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アリアCDレコーディング企画第2弾
五島史誉 FUMIYO GOSHIMA
“Appassionata"〜「熱情」




 アリアCDのレコーディング・アルバム、第2弾。
 五島史誉「Appassionata」〜「熱情」。



 2015年10月4日、名古屋宗次ホールで、店主のレクチャー・コンサートが開かれた。
 テーマは「ベートーヴェンの青春」。

 主役となるのは後半プログラムとなる「熱情」。

 コンサートの半年前、その演奏家を誰にするか、ホール・プロデューサーと相談した。
 このピアノ音楽史上最高難易度のソナタ。超人的な高い技術とスタミナと表現力が必要とされるのはご存知のとおり。
 最初に名前が挙がったのはベテランの男性ピアニストだったが、店主には賭けてみたいピアニストがいた。

 五島史誉である。

 五島史誉はどちらかというと文学系の匂いがする。シューマンやショパン。洗練された文学少女的ピアニストというイメージがある。
 華奢でクールビューティー。どんな難曲でも表情一つ変えずサラリと弾く。

 でもその五島史誉が、もしベートーヴェンに挑んだらどうなるのか。しかも「悲愴」や「月光」ではない。

 「熱情」である。


 結局、店主の意見がとおり、10/4のコンサートは五島史誉のピアノでいくことになった。
 さて、その選択は吉とでるのか、凶と出るのか。
 その結果はブログやフェイスブックで書いたとおり。

 その演奏の間、五島史誉はもう今までの五島史誉ではなかった。

 多くの観客が目撃したように、この曲で五島史誉に何かが憑依した。
 ピアノが突如、作曲者の絶望、苦悶、煩悶の思いを叫び始めたのだ。
 それはすでに演奏ではない。美しく狂おしい、戦慄すべき祈祷。

 そして・・・救済。

 終演後、会場全体がまるでその音楽の重量に耐え切れず何メートルも地下にもぐってしまうかのような、そんな錯覚にすら捕らわれた人は多かっただろう。

 たまにこういう、音楽でないものが奏でられる音楽会がある。


 しかし、この演奏会のあとにレコーディングがあるのだ。
 ・・・2週間後である。
 店主は、この演奏会があまりにもすごすぎたので、ここでのライヴ音源をそのまま販売したほうがいいんじゃないかと提案した。
 そしてホールのプロデューサーにその音源のライセンスをもらえないか交渉した。

 すると、さすがコンサートのプロ、こう言った。
 「いえ、五島さんのことなので、もっとすごい演奏に仕上げてきますよ」

 ・・・しかしそうはいってもあそこまでものすごい演奏を繰り広げて、また2週間後にマインドと体調を最高の状態に持っていけるのか・・・
 正直不安に思いながら、しかし予定通りレコーディングの10月19日がやってきた。

 一体五島史誉はどんな演奏を聴かせてくれるのか・・・


 そうしたら・・・

 やはりプロである。
 なんと、あのすさまじいコンサートよりもさらに一段上の状態でこの難曲を弾き上げた。

 後で聞いたが、この2週間、彼女はさらにハードな練習を積み、厳しい環境下に自分を置いて今日に臨んだと聞いた。


 それが今回の演奏である。


 前回同様ほとんど一発録りなので軽いミスタッチはある。
 しかし彼女がすごいのは、ミスタッチがほとんどないほうのテイクではなく、ミスタッチはあっても勢いのあるほうのテイクを選んだことである。
 普通なら後々まで残る録音、やはりミスが少ないほうを選ぶではないか。優等生的演奏を選びそうではないか。

 しかし彼女はそうじゃなかった。音楽を流れ全体で、作品全体で把握する人なのである。
 だからこそ、終楽章ラストで熱く烈しく上り詰めていくテンションは尋常ではない。
 そして何度もいうがこの終楽章は、修正・編集一切なしの一発録りなのである。
 



