が過ぎた今でも、明敏な耳の持ち主が多い日本のリスナーの世界でもまだ、驚くほど未踏の部分が多い世界と言わざるを得ないのではないでしょうか。なにしろ、もともと旧ソ連時代には録音物流通のルートが限られていたうえ、ピアニストの本分はリサイタル活動であって録音物の普及ではないわけですから、東側で驚くべき活躍を続けてきた巨匠たち(とくに、冷戦終結後までに40〜50代になっていた1940〜50年代生まれの名手たち)のなかには、スーパーヒーロー格であるにもかかわらず、国際的に知られた録音物がなく、その実力と祖国や欧州などでの評価とが日本では広く知られているとはいいがたい、そんな名匠がまだまだたくさんいるのです(ゲルギエフとの共演盤があるため辛うじて名が知られているアレクサンドル・トラーゼ然り、来日がほとんど途絶えているためその偉大さが充分に伝えられていないグリゴリー・ソコロフ然り...そういえば、ウゴルスキやアファナシエフ、リュビモフといった「異才中の異才」タイプのロシア人ピアニストたちも、日本で有名になったのは確実に冷戦後からでしたね)。
 本盤のエフゲニー・コロリョフもそうした異才中の異才のひとりに数えられるべきユニークな才人なのは、日本でも一部のピアノ音楽ファン、ロシア音楽通にはよく知られていることですが、いかんせんおもに録音してきたレーベルがドイツのTACET、つまり国内にあまり流通しないレーベルだったこともあり、その存在感は「ロシア現代きってのバッハ弾き」という最重要の個性にさえ光が充分には当てられていないような——そんな彼がフランクフルトのヘッセン放送(HR)で録音していた瞠目すべきプロコフィエフのソナタ3曲は、このピアニストが同世代のアファナシエフやソコロフに勝るとも劣らない超実力派だったことを、ありありと裏づけてやまない名演!
 指廻りが完璧すぎるくらいなのは当然ながら(そうでないとプロコフィエフのソナタなんて録音できませんよね)、ソナタひとつひとつのドラマ性のなか、味わいあふれるピアニズムに絶妙の濃淡をつけてゆく解釈設計の確かさ、バッハを得意とする才人ならではのメロディラインひとつひとつの浮かび上がらせ方、どこをとっても作品美を新たに認識しなおすこと必至...比較的初期の作となる第2ソナタの弾き進め方の確かさ、第二次大戦を横目に見据えつつ仕上げられていった「戦争ソナタ」での熾烈なドラマ、「ロシア生粋の、本物のプロコフィエフを聴いた!」と痛感させられる充実度!
 忘れ難い名演+ピアニストについても詳述されている日本語解説添付で、この異才が新たに注目されるようになれば…!


旧譜
 コロリョフの名盤復活
Bach, J S: Goldberg Variations, BWV988
PIANO CLASSICS
PCL0010
(2CD)
\2000→\1890
J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲BWV.988 エフゲニー・コロリョフ(pf)
 コロリョフの評価が最近非常に高い。
 もともと実力派として知られていて、これまで多くの名盤をリリースしてきたのだが、最近になって日本のファンにもとても高く評価され始めたというのだ。
 まだまったく無名だったコロリョフのバッハを聴いた作曲家のリゲティは、彼のバッハの録音について、「無人島に持っていく1枚」に選び、さらに「死の苦しみを忘れさせてくれるだろう」と絶賛した。そうしてようやくその真価が日本のファンにも認められ始めた。
 ・・・というよりも、一度耳にしさえすれば、それがいかに深く真摯な音楽がすぐにわかるはず。

 さてそのコロリョフのHANSSLERから出てベストセラーとなっていた名盤がPIANO CLASSICSレーベルから再登場。しかも超お買い得価格。
 1999.4録音。

 


PC10269
(国内盤・2CD)
\4200
グナール・レツボール
 ヴァイヒライン(1652〜1706)『音楽による祝宴』
  〜12の合奏ソナタ オーストリア・バロックの至宝〜(1695)

ロマヌス・ヴァイヒライン(1652〜1706):
 『音楽による祝宴』〜5声および多声のソナタ集
  (2挺のヴァイオリン、2挺のヴィオラと
   通奏低音、および2本のトランペットのための12 の合奏ソナタ)
グナール・レツボール(バロック・ヴァイオリン)
アルス・アンティクヮ・アウストリア(古楽器使用)
 かけはじめたとたん、CD2枚分の収録量があって本当によかったと確信するはず——
 ヴァイヒラインとは誰なのか? 同時代のビーバーやコレッリにも易々と比肩しうる・・・そのざやかな音作りを、レコード・アカデミー賞受賞の筋金入りプレイヤーの壮絶名演で!

