≪第102号アリアCD新譜紹介コーナー≫
その1 2019/4/30〜
第102号
5/3(金)紹介新譜
マイナー・レーベル新譜
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NAXOS
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8.579041
\1200 |
2台ギターのためのニュージーランド音楽集
ジョン・サーサス(1966-):ムジカ(2017)…世界初録音
1.第1曲:Soledad
2.第2曲:Chia
3.第3曲:El Dorado
4.作者不詳:PMkarekare Ana(マレク・パシェツニー編)(2016)…世界初録音
ジャック・ボディ(944-2015):アフリカのストリングス(1990)
5.第1曲:Valiha I:Ramandriana
6.第2曲:Kora:Chedo
7.第3曲:Valiha II:Samy Fali
アンソニー・リッチー(1960-):パ・ド・ドゥ
Op.51a(1992)…世界初録音
8.第1曲:Prelude 前奏曲
9.第2曲:Au revoir さようなら
10.第3曲:Jeux 宝石
11.第4曲:Waltz triste 悲しいワルツ
12.第5曲:Epilogue エピローグ |
ジェーン・カリー(ギター)
オーウェン・モリアーティ(ギター) |
魅力的なギター音楽を次々に生み出すニュージーランド。今回のアルバムはとびきりエキサイティングな「2台ギターのための作品」が4曲収録されています。
冒頭のサーサスはニュージーランドで最も知名度の高い作曲家の一人。2004年のアテネ・オリンピックでは彼が作曲したファンファーレが演奏されたことで知られています。彼の「ムジカ」は異なる3つの雰囲気を持つ曲で構成された作品。ジャズ風でもあるジャンルレスな音楽です。
次の「PMkarekare Ana」はニュージーランドの伝統的なマオリの歌。この録音では名ギタリスト、マレク・パシェツニーのアレンジで紹介されています。
ジャック・ボディの「アフリカのストリングス」はアフリカの伝統的なハープ「KORA」の音色にインスパイアされた作品。ギターとは思えない不思議な音色がユニークです。
リッチーの「パ・ド・ドゥ」は架空の恋人たちの踊り。聴き手は想像力を発揮して彼らの姿を追うことになります。カリーとモリアーティ、2人のギタリストの息のあった演奏でお楽しみください。
録音 2017年11月4-5日 The Lilburn Studios,
Victoria University, Wellington, New Zealand
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8.559809
\1200 |
レシュノフ(1973-):交響曲 第4番「ヘイチャロス」他
交響曲 第4番「ヘイチャロス」
1.第1部:Fast: Hey: Binah
2.第2部:Slow
ギター協奏曲
3.第1楽章:Maestoso, allegro
4.第2楽章:Vav: Hod, adagio
5.第3楽章:Finale: Lively
6.スターバースト
世界初録音 |
ジェイソン・ヴィーオ(ギター)…3-5
ジャンカルロ・ゲレーロ(指揮)
ナッシュビル交響楽団 |
ニューヨーク・タイムズ紙で「現代アメリカのリリシズムを牽引する人」と評された作曲家ジョナサン・レシュノフ。
世界各国60以上のオーケストラのために委嘱作を書いている彼の新作は、ホロコーストを生き延びた修復楽器をコレクションする団体「Violins
of Hope」のための曲。
古代ユダヤの神秘的なテキスト「ヘイチャロス=古代ヘブライ語の部屋の意」からインスピレーションを得ており、ユダヤ人の倫理と精神を探求するために作曲されたという力強い楽想を持つ作品です。
パーカッションの響きが印象的な複雑なリズムを有する第1楽章、荘重で厳格、重厚な響きに満たされた第2楽章。
レシュノフが目指す“音楽による旅”が堂々と描かれています。「ギター協奏曲」はボルティモア交響楽団とマリン・オールソップのために書かれた技巧的な作品。
