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創業1924年、ウィーンの輸入代理店
GRAMOLA
輸入盤 1CD\2900→\2590
その2



 ウィーンのど真ん中、聖シュテファン大聖堂にほど近い場所に販売店舗もかまえているオーストリアの輸入代理店(創業1924年!)がGRAMOLAレーベルの母体。

 ウィーン音大やザルツブルクのモーツァルテウム、リンツ・ブルックナー音大などオーストリア屈指の教育機関で修練を受けた気鋭奏者・歌手たち、あるいはこれらの機関で教鞭をとっている実力派たちを起用して、モーツァルトやベートーヴェン、シューベルト、マーラー、クライスラーなど同地に関係のある作曲家はもちろん、バロックから近代まで、ドイツ=オーストリア系の王道的作曲家たちの傑作を中心に、最上の解釈で楽しませてくれます。
 伝統ある音楽都市の“いま”、もっとも新鮮にして古雅な響きがここにあります。

 今回国内盤が消滅し、輸入盤はもともとあまり手に入らないものだったのですが、今回は輸入盤をご紹介します。

 ただ限定生産的要素が強いため、完売の際はご容赦ください。

 その1はこちら


Schubert - Piano Works シューベルト:二つのソナタD845・D664
 1. ピアノ・ソナタイ長調 D664
 2. ピアノ・ソナタイ短調 D845
イングリット・マルゾーナー(ファツィオーリ・ピアノ)
GRML98808
輸入盤

\2590
 さすがは音楽大国オーストリア――続々と登場する注目の演奏家は、紹介に値する味わいあふれる実力派ばかり! ウィーンの伝統をふまえたマルゾーナーのシューベルト解釈は、堅固さのなかにフォルテピアノ的やわらかさがにじむ、絶妙感触!

 古典派時代以前からつづく伝統をもつ音楽大国オーストリアの「いま」を世界に発信する、ウィーンのレーベルGramola――この国で活躍する若き演奏家たちを続々と紹介してくれる当レーベルは、日本ではまだ知られていない腕利きピアニストたちの音楽世界にふれる絶好の機会の連続なのですが、このイングリット・マルゾーナーというグラーツ出身の気鋭奏者がまた、実にオーストリアらしい、好感触のピアノを聴かせてくれるのです!
 デビュー盤にシューベルトのソナタ、というのもなかなか珍しいところでしょうが(やはりウィーンの作曲家だからでしょうか)、一聴すれば適性は明白、なるほどシューベルトだよな、と納得至極。それも、即興曲や「さすらい人変奏曲」あたりではなく、壮大をきわめるイ短調ソナタD845 と、かわいらしく切なく・の小さなD664、という組み合わせがピタリとハマっているんです!
 11 歳でグラーツ音楽院に入学、往年の名匠エトヴィン・フィッシャー直系の弟子ゼバスティアン・ベンダに師事したのち、ウィーンに出てルドルフ・ケーラー門下に研鑚を重ねながら、バドゥラ=スコダやメイラ・ファルカーシュといったオーストリアの名手たち、さらにタチャーナ・ニコライエワなどにも師事してきたマルゾーナー。彼女のピアノの魅力は、なんといっても「千変万化のスタッカート」!ハイドンのソナタを何とも楽しげに、軽やかに弾く映像がYoutube にもありましたが、本盤のシューベルトでも、古典派ソナタの響きの根幹ともいえるフォルテピアノ的な減衰の早い音を、完璧な精妙さで、実にニュアンス豊かに弾き分けてみせるのです。
 使っているのがファツィオーリなのも、そうした彼女の個性をよく踏まえてのことでしょう――弾く人が弾けばウィーン古典派の魅力をフルに引き出せる、ある種の軽さと確かさを兼ね備えたファツィオーリならではの味わいが、バドゥラ=スコダ譲り?と思えるような磊落な表現(しかしそれでいて、技巧はまったく犠牲になっていません!)とあいまって、堅固かつしなやかな音作りを体現させるのです!
 何かと詩情や歌心ばかりが強調されがちなシューベルトのソナタを、あくまで「ウィーン古典派の血をひくソナタ」であったことを思い起こさせながら、過不足なく(これ、むずかしいですよね)、アクを出さずに個性は出しながら――壮大なD845 のソナタなんて、細部の入念さと全体の構造のとらえ方の確かさがみごと相まって、並居る名盤群とさえ肩を並べるほどではないでしょうか。
 小さなD664 でも、彼女の軽やかさと「なにげない影のつくり方」がきれいに浮き彫りに...まったくもって好感度大、実にオーストリアらしい感性が迸るシューベルト解釈。損はさせない「本場の最先端録音」です!
Schubert - Herbst 1827 シューベルトの「秋」…楽興の時、即興曲集、グラーツの舞曲
フランツ・シューベルト(1797〜1828)
 1. 楽興の時 D780
 2. 四つの即興曲 D935
 3. グラーツのワルツ12 編 D924
 4. グラーツのギャロップ D925
シャルロッテ・バウムガルトナー(p/ファツィオーリ)
GRML 98824
輸入盤

\2590
 うつくしいジャケットの勝利? いえいえ、選曲と演奏が、これまた絶品!オーストリアならではの伝統を見つめつづける本場の名手バウムガルトナーが艶やかに綴るのは、シューベルトの人生の秋を彩った名曲・秘曲。

 音楽大国オーストリアの伝統を「いま」に伝える、この国の楽壇の最前線で活躍する気鋭奏者たちを次々と紹介してくれるGramolaレーベルは、ハイドンやモーツァルトともひとかたならぬ関係のある聖シュテファン大聖堂のすぐそば、ウィーンの観光名所でも特に重要な拠点のひとつグラーベン広場に、かれこれ1世紀近く店を構えている老舗レコード店がその母体。
 とにかく続々と注目アイテムを出してくるあたり、この音楽都市の老舗らしいネットワークの確かさを感じずにはおれませんが、そんな生粋のウィーンのレーベルから、深まりゆく秋にしみじみ聴きたいピアノ録音が届きました。
 原題に「シューベルト・秋の手紙」とあるこのアルバム、何はともあれ、ジャケットに掲げられた紅葉の森を描いた油彩画の美しさがあまりにも印象的でしたが、その音楽内容を耳にしてみて、あらためて「これは純粋に“音”としても絶美の秋そのものだ」と、深い感慨を抱きました。

 そのタイトルから推察されるとおり、本盤に集められているのは、シューベルトが苦難の晩年へと至る直前、あの『冬の旅』を作曲する少し前の「人生の秋」にさしかかっていた頃の作品ばかり。1827 年、ベートーヴェンの逝去に際し「彼の後を追う者に乾杯!」との言葉をあげ、自身これまでになかったほど創意の深まりを見せていったのに、翌1828 年の秋(そう――まさに晩秋の入りです)に31 歳の若さで亡くなってしまったシューベルト。どんなに愉悦あふれる響きを綴っていても、必ず一抹の悲哀が折々に美しい陰翳を添えずにはおかないその晩期の作品のなかでも、本盤に選ばれた傑作『楽興の時』とD935の方の『即興曲集』は、彼がピアノ独奏のために書いた最も叙情的な瞬間をいたるところに含む傑作ぞろい。
 さらに録音機会の少ない「グラーツのワルツ集」と「グラーツのギャロップ」は、ウィーンの南、スロヴェニア国境にほど近いオーストリア第二の都市グラーツにいた友人宅に招かれた際の曲です。本来的には踊りを愉しむための娯楽音楽だったのでしょうが、あまりにも切なく心そそる瞬間がいたるところに影を落とすあたり、やはり晩年のシューベルトならではの美質がありありと反映されていて、息をのむばかりです。
 そうした感慨はしかし、それらを俗っぽい感傷だけに堕させず、一貫して高雅な響きのなかに結晶させてみせる演奏者の卓越した技量あればこそ。そう、弾き手のシャルロッテ・バウムガルトナーはウィーン生まれのウィーン育ち、この音楽都市ならではのリズムやニュアンスの妙を肌に刻んだ本場の名手!おそらく本番中最も有名な『楽興の時』第3曲の舞曲的リズム、即興曲第3番(変奏曲)のリート的歌心など、彼女の身に流れる「血」が作品解釈に比類ない個性と確かさを作る局面も続々。
 確かな本場直送の名演、ジャケットも本当に美しく、贈り物にもぴったりです。
Schubert - String Quintet & Overture in C minor シューベルト(1797〜1828):
 1. 弦楽五重奏曲ハ長調 D946
 2. 序曲ハ短調 D8(校訂:D.ゲリンガス)
ダヴィド・ゲリンガス(チェロ)
アーツィエス四重奏団
GRML98840
輸入盤

\2590
 あの名手ゲリンガスが、いきなり Gramola に登場! ウィーン気鋭の四重奏団のゲストで!ひたすら静かに、しかしどこまでも豊かに――
 長大な曲が進んでゆくにつれ、じっくり掘り起こされてゆく、シューベルト最晩年の深みと叙情。冷たくて熱い充実解釈!

