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第74号
マイナー・レーベル新譜(5)
2013.12.17〜2014.2.14


ACCORD



481 0818
(9CD)
\7200→\6590
ミカエル・レヴィナス
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集(全32曲)


 注:早めに完売しそうな気がする。
ミカエル・レヴィナス(P: スタインウェイ)
作曲家、音響学者でもある、レヴィナス独自のベートーヴェン像
 【録音】1984〜1991年, パリ[デジタル:セッション, 原盤:Ades]
 1949年生まれのフランス人作曲家&ピアニストのミカエル・レヴィナスは、著名な哲学者エマニュエル・レヴィナスを父に持ち、パリ国立高等音楽院のメシアンの分析クラスにて学んだ後、アンサンブル・イティネレールを設立して、スペクトル音楽の方向性の確立に大きな役割を果たしました。
 また彼は、ピアニストとしても第一級の腕前を誇り、古典から近現代音楽に至る幅広いレパートリーを取り上げています。このベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集では、ペダルを駆使した独特のテクスチュアが印象的。さらに音響学の専門家ということで、透き通るような音響美に満ちた録音も相まって、レヴィナス独自のベートーヴェン像が展開されています。

ECM



4810765
\2400→\2190
ECMがピアノ名曲集・・・!?
 と思ったらチョン・ミョンフンのピアノ初ソロ・アルバム!

 ①ドビュッシー:月の光 
 ②ショパン:夜想曲変ニ長調作品27の2 
 ③ベートーヴェン:エリーゼのために 
 ④チャイコフスキー:秋の歌 
 ⑤シューベルト:即興曲変ホ長調D899/2 
 ⑥シューマン:トロイメライ 
 ⑦シューマン:アラベスク 
 ⑧シューベルト:即興曲変ト長調D899/3 
 ⑨ショパン:夜想曲嬰ハ短調遺作
 ⑩モーツァルト:キラキラ星変奏曲
チョン・ミョンフン(ピアノ)
 ピアノで語るモノローグ〜チョン・ミョンフン、初めてのピアノ・ソロ・アルバム!
 1974年チャイコフスキー・コンクール・ピアノ部門第2位入賞後、ピアニストとしても活躍していた指揮者チョン・ミョンフン。2006年にバルトリ来日の際にも共演者として素晴らしいピアノを聴かせてくれました。
 意外なことに今までピアノ・ソロ・アルバムをリリースした事は無く、今回が初ソロ・リリースとなります。
 「ピアノという楽器は今も音楽的に私と最も親しく、愛すべき友人」と語るマエストロ。今回のアルバムは、2人の孫娘のためにアルバムを作ったら?というところから話が始まり、彼の人生の大切な節目を共にしてきた作品も収められました。
 ドビュッシーの「月の光」は、「月」という意味の名前をもつ孫娘の為に、シューベルトの即興曲編ト長調は長男の結婚式で演奏した際の想いを込めて、チャイコフスキーコンクールで演奏した「秋の歌」はコンクール時の聴衆の熱い反応を思い出しつつ収録されました。そして、彼の音楽に最も大きな影響を与えたバイオリニストの姉、チョン・キョンファには、ショパンの夜想曲 嬰ハ短調をささげています。 孫娘を考えながら収録したアルバムだけに、誰もが一度は耳にしたことがあるなじみ深いメロディーの小品が集められ、極上のタッチが至福の時間を鮮やかに演出します。

 チョン・ミョンフン初のピアノ・ソロ・アルバムとなったこのアルバムは、ECMレーベルにとっても初のピアノ名曲集。これまで前衛的な音楽を中心としてきたレーベルだけに、ファンにとってはある意味衝撃的かもしれません。ピアノ名曲集とはいえ、いつものようにマンフレート・アイヒャーがプロデュースし、定評ある録音のクオリティは健在。アイヒャーとチョン・ミョンフンという二人のマエストロからの極上の贈り物と言っても過言ではないアルバムです!

録音:2013年7月 ヴェニス フェニーチェ劇場
 

476 4500
\2400
ヘレナ・トゥルヴェ:作品集
 ① Reyah hadas 'ala (2005:声楽と古楽アンサンブルのための)
   シャルル・バルビエ(C-T), タニエル・キリカル(C-T),
   ヴォックス・クラマンティス,
   アンサンブル・ホルトゥス・ムジクス,
   ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指揮)
 ② silences / larmes (2006:ソプラノ、オーボエ、パーカッションのための)
    アリアンナ・サヴァール(Sp), リーヴォ・カラスマー(Ob),
    ヘレナ・トゥルヴェ(風鈴)
 ③ L'?quinoxe de l'?me (2008:ソプラノ、ハープ、弦楽四重奏のための)
   アリアンナ・サヴァール(Sp&Hp),
   HYYD四重奏団,
   ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指揮)
 ④ Arboles lloran por lluvia (2006:声楽とニッケルハルパのための)
   アリアンナ・サヴァール(Sp), タニエル・キリカル(C-T),
   ヴォックス・クラマンティス, ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指揮)
 ⑤ Extinction des choses vues (2007:管弦楽のための)
   〜 エストニア国立交響楽団, オラリー・エルツ(指揮)
ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指揮)
アリアンナ・サヴァール(Sp), 他
古楽器などを配した、響きのスペクトルへの探究
 エストニアのタルトゥで生まれ、タリンの音楽高校でAlo Poldmaeの指導を受け、その後は1989年から1992年までエストニア音楽大学でエリッキ=スヴェン・トゥールに作曲を学んだというヘレナ・トゥルヴェ。その後はグレゴリオ聖歌の研究を行う傍ら、ジェルジ・リゲティとマルコ・ストロッパの講習に参加するなど、精力的にその才能を伸ばし続けています。
 彼女の作風は音と響きに重点を置くもので、リズム中心の新古典派の伝統とは一線を画しており、その音楽からは響きのスペクトルと、彼女が愛するグレゴリオ聖歌の敬虔なる雰囲気が漂います。
 今回のアルバムでは、新しい響きを求める彼女らしく、カウンター・テナーや古楽器などを配した曲がとりわけ目を引きます。
 ジョルディ・サヴァールの娘で歌手、古典ハープ奏者でもあるアリアンナ・サヴァールも参加して、幽玄で捉えどころのない響きに身を委ねる快感に満ちた1枚です。【録音】2009〜2010年
 

481 0675
\2400→\2190
P.ヤルヴィ/
 スヴェン・トゥール:交響曲第7番&ピアノ協奏曲

  エリッキ=スヴェン・トゥール(1959〜):
   ① ピアノ協奏曲 (2006)
   ② 交響曲第7番 (2009)
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮),
ラウラ・ミッコラ(P:①)
フランクフルト放送交響楽団,
北ドイツ放送合唱団(②)
プログレ感覚の前衛的で壮大な響き
 エストニアを代表する作曲家の一人であるエリッキ=スヴェン・トゥールの作品集。タリン音楽学校でフルートとパーカッションを学んだ後、タリン音楽アカデミーでヤーン・ラーツから作曲を学んでいます。
 同じ時期にロック・グループを率いて活動し、エストニアの人気バンドの一つになったことも特筆すべき点でしょう。
 やがて彼は作曲に専念し、数多くの作品を世に送り出します。若い頃に傾倒したプログレ・ロックの雰囲気を残しながらも、バリバリの前衛の響きを有する彼の音楽は世界中で幅広い人気を博しており、ここで指揮をしているパーヴォ・ヤルヴィもこの魅力にとりつかれている一人として知られています。
 第5番の交響曲ではエレキ・ギターまでをも駆使していましたが、今回の第7番は「ダライ・ラマ14世に捧げる」との副題の通り、合唱を用いた荘厳なもの。トゥールの多彩な作風も窺い知ることができる話題作です。
 


4810669
(2CD)
\4200→\3790
ギドン・クレーメル/ヴァインベルク:交響曲第10番 他
 ミェチスワフ・ヴァインベルク (1919-1996)
  ①無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番作品126
  ②弦楽三重奏曲作品48 ③ソナチネ 作品46
  ④小協奏曲 作品42 ⑤交響曲第10番 作品98
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
ダニーリ・グリシン(ヴィオラ②)、
ギードレ・ディルヴァナウスカイテ(チェロ②)
ダニール・トリフォノフ(ピアノ③)、
クレメラータ・バルティカ(④⑤)
 クレーメルが新たな光を投げかける!
 過酷な運命に翻弄されたユダヤ系ポーランド人、ヴァインベルクの世界

クレーメル最新録音は、ポーランド出身、ソ連に亡命し激動の人生を送った作曲家ヴァインベルクの多岐にわたるジャンルの作品を集めた2枚組。ソナチネではダニール・トリフォノフがピアノ伴奏を務めています。

 ヴァインベルクは、家族をホロコーストで失い、亡命先のソ連でも過酷な運命に翻弄された作曲家。今年生誕95周年を迎えます。ナチスのポーランド侵攻を機にソ連に亡命し、残された家族はホロコーストの犠牲になり、自らも戦後のソ連でスターリンによって逮捕されるなど、過酷な運命に翻弄されてきました。しかし、モスクワではショスタコーヴィチと親交を深め、彼から強い影響を受けるとともに、ショスタコーヴィチもヴァインベルクの才能を高く評価し、彼の作品は当時のソ連の優れた演奏家たちによって取り上げられました。
 今回クレーメルは彼の作品に焦点をあて、無伴奏曲からオーケストラ曲まで、さまざまな編成の作品をクレメラータ・バルティカの仲間たちを演奏し、多作家だったヴァインベルク作品の魅力を、様々な角度から掘り下げています。交響曲第10番は2012年の来日公演でもクレーメルが演奏した作品で、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの各ソリストが活躍する大作。「ピアノとヴァイオリンのためのソナチネ」では、先ごろDGに移籍したピアニスト、ダニール・トリフォノフが伴奏で参加しています。
 録音:2012年11月 ノイハルデンベルク、2013年7月 ロッケンハウス

■クレーメル来日予定
 ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団との共演で、ベートーヴェン、モーツァルトのVn協奏曲を演奏予定。
  4/11 福岡、4/12 名古屋、4/13 大阪、4/15 札幌、4/17 新潟、4/18&19 東京

MD+G



901 18206
(SACD Hybrid)
\3000→\2690
誰?興味ある・・・
 カラジッチ(指揮)&ビーレフェルト・フィル

  ラヴェル:管弦楽作品集
   高雅で感傷的なワルツ, 古風なメヌエット,
   亡き王女のためのパヴァーヌ,
   夜のガスパール(マリユス・コンスタン編)
アレクサンドル・カラジッチ(指揮)
ビーレフェルト・フィルハーモニー管弦楽団
様々なパレットで音色の組み合わせを追求した演奏
 録音:2013年5月27-29日 ビーレフェルト Rudolf-Oetkerホール

 ラヴェルは自身の多くのピアノ作品からフル・オーケストラのための編曲を行っています。ここに収録されたうちの3曲は彼自身の編曲版。「夜のガスパール」は、ラヴェル自身作曲当初よりこの曲にオーケストラ的な響きを想定していたようで、ピアニストのヴラド・ペルルミュテールに曲の表現法を説明した際、具体的なオーケストラの楽器の名前を持ち出して例示したそうです。
 そんなラヴェル自身の教示を元にして、マリユス・コンスタンが1991年に管弦楽編曲版がここに収録されています。
 クロアチア生まれの指揮者アレクサンドル・カラジッチは多くの歌劇場での経験を積んだ後、2010/2011シーズンから音楽監督を務めるビーレフェルト・フィルを指揮して、様々な音色のパレットが駆使されたラヴェル作品を、鮮やかな色彩感で再現しています。 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND
 

903 18346
(SACD Hybrid)
\3000
SaxoFOLK〜サクソフォン四重奏編曲による作品集
 アルベニス:アラゴン, リゲティ:6つのバガテル
 ムソルグスキー:村にて, 子供の遊び, スケルツォ
 グリーグ:トロルドハウゲンの婚礼の日, Puck(抒情小曲集Op.65&71より,
 ピアソラ:ミロンガの天使, ピエルネ:民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
 シュルホフ:チャールストン, ブルース
 ファルカシュ:17世紀の古いハンガリーの舞曲
ベルラーヘ・サクソフォン・クァルテット
[Lars Niederstrasser,
Peter Vigh,
Kirstin Niederstrasser,
Eva van Grinsven]
国際的スペクトラムの新しい響き
 録音:2013年9月23-25日 Abtei Marienmuenster コンサートホール

 2009年に結成されたベルラーヘ・サクソフォン・クァルテット。
 世界のいろいろな民族が異なる感覚をもつように、ここに収録される作品も様々なルーツを感じさせるものです。
 チャールストンとブルースに影響を受けたシュルホフやのリゲティの現代的な作品、古典的北欧のグリーグから南米のピアソラのタンゴまで、幅広いジャンルの作品が秀逸なアレンジで見事に蘇っています。さらに彼らの完璧なイントネーション、完全なタイミングとユーモア溢れる分析が加わった演奏は、今、ヨーロッパで話題を呼んでいます。
 SACDによる高音質というだけでなくマルチチャンネルでは、サクソフォン・アンサンブルの卓越した音色と残響が見事な一体感を作り出しています。CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND
 


909 18376
(SACD Hybrid)
\3000→\2690
初演されたワイマール国民劇場
 フンパーディンク:歌劇『ヘンゼルとグレーテル』(全曲)
マルティン・ホフ(指揮)
ワイマール・シュターツカペレ
重島清香(Ms: ヘンゼル),
エリザベス・ヴィンマー(Sp: グレーテル)
ウーヴェ・シェンカー=プリムス(Br: ペーター),
レベッカ・テーム(Ms: ゲルトルート)
アレクサンダー・ギュンター(Bs: お菓子の魔女)
カテリーナ・マイアー(Sp: 眠りの精),
ヒュンジン・パルク(Ms: 露の精)
スコラ・カントゥールム・ワイマール,
ワイマール国民劇場オペラ合唱団
この劇場で初演された縁深い録音。主役には重島清香が抜擢!
録音:2013年5月2-5日、9月10-12日 ワイマール 国民劇場

 ケルンとミュンヘンで学び、ワーグナーの知遇を得、バイロイトで彼の助手を務めたフンパーディンク。「ヘンゼルとグレーテル」は、メルヘン・オペラの代表的な作品で、もともと妹の子供たちのために作曲し、妹自らが台本を書いています。民謡的で親しみやすい要素がふんだんに取り入られ、世界の子供たちから愛される作品となっています。
 ワイマール国民劇場に出演している実力派の歌手が揃えられていますが、2013年からこの歌劇場専属ソリストの重島清香(しげしま・さやか)がヘンゼル役に抜擢されているのにも注目。
 ワイマール国民劇場は、ゲーテやフリードリヒ・シラーらが自作のオリジナル演劇作品を上演したドイツ古典主義関係の歴史的遺構でもあり、この楽団では1893年からR・シュトラウスも指揮を務めたという歴史ある劇場です。同劇場で1893年に「ヘンゼルとグレーテル」はR..シュトラウスの指揮で初演されました。 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND
 


603 18402
\2300→\2090
メンデルスゾーンに師事した隠れた作曲家
 ヨハネス・フェアフルスト(1816-1891):

  弦楽四重奏曲第1番ニ短調Op.6-1
  弦楽四重奏曲第2番変イ長調Op.6-2
ユトレヒト弦楽四重奏団
[Eeva Koskinen(Vn),
Katherine Routley(Vn),
Joel Waterman(Va),
Sebastian Koloski(Vc)]

録音:2013年6月24-26日 オランダ ハーレム

 フェアフルストは1816年にオランダで生まれ、10代でチャペルのヴァイオリニストに就き、20歳の時に作曲した序曲がメンデルスゾーンにとまり、1838年より師事。作曲したホ短調交響曲はウィリアム2世より高い評価を受け、ライプツィヒのオーケストラ指揮者に任命されます。
 ロッテルダム音楽協会など、オランダの音楽界へ多大な影響を与えました。しかしリスト、ベルリオーズ、ワーグナーらによる政治的な圧力を受け、高い評価を得るには至れませんでした。この弦楽四重奏曲は彼の初期の作品で、メンデルスゾーンやシューマンの影響を受けて、ロマンティックな情熱の織り込みが感じられます。
 ハイドンからアバンギャルドまで幅広いレパートリーを誇るオランダの実力派ユトレヒト弦楽四重奏団が、知られざる作品に光を当てた魅力的なアルバムです。
 

903 18416
(SACD Hybrid)
\3000
シュタルケルお気に入りの作曲家のチェロ作品
 デイヴィッド・ベイカー(1931〜):
  ①シンガーズ・オヴ・シンガーズ〜ウィーヴァーズ・オヴ・ドリームズ
      (チェロとパーカッションのための)
  ②チェロとピアノのためのソナタ
  ③チェロとジャズ・トリオのための組曲
マヌエル・フィッシャー=ディースカウ(Vc)
Connie Shih, piano(②),
Guy Frisch, percussion(①),
Monika Herzig, jazz-piano(③),
Pavel Klimashevsky, bass(③),
Dieter Schumacher, drums(③)

録音:2013年2月26日、5月24日、6月15日 
Abtei Marienmuenster コンサートホール"

 名チェリストのヤーノシュ・シュタルケルはベイカーの作品に注目し、作曲のプロセスで助言をしていました。
 デューク・エリントンやマイルス・デイヴィス、ディジー・ガレスピーの贅沢なビックバンドの作品を題材とした音楽は、花火を見るような鮮やかさが感じられます。偉大な音楽家に対する驚異的な敬意をはらって作曲されているのです。
 F=ディースカウの息子で、シュタルケルに学んだマヌエルが、この録音のためにベイカー自身と密接に協力し合い、自由で有機的な即興と卓越したテクニックを披露した演奏を聴かせています。CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND
 

902 18296
(SACD Hybrid)
\3000
メルキオル・フランク(1579-1639):
 福音書によるモテット集(1623)より(29曲収録)
マリア・ユルゲンセン(指揮) 
北ドイツ室内合唱団
美しきポリフォニーによるモテットの世界
【録音】2013年8月, ベルニット、ドルフ教会(デジタル:セッション)
 後期ルネサンスから初期バロックへの過渡期に活躍したドイツの作曲家メルキオル・フランク。多作なプロテスタント教会音楽の作曲家として有名で、ヴェネツィア楽派の作曲様式をドイツへと北上させました。しかもモテットの作品は600にも及んでいます。
 1623年に作曲された福音書からとられたモテットは、ドイツ語で作曲されており、ラッスス流の後期ルネサンス音楽の音楽語法、慎重に操作される不協和音、よどみなく流れるポリフォニーなどが特徴とされています。
 北ドイツ室内合唱団は、様々なドイツの合唱団の経験を積んだメンバーで結成された16人の合唱団。ルネッサンスからロマン派までの合唱作品で、高い評価を得ています。
  


308 18112
\2300→\2090
14人のベルリンのフルート奏者たち〜昼下がりの笛
 R=コルサコフ&ヴェルナー・タスト:It’s Hummeltime,/
 ドビュッシー&ヴェルナー・タスト:午後(14声のための),/
 ドビュッシー(ヴェルナー・タスト編):ロマンティックなワルツ,/
 R=シュトラウス(ヴェルナー・タスト編):セレナーデ,/
 ドヴォルザーク:(クリスティーネ・フプカ編):セレナーデOp.44,/
 ドビュッシー(ヴェルナー・タスト編):月の光,/
 レズニチェク:歌劇「ドンナ・ディアナ」序曲,/
 ドビュッシー(J.シュマイサー編):小組曲
14人のベルリンのフルート奏者たち
[Andreas Blau(ベルリン・フィル),
Thomas Beyer(シュターツカペレ・ベルリン),
Kornelia Brandkamp(ベルリン・ドイツ響),
Wolfgang Dasbach(ベルリン・ドイツ・オペラ),
Rudolf D?bler(ベルリン放送響),
Wolfgang D?nschede(ベルリン・フィル),
Egor Egorkin(ベルリン・フィル),
Jochen Hoffmann(ベルリン・ドイツ・オペラ),
Christiane Hupka(シュターツカペレ・ベルリン),
Hiko Iizuka(ベルリン在住フリー),
Frauke Leopold(ベルリン・ドイツ響),
Robert Lerch(ベルリン・ドイツ・オペラ),
Beate-Gabriela Schmitt(ベルリン在住フリー),
Ulf-Dieter Schaaff(ベルリン放送響),
Linda Zanetti(ゲスト参加: シュターツカペレ・ベルリン)
ベルリンのオーケストラや在住フルート奏者たちによるオーケストラ!
【録音】2013年1月, ベルリン放送録音大ホール(デジタル:セッション)
 ベルリンのオーケストラ、ベルリン在住のフルート奏者たちが、ベルリン・フィルのフルート首席アンドレアス・ブラウの呼びかけで集まったオーケストラ。様々なサイズのフルートによるオーケストラの美しさはこれまでにない感覚です。
 トップ奏者集団による素晴らしいテクニックで聴くこれらの曲は、新たなる別の曲を聴いているかの錯覚を聴き手に届けます。フルート・ファンには垂涎の1枚といってよいでしょう。
 

903 18356
(SACD Hybrid)
\3000
テレマンの独特で創造的な作曲法によるソナタ集
 テレマン:ヴァイオリン・ソナタ集(フランクフルト1715 Op.1)
  ソナタ第1番ト短調TWV.41:g1, ソナタ第2番ニ長調TWV.41:D1,
  ソナタ第3番ホ短調TWV.41:h1, ソナタ第4番ト長調TWV.41:G1,
  ソナタ第5番イ短調TWV.41:a1, ソナタ第6番イ長調TWV.41:A4,
  序曲(組曲)ト短調TWV.41:g4
シュテファン・シャルト(バロックVn),
エリザーベト・ヴァント(バロックVc),
ソニア・ケムニツァー(Cemb)"
【録音】2013年5月, マリエンミュンスター修道院(デジタル:セッション)
 近年テレマンの作品が録音される機会が増えていますが、この作品は何故かほとんど録音されていません。テレマンがハンブルクで「作品1」として発表した比較的初期のもの故なのかどうかはわかりませんが、決して安易に書かれたものではないことは聴けばすぐわかるでしょう。
 テレマンは、当時最も斬新とされたスタイルを用いてこのソナタ集を書き上げました。ここで演奏しているヴァイオリニスト、シュテファン・シャルトは、モダン楽器だけでなくバロック・ヴァイオリンの名手としても知られ、1995〜1999年にザクセン州立劇場コンサートマスター、2000年からはムジカ・アンティクァ・ケルンのコンサートマスターを務めています。ここではピリオド楽器の演奏で、テレマンの語法を見事に再現しています。
 

316 18362
\2300
イギリス・オルガン作品集Vol.1
 アルフレッド・ホリンズ(1865-1942):演奏会用序曲ハ短調,
 ジョージ・タルベン=バル(1896-1987):エレジー,
 チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(1852-1924):
  幻想曲とトッカータOp.57
 パーシー・ウィットロック(1903-1946):ディヴェルティメント ロ短調
 ウィリアム・トーマス・ベスト(1826-1897):スケルツォ イ短調,
 エドウィン・ヘンリー・ルメア(1865-1934):ロンド・カプリッチョOp.64,
 エドワード・エルガー(1844-1925):ニムロッド,
 エドワード・エルガー(1844-1925):オルガン・ソナタ ト長調Op.28
ベン・ヴァン・オーステン
(1877年ヘンリー・ウィリス製オルガン)
ヴィクトリア朝時代のオルガンで演奏したその時代の作品
【録音】2013年8月, イギリス、ソールズベリー大聖堂(デジタル:セッション)
 イギリスのオルガン製作は、複雑に入り組んだ歴史の中で急激な発展と衰退が繰り返されました。ヨーロッパ大陸のオルガンに似通っていた時代もあば、ヨーロッパのどこにも見られない独自の様式をもっていた時代もありました。1851年英国での万国博覧会で、パイプオルガンは華々しい注目を集めた、といわれています。
 ドイツから出品されたオルガンは、それまでのイギリスにはなかったサウンドでイギリス人につ強烈な衝撃を与えます。以降イギリスでは新しいオルガンが製作されるようになり、ヴィクトリア朝(1860-1900)には世界有数のオルガン建造国となりました。この録音で演奏されているオルガンの製作者であったヘンリー・ウィリスは、この時代の最高のイギリスのオルガン製作者であり、そのオルガンのために英国の作曲家、オルガニストたちは、その素晴らしい音色を生かした作品を作曲したのでした。 この時代に生まれた作品を、ヘンリー・ウィリス製オルガンで演奏したアルバムです。
  


912 18306
(SACD Hybrid)
\3000→\2590
弦楽合奏版によるショスタコの「24の前奏曲」
 ショスタコーヴィチ:
  24の前奏曲Op.34(G・コルフマーによる弦楽合奏版(1990))
  弦楽四重奏曲第8番Op.110(弦楽合奏版)
ミハイル・グレヴィチ(リーダー)
ドグマ室内管弦楽団
【録音】2013年, ブレーメン放送(デジタル:セッション)
 なんと弦楽合奏版によるショスタコの「24の前奏曲」
 厳格なスタイルによる「24の前奏曲とフーガ」とは異なり、自由な性格の小品が集められているショスタコーヴィチの「24の前奏曲」。「この弦楽合奏用の編曲版を理解することを通して、ショスタコーヴィチの創造的な個性に会うことができます。
 ショスタコーヴィチの創造力は我々のオーケストラの仕事に影響し、常に我々に驚異的な個人と音楽の瞬間を提供します。我々と共に彼らを経験してください」と、このオーケストラのリーダー、ミハイル・グレヴィチは語っています。弦の美しさが際立った演奏で、一見すると音楽に余計な肉付がされていると思われるかもしれませんが、ショスタコーヴィチの音楽が持つ本質はいささかも揺らいでいない事を感じられるはずです。

TELARC



TEL 34412
\2300→\2090
ズイル・ベイリー(Vc)
 チェロ・ソナタの伴奏はナターシャ・パレムスキ

  ブリテン:
   ① チェロと管弦楽のための交響曲Op.68
   ② チェロ・ソナタ ハ長調Op.65
ズイル・ベイリー(Vc)
グラント・ルウェリン(指揮)
ノースカロライナ交響楽団(①)
ナターシャ・パレムスキ(P:②)
緊張感にあふれ、情感ゆたかなズイル・ベイリーのブリテン
 感性あふれる演奏で比類無い才能を放っているチェリスト、ズイル・ベイリー。2013年のブリテン生誕100年を記念して行われた一連のコンサートからのライヴ録音。
 ロストロポーヴィチのために書かれブリテンらしい和音進行が印象的な交響曲、そしてソナタをカップリングしています。卓越したベイリーの表現力が作品の真価を引き出し、聴き手に新鮮な感動を届けます。 【録音】2012年 (デジタル:ライヴ)


ここへきて人気急上昇!
チェリスト、ズイル・ベイリー
旧譜

DELOS
DE 3378
\2300→¥2090
ズイル・ベイリー・イン・コンサート
 サン=サーンス:
  チェロ協奏曲第1番 イ短調作品33
  チェロ協奏曲第2番 ニ短調作品119
  白鳥〜《動物の謝肉祭》より
 マスネ:《タイス》の瞑想曲
ズイル・ベイリー(vc)
ラオノーク交響楽団
デイヴィッド・ワイリー指揮
ズイル・ベイリーはアメリカのチェリスト。ピーボディ音楽院とジュリアード音楽学校を卒業し、現在はソリストの他に、エル・パソ=ムジカ室内楽音楽祭の音楽監督や、エル・パソ=テキサス大学でチェロ科の教授も務める。デロス・レーベルにはこれまでに、バッハ、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ショパン、フランクール、ヴュータンを集めたデビュー・アルバム(DE 3326)や、『シュタルケル・セレブレイション」(DE 3344)のタイトルでのシューベルトとボッケリーニの弦楽五重奏曲、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ集(DE 3368)などを録音している。今回は、2005年10月のライヴ録音であるサン=サーンスのチェロ協奏曲集。シューマンのように3つの楽章が途切れなく演奏される第1番と、その30年後に書かれ、作曲者自身も自信作ながら「やや難しいので流行らないだろう」と感じたという第2番を1度のコンサートで演奏した記録である。共演は、生まれ故郷ヴァージニアのオーケストラであるロアノーク交響楽団。指揮は1996年から同響の音楽監督兼指揮者であるデイヴィッド・ワイリー。1993年にアスペンで賞を受け、翌94年からアスペン音楽祭でアシスタントを務めた今後が期待される指揮者である。楽器は以前ブダペスト四重奏団のミシャ・シュナイダーが使用していた1693年製のマッテオ・ゴッフリラー。
録音:2005年10月17日、ライヴ



旧譜
実はひっそりベストセラーだったりすパレムスキのアルバム

BELAIR
BAM 2030
\1800
ルービンシュタイン:
 ピアノ協奏曲第4番
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
ナターシャ・パレムスキ(P)
ドミトリ・ヤブロンスキー指揮
モスクワ・フィル
ルビンシテインのピアノ協奏曲第4番はロシア・コンチェルト史上に残る傑作だと思うのだが、一般的知名度はなぜかかなり低い。録音にはポンティの名演があるが、ここで弾いているパレムスキは写真で見ると明らかにまだ若い。こんな若い女の子にこの曲のニュアンスが伝わるかと思っていたが、そのプロフィールを見て唖然・・・16歳。・・・おいおい・・・。ワイルドやヤブロンスカヤに学んだアメリカ期待の少女ピアニストなのだそうだ。少年少女向けコンクールでは当然華々しい賞歴をあげており、現在は地方のオケと地道な演奏活動を繰り広げているという。若手には弾いてほしくないとはいえ、16歳の天才美少女ピアニストとなるとまた話しは別。ポンティの演奏と比べるなんていう野暮はしないで、その天性の純粋な才能をたっぷり楽しめばいいかな、と。
一方、店主思うところの史上最高の名曲「パガニーニの主題による狂詩曲」も、十分すぎるほど才気あふれる素敵な演奏。リズム感が鮮烈。