アルバムでは名手ボーが冴えわたるテクニックを披露します。また「スターバースト」は短いながらも完成度の高い曲で、現在の彼における代表作の一つとなっています。
録音:ローラ・ターナー・コンサートホール、シャーマーホーン・シンフォニー・センター、ナッシュビル 2018年3月22-24日…1-2 2018年4月27-28日…3-5 2016年11月17-19日…6
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8.579044
\1200 |
ロメロ・アセンホ(1957-):チェロ協奏曲/2台のヴァイオリンのための協奏曲
他
弦楽のための交響曲(2014)
1.第1楽章:Allegro
2.第2楽章:Lento
3.第3楽章:Allegro
ディヴェルティメント(1995)
4.第1楽章:Moderato
5.第2楽章:Lento
6.第3楽章:Allegro
7.チェロと弦楽オーケストラのための協奏曲(1995)
2台のヴァイオリンと弦楽オーケストラのための協奏曲(1989)
8.第1楽章:Allegro
9.第2楽章:Lento
10.第3楽章: Allegro
世界初録 |
イアゴバ・ファンロ(チェロ)…7
セルゲイ・テスリャ(第1ヴァイオリン)…8-10 |
20世紀終りから21世紀にかけて、音楽は多様化の一途を辿っています。
スペインの前衛音楽もその例に漏れず、日々新しい音楽が生み出されており、激しい作品だけでなく、時にはメランコリックな音への憧れも生まれています。
作曲家ロメロ・アセンホはとりわけユニークな作風の持ち主であり、人々は彼の作品を「トランスアバンギャルド」と表現、彼の師であるトマス・マルコも「彼は決して先駆者ではないが、何が先駆けなのかを知っており、必要に応じてそのやり方を使用している」と評しています。
彼の直近の作品である「弦楽のための交響曲」は、激しい音の応酬で始まり、第2楽章は奇妙な静寂が支配します。そして最終楽章でまた音が乱舞し、最後までエネルギーが尽きることはありません。
1990年代に書かれた3作品も興味深い作風によるもので、どちらかというと古典的な作風による「ディヴェルティメント」とバッハ作品ヘノオマージュである「ヴァイオリン協奏曲」、前衛的な「チェロ協奏曲」と作風の違いが感じられます。
録音 2016年12月26-28日 Auditorio de Murcia,
Spain
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8.574011
\1200 |
ホセ・フェレル(1835-1916):ギター二重奏曲全集
1.ドニゼッティの
歌劇《寵姫 ラ・ファヴォリータ》の主題による幻想曲(1881)
2.ボレロ ホ短調 Op.39(2台ギター版)(1897-1898出版)
3.ドニゼッティの
歌劇《ルクレツィア・ボルジア》の主題による幻想曲(独奏ギター版)(1878)
4.テレプシコーレ:ワルツ Op.45(1903-1904出版)
5.ミニュエ イ長調 WoO10(1883)
6.メランコリー:夜想曲 ハ長調 Op.23(2台ギター版)(1895出版)
7.水の精:ワルツ ト長調 Op.26(2台ギター版)(1895-1896出版)
8.マズルカ WoO1(1925出版)
9.ワルツ・オリジナル WoO9(1879)
10.湖の夜:幻想曲による変奏曲 ニ短調 Op.14(独奏ギター版)(1888頃出版)
11.スペイン風セレナード イ長調 Op.34(1897-1898出版)
12.ヴェルディの歌劇《椿姫》の主題による幻想曲(1884) |
イェルゲン・スコグモ(ギター)…トラック3(ソロ)
イェンス・フランケ(ギター)…トラック10(ソロ) |
カタルーニャで生まれたロマン派の作曲家フェレル。
彼の父親はアマチュアのギタリストであり、5歳から父の手ほどきを受けたフェレルは、優れたギタリストとして大成し、演奏するだけでなく作曲にも力を注ぎ、やがて教師として数多くの後進を育て上げます。
パリにも長期滞在し、一時期はコメディ・フランセーズのギタリストを務め、またフランス社会協会のメンバーに名を連ね、リセウの学校では無償でレッスンを行うなど、社会的貢献も果たしています。