 さて、それだけで十分満足なのだが、その主役の「熱情」のあとの2曲もすごい。



 2曲目は「エリーゼのために」。
 あの「エリーゼ」。
 子供用の練習曲としてよく使われる「エリーゼ」。

 しかしここでの五島史誉の演奏時間は4分10秒。

 過去のピアニストたちの演奏時間・・・

  シュナーベル 2.39、ケンプ 3.08、アントルモン 2.59、アシュケナージ 2.57、ブレンデル 3.24、ウゴルスキ 3.58

 しかし、知っている人は知っているだろう、あのグルジアのトビリシ生まれの鬼才ボルクヴァゼはこの曲を4分20秒で弾いた。
 その衝撃がいまだに忘れられない。

 あれから店主はずっとこの曲をあのテンポで、アダージョのように痛切に弾いてくれるピアニストを探し続けていた。
 ただ「弾く」だけではない。
 この作品がベートーヴェン中期の傑作であることを認識し、この作品の異常さ無情さ、そして美しさを表現できる人。

 そんな訳で今回五島史誉にお願いしたわけである。
 あの尋常でない世界を再現してもらったわけである。

 この「エリーゼ」はすごい。
 あれから彼女のファンが口々に「あのエリーゼはすごかった」と言うようになったというのも頷ける。

 これが「エリーゼ」だと店主は思う。



 そして最後が「選帝侯ソナタ第2番」。
 通常このプログラムなら最初に持ってこられそうな、ベートーヴェン初期の作品。
 11歳で書き上げられたので、通常のピアノ・ソナタ全集にも入れられない。聴く機会もほとんどない。

 しかしこの秀作が、五島史誉の手にかかると圧倒的な名作に生まれ変わる。

 実はこの曲、「悲愴」の原型と見られることもある。そして調性も「熱情」と同じヘ短調。
 つまり単なる少年期の秀作として見過ごされてはいけない知られざる傑作なのである。

 そんな天才の初期の傑作を、五島史誉は「熱情」に負けない厳しい集中力と烈しい表現力で、大胆且つ華やかに披露する。

 思わぬ未知の名曲の登場にはっとされる方も多いことだろう。
 そして聴き終わったあとに爽快な充実感が体を満たしてくれることだろう。

 この曲が最後に来ることで、アルバム全体の存在感が逆に引き締まった。


 五島史誉、やはり物事の全体を見極められるピアニストなのである。




**/********/******/****/****

 そして今回も前回に引き続きREAL LP-CDの後藤氏が録音を担当。

 今回は、前回好評だったオープンリールテープによる「アナログ録音」だけでのレコーディング。よけいなマスタリングもほとんど行わない生身に近い音。
 そして第1デジタル音源から後藤氏が1枚1枚吟味しながらCD-Rコピー製作。

 通常のCD製作では考えられない手工業的工程になっている。

 そして前回よりも技術的に進歩しているのは明らかで、第1弾よりもさらに太く滑らかな音質になっている。

 耳に優しく、しかし存在感に満ち、目の前で弾いているような臨場感。
 現代ではすでに絶滅したこのすばらしい音質もこのシリーズの特徴。


 今回はステレオ雑誌などにも積極的にアピールしていくつもりである。




REAL ARIA
RA-AN-0002
1CD-R\3000→\2390
初回感謝特価

五島史誉
 “Appassionata"〜「熱情」

ベートーヴェン:
 ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調作品57 「熱情」
 エリーゼのために
 選帝侯ソナタ第2番 ヘ短調WoO.47
  

五島史誉(ピアノ)

名古屋スタジオ・ハル 2015年10月19日
ベーゼンドルファー MODEL-200






このアルバムに添えて・・・
   Pianist 五島史誉


 ドイツ留学時代、恩師であるアルヌルフ・フォン・アルニム先生がしばしば「今日は素晴らしい天気だから散歩に行こう」と誘ってくださった。
 雪が積もりとてつもなく寒い中で見た冬の景色、静かな森の中で感じたドイツの空気を今でも鮮明に思い出すことができる。
 ベートーヴェンは散歩が大好きでそれを日課にしていた。その中で彼が肌で感じた何かが作曲に大きな影響を与え、数々の素晴らしい作品が生まれているのだ。