 ちょっと入荷までに時間がかかります。




BR KLASSIK



900121
\2300→\2090
ヤンソンス&バイエルン放送響
 ベルリオーズ:幻想交響曲

  1-5.エクトル・ベルリオーズ(1803-1869):ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
  6.エドガー・ヴァレーズ(1883-1965):ヴァレーズ:イオニザシオン
バイエルン放送交響楽団/
マリス・ヤンソンス(指揮)
録音 2013年3月7.8日 ライブ録音…1-5, 2010年7月1.2日 ライブ録音…6 ミュンヘン・フィルハーモニー ガスタイク
 古典派からロマン派、そして近現代。この3つの時代、それぞれの転換期に位置する2つの作品。これをヤンソンスが鮮やかに描き出しました。
 ベルリオーズの「幻想」は、大好評となったベートーヴェンの交響曲全集とはまた一線を画した解釈であり、この曲の持つ雑多な雰囲気と溢れ出る狂気を見事に捌きながら、全体をきっちりと纏め上げています。もちろんヤンソンスらしい「あくの強さ」も健在。第1楽章から、フレーズの歌わせ方やデュナーミク処理などの細かい点まで、恐ろしいまでに考え抜かれたヤンソンス節が炸裂します。
 かたやヴァレーズの「イオニザシオン」は13人の奏者によるパーカッション・アンサンブルのための音楽で、ロマン派から近現代への橋渡しとなる作品として知られています。複雑なリズムの交錯から得られる一種妖艶な雰囲気は、まさしくサバトを思わせるもの。2つの曲の演奏時期は全く違うのですが、こうして並べて聴いてみると、思った以上にしっくり来ることにも驚きです。音楽に対するヤンソンスの姿勢のぶれのなさにも感服するばかりです。

900212から変更。
 

900904
(3CD)
\2300
ジュゼッペ・ヴェルディ:真の発明家
 〜イェルク・ハンドシュタインによる「音で聴くヴェルディの伝記」

<CD1>
 1.第1章:村の教会からスカラ座へ(1813-1839)/
 2.第2章:調理場で(1840-1846)/
 3.第3章:ヴィヴァ,イタリア(1847-1849)/
<CD2>
 1.第4章:ペッピーノとペッピーナ(1849-1853)/
 2.第5章:ヴィヴァ,V.E.R.D.I.(1853-1861)/
 3.第6章:祖国に平和はなく(1861-1869)/
<CD3>
 1.第7章:国歌と凱旋(1869-1878)/
 2.第8章:最後に笑う男(1879-1901)/
 3.民衆讃歌(ピアノ伴奏版)/
 4.民衆讃歌(無伴奏合唱)
バイエルン放送合唱団…CD3:3-4/
マックス・ハント(ピアノ)…CD3:3/
ペーター・ダイクストラ(指揮)…CD3:3-4/
《ドラマ部分》
ウド・ヴァハトファイトウル(朗読)/
ハンス・ユルゲン・ストッカー(ヴェルディ)/
カティア・アンベルガー(ジュセッピーナ)/
ゲルト・ハイデンライヒ,フォルカート・ドゥッカー,ベアテ・ヒンメルシュトス(引用)/
イェルク・ハンドシュタイン…作/
ベルンハルト・ノイホフ…編集,演出
録音 2013年9月23日 ミュンヘン,バイエルン放送 第2スタジオ…CD3:3-4
 イェルク・ハンドシュタインによるドラマ仕立ての作曲家物語、こちらは2013年にアニヴァーサリー・イヤーを迎えたヴェルディの生涯です。ヴェルディの作品の多くは広く知られていますが、その生涯というのは意外に知られていません。
 このアルバムではそんなヴェルディの少年時代から、女性関係、そして栄光をつかむまでを、有名メーカーからリリースされた音源をふんだんに盛り込みながら綴っていくものです。ボーナストラックとして添えられているのは、バイエルン放送合唱団による「民衆讃歌」。この勇壮な作品をピアノ伴奏ありと無伴奏の2ヴァージョンで聴くことができるという優れものです。

CANARY CLASSICS



CC-12
(2CD)
\3000→\2690
ギル・シャハム(ヴァイオリン)
 1930年代のヴァイオリン協奏曲集 第1集

<CD1>
 1-3.サミュエル・バーバー(1910-1981):ヴァイオリン協奏曲 Op.14/
 4-7.アルバン・ベルク(1885-1935):ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」/
 8-11.カール・アマデウス・ハルトマン(1905-1963):葬送協奏曲/
<CD2>
 1-4.イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971):ヴァイオリン協奏曲 ニ長調/
 5-7.ベンジャミン・ブリテン(1913-1976):ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.15
ギル・シャハム(ヴァイオリン)/
ニューヨーク・フィルハーモニック…CD1:1-3/
ドレスデン・シュターツカペレ…CD1:4-7/
セヨン・ソロイスツ…CD1:8-11/
BBC交響楽団…CD2:1-4/
ボストン交響楽団…CD:5-7/
デヴィッド・ロバートソン(指揮)…CD1:1-7,CD2:1-4/
ギル・シャハム(指揮)…CD1:8-11/
ファンホ・メナ(指揮)…CD2:5-7
録音 <CD1>2010年2月25-27日 ニューヨーク ライブ録音…1-3 /2010年6月13-15日 ドレスデン ライブ録音…4-7 /2013年8月31日.9月1日 ニューヨーク…8-11/<CD2>2008年12月8日 ロンドン,バービカン・センター ライブ録音…1-4 /2012年11月1-3.6日 ボストン・シンフォニー・ホール ライブ録音…5-7
 近代社会が最も変動したのは間違いなく1930年代と言えるでしょう。世紀末に爛熟を迎えた近代文化の花がそのまま朽ち果てることなく強い香りを放ち続ける中、人々は次第に危機感を募らせていきます。人々は酒やタバコ、踊りに身をやつし、当時流行し始めたジャズやキャバレー音楽が世を席捲します。新しい流行や音楽、映画も生まれ、芸術はますますの混迷を極めていくのです。
 そんな時代に生まれた「ヴァイオリン協奏曲」も、もちろん古典派やロマン派のような端正な形に収まるはずもなく、和声は崩壊し、リズムも多様化し……と、多種多彩な花が乱れ咲いたのでした。
 ギル・シャハムは各々の曲を演奏するにあたって、バックのオーケストラを絶妙に変化させ、求める響きを探究します。甘さが残るバーバーと、厳しさに満ちたハルトマンは確かに必要とする音もスタイルも違うのでしょう。そんな彼の意図が反映された興味深いシリーズです。
 
CC-11
\2600
オルリ・シャハム(ピアノ)
 アメリカン・グレイス

  1-3.ジョン・アダムズ(1947-):ハレルヤ・ジャンクション/
  4-8.スティーブン・マッキー(1956-):スタンブル・トゥー・グレイス/
  9.マッキー:スニーキー・マーチ/
  10.アダムズ:チャイナ・ゲーツ
   ※4-8.9…世界初録音
オルリ・シャハム(ピアノ)/
ジョン・キムラ・パーカー(ピアノ)…1-3/
ロサンジェルス・フィルハーモニック…4-8/
デヴィッド・ロバートソン(指揮)…4-8
 ギル・シャハムの妹で才能あるピアニスト、オルリ・シャハム。このアルバムは彼女が心酔する2人のアメリカの作曲家の作品を演奏したものです。ステイーブン・マッキーは彼女の友人であり、オルリが双子を妊娠していた時に、マッキーの音楽を聴き感銘を受け、出産後すぐに、彼に曲を書いてもらうように依頼、出来上がったのはこの「スタンブル・トゥー・グレイス」でした。マッキーは生まれたばかりの彼女の息子たちを観察し、人間が歩きだすまでを5つのステージの音楽として描きだすことに成功。もちろん初演はオルリが担当したのは言うまでもありません。
 他には、この曲の続編とも言える「スニーキー・マーチ」とアダムズの名曲「ハレルヤ・ジャンクション」と「チャイナ・ゲーツ」を収録。全ての人が微笑むような楽しいアルバムが出来上がりました。
 

CEDILLE



CDR90000145
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団 / ソ連の経験 第4集
<CD1>
 1.ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975):弦楽四重奏曲 第13番 変ロ短調 Op.138/
 2-4.ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第14番 嬰ヘ長調 Op.142/
<CD2>
 1-6.ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第15番 変ホ短調 Op.144/
 7-9.アルフレッド・シュニトケ(1919-1996):弦楽四重奏曲 第3番
パシフィカ弦楽四重奏団
録音 2012年12月16-18日…CD1, 2013年8月24-26日…CD2 ブルミントン インディアナ大学,アウアー・ホール
 ありそうでなかった企画と、演奏の素晴らしさで着々と聴き手を獲得しているこの「ソ連の経験シリーズ」の第4集です。
 ショスタコーヴィチの最高傑作とも言える15曲の弦楽四重奏曲は、1938年から1974年までの幅広い時期に書かれたもので「当時の社会情勢に迎合したと見せかけて、実は反発していた」ショスタコーヴィチの本音が透けて見えるものばかり。とはいえ、その時期によっては作風もかなり違い、端正→皮肉→内省と言った変遷を辿っていることでも知られています。このパシフィカ弦楽四重奏団による全集は、これらの作品を懇切丁寧に演奏するだけでなく、同時期に作曲された別の作曲家たちの四重奏曲を併せて収録することで、ショスタコーヴィチの特異な才能を浮き彫りにするというものです。
 ここでは1983年に作曲されたシュニトケの弦楽四重奏曲第3番を最後に置き、ショスタコが第15番で描いた清浄な悲しみの世界と対比させているのが面白いところです。


旧譜
パシフィカ弦楽四重奏団 / ソ連の経験第 1〜3 集
The Soviet Experience Volume I
CDR-90000127
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団 / ソ連の経験第 1 集
〈CD1〉
ショスタコーヴィチ(1906-1975):
 1-3.弦楽四重奏曲第 5 番変ロ長調 Op.92/
 4-7.弦楽四重奏曲第 6 番ト長調 Op.101
〈CD2〉
 1-3.弦楽四重奏曲第 7 番嬰ヘ短調 Op108/
 4-8.弦楽四重奏曲第 8 番ハ短調 Op.110
 9-12.ミャスコフスキー(1881-1950):弦楽四重奏曲第 13 番イ短調 Op.86
パシフィカ弦楽四重奏団
 ショスタコーヴィチ(1906-1975)と同世代の作曲家たちによる弦楽四重奏曲を集めたシリーズの第1 集です。全部で4 巻となる予定のこのシリーズ、まずは、ショスタコーヴィチの中期の傑作4 曲と、少し前の世代に属するミャスコフスキー(1881-1950)の作品で幕を開けます。1950 年代から1960 年にかけて書かれたショスタコーヴィチの4 つの弦楽四重奏曲は、少しずつ圧力を増してくる政策と、自らの身の置きどころについて苦悩した彼の逡巡が透けて見えてくるような作品群で、その諸々の思いは、有名な「第8 番」で見事に結実します。ミャスコフスキーの作品は、彼がなくなる1 年前に作曲されたもので、全体的な暗さはあるものの、まだ抒情性を持ち、聴きやすいと言えば聴きやすいでしょう。日本でも人気の高いパシフィカ弦楽四重奏団の納得の演奏です。
 録音 2010 年7 月24-25 日,9 月3-5 日, 2011 年1 月31 日,2 月1 日,5 月14-15 日イリノイ フォーリンジャー・グレート・ホール



CDR-90000130
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団 ソ連の経験第2集
<CD1>
 ショスタコーヴィチ(1906-1975):
  1-4.弦楽四重奏曲第1番ハ長調 Op.49/
  5-8.弦楽四重奏曲第2番イ長調 Op.68/
  9-12.弦楽四重奏曲第4番ニ長調 Op.83/
<CD2>
  1-5.弦楽四重奏曲第3番ヘ長調 Op.73/
  6-8.プロコフィエフ(1891-1953):弦楽四重奏曲第2番ヘ長調Op.92
パシフィカ弦楽四重奏団
 ショスタコーヴィチと同世代の作曲家たちによる弦楽四重奏曲を集めたシリーズの第2集です。
 この第2集は第二次世界大戦を取り巻く時代、1938年から1949年に書かれた5つの作品を集めています。交響曲の作曲については、政府からの弾圧を受け、思い通りのものが書けなかったショスタコーヴィチですが、弦楽四重奏ではその鬱憤を晴らすかのように、思いのたけを楽譜に叩き付けていることで知られています。1938年に書かれた第1番は、交響曲第5番の発表(かなり政府に阿た作風を取らざるを得なかった)後の作品であり、第2番はその6年後に書かれた重苦しい作風が特徴。第3番はシニカルで、第4番は批判を恐れ初演を遅らせたというエピソードがあります。どれも多くの問題を内包する作品ですが、それ自体は驚くほどの深化を見せる、ショスタコーヴィチの最高傑作の集合体です。プロコフィエフの第2番も、戦争によって地方都市へ退去させられた彼が、当地の民謡をベースに独自の味付けをして書き上げたものです。全てパシフィカ弦楽四重奏団による納得の演奏。第1集(CDR90000127)も大好評です。
 録音 2011年11月24-25日…CD1:1-8, 2010年7月23-24日…CD2:1-5, 2011年8月29-31日…CD1:9-12,CD2:6-8 イリノイフォーリンジャー・グレート・ホール
 

CDR90000138
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団 / ソ連の経験 第3集
<CD1>
 ショスタコーヴィチ(1906-1975):/
  1-5.弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 Op.117/
  6-9.弦楽四重奏曲 第10番 変イ長調 Op.118/
  10-16.弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 Op.122/
<CD2>
 1-2.ショスタコーヴィチ:
   弦楽四重奏曲 第12番 変ニ長調 Op.133/
 3-8.ワインベルク(1919-1996):弦楽四重奏曲 第6番 ホ短調 Op.35
パシフィカ弦楽四重奏団
 パシフィカ弦楽四重奏団による「ショスタコーヴィチとその時代の弦楽四重奏を系統だてて聴く」シリーズ第3弾です。ショスタコーヴィチの4つの作品は1964年から1968年に作曲されたもので、各々5楽章、4楽章、7楽章、2楽章と異なった形式で書かれていて、どの曲にも様々な思いが込められた充実の筆致が見られます。ワインベルクの第6番は1946年の作品で、この時代に書かれたものとしては先進的過ぎたため、一時演奏禁止になるほど扱いを受けてしまいました。
 第1集も第2集も高い評価を受けているこのシリーズ、完成した暁には資料的にも高い価値を持つものとなりそうです。

 

BOX-1002
(4CD)
\4000→\3590
店主お奨めのシリーズ、セットに!
 グランド・ツアー 〜トリオ・セッテチェントの様々な国のバロック音楽集
《CD1.イタリアでの逗留…CDR90000099》/
 1.カステッロ:ソナタ 第8番 ニ短調/
 2.ストラデッラ(1639-1682):シンフォニア 第22番 ニ短調/
 3.マリーニ(1594-1663):2声のソナタ ニ短調/
 4-6.ロカテッリ(1695-1764):ソナタ・ダ・カメラ ヘ長調 Op.6-2/
 7-11.コレッリ(1653-1713):ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 Op.5-3/
 12-14.タルティーニ(1692-1770):ソナタ・パストラーレ イ長調/
 15-18.ヘンデル(1685-1759):ヴァイオリン・ソナタ ト短調 Op.1-6 HWV364a/
 19-21.ヴェラチーニ(1690-1768):ソナタ ニ短調 Op.2-12/

《CD2.ドイツの宴会…CDR90000114》
 1.ショップ(1590-1667):ノーブルマン/
 2.シュメルツァー(1623-1680):ソナタ・ヴァリアータ ニ短調/
 3-4.ムファット(1653-1704):ソナタ ニ長調/
 5-7.クリーガー(1649-1725):ソナタ ニ短調 Op.2-2/
 8-11.ブクステフーデ(1637-1907):ソナタ ハ長調 Op.1-5 BuxWV256/
 12.J.S.バッハ(1685-1750):フーガ ト短調 BWV1026/
 13-18.エルレバッハ(1657-1714):トリオ・ソナタ 第3番 イ長調/
 19-21.ビゼンデル(1687-1755):ヴァイオリン・ソナタ ニ長調/
 22-24.J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 BWV1023/

《CD3.フランスの夜会…CDR90000129》
 1-4.リュリ(1632-1687):フローラ/
 5.F.クープラン(1668-1733):趣味の融合-コンセール 第7番 ト短調よりアルマンド/
 6.F.クープラン::趣味の融合-コンセール 第7番 ト短調よりサラバンド/
 7.マレ(1656-1728):ヴィオール曲集 第3巻集よりラ・ギターレ/
 8.F.クープラン::趣味の融合-コンセール 第7番 ト短調よりシシリエンヌ/
 9.F.クープラン::趣味の融合-コンセール 第7番 ト短調よりガヴォット/
 10.マレ:ヴィオール曲集 第1巻よりプレリュード/
 11.マレ:ヴィオール曲集 第1巻よりシャコンヌ/
 12-18.F.クープラン:王宮のコンセールより第3番 イ長調/
 19-21.ルベル(1666-1747):ヴァイオリン・ソナタ ニ短調/
 22-24.ラモー(1683-1767):コンセール 第4番 変ロ長調/

《CD4.イギリスのファンシー…CDR90000135》
 1.バード(1540-1623):セリンジャーのラウンド/
 2.ヒューム(1569-1645):ヒューム大尉の哀歌/
 3-5.ロウズ(1602-1645):ファンタジア組曲 第8番 ニ長調/
 6-8.ジェンキンス(1592-1678):組曲 ト短調/
 9-15.シンプソン(1606-1669):小コンソート:組曲 ト短調/長調/
 16.バード:ジョン、さあキスして/
 17-22.ロック(1621-1677):友人たちに-組曲 変ロ長調/
 23.パーセル(1659-1695):劇音楽「ポンドゥカ、またはイギリスの女傑」Z.574-序曲/
 24.パーセル:劇音楽「悲しむ乙女、またはペルシャの王女」Z.577-第3曲 スロウ・エア/
 25.パーセル:劇音楽「貞淑な妻、またはついに得た幸せ」Z.611-第4曲 エア/
 26.パーセル:劇音楽「女房持ちの色男、無分別な物好き」-グラウンドのホーンパイプ/
 27.パーセル:歌劇「妖精の女王」Z.629-中国の男女の踊り/
 28.パーセル:パヴァン 変ロ長調 Z.750/
 29.パーセル:劇音楽「アブデラザール、またはムーア人の復讐」Z.570-第7曲 ホーンパイプ
<アンサンブル>
 トリオ・セッテチェント
録音 <CD1>2006年12月, <CD2>2008年6月, <CD3>2010年8月, <CD4>2011年8月 USA
 バロック音楽を聴きながら、16世紀と17世紀のイタリア、ドイツ、フランス、イギリスを旅行した気分になれるというステキな4枚組。トリオ・セッテチェントはアメリカに本拠を置くアンサンブルで、メンバーはレイチェル・バートン・パイン(ヴァイオリン)とジョン・マーク・ローゼンタール(ヴィオラ・ダ・ガンバ&バロック・チェロ)、デヴィッド・シュレーダー(ハープシコード、ポシティフ・オルガン、フォルテピアノ)の3人。個性的かつ独創的なヴァイオリンで知られるレイチェル・バートン・パインが先導するせいか、どの曲も快活な響きに溢れ、さわやかで動的な表情を持っています。



上記セット第1弾の分売アルバム
ご参考までに

CEDILLE
CDR90000 099
\2000→¥1890
「イタリア滞在」
 ダリオ・カステッロ(1621-1631活動):8度のソナタニ短調/
 ストラデッラ(1644-1682):シンフォニアニ短調/
 ビアジョ・マリーニ(1597頃-1665頃):2声のソナタニ短調/
 ロカテッリ:室内ソナタへ長調op. 6-2/
 コレッリ:ソナタハ長調op. 5-3/
 タルティーニ:田園ソナタイ長調/
 ヘンデル:ソナタト長調HWV364a/
 フランチェスコ・ヴェラチーニ(1690-1750):ソナタニ短調op. 2-12
セッテチェント三重奏団:
【レーチェル・バートン・パイン(Vn)、
ジョン・マーク・ロゼンダール(Vc)、
デーヴィッド・シュラーダー(Cemb)】
 CEDILLEのなかで店主が大のお気に入りの一枚。
 店主が選ぶ「2008年ベスト21」にも入れさせていただいた、レイチェル=バートン・パイン率いる古楽器トリオによるアルバム「イタリア滞在」。
 きっと誰も注目しないような、イタリア・バロック期の音楽。なんということのない、他愛のないイタリア・バロックの流麗で可憐な音楽。ただそこに身を浸しているだけでもう幸せになる。
 ただ、1曲とても不思議な曲があった。ロカテッリの「室内ソナタ」。その第2楽章。ロカテッリはもっと穏健で美しいだけの人だと思っていたが、これはかなりアヴァンギャルド。こんな時代を超えたキュートな音楽を書いていたとは。天才である。

2006年12月録音 


CPO

777266
\2000
ヨハン・マルティン・フリードリヒ・ニスレ:管楽器を含む室内楽作品集
 1.八重奏曲 ニ長調/2.九重奏曲 変ホ長調/
 3.五重奏曲 ハ長調 Op.26
コンソルティウム・クラシクム
 生まれたのはベートーヴェンの10年後の1780年、しかし亡くなったのはベルリオーズの3年後の1873年。作曲家ニスレ(1780-1873)が93年という長い生涯を送った間に、時代は古典派からロマン派へとすっかり変貌を遂げていました。もちろん楽器も進化し、例えばホルンなどはかなりの改良が施され、楽器の持つ魅力が広く知れ渡った時期でもありました。
 このニスレですが、残念ながら現在全くと言ってよいほど名前が残っていない作曲家です。しかし、この作品集は当時の風潮を詳細に伝える見事なものであり、美しいメロディを誇示しながら、楽器の特性を活かし、時には名人芸を際立てつつも、精緻なアンサンブルが楽しめるという優れモノです。恐らく1806年から1809年頃に彼がウィーン、もしくはハンガリーに滞在していた頃の作品とされていますが、漂う雰囲気はどこかイタリア風の明るさも有しています。知られざる作曲家を知る楽しみをお届けいたします。
 
777570
\2000
カール・マルティン・ラインターラー:歌曲集
 1.7つの歌曲 Op.10/2.7つの歌曲 Op.17/3.7つの歌曲 Op.22/
 4.3つのバラード Op.24/5.5つの歌曲 Op.36/
 6.6つの歌曲 Op.48から「林檎の木」
ペーター・シェーネ(バリトン)/
ギュンター・アルベルス(ピアノ)
昨年リリースされた歌劇「ハイルブロンのケイトヒェン」は、「こんなに素晴らしい作曲家がいたなんて」と、ドイツ音楽を愛する人々に小さな衝撃を与えました。彼の作品はブラームス風でもあり、ブルックナー風でもありながら、何とも言えない香気を放つもので、一度聴いたら忘れがたい魅力を持っていたからです。そんなラインターラー(1822-1896)。彼は歌曲作曲家としても素晴らしい才能を有していました。彼が最初の歌曲を発表したのは20代の頃。Op.6として書かれた歌曲はイタリア語の詩によるものでしたが、このアルバムに収録されているのは、もう少し後の時期のもので、慎重に選ばれたテキストに実に考え抜かれた曲が付けられています。形式自体は比較的単純ですが、そのメロディの美しさには息をのむばかり。深みのあるシェーネのバリトンが曲の良さを引き出しています。
 
777741
\2600
ヨハン・ネポムク・ダーフィト:交響曲集
 1.交響曲 第1番 イ短調 Op.18(1936)/
 2.交響曲 第6番 Op.46(1954)
ウィーン放送交響楽団/
ヨハネス・ヴィルトナー(指揮)
 オーストリアの近代作曲家ダーフィト(1895-1977)。とは言え彼はどちらかというとラッヘンマンやツェヒリンらに作曲を指導した「名教師」として知られており、作曲家としてはごく僅かな合唱曲や器楽曲が聴かれるばかりです。
 元々は地元の聖歌隊員として活躍し、20代の終わりには小学校の教師を務めていましたが、同じ時期にウィーン大学でヨーゼフ・マルクスに作曲を学び、シェーンベルクとも個人的な接触を持っていたといいます。その後も小学校教師を続けながら合唱団を組織、ここでの演奏のために多くの宗教的な作品を書きました。
 このアルバムではそんな彼が書いた交響曲を2曲収録しています。シェーンベルク譲りの和声法とブルックナーを思わせる厳格な対位法、これらが縒り合さった難解なれど表現力豊かな音楽です。
 
777752
(2CD)
\5200
ゲオルク・フィリップ・テレマン:
 ジンクシュピール「ミリヴァイス」TVWV21:24 2幕
マルクス・ヴォルペルト(バス・バリトン)/
ウルリケ・ホフバウアー(ソプラノ) 他/
オルフェオ・バロック管弦楽団/
ミヒ・ガイッグ(指揮)
 テレマン(1748-1831)の最後のオペラ(歌芝居)であるミリヴァイスは1728年に初演され大好評を博したとされています。これはその頃紛糾していたムガル朝とサファヴィー朝の抗争を下敷きとして、アフガンの部族長「ミリヴァイス」の活躍を描いたもので、テレマンは当時流行し始めた東洋風の素材を用い、劇的で精力的な音楽をふんだんに書いています。しかし、テレマンの死後は忘れられてしまい、スコアも紛失してしまいました。
 しかし最近になって発見され、初演から284年後の2012年にめでたく蘇演され、人々を熱狂の嵐に巻き込んだのです。オルフェオ・バロック管弦楽団の演奏は、贅沢で色彩豊かなテレマンの世界をこの上なく再現。当時の雰囲気を余すことなく伝えています。
 


777789
(3CD)
\7800→\7290
ヘルツォーゲンベルク夫妻のピアノ作品全集
《ハインリッヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルク(1843-1900)》
 1.5つの小品 Op.25/2.5つの小品 Op.37/3.4つの幻想小曲集 Op.4/
 4.ドン・ファンの主題による変奏曲 Op.8/5.幻想的舞曲 Op.9/
 6.ロマンス Op.6/7.6つの小さな性格的小品 Op.5/8.奇想曲 Op.107/
 9.アクロスティシャ Op.7/10.ほとんど幻想的なソナタ Wo0.13/
 11.12の小さな練習曲 Op.68/12.ピアノのための小品 Op.49/
 13.変奏曲 Op.3/
《エリザベート・フォン・ヘルツォーゲンベルク(1847-1892)》
 14.8つの小さな小品
ナターシャ・ヴェリコヴィッチ(ピアノ)
 cpoレーベルが力を注いでいる作曲家の一人に、ブラームスの友人であったヘルツォーゲンベルクがいます。これまでも室内楽や管弦楽作品、または歌曲などのアルバムで、この作曲家の知られざる扉を開いて来たのですが、今回は彼のピアノ曲全曲と、やはり優れたピアニストであった彼の愛妻エリザベートが書いたピアノ曲を併せて収録するという、愛好家には嬉しい3枚組となっています。
 ヘルツォーゲンベルクの作品はブラームスに酷似していると言われていた時期もありますが、このピアノ曲を聴いて見ると、それは明らかな間違いであり、彼独自の語法がきちんと確立されていたことを知ることができるのではないでしょうか。
 これらの曲から類い稀なるロマンティシズムを抽出したヴェリコヴィッチの演奏にも称賛を送ります。


 ブラームスがその生涯に愛した女性のうちのひとりエリザベート・フォン・ヘルツォーゲンベルクの作品が聴ける。
 
777795
\2600
レオ・ファル:喜歌劇「マダム・ポンパドゥール」3幕 アネッテ・ダッシュ(ソプラノ)/
ハインツ・ツェドニク(テノール)/
ミルコ・ラシュコフスキ(バリトン)/
エルヴィラ・ゾウコプ(メゾ・ソプラノ)/
ベアテ・リッター(ソプラノ)/
ボリス・プフェイハー(語り)/
ゲルハルト・エルンスト(語り)/
ヴォルフガンク・グラチュマイアー(テノール)/
ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団&合唱団/
アンドレアス・シューラー(指揮)
 ご存知、ルイ15世の愛妾としてその名を轟かせたポンパドゥール夫人。彼女は平民(銀行家)の娘として生まれ、徴税請負人デティオールと結婚するも、その才気煥発な性格と美貌で、超一流サロンに出入りし、ついにはルイ15世の目に留まり“Maitresse royale(公妾)”の地位を得るまでに至ります。
 そんな彼女をモデルにしたこのオペレッタ。主役を務めるのは、幾多のモーツァルトのオペラでの名唱で知られるアネッテ・ダッシュ。現在ドイツのトップ・ソプラノであり、存在感と美貌でも注目されている人。舞台では、かなり妖艶な姿で観客もろとも魅了したということですが、ここは音だけで想像力をかき立てていただけますように。
 

777817
\2000
パウル・ヒンデミット:歌曲集「マリアの生涯」Op.27(1948年版)
 ライナー・マリア・リルケの詩によるソプラノとピアノのための
マヤ・ボーク(ソプラノ)/
ミヒャエル・ラクナー(ピアノ)
 2013年は、ヒンデミット(1895-1963)没後50年記念として多くのCDがリリースされました。もちろん録音も多く、2014年になっても興味深い作品がいくつも出現し、愛好家心をくすぐり続けています。
 この歌曲集「マリアの生涯」はピアニスト、グレン・グールドが愛した作品としても知られていて、グールドを知る過程でこの曲に触れたと言う人も多いのではないでしょうか?この歌曲集はライナー・マリア・リルケの連作詩に付けられたもので、イエス・キリストの母であるマリアの誕生から死までを忠実に描いています。
 1923年頃に初稿版が書かれていますが、こちらの1948年改訂版は少しだけ表現が穏やかになり、歌手への負担も軽減されていると言われています。
 このボーク盤は改訂稿による演奏で、穏やかさと成熟度が感じられる美しいものです。
 