 作曲家の名前が無名だからといって尻込みしていると、ほんとうに聴きごたえある痛快な名演をどんどん逃してしまうのが、古楽の世界——
 ロマン派以降に作られた近代音楽史やら、伝統的な演奏会場でのヒエラルキーやらとは無縁のまま、いろいろな事情から歴史においてきぼりにされてきた巨匠というのはいくらでもいるわけですから、ピアノ発明以後の音楽界のルールに縛られるあまり、絶妙の名演で掘り起こされてきた傑作の数々をわざわざ避けて通るような音楽鑑賞をするなんて、実にもったいない話ではありませんか...と、全く他では聞かないヴァイヒラインなる名の作曲家の作品がCD2枚にわたって収録されているこのPan Classics からのアルバムにふれれば、あらためてそう痛感せずにはおれないはず。
 こうした無名作曲家の名盤を掘り起こすときに指標となるのは、やはり「誰が弾いているのか」「どのレーベルに録音しているのか」が大きいと思います。
 ヘレヴェッヘ、サヴァール、ル・ポエム・アルモニーク...といった、とてつもない音楽性が約束されている古楽プレイヤーが、わざわざ発掘して多くの人に聴いてほしい...と録音するくらいの音楽であれば、何かしらの点で強い魅力がないはずがない!しかも、他でも古楽系の玄人リスナーから高い評価を得ているアルバムが多々出ているレーベルでのリリースとなれば、それは売れ行きをまっさきに考えなくてはならない立場のレーベル主宰者が「売れる」と確信してリリースしたくなるだけのインパクトにも事欠かない...というわけです。
 2009 年に惜しまれながら活動休止したイタリアの最高級古楽レーベルSymphonia で2枚別々に録音・発売されたものの、日本ではほとんどまともに流通する機会もなかったアルバムが、今回ご紹介するPan Classics 盤の原盤——長らく廃盤だった傑作盤の待望のカタログ復活・・・といった状況なのですが、ここで注目すべきは、これまでにもエンリーコ・ガッティやラウラ・アルヴィーニといった「イタリア古楽界にこの人あり」な大物たちの売れ筋盤も多数出してきたSymphonia レーベルが、このヴァイヒラインなる作曲家のアルバムを2枚、別々に制作していたという事実——
 そう、かつての主宰者は、ヴァイヒラインなる作曲家の無名曲集を演奏したグナール・レツボールらの録音が、確実に「2回別々にアピールしても売れる」と踏んだから、この録音企画にゴーサインを出したに違いないのです。
 なにしろその仕掛け人は、オーストリア古楽の埋もれた傑作発掘に余念がない、しかも自身が桁外れの技量を誇るバロック・ヴァイオリン奏者でもあるグナール・レツボール。 超絶技巧なくしては演奏すらままならないビーバーの難曲ソナタ集で昨年レコード・アカデミー賞も受賞している、今あらためて「旬」ともいえる偉大な名古楽奏者がわざわざ大々的に録音に臨んだだけあって、これら12の合奏ソナタは実に多種多様、艶やかさではコレッリに、大胆さではビーバーにもひけをとらない音作りが痛快というほかない、極度に充実したバロック合奏曲集になっているのです。
 ガット弦の交錯も優美なら、折々に出てくる滋味ゆたかなナチュラル・トランペット2本の参加もまた痛快。解説充実全訳付、損はさせない充実内容の古楽盤です!
 

JS Bach: Sei Solo a Violino senza Basso accompagnato Vol. 1
PC10286
(国内盤)
\2940
グナール・レツボール
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1・2・3番

 1. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001
 2. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調BWV1003
 3. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調BWV1005
グナール・レツボール(バロック・ヴァイオリン)
使用楽器:ゼバスティアン・クロッツ18 世紀製オリジナル
 楽大国オーストリア最高の凄腕バロック・ヴァイオリン奏者、おどろくべき鮮烈な感性、桁外れの技量、音楽学への通暁、全てが規格外の鬼才が満を持して、バッハ無伴奏——もう注目するしかない、新たな名盤に震撼する日は目前!
 全ヴァイオリン芸術の頂点をきわめる傑作、バッハの『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』——しかしバッハが知っていた18 世紀初頭当時のヴァイオリンは、楽器そのものが薄く、指板も短く、弓も違えば弦も羊腸製(ガット)で弾き方からしてまったく違う、そういう古い楽器を前提にしてこの6編の傑作が書かれたのなら...と、世界的プレイヤーたちも今やこの曲集とじっくり向き合うのを契機として、バロック奏法にあらためて挑戦する人さえ珍しくなくなってきました。
 しかし、どうでしょう...すでに1世紀以上ものあいだ学術的に研究されつづけてきたこのバッハの重要作品集、登場する新録音はたいていスター性の高いヴァイオリン奏者たちによるもので、純粋に「バッハ時代のヴァイオリン音楽のありかた」と正面から向き合ってこの曲集を録音する…というような制作姿勢がみられる新録音は意外と少ないようにさえ思われます(昨今の数少ない例外のひとつは、Alpha レーベルから数年前に出たエレーヌ・シュミットの異色盤...Alpha082・Alpha090)。
 しかし、そんな21 世紀の現状をけたたましく打ち破らんとする期待の新録音が、バッハの母語と同じドイツ語を話す人々が住まう音楽大国・オーストリアでいま、静かに産声をあげようとしているのですひその弾き手とは、エドゥアルト・メルクスやアルノンクールの若い頃からつづく半世紀来のひそかな古楽大国であるオーストリアで、過去20 年来、その古楽界の発展を最前線で担ってきた凄腕バロック・ヴァイオリニスト——その名は、グナール・レツボール!!
 そう、先日『レコード芸術』誌の古楽部門で2012年最高の栄誉たる「レコード・アカデミー賞」に輝いた、音楽史家でもありアンサンブル指揮者でもあり、そしてオーストリアをはじめとするドイツ語圏の音楽史に埋もれてきた秘曲発掘にも全力を注いできた、研究者としても徹底した見識の高さを誇る、筋金入りの古楽奏者です。しかも、レコード・アカデミー賞受賞作であるビーバーの1681 年のソナタ集全曲(あまりに演奏がむずかしいため、全曲録音などまず滅多に出ない難曲(PC10245)や、近年Arcana レーベルに録音してきた異色盤の数々がありありと示しているとおり、レツボールはとてつもない超絶技巧もまるで赤子の手をひねるように易々と弾きこなしてしまう、そして鮮烈至極のフォルティシモから心とろかす弱音のカンタービレまで千変万化、極端に落差のはげしいコントラストも好んで使う、実に聴きごたえある音楽を作る鬼才...
 Pan Classics レーベルのプロデューサーが「これはとてつもない」と予告しているところから察する限り、まず間違いなく「期待しすぎても決してしすぎではない」というにふさわしい、超弩級の名盤が仕上がってくるに違いありません。
 レツボールはこれまで、どちらかといえば秘曲系の録音ばかりを続けてきたプレイヤー...しかしそうやって培ってきたブレのない古楽奏者としての確かな経験値のうえで、ついに満を持して(しかも、レコード・アカデミー賞受賞直後に)この傑作を録ってくれたのですから、今こそ「レツボールここにあり」を全クラシック・ファンが痛烈に意識する機会がようやくめぐってきた...というべきでしょう。
 