 Gramola レーベルは基本的に「本場ウィーン」のレーベルですが、そこへやってくる世界的名手もこうして録音してくれるとなれば、なんとも目の離せないレーベルではありませんか!
今回お目見えするのは、バルト三国はリトアニア出身、かのロストロポーヴィチ御大のもとで腕を磨き、日本ではつとに有名な来日あまたの名チェリスト、ダヴィド・ゲリンガス!! (1973 年チャイコフスキー国際コンクール優勝…なんてところから説明しはじめるのは、バドゥラ=スコダについて「ウィーンの三羽烏」云々…と説明するようなもの)。
 珍しいレパートリーの紹介にも熱意を注ぎ、グバイドゥーリナ、シュニトケ、デニソフ…といった旧ソ連を代表する大作曲家たちを西側に積極的に紹介してきたこの大家、昨今では指揮活動にもいそしんでおり、九州交響楽団の首席客演指揮者にもなったそう。
 しかしながら、ここで本懐のチェロ片手に奏でるのは、王道ど真ん中の傑作、シューベルトの弦楽五重奏曲。名盤あまたの名曲ですが、本盤でゲリンガスとともにその長大かつ深遠な音楽世界に挑むのは、音楽都市ウィーンでいま最も注目されている若手グループのひとつ、アーツィエス四重奏団!
2008 年にはオーストリア銀行が後援する年間最重要若手アーティストに指名されたこの団体、着々と実力をつけ、いつしかこんな大家と共演するところに来ていたようです。
 それにしても――共演者の力なのか、はたまた彼らの感性の充実度なのか、ここでの解釈は実に周到、いや狡猾といってもいいのかもしれません。はじめのうちは淡々・着々と弾き進めているようにも思えたその演奏は(それにしても、まったく滋味ゆたかな音色です。ゴリゴリと気持ちよく響く低弦、しなやかな中高音…)、長大なソナタ楽章や緩徐楽章が進むにつれ、客観的な印象のむこうから壮大な曲のスケールを自ずと浮かび上がらせる、そんな解釈だったことに気づかされるのです。
 そして悪魔の舞踏のようなあの終楽章が終わりに差しかかる頃の、鳥肌の立つような期待感...!
 併録されている「序曲」はシューベルトが14 歳の頃、弦楽四重奏ないし五重奏のために書いた小品で、もともと五重奏ヴァージョンはヴィオラ2挺の編成ですが、チェロでも弾けてしまう音域のため、ヴィオラ用の楽譜をチェロ用に直して演奏しています。 「ケルビーニ風の劇的雰囲気」とは原文解説の謂…チェロが増えたことでドラマティックさも増し、聴き応えある秘曲らしさをじっくり味あわせてくれます!
Schubert: Mass No. 6 in E flat major, D950 シューベルト:ミサ曲 変ホ長調
 〜シューベルト生涯最後の管弦楽付大作〜
フランツ・シューベルト(1797〜1828):
 ミサ曲 変ホ長調(1828)
  〜独唱、合唱と管弦楽のための
マルティン・ジークハルト指揮
スピリット・オヴ・ヨーロッパ
コルネリア・ホラーク(ソプラノ)
ヘルミーネ・ハーゼルベック(コントラルト)
ミハエル・ノヴァク(テノール)
アレクサンダー・カインバッハー(テノール)
ヨゼフ・ヴァークナー(バス)
GRML98841
輸入盤

\2590
 ベートーヴェン『ミサ・ソレムニス』と比べうる、シューベルト最晩年の超・大作。
 あざやかな管弦楽書法、精緻な対位法、この作曲家の新境地をしめす重要な名作なのに知らないのは勿体ない!
 大作曲家が手がけた、音楽史上かなり重要な作品でありながら、めったに新録が出てこない傑作というものは、意外とあるもの。ブルックナーの『テ・デウム』、マーラーのピアノ四重奏曲、チャイコフスキーの『偉大な芸術家の思い出』、ベートーヴェンのハ長調ミサ曲...合唱つきの大作や室内楽の大物あたりがその範疇に入ってくると思うのですが、シューベルトの変ホ長調ミサ曲も、この作曲家が最後に手がけた管弦楽つきの大作というわりには、どうしたものか新たな録音がめったに出てこないように思います。
 ともあれ、ベートーヴェンが1827 年に亡くなった後、「彼の後をゆく者に、乾杯!」と叫んで、シューベルトがその衣鉢を継ぐような作風を深めていったのは有名な話。もちろん、彼もその後すぐ翌年に亡くなってしまうのですが、最晩年には三つの長大なピアノ・ソナタや、室内楽における傑作中の傑作である弦楽五重奏曲など、それまでのシューベルトの路線とはかなり趣を異にする充実作が生み出されています。ここへきて改めて作曲理論をきちんと学ぶべく、古くからの教会音楽作法に通じたジモン・ゼヒターという名匠のもとへレッスンに向かった、という逸話も残されています。
 『ミサ曲 変ホ長調』D950 は、まさにそんな折に生み出された最晩年の意欲作――その壮麗かつ清らかな響きは、ハイドン晩年の壮大なミサ曲やベートーヴェンのミサ・ソレムニスにも比肩する充実度を誇りながら(このあたりは、ゼヒターの教会音楽のレッスンが生きていたのかもしれません)、さすがはシューベルト、と思わせる親しみやすい響きに徹頭徹尾貫かれており、ハ長調の交響曲『ザ・グレート』にも通じるオーケストレーションの豊かさが、オーストリアの素朴な自然をイメージさせもする...つまり端的に言うなら、ベートーヴェンやブルックナーなど、ドイツ=オーストリアもののオーケストラ作品が最も熱烈に支持される日本でウケないはずのない大作なのです!
 ここで嬉しいのは、オーストリアの中心、ウィーン市街中心部に拠点をおく「生粋のウィーンのレーベル」Gramolaが、ふくよかさを保ちながらも絶妙にキレのいい、まさに「オーストリアの、いま」を鮮烈に感じさせてやまない録音を届けてくれたこと――Extonなどにも名盤のあるピリオド・アプローチ系現代楽器バンド、スピリット・オヴ・ヨーロッパの痛快解釈に、精鋭の集まるチェコの名門合唱団がインテンスな声を添え、オーストリア楽壇の最前線を担う実力派歌手たちが味わい深く、清らかなソロを聴かせる…好きにならずにはおれない「本場感」にあふれる、イキのいい充実解釈なのです。
Debussy, Gulda & Puccini - String Quartets ドビュッシー/グルダ/プッチーニ
 〜ウィーンの「いま」から見た、弦楽四重奏のための3傑作〜
 クロード・ドビュッシー(1862〜1918):
  1. 弦楽四重奏曲ト短調(1897)
 フリードリヒ・グルダ(1930〜2000):
  2. 弦楽四重奏曲嬰へ短調(1951/52)
 ジャコモ・プッチーニ(1858〜1924):
  3. 「クリザンテーミ(菊)」
    〜弦楽四重奏のための
アーツィエス四重奏団
GRML98843
輸入盤

\2590
 フリードリヒ・グルダ、彼こそは、芸術首都ウィーンそのものだった...!
 精妙&痛快なドビュッシー解釈に始まり、クールさと深遠さに彩られたグルダの快(怪)作、そして知る人ぞ知る傑作「菊」へ。絶妙の曲構成を鮮やかに奏でるウィーン最先端の異才たち!