777597
(2SACD-Hybrid)
\6000
北ドイツのバロック・オルガン作品集 第11集
 デルフィン・シュトルンク(1601-1694),
 ニコラウス・アダム・シュトルンク(1640-1700),
 クリスティアン・フロール(1626-1697),
 ディートリッヒ・メイヤー(1653頃),
 ヨハン・デッカー(1598-1668),
 マルクス・オルター(1625-1684)
  上記6人の作曲家のオルガン作品全集
フリードヘルム・フランメ(オルガン)
ザルツギッター-リンゲルハイム
聖アブドン&ゼンネン教会:シュヴァイム・オルガン /
グラーフェンハイン トリニティ教会:ティーレマン・オルガン
 北ドイツのオルガンの伝統を辿る大好評シリーズの第11集。今回もSACDハイブリッド盤でフランメによる、ふくよかなオルガンの響きを心から満喫することができます。この盤に収録された作曲家の名前は、現代ではほとんど耳にすることがありません。なかでもかろうじて名前が知られているのはブランシュヴァイクで活躍したシュトルンク親子でしょうか。しかし彼らは、他の国からの影響を取り入れながらも、確かに次の世代へと「ドイツ音楽の伝統」を受け渡したことは間違いありません。当時活躍したブクステフーデらの影に隠れてしまったものの、素晴らしい音楽を書いていたのです。歴史の流れから零れ落ちてしまった作品を丹念に拾い集めたフランメの情熱にも拍手を送りたい1枚です。
 


777719
(SACD-Hybrid)
\3000→\2790
ロベルト・シューマン:交響的作品集
 1.序曲,スケルツォとフィナーレ Op.52/
 2.序曲「マンフレッド」Op.115/
 3.序曲「ジュリアス・シーザー」Op.128/
 4.序曲「ヘルマンとドロテーア」Op.136/
 5.交響曲 ト短調「ツヴィッカウ」
  (M.ヴェントによるクリティカル・エディション…初録音)
ロベルト・シューマン・フィルハーモニー/
フランク・ベールマン(指揮)
 素晴らしい録音で聴くシューマン(1810-1856)のシリーズ第2弾です。以前交響曲全集(777365-2)できびきびとした演奏を聴かせたベールマン。今回は序曲集と、珍しい「ツヴィッカウ交響曲」の録音です。序曲は割合聴く機会もありますが、こちらの「ツヴィッカウ交響曲」は若きシューマンによる未完の作品で、1832年に着手され、ひとまず第1楽章を作曲初演、とは言え全く評判にならず、改訂を繰り返しながら第2楽章を書き終えるも、結局そのままお蔵入りになってしまったというもので、録音も数えるほかありません。
 このベールマンの演奏はマティアス・ヴェントによる校訂版を用いたもので、ゆったりとした序奏も削除することなくシューマンが構想した最初の形を見せてくれるものです。この作品の失敗後、シューマンはピアノ曲に力を注ぐことになるのです。
 
777686
\2600
アンジェイ・パヌフニク:交響的作品集 第7集
 1.交響曲 第5番「天球の交響曲」/
 2.ファゴット協奏曲/3.愛の歌/4.情景
ミヒャエル・フォン・ショーナーマルク(ファゴット…2)/
サラ・ファン・デル・ケンプ(メゾ・ソプラノ)/
ベルリン・コンチェルトハウス管弦楽団…1-3/
ポーランド国立放送交響楽団…4/
ルーカス・ボロヴィッツ(指揮)
 最近は娘であるロクサンナの作品の演奏機会も増え、ますます注目が高まるポーランド出身のアンジェイ・パヌフニク(1914-1991)の音楽。cpoレーベルは彼の作品を精力的にリリースしていて、どれもが高い評価を受けています。このアルバムは交響曲第5番を中心に、協奏曲、声楽曲とバランスの良い選曲が魅力。彼の最高傑作とも言われる交響曲第5番は「天球の交響曲(空間とも訳される)」と副題が付けられた作品で、常に挑戦的な不協和音が炸裂する強烈な部分と、暗黒を思わせる虚無の部分の対比が見事な音楽です。諧謔的とも思える「ファゴット協奏曲」、「なぜこんなに穏やかな?」と驚くような「愛の歌」、そして冬の草原を思わせる「情景」。この作曲家の多面性を強く感じさせる素晴らしい1枚です。
 
777790
\2000
ジャック=マルティン・オトテール:室内楽作品集 第1集
 フルートとその他の楽器、通奏低音のための小品集 Op.2(初版)
  組曲第1番-第5番
カメラータ・ケルン
 フランスでバロック音楽が最も栄えた時代、優れたフルーティストとして活躍したオトテール(1674-1763)。もともとパリの管楽器職人の家庭に生まれた彼、フルートの大家になるべくしてなったような人でもありました。ローマにも長く滞在したことから「ローマのオトテール」とも呼ばれています。これは彼の家系に音楽家が多かったため、区別するためでもありました。彼は当時のフルート演奏の可能性を押し広げ、楽器にもさまざまな改良を加えたことでも知られ、これらは現代にもしっかり受け継がれています。
 このOp.2の小品集は1708年にパリで出版されましたが、後の1715年に改訂され、リコーダーでも演奏できるようになっています。どの曲も美しく、また軽やかで当時の趣味を映し出すものばかりです。今後カメラータ・ケルンはオトテールの全作品の録音を計画、4枚のCDとなる予定です。
 
777605
 \2000
アントン・エーベルル:ピアノ作品集
 1.グランド・ソナタ ト短調 Op.27/
 2.アリエッタ「愛しの彼女の優しき心の動き」による12の変奏曲/
 3.「シュテフェンに夢の中で語る」の主題による10の変奏曲
マリー=ルイーズ・ヒンリクス(ピアノ)
 少年時代から天才ピアニストとして名を馳せ、9歳年上のモーツァルトからもその才能を高く評価されたというエーベルル(1765-1807)。そのまま彼らは友人となり、1791年にモーツァルトが亡くなった時は「モーツァルトの墓前にて」というカンタータを作曲したほど、親しい関係を保っていました。モーツァルトの死後も音楽教師、作曲家として活動を続け、ピアノ協奏曲や交響曲を数多く作曲、一時はベートーヴェンよりも聴衆の人気を得ていたといいます。そんな彼の作品、やはりモーツァルトとの親和性が高く、いくつかの曲は「モーツァルト作」として出回ったこともあるようです。とは言え、ここで聴ける彼の変奏曲やソナタは、その緻密な構成と粘り強さの面で、どちらかというとベートーヴェン風の力強さを備えています。魅力的な作品です。
 

777832
\2600→\2390
E.T.A.ホフマン:ミサ曲・ミゼレーレ
 1.ミサ曲 ニ短調(AV18)/
 2.ミゼレーレ 変ロ短調(AV42)
シビラ・ルーベンス(ソプラノ)/
ユッタ・ベーネルト(ソプラノ)/
レベッカ・マルティン(アルト)/
トーマス・クーリー(テノール)/
ヨーク・フェリックス・スピール(バス・バリトン)/
ケルンWDR交響楽団&合唱団/
ルーペルト・フーバー(指揮)
 神秘的なイメージばかりが先行するドイツの偉大な芸術家E.T.A.ホフマン(1776-1822)。彼は作家として多くの著作を残しましたが、作曲家としても80を超える作品を残し、この分野にも輝ける才能を有していたことがわかります。
 このミサ曲は1803年から1805年の間に書かれました。その頃の彼はちょうど友人を通じてしりあった女性を妻に迎え、音楽クラブを設立し、多くの詩作や作曲を行うなど活発な活動をしていたのです。闘争心を喚起させるニ短調が用いられたこの作品は、ロマンティックな一面と、古風な面を併せ持つ重厚なもので、モーツァルトを思わせるキリエの美しさはため息ものです。ミゼレーレは詩編に基いた合唱曲で、アレグリのものが有名ですが、E.T.A.ホフマンは悲しみや喜びなどの感情を全面に出した感動的な作品として表出しています。
  
777878
(8CD)
\10800
J.S.バッハ:偽作宗教曲集
<CD1…999139>
 偽作カンタータ集 BWV217-219/
<CD2…999139>
 偽作カンタータ集 BWV220-222/
<CD3…999985>
 偽作カンタータ集 BWV12.141.142.160/
<CD4…999834>
 偽作ミサ曲&マニフィカト BWV Anh.25&26&21/
<CD5&6…999293>
 ルカ受難曲 BWV246 Anh.II,30/
<CD7…999235>
 偽作モテット集 BWV Anh.159,160,162-165/
<CD8…777261>
 偽作ミサ曲集&マニフィカト集 BWV Anh.167.30.24.240.239.237.150
アルスフェルト声楽アンサンブル/
ジェズアルド・コンソート・アムステルダム/
ハノーヴァー宮廷管弦楽団/
ヴォルフガング・ヘルビッヒ(指揮) 他
 J.S.バッハ(1685-1750)の作品として語り継がれるも、最近の研究では「どうも違うだろう」と決定付けられた作品群。これらを的確な解釈で次々と演奏していた名指揮者ギュンター・ヘルヴィッヒ。残念なことに彼は志し半ばにて2013年4月8日にこの世を去ってしまいました。このBOXは彼の業績を記念するものとして長く伝えられていくことでしょう。

DACAPO

6.220568
(SACD-Hybrid)
\2200
デンマークのパートソングにおける黄金時代
 1.カール・ニルセン(1865-1931):おおわがイエス、わが心を導きたまえ/
 2.ニルセン:我は笑顔で重荷に耐える/
 3.ニルセン:夕べの空気は奇妙な思いを形作る/
 4.フリードリッヒ・クーラウ(1786-1832):あずま屋が影を作ってくれるように/
 5.クーラウ:五月の歌/
 6C.E.F.ヴァイセ(1774-1842):さすらい人の夜の歌/
 7.ヴァイセ:舟歌/
 8.ヴァイセ:光り輝く明るい天使が降りてくる/
 9-10.J.P.E.ハルトマン(1805-1900):民謡集 Op.86から
  <春の時に/私は決してあなたを愛さないことを知っている>/
 11.ニルス.W.ゲーデ(1817-1890):ヴァルデマール王の狩り/
 12.ゲーデ:デンマーク民謡:若きダグマールの女王の死(ゲーデ編)/
 13.ゲーデ:5つの歌曲 Op.13から第2番「蓮の花」/
 14.ゲーデ:5つの歌曲 Op.13から第4番「秋に」/
 15.ゲーデ:5つの歌曲 Op.13から第5番「森にて」/
 16.トーマス・ラウプ(1852-1927)静かなわが心、今日が沈む/
 17.ペーター・ハイゼ(1830-1879):穏やかな最愛の夜/
 18.スヴェン.S.シュルツ(1913-1998):デンマークの素敵な香り/
 19-23.イブ・ネアホルム(1931-):5つの歌 Op.128
  <光の雲/神は豊かな土壌に/鳥の群れ/無邪気に寝転ぶ/杭州からの一皿>
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン/
ポール・ヒリアー(指揮)
録音 2011年…1-3.6-8.19-23, 2012年…4-5.9-18
 19世紀前半のデンマークは芸術文化が目覚ましく発展し、多くの絵画や音楽が生まれました。そんな時代に目をつけたのが名指揮者ポール・ヒリアー。この時代に生まれた多くの素晴らしい無伴奏合唱曲を演奏することで「デンマークの黄金時代」を再現できると考えた彼は、無尽蔵に埋蔵されている作品の中から9人の作曲家が書いた23曲を選び出し、アルス・ノヴァ・コペンハーゲンとともに演奏したのです。
 デンマークの民俗音楽や伝承物語、そして言葉の遊びなど様々なデンマークの姿を伝える貴重な音楽絵巻を、高音質録音でお届けいたします。
 

6.220576
(SACD-Hybrid)
\2200
ルーズ・ランゴー:弦楽四重奏曲集 第2集
 1-4.ばら園での遊び BVN153(1918)…世界初録音/
 5-8.弦楽四重奏曲(変イ長調) BVN155(1918)/
 9-11.弦楽四重奏曲 第4番「夏の日々」BVN215(1914-18/1931改編)
ナイチンゲール弦楽四重奏団
録音 2012年8月18-21日…9-11, 2012年11月16-17日,12月20-21日…1-4, 2013年1月7-10日…5-8 デンマーク王立音楽学校 コンサート・ホール
 ランゴー(1893-1952)の多彩な弦楽四重奏曲の全てを知るためのシリーズ第2集。世界初録音となる「ばら園での遊び」のばら園とは、彼が20歳の時の夏休みに、両親とともに保養に出かけたスウェーデンの温泉地、ブレーキンデの家の名前で、ここに2か月間ほど滞在したランゴーは、この時の良い体験を生涯忘れることがありませんでした。
 この作品全編に漂う甘い回想、そして「モーツァルト」と題された第2楽章は偉大なる作曲家を模倣するとともに、以降の作品に使われるモティーフの萌芽が認められる興味深いものとなっています。他の2曲も、若い作曲家のなみなみならぬ意志が感じられる力強くしなやかな仕上がりとなっています。 
 
8.226148
\2000
クヌドーゲ・リーサゲル:シンフォニック・エディション集 第3集
 1.管弦楽のための「夏の狂詩曲」(デンマーク民謡による)(1943)/
 2-6.弦楽のための協奏交響曲 Op.34(1937)/
 7-9.シンフォニア・ガイア(交響曲 第4番) Op.38(1939-1940)/
 10-13.弦楽とティンパニのためのシンフォニア・セレナ(交響曲 第5番) Op.52(1949-50)
  ※世界初録音
オーフス交響楽団/
ボー・ホルテン(指揮)
録音 2012年9月10-14日…7-9.1.10-13, 2012年11月19-20日…2-6 オーフス ムジクフセト,シンフォニック・ホール
 一連の世界初演の録音を収録した、このリーサゲル(1897-1974)の第3集の管弦楽作品集。この中には彼が一度は破棄しようと試みたものの、結局は残すこととなった第4番と第5番の交響曲や、極めて技巧的な協奏交響曲。そして民謡のメロディを用いた親しみやすい「夏の狂詩曲」の4作が収録されています。
 彼の作品はどれも豊かな響きを持ち、時として映画音楽を思わせるような壮大な世界を描き出します。1940年代のリーサゲルはバレエ音楽の作曲家として知られており、交響曲の分野にはあまり興味がなかったといいます。しかし彼はこのジャンルに、様々な思想と作風を持ち込み、単なる形式の一つとして「交響曲」を作曲しようと試みたのかもしれません。新古典的な味わいの協奏交響曲は冒険的で色彩的。野心的な作品です。
クヌドーゲ・リーサゲル:シンフォニック・エディション集
 第1集…8.226146 第2集…8.226147

DYNAMIC


Bach, J S: Sonatas & Partitas for solo violin, BWV1001-1006
CDS-758
(2CD)
\3000→\2690
ルカ・ファンフォーニ(ヴァイオリン)
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001-1006

<CD1>
 1-4.ソナタ 第1番 ト短調 BWV1001/
 5-12.パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002/
 13-16.ソナタ イ短調 BWV1003/
<CD2>
 1-5.パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004/
 6-9.ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005/
 10-16.パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
ルカ・ファンフォーニ(ヴァイオリン)
録音 2011年 パルマ
 1964年生まれ、現在パルマ音楽院で教鞭を執るヴァイオリニスト、ルカ・ファンフォーニによるバッハ(1685-1750)。数多くの奏者が挑む「最高の名作」を、ファンフォーニは一切の迷いなく弾き切ります。繊細さよりも音楽の勢いを重視し、時には力で抑え込むかのような荒業さえ見せてくれまる彼の演奏には燃えさかる情熱が感じられることでしょう。モダン楽器の艶やかな音色を存分に生かし、とにかく音楽を楽しもうという姿勢が素晴らしい活きの良いバッハです。
 
Donizetti: Ugo Conte di Parigi
CDS-7659
(2CD)
\3000
ドニゼッティ:歌劇「パリのウーゴ伯爵」全曲 ビアンカ…ドイナ・ディミートリウ(ソプラノ)/
ウーゴ伯爵…中島康晴(テノール)/
アデリア…カルメン・ジャンナッタージョ(ソプラノ)/
フォルコ…ディヤン・ヴァチコフ(バス)/
ルイジ五世…シム・トキュレク(カウンター・テナー)/
エンマ…ミリヤーナ・ニコリッチ(メゾ・ソプラノ) /
ミラノ・スカラ座アッカデーミア管弦楽団&合唱団/
ベルガモ・ガエターノ・ドニゼッティ財団管弦楽団 /
アントニーノ・フォリアーニ(指揮)
録音:2003年10月 ベルガモ ※CDS449の再発盤
 日本が誇る名テノール「中島康晴=YASU」の当たり役として発売当時大評判となったドニゼッティ(1797-1848)の知られざるオペラの再発盤です。最近は声に深みが増してきた彼ですが、この2003年の舞台ではひたすら瑞々しい声が楽しめます。
 1832年にスカラ座で初演されたこのオペラ、その前年にスカラ座で演奏されたベッリーニのノルマが大成功を収めたため、ほとんど同じ歌手を起用したにも拘わらず、こちらは人気を得ることができませんでした。同年に初演された「愛の妙薬」は大人気作となったことを考えると、どうも台本に問題があったようです。
 ウーゴ役にはアリアは与えられていませんが、ドニゼッティらしい美しいメロディ満載のオペラです。
  
Si suona, a Napoli!
CDS-7674
\2000
“Si suona, a Napoli!”-これこそナポリ!
 18世紀ナポリのフルート協奏曲集

 1-3.ニコラ・ログロスチーノ(1698-1764):5声の協奏曲 ト長調/
 4-7.ダヴィッド・ペレス(1711-1778):フルート協奏曲 ト長調/
 8-10.アニエッロ・サンタンジェロ(1737-1771):4声の協奏曲 ニ長調/
 11-13.ジュセッペ・セリット(1700-1777):4声の協奏曲 ト長調/
 14-16.アントニオ・パレッラ(1692-1761):4声の協奏曲 ト長調
レナータ・カタルディ(フルート)/
レ・ムジケ・ダ・カメラ/
エジディコ・マストロミニコ(指揮)
録音 2011年 ナポリ
 13世紀後半、それまでローマ帝国にあった支配権が、フランスのアンジュー家に移ってから500年以上、ナポリ王国の首都として栄えた街ナポリ。社会的にも政治的にも、そして芸術的にも重要な都市として、周辺国を圧倒する力を持っていました。
 そんなナポリ、17世紀頃から目を見張るほどの素晴らしい音楽が生まれ始め、18世紀にはパリ、ロンドンに次いで3番目の大都市となり、数々の歌劇場が建設され、名実ともに音楽の中心地となりました。この頃、この地で数多く書かれたフルートのための協奏曲を集めたこの1枚。どれも技巧的であり開放的な気分と明るい曲調を持っています。活気に満ちた都市の雰囲気を映し出す楽しい曲集です。
 
Bruhns & Hasse: Complete Organ Works
CDS-7685
\2000
ニコラウス・ブルーンス&ニコラウス・ハッセ:オルガン作品全集
《ニコラウス・ブルーンス(1665-1697)》
 1.前奏曲 ト短調/2.アダージョ ニ長調(ハ長調)/
 3.大前奏曲 ホ短調(ニ短調)/
 4.「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」による幻想曲/
 5.小前奏曲 ホ短調(ニ短調)/6.前奏曲 ト長調/
《ニコラウス・ハッセ(1605-1670/72?)》
 7.いと高き所に神の栄光あれ/
 8.われらの救い主イエス=キリスト(a 2 clav. et ped)/
 9.われらの救い主イエス=キリスト(in organo pleno)/
 10.来たれ聖霊、主なる神
マヌエル・トマディン(オルガン)
録音 2012年 トリノ
 ブルーンスは17世紀ドイツ・バロック音楽最大の作曲家&オルガニスト。32年という短い生涯でしたが、師であるブクステフーデのサポートを受け、最初はコペンハーゲンの宮廷に仕え、やがてシュレスヴィヒ=ホルシュタインのオルガン奏者に就任。不慮の死を遂げるまでに幾多の作品を書きあげましたが、その譜面はほとんど失われてしまいました。
 もう一人のニコラウス・ハッセもその生涯はあまり知られていません。現在ではいくつかの室内楽作品と宗教曲がかろうじて聴かれるのみ。そんな2人のオルガン作品を若手オルガニスト、マヌエル・トマディンが演奏しています。
 北ドイツのオルガン音楽の伝統を受け継ぐ彼の演奏によって蘇る知られざる作品をお楽しみください。
 

ES−DUR



ES-2044
(1CD+1DVD)
\2600→\2390
ジェフリー・テイト!!
 DIVINE-神〜ストラヴィンスキー&ワーグナー
 1-10.ストラヴィンスキー(1882-1971):
  バレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」
 11-16.ワーグナー(1813-1883):神々の黄昏からの情景
  <前奏曲:オーケストラの間奏と「私はここで、愛する人」/
   前奏曲:ジークフリートのラインの旅/第3幕第2場:葬送行進曲/
   第3幕第3場:大きな薪を積み重ね/
   第3幕第3場:これは私の相続すべきもの/
   第3幕第3場:グラーネよ,わが馬よ,わが挨拶を受けたまえ>
デボラ・ヴォイト(ソプラノ)/
ハンブルク交響楽団/
ジェフリー・テイト(指揮)
録音 2012年2月18-19日 ハンブルク ライスハレ大ホール <DVD>収録時間:88分+10分(インタビュー)/字幕:独,英,仏,日/画面:16:9/REGION All(Code:0)
 身体的ハンディをものともせず、素晴らしい活躍を続けている指揮者ジェフリー・テイト。2008年からはハンブルク交響楽団の首席指揮者として更に音楽的発展を遂げています。またアメリカの名ソプラノ、デボラ・ヴォイトとは2009年以来、何度もコラボレーションを行い、その演奏会全てが高く評価されています。
 この「神」と題されたコンサートはストラヴィンスキーとワーグナーの2大作曲家が「神」について描いた作品を取り上げたもの。躍動的なストラヴィンスキー、緊張感溢れる濃厚なワーグナー。納得の演奏です。彼らはこの演奏をDVDにすることで、インターネットを通じて楽団への寄付も募るという新しい試みも行いました。DVDには、コンサートの模様と、約10分間のインタビューも含まれています。日本語字幕もついています。
 
ES-2042
\2600
日本の風景 ヴォルフガンク=アンドレアス・シュルツ(1948-)作品集
 1-6.聴衆の風景‐弦楽四重奏曲 第3番(2004/2005)
  <謎のある風景/会葬者の湖(4人の肖像)/恋人たちの庭/
   悪魔の谷/交換の森/熟考の山>/
 7.フルートと弦楽三重奏のための「湖の底の情景」(2009/2010)
 8.独奏フルートのための「霧深い日本の情景」(2003)
アマリリス弦楽四重奏団…1-6/
アンサンブル・オブリガート・ハンブルク…7/
インメ=ジーン・クレット(フルート)…8
録音 2009年6月27日 ハンブルク ライスハレ 小ホール…1-6/2012年6月20日 ハンブルク フリードリヒ・エーベルト・ホール…7/2012年5月29日 ハンブルク フリードリヒ・エーベルト・ホール…8
 作曲家、アンドレアス・シュルツは学生時代から日本文化に対して強い興味を抱いていたといいいます。伝統文化、禅の思想、哲学と瞑想。これらから導きだされた世界観を音楽に抽出し、ある時は個人的な表現を併せることで特異な情景を描いています。
 厳粛な儀式とも言える「聴衆の風景」、痛みを伴う不協和音と仄かな憧れを思わせる穏やかなメロディがこの世のものとも思われないものを呼び起こす「湖の底の情景」、そして「霧深い日本の情景」では、タイトルの通り、全てが曖昧でぼやけた音(ノイズすらも含む)の中から浮かび上がる確かな情景。日本の伝統的な音楽とヨーロッパの伝統を撚り合わせた音世界です。
 

ES-2043
(2CD)
\4000→\3590
トーマス・ビーチェ 6つの独奏曲
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001-1006

<CD1>
 1-4.ソナタ 第1番 ト短調 BWV1001/
 5-12.パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002/
 13-16.ソナタ イ短調 BWV1003/
<CD2>
 1-5.パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004/
 6-9.ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005/
 10-16.パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
トーマス・ピーチュ(バロック・ヴァイオリン)
録音 2011年5月13-18日 ボルデスホルム 十字架教会
 ドイツのポツダム、サンスーシ地区で育ち、名ヴァイオリニストであった祖母からヴァイオリンを学んだトーマス・ピーチュ。彼は15歳の時にバロック・ヴァイオリンの魅力に開眼し、以来、この楽器の可能性を追究し続けています。
 ボブ・ファン・アスペレンやエディット・ピヒト=アクセンフェルトらとも共演し、ムジカ・アンティクワ・ケルンのメンバーとしても活動、教育にも力を入れている彼のバッハ(1685-1750)は、至高の解釈と豊かな表現が魅力的。過去の幾多の名演に並ぶ、素晴らしい演奏です。バッハを演奏する喜びがひしひしと感じられることでしょう。
 

ES-2045
\2600→\2390
ゲリンガス〜Pohadka-物語
 1-2.ヨーゼフ・スク(1874-1935):バラードとセレナード Op.3/
 3.ドヴォルザーク(1841-1904):森の静けさ Op.68-5/
 4.ドヴォルザーク:ロンド Op.94/
 5.ドヴォルザーク:ジプシーの歌 Op.55よりメロディ(L.リムスキ編)/
 6-8.ヤナーチェク(1854-1928):おとぎ話 JW VII/5/
 9.ヤナーチェク:プレスト JW VII/6/
 10.マーラー(1860-1911):私はこの世に捨てられて(D.ゲリンガス編)/
 11.マーラー:朝の野辺を歩けば(D.ゲリンガス編)/
 12-16.マーラー:亡き子をしのぶ歌(子どもの死の歌)(D.ゲリンガス編)
デイヴッド・ゲリンガス(チェロ)/
イアン・ファウンテン(ピアノ)
録音 2012年5月11-13日 ベルリン ジーメンスヴィラ・スタジオ
 チェコ語で物語、おとぎ話を意味する「Pohadka」をタイトルとする美しいアルバムです。チェコの風景は、フランスやドイツ、オーストリアとはまた違う独特の風情を持つことで知られ、幼い頃にここで過ごした人たちの作品に影響を与えていることは間違いありません。
 スク、ドヴォルザーク、ヤナーチェクはもちろんボヘミアとモラヴィア出身の作曲家ですが、ここで重点が置かれているのが、なぜかマーラー。とはいえ、彼はもともとチェコのカリシュトで生まれ、すぐに中心地イーグラウに移住。11歳の時にはプラハに留学するという、ばりばりのチェコ由来の人なのです。名チェリスト、ゲリンガスはマーラーのいくつかの歌曲をチェロ用に編曲し、感動的に歌い上げています。むせび泣くかのようなチェロの音色に心揺さぶられぬ人がいるのでしょうか。
 
ES-2046
\2600
アドルフ・ブラン:弦楽五重奏曲集
 1-3.弦楽五重奏曲 第3番 ニ長調/
 4-7.弦楽五重奏曲 第4番 変ホ長調/
 8-11.弦楽五重奏曲 第7番 ホ長調
ファベルジェ五重奏団
録音 2003年&2005年 ハンブルク ロルフ=リーバーマン・スタジオ
 19世紀半ばのフランスでは珍しい器楽曲の作曲家の一人、アドルフ・ブラン(1828-1885)。13歳でパリ音楽院ヴァイオリン科に入学、最初はオペラ作曲家としてデビューするも、彼自身は洗練された室内楽曲を好み、多くの室内楽作品を書き上げました。しかし当時のパリの音楽界はオペラが中心であり、彼のひそやかな作品群には目を留める人もほとんどなく、ほどなく忘れられてしまったのです。
 現在では若干の木管のための室内楽が知られていますが、この弦楽五重奏曲は、ウィーン古典派の流れを汲む端正な音楽で、ここで聴けるのは大きな喜びと言えるのではないでしょうか?ファヴェルジェ五重奏団はNDR交響楽団のメンバーによるアンサンブル。緻密で繊細、かつ力強い演奏を聴かせます。
 
ES-2047
\2600
Fundstucke-思わぬ拾い物 サクソフォン小品集
 1.ルドルフ・ワーグナー=レーゲニ(1903-1969):愛の歌/
 2.リヒャルト・ベックマン:Erzahlendes Saxophon/
 3.アルベルト・ブロイ(1888-1954):小さなバレエ/
 4.ハンス・ヴェレビル(1928-2013):パン:幻想的なワルツ/
 5-8.ハンス・フェリックス・フサデル(1897-1964):4つの小品/
 9.ベックマン:憧れ/10.ルートヴィヒ・クレチュ:笑うサクソフォン/
 11.グスタフ・ブムケ(1876-1963):演奏会用ワルツ Op.48/
 12.ヴィリー・メンデン:サクソ=フリップ/
 13.ブロイ:サクソフォン=アクロバティク/
 14.エルヴィン・ヘーネ:ハンブルク飛行中/
 15.エルコーレ・ガッティ:ロンターノ/
 16.ルイ・マヨー(1837-1894):華麗なる大幻想曲
ヨハンネス・エルンスト(サクソフォン)/
クリストフ・イスラエル(ピアノ)
録音 2007年11月19-23日 ベルリン ジーメンスヴィラ・スタジオ
 現在ドイツで最高のサックス奏者と評されるヨハンネス・エルンスト。彼はこの楽器の可能性の追求とレパートリーの拡充に日夜力を注いています。このアルバムに収録されているのは1930年代から1940年代に渡って書かれた「サックスのための作品」が中心であり、彼はこの録音のために多くの楽譜を探し出すことで、この魅力的な1枚ができあがったのです。
 前衛的な作品から、当時大流行していたダンス・ミュージック、ユーモラスな曲など様々な色調の曲を自在に吹きこなすエルンストの巧みなテクニックにも注目です。
 