PC10251
(国内盤)
\2940
エンリーコ・バイアーノ
 ヴィヴァルディ/アン・ドウスン音楽帳版
  チェンバロ独奏による協奏曲(op.3・op.4 より)


アントニオ・ヴィヴァルディ(1678〜1741)/
 編曲版:アン・ドースンの鍵盤音楽帳より(1720 年頃、マンチェスター):
 合奏協奏曲集『調和の霊感』op.3 より
  協奏曲 第7・9・12 番
 ヴァイオリン協奏曲集『ラ・ストラヴァガンツァ』op.4より
  協奏曲 第1・3・4・5・6・10 番
エンリーコ・バイアーノ
(チェンバロ/F-E.ブランシェ1733 年頃2段鍵盤モデルによる)
 ヴィヴァルディは、生前から大人気だった作曲家…チェンバロだけでも弾きたい人がいたくらい。
 バッハ版とはまるで違ったコンセプトでの忠実編曲版を、現代チェンバロ界指折りの異才バイアーノが、みずみずしく。
 楽器の魅力と対比の妙、聴きごたえある1枚です。

 古楽系CD の世界には、聴かれる範囲が詳しい方たちだけに限定されてしまうのが(それぞれいろいろな意味で)あまりにも勿体ない良盤がいたるところに眠っている——近年とてつもないスカルラッティ解釈などで古楽ファンのあいだに静かなブームを巻き起こしてきたイタリアの異才・エンリーコ・バイアーノが放ったこの異色のアルバムなどは、まさにその好例のひとつです。
 ヴィヴァルディの傑作協奏曲の数々を、チェンバロ独奏でたっぷり8曲、18 世紀当時の筆写譜をもとに鮮やかに弾きこなした1枚...ヴィヴァルディの協奏曲、それも初期の『調和の霊感』op.3 やその次に発表された『ラ・ストラヴァガンツァ』op.4 は、発表当時からたいへんな人気だったようで、バッハも前者の曲集にはすっかり夢中になり、かなりの作品をチェンバロ独奏やオルガン独奏のために編曲したことは有名ですが、そうした試みは他の音楽家たちによっても行われていたのです——
 活動休止した幻のSymphonia レーベルからの移行盤である本盤に収録されているのは『アン・ドウスン音楽帳』と呼ばれる、ヘンデルが来た頃の英国で作られた鍵盤独奏用の曲集に記載されていた編曲例。同レーベルでのドメニコ・スカルラッティ作品集が日本の古楽ファンのあいだで大きな話題となり、他にもフレスコバルディ、フローベルガー...と数多くの名盤をSymphonia に残してきたナポリ生まれの異才チェンバロ奏者エンリーコ・バイアーノは、この18 世紀の楽譜を(当時のプロ音楽家たちの演奏習慣にならって)そのまま弾くのではなく、ヴィヴァルディの原曲の良さができるだけ際立つよう即興で音を足したりしながら、さながらバッハの『イタリア協奏曲』のごとく、同じ強さの音しか出せないチェンバロという楽器から驚くほど豊かな音響世界を引き出してみせています。そう、それはまるで弦楽合奏が、局面に応じて鳴らす楽器を増やしたり、減らしたりしているかのよう——
 聴きはじめてしばらくすると、よーく考えるとチェンバロなんですよね、と気づくのですが、その驚きと興奮といったらひ原曲を知っていてもいなくても(op.3 の曲は有名、op.4 の非有名曲もあり、という選曲はうまいと思います)チェンバロという楽器の可能性と面白さをあらためて体感できる1枚だと思います。充実解説は全訳付、時代背景とチェンバロの特性について思いを馳せながら、自宅ではCD 鑑賞ができなかった時代特有の「いつでもオーケストラ=鍵盤で自分で弾く」な18 世紀のスタイルに思いをはせてみるのもよいかも。奏者バイアーノの名前だけでも、このアルバムの復活は古楽ファンにはかなり注目されるはず。どうぞお見逃しなく!
 