 バドゥラ=スコダ、デームスらとならび、20 世紀半ばに「ウィーンの三羽烏」と喧伝されながら世に羽ばたき、他の二人のピアニストとは一味違ったヴァーサタイルな活躍を通じて何かと物議を醸してきた天才、フリードリヒ・グルダ――ウィーンっ子らしくヨハン・シュトラウスを誰よりも鮮やかに弾けたのに、その録音テープを自ら湖に沈めて葬り去り、ジャズ・ピアニストとして世界的な活躍をみせたり、クラヴィコードで異色の録音をしてみたり、まだ古楽アプローチなど全然市民権を得ていなかった時代にニコラウス・アルノンクールとモーツァルトの二重協奏曲を録音(もうひとりのピアニストはチック・コリア!)かと思えばブラームスをあからさまに毛嫌いし、そのかたわらベートーヴェンのソナタは2度にわたって体系的にレコーディングしてみたり...この異才が2000年に世を去ってから早10数年、グルダ当人の故郷でもある“音楽の都”ウィーンから、この街に暮らしてきた芸術愛好家でなくては企画できなかったような、独特のオマージュともいえるアルバムが届いたのでした。
 ツェムリンスキーやコルンゴルトと並んでウィーン近代を代表する作曲家、ヨゼフ・マルクス(1882〜1943)に作曲を学んだ「作曲家グルダ」が、1953年(ショスタコーヴィチなら交響曲10番、翌年には伊福部昭「ゴジラ」、そんな頃ですね)に発表した「弦楽四重奏曲」を中核に据えた新録音!
 通常の楽章構成をきれいに逆転させたような「緩〜急〜緩」の3楽章仕立て、しかし曲内容は実にクラシカル――ハイドンの「告別」と同じく?嬰へ短調で書かれたその音楽は、これより20年近く前のヤナーチェクやバルトークなどの作品なんかより、ずっと耳になじみやすく普遍的。最後の緩徐楽章(ここがいちばん長い...ヘソ曲がりですねえ)のしなやかな変奏的展開を聴いていると、古典的ソナタ形式よりもむしろバッハの「前奏曲とフーガ」を連想してしまう手堅さ、だが曲調にはどこかジャズっぽいオシャレな感覚もあったりします。
 アルバム冒頭を飾るのは、ピアニストとしてのグルダが得意としていたことでも知られる作曲家、ドビュッシーの名品。それからグルダの作品、最後には(弦楽四重奏好きなら、いつか必ず魅了されることになる)プッチーニの秘曲「菊」で締めくくられる――このプログラム進行自体に周到なドラマ展開が垣間見えるのですが、その全体にきれいな一貫性を与えつつ、滋味深く、かつ精妙なシャープさを忘れず鮮やかに仕上げてゆくのは、音楽都市ウィーンの「いま」を支える気鋭集団、アーツィエスSQ! 
 伝統とみずみずしさの共存は、この街で“旬”な快進撃を続ける者たちならではの境地です。決して喧伝されない、音楽の本場のほんとうの最先端、音楽都市の良心が、ここにあります。
Orff: Carmina Burana オルフ:
 世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」(1937)
  〜オルフ承認による、
   ヴィルヘルム・キルマイヤーの室内楽伴奏版(1956)〜
ヨハンネス・シュテーヒャー指揮
ヴィルテン少年合唱団、
ネクスト・ステップ打楽器Ens.
デュオ・ダコール(2台ピアノ)
GRML98849
輸入盤

\2590
 これは思わぬ拾いもの――あの「カルミナ・ブラーナ」に、こんなエキサイティングな異版が!ピアノ2台に打楽器が加わっただけで、オーケストラを数段上回る?迫力と表現力...通念をくつがえす合唱の表現力も、圧巻そのもの。さすがは合唱の本場オーストリア!

 「本場オーストリア」、とあえて言わせていただきましょう。ご存知、名作カンタータ『カルミナ・ブラーナ』はもともと、バイエルン地方南部のベネディクトボイレン修道院で発見された中世の歌集をもとに、そこに使われていた詩(歌詞)にインスパイアされ、同じバイエルン出身の作曲家であるオルフが自由な音楽をつけた作品。つまり、この曲の“故郷”はドイツ南部のバイエルン地方なのですが、Gramola レーベルと本盤の演奏家たちの暮らすオーストリアは、バイエルン南端と国境を接し、民族的にもバイエルン人とほぼ同じ。方言も互いに非常に似ており、どちらもカトリック主流。つまりオーストリアとバイエルンは、文化的な親類同士なのです。
 ・・・といった前置きはともかく、ウィーン少年合唱団やシェーンベルク合唱団などに代表されるとおり、ヨーロッパ随一の「合唱大国」でもあるオーストリアから届いたこの『カルミナ・ブラーナ』新録音、なんといっても注目すべきは使用楽譜。オルフ自身の壮大なオーケストラ版をもとに、彼の弟子でもあるキルマイヤーという作曲家が、ピアノ2台と打楽器群を合唱に添えた縮小編成版を作成しているのです。
 このヴァージョンはオルフ自身もOK を出している正統派のヴァージョンなのですが、いったん聴いてみれば、作曲者自身が承認するのも当然!ということがすぐにわかるでしょう――なにしろ編成が「縮小」されているにもかかわらず、ピアノという表現力豊かな楽器が2台もあるせいか、多彩な打楽器の迫力がなせるわざか、はたまた合唱が大編成だから当然なのか、いっさい「不足感」がないどころか、アンサンブルが緊密になったぶん、ぐっと求心力が増し、とほうもなく聴き栄えのする演奏になってしまうのです!「痛快」という言葉がこんなにぴったりくる『カルミナ・ブラーナ』解釈は、めったにないのでは?
 ピアノはOehmsClassics にも録音のある名手デュオ・ダコール、その演奏がまた鮮烈に緩急自在...!
 そしてもうひとつ、本盤の合唱は約50 人の児童歌手プラス30人の成人歌手、総勢80 名(オーケストラ並…)のうち4割近くが少年合唱団員。よその少年合唱団なら「頼りなさ=初々しさ」といった魅力もあるのでしょうが、ヴィルテン少年合唱団の卓越した解釈力は、そんな次元など超越した音色的パレットを誇るもの。彼らがもたらす深い感動は、ちょっと聴き逃せません。
 オーケストラ愛好家にも「声のオーケストラ」たる合唱の魅力、打楽器の表現力を教えてくれる、痛快な名演でございます!
Reger: 3 Suites for Cello solo Op. 131c レーガー:三つの無伴奏チェロ組曲
 無伴奏チェロ組曲第1 番ト長調op.131c-1
 無伴奏チェロ組曲第2 番イ短調op.131c-2
 無伴奏チェロ組曲第3 番ニ短調op.131c-3
アダルベルト・スコチッチ(チェロ)
GRML98857
輸入盤

\2590
 ウィーン・フィルとウィーン室内合奏団の低弦を支えてきた、名匠スコチッチが練り上げられた感性でじっくり、その魅力を解き明かしてゆく「世紀末芸術」レーガー作品。バッハへの限りない愛、晩期ロマン派特有の深み…ガリアーノの銘器の美音も魅力!