ES-2048
\2600
魔法の庭 ロシアの物語によるピアノ編曲集
 1.グリンカ(1804-1857):ルスランとリュドミラより
   「チェルノモールの行進)(F.リスト編)/
 2.グリンカ:ルスランとリュドミラより
   「子守歌」(S.リャプノフ編)/
 3.グリンカ:ルスランとリュドミラより
   「チェルノモールの戦いと死」(S.リャプノフ編)/
 4.リムスキー=コルサコフ(1844-1908):金鶏より
   「太陽への賛歌」(J.チャロフ編)/
 5.リムスキー=コルサコフ:雪娘より
   「道化師の踊り」(I.ミフノフスキー編)/
 6.リムスキー=コルサコフ:皇帝サルタンの物語より
   「熊蜂の飛行」(N.リムスカヤ・コルサコワ編)/
 7.リムスキー=コルサコフ:皇帝サルタンの物語より
   「3つの奇跡」(A.ズィロチ編)/
 8.リムスキー=コルサコフ:サトコより
   「インド人の歌」(M.レットベリ編)/
 9.リムスキー=コルサコフ:不死身のカスチェイより「吹雪」(J.シュトリマー編)/
 ストラヴィンスキー(1882-1971):ピアノ独奏による「火の鳥」(M.レットベリ編)/
  10.導入部/11.カスチェイの魔法の庭園/12.火の鳥の踊り/
  13.姫の踊り/14.カスチェイの番兵たちの悪魔のような踊り/
  15.火の鳥の子守歌/16.カスチェイの目覚め-カスチェイの死-深い闇/
  17.カスチェイの帝国消滅-石にされていた騎士たちの復活-大団円
マリア・レットベリ(ピアノ)
録音 2013年7月21-23日 ベルリン ,イエス・キリスト教会
 CAPRICCIOレーベルと、このESDURレーベルにスクリャービンの全てのピアノ曲を録音しているピアニスト、レッドベリ。スクリャービンの持つ神秘的で悪魔的な雰囲気を見事に映し出した彼女の演奏は非常に高く評価されています。
 そんな彼女、今作ではロシアのおとぎ話や神話を題材にした作品をリリース。と言ってもこれが只者ではありません。どれも、もともとは管弦楽やオペラ、バレエ作品であり、これらを他の作曲家や、彼女自身がピアノ用に編曲したものを演奏しているのです。
 確かに「熊蜂の飛行」はいろいろな編曲ヴァージョンが知られていて、今では却って原曲ってどんな編成だったか分からなくなっていたりしますが、他の曲はまだまだ珍しいものばかり。とりわけ、彼女自身の手による「火の鳥」は恐ろしいまでの興奮をもたらします。
 普通のピアノ曲に食傷気味の方にも自信を持っておすすめできるエキサイティングな1枚です。
 
ES-2050
\2600
Regina Renata オルガン作品集
 1-4.ハインリヒ・シャイデマン(1595-1663):6声のマニフィカト/
 5.ヨハン・アダム・ラインケン(1623-1722):コラール幻想曲「バビロン川のほとりで」/
 6-7.J.S.バッハ(1685-1750):幻想曲とフーガ ト短調 BWV542/
 8.J.S.バッハ:バビロン川のほとりで BWV653/
 9.ハインリヒ.F.ディーゲンハルト(1828-1896):コンチェルトシュトック ヘ短調/
 10-12.フーゴ・ディストラー(1908-1942):パルティータ「目を覚ませと呼ぶ声聞こえ」Op.8 II
アンドレアス・フィッシャー(オルガン)…9-12/
ピーター・ファン・ダイク(オルガン)…5.8/
ヴォルフガンク・ツェーラー(オルガン)…1-4.6.7
録音 2013年7月.8月 ハンブルク 聖カタリナ・ハウプト教会
 1943年、空襲によって破壊されたハンブルクの主要な教会、聖カタリナのルネッサンス/バロックオルガン。ほぼ20年間に渡るこの楽器の再構築は世界的な注目を浴びました。デザインも場所も元のまま、この生まれ変わったオルガンを3人の名オルガニストが演奏し、新しい「女王」の誕生を讃えています。
 選ばれた作品の作曲年代はシャイデマンからディストラーまでのほぼ300年に渡り、楽器の歴史を振り返るとともに、これからの時代の幕開けとしての偉大な足跡を記したものです。美しく壮麗な響きをお楽しみください。

GRAND PIANO


GP643
\2000
レオポルト・コジェルフ:ピアノ・ソナタ全集 第2集
 1-3.ピアノ・ソナタ イ長調 Op.2-2 P.XII:12/
 4-5.ピアノ・ソナタ ハ短調 Op.2-3 P.XII:13/
 6-8.ピアノ・ソナタ ニ長調 P.XII:14/
 9-11.ピアノ・ソナタ ヘ長調 Op.5
  ※1-3.6-8.9-11…世界初録音
ケンプ・イングリッシュ(フォルテピアノ…
1795年製アントン・ヴァルター:トーマス&
バーバラ・ヴォルフ複製 a'=430 hZ)
録音 2011年4月25-29日 ニュージーランド,ゴールデン・ベイ,モップス・アーリー・キーボード・コレクション
 ボヘミア出身の作曲家コジェルフ(1747-1818)。第1集(GP643)でも、その軽やかで整然とした音楽を存分に楽しめましたが、今作は更に彼の世界の奥深さを堪能していただけます。初期のフォルテピアノのために書かれたソナタの中で、50曲ほどある彼の作品は突出しており、ハイドンとベートーヴェン、シューベルトを繋ぐ橋渡しとしての機能も備えています。
 彼が1747年に誕生した時、最初の洗礼名はヤン・アントニンでしたが、同じ名前のいとこがいたため「レオポルド」に変更、その後そのいとこは彼の初期の先生の一人となったというエピソードが残っています。そんなコジェルフの作品を当時の楽器の複製でお聞きください。演奏は第1集と同じ、ニュージーランドのピアニスト、ケンプ・イングリッシュです。
  

GP650
\2000
アレクサンドル・チェレプニン:ピアノ作品全集 第5集
 1-8.8つの前奏曲 Op.9/9-12.アラベスク Op.11/
 13-23.12の小品集(1969)/24-62.取るに足らない小品集 Op.109
  ※13-23.24-62…世界初録音
ジョルジオ・コウクル(ピアノ)
録音 2010年2月15日 スイス ルガーノ,スヴィッツェラ・イタリアーナ音楽院
 ロシア生まれの作曲家チェレプニン(1899-1977)。5歳から同じく作曲家であった父から音楽を教わり、同時に作曲も始めます。10代後半の時には既に数百の小品と13曲のピアノ・ソナタを書いていたというのですから、その進歩は尋常ではありません。ロシア革命後の1918年、家族ともども、飢饉やコレラの猛威から逃れるためにグルジアを経由してパリに亡命。そこで新たな芸術的刺激を受けることになります。そして国際的なキャリアをスタートさせたチェレプニンは、米国から日本、中国と広く旅することで、よりその音楽に深みを加えたのでした。このアルバムには、4つの曲集…それも本当に小さな曲を集めたもの…が収録されています。一番長い曲でも2分に満たない62の曲たち。これはまさに「大切なもの」をしまってある秘密の箱のようなアルバムです。
 


GP674
\2000→\1890
アルノ・ババジャニアン:ピアノ独奏のための作品全集
 1-3.ポリフォニック・ソナタ(1942-1947)/
 4-9. 6つの絵(1965)
  <第1番:印象/第2番:民謡/第3番:トッカティーナ/
   第4番:間奏曲/第5番:コラール/第6番:サスーンの踊り>/
 10-11.メロディとユモレスク(1973)/12.エレジー(1978)/
 13.リフレクション(1973)/14.前奏曲(1947)/
 15.ヴァカルシャパトの舞曲(1947)/
 16.即興曲「エクスプロンプト」(1936)/
 17.奇想曲(1951)/18.詩曲(1966)
ハイク・メリキャン(ピアノ)
録音 2010年11月10-11日…4-9, 2011年1月22-23日…13.18, 2012年5月2-7日…1-3.14-17, 2012年9月28日-10月5日…10-12 アルメニア イェレヴァン,VEMスタジオ
 アルメニア、エレバン出身の作曲家&ピアニスト、ババジャニアン(1921-1983)。両親は音楽家ではありませんでしたが、父はアルメニアの民族楽器を演奏するなど、とても音楽的な雰囲気を持った家庭で育ちました。1938年にモスクワに移住、グネーシン音楽大学でエレナ・グネーシナからピアノを学び、ヴィサリオン・シェバーリの作曲のクラスで学びます。彼はソ連の作曲家ユニオンのメンバーとなり、ハチャトゥリアンとショスタコーヴィチのサポートを受け、1948年にはモスクワ・チャイコフスキー音楽院を卒業。
 その後はアルメニアに戻り、祖国の音楽の発展のために力を尽くします。音楽家の友人も多く、なかでもチェリスト、ロストロポーヴィチは彼の音楽を心から賛美していたことでも知られています。
 そんなババジャニアンの音楽は、強い民族性が感じられるもので、どれも劇的であり、鋭さと歌心に満ちています。「6つの絵」から匂い立つアルメニアの風に頬をくすぐられる感触は一度味わったら忘れられません。

LPO(ロンドン・フィル自主制作盤)


LPO-76
\2400→\2190
ハンス・グラーフ(指揮)&ロンドン・フィル
 カール・オルフ:カルミナ・ブラーナ

《全世界の支配者なる運命の女神》
 1.おお、運命の女神よ/2.運命の女神の痛手を/
《第1部:初春に》
 3.春の愉しい面ざしが/4.万物を太陽は整えおさめる/
 5.見よ、今は楽しい/
《芝生の上で》
 6.踊り/7.森は花咲き繁る/8.小間物屋さん、色紅を下さい/
 9.円舞曲: ここで輪を描いて回るもの/10.たとえこの世界がみな/
《第2部:酒場で》
 11.胸のうちは、抑えようもない/12.昔は湖に住まっていた/
 13.わしは僧院長さまだぞ/14.酒場に私がいるときにゃ/
《第3部:愛の誘い》
 15.愛神はどこもかしこも飛び回る/16.昼間も夜も、何もかもが/
 17.少女が立っていた/18.私の胸をめぐっては/
 19.もし若者が乙女と一緒に/20.おいで、おいで、さあきておくれ/
 21.天秤棒に心をかけて/22.今こそ愉悦の季節/
 23.とても、いとしいお方/
《白い花とヘレナ》
 24.アヴェ、この上なく姿美しい女/
《全世界の支配者なる運命の女神》
 25.おお、運命の女神
サラ・タイナン(ソプラノ)/
アンドリュー・ケネディ(テノール)/
ロディオン・ポゴソフ(バリトン)/
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団/
トリニティ少年合唱団/
ハンス・グラーフ(指揮)
録音 2013年4月6日 ロンドン サウスバンク・センター ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
 誰もが知っている究極の名作「カルミナ・ブラーナ」を、ドイツ出身の名指揮者ハンス・グラーフが指揮しました。
 荘厳な雰囲気を湛えた「おお、運命の女神」で始まるこのオラトリオは、1937年にフランクフルトで初演されたオラトリオで、もともとはボイレン修道院から発見された古い写本に載っていた、さまざまな言語と内容の約300篇の詩からオルフ(1895-1982)自身が23篇を選び出し、自作を1篇付け加えて曲を付けたもの。大編成のオーケストラ、ソプラノ、テノール、バリトン、混声合唱、少年合唱という巨大な編成を必要とし、その上、本来は舞踊手も要求される、演奏し甲斐のある作品なのです。冒頭の合唱(結びも同じ曲)に始まり、ヴァラエティ豊かな曲が次々と登場。およそ1時間、人々はこの物語に酔うことになります。
 ここで指揮を担当しているハンス・グラーフは1979年に開催されたカール・ベーム指揮者コンクールで首位を獲得してから、世界中のオーケストラと共演。最近では2001年から2013年までヒューストン交響楽団の音楽監督を務め、この楽団の技術を飛躍的に向上させたことでも知られています。そんなグラーフと、優れた独唱者たちによるこのカルミナ・ブラーナ。まさに非の打ちどころのない、素晴らしい演奏となっています。

NAXOS



8.501205
(12CD)
\4500→\3990
ゲオルク・ティントナー(指揮)
 ブルックナー:交響曲 全集

《CD1…8.554430》
 1-4.交響曲 第1番 ハ短調 WAB101
  (1966年改訂なしのリンツ・オリジナル版に基くW.キャラガン版)/
 5.交響曲 第3番 ニ短調 WAB103より第2楽章
  (1876年 L.ノーヴァク版)
  <録音 1998年8月31日.9月1日 グラスゴー,ヘンリー・ウッド・ホール>
《CD2…8.554006》
 1-4.交響曲 第2番 ハ短調 WAB102
  (1872年初稿版に基くW.キャラガン版)
  <録音 1996年9月16-17日 ダブリン,ナショナル・コンサート・ホール>
《CD3…8.553454》
 1-4.交響曲 第3番 ニ短調 WAB103(1873年 L.ノーヴァク版)
  <録音 1998年8月27-28日 グラスゴー,ヘンリー・ウッド・ホール>
《CD4…8.554128》
 1-4.交響曲 第4番 変ホ長調「ロマンティック」 WAB104
  (1881年 R.ハース版)
  <録音 1996年10月16-17日 グラスゴー,ヘンリー・ウッド・ホール>
《CD5…8.553452》
 1-4.交響曲 第5番 変ロ長調 WAB105
  <録音 1996年4月19-20日 グラスゴー,ヘンリー・ウッド・ホール>
《CD6…8.553453》
 1-4.交響曲 第6番 イ長調 WAB106(R.ハース版)
  <録音 1995年7月30日-8月2日 ニュージーランド,ロウワー・ハット・タウン・ホール>
《CD7…8.554269》
 1-4.交響曲 第7番 ホ長調 WAB107
  (1885年オリジナル版に基くR.ハース版)
  <録音 1997年5月6-7日 グラスゴー,ヘンリー・ウッド・ホール>
《CD8…8.554215》
 1-3.交響曲 第8番 ハ短調 WAB108
  (1887年オリジナル版に基くL.ノーヴァク版) 第1楽章-第3楽章
  <録音 1996年9月23-25日 ダブリン,ナショナル・コンサート・ホール>
《CD9…8.554216》
 1.交響曲 第8番 ハ短調 WAB108(1887年オリジナル版に基くL.ノーヴァク版) 第4楽章/
 2-5.交響曲 第0番 ニ短調「ヌルテ」WAB100
  <録音 1996年9月23-25日 ダブリン,ナショナル・コンサート・ホール>
《CD10…8.554268》
 1-3.交響曲 第9番 ニ短調 WAB109
  (1894年オリジナル版に基くL.ノーヴァク版)
  <録音 1997年5月8-9日 グラスゴー,ヘンリー・ウッド・ホール>
《CD11…8.554432》
  1-4.交響曲 第00番 ヘ短調「習作」WAB99/
  5.交響曲 第4番 変ホ長調「ロマンティック」WAB104
  (1878年版に基くL.ノーヴァク版) 第4楽章
  <録音 1995年9月3-4日 グラスゴー,ヘンリー・ウッド・ホール>
《CD12》
 ゲオルク・テイントナー ブルックナーを語る ※対訳なし
  <1974年8月 カナダ・ナショナル・ユース・オーケストラへのレクチャー風景
  録音 カナダ放送>
ゲオルク・ティントナー(指揮)/
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団…CD1.3.4.5.7.10.11/
アイルランド国立交響楽団…CD2.8.9/
ニュージーランド交響楽団…CD6
 NAXOSが見出した真の天才指揮者ゲオルク・ティントナー(1917−1999)。彼は6歳からピアノを始め、ウィーン少年合唱団で活躍した後、ウィーン国立音楽アカデミーでピアノと作曲を学びました。しかし、ユダヤ人であったため国外に脱出。活躍の場を探す年月が続くことになります。ニュージーランドからオーストラリア、南アフリカ、イギリスを経て、もう一度戻ったオーストラリアでようやく生涯の伴侶を得ます。その後はカナダに落ち着き、後進の指導にあたりながら、大好きなブルックナーの演奏を続けてきたのでした。そんな彼がNAXOSの社長であるクラウス・ハイマンに出会ったのは1994年。74歳の時だったのです。すでに病魔に侵されていたティントナーですが、ハイマンは彼の演奏に非凡の才能を見出し、NAXOSにおけるブルックナー(1824-1896)全集の録音を託すことを決意したのでした。
 この録音にはいくつかの特筆すべき点があり、曲の解説はティントナー自身が執筆したこと、その中でも「使用した版へのこだわり」は広く知れ渡っているのではないでしょうか。
 1995年に始まった全曲録音は1998年9月に完了。これらの演奏は瞬く間に人気を博すとともに、NAXOSレーベルの名声も高めたものでした。
 2000年には来日公演も予定されていましたが、1999年10月2日、彼は自らの命を絶ってしまったのです。
 このBOXには、録音を始める前に彼が語った「ブルックナーへの思い」も収録。もう一度この愛すべき偉大な指揮者に賞賛を贈りたいと思います。
 


8.573161
\1100
ジョアン・ファレッタ(指揮)
 グリエール:交響曲 第3番 ロ短調「イリヤ・ムーロメツ」Op.42(1911)

 1.第1楽章:巡礼者、イリヤ・ムーロメツとスヴャトゴール/
 2.第2楽章:イリヤ・ムーロメツと山賊ソロヴェイ/
 3.第3楽章:太陽王ヴラディーミル公の宮殿にて/
 4.第4楽章:武勇伝とイリヤ・ムーロメツの石化
バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団/
ジョアン・ファレッタ(指揮)
録音 2013年5月3-5日 ニューヨーク バッファロー,クレインハウス・ミュージック・ホール
 ロシア、キエフで生まれ、モスクワ音楽院でタネーエフ、アレンスキーらに作曲を学んだグリエール(1875-1956)。しかし実は彼の父はドイツ人で、母はポーランド人。祖先を辿ってもロシア人はいなかったようです。そんなグリエール、バレエ音楽「けしの花」や幾つかの協奏曲が知られていますが、この交響曲第3番は彼の最高傑作として讃えられる見事な作品です。このイリヤ・ムーロメツとは中世ロシアの伝説上の英雄の名前。並外れた力持ちであったとされ、数多くのエピソードが伝えられています。
 グリエールはそんな英雄にまつわる4つのエピソードを選び出し、重厚な交響曲を描きだしました。ロシア国民主義と後期ロマン派の手法を結びつけた表現的で雄大な作品からは、例え、ムーロメツの個性を知らずとも、各々の聴き手の脳裡にその人物像が鮮明に浮かび上がるだけの表現力が溢れ出しています。ファレッタの指揮は、グリエールの完膚なきまでの構築性を存分に浮かび上がらせています。
 

8.572758
\1100
コルンゴルト&シェーンベルク:ピアノ三重奏曲集
 1-4.コルンゴルト(1897-1957):ピアノ三重奏曲 Op.1(1909-1910)/
 5.シェーンベルク(1874-1951):浄められた夜 Op.4
  (E.シュトイアーマンによるピアノ三重奏曲版)
フィデリオ三重奏団
<メンバー:
ダラ・モーガン(ヴァイオリン)/
ロビン・マイケル(チェロ)/
メアリー・ダレー(ピアノ)>
録音 2011年4月19.20日 UK 西サセックス チャンプス・ヒル
 日本での「死の都」上演など、最近俄然注目を集めている作曲家コルンゴルト。彼がいかに早熟の天才であったかについては、既にご存知の方も多いことでしょう。実際にこうして13歳を迎える前の作品を耳にすると、その恐るべき才能には身震いしないわけにはいきません。冒頭の響きから、既に後年に書かれたヴァイオリン協奏曲と同質の香りが馥郁と匂い立つのですから。
 このピアノ三重奏曲は初演時に、ピアノをあのブルーノ・ワルターが演奏したことでも知られています。この時、ワルターはこの少年に惜しみない賛辞を送り、やがてコルンゴルトがアメリカに亡命する際にも、いろいろと尽力したというほど、少年の才能に惚れ込んだのにも頷けます。
 シェーンベルクの「浄められた夜」はシュトイアーマンによるピアノ三重奏曲版を収録。ピアノに多くの役割が持たされており、本来の弦楽六重奏版とはまた違った魅力を放っています。
 


8.572841
\1100
モーツァルト:交響曲 第38-40番(J.N.フンメルによる室内楽版)
 1-3.交響曲 第38番 ニ長調「プラハ」K504(A.F.546)/
 4-7.交響曲 第40番 ト短調 K550(A.F.547)/
 8-11.交響曲 第39番 変ホ長調 K543(A.F.548)
ウヴェ・グロット(フルート)/
フリードマン・アイヒホルン(ヴァイオリン)/
マルティン・ルンメル(チェロ)/
ローランド・クリューガー(ピアノ)
録音 2012年1月14-16日 オーストリア ケフェルマルクト,シュロス・ヴァインベルク
 「モーツァルトの交響曲だったら、モダン楽器もピリオド楽器も含めて数えきれないほど聴いてきた!」そんな愛好家の方でも、このフンメル編曲の室内楽ヴァージョンをご存知の人は少ないのでは。チェコで生まれたフンメル(1778-1837)は、8歳の時に指揮者であった父に連れられ、モーツァルトを訪れます。そして彼はモーツァルトの家に住み込み、ピアノの教えを受けるという素晴らしい経験をするのです。そんなフンメルは作曲家として多数の作品を残しましたが、その中には友人であったベートーヴェンやモーツァルトの交響曲、協奏曲の編曲がいくつか含まれています。
 7曲あるモーツァルトのピアノ協奏曲=室内楽版は最近になって録音が増えてきましたが、ベートーヴェンの交響曲の室内楽版(7番まである)や、今回のようなモーツァルトの交響曲の室内楽版(全部で6曲ある)は、まだまだ開拓の余地ありの分野です。このような小編成への編曲は、曲の構成が良くわかることと、少人数でも演奏できることなど、利点も多く、もちろん作曲家が技法を学ぶためにも良い練習となったことでしょう。
 

8.559725
\1100
パーシケッティ:ヴァイオリンとピアノのための作品集
 1-2.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ Op.15/
 3-6.無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ Op.10/
 7-9.ピアノ・ソナチネ 第1番 Op.38/10.ピアノ・ソナチネ 第2番 Op.45/
 11-12.ピアノ・ソナチネ 第3番 Op.47/
 13-15.ピアノ・ソナチネ 第4番 Op.63/
 16-17.ピアノ・ソナチネ 第5番 Op.64/
 18.ピアノ・ソナチネ 第6番 Op.65/19-28.マスク Op.99/
 29-32.ヴァイオリンとピアノのためのセレナーデ 第4番 Op.28
   ※世界初録音
ハッセ・ボロプ(ヴァイオリン)…1-2.3-6.19-28.29-32/
ヘザー・コナー(ピアノ)…1-2.7-18.19-28.29-32
録音 2012年10月7-10日 USA ユタ ソルト・レイク・シティ,リビー・ガードナー・コンサート・ホール
 フィラデルフィアでイタリア系の家庭に生まれ、コムズ大学とフィラデルフィア音楽院に学んだパーシケッティ(1915-1987)。彼の名前はとりわけ吹奏楽愛好家たちの中で知られており、楽器の性能をフルに生かした上で精緻なアンサンブルが求められるいくつかの作品は難易度と完成度の高さにおいて、演奏する人たちにも興奮をもたらすというものです。
 そんなパーシケッティ、実に多作な人であり室内楽や器楽曲も数多く書いているのですが、現在ではほとんど忘れられてしまっているのが何とも残念なところです。このアルバムではそんな彼の「知られざる」ヴァイオリンとピアノのための作品を紹介します。
 未発表であるヴァイオリン・ソナタ Op15は確かに難解な音楽ですが、じっくり聞いてみると何とも味のあるものです。ソナチネ集はピアノ学習者に最適な作品ですが、彼自身の言葉によると「意図的に教育的な音楽を書いたのではない」とのこと。とは言え、これをマスターすると、かなり表現に幅が出るのではないでしょうか。
 

8.559769
\1100
ピーター・ボイヤー:交響曲 第1番 他
 1.シルヴァー・ファンファーレ(2004)/
 2.フェスティヴィティーズ(2011)/
 3-5.弦楽のための「3人のオリンピア」(2000)
  <Ⅰ:アポロ/Ⅱ:アフロディーテ/Ⅲ:アレス>/
 6.祝典序曲(1997/2001改編)/
 7-9.交響曲 第1番(2012-2013)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/
ピーター・ボイヤー(指揮)
録音 2013年6月17日 ロンドン アビー・ロード・スタジオ
 現代アメリカ作曲家のなかでも、とりわけ目覚ましい活躍をしているのが、このピーター・ボイヤー(1970-)です。このアルバムの中には5つの作品が収録されていますが、そのどれもが興味深いものばかりですが、とりわけ「3人のオリンピア」は彼が興味を抱いているという神話と歴史を題材にしたもの。
 オリンピアというと、最近はオリンピック選手の意をして捉えられることが多いのですが、やはりここでは本来の意味であるギリシャ神話の神々を思い起こすべきでしょう。
 3つの部分はそれぞれに神々を表現し、ストラヴィンスキーを思わせる「アポロ」、愛と美の化身である「アフロディーテ」、そして戦いの神「アレス」と、うまく特徴を描き分けています。めちゃくちゃカッコイイ「祝典序曲」や伝統の書式を見事に具現化した「交響曲第1番」など、気持ちのよい音を味わうことができる興奮の1枚です。
 

8.572310
\1100
マルティヌー:歌曲集 第2集
 1.愛とキスを続けて H.27/2.朝早く、私は外で草を刈る H.49/
 3.ねぐらの庭で H.77/
 4-7.月 H.135 <第1番:1月/第2番:3月/第3番:9月/第4番:高きところに安らぎあり>/
 8.炎の男 H.71/
 9-10. 2つの歌 H.21
  <どこだったのか/なぜあなたは歯をみせて笑うのか>/
 11.パステル H.8/12.昔 H.69/
 13-15.レッド・セヴン・キャバレーのための3つの歌 H.129
  <第1番:夏のバラード/第2番:酒場/第3番:ハヴィルシュカー>/
 16.私は古い公園を愛する H.79/17.眠る人 H.19/
 18.冬の夜 H.26/19.復活祭のキャロル H.230
ヤーナ・ワリンゲローヴァ(メゾ・ソプラノ)/
ジョルジオ・コウクル(ピアノ)
録音 2010年3月17日…4-8, 2013年1月15日…1-3.9-19 プラハ コルニ・スタジオ
 第1集(8.572588)の歌曲集で、マルティヌー(1890-1959)の表現した摩訶不思議な世界を垣間見せてくれたメゾ・ソプラノのワリンゲローヴァとピアノのコウクル。今回もたっぷりと味わい深い歌を披露しています。チェコで生まれたマルティヌーは、幼い頃から様々な音楽や書に親しみ、その内面世界を広げていたといいます。才能に気が付いた周囲の人の勧めでプラハ音楽院に入学するも、学校の授業には満足できず、結局は退学処分になってしまうほどでしたが、そんな時にも彼の音楽的興味は成長を続け、一時期はパリで印象派の影響を受けたり、アメリカで創作活動を続けたりと、多彩な活動をしていきます。
 彼はあまりにも数多くの作品を残したため、人々の興味は交響曲や一部の管弦楽作品、そしてオラトリオなどの合唱作品に向けられるのみで、数多くある歌曲はなかなか演奏の機会に恵まれていないのが実情です。しかし、彼の歌曲には当時のプラハの文化的香りと、ヤナーチェクやドヴォルザークとは異なる独自の旋律美に溢れていて、この面白さに気がついたあなたは、もうすっかりマルティヌーの虜になっているのです。
 


8.572735
\1100
ロッシーニ:序曲全集 第4集
 1.歌劇「セヴィリャの理髪師」-序曲/
 2.歌劇「イタリアのトルコ人」-序曲/
 3.シンフォニア 変ホ長調/
 4.歌劇「リッチャルドとゾライデ」-第1幕 序曲/
 5.歌劇「トルヴァルドとドルリスカ」-第1幕 シンフォニア/
 6.歌劇「アルミーダ」-第1幕 シンフォニア/
 7.歌劇「オリー伯爵」-第1幕 序奏/
 8.歌劇「ビアンカとファッリエーロ」-シンフォニア
プラハ交響楽団/
クリスティアン・ベンダ(指揮)
録音 2011年9月5-6日 Kulturni Dum Barikadniku…1, 2012年5月30-31日 Produkcni dum Vzlet…2-8 チェコ プラハ
 大好評、クリスティアン・ベンダによるロッシーニ(1792-1868)の歌劇序曲集。この第4集で完結となります。19世紀の初頭、ロッシーニの音楽はヨーロッパ中で大人気を博していました。それは聴衆だけでなく、同時代の音楽家にも人気があり、その流麗なメロディは様々なモティーフとして、ピアノ曲やヴァイオリン曲の素材にも使われていたのです。
 ロッシーニは生涯に39の歌劇を作曲。初期作品はどちらかというとブッファ(喜劇)が中心でしたが、後半期はもっぱら本格的なセリア(正歌劇)に力を注いでいました。この第4集には「セヴィリャの理髪師」や「イタリアのトルコ人」などの良く知られた作品の序曲から、ほとんど上演される機会のない作品の序曲、そして1806年から1809年頃の彼が学生時代を送った頃に書いた「シンフォニア 変ホ長調」(後に「結婚手形」の序曲として改編後、更に「ボルゴーニャのアデライーデ」の序曲にも流用)まで、興味深い作品が収録されています。
 