PC10275
(国内盤)
\2940
ヘフラー(1647〜1705):『竪琴からとれた初物の果実』
 〜ニュルンベルクから来た、凄腕のガンバ奏者〜(1695)

 コンラート・ヘフラー(1647〜1705):
  『竪琴からとれた初物の果実』
   〜ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための
  12 の組曲 第1 部(全6編)
   第1 組曲 ヘ長調 第2組曲 ロ短調
   第3組曲 ニ長調 第4組曲 イ長調
   第5組曲 ニ短調 第6組曲 ト長調
グイード・バレストラッチ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ニコラ・ダル・マーゾ(ヴィオローネ)
ラファエル・ボナヴィータ(アーチリュート)
マッシミリアーノ・ラスキエッティ(オルガン&チェンバロ)
 ガンバという楽器の良さが様々な角度からストレートに伝わる、バレストラッチ会心の1枚がPan Classicsで奇跡の復活——
 ドイツ語圏が凄腕プレイヤーの宝庫だった17世紀末、ドイツ中部で活躍した名手=作曲家の傑作録音、充実解説とともにお届け致します!

 バロック音楽がバロックらしくなってくる頃...つまり私たちが20 世紀後半から「バロック」と認識して親しんできた1700年前後以降の音楽スタイルができあがってくる頃というのは、何より魅力的な古楽器のひとつヴィオラ・ダ・ガンバがどんどん使われなくなっていった時代でもあり。バロック・チェロなどとも違う、ちょっとくすんでいながら艶やかでオーガニックな羊腸弦の響きは、他の何物にも代えがたいのに、ガンバの独奏で十全にそれを味わえる曲目というのは意外に有名どころにはなく、つい限られた作品(バッハの3曲のソナタ、マレ、フォルクレ…)を聴きつぶしてしまいがちなのではないでしょうか。しかし、ガンバの魅力をほんとうに堪能しようと思ったら、作曲家の名前よりもむしろ「時代」と「活躍地」を意識したほうが、素晴しい体験に出会いやすいもの——
 バッハやテレマン、コレッリやヴィヴァルディに通じる「充実した音楽展開で曲の形もわかりやすい、耳にしっくりくるバロック音楽」でガンバの響きを最も楽しめる...となれば、まずは17世紀末のドイツ音楽を探してみるのが一番だと思います(本盤以外では、たとえばデュッセルドルフで活躍したヨハン・シェンクの音楽など)。
 マレ周辺のフランス音楽のような独特の敷居の高さがあるわけではなし、明快なことコレッリやアルビノーニのごとく、滋味深いことバッハやヘンデルのごとく、形式感覚の確かさはテレマンにも比しうる...そんなガンバ
音楽の傑作の宝庫である17 世紀末のドイツ語圏でも、ここにご紹介するヘフラーの曲集は群を抜いてすばらしい一編ということができます。
 1695 年、楽器職人と楽譜印刷の町としても知られたニュルンベルクで刊行された『竪琴からとれた初物の果実』、その作曲者コンラート・ヘフラーは同市出身の凄腕ガンバ奏者で、その後バイロイト→ハレ→ヴァイセンフェルス...と17 世紀当時から文化的な主君がいたことで知られる宮廷ばかりで活躍してきたことがわかっている人。
 つまり当時とりわけ高く評価されていた名演奏家だったわけで、その卓越した技量はそのまま、唯一の現存曲集であるこの1冊にもみごとに反映されているという次第。前奏曲ではめまぐるしく敏速な動きがパガニーニのように続き、サラバンドの歌心は絶美のバロック・オペラ・アリアのごとく、またここぞという絶妙の瞬間に重音奏法が興を添えてみたり...前奏曲、アルマンド、クラント、サラバンド、ジグからなるエッセンシャルな組曲形式で、ここまで多彩な「聴きどころしかない」音楽を紡げるとは、相当な天才だったというほかありません。そして本盤では、何より弾き手がすばらしい——
 いま欧州古楽界で縦横無尽に活躍しているイタリア出身の異才バレストラッチの技量は、もう一点の曇りもない、そして1音1音に楽器の味わいを知り尽くした者ならではの“心”がこもっている...頼れる通奏低音陣の響きの多彩さも絶妙、ただ流し聴きにして羊腸弦の妙に身をまかせるもよし、深く聴き込んでも魅力はつきない、そんな絶妙のガンバ盤なのです!