 今回オール・ベートーヴェンプログラムでのレコーディングをさせていただくことになり、じっくり時間をかけてベートーヴェンと向き合った。
 彼の作品を弾いていたら留学中に経験した冬の散歩のシーンが頭に甦ってきて、それが音となりこのアルバムの中に残された。
 演奏というのは生きていて、それまでの人生経験や様々な感情が表れるものだ。

 同じ演奏は二度とできない。

 現在の私のAppassionataが皆様の心に響きますように。
 このアルバム制作に携わってくださった全ての方々に感謝の気持ちを込めて。






  


REAL ARIA K.Goto


 前回 In der Nacht と同じく38cm/sec-4trackオープンリールテープで収録、16bit,44.1khzでGT40αを介してSSDにデジタル化、その第一データが収録されたPCよりダイレクトに一枚一枚CD−Rに記録しました。
 ワンポイントステレオマイクにはRODE-NT4をバッテリー駆動、音質劣化となるファンタム電源、プリアンプ、多接点ミキサーを省略しました。
 マスタリングについてはノイズフィルターとディレイのみの最小限に止め、イコライザー、コンプレッサーなどの装飾は一切なく、PIONEER RT-1011HとRODE-NT4の特性が前面に出ています。
 アナログ特性を活かした太く滑らかな音質になっています。


  









<五島史誉とは誰なのか>


 五島史誉。

 東京藝術大学卒業。フォルクヴァング音楽大学(ドイツ・エッセン)卒業、2006年、カッシーナ・デ・ペッキ国際ピアノコンクール第2位、フィリッポ・トレヴィザーン国際ピアノコンクール第2位。
 だが、まあ、経歴はどうでもいい。

 2年前、アリアCD主催のコンサートをたてつづけに行っていたとき、名古屋の有名なホールのプロデューサーに紹介されたのがこの人だった。「すばらしい人がいるよ」と。
 さっそく演奏会を聴きに行ってみた。
 ショパンやシューマンの室内楽を中心としたコンサート。共演者はポーランドのベテラン弦楽四重奏団。

 前半は弦楽奏者を主役とした演奏が続く。
 当然五島史誉は伴奏なので目立たない。堅実で柔らかな伴奏を聴かせてくれる。
 だからそのときは正直とくに強い印象はなかった。

 びっくりしたのは後半のシューマンのピアノ五重奏曲。
 第1楽章こそ弦楽四重奏団が曲をリードして、どちからというと重厚で硬質な演奏を聴かせてくれていたのだが・・・第2楽章あたりからだんだん様子が変わってくる。

 五島史誉のほうが曲をリードし始めてきたのである。

 といっても猛女のように「あんたらついといで!」と言っているわけではない。そのスタンスは伴奏のときと変わらない。柔らかく、やさしく、穏やか。・・・なのにヨーロッパの百戦錬磨の猛者たちが、いつのまにか彼女に飼いならされて、そのピアノの前でゴロゴロ
喉を鳴らして甘えているのである。

 そうなるともうホールは五島史誉ワールド。

 天井から花びらが舞い降りて、まるで天使の楽園のようになってしまう。猛獣のようだったベテラン奏者たちはもはや彼女の愛らしいペット。

 五島史誉、そういう不思議なオーラを持つ。


 美人である。
 物腰も穏やかで、おそらくどこかの令嬢なのだと思う。詳しくは知らない。

 だが、ただものではない。
 その後何度か彼女のコンサートに出かけるのだが、ホールはいつもいつの間にか「五島史誉ワールド」になり、観客はてなづけられてしまう。
 実際ここ数年、彼女を中心とした「シューベルティアーデ」という催しが有志の人によって開催され続け、毎回満員になっていると聞く。

 技巧的にうまいのは当たり前として、自分の世界をもち、それをいやみなく外の世界に顕現できる女流ピアニストというのはそんなにいない。



.