8.572901
\1100
フランク:初期ピアノ作品集
 1.バラード Op.9/
 2-5. 4つのシューベルトの歌曲よりトランスクリプション Op.8 M15
  <第1番:若い尼僧 D828/第2番:ます D550/
   第3番:乙女の嘆き D191/第4番:弔いの鐘 D871>/
 6-8.ポーランドの2つの歌による幻想曲 Op.15 M18/
 9.エクス・ラ・シャペルの思い出 Op.7 M14
ジュリア・セブルス(ピアノ)
録音 2012年10月30-31日 ドイツ ベルリン,ダーレム イエス・キリスト教会
 セザール・フランク(1822-1890)と言うと、あの重厚な交響曲や美しいヴァイオリン・ソナタが良く知られています。あとは何曲かのオルガン作品と、「天使の糧」と…。逆に言えば、まだまだ知られていない作品が多いということでしょうか?
 このアルバムに収録されたピアノ曲は1843年から1844年頃の若いフランクが、コンサートツアーを行った際に演奏されたもので、意外性のある曲が多く含まれています。劇的な筋立てを持つ「バラード」や「エクス・ラ・シャペルの思い出」は後の精神性豊かな作品を連想させますが、シューベルト作品のトランスクリプションは、まるでリスト作品を思わせる技巧的で華麗なもの。
 才能あるピアニストであったフランクの技巧が伺い知れることでしょう。「ポーランドの2つの歌による幻想曲」は、ショパンの「ポーランド民謡による幻想曲」で使われたメロディ「もう月は沈み」と「カロル・クルピニスキの主題」がそのまま使われていますが、曲のイメージはかなり異なるもの。フランクの独創性をまざまざと見せつける作品です。
 

8.572977
\1100
サインス・デ・ラ・マーサ:ギター作品集
 1.サパテアード/2.ラ・フロンテーラ・デ・ディオスより第2番:瞑想曲/
 3.ロンデーナ/4.ペテネーラ/
 5.ラ・フロンテーラ・デ・ディオスより第1番:夜明けと風景/
 6.4つのオリジナル作品より第1番:踊る人形/7.エル・ビート/
 8.ラ・フロンテーラ・デ・ディオスより第3番:牧歌/9.ソレア/
 10.ラ・フロンテーラ・デ・ディオスより
   第4番:マリア・ベレンのロマンチッロ/
 11.カスティリアの歌/12.ラ・フロンテーラ・デ・ディオスより第5番:犠牲/
 14.4つのオリジナル作品より第3番:思い出/15.練習曲 イ短調/
 16.セギディラ・セビィラーナ/17.4つのオリジナル作品より第2番:瞑想曲/
 18.4つのオリジナル作品より第4番:メヌエット/
 19.カンティレーナ
フランツ・ハラス(ギター)
録音 2012年2月24-26日 ドイツ ミュンヘン,音楽演劇大学 大ホール
 スペインのギタリスト、作曲家レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ(1896-1981)。彼の弟エドゥアルドも優れたギタリスト&作曲家でした。彼は10歳からギターを始め、数多くの優れた師からギターを学び、1914年にビルバオのアリアーガ劇場でデビュー後は、バルセロナで演奏活動を始め、リョベートを始めとしたギター関係の知己を増やしていきます。
 世界中に演奏旅行に出かけ、1935年にはマドリード音楽院のギター科の教授に就任しました。彼の名声が一躍高まったのは、1940年にあのロドリーゴの「アランフェス協奏曲」の初演でソロを務めたことであり、曲の素晴らしさとともに、彼の技巧の素晴らしさも知れ渡ったのです。
 彼の作品はどれもカスティーリャとアンダルシアの民謡に根差していて、刺激的であり抒情的。ギターを愛する人なら絶対外してはならない名曲の宝庫たる1枚です。
 


8.573073
\1100
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)&ローマ交響楽団
 ペトラッシ:ピアノ協奏曲・フルート協奏曲 他

 1.フルート協奏曲(1960)/
 2-4.ピアノ協奏曲(1936-1939)
  <Non molto mosso, ma energico/
   Arietta con variazioni: Molto adagio e tranquillo/
   Rondo: Andantino mosso ? Allegro agitato>/
 5-8.バレエ音楽「オルランドのフォリア」から交響的組曲(1942-43)
  <序曲-アンジェリカの踊り(クァドロⅠ)/アンジェリカとメドロ(クァドロⅡ)/
   アストルフォの踊り(クァドロⅢ)/グェッリラの踊り(クァドロⅠ)>
マリオ・アンチロッティ(フルート)…1/
ブルーノ・カニーノ(ピアノ)…2-4/
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
録音 2012年6月22-23日 OSRスタジオ…1, 2012年3月25-26日 アウディトリウム・ヴィア・コンチリアツィオーネ…2-4, 2012年11月11-12日 アウディトリウム・ヴィア・コンチリアツィオーネ…5-8 ローマ
 イタリアの作曲家、ゴッフレード・ペトラッシ(1904-2003)。カゼッラやマリピエロ、レスピーギなどの「新音楽協会」を結成した世代より少し遅れて生まれた彼は、そのキャリアのはじめの頃は新古典主義や旋法を用いた作品を書いていましたが、時代の流れには逆らい難く、無調や十二音技法にも興味を持ち、結局はこれらをうまく融合した独自の作風を貫くことで自らの作曲語法を確立させた人でもあります。
 このアルバムにはフルート協奏曲とピアノ協奏曲、そして管弦楽曲の3つのジャンルの曲が収録されていて、彼の作風の変遷を辿ることができます。早い年代のピアノ協奏曲はまさに新古典主義の音楽で、プロコフィエフやヒンデミットを思わせるものですが、フルート協奏曲は明瞭な旋律線を感じさせない茫洋とした音楽。
 時折聞こえるパーカッションの音色が斬新です。バレ音楽はその中庸を行くもので、このまま映画音楽に仕えそうなほど、湧き立つような音の洪水が楽しめます。
 


8.573129
\1100
レスピーギ:ヴァイオリンとピアノのための作品集 第1集
 1.ギーガ P.15b/2.アレグレット・ヴィヴァーチェ/
 3-5.ヴァイオリン・ソナタ ニ短調(1897)/
 6-11. 6つの小品 Op.31(1901-1902)
  <子守歌/メロディ/伝説/優しいワルツ/セレナード/アリア>/
 12-16. 5つの小品 Op.62(1906)
  <ロマンス/朝の歌/マドリガーレ/子守歌/ユモレスク>
エミー・ベルネコーリ(ヴァイオリン)/
マッシモ・ジュセッペ・ビアンキ(ピアノ)
録音 2012年9月3-5日 ヴィセンツァ モンティチェロ・ディ・ロニゴ,セント・アポリナーレ教会
 レスピーギ(1879-1936)というと、あの壮大な「ローマ三部作」などの管弦楽作品がまず頭に浮かびますが、彼自身は最初ヴァイオリンを学びやがてヴィオラ弾きとして活躍、従って、その初期の作品もヴァイオリンのために書かれたものがとても多いのです。
 NAXOSではそんなレスピーギのヴァイオリンとピアノのための作品の全集をシリーズ化します。第1集は1897年から1905年にかけて書かれた曲を集めたもので、いくつかの曲はボローニャの博物館に所蔵された未発表作品でもあります。
 彼の学生時代にはドイツのロマン主義とロシアの国民楽派など、フランスの印象派など様々な潮流が押し寄せていました。そんな時期に書かれたこれらの曲はおり、優雅さと流麗さ、そして壮大さを兼ね備えています。ピアノ独奏版としても愛されている6つの小品(とりわけ優しいワルツは最近人気の作品)は、ヴァイオリンで聴くとまた違った佇まいを持ち、良い意味での「サロン風」の雰囲気を備えています。そして「5つの小品」は完全にレスピーギの個性が確立された作品と言えそうです。
 


8.573133
(2CD)
\2200
エルネスト・カヴァッリーニ(1807-1874):30のカプリース・二重奏曲 第1番
<CD1 30のカプリース>
 1.第1番 イ短調 Op.2-2/2.第2番 ハ長調 Op.2-5/
 3.第3番 ハ短調 Op.1-3/4.第4番 ロ短調 Op.4-2/
 5.第5番 ト短調 Op.5-2/6.第6番 ニ長調 Op.4-5/
 7.第7番 変ロ長調 Op.2-1/8.第8番 ヘ長調 Op.1-1/
 9.第9番 ハ長調 Op.5-1/10.第10番 イ短調 Op.3-2/
 11.第11番 ヘ長調 Op.3-1/12.第12番 ニ短調 Op.1-5/
 13.第13番 ト長調 Op.3-3/14-16.二重奏曲 第1番 ハ長調/
 17-18.二重奏曲 第2番 イ短調/19-21.二重奏曲 第3番 変ロ長調/
<CD2 30のカプリース(続き)>
 1.第14番 ホ短調 Op.3-4/2.第15番 ハ長調 Op.4-1/
 3.第16番 ハ長調 Op.2-3/4.第17番 イ短調 Op.3-5/
 5.第18番 ホ長調-ホ短調 Op.4-4/6.第19番 ヘ長調 Op.4-6/
 7.第20番 ニ長調 Op.5-5/8.第21番 ロ短調 Op.5-4/
 9.第22番 ト長調 Op.2-6/10.第23番 ホ短調 Op.2-4/
 11.第24番 ハ長調 Op.1-6/12.第25番 変ロ長調 Op.1-4/
 13.第26番 変ロ長調 Op.3-6/14.第27番 ト長調 Op.5-3/
 15.第28番 ト長調 Op.1-2/16.第29番 変ロ長調 Op.4-3/
 17.第30番 ヘ長調 Op.5-6
ニコラ・ブルフォーネ(クラリネット)/
マルコ・ジャーニ(クラリネット…CD1:14-21)
録音 2005年8月 イタリア ゴリツィア,アウディトリウム・ブラツ
 ミラノで生まれ、9歳の時にミラノ音楽院でカルッリに師事、瞬く間に才能を開花されたカヴァリーニ。彼は1824年に卒業後、スカラ座の第1クラリネット奏者に任命され、また各地で演奏旅行を行うなど、ヨーロッパ中にその名声を広めていきました。
 その後、演奏旅行で訪れたロシアで皇帝に気に入られ、マリインスキー劇場の第1クラリネット奏者に就任します。この時期に上演されたベルディの「運命の力」において、彼の演奏に感銘した作曲家が、第3幕のオープニングに美しいクラリネットのソロ・パートを付け加えたというエピソードもあるほどです。
 このクラリネットのための「30のカプリース」は、彼の最も重要な作品であり、今も世界中の音楽学校で生徒たちがこの「練習曲」のお世話になっていることは間違いありません。30の曲の中にはクラリネットを演奏するために必要な全ての要素…カンタービレや超絶技巧まで…が含まれ、もちろん音楽性も高めることが可能という優れものです。もちろんただ聴いているだけでもOKです。
  

8.573184
\1100
EARTHRISE-アースライズ
 1.ナイジェル・クラーク(1960-):アースライズ(2010)/
 2-4.キット・ターンブル(1969-):グリオ(2009)<雄弁家/作曲家/ダンサーとドラマー>/
 5-10.クラーク:ヘリテージ組曲(どんな希望をみたのか)(2010)
  <がらくた市/祈りと疫病/宝庫/ホップを採る人のロンド/
   温かいビールとクリケット/ワイアットの反乱と希望>/
 11.ヘスス・サンタンドレウ(1970-):あらゆる種類のディアボロラム(2010)/
 12.クラーク:最高級の時間(2010)
ミドルテネシー州立大学ウィンド・アンサンブル/
リード・トーマス(指揮)
録音 2012年12月11日…1.5-10.12, 2012年2月5日…2-4, 2011年3月12日…11 USA テネシー,ミドルテネシー州立大学 ライト・ミュージック・ホール
 毎回、エキサイティングな作品が登場するNAXOSの吹奏楽シリーズ。今回は人気作曲家のナイジェル・クラーク、キット・ターンブル、ヘスス・サンタンドレウの3人のベテランの作品をお届けいたします。アルバム・タイトルの「アースライズ」。
 これは1968年12月24日、アポロ8号の宇宙飛行士ウィリアム・サンダースが撮影した地球の写真の名前であり、静かな月面と生命感溢れる藍色の地球の比類なき美しさは、「史上最も影響力のあった環境写真」と讃えられています。
 この荘厳な雰囲気を見事に捉えたクラークの作品は、まるでロケットで月を周回しているかのような気分にさせてくれることでしょう。様々な要素が盛り込まれた「ヘリテージ組曲」は楽しく、「最高級の時間」は目覚まし時計のアラームで始まります。ターンブルの作品は西アフリカの部族の音楽に由来するもの。そして暴力的でもあるサンタンドレウの作品も極めて興味深いものです。
 

8.573199
\1100
クレスウェル:魂の風景 他
 1-7.ピアノとオーケストラのための協奏曲
  <葬送行進曲/アダージョ Ⅰ/スケルツォ Ⅰ/アドロラート/
   スケルツォ Ⅱ/アダージョ Ⅱ/プレスト>/
 8.魂の風景/9.管弦楽と弦楽四重奏のための協奏曲
シュテファン・デ・プレッジ(ピアノ)…1-7/
ニュージーランド弦楽四重奏団…9/
ニュージーランド交響楽団/
ハミッシュ・マッキーチ(指揮)
録音 2012年6月25-27日 ニュージーランド ウェリントン,マイケル・フォウラー・センター
 ニュージーランドの作曲家ライル・クレスウェル(1944-)。以前リリースされた作品集(8.570824)では、声楽作品と「管楽器のための協奏曲」を聴くことができましたが、今回のアルバムには極めて興味深い「ピアノ協奏曲」を中心に、3つの作品が収録されています。7つの楽章からなる「ピアノ協奏曲」は彼の親友で2009年に亡くなった作曲家、エドワード・ハーパーの思い出のために書かれた作品。
 3楽章から6楽章までは、ハーパーの命が尽きる前に書かれていましたが、彼の死によって「葬送行進曲」とアダージョ、そして最終楽章が付け加えられ、完成形となりました。
 全体的に重苦しく激しい雰囲気に支配された音楽です。「魂の風景」はイタリアの画家マウリツィオ・ボッタレッリの絵画にインスパイアされた音楽。最後の協奏曲も、何人かの亡くなった友人たちのために書かれているといい、こちらも瞑想的で悲痛な表情を見せる音楽です。
 

8.660345
(2CD)
\2200
エルケル:歌劇「イシュトヴァーン王」
 4幕 アンタル・ヴァラディ 台本
イシュトバン:ハンガリー王…ヤノシュ・グルバン(バリトン)/
ギゼッラ:王妃…ユッタ・ボコル(アルト)/
イムレ:王子…ゾルタン・ニャーリ(テノール)/
クレスチミーラ:クロアチアの王女でイムレの婚約者…ズザンナ・バジンカ(ソプラノ)/
ヴァズル:王のいとこ…カズメル・シャルカニー(バリトン)/
セベシュ:廷臣…タマーシュ・ダロッツィ(テノール) 他/
ラースロ・デアク(オルガン)/
キング・イシュトヴァーン合唱団(アコス・ソモグィバリ…合唱指揮)/
MAVブダペスト交響楽団/
ヴァレリア・チャーニ(指揮)
録音 2012年8月26.27日 ハンガリー ブダペスト,フンガロトン・ロッテンビッラー・ストリート・スタジオ
 ハンガリー出身の作曲家、フェレンツ・エルケル(1810-1893)。ハンガリーにおけるグランド・オペラの父です。また1844年にハンガリー国歌となった「賛称」の作曲家でもあります。この「イシュトヴァーン王」は彼の9つある歌劇の中の最後の作品であり、ハンガリー王国の初代の国王にまつわる物語を描いたものです。
 愛、嫉妬、権力抗争、そして殺人。そして彼が成し遂げたハンガリーの統一とキリスト教の導入などの様々なエピソードを取り入れた壮大なオペラです。しかしこの作品、初演時以降に台本と音楽が大きくカットされ、そちらが伝えられていたため、125年後の今回の上演では、その部分を復元することに力が注がれました。
 彼のスコアと原稿を詳細に確認し、付け加えられたものを外し、きちんとした形に整えました。無論この形が決定稿ではありませんが、今後この作品がもっと上演されることになれば、整理されていくことは間違いありません。まずはこの素晴らしい作品が蘇ったことを喜びたいものです。
 

8.572709
\1100
サラサーテ:ヴァイオリンとピアノの為の音楽集第4集〜トランスクリプションと編曲集
 1.モシュコフスキー(1854-1925):ギター Op.45-2/
 2.ショパン(1810-1849):ワルツ 第4番 ヘ長調 Op.34-3/
 3.ショパン:ワルツ 第3番 イ短調 Op.34-2/
 4.ショパン:ワルツ 第8番 変イ長調 Op.64-3/
 5.ショパン:夜想曲 第2番 変ホ長調 Op.9-2/
 6.ショパン:夜想曲 第8番 ニ長調 Op.27-2(原曲 変ニ長調)/
 7.サラサーテ(1844-1908):グノーのファウストの思い出/
 8.ジャン=ピエール・ギニョン(1702-1775):ヴァイオリン・ソナタ 第1番よりアレグロ/
 9.モンドンヴィル(1711-1772):ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 Op.4より第3楽章「狩り」/
 10.ルクレール(1697-1764):ヴァイオリン・ソナタ Op.9-3より第3楽章「サラバンド」/
 11.ルクレール:ヴァイオリン・ソナタ Op.9-3より第4楽章「タンブーラン」/
 12.ヘンデル(1685-1759):歌劇「セルセ」よりラルゴ「オンブラ・マイ・フ」/
 13.ジャン=バティスト・スネイユ(1687-1730):ソナタ 第9番よりアレグロ/
 14.J.S.バッハ(1685-1750):管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068より
   エア「G線上のアリア」/
 15.ラフ(1822-1882):愛の妖精 Op.67
   ※全てP.D.サラサーテによるヴァイオリンとピアノ編
楊天堝(ヴァイオリン)/
マルクス・ハドッラ(ピアノ)
録音 2010年12月1-6日…1-11.13-15, 2012年11月20日…12 ドイツ ザントハウゼン クララ-ヴィーク-アウディトリウム
 現在NAXOSレーベルで、その将来を最も嘱望しているヴァイオリニストがこの楊天堝(読みはティアンワ・ヤン)。もちろんクラウス・ハイマンも彼女の才能には一目置いています。音楽性、技巧、どれを取っても文句なしですが、何より彼女の演奏には華があり、また音色も涙が出るほどに美しいのです。ここではサラサーテ(1844-1908)が他の作曲家の作品をヴァイオリン曲に編曲したものを集めています。いわば「リストのトランスプリクション集」のような曲集。しかし、彼女の手にかかると、まるではじめからヴァイオリンのために書かれたかのように美しく響きます。ショパンの夜想曲など、こちらが原曲?と思うほどの完成度の高さです。サラサーテの編曲の妙、そして彼女の美音。そしてピアノのハドッラ。これらが融合することで最強の調べが生まれました。
  

8.572589
\1100
リスト:ピアノ曲全集 第38集
 ヘンデル,グノー,シュポア,ラフ作品のトランスクリプションと編曲集
  1.ヘンデル:ジングシュピール「アルミーラ」によるサラバンドとシャコンヌ S181/R25/
  2.グノー:聖チェチーリアの讃歌 S491/R168/
  3.ラフ:歌劇「アルフレート王」によるアンダンテ・フィナーレと行進曲 S421/R233/
  4.ラフ:歌劇「アルフレート王」によるアンダンテ・フィナーレと行進曲 S421/R233/
  5.グノー:歌劇「ロメオとジュリエット」 別れ、夢想 S409/R169/
  6.グノー:歌劇「シバの女王」 子守歌 S408/R167/
  7.グノー:歌劇「ファウスト」からのワルツ S407/R166/
  8.シュポア:歌劇「美女と野獣」からバラ(ロマンス) S571/R259
リ・ソヨン(ピアノ)
録音 2012年4月9-11日カナダ オンタリオ,トロント CBC・グレン・グールド・スタジオ
 ピアノの魔術師フランツ・リスト(1811-1886)による、さまざまな作曲家たちの作品のトランスクリプション集です。ヘンデル以外はリストの活躍した時代の音楽であり、恐らくリスト自身が聴いて気に入ったものを即座にピアノへと移し替えたのでしょう。
 ヘンデルの「サラバンド」はリストの晩年近くの作品で、若い頃を思わせる華美な装飾が魅力的な作品です。ラフの歌劇は現在では全く忘れられていますが、この断片的なメロディだけでも聴く価値はあるものです。グノーの一連の作品は現在でも聴く機会に恵まれており、とりわけ「ファウスト」は原作のオペラも、リストの編曲も良く演奏されますが、このソヨンの演奏は通常の演奏に一味違うスパイスが仕込まれています。シュポア作品もなかなかの名曲です。リスト好きなら外せない1枚です。2010年ナウムブルク国際ピアノ・コンクールで第1位を獲得したピアニスト、リ・ソヨン。彼女は韓国系のアメリカ人ピアニストで、その華やかな演奏はすでに高く評価されています。
  


8.573077
\1100
モンサルバーチェ:シンフォニア・デ・レクイエム 他
 1.マンフレッド(1945)/
 2-5.ブリック・ア・ブラック(1993)
   <Evocador-刺激的な/Sesgado-斜めから/Tenso-緊迫/Ludico-遊戯>/
 6-11.シンフォニア・デ・レクイエム(1985)
   <Ⅰ:イントロイトゥス/Ⅱ:キリエ/Ⅲ:ディエス・イレ/
    Ⅳ:アニュス・ディ/Ⅴ:ルクス・エテルナ/Ⅵ:リベラ・メ ドミネ>
マルタ・マテウ(ソプラノ)…11/
バルセロナ交響楽団/
ビクトル・パブロ・ペレス(指揮)
録音 2012年7月9-12日 スペイン バルセロナ,パブロ・カザルス・ホール
 20世紀初めに活躍したモンサルバーチェ(1912-2002)。彼はスペイン有数の作曲家であり、カタロニア文化の発展に大きく寄与した人でした。作曲家としてだけでなく、バルセロナ音楽院で数多くの生徒を教え、またスペイン内戦後には新聞の音楽評論を始めるなど、積極的に活動、また映画音楽の分野でも素晴らしい作品を残していいます。このアルバムでは彼の初期の作品と円熟期の作品の両方を聴くことで、彼がどのような音を求めていたかを伺い知ることができるのではないでしょうか?学生時代からダンスに興味を抱いていた彼は、22歳で最初のパレエ音楽を作曲、それ以降もいくつかの新しい作品を作っていました。
 この「マンフレッド」はバイロンの詩に触発されたもので、明らかにストラヴィンスキーの影響を受けています。「ブリック・ア・ブラック」は彼の最後のオーケストラ作品で、リズムと強烈な響きに満たされた音楽です。数多い彼の宗教作の中でもとりわけ素晴らしい「シンフォニア・デ・レクイエム」に横溢する精神性にも注目です。
 


8.573106
\1100
モーラン:交響詩「山国にて」他
 1.仮面劇のための序曲(1944)/2.交響詩「山国にて」(1921)/
 3.狂詩曲 第1番 ヘ長調(1922)/4.狂詩曲 第2番 ホ長調(1924/1941)/
 5.ピアノと管弦楽のための狂詩曲 嬰ヘ長調(1943)
ベンジャミン・フリス(p)…5/
アルスター管弦楽団/
ジョアン・ファレッタ(指揮)
録音 2012年9月17-18日 UK ベルファスト,アルスター・ホール
 イギリス近代の音楽はどれも牧歌的で淡い・・・そんな感想を抱いている人にぜひ聴いていただきたいモーラン(1894-1950)の音楽。彼の作品はどれも活気に満ち、確固たる意志を伝えています。彼の作曲家としてのスタートは遅く(初期にいくつかのピアノ曲はあるもののの)1930年代に発表したト短調の交響曲の成功までは、作品が評価されることもほとんどなかったと言います。そんな彼ですが、このアルバムに収録された2つの狂詩曲や、実質的に「初めての管弦楽作品」である「山国にて」は師であるアイアランドの影響を受けながらも、洗練された表情を持つ素晴らしい作品です。メロディはどこまでも幅広く優しく、そして優雅な雰囲気を持っています。時々現れる民謡風なメロディもとことん魅力的です。ピアノが静かに活躍する第3ラプソディの魅惑的なメロディ、そしてまるで映画音楽のような仮面劇のための序曲など、一度引き込まれたら離れがたい音楽です。
 


8.573157
\1100
フィビヒ:管弦楽作品集 第2集
 1-4.交響曲第2番 変ホ長調 Op.38
 5.管弦楽のための牧歌「夕暮れに」Op.39/
 6.クラリネットと管弦楽のための牧歌 変ロ長調 Op.16
アーヴィン・ヴェニシュ(クラリネット…6)/
チェコ・ナショナル交響楽団/
メレク・シュティレツ(指揮)
録音 2012年10月23日.2012年11月9日 チェコ共和国 プラハ,ONS0第1スタジオ「Gallery」
 19世紀後半のチェコで活躍した作曲家のなかでも、とりわけ重要な役割を担ったのがこのフィビヒ(1850-1900)です。ドヴォルザーク、スメタナと共に、チェコ国民楽派の草創期を築き、自作にチェコ民謡や舞踊のリズムを取り入れ、また民話に基づいたオペラを作曲、この精神はヤナーチェクへとしっかり引き継がれていくことになるのです。
 彼の第2番交響曲は1892年から93年にかけて作曲されたもので、フィビヒの音楽的思考と表現が決定付けられた作品とも言えるでしょう。もちろん当時のチェコ周辺作曲家たちと同じく、シューマンやブラームスの影響は否めませんし、冒頭の伸びやかなテーマや活発な終楽章からはドヴォルザークの存在の大きさも感じられます。しかし美しい第2楽章は、洗練された響きを持ち、第3楽章のスケルツォは確かな独自性を有しています。1893年の「夕暮れに」からは明らかにワーグナーの香りが感じられることでしょう。また、協奏曲を書かなかったフィビヒですが、変ロ長調の牧歌は実質的な協奏曲です。優しく波打つ弦の調べ、抒情的なクラリネットのメロディ。静かな美しさに満ちた佳品です。


旧譜
フィビヒ:管弦楽作品集 第1集

フィビヒ:交響曲第1番/交響詩「田舎の印象」(チェコ・ナショナル響/スティレック)
8.572985
フィビヒ:管弦楽作品集 第1集
 交響曲 第1番 ヘ長調 Op.17/
 管弦楽組曲「故郷の印象」Op.54
チェコ・ナショナル交響楽団/
マレク・スティレック(指揮)
録音 20112年2月6-7日 プラハ CNSO第1スタジオ「ギャラリー」
 チェコの作曲家、ズデニェク・フィビヒ(1850-1900)は、同胞であるスメタナやドヴォルザークと共に、チェコ国民楽派の創世期を築いた人として知られています。確かに、自作にチェコ民謡や民族舞曲のリズムを取り入れたり、チェコの伝説に基いたオペラ「シャールカ」を作曲するなど、その作風は極めてチェコ風味が漂うものですが、実際に彼が生きた時代のボヘミアはオーストリア帝国の支配下にあったことや、母親がドイツ人で、ライプツィヒ音楽院で学んだことなども重ね合わせると、彼の音楽からはどうしてもドイツ・ロマン派、それもシューマンの強い影響が感じられても仕方ありません。
 そんな彼が1877年から取り組んだ交響曲第1番は、まさにシューマンらしい重厚さを有した名作です。組曲「故郷の印象」は1897年から98年にかけて書かれた曲で、各々にタイトルが付された描写的な側面も持っていますが、交響曲としても成り立つ力作で、これは次代のチェコの作曲家たちに大きな影響を与えたことでも知られています。

 

8.573206
\1100
ヴァンデルロースト:シンフォニア・ハンガリカ/いにしえの時から
 1.いにしえの時から(2009)/
 2-4.シンフォニア・ハンガリカ(2001)
  <第1楽章:アッティラ!/第2楽章:アールパード/第3楽章:イシュトヴァーン>
フィルハーモニック・ウインズ 大阪(オオサカン)/
ヤン・ヴァンデルロースト(指揮)
録音 2012年9月23日 大阪 いずみホール…1, 2011年9月25日 大東市立総合文化センター サーティホール…2-4
 1999年、自主運営の吹奏楽団として結成、2006年正式に日本初のNPO法人のプロフェッショナル吹奏楽団として発足した「フィルハーモニック・ウィンズ大阪=オオサカン」。結成以来、吹奏楽の新たな可能性を追求し、レパートリーの拡充を図ってきた彼らたちの意気盛んな演奏をお届けいたします。
 このアルバムには、現在、首席客演指揮者を務めているオランダの作曲家&指揮者ヤン・ヴァンデルローストによる2つの作品を収録。15世紀から16世紀の芸術家たちへのオマージュである「いにしえの時から」と、ヴァンデルロースト(1956-)初のシンフォニーである「シンフォニカ・ハンガリカ」。どちらも演奏は至難を極めるものの、決まった時の清々しさと「やったぜ」感は言葉に尽くせないほどの名作です。ドラマティックでエキサイティング!ぜひお楽しみください!
 