PHI



LPH009
(国内盤・訳詞付)
\2940
フィリップ・ヘレヴェッヘ、「ピリオド解釈」での「ドヴォルザーク」!!
 ドヴォルザーク(1841〜1904):
  スターバト・マーテル 作品58(1880〜81)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(合唱)、
ベルギー王立フランデレン・フィルハーモニー管
(=ロイヤル・フランダース・フィル)
独唱: イルセ・エーレンス(ソプラノ)
ミヒャエラ・ゼーリンガー(メゾソプラノ)
マクシミリアン・シュミット(テノール)
フローリアン・ベッシュ(バス)
 「出れば必ず痛快な売れ行き」をみせるのも当たり前——神がかり的な充実度をみせる古楽畑の名匠ヘレヴェッヘが自主制作レーベルから放つ新作は、なんとロイヤル・フランダース・フィルとの「ピリオド解釈」での「ドヴォルザーク」!!
 楽壇の統一感と底知れない充実解釈、震撼ものです…
 2010 年末に立ち上げた自主制作レーベルPhi とともに、近年ますます破格の快進撃を続けているベルギーの世界的名匠、フィリップ・ヘレヴェッヘ——昨年はすでにこのレーベルのリリースもかなり好調になってきて、しかもバッハ2枚組(ロ短調ミサ)→まさかの?ア・カペラによるルネサンス→バッハ回帰→驚くべきベートーヴェン(ミサ・ソレムニス)→なんとヘレヴェッヘぬきのバッハ(無伴奏ヴァイオリン)...と、毎回つねに聴き手の注目をひかずにはおかない仕掛けのもと、全てのアイテムにおいて強烈なセールスを記録しつづけています(リリース分は第2 弾以降すべて『レコード芸術』誌特選)。その成果はとくに、通常クラシック・ユーザーがまず触らないジャンルであるルネサンスのア・カペラ作品(LPH005・ビクトリア)ですら、いまだにハイペースで売れ行きを更新しつづけ同レーベル屈指の売れ筋になってきているところ、あるいは最新盤のベートーヴェン『ミサ・ソレムニス』での痛快な仕上がりと、それにふさわしい堂々のセールス更新が続いているところなどにもよくあらわれています。
 そんな折も折、最新盤(LPH008)が間もなく日本発売というこのタイミングで、またもや耳目を驚かす新譜サンプルがひょいっと届きました——なんと、今度はロイヤル・フランダース管との共演ぼレオンハルトとアルノンクールのバッハ全集での合唱指揮者に起用され世界的に注目されながら、ルネサンス〜バロックの合唱指揮からスタートし、その後古楽器録音で古典派、ロマン派...と徐々に活動範囲を広げてきた末、古楽器によるロマン派以降の作品解釈を続けるシャンゼリゼ 管弦楽団を結成するなど古楽器演奏シーンの名匠というイメージが強いヘレヴェッヘですが、近年もPentatone レーベルでベートーヴェンの交響曲全曲録音を敢行しているとおり、故郷ベルギー屈指のこのオーケストラとも緊密な共同作業を続けてきており、現代楽器オーケストラでのピリオド奏法のあり方も理想的な形で提案しつづけてきていて。先日ベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』盤日本語解説限定で寄せていただいたコメントでも、このオーケストラとの録音がPhi レーベルでの視野に入っていることを仄めかしていたヘレヴェッヘ、まさかこんなに早いタイミングで、これほどの大作で新譜を提案してくれるとは...!!
 そもそも19 世紀末まで活躍したドヴォルザークの大作は、ピリオド解釈での対応がまだごく一部でしか行われていないところ、その点だけでも注目なところ、近年の神がかり的なタクトの確かさ、あの整然と全体を整えながら細部にいたるまで人間味にあふれた、滋味あふれる美しい音作りがもたらす壮絶な鑑賞体験は、今回も大いに健在——ドヴォルザーク躍進期に英国リヴァプールで演奏され、彼の国際的名声の確立に大きく寄与したこの成功作、曲の長大さからしばしばCD2枚組でリリースされることも多いところ、うまく1枚に収まっているのも絶妙。それでいて慌てたような印象をいっさい与えないのが、解釈の確かさを何より裏づけているところだと思います

RICERCAR



MRIC323
(国内盤・訳詞付)
\2940
バッハはどこから来たか
 〜ベーム、バッハ、J.C.バッハ 結婚その他の祝い事に まつわる音楽〜

ゲオルク・ベーム(1661〜1733):
 ①教会カンタータ「わが友なるかたが、わたしにはいる」
ヨハン・クリストフ・バッハ(1642〜1703):
 ②婚礼のためのカンタータ「わが女友達、きみは美しい」
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1686〜1750):
 ③教会カンタータ「主はわたしたちを気にかけ、祝福してくださった」BWV196
 ④クオドリベット「何でまた、大きな建物がいくつも」BWV524
  ※収録曲順は①③②④
レオナルド・ガルシア・アラルコン(cmb)指揮
アンサンブル・クレマチス(古楽器使用)
マリアナ・フローレス(S)
ポラン・ビュンドゲン、
ステーフ・デュハルディン(C-T)
フェルナンド・ギマラネシュ(T)
クリスティアン・イムラー、
フィリップ・ファヴェット(Bs)
 初期作品の味わいは、すっかり「17世紀」
 ——青年バッハを育てた、古雅なるドイツ音楽の世界。

 「音楽の父」がまだ子だくさんの父になる前、マリア・バルバラと結婚した頃のカンタータを軸にバッハの師匠ベームやバッハも敬愛していた親族の作品など、極少編成が活きる逸品4編!