 音楽都市ウィーンの良き伝統は、この街の中央部、グラーベン広場に店を構える老舗レコード店が起こしたGramola レーベルに、脈々と受け継がれています。主宰陣の確かな人脈あればこそ、こんな超一流の演奏家が、さりげなく登場したりするわけで。本盤の主人公アダルベルト・スコチッチは、その名をご存知の方はなかなかの通とお見受けいたします。ウィーン・フィルの精鋭たちが集まり、コンサートマスターのゲアハルト・ヘッツェル(vn)以下、腕利きの弦楽・管楽奏者たちが集まり、モーツァルトをはじめとする「ウィーンの傑作」を本場の香りそのまま堪能させてくれた、あのウィーン室内合奏団の名チェリストこそが、このスコチッチにほかなりません!
 若い頃にはウィーンの偉人たちのほか、フランスのナヴァラやイタリアのマイナルディらラテン系の名匠たちにも薫陶を受け、ウィーン・フィルに入団後は頼もしき名手として、たゆたうようなウィーン風のバス・ラインを担ってきました。その絶妙の感性が、アンサンブルのみならずソロ、それも無伴奏であろうと十全に発揮されることを十二分に証明してくれるのが、このレーガー・アルバムなのです!
 バッハの信奉者にしてブラームスやベートーヴェンの後継者、という立脚点で19 世紀末〜20 世紀初頭のドイツに独特の存在感を放った「新古典主義者」レーガーの作品は、うっかり手をつけると実に難渋な仕上がりになりかねない複雑な構成の曲が多く、とくにこうした無伴奏作品は演奏家の技量が本当に問われる難曲ばかりと思いますが、その点スコチッチはまったくもって紹介者として最適そのもの。ナポリ18 世紀の名工ガリアーノの銘器からゾクゾクするような美音を引き出しつつ、レーガーの綴ったドラマをきわめてわかりやすく解きほぐすフレーズの区切り方、強弱のつけ方で、これら3編の無伴奏作品の魅力をあざやかに示してくれます。

 これらはレーガーの“早過ぎた晩年”の少し手前、1914 年に編まれた膨大な無伴奏作品集(この3編の組曲のほか、無伴奏ヴィオラ組曲3編、無伴奏ヴァイオリンのためのプレリュードとフーガ6曲、2挺のヴァイオリンのための二重奏曲3曲を収めた「作品131」)に含まれている作品で、バッハへの限りない敬愛を示しながらレーガー独特の濃厚な歌い口にも事欠かず、スコチッチの縦横無尽・変幻自在の解釈で聴いていると、ああ本当に素敵な曲を見つけたものだ…と嬉しさがじわじわこみ上げて来ること請け合い!
 シンプルにして効果的なジャケットも例によってハイセンス、「本場ならでは」の、手にして嬉しい充実アイテムでございます。
Dvorak - Violin Concerto & Cello Concerto ドヴォルザーク(1841〜1904):
 1.ヴァイオリン協奏曲イ短調作品 53
 2.チェロ協奏曲ロ短調 作品 104
シャーンドル・ヤーヴォルカイ(ヴァイオリン)
アーダム・ヤーヴォルカイ(チェロ)
シャーンドル・ギュディ指揮
セゲド交響楽団
GRML98865
輸入盤

\2590
 近隣同士だからこそ、親近感もあれば、確かに違ったアプローチもできる――共通項は「どちらも弦の国」。ハンガリーの新進気鋭陣が、伝統の味わいたっぷりにチェコの巨匠、ドヴォルザークのロマンティシズムを、鮮烈なパワーで確かに描ききる!
 チェコの名手が弾くコダーイやバルトークも独特の味わいがありますが、ハンガリーの腕利き奏者や実力派歌手たちがドヴォルザークやスメタナを手がけると、これもまた格別な結果が出ることしばしば――スロヴァキアをはさんで隣り合うこの中東欧2国、互いに結構文化は違うし(チェコ人はスラヴ系ながら、何だかドイツ人に似て質実剛健だったり、ビール好きで陽気だったり――ハンガリー人はウラル=アルタイ系で、中近東ふうの神秘性を感じさせつつ、辛い唐辛子料理が大好き...)、音楽背景もそこそこ差があるのに、どちらも旧ハプスブルク帝国の支配下だったためもあってか、「他方の音楽」を、実に堂に入った解釈でみごとに弾けるケースが多いような気がします。本場奏者が自国の曲を弾くときだけ醸し出される特別な空気があるとすれば、チェコ人がハンガリーの曲を、ハンガリー人がチェコの曲を弾くときには、いわば懐石風フレンチとか、洋食材による割烹とか、相性の良さあればこその複雑な味わいが出てくる――そんな感じなのでしょう。
 そんなわけで、前世紀初頭まで両国とともにハプスブルク帝国の中心だったオーストリアのGramola レーベルから出てきた「ハンガリー勢によるドヴォルザーク・アルバム」は、演奏者の無名度などどこ吹く風?の、痛烈にすばらしい演奏です!
 いわずもがな競合盤の少なくない二つの協奏曲――つとに知られたチェロ協奏曲と、曲者奏者ほど注目する?ヴァイオリン協奏曲――ですが、ソリストといいオーケストラといい、あの東欧ならではの妖艶な響き(そういえばチェコもハンガリーも、弦楽器演奏の伝統には一家言あり「弦の国」…)、全員が心をひとつに盛り上がるダイナミックさと統率性、随所で心をとろけさせる美音の妙と痛烈なまでの表現力、どこをとっても「一線以上」の鮮やかさに「これはいい演奏に出会った!」と笑みがこぼれずにはおれない仕上がり!
 オーストリア=ハンガリー国境付近出身のヤーヴォルカイ兄弟は、兄(vn)がスピヴァコフ、ヴァルガ、パウクら東欧勢の名匠たちの、弟が名匠ペレーニ(!)やビルスマ(!)ら多彩な名手陣の薫陶を受け、数々のコンクールを破ってきた末、この2009年、本場ウィーンでもっとも有望な若手奏者に授けられるオーストリア銀行の「アーティスト・オヴ・ザ・イヤー」賞に輝いた気鋭。
 知名度の低さで聴き逃したら、もったいない・・・というのはオーケストラにも言える話で、さすが東欧諸国、知られていないオーケストラがこれほど痛烈な演奏を聴かせる名手ぞろいとは、なんと贅沢なことでしょう!
 長く信頼関係を築いてきた音楽監督のもと、全員のやる気が超一流級のパワーを発揮。聴き応えばっちり、曲のうまみたっぷり、これぞ「“東”ならではのドヴォルザーク」――末永くつきあい、魅力の真髄を聴き極めたくなる逸品でございます!
スペインとアルゼンチン、19世紀と20世紀
 〜アルボス&ピアソラ、ピアノ三重奏の世界〜

 ◆アストル・ピアソラ(1921〜1992):
  .屮┘離好▲ぅ譽垢了裕 ▲ブリビオン(忘却)
  E兄箸離潺蹈鵐 づ兄箸了 ゥ哀薀鵝Ε織鵐
   * ホセ・ブラガート編/** トリオ・ダンテ編
 ◆エンリケ・フェルナンデス・アルボス(1863〜1939):
  Ε好撻ぅ麝夕阿砲茲觧阿弔良餠
トリオ・ダンテ
ドンカ・アンガチェヴァ(p)
ヴァーリャ・デルヴェンスカ(vn)
テオドラ・ミテヴァ(vc)
GRML98873
輸入盤