8.559727
\1100
スーザ:吹奏楽のための音楽集 第13集
 1.行進曲「オクシデンタル」(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 2.行進曲「マザーグース」(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 3.喜歌劇「キャサリーン」序曲(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 4.喜歌劇「クリス・アンド・ザ・ワンダフル・ランプ」 -
   第2幕 ママとパパ (K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 5.ガーフィールド大統領就任式行進曲(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 6.ガーフィールド大統領の葬送行進曲(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 7.リザンプション・マーチ(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 8.ギャラガーとシーン-ユモレスク(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 9.愛の言葉-ワルツ(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 10.カメラ・スタディーズ-
    アンダルシアのフラッシュ・アイ(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 11.カメラ・スタディーズ-愛の島への漂流(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 12.カメラ・スタディーズ-子どもの舞踏会(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 13.ホワイト・ネイビー・シップス・アー・コーリング(K.ブライオンによる吹奏楽編)/
 14.白い羽飾り(L.シッセルによる吹奏楽編) ※世界初録音…3.4.8.9.13
英国王立空軍中央軍楽隊/
キース・ブライオン(指揮)
録音 2012年2月24-29日 UK ロンドン,ノースホルト空軍基地
 NAXOSおなじみのスーザ(1854-1932)作品集も今作で第13集となりました。もちろん珍しい作品が目白押しです。例えば1879年に作曲されたかれの最初のオペレッタ「キャサリン」の序曲。もちろん全く知られていない作品ですが、この序曲だけは彼が率いていたスーザ・バンドで何度も演奏され好評を博したものです。
 1883年作曲の「マザーグース」は彼が幼い頃に親しんだ子守歌のパッチワーク。トラック5と6は、第20代アメリカ合衆国大統領のジェームズ・ガーフィールドのための行進曲です。彼が1881年3月4日に大統領に就任した際に記念の行進曲を書いたスーザ。まさかその数か月後に葬送行進曲を書くことになるとは想像もしていなかったに違いありません。そんな世相を反映した曲から、本当に楽しい曲まで、例の如くキース・ブライオンは納得の演奏を聴かせます。
  

8.572356
\1100
マクスウェル・ディヴィス:ストラスクライド協奏曲 第9番&第10番 他
 1.ストラスクライド協奏曲 第9番 Op.170(1994)/
 2-4.ストラスクライド協奏曲 第10番 Op.179(1996)/
 5.キャロリッシマ Op.168(1994)
デイヴィッド・ニコルソン(ピッコロ)…1/
エリザベス・ドゥーナー(アルト・フルート)…1/
モーリス・チェッカー(コールアングレ)…1/
ヨーゼフ・パチェビッツ(エス・クラリネット)…1/
ルート・エリス(バス・クラリネット)…1/
アリソン・グリーン(コントラファゴット)…1/
スコットランド室内管弦楽団/
ピーター・マックスウェル・デイヴィス(指揮)
録音 1996年11月23-24日 スコットランド グラスゴー,シティ・ホール Collins Classicsより移行盤
 孤高の作曲家マクスウェル・デイヴィス(1934-)の「ストラスクライド協奏曲集」。今回は第9番と第10番です。スコットランド室内管弦楽団のメンバーたちのために書かれたこれらの協奏曲、第9番は“あまり注目を浴びることのない管楽器奏者”たちのための作品です。この曲を作った時、ディヴィスは彼の自宅のあるオークニーの海の景色を想定していたと言います。11月の垂れ込める雲、灰色の海・・・これらがぼんやりと反映される印象深い音楽です。第10番は“オーケストラのための”作品で、全てのメンバーが輝けるように周到に準備された精妙な協奏曲であり、戦い、勝利の意志が感じられる力強い音楽です。「キャロリッシマ」はオーケストラのためのセレナーデで、彼の友人であるイェンス・ヘーゲル(当時のデンマーク領事)の妻の50歳の誕生日を記念して書かれました。タイトルは彼女の名前「キャロル」から取られています。
  

8.572558
\1100
コルネリウス:歌曲全集 第3集
 1-3. 3つの歌(1848)<春に/夜明けの歌/朝の風>/
 4.羊飼いの夜の歌/5.月明かりの夜/
 6.頭痛を治すためのプレジオサの魅力/7.小さな蜂/
 8.夏の中の春/9.私は悲しさの腕の中にいるようだ/
 10.ヒルシュラインは森へ散歩に行った/
 11-13. 3つの二重唱曲 Op.6(1861-1862)
  <愛の試練/最も良い愛の手紙/愛の言葉>/
 14-17. 4つの二重唱曲 Op.16
  <家族の記憶/灼熱の恋/来たれ、去れ、死よ/別離>/
 18.来たれ、去れ、死よ/19.別離と忌避/20.星の夜に/
 21.裏切られた愛/22.君と僕/23.海で/
 24.2つの目は丘の上を見渡し/25.裏切り者の死
クリスティーナ・ランツハーマー(ソプラノ)…3.6.8-24./
マルクス・シェーファー(テノール)…2.7.18-21.25/
ハンス・クリストフ・ベーゲマン(バリトン)…1.4-5.11-17.22-25/
マティアス・ハウスマン(バリトン)…25/
マティアス・ヴァイト(ピアノ)
録音 2010年1月,9月,2011年2月 ドイツ ミュンヘン,バイエルン放送第2スタジオ
 マインツで生まれ、その地で没したペーター・コルネリウス(1824-1874)。彼は作曲だけでなく詩作の才能にも恵まれており、数多く残された歌曲に用いられたのはほとんどが自作の詩であったことでも知られています。しかしながらこの第3集には、友人や同時代の詩人たちの詩を用いた、様々な面持ちの歌曲たちが収録されています。
 これまでほとんど顧みられたことのない二重唱も聴きものです。微笑とユーモアを持つエミール・クーの詩や、格調高いアイヒェンドルフの詩など、その響きにも耳を傾けたいところです。彼の作品の特徴は、どんなに深い悲しみに打ちひしがれていたとしても、またどんなに喜びに胸がときめいていたとしても、決して自分を見失うことのない、程よい節度が感じられるところにあるのではないでしょうか?これらの作品、どうぞじっくりと味わってみてください。
【既発売】コルネリウス:歌曲全集 第1集 8.572556 第2集 8.572557
 


8.572716
\1100
モニューシコ:序曲集
 1.歌劇「おとぎ話」-序曲(1848)/
 2.歌劇「パリア」-序曲(1859-1869)/
 3.歌劇「ハルカ」-序曲(1848)/
 4.歌劇「ヴェルブム・ノビレ」-序曲(1860)/
 5.歌劇「いかだ乗り」-序曲(1858)/
 6.歌劇「伯爵夫人」-序曲(1859)/
 7.歌劇「幽霊屋敷」-イントラーダ(1864)/
 8.歌劇「ヤウヌータ」-序曲(1860)/
 9.歌劇「新ドン・キホーテ、すなわち百の愚行」-序曲(1841)/
 10.歌劇「ヘトマンの愛人」-序曲(1854)
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指揮)
録音 2011年1月10-12日…1-2, 2011年2月3-5.7.14日…3-6.8-10, 2011年9月1日…7 ポーランド ワルシャワ・フィルハーモニック・ホール
 19世紀ポーランドの有数のオペラ作曲家であり、ショパンとシマノフスキの橋渡しをしたとも言われるモニューシコ(1819-1872)。彼はショパンとほとんど同時代に生まれるも、彼はポーランドに留まり自国の音楽水準の向上に尽力し、数多くの歌劇と宗教曲、そして歌曲を作曲しました。しかし、残念な事に現在ではほとんどその作品を聴くことはできません。そんな彼の作品はうっとりするほどに色彩的で説得力のあるものでした。恐らく、これらは当時一世を風靡していたリストの交響詩にも影響を受けていると思われます。とは言え、随所にポロネーズやマズルカのリズムが聴こえてくるのは、やはりポーランドの音楽なのだな。と思いを新たにすることでしょう。どの作品も全曲を聴いてみたいところです。
  

8.573003
\1100
ヴィヴァルディ:カンタータ集
 1-4.カンタータ「エルヴィーラの麗しい面影から遠く離れて」RV680/
 5-7.カンタータ「見つめた時に」RV650/
 8-11.カンタータ「ため息をついて何になろう」 RV679/
 12-15.カンタータ「美しいぶなの木陰で」RV649/
 16-18.カンタータ「何ゆえかくもたおやかに」RV681
ディアドラ・モニハン(ソプラノ)/
アンサンブル・ノタ・ヴェラタ
<メンバー:
 クレール・ダフ&アニタ・ヴェドレス(ヴァイオリン)/
 マルヤ・ゲイナー(ヴィオラ)/
 イーファ・アスラオイチ(チェロ)/
 デイヴィッド・アダムス(ハープシコード)>
録音 2012年12月13-15日,2013年1月8日,2月5.7.11.13.15日 アイルランド ダブリン,ビーチパーク・スタジオ
 現在、カンタータというと主に合唱作品のことを指すことが多いのですが、17世紀後半から18世紀前半のイタリアでは、レチタティーヴィとアリアからなる独唱と通奏低音のための歌曲のことを指し、オペラのアリアのような自由度を持たせることをせず、人間の魂や肉体を擬人化して描くことで、独特の世界観を表す作品として知られていました。
 ヴィヴァルディ(1678-1741)はこのスタイルの作品を40曲ほど書いたとされ、そのどれもが表情豊かな声部と充実した器楽パートを持っています。声はまるでヴァイオリンのように自由に扱われ、ヴァイオリンも声のように歌い、これらは時にはスリリングに、また時には繊細に歌い交わすことで聴き手を強く魅了します。もちろん要求される技術は非常に高く、歌手にはベルカント時代のコロラトゥーラとはまた違ったテクニックが求められます。ここではモニハンの目の覚めるような歌唱をお聞きください。
  


8.573021
\1100
タンスマン:ピアノ作品集
 1-6.古風な様式による舞踏組曲(1929)
  <エントレ/サラバンド/ガヴォット/コラール・フーガ/
   アリア/トッカータ>/7.バラード 第1番(1941)/
 8.バラード 第2番(1941)/9.バラード 第3番(1941)/
 10-15.アラベスク(1930)
  <インテルメッツォ/マズルカ(ショパンへのオマージュ)/夜想曲/
   ファンファーレ/子守歌/ダンス>/
 16-20. 5つの印象(1934)
  <穏やか/ブルレスケ/悲しみ/運動/夜想曲>/
 21-28. 8つの歌「J.S.バッハへのオマージュ」(1949)
  <前奏曲/アリオーソ/インターリュード/コラール Ⅰ/
   インヴェンション/コラール Ⅱ/フーガ/ポストリュード>
エリアンヌ・レイエ(ピアノ)
録音 2013年1月.5月.7月 ベルギー,ティアンジュ リサイタル・スタジオB
 ポーランド、ウッチ出身のアレクサンドル・タンスマン(1897-1986)。しかし彼の活動の場はもっぱらフランスであり、パリで知り合った芸術家たちに大いなる影響を受け、一時は「六人組」に誘われるほどにこの地に溶け込んだ人でした。ただ、ユダヤの血をひいていたため、1941年にはアメリカに亡命せざるを得なく、戦後にパリに戻った時にはすでに時流に乗り遅れてしまい、またポーランド音楽の研究を始めたという興味深い変遷を辿ることになるのです。
 このアルバムにはそんな彼らしい、多くの影響や共鳴を感じさせる様々なスタイルを持つピアノ曲が並んでいます。ネオ・バロック様式で書かれた「組曲」は個人的な告白よりも当時の流行を追求したものでしょう。「アラベスク」は詩的な内容を持つ曲が並べられています。
 この夜想曲はショパンよりもスクリャービンよりの雰囲気を持っています。ロマン派よりも新古典派の作風に近い「5つの印象」、タンスマンの内なる声とも言える、悲劇的な様相を持つ「3つのバラード」。そしてルービンシュタインに捧げられた「8つの歌」はバッハヘのオマージュです。彼の心の祖国はどこだったのでしょうね。
 


8.573072
\1100
ラ・ヴェッキア(指揮)&ローマ交響楽団
 カタラーニ:交響詩「エーロとレアンドロ」他

 1.交響詩「エーロとレアンドロ」(1884)/
 2.スケルツォ イ長調(1878)/
 3.アンダンティーノ イ長調(1871頃)/
 4.コンテンプラツィオーネ(1878)/
 5.イル・マティーノ「シンフォニア・ロマンティカ」(1874)
   ※世界初録音…3.5
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
録音 2011年4月16-17日 ローマ,OSRスタジオ…4, 2011年7月1-2日 ローマ,OSRスタジオ…3.5, 2011年7月11-13日 ローマ,OSRスタジオ…1, 2012年6月3-4日 ローマ,アウディトリウム・ディ・ヴィア・コンキリアツィオーネ…2
 カタラーニ(1854-1893)というと、悲恋オペラ「ワリー」の1曲のみで知られている作曲家と言っても過言ではありません。プッチーニやヴェルディと言った大御所の影に隠れてしまったとはいえ、その美しいメロディや劇的な管弦楽法は存分に人々の心を捉えるものであることは間違いありません。
 そんなカタラーニ、実はオペラ以外にもいくつかの作品を残していました。とりわけ、ギリシア神話を題材にした「エーロとレアンドロ」は1884年の夏に作曲された交響詩で、登場人物たちや情景の的確な描写と、音楽の構造の見事さが評価される作品です。塔に籠もり、愛する人レアンドロが海を泳いでくるのを待つエーロ。しかしある嵐の日、彼は波に呑まれてしまいます。彼らの逢瀬を描く音楽はまるでワーグナーを思わせる重厚なものです。これとは対照的なスケルツォ イ長調は簡素で古典的な音楽。
 そして彼の恐らく最初の作品の一つであるアンダンティーノには、若き作曲家の野心が満ち溢れています。フランス音楽の影響が感じられるコンテンプラツィオーネ、自由な楽想が魅力的な「シンフォニア・ロマンティカ」。どれも素晴らしい作品です。
 


8.573085
\1100
ヴァインベルク:交響曲 第12番「D.ショスタコーヴィチへの思い出に」 他
 1-4.交響曲 第12番「D.ショスタコーヴィチへの思い出に」Op.114(1976)/
 5-12.「黄金の鍵」からバレエ組曲 第4番 Op.55d(1954-1955)
  <ブラッティーノと鍵の踊り/エレジー/アルテモンの踊り/
   クリケットの踊り/ネコとキツネの踊り/
   洒落たネズミの踊り/レッスン/追求>
サンクトペテルブルク交響楽団
ウラディーミル・ランデ(指揮)
録音 2012年6月10-13日…1-4, 2012年7月6-7日…5-12 サンクトペテルブルク 聖カテリーナ・ルター派教会,ペテルブルク・レコーディング・スタジオ
 NAXOSの大好評シリーズ、ヴァインベルク(1919-1996)の作品集です。今作は「ショスタコーヴィチの思い出に」と題された交響曲第12番と、シニカルなバレエ組曲「黄金の鍵」の2つの作品を収録しています。すでに知られている通り、ヴァインベルクとショスタコーヴィチは親友であり、その作品にもショスタコーヴィチの影響は強く顕れています。
 この第12番を作曲した当時のヴァインベルクは、過去14年間にいくつかの交響曲を書いたものの、それらは合唱付きであったり、室内オーケストラのためであったりと、フルオーケストラのための曲は書いていませんでした。この作品で再び大編成の純管弦楽のための作品に着手したのは、やはり何といっても1975年のショスタコーヴィチの死が引き金になったことは間違いありません。曲想も先人の作品に良く似たもので、曲全体に重苦しい雰囲気が横溢し、全ての楽器が親友の死を悼むかのように鳴り響きます。かたや、楽しげなバレエ音楽ですが、こちらもショスタコーヴィチの潮流を汲む風刺的な作品。様々な作品のコラージュなど意味ありげな音楽です。
  

8.573128
\1100
ハイドン:ピアノ三重奏曲集 第4集
 1-2.ピアノ三重奏曲 第8番 変ロ長調 Hob.XV:8/
 3-4.ピアノ三重奏曲 第9番 イ長調 Hob.XV:9/
 5-6.ピアノ三重奏曲 第10番 変ホ長調 Hob.XV:10/
 7-8.ピアノ三重奏曲 第11番 変ホ長調 Hob.XV:11/
 9-11.ピアノ三重奏曲 第12番 ホ短調 Hob.XV:12
バルトロッツィ三重奏団
<メンバー:
マシュー・トゥルスコット(ヴァイオリン)/
リチャード・レスター(チェロ)/
サイモン・クロウフォード=フォリップス(ピアノ)>
録音 2012年9月5-7日 UK ウィアストン・ホール
 1784年から1797年までの間に書かれたハイドン(1732-1809)のピアノ三重奏曲は、偽作も含めて41曲、そして番号なしや補遺などが他に6曲あります。ほとんどの曲はピアノとヴァイオリンが中心で、チェロは低音を補強するために添えられていると言っても過言ではないでしょう。この頃の鍵盤楽器はチェンバロからクラヴィコード、フォルテピアノへと著しく変化、発展していたため、ハイドンもそれを鑑みつつ、楽器の特性を存分に生かすべく工夫した作品を次々と生み出していたのでした。モダンピアノで演奏する際は、それらも考慮しつつバランスや音色などを注意深く表現することが重要です。もちろんこのバルトロッツィ三重奏団の演奏は文句なし。技術的な課題や精密なアンサンブル、どれもが満足行くものです。

NAXOS(Blu-rayオーディオ)


NBD-35
(Blu-rayオーディオ)
\2300
ロッシーニ:序曲全集 第2集
 1.歌劇「マオメット2世」序曲(1822年 ヴェニス版)/
 2.歌劇「アルジェのイタリア女」序曲/3.歌劇「チェネレントラ」序曲/
 4.コントラバスのオブリガード付き「大序曲」/
 5.歌劇「マティルデ・ディ・シャブラン または美女と鉄の心」序曲/
 6.歌劇「婚約手形」序曲/7.歌劇「タンクレディ」序曲/
 8.歌劇「セヴィリャの理髪師」-序曲/9.歌劇「イタリアのトルコ人」-序曲/
 10.シンフォニア 変ホ長調/
 11.歌劇「リッチャルドとゾライデ」-第1幕 序曲/
 12.歌劇「トルヴァルドとドルリスカ」-第1幕 シンフォニア/
 13.歌劇「アルミーダ」-第1幕 シンフォニア/
 14.歌劇「オリー伯爵」-第1幕 序奏/
 15.歌劇「ビアンカとファッリエーロ」-シンフォニア
プラハ交響楽団/
クリスティアン・ベンダ(指揮)
録音 2011年9月5-6日 Kulturni dum Barikadniku…2-3.8, 2012年5月30-31日 Produkcni dum Vzlet…1.4-7.9-15 チェコ プラハ
 19世紀の最も偉大なオペラ作曲家ロッシーニ(1792-1868)。序曲のほんの少しを聴いただけでも、劇的で華やかな舞台がたちまち目の前に浮かびあがります。このディスクにはCDの第3集と第4集の2枚分を収録。有名な「チェネレントラ」や「セヴィリャの理髪師」を始めとした15曲の序曲を収録。もちろん珍しい作品も含まれており、ロッシーニ好きならば感涙にむせぶこと間違いありません。
 冒頭の「マオメット2世(メフメト2世)」は1820年の初演時には序曲はついておらず、1822年の再演時に付け加えられたものです。
 他の序曲もお馴染みの作品ですが、トラック4の「大序曲」だけは歌劇のためではなく、彼が学生時代にコントラバスのために書いた「独立した作品」です。劇的な風情と快活な表情を併せ持つ見事な転換が心地よい、いかにもロッシーニらしい音楽と言えそうです。
 また「シンフォニア 変ホ長調」も学生時代の作品で、後に「結婚手形」、「ボルゴーニャのアデライーデ」の序曲へと改編されたものです。

OEHMS



OC672
(SACD-Hybrid)
\2300→\2090
チャイコの7番!?
 そしてP協3番のピアノはジルベルシュタイン!

チャイコフスキー:
 1-4.交響曲 第7番 変ホ長調/
 5.ピアノ協奏曲 第3番 変ホ長調 Op.75
リリヤ・ジルベルシュタイン(ピアノ)…5/
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団/
ドミトリー・キタエンコ(指揮)
録音 2012年4月…1-4&2013年5月…5 ケルン フィルハーモニー
 キタエンコのチャイコフスキー(1840-1893)は、前作の第4番(OC671)で、交響曲全集が完成したと思っていた方も多いのではないでしょうか?しかし、実は「交響曲第7番」がまだあったのです。この作品、もともとは1892年に着手された「人生」と呼ぶ交響曲のスケッチ(途中で放棄)がピアノ協奏曲第3番に作り替えられ始めたものの、こちらも第1楽章のみが完成されました。そしてチャイコフスキーの死後、1950年になって作曲家セミヨン・ボガティレフが、この協奏曲をもとに交響曲の復元(・・・というより素材を用いて新しい曲を創り上げた)に着手、第1楽章は協奏曲に若干の手を加え、第2楽章と第4楽章は協奏曲に使われるはずだった第2楽章と第3楽章のスケッチから、そして第3楽章は全く別の曲「ピアノのための小品Op.72」の第10曲を引用。なんとか交響曲の形に仕上げたというものです。日本の女性指揮者が「幻の交響曲」として演奏し話題になった曲としても知られています。
 このキタエンコ盤は、ピアノ協奏曲第3番(ソロはジルベルシュタイン!)も併せて収録。この興味深い作品の理解度を高めてくれること間違いありません。もちろん演奏は最高です。
 

OC895
\2300
NUEVO TANGO NUEVO
 1.マルセロ・ニシンマン:ダーク・ブルー・タンゴ(2012)
  (バンドネオンと室内オーケストラのための)/
 2-5.ジュリオ・ビエラ(1943-):真夜中のタンゴ(2012)
  (室内オーケストラとバンドネオンのための)
   <闇のフーガ/影の子守歌/悲歌/贅沢な月>/
 6-8.パブロ・オルリッツ(1956-):マドリガル(2012)
  (室内オーケストラのための)
   <マドリガル Ⅰ/マドリガル Ⅱ/マドリガル Ⅲ>
マルセロ・ニシンマン(バンドネオン・ソロ)/
オルケストレ・ムジケ・デ・ルミエレス/
ファクンド・アグディン(指揮)
録音 2012年11月 スイス ドレモン
 最近、すっかりバンドネオンの音色も日常生活に定着し、どこでも耳にするようになってきました。しかし、大抵は「ピアソラ」の名前を介してのこと。タンゴ=ピアソラ…そろそろこの図式も取り払ってもよいのではないでしょうか?このアルバム、まさに「新しいタンゴ」を集めたものです。もちろん全ての曲が最近書かれたばかりの世界初録音。3人の作曲家の名前にはほとんど馴染みがなくとも、彼らはみな現在のアルゼンチンを牽引する優れた人たちなのです。
 これらのタンゴは踊るためというよりも「聴くため」に書かれた本格的なタンゴであり、愉しさはもちろんのこと、様々な試みや手法が施された、実に手の込んだ作品なのです。バンドネオンを演奏するのは、作曲家でもあるニシンマン(1970-)その人。まずは実際に聴いてみて、これらの作品を評価してみてはいかがでしょうか!
 

OC874
\2300
ロシアの魂
 1-4.チャイコフスキー(1840-1893):弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 Op.11/
 5-11.プロコフィエフ(1891-1953):束の間の幻影より
  <第1番:Lentamente/第3番:Allegretto/第4番:Con eleganza/
   第16番:Dolente/第10番:Ridicolosamente/
   第17番:Poetico/第14番:Feroce>/
 12-15.ショスタコーヴィチ(1906-1975):弦楽四重奏曲 第4番 ニ長調 Op.83
アポロン・ミューザゲート・クァルテット
<メンバー:
パヴェウ・ザレイスキ(第1ヴァイオリン)/
バルトシュ・ザフウォト(第2ヴァイオリン)/
ピョトル・シュミエウ(ヴィオラ)/
ピョトル・スクイヴェレス(チェロ)>
録音 2012年6月23-26日 ミュンヘン バイエルン放送 第2スタジオ
 2008年にミュンヘン国際音楽コンクールで最優秀賞を獲得し一躍注目を浴びた、ポーランドの若手弦楽四重奏団、アポロン・ミューザゲート・クァルテット。2012年に来日した際も、その瑞々しい感性と揺るぎない解釈、そして見事なアンサンブルで耳の肥えた聴衆をうならせたのが記憶に新しいところです。
 OEHMSレーベルからの第2弾リリースはロシアの作品集。前作(OC749)は自己紹介のような選曲であり、ハイドン、ブラームス、シマノフスキ、シチェドリンと多彩なプログラムでしたが、今回はじっくり腰を据えて「ロシア物」に取り組んでいます。甘さと若々しさを併せ持つチャイコフスキー、諧謔的なプロコフィエフ、聴きやすそうな振りをして、実はトンデモなく難しい音楽であるショスタコーヴィチの第4番(特に終楽章が凄い)。やっぱり一筋縄ではいかない彼らの世界をじっくりと。
 

OC886
\2300
EVOCATION
 1.ドビュッシー(1862-1918):子どもの領分より「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」/
 2.ドビュッシー:前奏曲 第1巻より「ヴィーノの門」/
 3.アルベニス(1860-1909):イベリア 第2巻より「トゥリアーナ」/
 4.アルベニス:イベリア 第1巻より「エボカシオン(招魂)」/
 5.アルベニス:イベリア 第1巻より「セビーリャの聖体祭」/
 6-17.シューマン(1810-1856):子どもの情景 Op.15
  <見知らぬ国と人々について /不思議なお話/鬼ごっこ/おねだり/
   十分に幸せ/重大な出来事/トロイメライ/暖炉のそばで/
   木馬の騎士/怖がらせ/眠りに入る子ども/詩人は語る>
キム・バルビエ(ピアノ)
録音 2012年3月 ベルリン テルデック・スタジオ
 フランスのピアニスト、キム・バルビエ。彼女はフランス人とベトナム人の両親の間にパリで生まれました。その後アフリカと南フランスで育ち、パリのコンセルヴァトワールではピエール=ロラン・エマールに教えを受けています。
 他にもジョルジ・クルタークやパトリック・コーエン、レオン・フライシャーなどの錚々たる名手に指導を受けた彼女、驚くほど幅広いレパートリーを持っています。そのため、ソリストとしてだけでなく、多くの指揮者や共演者たちに愛されており、数多くのオーケストラやアンサンブルと共演、世界中でコンサートを行い好評を博しているのです。
 この「EVOCATION」と題されたアルバムは、ドビュッシーとアルベニス、シューマンという3人の作曲家の作品が収められたもの。美しいタッチで演奏された全ての曲から立ち上る香気がたまりません。いつまでも子供の心を忘れない大人に捧げる1枚です。
 


OC941
(3CD)
\5000→\4590
フランクフルト歌劇場
 ワーグナー:歌劇「リエンツィ」
コーラ・リエンツィ:教皇の公証人…ペーター・ブロンダー(テノール)/
イレーネ:リエンツィの妹…クリスティアーネ・リボル(ソプラノ)/
ステファーノ・コロンナ:コロンナ家の当主…ファルク・シュトゥルックマン(バス)/
アドリアーノ:コロンナの息子…クラウディア・マーンケ(ソプラノ)/
パオロ・オルシーニ:オルシーニ家の当主…ダニエル・シュムツハルト(バリトン)/
教皇の特使…アルフレッド・ライター(バス)/
バロンチェリ:ローマ市民…ベアウ・ギブソン(テノール)/
チェッコ・デル・ヴェッキオ:ローマ市民…ペーター・フェリックス・バウアー(バス) 他/
フランクフルト歌劇場管弦楽団/
フランクフルト歌劇場合唱団(合唱指揮…マティアス・ケーラー)/
セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
録音 2013年5月17.20日 アルテ・オパー・フランクフルト
 ヴァイグレとフランクフルト歌劇場によるワーグナー(1813-1893)の初期オペラ・ツィクルス。遂に問題作「リエンツィ」の登場です。この作品は堂々たる序曲が良く知られていますが、内容もまた豪勢なもの。最初の構想では全曲を演奏するのに5時間以上も掛かることもあって、現在では大抵短縮版(この録音も)で上演されています。
 後のワーグナー作品のような半音階的な音楽ではなく、どこかヴェルディをも思い起こさせる明快なメロディですが、甘い愛のデュエットや、攻撃的な金管楽器の使い方はワーグナー独自のものであり、ヴァイグレはそんな部分も存分に生かした、迫力ある世界を描き出しえtいます。ベテランと若手をバランスよく配した歌手たちの歌唱にも大満足です。
 


OC953
(2CD)
\3400→\3090
ダス・ノイエ・オルケスター/クリストフ・シュペリンク(指揮)
 グルック:歌劇「アウリスのイフィゲニア」

  3幕(1847年 リヒャルト・ワーグナーによる改編版 WWV77)
<CD1>
 1.序曲/2-14.第1幕/
<CD2>
 1-12.第2幕/13-21.第3幕/
 22.演奏会用序曲(1854年 ワーグナー編 WWV87)
イフィゲニア…カミラ・ニュルンド(ソプラノ)/
クリュテムネストラ…ミケーレ・ブリート(メゾ・ソプラノ)/
アキレス…クリスティアン・エルスナー(テノール)/
アガメムノン…オリヴァー・ツヴァルク(バス)/
カルカス…ライムント・ノルテ(バス・バリトン)/
アルテミス…ミリアム・エンゲル(ソプラノ)/
パトロクロス…リヒャルト・ロギエヴァ(バリトン)/
アルカス…ティリオ・ダールマン(バス)/コーラス・ムジクス・ケルン/
ダス・ノイエ・オルケスター/
クリストフ・シュペリンク(指揮)
録音 2013年4月3-10日 ケルン ドイツ放送室内楽ホール
 常に意欲的なプログラムで聴衆を興奮と感銘に導く指揮者シュペリング。彼の最新作は2014年に生誕300年を迎える作曲家グルック(1714-1787)のオペラ「アウリスのイフィゲニア」。しかしこれは只者ではありません。今回の演奏に使われたのはワーグナーによる改訂版。何しろワーグナーは、E.T.A.ホフマンを通じて知ったこの大作曲家グルックの思想に強く感銘を受け、グルックの唱えた「神話的題材を使う作劇法」を自らの作風に取り入れていく上で、彼自身がグルックの作品を指揮しながら、その問題点などを探って行き、結果的にこの改訂版が出来上がったというわけです(できるだけ原作を尊重しながらも、ワーグナーが不要と思った場面を省き若干の響きを付け加えた「無理のない」改編であることを付け加えておきます)。
 なお、グルックの原作では、序曲から切れ目なく本編が続くため、ワーグナーが序曲が「終わる形」にした「演奏会用序曲」も、この盤には収録されています。ニュルンド、エルスナーらベテラン歌手がしっかりと全体を引き締めた素晴らしい演奏です。
 

