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華やかなプリマドンナ
実はけなげな文学少女、あるいはストイックな修道女
足利真貴デビュー・アルバム[ひかり射す]
with 赤松林太郎
〜4/7(日)


 ソプラノ、足利真貴。
 第17 回大阪国際音楽コンクール声楽・オペラ部門 エスポワール賞を受賞し、華やかなコンサート活動をこなす彼女が、デビュー・アルバムをリリースしてきた。
 
 抜群のスタイルに日本人離れした美しい顔立ち。その舞台栄えする容姿は外国人と並んでもまったく見劣りしない。まるでプリマドンナになるために生まれてきたような華麗な存在感。



 ただ、そんな足利真貴だが、店主はちょっと違う見方をしている。

 今から3年ほど前、名古屋栄の宗次ホールでプッチーニの生涯を語りつつ有名アリアで追いかけるというコンサートを企画した。
 しかし問題はソプラノ。
 プッチーニのヒロインは、トスカのような肉食系女子とミミのような繊細乙女系の2種類にはっきり分かれる。当然歌の性質も違う。その2種類のヒロインを同じ人が歌うことは、可能ではあるが、どうしても無理が生じる。しかも同じコンサートで歌わなければいけないのである。二重人格のように一瞬にして性格を変えなければいけない。そんな芸当ができる人はちょっといないだろうということで、このコンサートのソプラノはダブルキャストでいこうと考えていた。

 ところが・・・いたのである。
 それができる人が。

 足利真貴。

 以前うかがったコンサートの折りに見せた強い演劇的要素が、この人ならできると確信させた。
 そして実際その「プッチーニの生涯」という企画は足利真貴の熱演のおかげで大成功となった。
 マノン・レスコー、ミミ、トスカ、蝶々夫人、ラウレッタ、トゥーランドットの難曲を、それぞれの性格に没入し完璧に晴れやかに演じきった足利真貴は、まさにプリマドンナと呼ぶにふさわしい華やかさで聴衆を魅了した。

 ・・・しかし・・・店主は、その裏でこの足利真貴というソプラノが、迷い惑い震え、まるで少女のように神に祈る姿を見た。
 その大スターの雰囲気とは裏腹に、一つ一つの曲に誠心誠意全身全霊で取り組み、自分のすべてを賭けて挑もうというけなげな姿勢を見た。

 彼女の成功は、そうした繊細ともいえる真摯な文学少女、あるいはストイックな修道女のような日々の姿勢が導いたのだと思う。



 さて、そんな足利真貴がデビュー・アルバムを出してきた。
 これがまあ、まさに彼女らしいアルバム。
 考えて考えて編み出したと思われる異例のソプラノ・アルバム。

 その選曲。

 日本歌曲とレスピーギの歌曲とイタリア・オペラ・アリア。
 普通に考えたら荒唐無稽に見えるこの選曲。
 しかし一見脈絡がないように見えて、・・・そう、実は非常に賢く練り上げられた文学的なアルバム。

 まず最初は親しみやすい日本の作品で聴く人を優しく導き、その後、林光の近代作品で圧倒したかと思うと・・・ふっといつのまにかレスピーギの世界、イタリアに連れて行く。これがなんとも自然。
 レスピーギは、「ローマ三部作」で代表されるド派手で華麗な作曲家のように思われているが、実は室内楽や歌曲に極めて秀逸で深い作品を残す、本当は内向的で文学的な作曲家。日本歌曲、林光の近代作品のあとに続いてなんの違和感もない。そして足利真貴のキャラクターとも相性がいい。ここで足利は、そのレスピーギの知られざる名曲を取り上げ、聴く人を明朗なイタリア歌曲の世界にいざなうのである。
 そして人々の心がトスカーナに赴いたところで、さあ、満を持してヴェルディとプッチーニの舞台へ・・・
 ところがここも『アイーダ』と『トスカ』という超有名作の間に、『群盗』と『つばめ』からレアな曲を入れてくるという周到ぶり。しかもこの2曲が、聴く機会こそ少ないが実は素敵な曲。良くぞ入れてきたという名品なのである。
 そんな足利真貴の考え抜かれた選曲になすがままに導かれ、最後に『トスカ』から「歌に生き、愛に生き」。ああ、そういえば3年前のコンサートで、「歌に生き、恋に生き」を歌ってほしいとメールしたら、「松本さん、、あれは「恋」ではなく「愛」だと思うんです。」と言ってきたのを思い出す。
 足利真貴、最後の最後まで、細部の細部まで真剣なのである。


 そしてピアノが鬼才赤松林太郎。
 アリアCDでもことあるごとに取り上げてきたいまの日本を代表するピアニスト。
 神戸大学卒業という異色の経歴をもち、宮本武蔵よろしく海外のコンクールを道場破りして歩き、リリースCDも「スカルラッティとチマローザ」、「ブルグミュラー」という仰天内容でマニア心をくすぐる。
 ここでの赤松林太郎も、伴奏というより、ピアノというより・・・楽器を超えた舞台そのもの。赤松林太郎のピアノが響くと、照明が灯り、色とりどりの花が用意され、拍手が聴こえ、ときにワインと血のにおいすらしてくる。
 こういう人がピアノだから、無限大の足利真貴の魅力を、豊かに抱擁しつつ発散させることができるのである。