 「音楽の父」ことバッハの作風は、ヴィヴァルディとの出会いの前と後では大きく違うもの・・・。 なにしろ彼は生涯ドイツ語圏を出なかったので、1712 年頃にヴァイマールの宮廷で最新のヴィヴァルディ作品などにふれる機会がなかったなら、まるで違う作品を書いていたことでしょう(...といいつつ、情報に餓えていた彼のことですから、遅かれ早かれイタリア音楽との出会いはあったのかもしれませんが)。
 初期のバッハにとってのヒーローは、むしろブクステフーデやラインケン、ベームといった17 世紀ドイツ北方の巨匠たちで(そもそも、18 世紀という時代が訪れたのはバッハが16 歳になった年のこと)、通奏低音以外は各パートひとりずつの極少編成がしっくりくる古雅な音作りでの音楽には、のちの作品にはまず見られない独特の親密な味わいが宿っている...ということは、日本にあまたおられるであろうバッハ通の方々にとってはもはや常識に違いありません(たとえば合唱関係者の方々やアマチュア古楽器演奏家の方々にも、ガンバやリコーダーが活躍する葬送カンタータBWV106 や「深き淵より」BWV131 などを偏愛されている方が少なくない、等)。
 さて、このアルバムではそうした「初期バッハ」の魅力と、そのルーツともいうべき、彼が大いに尊敬していた二人の先人たちの作品をあつめ、バッハが若い時代にどういう音楽環境で育ち、その才能を開花させていったか...をじっくり聴き確かめられるプログラムになってします。
 題して「バッハ、結婚適齢期」——原題に「結婚その他の祝の音楽」とあるわりには、ごくしっとりと落ち着いた作品で始まりますが、この冒頭作品こそは唯一、バッハの師匠であったことが史料から確認されている名匠、ゲオルク・ベームの逸品!
 さらに青年時代のバッハが「彼は偉大な作曲家であった」とわざわざ言及したと伝えられている1643 年生まれのJ.C.バッハによる結婚カンタータ(これは当人の結婚式のために書かれたと言われています)まで収録し、17 世紀のドイツ語圏におけるスタンダードな音楽のあり方を、我らがバッハ自身による初期作品と比較できるという充実内容。そして肝心のバッハ作品は、彼自身が結婚した頃に書かれたカンタータBWV196...20 歳そこそこのバッハが書いたこのいかにも17 世紀ドイツ的な名品の味わいは、ふだんからモンテヴェルディやフォンターナといった17 世紀初頭のイタリア音楽を弾きこなしているラテン系バロック奏者たちが集うアンサンブル・クレマチスと、自身(まだあえて、なのでしょう)バッハ録音はしないにもかかわらず「平均律」全曲その他のバッハの鍵盤主要作品は全て暗譜しているという異才古楽指揮者ガルシア・アラルコン!
 訳詞解説翻訳付で「バッハはどこから来たか」を隅々まで解き明かす、欧州実力派古楽勢によるセンス抜群の1 枚なのです。

ZIG ZAG TERRITOIRES



ZZT321
(国内盤・4CD)
\5880
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集vol.2
 〜弦楽四重奏曲 第3・5・7・8・10・13・15・16番
    「ラズモフスキー第1/2」「ハープ」&大フーガ〜

 ベートーヴェン(1770〜1827):
  ①弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 op.18-3
  ②弦楽四重奏曲 第5番 イ長調 op.18-5
  ③弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 op.59-1「ラズモフスキー第1番」
  ④弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 op.59-2「ラズモフスキー第2番」
  ⑤弦楽四重奏曲 第10 番 ヘ短調 op.74「ハープ」
  ⑥弦楽四重奏曲 第13 番 変ホ長調 op.130
  ⑦弦楽四重奏曲 第15 番 イ短調 op.132
  ⑧弦楽四重奏曲 第16 番 ヘ長調 op.135-4
  ⑨大フーガ op.133
ベルチャ四重奏団
コリーナ・ベルチャ(vn1)
アクセル・シャヘル(vn2)
クシシュトフ・ホジェルスキ(va)
アントワーヌ・ルデルラン(vc)
 さっそく「上巻」が『レコード芸術』誌で堂々の特選受賞中——末代まで聴き継がれるに足る21世紀の充実全曲録音、ようやく「下巻」も登場します!

 長大な第15番や「大フーガ」など深みと桁外れのヴィヴィッドさが交錯する後期作品まで、バランスよい曲構成で、じっくりと...!ベートーヴェンの音盤BOX というものは、どうやら(交響曲・協奏曲もの以外)作品がどれほど有名でも、そして演奏がどれほど桁外れでも、火のつき方がたいへん遅いもののようで...この傾向は弦楽四重奏曲ものとピアノ・ソナタものの名盤に必ずといってよいほど言えることのようですが、EMI アーティストを長年続けた最前線の超実力派集団ベルチャSQ が「あえてEMI から外れ」たあと、満を持してリリースに踏み切ったベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集は、『レコード芸術』誌発売中号で上巻(ZZT315)特選を受賞するや、まさしく突如として注文が殺到する(4枚組にもかかわらず!)超売れ筋になってしまいました。それもそのはず、なにしろ彼らのベートーヴェン解釈の素晴らしさときたら、明らかに桁外れなのです——離れ業的技量で整然と音符の交錯をつむいでゆきながら、興奮をさそわずにおかない熾烈な4声の戦いが、沸々とたぎる作品そのものの情熱に血肉を、生々しい命を吹き込む...といった名演の連続、後期作品ひとつひとつの底知れない豊かさをどこまでも追求しながら、それでいて響きそのもののヴィヴィッドさがいささかも損なわれない...考えてみれば、ジュリアードSQ にせよスメタナSQ にせよ、ベートーヴェンの四重奏曲全曲録音の伝説的名盤の数々でさえ「はじまり」があったわけですから、ベルチャSQ の底力がひろく知られてゆくペースが静々じっくりだったとしても不思議はありません。
 なにしろベートーヴェンの金字塔的全集、これからさらに認知度を高めてゆくに違いない——と思っていた矢先の“レコ芸特選”、そんな折も折、待ちに待った全曲録音の「下巻」サンプルが舞い込んでまいりました!
 耳を通して驚かずにはおれない、「上巻」にも勝るとも劣らないこの内容...!
 今回も初期の「作品18」から2曲、中期はラズモフスキー2曲に「ハープ」、そして後期3傑作に「大フーガ」と選曲のバランスは絶妙、解説(全訳付)の本格さも嬉しいところで、音楽史上の傑作とがっちり向き合うのに申し分ないアルバム構成は前作と同様。