OC1801
\2300
J.S.バッハ:カンタータ&マニフィカート
 1-10.カンタータ「心と口と行いと命もて」BWV147/
 11.シンフォニア ニ長調 BWV1045/
 12-23.マニフィカート ニ長調 BWV243
レベッカ・ハルトマン(ヴァイオリン)/
アンドレア・ローレン・ブラウン(第1ソプラノ)/
リディア・トイシャー(第2ソプラノ)/
オリヴィア・フェルモイレン(アルト)/
ユリアン・プレガルディエン(テノール)/
セバスティアン・ノアック(バリトン)/
ミュンヘン・バッハ合唱団&管弦楽団/
ハンス=イエルク・アルブレヒト(指揮)
録音 2012年12月8.9日 プーラッハ ビュルガーハウス
 1954年から活動しているミュンヘン・バッハ合唱団による美しいバッハ作品集です。この合唱団は、もともと存在していたハインリヒ・シュッツ合唱団の指揮を任されたカール・リヒターが、「バッハの作品を演奏するため」に名称を変更し(同時にミュンヘン・バッハ管弦楽団も組織)、活動を行ってきたのです。
 1981年にリヒターが死去した後は1984年から2001年までハンス=マルティン・シュナイトが芸術監督を務めていましたが、現在はハンス=イエルク・アルブレヒトがその任にあたっています。
 今回の録音はバッハのカンタータの中でも最も人気の高い第147番(コラールは「主よ、人の望みの喜びよ」)と、輝かしい「マニフィカト」がメイン。現在のこの合唱団とオーケストラの姿を知るのに最もふさわしいアルバムと言えるでしょう。

ONDINE



ODE-1230
(2CD)
\2300→\2090
バルト&エッシェンバッハ
 パガニーニによる変奏曲と狂詩曲

<CD1>
 1-6.フランツ・リスト(1811-1886):パガニーニによる大練習曲 S141
  <前奏曲/アンダンテ/ラ・カンパネラ/ヴィーヴォ/
   アレグレット「狩り」/主題と変奏>/
 7-34.ブラームス(1833-1897):パガニーニ変奏曲 Op.35
  <7-20.第1集/21-34.第2集>/
 35.ヴィトルト・ルトスワフスキ(1913-1994):2台のピアノのための「パガニーニ変奏曲)/
<CD2>
 1-26.セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943):パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
ツィモン・バルト(ピアノ…CD1:35のみ多重録音)/
シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭管弦楽団…CD2/
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮)…CD2
録音 <CD1>2009年9月15-17日…1-6.35, 2009年3月22日…7-34 オランダ オンデル・デ・リンデン/<CD2>2010年7月16日 ドイツ リューベック コングレス・ザール
 「個性派」を売りにしているピアニストは数多くいますが、なかなか真の個性派になるには、それはそれは長い道のりが必要です。テクニックはもちろんのこと曲の解釈、デュナーミクの処理、そして作品への傾倒、これらを存分に満たした上で、作品を撚り上げ世に出さなくてはいけません。もちろんアルバムの選曲のこだわりも必須です。
 そんな条件を全て満たしたピアニストがこのツィモン・バルト。あのチャイコフスキーのピアノ協奏曲の冒頭部分を劇遅で弾いてみたり(下記参照)、ラヴェルの「夜のガスパール」を気持ち悪く弾いてみたりと、それはそれは個性的。もちろん今回の2枚組も「個性的」の大盤振る舞いです。
 パガニーニをテーマにした曲集ですが、まさに悪魔的な音楽が並びます。まずはお馴染みの「ラ・カンパネラ」からどうぞ。想像以上にカッコいいルトスワフスキ(意外!)そして、エッシェンバッハの指揮がそのデモーニッシュさに拍車をかけたラフマニノフ。全部聞いてしまった夜には、悪夢にうなされるかもしれません。



バルト&エッシェンバッハ
話題の旧譜から

CAPRICCIO
C5065
\2,600→¥2290
バルト&マスレンニコフ
 エッシェンバッハ&ベルリン・ドイツ響
  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲&ロココの主題による変奏曲

 1-3.ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23/
 4-11.ロココの主題による変奏曲Op.33
ツィモン・バルト(ピアノ)…1-3/
ドミトリー・マスレンニコフ(チェロ)…4-11/
ベルリン・ドイツ交響楽団/
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮)
 チャイコフスキー(1840-1893)のピアノ協奏曲と言えば、数多くの演奏が世に出ていて、そのどれもが聴き手の心を捉える美質に溢れています。が、この演奏はその中でもとりわけ異彩を放つものとして記憶されることでしょう。
 通常、華麗すぎるほどに華麗に始まる冒頭部から、何やら違和感あり。テンポ設定、デュナーミクなどにはエッシェンバッハによる細心の工夫が凝らされ、ピアノの繊細過ぎるタッチが妙に耳に残ります。ピアニストのバルトは、EMIとONDINEを中心に数多くのCDをリリースしているアメリカのピアニストですが、廉価版のDVDでショパンの協奏曲を弾く姿も披露されていて、これがまた不思議な雰囲気を纏った若手ピアニストでした。現在では、髪型こそすっきりしたものの、その独特の解釈は健在であり、とにかく興味深いチャイコフスキーを聴くことができます。
 「ロココ」でチェロを弾くマスレンニコフも、エッシェンバッハと共演を重ねていて、以前はショスタコーヴィチの協奏曲をリリースしています。このアルバムでは、屈託のない明るい響きが印象的です。
 録音 2010年12月7-9日ベルリン放送 大ホール
 

ONDINE
ODE 1162
¥2300→¥2090
シューマン、こだわりの選曲
ロベルト・シューマン:
 序奏とアレグロ・アパッショナート (コンチェルトシュテュック)ト長調作品92 (1849)
 主題と変奏 変ホ長調 WoO24 《最後の楽想による幻覚の変奏曲》(1854)
 序奏と協奏的アレグロ ニ短調・ニ長調 作品134 (1853)
ロベルト・シューマン/ドビュッシー編(2台のピアノのための):
 ペダルピアノのための練習曲 作品56 (6つのカノン形式の練習曲) *
NDR北ドイツ放送交響楽団
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮)
ツィモン・バルト(P)
クリストフ・エッシェンバッハ(P)*

録音:2009年5月4日-6日、8日 NDR ロルフ・リーバーマン・スタジオ (ハンブルク)、 制作:ハンス=ミヒャエル・キッシング、録音:ヨハネス・クッツナー

 うーん、まさにこだわりの選曲。
 2010年はロベルト・シューマン生誕200年にあたります。これを記念しアメリカのピアニスト、ツィモン・バルトが、長年の親友、2月に70歳の誕生日を迎えるクリストフ・エッシェンバッハと共演して後期のピアノ作品を録音しました。
 ピアノと管弦楽のための「序奏とアレグロ・アパッショナート」と「序奏と協奏的アレグロ」。
 この2曲の間にピアノ独奏のための「最後の楽想による幻覚の変奏曲」を "緩徐楽章" としてはさみ、"ピアノ協奏曲" として聴かせる趣向です。
 アンコールとして、ドビュッシーが編曲した「ペダルピアノのための練習曲」をエッシェンバッハ(第1ピアノ)とバルトがデュオ演奏しています。


  


ODE-1211
\2300→\2090
ヘルシンキ・フィル
 レーヴィ・マデトヤ:交響曲 第1番&第3番 他

  1-3.交響曲 第1番 ヘ長調 Op.29/
  4-7.交響曲 第3番 イ長調 Op.55/
  8-11.組曲「オコン・フオコ」Op.58
  <第1曲:オコン・フオコ、夢の魔法使い/第2曲:客たちの到着/
   第3曲:操り人形の踊り/第4曲:男と女の踊り-グロテスクな踊り>
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団/
ジョン・ストルゴーズ(指揮)
録音 2013年4月19.22-23日 フィンランド,ヘルシンキ・ミュージック・センター
 フィンランド、オウル出身の作曲家、音楽教師として知られるレーヴィ・マデトヤ(1887-1947)。このアルバムは彼の3曲ある交響曲の第1番と第3番を収録したものです(ストルゴーズによる第2番とその他の作品はODE1212に収録)。彼の作品からは彼の師であるシベリウスに由来する北欧の情緒と、フランスのエレガンス、そして日本が題材と言われている「オコン・フオコ」のようなオリエンタリズムが感じられると言われています。
 しかし、曲によってその表情は様々で、1916年に初演された交響曲第1番は、まさにシベリウス的な雄大さを見せますが、1925年から作曲された交響曲第3番は、より控えめで繊細な美しさを持っています。
 それに比べ、組曲「オコン・フオコ」はラヴェルやプロコフィエフの音楽を思わせる躍動感を持っており、神秘的な音の風景の向こうから聞こえてくるカスタネットの響きは、確かに遠き国日本をイメージさせる不可思議さを抱いています。
 

ODE-1232
\2300
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ集
 1.ソナタ ハ短調 K22/2.ソナタ ハ短調 K11/
 3.ソナタ ハ長調 K159「狩り」/4.ソナタ ハ短調 K129/
 5.ソナタ ヘ長調 K6/6.ソナタ ヘ短調 K386/
 7.ソナタ ヘ短調 K19/8.ソナタ ヘ短調 K519/
 9.ソナタ ホ長調 K135/10.ソナタ ホ短調 K203/
 11.ソナタ ト長調 K13/12.ソナタ ト短調 K30/
 13.ソナタ ト短調 K12/14.ソナタ ニ短調 K1/
 15.ソナタ ニ短調 K52/16.ソナタ ニ長調 K140
ヤンネ・ラットゥア(アコーディオン)
録音 2013年6月24-26日 オーストリア グラーツ,シュトラスガンク・プファール教会
 1974年生まれのフィンランド・アコーディオン界の第一人者ヤンネ・ラットゥア。これまでも度々の来日で、その素晴らしい技巧と音楽性、そして編曲の妙でアコーディオンの素晴らしさを広めています。
 既にONDINEレーベルには、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」の録音(ODE1209)がありますが、こちらはあの音の多い楽譜を、忠実に一台のアコーディオンで演奏していることに驚いた人も多いことでしょう。もちろんこのスカルラッティ(1685-1757)のソナタもアコーディオンで丁寧に、かつ軽やかに演奏しています。アコーディオン演奏の可能性をここまで高めたラットゥアの才能には、ただただ感嘆する他ありません。
  


ODE-1248
(2CD)
\2300→\2090
ユンパネン、個性派ベートーヴェン
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集

<CD1>
 1-4.ピアノ・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op.2-1/
 5-8.ピアノ・ソナタ 第2番 イ長調 Op.2-2/
 9-12.ピアノ・ソナタ 第3番 ハ長調 Op.2-3/
<CD2>
 1-4.ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 Op.101/
 5-8.ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調「ハンマークラヴィーア」Op.106
パーヴァリ・ユンパネン(ピアノ)
録音 2011年6月…CD2:5-8, 2012年6月…CD1,CD2:1-4 フィンランド クーモ・アーツ・センター,レントゥア・ホール
 ジャケットの写真を見ながら「うんうん、さわやかなベートーヴェンだ……」と思って素直にこのアルバムに耳を傾けてみてください。ピアニスト、ユンパネンは第1番のソナタの提示部の繰り返しで、あっと思うような捻り技を繰り出してくるのには驚いてしまいました。
 最近はモーツァルトなら自由に装飾を付けるのが当たり前ですが、あまりベートーヴェンではやらないのでは?
 そんなこんなで、第1番だけでなく他のソナタも発見がたっぷり。くすくす笑いが聞こえてくるようなベートーヴェン(1770-1827)です。
 そしてCD2の後期の2曲は打って変って、荘厳、重厚。ハーマークラヴィーアの第3楽章での晦渋な表現も見事としか言いようがありません。初期と後期、2つの味が楽しめるソナタ集です。
 

ORCHID CLASSICS



ORC100041
\2000→\1890
ニーノ・グヴェタッゼ ドビュッシーを弾く
 クロード・ドビュッシー:作品集

 1.アラベスク 第1番/2.アラベスク 第2番/
 3.前奏曲 第1巻:デルフォイの舞姫/4.前奏曲 第1巻:帆/
 5.前奏曲 第1巻:野を渡る風/
 6.前奏曲 第1巻:音と香りは夕べの大気の中に漂う/
 7.前奏曲 第1巻:アナカプリの丘/8.前奏曲 第1巻:雪の上の足あと/
 9.前奏曲 第1巻:西風の見たもの/10.前奏曲 第1巻:亜麻色の髪のおとめ/
 11.前奏曲 第1巻:さえぎられたセレナーデ/12.前奏曲 第1巻:沈める寺/
 13.前奏曲 第1巻:パックの踊り/14.前奏曲 第1巻:吟遊詩人/
 15.版画:パゴダ/16.版画:グラナダの夕べ/
 17.版画:雨の庭/18.ベルガマスク組曲より「月の光」
ニーノ・グヴェタッゼ(ピアノ)
録音 2013年6月10-12日 オランダ フリッツ・フィリップス・アインドホーフェン,ムジクヘボウ
 前作である「リスト作品集」(ORC100017)が大好評。また2012年の来日でもその音楽性が高く評価されたグヴェタッゼ。現在最も注目されるピアニストの一人です。最初のアルバムがリストであり、中でもソナタの白熱した演奏に心奪われた人が多く、どうしても「超絶技巧派」のピアニストと思われがちですが、本当のところ、彼女はもっと内省的で静かな表現を好むのではないでしょうか?
 確かに前作のリストでも、技巧よりも、リストが散りばめた歌の方に主眼が置かれていたようでした。
 そんな彼女のドビュッシー(1862-1918)。素晴らしくないはずがありません。中心は「前奏曲」ですが、そっと置かれたアラベスク、版画、そして「月の光」のひそやかな美しさ。まさに宝石箱のような1枚です。



ニーノ・グヴェタッゼの旧譜から

ORCHID
ORC100017
\2500→¥2290
献呈〜ニーノ・グヴェタッゼ、リストを弾く
 1.ハンガリー狂詩曲第10番ホ長調「前奏曲」S244/R106 /
 2.バラード第2番ロ短調 S171/R16/
 3.シューマン=リスト編曲:ミルテの花より「献呈」/
 4.シューベルト=リスト編曲:糸を紡ぐグレートヒェン/
 5-8.ピアノ・ソナタロ短調 S178/R21
ニーノ・グヴェタッゼ(ピアノ)
 最近何かと話題のグルジア共和国から、また新たなピアニストの登場です。彼女の名前はニーノ・グヴェタッゼ。6歳からオーケストラと共演するなど、その才能は早くから知られていましたが、2008年にユトレヒトで開催されたフランツ・リスト国際コンクールで第2位を獲得、同時に聴衆賞と記者賞も得て、その名前は一気に国際的なものとなりました。世界中のコンサート・ホールで演奏を重ね、そのどれもが絶賛される彼女、来年には日本へも来日が予定されています。そんなグヴェタッゼのリスト・アルバムは、何とも言えないマニアックな選曲がツボです。まずは、技巧的なハンガリー狂詩曲で聴き手の心を惹きつけ、内省的なバラードで表現力を問い、歌曲の編曲で口直し、そしてメインのソナタで無口にさせる・・・と万全です。
 ニーノ・グヴェタッゼ。グルジア共和国生まれ。
 グルジア共和国・・・。なるほど・・・。古来より数多くの民族が行き交う交通の要衝。アゼルバイジャンやアルメニアなどと同じく、世界で最も民族の血が交じり合う場所であり、そしてその結果として世界で最もたくさん美しい女性が生まれるという場所。


 
Sonic Philosophy: Colour and Affect
ORC100038
\2000
SONIC PHILOSOPHY:COLOUR AND AFFECT 音の哲学:色と影響
 1.ペルト(1935-):フラトレス/
 2.メシアン(1908-1992):主題と変奏/
 3.ヒューゴ・ティッチアーニ/ヘンリク・メーヴェ:
  パーセルの新しいグラウンド ZT682によるインプロヴィゼーション/
 4-7.ウェーベルン(1883-1945):4つの小品 Op.7/
 8.武満徹(1930-1996):悲歌/
 9.ヒューゴ・ティッチアーニ/ヘンリク・メーヴェ:
   パーセルの新しいグラウンド ZT682によるインプロヴィゼーション/
 10.ヨハネス・マルメン(1990-):ウェイテイング…世界初録音/
 11.チャールズ・エコノム(1980-):アルジュナのトランスフィグレーション…世界初録音/
 12-13.アルベルト・シュネルツァー(1972-):アポロン崇拝者の踊り…世界初録音/
 14.ヒューゴ・ティッチアーニ/ヘンリク・メーヴェ:
   パーセルの新しいグラウンド ZT682によるインプロヴィゼーション/
 15.パーセル(1659-1695):新しいグラウンド ホ短調 ZT682
ヒューゴ・ティッチアーニ(ヴァイオリン)/
ヘンリク・メーヴェ(ピアノ)
録音 2013年5月31日-6月2日 モンマスシャー,ウィアストン・レイズ
 ロマン派の時代の音楽は、作曲家の意志が明確に表現されていて、演奏家は楽譜に解釈を施していくやり方がほとんどでした。しかし、バロックや初期の古典派の時代は、楽譜には最低限のことのみ書かれており、演奏家たちの手に委ねる部分も多かったのです。
 近現代にも同じような試みがとられ、そんな時の演奏家たちは素材を膨らませて、即興的に音楽を生み出さなくてはいけません。このアルバムに共通するのは様々な色と光、そして比喩、感情。これでもかとばかりに繰り出される眩しいばかりの音の洪水。そして沈黙。音楽とは何か?と考えたくなるアルバムです。
 
Franck & Grieg: Violin Sonatas
ORC100040
\2000
グリーグ・ショーソン・フランク:ヴァイオリン作品集
 1-3.グリーグ(1843-1907):ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ト長調 Op.13/
 4.ショーソン(1855-1899):詩曲 Op.25/
 5-8.フランク(1822-1890):ヴァイオリン・ソナタ イ長調
カリュム・スマート(ヴァイオリン)/
ゴードン・バック(ピアノ)
録音 2013年4月12-14日 サフォーク ポットン・ホール
 2010年、弱冠13歳で「BBC・ヤングミュージシャン・コンクール」に入賞。この時に演奏したメンデルスゾーンの協奏曲(指揮はヴァシリー・ペトレンコ)が大評判となった若手ヴァイオリニスト、カリュム・スマート。同年メニューイン国際コンクールで1位を獲得し、一層注目を浴びることとなったのです。
 このデビューアルバムを制作する時、彼はとても興奮し、曲目を選ぶのにとても慎重になったと言います。お気に入りの曲をいくつか選び出したうえで篩にかけていき、残ったのがこの3曲。確かにどれも難曲ですが、どれもが彼の自信作であり、現在の彼を120%抽出したものであることは間違いありません。
 

OUR RECORDINGS


8.226909
\2000
テレマン:リコーダーと通奏低音のためのソナタ全集
 《忠実な音楽の師より》
  1-3.ソナタ ヘ長調 TWV41:F2/4-7.ソナタ 変ロ長調 TWV40:111/
  8-11.ソナタ ヘ短調 TWV41:f1/12-15.ソナタ ハ長調 TWV41:C2/
 《音楽の練習帳より》
  16-19.ソナタ ニ短調 TWV41:d4/20-22.ソナタ ハ長調 TWV41:C5
ミカラ・ペトリ(リコーダー)/
アンソニー・ニューマン(ハープシコード)
録音 2013年2月14日 NY ベドフォード,聖マシュー教会
 「バッハの大司祭」と呼ばれる、アメリカを代表するオルガン&チェンバロ奏者アンソニー・ニューマンと、「リコーダーのファースト・レディ」ミカラ・ペトリの対決…ではなく競演。この歴史的な瞬間に立ち会う喜びをお届けいたします。
 「忠実な音楽の師」に含まれるリコーダーソナタは、もともと家庭で手軽に楽しめる音楽をまとめた曲集ですが、中には驚くほど高度なテクニックを要する曲も含まれています。このリコーダー曲もそんな作品で、誰もが簡単に演奏できる(ような気がする)リコーダーがこんなにも独創的に使われているのは、まさに驚くばかりです。
 ペトリの演奏はバロック的な奏法よりもモダンの奏法に近いもので、音色にタメがなくストレートに伸びていくものであり、実はこの吹き方でこの曲を演奏することはとても困難なのです。またニューマンのハープシコードが即興的で柔軟で…。天才のひらめきを存分に味わえる1枚です。
 

8.226910
\2000
アクセル・ボルプ・イェルゲンセン:リコーダー作品集
 1.リコーダーとパーカッションのための「Periphrasis」 Op.156(1977/1993-94改編)/
 2.テナー・リコーダーのための「Nachtstuck」Op.118-1(1987)/
 3.独奏ソプラノ・リコーダーのための「Architraves」Op.83(1977)/
 4.ソプラニーノ・リコーダーとハープシコードのための
   「Zwiegesprach」Op.131(1988-89)/
 5.独奏ディスカント(ソプラノ)リコーダーのための「Birds Concert」Op.91-9(1995)/
 6.ソプラニーノ・リコーダーとハープシコードのための
   「Fantasia」Op.75(1975/1986-88改編)/
 7.独奏トレブル(アルト)リコーダーのための「Pergolato」Op.183(2011)/
 8.独奏ディスカント(ソプラノ)リコーダーのための「Notenbuchlein」Op.82(1977-79)
ミカラ・ペトリ(リコーダー)…1.3.5.7/
エリザベス・セリン(リコーダー)…2.4.6.8/
イングリッド・ミュフーィ(ハープシコード)…4.6/
ゲルト・モーテンセン(パーカッション)…1
録音 1988年 デンマーク放送…2.6.8/1990年 Olstykke教会…4/2013年7月 スタジオ録音…3.5.7/2013年9月 スタジオ録音…1
 デンマークの現代作曲家の一人、イェルゲンセン(1924-)のリコーダー作品集です。彼の名前はデンマーク以外ではほとんど知られていませんが、その才能の閃きはこのアルバムを少し聴いただけでも明らかになることでしょう。
 ここには彼の全リコーダー作品が収録されています。なぜペトリが彼の作品を取り上げたかというと、実は彼女の弟子であり、30年来の親友、共演者でもあるエリザベス・セリンがイェルゲンセンの娘であり、ペトリは彼女を通して、イェルゲンセンの作品を知り、その特異な世界に魅せられたのです。独学で作曲を学んだという彼の音楽。これは有機的な音の結びつきと、ある種の官能的な美しさを孕んだもの。独奏作品はもちろんのこと、パーカッションやハープシコードとの音色の絡みには、スリリングな面白さが溢れています。

PALADINO



PMR-30
\2000→\1890
ウラディーミル&ディミトリ・アシュケナージ 〜父と息子
 1-4.ニルス・ヴィルヘルム・ゲーデ(1817-1890):幻想小曲集 Op.43/
 5-6.ヨハン・カール・エシュマン(1826-1882):幻想小曲集 Op.9/
 7-10.カール・ライネッケ(1824-1910):幻想小曲集 Op.22/
 11.カール・ニルセン(1865-1931):幻想的な小品 ト短調/
 12-14.ロベルト・シューマン(1810-1856):幻想小曲集 Op.73
ディミトリ・アシュケナージ(クラリネット)/
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
録音 2012年9月1-2日.2013年9月5日 ライディング,フランツ・リスト・ツェントラム
 各々が最高の音楽家として活躍しているにも拘わらず、このような「完全なるデュオ・アルバム」を制作したのが初めて……というアシュケナージ父子。息子ディミトリのお気にいりの“幻想的な”作品の中には珍しいスイス出身の作曲家エシュマンの少品集が含まれるなど、クラリネット・ファンにとっても貴重な1枚です。
 もちろん父ウラディーミルの滋味あふれるピアノも聴きどころ。親密な空気の中に張り詰める緊張感は、やはり親子といえども、2人の音楽家の対話であることを納得させるものです。
  

PMR-7
(2CD)
\2600→\2390
ダーヴィト・ポッパー:チェロのための組曲全集
<CD1>
 1-5.2台のチェロのための組曲 Op.16/
 6.マーチのテンポで Op.16a/
 7-13.ワルツ組曲 Op.60/
 14-17.チェロとピアノのための組曲 Op.69/
<CD2>
 1-5.チェロとピアノのための組曲 Op16bis/
 6.マーチのテンポで Op.16bis/a/
 7-12.森にて Op.50/13.レクイエム Op.66
アレクサンダー・ヒュルスホフ(チェロ)…
 CD1:1-6.14-17,CD2:1-6.13/
マルティン・ルンメル(チェロ)…
 CD1:1-13,CD2:7-13/
ベルティン・クリステルバウアー(チェロ)…CD2:13/
加藤麻理(ピアノ)…CD1:7-17,CD2:1-13
録音 2012年12月12-14日 オーストリア ケフェルマルクト,シュロス・ヴァインベルク
 オーストリア=ハンガリー二重帝国(1848年から1918年にヨーロッパに存在した国家)のチェロ奏者ポッパー(1843-1913)。彼は幼い頃からチェロを学び、20歳の時に最初の演奏旅行を行います。ドイツでハンス・フォン=ビューローに称賛され、1867年にはウィーン宮廷歌劇場管弦楽団の首席チェロ奏者に就任します。しかし6年後に退団、以降はソリストとしてヨーロッパ全土で活躍します。
 1896年からはブダペスト音楽院で後進の指導にあたるなど、教育の分野でも大きな業績を残しました。
 この2枚組はドイツの2人の名チェリスト、ヒュルスホフとルンメルを中心とした「ポッパー:チェロ作品全集シリーズ」の第1作目にあたるもので、彼の代表作の一つである「組曲」が2ヴァージョン収録されているなど、チェロ好きでなくとも注目してみたいアルバムとなっています。
 夥しい数の作品を残したポッパーですが、現在ではその一部の曲のみしか演奏されないのは残念ですが、これを機会に、この作曲家の素晴らしさが広まるのではないでしょうか?
 
PMR-44
\2000
don't mind the gap!-ギャップなんて気にするな!
 1-3.ジョセフ・ホロヴィッツ(1926-):ソナチネ(1981)/
 4-6.ボフスラフ・マルティヌー(1890-1959):ソナチネ/
 7-9.ダリウス・ミヨー(1892-1974):スカラムーシュ/
 10-12.ジョージ・ガーシュウィン(1898-1937):3つの前奏曲/
 13.アンテ・グルギン(1945-):ラプソディ/
 14.イサーク・アルベニス(1860-1909):タンゴ/
 15.カルロス・ガルデル(1890-1935):por una cabeza-首の差で/
 16-17.パキート・デリヴェラ(1948-):2つの小品
ベンヤミン・ファイルマイア(クラリネット)/
フローリアン・ファイルマイア(ピアノ)
録音 2013年10月30-31日 オーストリア、ケフェルマルクト シュロス・ヴァインベルク
 2011年、弱冠21歳で素晴らしいデビューアルバムをリリースしたベンヤミン・ファイルマイア。その類い稀なる才能はあらゆる方面で高く評価され、2013/14年度の「バンク・オーストリア・アーティスト」にも選ばれました。そんな彼のデビュー作は、ウェーバーやプーランク、フランセなどのオーソドックスなレパートリーが占めていましたが、今作はちょっぴり冒険的で挑戦的。
 どの曲も現代のトレンドを占めるジャンルの「前駆体」であり、作曲された当時は極めて前衛的であったものが、いつしかすんなり溶け込んでいるといった曲たちなのです。ジャズやタンゴ、ラグタイムなどが発生した時代を知る由もない彼がこれらを何事もないかのように吹いている姿。確かにタイトル通り「ギャップなんて気にするな」ということでしょうか。
 

SOLO MUSICA



SM189
\2000→\1890
ウィーン交響楽団シリーズ
 マルガリータ・ヘーエンリーダー&ファビオ・ルイージ

 1-3.モーツァルト(1756-1791):ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K488/
 4-5.ショパン(1810-1849):ドン・ジョヴァンニの「お手をどうぞ」による変奏曲 Op.2/
 6-8.シューマン(1810-1856):ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
マルガリータ・ヘーエンリーダー(ピアノ)/
ウィーン交響楽団/
ファビオ・ルイージ(指揮)
録音 2010年5月17-19日 オーストリア ウィーン・コンチェルトハウス
 solomusicaの看板ピアニストであるマルガリータ・ヘーエンリーダー。彼女はドイツの良き伝統を受け継ぐ質実剛健な演奏で知られ、数々の名指揮者、名オーケストラとの共演を果たし、素晴らしい実績を作ってきた人です。このアルバムではイタリア出身の名指揮者ファビオ・ルイージと3曲のピアノとオーケストラの作品を演奏しています。
 彼女の技巧と音楽性はすでに定評のあるところですが、ルイージ率いるウィーン交響楽団の味のある演奏も聴きどころの一つで、とりわけシューマンの第2楽章での美しい弦の響きと感情的な音の流れは、まさにため息もの。普段聞き逃してしまいそうなフレーズの隅々にまで、息が通った感動的な音楽です。喜びに溢れたシューマンも良いものです。
  


SM202
\2000→\1890
「KornGoldmark」〜コルンゴルトマルク!?
 1.エーリッヒ・ヴィルフガンク・コルンゴルト(1897-1957):
  歌劇「ヘリアーネの奇跡」Op.20-ヘリアーネの歌/
 2.コルンゴルト:歌劇「死の都」Op.12-第2幕「ピエロの踊りの歌」/
 3.コルンゴルト:歌劇「死の都」Op.12-第1幕「マリエッタの歌」/
 4.コルンゴルト:バレエ音楽「雪だるま」-セレナード/
 5-8.コルンゴルト:劇音楽「から騒ぎ」から4つの小品 Op.11/
 9.ルビン・ゴールドマーク(1872-1936):
  ヴァイオリンのための4つのコンポジション-第2番「哀歌」/
 10-14.カール・ゴルトマルク(1830-1915):
  ヴァイオリンとピアノのための組曲 ニ長調 Op.11/
 15.カール・ゴルトマルク:ロマンス イ長調 Op.51/
《ボーナス・トラック》
 16.ロバート・ドーバー(1922-1945):セレナード
オルショイヤ・コルソラン(ヴァイオリン)/
エメシェ・マリ(ピアノ)
録音 2012年5月20-22日 オーストリア ウィーン・コンチェルトハウス
 このアルバムのタイトルである「KornGoldmark」。なんともオシャレではありませんか。若き才能あるヴァイオリニスト、コルソランはもともと2人のGOLD…コルンゴルトとゴルトマルクの音楽に魅せられていたと言います。ハンガリーに生まれ、古典派とロマン派の狭間で高い香りを放つゴルトマルク。そしてウィーンに生まれ、アメリカで活躍した“究極の世紀末音楽作曲家”コルンゴルト。もちろんこの2人に共通するのは名前の綴りだけではありません。
 胸を打つメロディと官能的な響きは、ともにワーグナーに根差すもので、後期ロマン派の薫陶を存分に受けたものと言えるでしょう。またゴルトマルクの甥であるルビンはアメリカ合衆国に渡り、ドヴォルザークの師事し作曲家となったという、アメリカに由来のある人です。ヴァイオリンを弾くコルソランはブダペストのユダヤ人の家庭に生まれた人で、ショルティに見出され、ニューヨークに留学。ジュリアード音楽院で学んだ後、現在はウィーンに住んでいます。
 まさに「2人のGOLD」を繋ぐ逸材と言えるでしょう。