 4/7までのご注文をまとめて発注します。

 




mori−note
MNTM-1
\3240

[ひかり射す] 足利真貴
 with 赤松林太郎

1 初恋  石川啄木 詩/越谷達之助 曲
2 十五夜お月さん  野口雨情 詩/本居長世 曲
3 海の若者  佐藤春夫 詩/清瀬保二 曲
4 落葉松  野上彰 詩/小林秀雄 曲
四つの夕暮の歌  谷川俊太郎 詩/ 林光 曲
 5 夕暮は大きな書物だ
 6 誰があかりを消すのだろう
 7 誰もいない隣の部屋で
 8 死者のむかえる夜のために

レスピーギ:歌曲集
 9  きわめて美しい女
 10  あなたが生まれた時(「4つのトスカーナのリスペット」より)
 11  わが子を見においでください(「4つのトスカーナのリスペット」より)

12  ヴェルディ:オペラ『アイーダ』より 勝ちて帰れ!
13  ヴェルディ:オペラ『群盗』より あなたは私のカルロの胸に ~ カルロが生きているって
14  プッチーニ:オペラ『つばめ』より ドレッタの素晴らしい夢
15  プッチーニ:オペラ『トスカ』より 歌に生き、愛に生き
足利真貴(ソプラノ)
赤松林太郎(ピアノ)

 岐阜県在住のソプラノ足利真貴のファーストフルアルバム。
 国際コンクール入賞の実力で「初恋」「四つの夕暮の歌」など日本歌曲の繊細な息遣いから、オペラ「アイーダ」「トスカ」では大砲のような迫力で魅せる。
 ピアノは冷静な知性と情熱を併せもつ演奏で話題の赤松林太郎、サウンドエンジニアは日本のロック/ラウドシーンにおいて最高峰と知られる原浩一という 豪華かつ異色の布陣で、クラシックファンはもちろんのこと全ジャンルの音楽ファンを虜にするであろう一枚。


ソプラノ 足利 真貴 Maki Ashikaga


 佐々木学園鶯谷高等学校音楽科卒業。大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。大阪音楽大学音楽学部音楽専攻科声楽修了。
 岐阜市主催 堀江幹雄作曲「トロイアの女」(1998 年)の主役・王妃ヘカベ役でデビュー。小林秀雄作曲オペラ「紫のドレス」、林光作曲オペラ「鏡の森の女たち」、熊沢辰巳作曲ミュージカル「花の舞踏会」などに出演。
 コンサートでは近年、大阪ヒルトンプラザアトリウムにて4回のソロコンサート、電気文化会館ザ・コンサートホールにてテレビ愛知主催《足利真貴ソプラノリサイタル》や宗次ホールスイーツタイムコンサート《プッチーニの素顔》などに出演。また、アートピアホールで2年連続で開催されたコンサート《プティカフェ・カプリブルー》では、バーレスクやイタリアンコメディとの新しいコラボレーションで話題をよぶ。平成29 年10 月に行われた足利真貴ソプラノリサイタル「ひかり射す」ではピアニスト赤松林太郎氏と共演、成功をおさめる。

 2016 年第17 回大阪国際音楽コンクール声楽・オペラ部門 エスポワール賞受賞。
 幼児向けの公演として、ミュージカルに出演。また岐阜県教育文化財団主催の子ども音楽会を企画・出演するほか、幼稚園での幼児へ音楽指導など幼児音楽教育にも力を注いでいる。

 これまでに坂井郁子、渡邉弓子、南雲英代、故・相庭尚子、小林史子、ジャンニ・クリスチャック、マヌエラ・クリスチャック、揃洋子、関定子、吉田恭子の各氏に師事。



ピアノ 赤松 林太郎 Rintaro Akamatsu


 1990 年全日本学生音楽コンクール第1 位。2000 年クララ・シューマン国際ピアノコンクール第3 位を受賞した際、Dr. ヨアヒム・カイザーより「聡明かつ才能がある」と評された。
 その後10 以上の国際コンクールで受賞。神戸大学を卒業後、パリ・エコール・ノルマル音楽院にてピアノ・室内楽共に高等演奏家課程ディプロムを審査員満場一致で取得。国内各地の主要ホールはもとより、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、台湾、コロンビアを公演で回る。
 キング・インターナショナルから《ふたりのドメニコ》《ピアソラの天使》《そして鐘は鳴る》《インヴェンションへのオマージュ》をリリースして各誌で絶賛される。著書《赤松林太郎 虹のように》を道和書院より発刊。
 1,000 名以上の指導に携わり、多くの受賞者を輩出している(PTNA 特級グランプリ・銀賞・銅賞、東京音楽コンクール優勝、多数の国際コンクール他)。各地で開催される講座でも好評をおさめ、エッセイストとしては新聞や雑誌にも連載を持っている。第1 回よりダヌビア・タレント国際音楽コンクール(ハンガリー)の審査員長を務め、ヨーロッパ各地の国際コンクールやマスタークラスに多数招聘されている。
 ピアノを熊谷玲子、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、フランス・クリダ、ジャン・ミコー、ジュルジ・ナードル、ゾルターン・コチシュ、室内楽をニーナ・パタルチェツ、クリスチャン・イヴァルディ、音楽学を岡田暁生の各氏に師事。
 現在は一般社団法人日本ピアノ指導者協会評議員、ブダペスト国際ピアノマスタークラス教授、洗足学園音楽大学客員教授、大阪音楽大学特任准教授、宇都宮短期大学客員教授、カシオ計算機株式会社アンバサダー。








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