<製作者 REAL LP-CD より>

 前回 「In der Nacht」 と同じく38cm/sec-4trackオープンリールテープで収録、16bit,44.1khzでGT40αを介してSSDにデジタル化、その第一データが収録されたPCよりダイレクトに一枚一枚CD−Rに記録しました。
 ワンポイントステレオマイクにはRODE-NT4をバッテリー駆動、音質劣化となるファンタム電源、プリアンプ、多接点ミキサーを省略しました。
 マスタリングについてはノイズフィルターとディレイのみの最小限に止め、イコライザー、コンプレッサーなどの装飾は一切なく、PIONEER RT-1011HとRODE-NT4の特性が前面に出ています。
 アナログ特性を活かした太く滑らかな音質になっています。

 今回の変更点は、マイクとADコンバーターのみですが、前回よりマイクの位置をピアノより遠ざけ響きが若干多めになっています。

 録音当日、同じピアノ同じホールとは思えないほど重い響きに驚きました。
 調律によりこんなに印象が変わるものなのかと、、、

 この雰囲気をアナログテープでそのまま収録するとかなり低重心になります。
 マスタリングではREAL LP-CD からの手法を継続し、ノンエフェクターでクリアにすることでした。
 それらは音声ケーブル、電源ケーブル、関連するすべてのプラグを試行錯誤したうえバランスを調整しました。そして最後の仕上げであるCD−Rを記録するPCの電源プラグに至るまで試聴のうえ選択交換しています。









アリアCD初のレコーディング・アルバム
第1弾
五島史誉「In der Nacht〜「夜に」」



 アリアCD初のレコーディング・アルバム、五島史誉「In der Nacht〜「夜に」」。
 こちらも製作から1年以上経過しているにもかかわらずベストセラーが続いております。



デジタル録音

REAL ARIA
RA-0001-N
ナレーションあり
1CD-R\2200→\1990

五島史誉
 
In der Nacht〜「夜に」

  シューベルト=リスト:ウィーンの夜会 第6番 S.427
  シューマン:森の情景 Op.82より「予言の鳥」
  シューマン:子供の情景 Op.15より「トロイメライ」
  ドビュッシー:ベルガマスク組曲より「月の光」
  スクリャービン:左手のための小品 Op.9より「夜想曲」
  シューマン=リスト : 春の夜 S.568
  シューマン:幻想小曲集 Op.12より
    「夜に」 In der Nacht
    「夢のもつれ」 Traumes Wirren
    「歌の終わり」 Ende vom Lied

 ★ボーナス
    五島史誉〜お話
  

五島史誉(ピアノ)
REAL ARIA
RA-0001
ナレーションなし
1CD-R\2200→\1990
名古屋スタジオ・ハル 2014年11月7日
ベーゼンドルファー MODEL-200

ナレーションはアルバムの最後に2、3分入ります。ナレーション「ある」「なし」を選べます。




アナログ録音

REAL ARIA
RA-AN-0001
1CD-R\3200→\2690

五島史誉
 In der Nacht〜「夜に」

  シューベルト=リスト:ウィーンの夜会 第6番 S.427
  シューマン:森の情景 Op.82より「予言の鳥」
  シューマン:子供の情景 Op.15より「トロイメライ」
  ドビュッシー:ベルガマスク組曲より「月の光」
  スクリャービン:左手のための小品 Op.9より「夜想曲」
  シューマン=リスト : 春の夜 S.568
  シューマン:幻想小曲集 Op.12より
    「夜に」 In der Nacht
    「夢のもつれ」 Traumes Wirren
    「歌の終わり」 Ende vom Lied
  

五島史誉(ピアノ)
名古屋スタジオ・ハル 2014年11月7日
ベーゼンドルファー MODEL-200

ナレーションは入っていません。

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 デッキPioneer RT-1011H 
 マイクAudio-technica AT−822
 テープ RMG LPR35
 電源Chikuma+ leviton 5362+LC-OFCclass1
 ラインケーブブルShark SG12E2 OFC

 アナログが面白いのは周辺パーツで音質を構築できる点にあり、イコライザー処理による信号劣化を免れるところにあります。
 Pioneer RT-1011H について・・・サウンドワールドの小川さんによれば、デッキ専門メーカーよりプリント基板の信号経路、アース経路のパターンや、リード線配線の処理を見れば総合音響メーカーのデッキは音が良いとのこと。
 実際RT-1011H はオーディオファン向けでプロ用ではないが録音再生アンプはとても美味しい音がする。一部のマニアが独占しているのは誠にもったいない話だと思う。(REAL LP-CD)