TAFELMUSIK



TMK-1023
(2CD)
\2600→\2390
ブルーノ・ヴァイル(指揮)&ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ
 ベートーヴェン:交響曲 第1番-第4番&序曲集

<CD1>
 1.序曲「プロメテウスの創造物」Op.43/
 2-5.交響曲 第1番 ハ長調 Op.21/
 6-9.交響曲 第3番 変ホ長調「英雄」 Op.55/
<CD2>
 1-4.交響曲 第2番 ニ長調 Op.36/
 5-8.交響曲 第4番 変ロ長調 Op.60/
 9.序曲「コリオラン」Op.62
ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ/
ブルーノ・ヴァイル(指揮)
録音 2012年5月24-27日…CD1:6-9, 2013年5月30日-6月2日…CD2:5-9, 2013年9月19-22日…CD1:1-5.CD2:1-4 カナダ トロント,ロイヤル・コンセルヴァトリー
 ブルーノ・ヴァイルとターフェルムジーク(1770-1827)によるベートーヴェンです。彼らの演奏は全く力みがなく、どこも自然。音楽が美しく流れていくものとして知られています。
 躍動感、そして風通しの良いサウンド。これらは確かに古式ゆかしいベートーヴェンを愛する人には異質に感じられるかもしれませんが、かといって、最近の「激し過ぎる」ベートーヴェンとも一線を画した解釈であり、こんなベートーヴェンを聴きかかった……と賛同する人が多いのも頷ける、究極の演奏として評価されています。
 なお、この2枚組に収録されている第3番はすでにリリースされているTMK1019CDと同じ演奏ではありますが、いずれリリースされる全集への足掛かりとなります。


ANALEKTAからの第1,2弾はすでに入手がかなり難しい状況
海外からの直輸入で

ANALEKTA
2 9831
1CD
\2600→\2390
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」、
              第6番「田園」
ブルーノ・ヴァイル指揮、
ターフェルムジーク・バロック管弦楽団
2004年10月17-19日。
Beethoven - Symphonies Nos. 7 & 8
ANALEKTA
2 9947
1CD
\2600→\2390
ベートーヴェン:交響曲第7番、
              第8番
ボーナスDVD/ドキュメンタリー(リハーサル風景、インタビュー)
 ベートーヴェン:交響曲第8番より第1楽章、第4楽章
 ベートーヴェン:交響曲第7番より第2楽章
 ベートーヴェン:交響曲第8番より第4楽章
  ターフェルムジーク管弦楽団、ブルーノ・ヴァイル(指揮) :2008年4月ライヴ
ブルーノ・ヴァイル指揮、
ターフェルムジーク・バロック管弦楽団
2008年4月2-4日。
 多方面で活躍するヴァイルだが、ここにきてカナダANALEKTAから、カナダの古楽器オケ、ターフェルムジーク・バロック管と組んだ録音を精力的に生み出し始めた。
 さっそく聴いたベートーヴェンがまず非常に面白かった。最初聴いたときに感じる違和感は、わずかな時間ですぐに馴染む。抑え気味の演出で決して派手さはないが、ドラマティックな弦の使い方にはっとさせられたり、控えめなフォルテに逆にドッキリさせられたりする。颯爽とした快活さの中に知的な遊びと熱い情熱を感じる。くどいようだが非常におもしろい。もっと聴き込めば聴き込むほど味が出てきそうな、そして深い解釈がありそうなそんな演奏。1回聴き流して終わりでなく、もうちょっとしっかり聴いてみたい。新興勢力の古楽器ベートーヴェン演奏がどんどん登場してきている昨今だが、案外、このヴァイル&ターフェルムジーク・バロック管のベートーヴェン交響曲チクルス、完成した暁には今世紀初頭を飾る名全集になっているかもしれない。
 もっと聴き込んだ後いろいろお知らせしたくなった要注意のシリーズである。


 
TMK-1020
(DVD+CD)
\3000
ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ
 ハウス・オブ・ドリームズ

 1.ヘンデル(1685-1759):オラトリオ「テオドラ」より前奏曲/
 2.ヘンデル:合奏協奏曲 Op.6-5よりアレグロ/
 3.ヘンデル:合奏協奏曲 Op.3-2よりヴィヴァーチェ/
 4.ヘンデル:合奏協奏曲 Op.6-1よりアレグロ/
 5-7.ヘンデル歌劇「アルチーナ」より舞曲/
 8.ヴィヴァルディ(1678-1743):リュート協奏曲 ニ長調 RV93よりラルゴ/
 9.ヴィヴァルディ:2本のオーボエのための協奏曲 ニ短調 RV535よりアレグロ/
 10.ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲 ホ短調 RV484よりアレグロ/
 11.ヴィヴァルディ:2台のチェロのための協奏曲 ト短調 RV531よりアレグロ/
 12.スウェーリンク(1562-1621):もしも運命の女神に愛されるなら/
 13.パーセル(1659頃-1695):3声のファンタジア/
 14.パーセル:歌劇「インドの女王」より第3幕の音楽/
 15.パーセル:「聖セシリアのオード」よりシンフォニア/
 16-23.マレ(1656-1728):歌劇「アルシオーヌ」より
  <タンブーラン/マーチとロンド/第3幕のリトゥルネロ/
   マーチとマテロ/第3幕のリトゥルネロ(反復)/
   テンペスト/第5幕のリトゥルネロ/シャコンヌ>/
 24.J.S.バッハ(1685-1750):トリオ・ソナタ ハ長調 BWV1037よりジーグ/
 25.J.S.バッハカンタータ 第135番「ああ主よ、あわれなる罪人のわれを」より/
 26.J.S.バッハ2台のヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043よりアレグロ
ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ/
ジーン・ラモン(指揮)
録音 2013年6月
 ターフェルムジークによる不思議な音楽の世界への誘いです。
 DVDでは音にまつわる絵画を紹介しながら、彼らの溌剌とした演奏風景を楽しむことができます。バッハ、ヘンデル、ヴィバルディ、マレなどの音がウと、フェルメール、カナレットらの華やかな絵画。これらはロンドンのヘンデル・ハウスを始めとした歴史的建造物や、イタリア、ヴェネツィアのカフェ、そして彼らの本拠地トロントで撮影され、時を超えた典雅な風景が記録されています。
 ターフェルムジーク・バロック・オーケストラの魅力も存分に味わえることは言うまでもありません。もちろん音だけで楽しみたい場合は同梱されたCDでどうぞ。
 

TIMPANI



1C1203
\2300→\2090
フィリップ・ゴーベール:室内楽のための作品集
 1-4.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(1915)/
 5-7.チェロとピアノのための3つの小品(1928)/
 8-11.ヴァイオリンとピアノのための「4つのエスキス」(1927)/
 12.チェロとピアノのための「ラメント」(1911)/
 13-15.ヴァイオリン,チェロとピアノのための「3つの水彩画」(1915)
  ※1-4.8-11…初録音
ジャン=マルク・フィリップス=ヴァリャベディアン(ヴァイオリン)/
アンリ・ドゥマルケット(チェロ)/
マリー=ジョゼフ・ジュデ(ピアノ)
録音 2012年10月.2013年10月
 現在ではもっぱら「フルートのための作品」を書いた人として認知されているゴーベール(1879-1941)ですが、TIMPANIレーベルでは管弦楽作品や声楽曲などの様々な興味深い作品をリリースしています。今回は室内楽作品集です。
 実はゴーベール、最初はヴァイオリニストとしてそのキャリアをスタートさせています。その実力は、1929年に書かれた彼のヴァイオリン協奏曲でも証明済み(1C1186に収録)。その甘いメロディはまるでコルンゴルトを思わせる濃厚な情緒に満ちたものでした。
 そんなゴーベールですが、このアルバムではヴァイオリンだけでなく、チェロ作品もお聴きいただけます。チェロを演奏しているのはこのレーベルでお馴染みのドゥマルケット。すばらしい技巧と表現力には感服せざるを得ないでしょう。なお、ソナタとエスキスは世界初録音となります。
 


1C1214
\2300→\2090
ジョセフ=ギィ・ロパルツ:ソナタ全集 第1集
 1-4.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第2番 ホ長調(1918)/
 5-7.フルートとピアノのためのソナチネ(1931)/
 8-10.チェロとピアノのためのソナタ 第2番 イ長調(1919)
ニコラ・ドートリクール(ヴァイオリン)/
ジュリエット・ユレル(フルート)/
ラファエル・ピドゥ(チェロ)/
フランソワ・ケルドンキュフ(ピアノ)
録音 2012年9月.2013年8月
 ドビュッシーと同世代の作曲家でありながら、印象派には染まらずに、後期ロマン派の伝統の上で作曲を続けたことで知られるロパルツ(1864-1955)。フランクやマスネに師事しただけあり、交響曲や宗教曲での重厚な雰囲気が愛されています。
 TIMPANIレーベルでは、ロパルツの一連の作品をリリースし、その貴重な録音はどれも高い評価を受けています。
 今回のシリーズは様々な楽器による「ソナタ」を集めたもの。残念ながら世界初録音ではありませんが、レーベルが誇る名演奏家たちによる親密、かつ緊張感に満ちたアンサンブルの完璧さは、他の追従を許さないものとして、ロパルツの解釈におけるスタンダードとなり得るものです。美し過ぎるこの音楽。ぜひお聞きください。
 

TOCCATA



TOCC-219
\2600→\2390
ベレゾフスキーとクニャーゼフ!!
 イゴーリ・レイヘルソン:管弦楽作品集 第3集

  1-4.ピアノ協奏曲 ト短調(2007)/
  5-8.チェロ協奏曲 ロ短調(2010)
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)…1-4/
アレクサンダー・クニャーゼフ(チェロ)…5-8/
ロシア国立交響楽団/
ホバート・アール(指揮)
録音 2013年7月25-27日 モスクワ・コンセルバトワール,大ホール
 TOCCATAレーベルの知られざる作曲家の中でも、とりわけ高い人気を誇るのがこのレニングラード生まれのレイヘルソン(1961-)。彼の作風はフレキシブルであり、曲によってはジャズを用いてみたり、ロマン派ぎりぎりの甘い音楽であったりと、聴いてみるまではその真の姿がわからないというもの。もちろんどの作品も聴きやすいもので、がちがちの前衛を求める人には向きませんが、美しいものを聴きたい人にはうってつけの音楽なのです。
 今回はピアノ協奏曲とチェロ協奏曲の組み合わせで、ソリストにはベレゾフスキーとクニャーゼフという凄い人々が参加しています。ラフマニノフやプロコフィエフの姿が目に浮かぶような音楽は、やはり永遠に愛されていくものなのかもしれません。
  
TOCC-40
\2600
アントン・ライヒャ:弦楽四重奏曲全集 第2集
 1-4.弦楽四重奏曲 ハ短調 Op.49-1(1803-4)/
 5-8.弦楽四重奏曲 変ホ長調 Op.48-3(1802-3)
クロイツェル弦楽四重奏団
<メンバー:
ピーター・シェパード・スケアヴェズ(ヴァイオリン)/
ミハイロ・トランダフィロヴスキ(ヴァイオリン)/
モルガン・ゴフ(ヴィオラ)/ネイル・ヘイド(チェロ)>
録音 2013年2月27日.3月20日 ハートフォードシャー アルドバリー,聖ジョン・バプティスト教会
 チェコに生まれ、フランスとドイツで活躍した「ベートーヴェンの友人」ライヒャ(1770-1836)。しかし、その知名度に比べ、彼自身の音楽はほとんど忘れられてしまっています。若干の金管楽器作品は耳にすることもありますが、弦楽四重奏曲は録音されたことすらありません。
 TOCCATAレーベルではそんなライヒャの四重奏の全曲録音に取り組んでいます。第1集(TOCC0022)ではハ長調とト長調の2曲を収録、その屈託のない明るさはモーツァルト、緻密な構成はベートーヴェンを感じさせるものでした。今回の第2集では劇的なハ短調と柔らかい変ホ長調の2曲を聴くことができます。なぜこのような作品が忘れられてしまうのかが不思議なほど、見事に構築された音楽をお楽しみください。
 
TOCC-221
\2600
ニコライ・チェレプニン:歌曲集
 1-6.おとぎ話 Op.33(1905)
  <朝/猫の家/すみれ/妖精のお守り/妖精のそよ風/蝶々>/
 7-10. 4つの歌曲 Op.16(1903)
  <思考と波/最後の愛/湖の中のツァールスコエ・セロー/夕暮れ>/
 11-17.日本の抒情 Op.52(1923)/
 18-21. 4つの歌曲 Op.8(1900)
  <涙/揺れ動く雲のような/静かな夜に/春の驟雨>/
 22-29.大洋の組曲:呪文のツィクルス Op.53(1917)
  <大地に/心への呪文/地霊への呪文/影を造るものへの呪文/
   愛への呪文/思い出への呪文/大地に/マゲイとリュウゼツラン>
エレナ・ミンドリーナ(ソプラノ)/
デイヴィッド・ウィッテン(ピアノ)
録音 2013年6月7-8.10-11日 ボストン タフツ大学,ディストラー・パフォーマンス・ホール
 ロシアの作曲家、ピアニスト、教授であったチェレプニン(1873-1945)。とはいえ、その名前が知られているのは専ら息子アレクサンドルであり、父ニコライの作品は最近まで、まず演奏されることも聞かれることもありませんでした。
 ロシアでリムスキー=コルサコフに学び、サンクトペテルブルク音楽院の指揮科の教授を務め、指揮者としてはディアギレフのロシア・バレエ団に参加し、パリ公演を成功させてもいます。しかしロシア革命の余波を受け、パリに亡命。そこでフランス印象派の影響を強く受けています。TOCCATAレーベルからは以前ピアノ作品集(TOCC0117)がリリースされていましたが、今回は歌曲集の登場です。初期の作品は後期ロマン派の風情に彩られていますが、Op.50以降の作品はかなりモダンな雰囲気を持つものとなっています。注目は「日本の抒情」。彼の眼に映った日本がどのように表現されているかを聴いてみてください。
 
TOCC-225
\2600
ヘイノ・エッレル:ピアノ作品集 第5集
 1.奇想曲 嬰ヘ短調(1911)/2.ロマンス 嬰ヘ長調(1914)/
 3.モルト・ヴィーヴォ 嬰ヘ短調(1910年代)/4.夜想曲 ロ長調(1915)/
 5.プレスト 嬰ヘ長調(1910年代)/6.抒情的なワルツ(1930-31/後に改編)/
 7.ワルツ ロ長調(1931)/8.小さなワルツ(1935)/9.瞑想曲(1936)/
 11-16.前奏曲 第2集(1920)/17-22.主題と変奏 ホ長調(1912)/
 23-35.エストニアのモティーフによる13の小品(1940-41)
ステン・ラスマン(ピアノ)
録音 2012年3月12-14日…1-10, 2012年7月26-27日…11-35 サフォーク ベックルス,オールド・グラナリー・スタジオ
 TOCCATAレーベルで全集録音が進行中のエストニアの作曲家ヘイノ・エッレル(1887-1970)によるピアノ作品集。今作の第5集には、彼の作品の中でもとりわけ重要な「前奏曲集」と「エストニアのモティーフによる少品集」が含まれています。
 魅力的な旋律がたっぷり含まれている「エストニア〜」はエッレルの代表的な作品で、この中のいくつかの曲は演奏会のアンコール・ピースとして使われるなど、親しみやすく、また耳にいつまでも残る魅惑的なものです。それに比べて「前奏曲」は彼の前衛的な作風が強く表出されたもので、第1集(TOCC0119に収録)の表現を一層深めた感のある、モダンな佇まいを有した曲集。無調でもなく、十二音でもなく、言うなれば、一瞬スクリャビンの神秘的な音楽を思い起こさせる音世界が広がっています。初期の作品はショパンを思わせるロマンティックな音楽です。
 
Peteris Plakidis
TOCC-4
\2600
ペテリス・プラキディス:弦楽のための作品集
 1.ピアノ、弦楽とティンパニのため音楽(1969)/
 2-4.風と血の歌(1991)
  <誰もこの森には入らない/血が流れる暗い水/
   おお風よ、私を連れていって>/
 5.2台のオーボエと弦楽のための協奏曲(1982)/
 6.2台のヴァイオリン、ピアノと弦楽のためのコンチェルト・バラード(1984)
ペテリス・プラキディス(ピアノ)…1/
アントラ・ビガカ(メゾ・ソプラノ)…2-4/
ウルディス・ウルバンス(オーボエ)…5/
ヴィルニス・ペルネンス(オーボエ)…5/
アンドリス・ポールス(ヴァイオリン)…6/
ジンタルス・ベイタンス(ヴァイオリン)…6/
リガ・チャンバー・プレイヤーズ/
ノルムンヅ・スン(指揮)
録音 1999年2月12-16日 リガ リフォメーション教会 ※CD初録音
 1947年ラトビア生まれの作曲家プラキディス(1947-)。彼の作品に横溢する強さと美しさは、言うまでもなくラトビアの民俗音楽に端を発しているものです。ルネサンスとバロック時代のポリフォニーやフーガ、シャコンヌなどの形式と、独自の形式を融合した作品は、ある時は瞑想的であり、またある時は静かな興奮をもたらします。
 バルトークを思わせる初期の作品であるトラック1の「ピアノ、弦楽とティンパニのための音楽」での冒頭の息の長いピアノの旋律。これは確かに時間を忘れさせてくれるほどの強い陶酔を感じさせてくれるものと言えるでしょう。そして緩やかに弦楽と絡みつつ高潮していきます。一瞬だけ姿を現すティンパニの鮮烈な響きも印象的です。もちろんこの曲にもラトビアの民謡が使われています。以降の作品は更に瞑想的であり、時の移ろいの儚さを見事に伝えています。
 
John Joubert: Four Song-Cycles
TOCC-45
\2600
ジョン・ジューベル:連作歌曲と室内楽作品集
 1-5.時の針 Op.101
  <時の針/コックは時計の周りを/冬の太陽/干潮/水平梁>/
 6-8.シュロップシャーの丘 Op.155
  <シュロップシャーの丘/マルシェの早春/クランの森>/
 9.即興 Op.120/10.コンタキオン Op.69/
 11-14.ばらは風に揺れる
  <アロータウンの春の日/墓石の歌/庭師の歌/ばらは風に揺れる>/
 15-20.エミリー・ブロンテの6つの詩 Op.63
  <ハープ/眠り/神託/嵐/かごの中の鳥/不死>
レスリー=ジェーン・ロジャーズ(ソプラノ)/
ジョン・ターナー(リコーダー)…1-5,11-14/
ジョン・マッケイブ(ピアノ)…6-10,15-20
録音 2006年12月18-19日 マンチェスター大学,コスモ・ロードウォルド・コンサート・ホール ※全て初録音
 ケープタウンに生まれ、1940年代から1950年代にかけてロンドン王立音楽アカデミーで学んだ作曲家ジョン・ジューベル(1927-)。彼の作品は独特のメロディと刺激的な感性に彩られたもので、このアルバムに収録された4つの歌曲集のどれもが印象的な風合いを持っています。リコーダーとソプラノという不思議な組み合わせによる2つの歌曲集「時の針」と「ばらは風に揺れる」を聴いただけで、この作品に取りつかれることは間違いありません。2つの旋律が絡みあい風の中に溶けていく様は、まさに小さな宇宙であり無限の可能性さえ感じさせるものです。また「シュロップシャーの丘」と「エミリー・ブロンテの6つの詩」でピアノを担当しているジョン・マッケイブもイギリスを代表する大作曲家であり、この芸術的コラボも見逃せないものとなっています。
 
Rameau: Complete Keyboard Music Volume 3
TOCC-52
\2600
ジャン=フィリップ・ラモー:鍵盤作品全集 第3集
 1-13.組曲 第4番 イ短調/イ長調/14-22.組曲 第5番 ト長調/ト短調/
 23-25.コンセール第5番 ニ長調/ニ短調(S.グートマン編)
  <フォルクレ/キュピ/マレー>/26.王太子妃/27.レ・プチ・マルトー/
 28.歌劇「ピグマリオン」よりギガ(伝:C-B.バルナストロ編)
   ※初録音…23-25.27.28
スティーヴン・グートマン(ピアノ)
録音 2006年6月25-26日,9月22日 ハーストウッド・ファーム・ピアノ・スタジオ
 同時代の作曲家たち…バッハ、ヘンデル、スカルラッティの鍵盤作品は数多く録音、演奏されていますが、なぜかラモー(1683-1764)の鍵盤作品はあまり取り上げられることがありません。このTOCCATAレーベルではそんなラモーの鍵盤作品を全てCD3枚に録音することで、この知られざる作品に光を充てました。ピアニスト、スティーヴン・グートマンはフランス・バロック音楽の専門家であり、このラモーの作品集でも素晴らしい研究成果を見せてくれています。
 コンセール第5番は本来クラヴサンとヴィオール(またはフルート)、第2ヴィオールで奏される組曲ですが、ここではグートマン自身の編曲によるピアノ独奏版で楽しむことができます。
 
Ferenc Farkas: Orchestral Music, Vol. 1
TOCC-176
\2600
フェレンツ・ファルカシュ:管弦楽作品集 第1集 室内オーケストラのための音楽
 1-5.管弦楽のためのディヴェルティメント(1930)/
 6-8.チェロと弦楽オーケストラのための古風な協奏曲(1964)
  <パストラーレ/アリアと変奏/ギーガ>/
 9-16.室内オーケストラのためのラヴォッタ組曲(1951)
  <ハンガリー風に/メヌエット/パンノニアから行進曲/
   ハンガリー風に/居酒屋にて>/
 14-18.室内オーケストラのためのマスク(1983)
  <イル・カピターノ/パンタロン/コロンビーヌ/
   ポヴェロ・プルチネッラ/アルレッキーノ>/
 19-21.チェロと弦楽オーケストラのための三部作(1964)/
 22-24.室内オーケストラのためのマーチ組曲
  ※初録音…1-5.9-13.14-18.22-24
ミクロシュ・ペレーニ(チェロ)…6-8.19-21/
MAV交響楽団/
ペーテル・チャバ(指揮)
録音 2013年1月4-8日,9月8-21日 ブダペスト,ハンガリー放送
 ハンガリーに生まれ、プダペスト音楽アカデミーで学んだ後、ローマの聖チェチーリア音楽院でレスピーギに学び作曲の研鑚を積んだファルカシュ(1905-2000)。彼は映画音楽の作曲家としても名高く、またフランツ・リスト音楽院ではクルタークやリゲティらを指導、その名声は今でも色褪せることがありません。しかしその作品は長らく忘れられており、近年ようやく少しずつ見直され始め聴ける作品も増えてきたところです。
 TOCCATAレーベルでは2006年リリースの管楽五重奏曲集(TOCC0019)での諧謔的で色彩的な音楽が高く評価されましたが、今回は彼の真骨頂とも言える管弦楽作品の登場です。どれもが親しみやすい風情を持ち、また古典的な形式を踏襲したもので、なんとも楽しく心弾む音楽となっています。またチェロを用いた作品では、あの名手ミクロシュ・ペレーニを起用。こちらも大注目です。
 
Philip Spratley: Orchestral Music, Volume Two
TOCC-194
\2600
フィリップ・スプラトレー:管弦楽作品集 第2集
 1-3.管弦楽のための組曲「ジョン・メースフィールドの詩による積荷」(2010-2012)
  <Quinquereme/Stately Spanish Galleon/Dirty British Coaster>/
 4.ヘルプストンのファンタジア(2010)/
 5-7.交響曲 第3番「シンフォニア・パスカル」(2009)
  <第1楽章:アレグロ・テンペストーソ/
  第2楽章:夜想曲/第3楽章:シャコンニー>
アレクサンダー・ムラーレフ(ヴァイオリン)…4.6/
ヴァレンティナ・リュノーヴァ(ヴィオラ)…4/
ウラディーミル・セナティレフ(チェロ)…4/
ユーリ・シャバルキン(フルート)…6/
シベリア交響楽団/
ドミトリー・ヴァシリエフ(指揮)
録音 2013年5月28-29日 シベリア,オムスク・フィルハーモニック・ホール
 ノッティンガムシャー州で生まれたスプラトレー(1942-)の作品集です。第1集(TOCC-88)は比較的初期の作品を収録したものですが、今作はどれも近年の作品で、彼の作風の熟達を知ることができるでしょう。もともとは2010年に2台ピアノのための作品として構想された「積荷」は、有名なイギリス民謡を用いた実験的で興味深い音楽です。ヴァイオリンが活躍するファンタジアと、満を持して書いたという交響曲第3番も輝かしい音楽です。
 
Andre Tchaikowsky: Music for Piano, Volume One
TOCC-204
\2600
アンジェイ・チャイコフスキ:作品集 第1集 ピアノのための音楽集
 1-3.ピアノ協奏曲 Op.4(1966-1971)…初録音/
 4-14.インヴェンション Op.2(1961-1962)/
 15-17.ピアノのためのソナタ(1958)…初録音
マチェイ・グルジボフスキー(ピアノ)…1-3/
ウィーン交響楽団…1-3/
パウル・ダニエル(指揮)…1-3/
ヤコブ・フィケルト(ピアノ)…4-14/
ニコ・デ・ヴィリエルズ(ピアノ)…15-17
録音 2013年7月22日 ブレゲンツ 祝祭の家…1-3, 2013年10月5-6日 リーズ音楽大学 ヴェニュー…4-17
 もともとユダヤ系の家にロベルト・アンジェイ・クラウトハメル(1935-1982)として生まれるも、第二次世界大戦中に身分を隠すために潜伏、この時に使った偽名「チャイコフスキ」をそのまま芸名とし、音楽界に飛び込んだピアニスト、作曲家をご存知でしょうか?このアルバムはそんな「アンドレ・チャイコフスキ」の作品を収録したものです。
 もちろんあのピョートル・チャイコフスキーとは縁も所縁もありませんが、共通するのは溢れる音楽的才能であり、ここで聴ける作品にも鬼気迫るほどの素晴らしい熱気が満ち溢れています。彼は1955年にショパン国際ピアノ・コンクールで8位入賞し、ブリュッセルに留学、ステファン・アスケナーゼに師事します。やがてエリザベート王妃国際音楽コンクールで3位入賞、翌1957年にはパリでラヴェルのピアノ曲全曲演奏会も行う程でした。しかしながら47歳の若さで病を得て早世、その名声はほとんど忘れ去られてしまっています。
 そんな彼の作品はなかなか刺激的あり、新古典派の少し先を行く前衛的なもの。もちろんヴィルトゥオーゾ的な面も持つ見事な音楽です。これは一聴の価値ありです。
 
Paul Ben-Haim: Chamber Music for Strings
TOCC-214
\2600
パウル・ベン=ハイム:弦楽のための室内音楽集
 1-4.弦楽四重奏曲 第1番 Op.21(1937)/
 5-7.弦楽五重奏曲 ホ短調(1919)…初録音
シュリ・ウォーターマン(ヴィオラ)…5-7/
カルメル弦楽四重奏団
録音 2013年7月7-12日 テルアヴィヴ バー=イラン大学,アウディトリウム・オブ・ザ・デパートメント・オブ・ミュージック
 ミュンヘンに生まれ、若い頃はブルーノ・ワルターとハンス・クナッパーツブッシュの助手を務め、1924年から1931年まではアウクスブルクで指揮者を務めるなど将来を嘱望されていたベン=ハイム(1897-1974)。しかしその後は作曲と教育に専念、1933年にはパレスチナに移住し、1948年のイスラエル独立とともに帰化、ユダヤ民俗音楽の普及に尽力した人です。
 ここで聴ける2つの作品のうち、1919年に弦楽五重奏曲は初録音であり、ドイツ後期ロマン派(とりわけR.シュトラウス)の影響をたっぷりと受けた甘美なものです。対して、弦楽四重奏曲第1番は中東風の装飾を施されたメロディと民俗的なリズムに彩られた異国的な曲。彼の理想が色濃く反映されている作品と言えるでしょう。
 
Otto Malling: Organ Music
TOCC-224
\2600
オット・マリング:オルガン作品集
 1-7.オルガンのためのクリスマスの情景「3人の王」 Op.84(1907)
  <序曲:クリスマスの夜/ユダヤの王はどこに/高僧と律法学者/
   ベツレヘム/礼拝/ヘロデ王/帰省>/
 8-13.オルガンのための情景「聖処女マリア」Op.70(1897)
  <受胎告知/マリアはエリザベスを訪問し神を称賛する/
   聖なる夜/イエスは神殿を奉る/
   マリアは師の間でイエスを見つけた/十字架の御許に>/
 14-15.ダヴィド詩編よりエコー Op.89(1910)
  <詩編 第23番/詩編 第33番> ※初録音
スヴェルケル・ユーランデル(オルガン)
録音 イェテボリ ヴァーサ教会
 デンマークの偉大なオルガニスト、作曲家であるオット・マリング(1848-1915)。彼はデンマークで最初に管弦楽法の教則本を執筆したことでも知られています。ニルス・ゲーゼとJ.P.E.ハートマンに作曲を師事、いくつかの作品を作曲していますが、しかし、これらはほとんど演奏されることがありませんでした。
 20世紀になってようやく彼の作品が見直され始め、協奏曲やいくつかの声楽曲が録音されていますが、彼の本領であるオルガン作品はほとんど手掛けられることもなく歴史の中に眠っていたのです。このアルバムでは大作である2つの組曲と、詩編を収録。どれもが聖書から想起された美しく感動的な作品です。



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