一躍日の目を浴び始めたベルチャ四重奏団!
注目の旧譜

ZZT315
(国内盤・4CD)
\5880
ベルチャ四重奏団
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集vol.1

 ①弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 op.18-6
 ②弦楽四重奏曲 第12 番 変ホ長調 op.127
 ③弦楽四重奏曲 第2番 ト長調 op.18-2
 ④弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 op.59-3「ラズモフスキー第3 番」
 ⑤弦楽四重奏曲 第11 番ヘ短調 op.95「セリオーソ」
 ⑥弦楽四重奏曲第14 番 嬰ハ短調 op.131
 ⑦弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 op.18-1
 ⑧弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 op.18-4
ベルチャ四重奏団
コリーナ・ベルチャ(vn1)
アクセル・シャヘル(vn2)
クシシュトフ・ホジェルスキ(va)
アントワーヌ・ルデルラン(vc)
 EMI時代にリリースされたアルバムで、才能豊かな音楽性と、ベテランかと思わせるような堂々たる歌いっぷりに「未来の大弦楽四重奏団」を予感させていたベルチャ四重奏団。
 しかしその後アルテミスSQとレパートリーがかぶったか、あまり録音が出なくなり、この2,3年は音沙汰がなかった・・・ところが突如ZIG ZAGに移籍!見れば第2ヴァイオリンも女性から男性に。・・・もともとファースト・ヴァイオリンのベルチャの個性が異様に強い四重奏団だったのだが、さらに彼女の求心力が高まっての今回の新録音であることは間違いないだろう・・・しかも放つはいきなりのベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集。これが出したくてEMIを離れたか、ベルチャ。しかしその選択は間違っていなかったと店主は思う。いずれにしてもこのところ話題作、大作が相次ぐZIG ZAGから、またもとんでもない大物録音が登場することになった。期待大。
 これは痛烈なまでに新定番の予感——メジャーから一転してZig-Zag Territoiresに移籍、堂々カルテット至上最高にして最難関の「全集」に乗り出した気鋭集団・ベルチャ四重奏団!!
 1枚目から、明らかに桁違いのクオリティ。
 フランス随一の小規模超強力レーベルZig-Zag Territoires は...!インマゼールのドビュッシー管弦楽作品集、クリヴィヌのラヴェル傑作集に続いて登場が予告されたのは、なんと——ついこのあいだまでEMI で続々と傑作盤を連発してきた世界随一の新世代カルテット、ベルチャ四重奏団の登場!
 よりによって、移籍早々にスタートするのが、弦楽四重奏曲の歴史上…いや、西欧音楽史上でもとくに重要な16 作、楽聖ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集とは!!
 ご存知の通り、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲16曲は、この天才作曲家が「鍵盤芸術の新約聖書」とうたわれたピアノ・ソナタ全32 曲を書き終えた後もなお綴り続け、死ぬ直前まで手掛けていたジャンルでもありますが、いかんせん最晩年の恐ろしいまでに濃密な音楽感性がそのまま(それぞれ交響曲並の、いやそれ以上もの長さを誇る)熟れきった作品構造のなかで展開されてゆく、しかも「腕利き」でかつ「アンサンブルができる」とびきりの弦楽器奏者が4人そろわないとできない、取り組むのがとてつもなく困難なジャンルとなっています。
 これまで全曲録音を敢行した団体も実は意外なくらい少ないのですが、この「ベルチャ版」は明らかに、つい先ごろまで続けられてきたアルテミス四重奏団のツィクルスにまさるとも劣らない——否、軽やかに凌駕しかねないほどのクオリティに満ちているのです。彼らは2012 年秋からのシーズンでヨーロッパ・ツアーに乗り出し、その演目がベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏を各都市で...というおそろしく「攻め」な活躍ぶりをみせているのですが、その前段階で粛々と進められていた録音プロジェクトと演奏結果の、なんと充実していることか!第6 番のあの強烈な和音の始まりから主題の歌い出しまで聴いただけでも、その卓越した演奏内容はただちに感じ取れるはず。
 手引きとなる解説もきちんと訳付でお届けします。
 アタックの効いた美音のしなやかさ、深いカンタービレとアンサンブルの妙、演奏内容の「攻め」具合と、培われてきた感性のとてつもない豊かさ... やはりベートーヴェンの全集を作ろうという段階にきたカルテットは、それだけの「格」に達しているのですね!!