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 プロの仕事というのはすごい。
 レコーディングでもマスタリングでも編集でも、さすがにプロがやると素晴らしいものができあがる。

 でもこの仕事をやっていて、ときどき疑問に思うことがある。

 FMから個人的に録音したなんの手も加えてないテープのほうが、後に出た正規盤よりも生々しかったり迫力があったりする。
 また演奏者本人が記録用に録音して、それを個人的に分けてもらったものがとてつもなくリアルだったりする。

 では、もし自分でプロの演奏家の演奏を録音して、ほとんど編集やマスタリングを行わないで、1枚1枚マスターからCD-Rを作製したらどんな音になるのだろう。

 何かに挑戦するとか、パンドラの箱を開けてやろうとか、そんな大げさなことを言うつもりはない。
 本当に単純な興味である。

 で、実際にやってみた。
 出来上がったものが一定水準以下ならお蔵入りにして、演奏家の人にサンプルをプレゼントして終わろうというくらいの軽いつもりだった。

 ・・・が、始めてみると入れ込んでしまって、結局企画から1年以上かかった。

 そしていよいよ完成した。

 今、目の前でそのCDがかかっている。

 ・・・悪くない。

 自分で作ったからか?
 いや、それほど自分に甘くない。この仕事をやって25年である。人生の半分をこの仕事に費やしてきた。
 目の前でかかっているアルバムの水準が低くないというのは聴けばわかる。

 さあ、そしてこの音質をどう取るか。
 それは聴く人の感性による。

 「まあ、こんなものか」と言う人もいるだろう。プロのエンジニアの仕事のすごさを再認識する人もいるかもしれない。
 逆に「これだ!」と喜ぶ人もいるだろう。その高い質に資本主義のあり方にまで言及する人もいるかもしれない。

 いずれにせよ「CD」というものについていろいろな感興をもたらしてくれる1枚が出来上がったことだけは間違いない。


 これがアリアCD初のレコーディング・アルバムである。
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 ピアノは五島史誉。
 今回は編集はしないという前提だから、ノーミスで難曲を完奏し、同時に高い音楽性を発現させなければならなかったのだが、彼女だったからこそそれが可能だった。

 今回のアルバムは「In der Nacht」・・・「夜に」。
 もちろんすべて彼女が選曲した。
 優美でちょっとゴージャス。
 穏やかで癒し的な雰囲気が全体を包むが、どこか不吉で残酷な童話を見るような瞬間もある。
 聴けば聴くほどどんどん惹きこまれて行く。

 普段話をしていても、収録をしていてもそうだったが、今回のアルバムを聴いてさらに奥の深いアーティストだという印象を強くした。


 ・・・ふと気づいた。
 今回自分はプロデューサーという役回りだったはずなのに、いつのまにか彼女の音楽に魅了され飼いならされてしまっていたことを。

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レコーディング風景・・・http://youtu.be/iPK1L6qIXCY
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<音響の鬼>


 演奏家の次に考えなければいけないのは録音エンジニアである。
 プロのエンジニアにお願いすればびっくりするような高額になってしまうし、もともとそれはこちらの趣旨に反する。

 ところがこれも悩まなかった。というかこの人が出現したから今回の企画が現実化したのである。

 アリアCDではおなじみの、あの「REAL LP-CD」の製作者の後藤氏である。

 商売を抜きにした、良いものを作ることにしか興味のない「録音」の鬼のような人。
 さっそく今回の話をしたところすぐにその趣旨を理解してくれて、完全ノーギャラで参加してくれることになった。

 まったくの余談だが、今回のアルバムは製作者の店主は当然として、演奏家の五島さんもエンジニアの後藤さんも全員ノーギャラで、経費は全部自前である。
 いいものを作るためにそれぞれができることを自分たちでやる、という発想。
 アルバムが売れたら1枚につき200円か300円が入る。100枚売れてようやく黒か。
 もともと利益のためにはやってない。
 演奏家の五島さんも、エンジニアの後藤さんも、製作者の自分も、作りたいから作ったアルバムなのである。(余談ついでだが、殆んどのエンジニアはこんな予算設定なら見向きもしないだろう。)