\2590
 スペインの19世紀ロマン派サウンドから、エッジの効いたスパイシーなピアソラへ――
 スラヴ系の名手って、どうしてこうもタンゴが決まるんでしょうね。ゾクゾクする絶妙演奏、ブルガリア出身の美女3人は、「音楽の都」ウィーンがいま最も注目する気鋭なのです!
 アルゼンチンの国民的音楽たるタンゴは20 世紀後半、鬼才バンドネオン奏者アストル・ピアソラが始めたジャンル越境型の「ヌエボ・タンゴ」というスタイルで世界中のプレイヤーを巻き込み、今やクラシックの演奏家たちにもピアソラ作品を積極的にとりあげる名手が少なくありません。そしてこの種のヌエボ・タンゴで面白いのは、その世界的ブームを盛り上げ支えてきたのが、必ずしも本場アルゼンチンのプレイヤーではないというところ。考えてみてください――この「タンゴ×クラシカル」のクロスオーヴァーを成功させてきたのは、ラトヴィア出身のギドン・クレーメルであり、フランスのアコーディオン奏者リシャール・ガリアーノであり、あるいはアメリカの中国人ヨーヨー・マだったではありませんか!なぜでしょう...それはきっとアルゼンチンという国そのものが、タンゴ発祥の時代から移民大国でありつづけてきたことと、ひょっとすると無縁ではないのかもしれません。
 そしてタンゴ系作品を弾く非アルゼンチン系プレイヤーのなかでも、とりわけタンゴと相性がよいのは、なぜか東欧のスラヴ系諸国の演奏家たちなのです。しかし実のところ、この種のヌエボ・タンゴの時代をまたずとも、ラテン文化とスラヴ文化の不思議な相性はすでに19 世紀から、多くの人を不思議がらせていたようです。たとえばロシア国民楽派の父グリンカも、スペインの民俗音楽に触発され素晴らしい交響詩『マドリードの夜』を書き、リムスキー=コルサコフも「スペイン奇想曲」という傑作を作曲して「なぜロシア人はスペイン音楽と相性が良いのか?」ということが真剣に論じられたりしていたのですね。
 ウィーンの中心部に本拠を構えるGramola レーベルからの新譜は、そんな「スラヴ×ラテン」の素晴らしい相性をあらためて痛感させてくれる1枚――雑味いっさいなしのクラシカルなピアノ三重奏編成で、ブルガリア出身ながら今はウィーンを拠点にしてイキのいい活躍を続けるトリオ・ダンテが痛快なピアソラ演奏とあわせて聴かせてくれるのは、知る人ぞ知るスペイン・ロマン派の大作曲家アルボスの代表作「スペイン様式による三つの舞曲」。
 アルボスはアルベニスの「イベリア」の管弦楽編曲者として昔からレコード・ジャケットをひそかに彩る名前ではありましたが(いわば「スペインのギロ」といったところでしょうか)、この舞曲集はスペイン国民楽派の先駆けをなす象徴的傑作で、サン=サーンスあたりの堅固なロマン派的作風のままスペインの民俗的語法を取り込んだその音楽の魅力が映えるのも、派手系クロスオーヴァーで集客を狙う・というのとは全く違う、トリオ・ダンテの筋金入りの実力があればこそ。
 ふだんタンゴ系音盤を聴かない本物志向のクラシックファンにもぜひお薦めの、気合の入った逸品なのです!
Bach, J S: Motets, BWV225-230 バッハ:六つのモテット BWV225〜230
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685〜1750)
 1. モテット「なべての民よ、主を賛美せよ」BWV230
 2. モテット「イエス、わが友」BWV227
 3. モテット「恐れるな、われ汝の傍にあり」BWV228
 4. モテット「聖霊は我らの弱きを助け給う」BWV226
 5. モテット「来たれイエス、来たれ」BWV229
 6. モテット「主に向かって新しき歌を歌え」BWV225
ヨハンネス・ヒーメツベルガー指揮
シネ・ノミネ合唱団
GRML98875
輸入盤

\2590
 コンパクトな一体感、合唱らしいふくらみ――バッハ作品のなかでも独特な位置を占める六つのモテットは、隠れた名作のひとつ!
 アクセント豊かな解釈でこれら6曲の「ことばはこび」を確かに伝える、オーストリア古楽界の多芸な合唱団!「この曲目の新録音が出たら、買う」という固定ファンのついている曲目は、バッハの作品にはけっこう数多くあるものだと常々感じております。無伴奏チェロ組曲、マタイ受難曲、ゴールトベルク変奏曲、ブランデンブルク協奏曲の全曲録音…ほかにも人によって、鍵盤作品から大規模カンタータまで「この1曲」というものも少なからず、あるのでしょう。そして意外なところでファンが多いのが、6曲ある合唱用モテット――たまーにオルガンなど通奏低音がつくくらいで楽器の参加もめったにない合唱作品ではありますが、日本全国におられる合唱系ユーザーさまをはじめ、ちょうどよいペース程度で新譜の出てくるこの6曲に情熱を注がれる方が多い、と伺うこともしばしば。事実、この6曲は「フーガの技法」や「平均律クラヴィーア曲集」などにも通じるというか、すべて人の声・という比較的均質な音響環境のなか、バッハらしい多声のからみをじっくり味わえるうえ、「歌詞」というひとつの筋道を追って展開してゆく、ある種シンフォニックな一体感のすばらしい名曲ばかり――バッハ・ファンの方なら、必ずいつかその魅力に気づくことになる作品群、といえるのではないでしょうか。そんなわけで「ゴールトベルク変奏曲」と同じくらい名盤あまたのこのレパートリーに、オールド・ファンから最先端の古楽ファンまでひろく訴求する可能性を秘めた新録音が登場します!
 ウィーンの老舗レコード店が主宰するGramola レーベルから、ウィーン放送響やトーンキュンストラーo.などの現代楽団の共演者でもあり、ウィーン・アカデミーやオルフェオ・バロックなど古楽バンドの大規模企画にも参加する多芸な合唱団「シネ・ノミネ」――メンバー表によればS-A-T-B でそれぞれ14-16-11-12(他にオルガンとチェロ・コントラバス各1程度の通奏低音伴奏あり)。二重合唱曲もあるとはいえ、管弦楽作品と同じく小規模合唱でのバッハ解釈が増えてきた昨今としては、かなり大きな編成かもしれません。しかし、その厚みを「ぬくもり」として奏功させながらも、タテのラインの揃い方は実にきびきびと心地よく、小規模合唱にも全くひけをとらない緊密なアンサンブルに仕上がっているのが頼もしいところ! それも軍隊のように峻厳な統率感ではなく、歌い手たちの自発性をよく生かしながら、豊かな響きに仕上げられているのが実に心地よいのです。こういう、大人数で一度にひとつの音楽を織り上げる感覚こそが「合唱の快感」かもしれませんが、それを「聴く側」の人間にも体感させてくれるのが、本盤の何よりの旨味といえるでしょう――古楽シーンと現代楽器シーンの双方で活躍する21世紀型の本格派集団から、末永く愉しめる贈り物です!
ハイドン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(全8曲)
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809):
 《CD-I》ピアノ・ソナタにもとづく二重奏ソナタ
  .愁淵紳茖家屮膨皇粥淵愁淵 Hob.XVI:24による)
  ▲愁淵紳茖拡嵎僖枋皇粥淵愁淵 Hob.XVI:25による)
  ソナタ第4番イ長調(ソナタ Hob.XVI:26による)
  ぅ愁淵紳茖吉屮板皇粥淵愁淵 Hob.XVI: 43による)
  ゥ愁淵紳茖業屮歪皇粥淵愁淵 Hob.XVI:15による)
 《CD-II》さまざまな室内楽曲にもとづく二重奏ソナタ
  Ε愁淵 第1番ト長調(ピアノ三重奏曲 Hob.XV:32による)
  Д愁淵 第7番ヘ長調(弦楽四重奏曲 op.77-2 Hob.III:82による)
  ┘愁淵 第8番ト長調 (弦楽四重奏曲 op.77-1 Hob.III:81による)
エレナ・デニソヴァ(ヴァイオリン)
アレクセイ・コルニエンコ(ピアノ)
GRML98886
(輸入盤・2枚組)
\3690
 「ハイドンは、ヴァイオリンとピアノのための二重奏を書かなかった」...はずなのに、なんと8曲もの作品がここには収められている!
 オーストリア楽壇の腕利きふたりがじっくり聴かせる二重奏の味わいは、まさにハイドンならではの滋味、まさに古典派ならではの親しみやすさ満点。