彼は多くのギタリストたちと親交を重ね、数多くの共演を行いました。その結果生まれたのがこれらのギター・デュオ作品です。当時流行していた「歌劇の旋律を用いた幻想曲」やゆったりとした舞曲を含むオリジナル作品の数々は、パリの優雅な雰囲気を思い起こさせる美しさに満ちています。
録音 2017年4月25-27日 Church of St Margaret,
Mapledurham, Oxfordshire, England, UK
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8.573972
\1200 |
期待の新進演奏家/アレハンドロ・コルドバ(ギター)
リサイタル
マヌエル・ポンセ(1882-1948):南のソナチネ(1932)
1.第1楽章:Campo
2.第2楽章:Copla
3.第3楽章:Fiesta
4.メルツ(1806-1856):エレジー
モレノ・トローバ(1891-1982):ギター・ソナチネ(1924)
5.第1楽章:Allegretto
6.第2楽章:Andante
7.第3楽章:Allegro
8.タレガ(1852-1909):アラブ風奇想曲(1892)
アントニオ・ホセ(1902-1936):ギター・ソナタ(1933)
9.第1楽章:Allegro moderato
10.第2楽章:Minuetto
11.第3楽章:Pavana triste: Lento
12.第4楽章:Final: Allegro con brio |
アレハンドロ・コルドバ(ギター) |
メキシコ生まれのギタリスト、アレハンドロ・コルドバのリサイタル・アルバム。地元のベラクスル音楽院で学んだ後、ロシアで演奏活動を行い注目を集め、これまでに2枚のアルバムをリリース、どちらも好評を博しています。
いくつかのコンクールでも良い成績を収めていますが、2017年「タレガ国際ギター・コンクール」での優勝は彼の知名度を格段に引き上げ、世界的奏者としての活躍への足掛かりとなりました。
ここでは得意とするポンセやトローバを演奏。巧みなテクニックと音楽性が光ります。
録音 2018年1月15-17日 ロックウェイ・スタジオ、カステリョン・デ・ラ・プラナ、スペイン
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8.573713
\1200 |
ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757):ピアノ・ソナタ全集
第22集
1.ピアノ・ソナタ ヘ短調 K204b/L_/P255
2.ピアノ・ソナタ ヘ長調 K367/L172/P453
3.ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K248/LS35/P187
4.ピアノ・ソナタ 変ロ短調 K131/L300/P154
5.ピアノ・ソナタ ト長調 K338/L87/P400
6.ピアノ・ソナタ イ長調 K285/L91/P321
7.ピアノ・ソナタ ト短調 K97/L_/P5
8.ピアノ・ソナタ ト長調 K305/L322/P397
9.ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K228/L399/P224
10.ピアノ・ソナタ ヘ短調 K204a/P170
11.ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K154/L96/P183
12.ピアノ・ソナタ ニ長調 K352/LS13/P343
13.ピアノ・ソナタ イ長調 K300/L92/P312
14.ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K267/L434/P363
15.ピアノ・ソナタ イ長調 K83/LS31/P31
16.ピアノ・ソナタ ニ長調 K178/L162/P392
17.ピアノ・ソナタ イ長調 K321/L258/P450
18.ピアノ・ソナタ ハ短調 K56/L356/P50 |
エイラム・ケシェト(ピアノ) |
ドメニコ・スカルラッティが生涯に渡って残した555曲のソナタは、どれもスペイン女王マリア・バルバラのために書かれています。