新時代の到来を感じさせたベルチャ四重奏団の名盤
昔の紹介文から
Schubert - String Quintet
EMI
CDS 9670252
(2CD)
\3400→\1990
ベルチャ四重奏団/シューベルト:弦楽五重奏曲、死と乙女
 弦楽五重奏曲*
 弦楽四重奏曲第15番ト長調D.887
 弦楽四重奏曲第14番D.810「死と乙女」
ベルチャ四重奏団
*ヴァレンティン・エルベン(チェロ)
 存在感を増すベルチャQのシューベルト。しかも元ABQのエルベンと共演。
 ベルチャQにとって2作目のシューベルト、前作(CDE-2357372)の「ロザムンデ 他」に続くシューベルトの名四重奏曲に、傑作として知られる五重奏曲の組み合わせ。
 最近新譜がないのが残念だがこのところ台頭してくる新世代クァルテットの先頭を行くグループ。
 録音:2009年6月*、2008年5月 ポットン・ホール、サフォーク州ブリリアント・ボックス 12Pブックレット

 


ZZT324
(国内盤・6 枚組)
\6300
限定仕様のお値打ち価格BOX
 インマゼールのモーツァルトBOX
  〜交響曲第29・39・40・41 番、ヴァイオリン・ソナタ群、協奏曲群…〜

モーツァルト(1756〜91):
 ①交響曲 第39 番 変ホ長調 KV543
 ②交響曲 第40 番ト短調 KV550
 ③交響曲 第41番 ハ長調 KV551「ジュピター」
 ④ファゴット協奏曲 変ロ長調 KV191
 ⑤2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 変ホ長調 KV365
 ⑥フルート、ハープと管弦楽のための協奏曲 ハ長調 KV299
 ⑦ホルン協奏曲第3番 変ホ長調 KV447
 ⑧交響曲第29番 イ長調 KV201
 ⑨二つのヴァイオリン協奏曲(第2番ニ長調 KV211・第3番 ト長調 KV216)
 ⑩ピアノとヴァイオリンのための七つのソナタ
  (KV376・KV377・KV379・KV380・KV454・KV481・KV526)
ヨス・ファン・インマゼール(指揮&フォルテピアノ)
アニマ・エテルナ・ブリュッヘ(古楽器使用)
金子陽子(fp)
ヴォルフガング・ヒュープナー(ナチュラルhr)
フランク・テュンス(ft)
マリヤン・ド・ハーン(hrp)
ジェイン・ガワー(fg)
ミドリ・ザイラー(vn)
 ラヴェル、ドビュッシー、プーランク...おどろくべき古楽器録音を続けるインマゼール。その足跡の大事な節目を彩ってきたのが、さまざまなモーツァルト作品の録音——圧巻のアルバム4タイトル、BOX 仕様の特別価格に、もちろん日本語解説も添付。
 限定仕様のお値打ち価格BOX です!

 完全限定仕様、無くなったらそれまでの企画として、今年はいろいろなBOX が出て来るようです——

 「作曲家の知っていた時代の楽器と弾き方で」をモットーとする古楽器演奏の世界で、祖国ベルギーを拠点に、過去40 年以上にわたり世界中を瞠目させてきた鬼才チェンバロ&フォルテピアノ奏者ヨス・ファン・インマゼールは、古楽器集団アニマ・エテルナ(現アニマ・エテルナ・ブリュッヘ…「ブルージュ」と呼ばないで、というのが彼らの意志)を結成して以来、メンバーである知性派凄腕古楽器奏者たちとともに綿密な作品研究と実地検証をへて、桁外れの音楽性をもって驚くべき説得力を誇る、一味違った古楽解釈を続けています。
 とくに近年ではチャイコフスキーの交響曲やヨハン・シュトラウスのワルツ、はてはドビュッシーやプーランクなど20 世紀のフランス近代音楽にいたるまで、これまで「その時代の楽器」での演奏など誰もしてこなかったようなレパートリーでも破格の成果をあげつづけてきました。
 しかし、そんな彼らのレパートリーのなかで、つねに重要な存在でありつづけてきたのが、モーツァルト——かつてChannel Classics ではピアノ協奏曲の充実した古楽器録音をいちはやく進行させて強い存在感を示し(日本ではこの連続録音シリーズでインマゼールを知った人も多いのでは) 、Zig-ZagTerritoires で専ら録音するようになってからも交響曲・協奏曲・室内楽曲あわせて4作ものアルバムを折々に制作、さらに2012 年のシーズンからも『レクィエム』で欧州ツアーを行うなど、彼のまなざしは常にこの天才作曲家から逸れることがありませんでした。
 Zig-Zag Territoires は今回、そうした冒険の数々を6枚組BOX にまとめ、限定仕様でリリースしてくれます——日本リリースでは、もちろん日本語解説もきっちりつけ、そのうえで上記の特別価格でご提供することに。正直、相当なお値打ちBOX だと思います。演奏は折り紙つきの息をのむ名演ぞろい!!




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