 CD アルバムを聴き愉しんでいる層からすると、楽譜出版の現状というのはあまりピンとこないものなのかもしれません。音楽学の現場も然り。ただ「交響曲の父」にして「弦楽四重奏曲の父」でもあった古典派の巨匠ハイドンが、そのほかにもピアノ・ソナタやピアノ三重奏曲などをたっぷり作曲していたにもかかわらず、どうしたものか、モーツァルトやベートーヴェンが傑作を多々生んでいる「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」(18 世紀にはピアノの方が主役扱い)、つまりヴァイオリン・ソナタのたぐいはまるで書いていない、というのは、比較的有名な部類に入る古典派トリビアではないかと。
 ところが、です。老舗のペータース出版局から刊行されている楽譜のなかに、なぜか1冊、ハイドン作曲による「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」という巻が・・・。しかも、そこにはこの形態によるソナタが8曲も収録されているとのこと。調べてみると原資料もちゃんとあるらしいのですが、どうやらこの曲集、もともとハイドン自身はピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲として作曲していたものを、ハイドン自身のお墨付きがあったのかどうか、作曲家の晩年に誰かが編曲した楽譜らしいのです。原展至上主義の観点から、20 世紀の音楽学者たちはこの曲集を「ハイドンの作品」とは認めたがらなかったようなのですが、実際に聴いてみると、ピアノの動きを際立たせながらヴァイオリンが適宜華を添えるという、古典派時代の「ヴァイオリン助奏つきピアノ・ソナタ」としての二重奏スタイルが美しく映える仕上がりになっているうえ、なにぶん元の曲がウィットと歌心に富んだハイドン作品ばかりだけに、かなり惹き込まれる味わいがどの曲にも感じられます。
 モーツァルトやベートーヴェンと同じように、ハイドンのインスピレーションをこの編成で味わえるなんて。しかも、なかには晩年の彼が創意のかぎりを尽くして残した「最後の完成作」とみなしうる弦楽四重奏曲からの編曲などもあり、音盤ファンには少なからずおられるであろうハイドン愛好家・古典派愛好家の方々には「原作との比較」という愉しみ方も用意されているという次第。こうした仕掛けのひとつひとつも、弾き手が音楽大国オーストリアの「いま」を支える名教師ふたりという、かなり贅沢なキャスティングなくしてはここまで真価を発揮するには至らなかったでしょう。
 しなやかなヴィブラートを生かしたデニゾヴァの弦音も、ベーゼンドルファーの響きで古典派の音運びを的確に際立たせるコルニエンコのピアニズムも、実に好感度大。ウィーン系の室内楽が好きなクラシック・ファンの方々にも、末永く愉しんでいただきたい2枚組アルバムなのです。
バドゥラ・スコダ&イェルク・デームス共演!
 モーツァルト:2台のピアノ、および連弾のための精選傑作集
  〜ウィーンの巨匠たちと、18世紀のピアノ〜
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756〜1791):
 1. 2台のピアノのためのソナタ ニ長調 KV448
 2. ファンタジア(幻想曲)ハ短調 KV396
 3. ファンタジア(幻想曲)ニ短調 KV397
 4. ピアノ連弾のための変奏曲 ト長調 KV501
 5. 2台のピアノのためのラルゲットとアレグロKV deest
 6. ファンタジア(幻想曲)ハ短調 KV475
パウル・バドゥラ・スコダ、
イェルク・デームス(fp/ヴァルター工房オリジナル)
GRML98900
輸入盤

\2590
 モーツァルト作品の盲点、意外と正面勝負の古楽器録音に恵まれない「ふたりピアニストもの」。
 その決定的名盤を作ってくれたのは、ウィーンの空気を吸い、その空気を作ってきた偉大なピアニストふたり。阿吽の呼吸、18世紀楽器を知り尽くしたタッチ、天国的快楽。

 「作曲者の知っていたとおりの楽器と奏法で」という考え方にもとづく古楽器演奏も今ではすっかりその基本理念が演奏家たちのあいだに浸透して、すでにブラームスやリストなどロマン派の大家たちの作品でさえ、古楽器による録音が珍しくなくなってきた昨今。
 しかし盲点というのはあるもので、たとえば19 世紀の弦楽四重奏曲は(とりわけベートーヴェン含め)ほとんど古楽器録音されていませんし、オペラもロッシーニとドニゼッティとワーグナーに数える程度の例外があるくらいで、あとは全滅。さらに驚いたことに、18 世紀にもまだまだ「ほぼ古楽器未踏」の領域があるのです――なんと、モーツァルトでさえ!
 ピアノ独奏ソナタはもうすっかりフォルテピアノ奏者たちの定番演目ではありますが、なにしろフォルテピアノは演奏に慣れるのが容易でありません。録音して残すほどの名演を聴かせるには専門的な研鑽を長く積まなくてはならない楽器だけに、その奏者をふたりも必要とする連弾曲や2台のピアノのための作品は、これまで意外に古楽器奏者たちの視線から外れてきたジャンルだったわけです。
 しかし幸い、音楽の都ウィーンには歴史的ピアノに通暁した偉大な名手がふたりもいて、互いに旧来の知己同士・・・そう!かつて半世紀以上前にF.グルダとともに「ウィーンの三羽烏」と呼ばれた今や最大級の巨匠ふたり、P.バドゥラ=スコダとJ.デームスが、この連弾&2台ピアノのための作品ばかりを集めて残してくれたのです!
 嬉しいことに、両者それぞれの独奏も傑作幻想曲KV475 およびKV397で味わえる、という信じられないくらい贅沢なおまけ付。
 20世紀半ばに楽譜が再発見されたのち、このふたりの手で蘇演されたKV 番号のない「ラルゲットとアレグロ」、2台ピアノの超・定番にしてなかなか新録音にも恵まれないKV448 など、ウィーンの中心にあるGramola レーベルの活躍をしみじみ嬉しく感じずにはおれない逸品に仕上がっています。
 18世紀ウィーン製のフォルテピアノが響かせる、なんと典雅な響き...これ以上は望みえないほどの、本場の秀逸名演!
シューマンと連弾
 〜クララ編曲/連弾版「ピアノ五重奏曲」〜
 ローベルト・シューマン(1810〜1856):
  1. ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44
   〜クララ・シューマンによる連弾版(1857)
  2. 東方の絵 op.66〜ピアノ連弾のための
ハラルト・オスベルガー、
クリストス・マラントス(ピアノ連弾)
GRML98914
輸入盤

\2590
 シューマンが室内楽ジャンルで初めてピアノを使った傑作に、作曲者の没後まもなく妻クララの手で編曲された「連弾版」があった。
 シンフォニックな作品の魅力を十全に引き出した異色作を、後期シューマンの隠れ名作とともに、「音楽の都」の名タッグの秀演奏で。

 シューマンという作曲家が、若い頃は作曲家よりもむしろプロのピアニストになろうとしていて(猛烈に練習しすぎて手を故障し断念)、本格的に作曲家として始動してからも、かなり長いあいだピアノ曲しか書いていなかったのはご存知のとおり。そんな彼が歌曲や管弦楽曲など「ピアノ曲以外」の音楽を書くようになったのは、師匠の娘クララとの悲恋がついに実ったあとのこと、とりわけ1842 年は「室内楽の年」と言われ、彼はこの年、初めて室内楽曲を本格的に作曲し、次々と完成させていったのでした。
 今日でも、弦楽四重奏団のリサイタルにピアニストがゲスト出演するとき非常によく演奏される傑作・ピアノ五重奏曲も、まさにこの年の産物。
 作曲家=ピアニストだった妻クララをはじめとする面々での初演は上出来だったようで、「ピアノ+弦楽四重奏」という演奏編成のために生み出された最初の傑作とみなされています。
 しかし作曲家が1856年に早世した翌年、妻クララの手で、この作品のピアノ連弾用編曲版が作られていたのは、いったいどのくらい知られている史実なのでしょうか。
 この「クララ編曲版」連弾版五重奏曲と、シューマンの隠れ名作「東方の絵」とともにあざやかに織りあげてみせるのは、「音楽の都」ウィーンで腕を磨き続ける若手とその師匠である名教諭のデュオ!
 五重奏曲の編曲版では、音の種類が均一になった結果むしろ作品そのものがオーケストラ音楽的な広がりまで感じさせ、弦楽器だと響きの美しさに隠れがちな副旋律のえもいわれぬ官能性がきわだつなど、作品そのものの魅力を再発見せずにはいられません。
 夫の死後もその作品ができるだけ広まるように...と考えたであろうクララがこの五重奏曲を選び、丹念な作業で編曲に臨んでいた・・・有名曲の編曲版は何かと人気ですが、これはまさに掘り出し物です。
ハンス・ガール
 〜両対戦間に息づいていた、美しきウィーンの晩期ロマン派芸術〜
ハンス・ガール(1890〜1987):
 1.ヴァイオリン協奏曲 op.39(1932)
 2.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ op.17(1920)
 3.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ニ長調(1933)
トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガー(vn)
エフゲニー・シナイスキー(p)
ロベルト・パーテルノストロ指揮
イスラエル室内管弦楽団
GRML98921
(Multichannel
SACD-Hybrid)
輸入盤