マリアが生まれてすぐに、彼女の父で音楽愛好家であったポルトガル王ジョアン5世はスカルラッティを音楽教師として雇い入れ、スカルラッティは幼い王女マリアのために練習曲を書き続け、その子弟関係はマリアがスペイン王フェルナンド6世と結婚しても途切れることがありませんでした。
初期の作品は幼い王女の練習曲として書かれたため、技術的な要求は低く抑えられているとされていますが、自筆稿が失われているため、作品の正式な作曲順などはわかっていません。
ほとんどが単一楽章で書かれ、1曲ごとに多彩な性格を持つソナタ集。聴き手だけでなく、演奏者にとっても楽しい曲集です。
演奏しているのは1992年イスラエル生まれのピアニスト、エイラム・ケシェト。現在バーゼルの音楽アカデミーで研鑽を積んでおり、将来を期待される逸材です。
録音 2016年6月9-11日 Morse Recital Hall,
Yale School of Music, New Haven, Connecticut,
USA
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8.574023
(2CD)
\2400 |
ドヴォルザーク(1841-1904):オラトリオ「聖ルドミラ」
【CD1】
1-11.第1部:メールニク城の中庭で
【CD2】
1-10.第2部:ベロウンの森で
11-15.第3部:ヴェレフラド大聖堂で |
ルドミラ…アドリアーナ・コフトコーヴァ(ソプラノ)
スヴァターヴァ…カルラ・バイトナローヴァ(アルト)
ボルジーヴォイ…トーマシュ・チェルニー(テノール)
農民…オンドレイ・サーリング(テノール)
イヴァン…ペーター・ミクラーシュ(バス)
スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団(ペテル・フィアラ…合唱指揮)
レオシュ・スワロフスキー(指揮)
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団 |
1884年3月、初めてイギリスを訪れたドヴォルザークは自身の「スターバト・マーテル」を指揮し大好評を博しました。
彼はその年の秋にも再び渡英し、やはり「スターバト・マーテル」を演奏、以降、ドヴォルザークとイギリスの関係は強固なものとなり、1886年にはリーズ音楽祭のための合唱作品の委嘱を受けるまでとなります。
このためにドヴォルザークが選んだ題材は9世紀後半に実在した聖女「ボヘミアのリュドミラ」。チェコの統一を成し遂げた王ボジヴォイ1世の妃であった彼女は、国家としてギリシャ正教を受け容れ国民を帰依させることに貢献したというチェコのカトリックの庇護者。
ドヴォルザークは彼女のエピソードを詩人ヤロスラフ・ヴルフリツキーの台本を用いて、壮大なオラトリオに仕上げ、ロンドンで演奏し大喝采を浴びました。
ドヴォルザークの創作の頂点をなす豊かな旋律美に溢れた大作です。
録音 2015年4月29-30日 コンサートホール・オブ・スロヴァキア、ブラティスラヴァ、スロヴァキア
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8.573081
\1200 |
プフィッツナー(1869-1949):歌曲全集 第3集
1.Ich und Du 私とあなた Op.11-1(1901)
2.Ich aber weis 私は知っている Op.11-2(1901)
3.An die Mark マルクに寄す Op.15-3(1904)
4.Abendrot 残光 Op.24-4(1909)
5.Abbitte 謝罪 Op.29-1(1922)
6.Herbsthauch 秋の吐息 Op.29-2(1922)
7.静かな都市 Op29-4(1922)
8.Sehnsucht nach Vergessen 忘却への憧れ
Op.30-1(1922)
9.Denk es, o Seele! 思え、おお魂よ Op.30-3(1922)
6つの愛の歌 Op.35(1924)
10.第1番:Bestimmung 決意
11.第2番:Ich werde nicht an deinem Herzen
sat
私はあなたの心の中にいない
12.第3番:Wo hast du all die Schonheit
hergenommen
あなたは全ての美しさを受け止めますか?