 さて録音の後藤氏がこだわったのはできるだけ原音を忠実に再現すること。
 演奏のつぎはぎ編集は一切しないで、あくまで演奏時の雰囲気をまるごと伝える。
 小さな教会のような「スタジオ・ハル」の豊かなホールトーン、そして名器ベーゼンドルファーの個性、そうしたものを当日と同じように響かせる。
 とにかく、波形処理など音に手を加えるよけいな処理を徹底的に排除し、3人が納得する音作りを目指した。

 そうしてできあがったデジタル音源のアルバムは、あの日のホールのひだまりをも思い出させるぬくもりあるものになった。

 上質である。
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アナログ録音などできるのか

 実は企画段階で後藤氏がとんでもないことを言い出した。

 アナログ録音をしたいと言い出したのである。
 すでに絶滅寸前のオープン・テープ・デッキによる録音である。

 オープン・デッキ・・・??
 あの古代の遺物!?

 そもそも録音用のテープはもとより、録音が可能なオープン・デッキがこの世に存在するのか?
 
 このデジタル全盛期、オープン・デッキで録音する人なんていない。
 プロではありえない。
 機械自体が保守されていないから本番で作動しなかったら補償問題だし、編集が困難だからコスト的にも割が合わない。

 しかし後藤氏はデジタルと同時にアナログ録音を強行すると言う。
 ライヴ演奏の息遣いを伝えたい・・・ホンモノのライヴの繊細で豊かな音はアナログでこそ収録できる、と。

 でもいくらなんでもそれは無理だろう・・・

 しかしここが後藤氏の「鬼」たる所以。
 所有している40年前のオープン・デッキ(さらに何台か今回のために買い足したらしい)のなかで最も性能が良いものを修理・調整。・・・しかし結局納得がいかず、「サウンドワールド」の専門技師に調整を依頼、ついに録音機器として復活させることに成功したのである。
 さらにテープは世界で唯一現在も発売されているものを取り寄せた。

 もう呆れるしかない。

 しかし後藤氏はさらに理想を追求する。
 オープン・テープ・デッキの音をリアルに再現するため、リムーバブル・メモリー、リミッター、エフェクター類はパスし、録音はワンポイント・ステレオ・マイクAT−822をバッテリー駆動し、音質変化となるファンタム電源、ミキサー、マイクプリを省略。もちろんマスタリング時やデータ転送による頻繁なコピー、変形を回避した。
 デジタル変換はCD-R製作用パソコンへの取り込みのため1回のみ。そこからそのままCD-Rへダイレクトで書き込みをするのである。

 そうしてできあがったアナログ録音は、デジタル録音とは別物といっていいほどの仕上がりになってしまった。
 デジタル録音のほうだって十分すぎるほど高音質なのだが、アナログ録音は異様に生々しく、目の前で弾いているようなリアル感が漂う。打鍵の粒立ちも背筋がぞぞっとするような迫力。

 アナログ録音というのはもっと「柔らかく」「優しい」音質かと思ったがそうではなく、全体の雰囲気はまろやかなのにつんざく強打の迫力はこちらのほうが強烈、繊細なピアニッシモの響きも存在感が顕わ。しかも耳に優しい。
 随所でぞくぞくさせられるのである。

 そして・・・当日の演奏のニュアンスをより伝えてくれたのもアナログのほうだった。
 デジタルのときには「あれ、ここもっと深いニュアンスだったのにな」と思うところが2箇所ほどあったのだが、アナログのほうで聴くと「そうそう、その感じ!」と膝を打った。
 
 なぜそうなるのかは分からない。だが結果としてそうなった。
 まさに後藤氏の理想が実現したのである。

 実はアナログ・ファンの間ではすでに発売前から話題になりつつある。オープンデッキで新録音をしたヤツがいると。

 このアナログ録音CD-R、近いうちに高級オーディオ・ショップでも紹介されることになると思う。
 
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オープン・デッキ録音模様:http://youtu.be/LpP4QeKSg_s
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ほかにもいくつか