\2590
 1920〜30年代に、全盛だったのは「美」であって「前衛」ではなかった――
 近代音楽の語法で、ほんのわずかの薄化粧。あまりにもうつくしすぎるロマン派芸術...録音時代に静々と再発掘されてきた「知られざる名匠」ハンス・ガール。

 Hans Gal――日本語で「ガール」と書くとまだ馴染薄な感じもしますが、ヴァイオリンの異才として知られたトーマス・ツェートマイアーが指揮者となってAvie に熱心に交響曲を録音していたのが・・・この「ハンス・ガル」。ここではあえて「ガール」と呼ばせていただきますが、ここ15年ほどのあいだにガールの作品は次から次へとその魅力が再発見され、室内楽を中心にディスコグラフィを増やしてきています。
 彼はベルギーのジョンゲン、オランダのディーペンブロックやレントゲン、ハンガリーのドホナーニなどと同じく、20 世紀前半になおロマン派音楽のスタイルを大切にしつづけた世代の作曲家であり、このタイプの作曲家たちの常どおり、20 世紀中盤に「誰もやっていないことをやろうとしない現代作曲家は無意味」という無慈悲なまでの“前衛流行”のあおりを受け、楽壇からほとんど無視されてきた人だったのです。
 しかし、その音楽の美しさときたら少年時代、マーラー指揮するウィーン・フィルの演奏会を聴いて育ち、その圧倒的な美しさを心に刻んできたガールの書く音楽は、晩期ロマン派の爛熟した美を、濃厚すぎる歌い口に堕することなく、すっきりとした造形に仕上げた極上の音楽。しかも深みにも事欠かなければ決して聴き疲れることもない、じっくり付きあいたい音楽内容。
 ともあれ、細かな室内楽では敷居も高い...という方には、ヴァイオリンの魅力とオーケストラ芸術の精巧さを心ゆくまで味あわせてくれる、オーストリア楽団の俊才たちが集うこのアルバムが断然おすすめ。
 なにしろ主役であるヴァイオリン奏者は、デームスやバドゥラ=スコダ、あるいはザルツブルク・モーツァルテウム音楽院の恐ろしき教授陣からも愛されている、およそ若手とは思えない深さと広がりある解釈能力をみせる俊英T.A.イルンベルガー。彼と古楽器でブラームスのソナタを録音した曲者ピアニストのシナイスキーと綴った2曲のソナタも、引き締まった音作りが最高に気持ちいい。
 室内管弦楽団と綴られる協奏曲も、ブラームスが「中期のスタイルで」もう30 年生きていたらもしやこんな感じ・・・?といった充実度をひしひしと感じさせてやみません。コルンゴルトの名品から前衛的なアクを抜き、かわりに極上の19 世紀的エッセンスを加えたような仕上がりです。
アーツィエス四重奏団/ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲集
 ショスタコーヴィチ:
  1. 弦楽四重奏曲第3番ヘ長調 op.73(1946)
  2. 弦楽四重奏曲第5番変ロ長調 op.92(1948)
  3. ポルカ 〜バレエ「黄金時代」op.22(1930)
アーツィエス四重奏団
ベンヤミン・ツィーアフォーゲル(第1vn)
ラファエル・カスプリアン(第2vn)
マンフレート・プレースル(va)
トーマス・ヴィースフレッカー(vc)
GRML98923
輸入盤

\2590
 きりっと引き締まった精緻な解釈、颯爽とクールな音作り。音楽大国オーストリア発、新世代の担い手アーツィエス四重奏団の弾くショスタコーヴィチは、あまりに痛快、ドキドキするような名演に。

 音楽大国オーストリアでいま最も注目されている弦楽四重奏団のひとつ、アーツィエスSQ による痛快な新録音。
 すでにGramola レーベルの看板グループの一つになりつつあるこの俊才集団は、これまでに巨匠ダヴィド・ゲリンガスをゲストに迎えてのシューベルトの弦楽五重奏曲(GRML98840)や、1950 年代にまだ若者だったフリードリヒ・グルダの書いた心躍る弦楽四重奏曲をはじめ、プッチーニやドビュッシーの初期作品も収録した気になるアルバム(GRML98843)など、耳の肥えた室内楽ファンをうならせずにはおかない充実したディスコグラフィを刻んできました。そのアーツィエスSQ、今度は一転、ロシアの音楽世界をみずみずしく、あざやかに披露します。
 ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲15 曲は、彼の交響曲がソ連当局の目をつよく意識した対外的な表現(と、その裏に込められたメッセージ)の象徴であったのに対し、言論の自由がないに等しい時代を生きる人間としての私的な思いを静かに塗り込めた、この作曲家の個人史のような音楽内容であるとみなされています。アーツィエス四重奏団の面々はそのことをよくふまえたうえで、かたや偽りの感情の裏にひそむ個人的な悲哀を、かたや公的な活動から締め出された天才芸術家の内面の声を、聞くに堪えない叫びとして表現するのではなく、ひたすら耳を魅了してやまない美しい弦音の重なりのなか、純粋な音楽美として昇華させてみせたのです。
思いがけぬ超・名盤が復活――
ショスタコーヴィチ(1906〜1976):
 1. ピアノ協奏曲第1 番(ピアノ、トランペットと弦楽合奏のための)ハ短調 op.35
  ヴラディーミル・ゴンチャロフ(tp独奏)
 2. ピアノ協奏曲 第2 番ヘ長調 op.102
パウル・グルダ(ピアノ)
ヴラディーミル・フェドセーエフ指揮
モスクワ放送交響楽団
GRML98928
輸入盤

\2590
 思いがけぬ超・名盤が復活――ソ連崩壊から間もなくの頃、ドイツで秘かに制作されていたとてつもなく豪華な顔ぶれの傑作盤が、思いがけないタイミングでGramolaで正規復活!
 フェドセーエフの冴えわたるタクト、闊達至極のパウル・グルダのセンス...これは聴き逃せない。なぜこんなとてつもない録音が眠っていたのか、ちょっとわかりかねますが――モスクワ放送交響楽団がソ連崩壊直後、1992〜93 年に録音した...というところから、ひょっとすると冷戦終結と何かしらの関係があるのかもしれません。何はともあれ、ごらんのとおりクラシック・ファン垂涎の顔ぶれで録音されたショスタコーヴィチの「隠れ傑作」ふたつ。
 確かに競合名盤は数あれど、ストレートなスケール感、引き締まった音作りでたたみかけるように迫力満点・抒情あふれる響きを打ち出すロシア最大級の巨匠指揮者ヴラディーミル・フェドセーエフが、手兵モスクワ放送響を率いてショスタコーヴィチの世界へ...というだけでもゾクゾクしますが、そこでソリストに迎えられたのがウィーン楽壇きっての異才フリードリヒ・グルダの息子のひとり、多芸さと父譲り?の絶妙のピアニズムで現代の聴き手を魅了してやまない俊英パウル・グルダ。ましてや演目がトランペット付の異色傑作と、隠れファンがおそらく多いに違いない「第2 番」、つまりショスタコーヴィチが若き日にプロ演奏家となろうとした楽器・ピアノのために書いた充実の協奏曲2作とあっては、聴き逃す手がどこにありましょうか?
 このアルバム、上述のとおり録音年代はやや古めなのですが、1990 年前後のフェドセーエフに名盤が多いのはご存じのとおり。かつてオーストリアの超・小規模レーベルMusicaから一度リリースされたことはあったようなのですが、なにしろ当のMusica はその後間もなく活動休止、ほどなく取扱なしになってしまったお蔵入り音源。意外にも目につかなかったのでしょうか、ただでさえ日々アイデア満載のパウル・グルダも「昔より未来」とこの録音のことはとくに気にとめなかったのでしょうか、はたまたフェドセーエフ&モスクワ放送響の事情でもあったのでしょうか...ともかくも秘蔵音源になってしまっていた本盤を、「音楽の都」ウィーンの真ん中に拠点を置くGramola レーベルがめでたく正規リリースしてくれることになりました!
リストなのか、シューベルトなのか
 〜ピアノで弾く『歌曲王』の世界〜
フランツ・リスト(1811〜1886):
 〇紊鯔造哀哀譟璽肇劵Д S 558-8/D 118
 ⇔泙了照 S 557/D 711
 シェイクスピアのセレナーデ S 558-9/D 889
 い△覆燭老討 S558-3/D 776
 ゥ札譽福璽 S 560-7/D 957-4
 Δ泙 S 563-6/D 550 Э綣嵜人と小川 S565bis-2/D 795-19
  仕事を終えて S560-3/D 957-5
  万霊節の祝日の連祷 S562-1/D 343
 春への憧れ S 560-9/D 957-3辻楽師 S 561-8/D 911-24
 さすらいびとS 558-11/D 489 影法師 S 560-12/D 957-13
 魔王 S 558-4/D 328※Dは原曲(シューベルト作品)の整理番号
ドラ・デリイスカ(ピアノ/ベーゼンドルファー)
GRML98931
輸入盤