 演奏については一切つぎはぎをしていない。一番良いテイクをそのまま収録している。
 現在の編集技術はすごい。秒単位で別の演奏をつぎはぎできる。だからいくらでも完璧な演奏ができる。
 「ライヴ演奏」といってもリハーサルや別の収録日のものをつぎはぎしてより完璧な演奏に修正できるし、実際それをするのが常識である。
 演奏家にしてみればそれが半永久的に残ってしまうのだからそうしたくなる気持ちも分かる。傷のある演奏は残したくない。
 でもそれでいいのか。
 演奏に傷があっても、それも含めてそのときの演奏・・・そのときの空気を伝えることのほうが大事なのではないか・・と。

 そんなことも考えて今回のアルバムの演奏は一切編集をしてない。
 それがこの空気感を生んだ。
 そしてそれなのにこの演奏水準の高さ。


 五島史誉の不思議な魅力を伝えるために、普通のクラシック・アルバムではありえないことだが、デジタル・アルバムのほうには最後に彼女の「ナレーション」が入っている。
 「夜の音楽」についてのちょっとした話である。
 彼女の演奏だけを純粋に楽しみたい方、五島史誉の魅力をより知りたいという方、両方あると思うので、デジタルのほうは「ナレーション」のあるなしを選べるようになっている。

 アナログのほうはナレーションは入っていません。
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名古屋の瀟洒なスタジオハル


<レコーディング・エンジニア REAL LP-CD 後藤氏より>


 REAL ARIAについて、、、、、
 2015年新春を迎えて念願の(REAL ARIA)レーベルが誕生。
 繊細なアナログ信号をそのままCDに記録するREAL LP−CD同様、音源がレコードでも生録でもコンセプトは全く変わりません。

 昔のレコードを聴いているとどうしてもマスターテープが聴いてみたくなります。
 アナログ音源のハイレゾ配信でもマスターテープの音の良さが再認識されています。
 オープンテープと調整エンジニアが周りに存在しているうちに録音しておきたいという想いが募り、今回ようやくその夢が実現しました。

 さて肝心の音質ですが一言でいうと同時録音のデジタルに比べ太くて力強いです。
 この違いはマイク設定時より、演奏者の五島さん、アリアCDの松本さんと共に明らかになっておりました。テイクごとタンノイのモニタースピーカーで直ぐに再生確認を行った為、録音結果には敏感に成らざるを得ません。
 メディアの違いもさることながらPIONEER RT-1011Hオープンデッキ録再アンプの特性は生演奏のエッセンスを何も処理しないで再現できることに正直驚きました。

http://blogs.yahoo.co.jp/with_3head_3motor/33706695.html  
(デッキを調整して頂いた方からもコメントを頂きました)

 この38cm/sec 4trackデッキはオーディオファン向けで、実際編集を主体とした スタジオプロ用デッキに比べ音質は決して劣るものではありません。
 その他使用機材は Recorder TASCAM DR−100MKII、マイクAT−822 、テープ RMG LPR35、電源Chikuma+ leviton 5362、ケーブル類一式 LC-OFCclass1、です 。
 アナログ録音はレベル調整とヒスノイズ除去のみ行いレコーディンク時の雰囲気をそのままCDに収めました。

 一方デジタル録音はマイクセッティングで追込むのは難しく、リヴァーブ処理を施してあります。
 また手間のかかるレコーディングについて、スタジオハルの松岡様、調律師の鈴木様、40年前のオープンデッキを新品同様に調整したサウンドワールド小川様より多大なご支援を得て完成したことに心より感謝致します。






ページ内の商品チェック・ボックスをクリックしたら、最後に 「かごに入れる」ボタンを押してください。
新店内のほかのページのお買い物がありましたら、そちらもすませ、最後に「注文フォームへ」ボタンを押して注文フォームで注文を確定してください。
(チェック内容を変更したら、必ずもう一度「かごに入れる」ボタンをクリックしてください。変更内容がかごに反映されませんので)


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