\2590
 「クラシック声楽が苦手」で、シューベルト歌曲の世界に近づけないのはあまりにもったいない。それならいっそ、リストの精巧な編曲を通じてピアノ曲に姿を変えたヴァージョンで。魔王、セレナーデ、辻楽師...稀代のベーゼンドルファー使いの手で、思わぬ名曲体験を!

 シューベルトの歌曲。もうクラシック100 選的な廉価盤シリーズでも「歌曲ならとりあえず」で入ってくるくらい重要なジャンルですし、交響曲で言えばベートーヴェンかマーラーか、室内楽で言えばモーツァルトの弦楽四重奏曲か、ピアノ曲で言えばショパンかドビュッシーか...ってくらい「歌曲はシューベルト」なのはもう今更くりかえすまでもありません。過去200 年近くにわたって多くの人を魅了してきたシューベルトの歌曲ですが、「そもそもクラシックの声楽が苦手」「声楽は歌詞が知らない言葉だから敬遠気味」という人には、そのあまりに美しい音楽世界がごっそり抜けおちてしまうわけであまりにもったいない・・。
 そんなとき、シューベルトの歌曲を「歌」なしに、その旋律美や和声進行の妙そのまま、楽器だけで演奏できるようにした質の高い編曲を集めたアルバムというのは非常に貴重な存在になってきます。
 昨今の大きな成功例では、フランスのチェロ奏者アレクシス・デシャルムがaeon レーベルで制作した編曲集『チェロで弾くシューベルトの歌曲』(MAECD0868)がいまだに印象的なところですが、今回「音楽の都」ウィーンの中心部に拠点を構えるGramola レーベルから、デシャルムのアプローチとは異なる角度からの、新しい充実したシューベルト歌曲編曲アルバムが登場いたします。
 今回は、すべてピアノ独奏――アルバム原題は『白鳥の歌』所収の歌曲にちなんで「ドッペルゲンガー(影法師)」となっていますが、それは本作の主人公がシューベルトであるとともに、すべての収録曲が「ピアノの貴公子」こと超絶技巧の天才ピアニスト作曲家、フランツ・リストによる編曲で占められている、つまり主役はシューベルトであり、同時にリストであるというアルバムだから。パリの上流階級の人々のあいだでも活躍したリストは、シューベルト歌曲に深く魅了されながらも、「ドイツ語の歌詞」があるがゆえの制約を意識していたのかもしれません。
 ただでさえ充実したピアノ伴奏部を持つシューベルトの作品、そのうえ歌までピアノで弾きこなし、完成された作品像を浮かび上がらせるには当然ピアニストとしての「腕」も問われるわけですが、本盤ではブルガリア出身のウィーンの俊才ドラ・デリイスカが、その難題を軽々とクリアし、リストならではの超絶技巧をあざやかに征服しながら、シューベルト特有の胸を突く旋律美にしみじみ感じ入らせてくれます。
 選曲も絶妙、「ウィーンのピアノ」ベーゼンドルファーも、ピアニストの感性を小気味よく伝えてくれます。

ゾクゾクするほど美しい響き
 イルンベルガー&トルビアネッリ
  リストのヴァイオリン作品集
フランツ・リスト(1811〜1886):
 〇或佑離蹈泙咾 S.383(1864)
 ▲團▲里肇凜.ぅリンのための協奏的第二重奏曲 S.128(1849)
 H瓩靴澆離乾鵐疋 S.134(1882)
 な菷衞 S.129〜ヴァイオリンとピアノのための(1872)
 ゥ魯鵐リー狂詩曲 第12 番(ヨアヒム編/1871?)
 Ε團▲里肇凜.ぅリンのための二重奏曲 S.127(1832〜35)
トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガー(vn)
エドアルド・トルビアネッリ(p/シュトライヒャー1856年製オリジナル)
GRML98932
(SACD Hybrid)
輸入盤

\2590
 作品の大半が、ピアノ曲か管弦楽曲か声楽曲...と思いきや、思いのほかたくさんあるのがオリジナルの室内楽曲。超絶技巧ピアノだけにとどまらない、生粋のロマン派感性が思い描いた響きを、「同郷」オーストリアの俊才の弦と、作曲当時のオリジナル歴史的ピアノで。

 超絶技巧のピアニストとしてキャリアを歩み始めたリストの作品といえば、ほとんどの人が「ピアノ曲ばかり...いや、多少は交響詩や声楽曲もあるか」くらいの認識だと思います。しかし曲を書いていたことさえ知られていないに等しいであろうジャンルが、室内楽。
 この方面でのリストの貢献はたしかにそれほど大きいものではなかったのですが、しかし丹念に作品目録を見てゆくと、必ずしもリストが室内楽に無関心だったわけではなかったことがわかります。そもそも彼自身、サロンのピアニストとして名声を博してきたわけで、当時ピアノ音楽を披露する演奏会では完全な「ピアノ・リサイタル」はまずありえず、必ず誰かしらの歌い手が歌曲やオペラの抜粋曲を歌ったり、器楽奏者が加わって大小さまざまな室内楽曲を弾いたりといった混成プログラムになっていましたから、演目に興を添えるべくリストが室内楽曲を書いていたとしても不思議はなかったわけです。
 数年前にはaeon レーベルから、編曲愛好家でもあるチェロ奏者アレクシス・デシャルムがチェロのための貴重なオリジナル作品を(いくつかの同時代の編曲などとともに)集めて素晴しいアルバムを制作しましたが(MAECD0745)、今回はヴァイオリン作品。しかも何が素晴らしいって、リスト生前の19 世紀に作られた歴史的ピアノを、この種の歴史的楽器のまごうことなきプロフェッショナルが弾いているというところ。
 Pan Classics レーベルに数々の歴史的ピアノの名盤を残してきたイタリア人奏者トルビアネッリが、超・実力派イルンベルガーを迎えての、ほとんどがオリジナルの「リストのヴァイオリン作品集」。しかもソナタ・クラスの大曲が2曲もあるのが嬉しいところ。
 ヴィブラートをほんとうに大切なところにしか使わないイルンベルガーならではの妖艶な弦の歌いまわしが、時にロマンティック、時に先進的、時に絶妙なハンガリー的熱狂にあふれた作品そのものの魅力をストレートに再現。ゾクゾクするほど美しい響きで充実した鑑賞体験をもたらしてくれます。
 貴重なレパートリーを「19 世紀当時の響きで」味わい尽くせる貴重盤、録音技師もPan Classics でおなじみJ・ヤーミン、銘器の持ち味の映えるエンジニアリングがたまりません。






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