13.第4番:Schwill an, mein Strom
うねり、わが嵐
14.第5番:Eine Melodie singt mein Herz
私の心の中で歌うメロディ
15.第6番:Denn unsere Liebe hat zu heis
geflammt
私たちの愛はあまりにも熱い炎のように
6つの歌曲 Op.40(1931)
16.第1番:Leuchtende Tage 楽しい日
17.第2番:Wenn sich Liebes von dir losen
will あなたの愛が失われるとき
18.第3番:Sehnsucht あこがれ
19.第4番:Herbstgefuhl 秋の気配
20.第5番:Wanderers Nachtlied さすらい人の夜の歌
21.第6番:Der Weckruf 起床ラッパ
22.Die schlanke Wasserlilie WoO14 ほっそりとした睡蓮(1984-1986頃)
23.Weihnachtslied WoO3クリスマスの歌(1902/1933改訂)…世界初録音 |
ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー(メゾ・ソプラノ)…1-9.16-22
ブリッタ・シュタルマイスター(ソプラノ)…10-15.23
フライブルク・キリスト教会児童合唱団…23
クラウス・ジーモン(ピアノ) |
後期ロマン派の作曲家プフィッツナーの歌曲全集の第3集。このアルバムには2つの注目すべき歌曲集が含まれています。
1924年の「愛の歌」はプフィッツナー自身が「曲順を変えることなく、必ず6曲全てを歌うこと」と指定された緊密な結びつきをもって構成された歌曲集。
タイトルこそ「愛の歌」ですが、内容は「幸福と苦しみ」についてであり、強い感情が表出されています。1931年の「6つの歌」は、内容が二つに分かれており、最初の3曲は過去の恋と満たされない憧れがテーマ、残りの3曲は自然の情景と人間の心を描いています。
シューマンの影響が感じられる内省的な雰囲気を持つ初期の「ほっそりとした睡蓮」や、児童合唱を交えた「クリスマスの歌」の無垢な美しさにも心惹かれます。
録音 2012年8月6-8日、12月6-7日 Schlossbergsaal
des SWR-Landesstudios, Freiburg, Germany
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<マイナー・レーベル歴史的録音・旧録音>
<メジャー・レーベル>
<映像>
<LP>

第102号
5/2(木)紹介新譜
<国内盤>
マイナー・レーベル新譜
<マイナー・レーベル歴史的録音・旧録音>
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SCRIBENDUM
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アタウルフォ・アルヘンタの芸術
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スペイン最大のカリスマ指揮者アタウルフォ・アルヘンタ。
今でこそアルヘンタのCDは店頭で見つけるのが難しいほど少なくなってしまったが、LPファンには熱心な彼の信者が多い。
スペイン生まれらしい情熱的で豊かな色彩感覚と、師シューリヒト譲りの実直で堅実な音楽作りが本物志向のファンに愛されたのである。
メーカー主導のレパートリー作りのためにどちらかというと「色物系」扱いされてしまいがちなアルヘンタであるが、生み出す音楽にこんなにも独特の「芯」がある人も珍しい。
アルヘンタは50年代に入って活発に録音活動を続けたが、ようやく世界的に認められ始めた1958年、突然の自動車事故によりわずか44歳でこの世を去ってしまった。
短く見ても残り30年生きていればどんなにもすばらしい音楽をわれわれに残してくれていたことか。
今回、これまであまり知られていなかった貴重なアルヘンタの音源を収録したボックスが入ってくることになった。数年程前にお知らせしてすぐに完売してしまった「ペドロ親方の人形芝居」も含む数タイトル。
山崎浩太郎氏が以前一連のアルバムをスペインのショップから購入し、レコード芸術に熱いコメントを捧げていた。
山崎氏によると、「アルヘンタの録音は、デッカがなぜかEMI系のスペイン・コロンビア(アルハンブラ)と提携して、録音機材をマドリードに運んで制作していたものという。このスペイン・コロンビアというのは、現在はスペインRCAとなっているらしい」ということ。
ほとんどが’50年代の演奏と思われ、アルヘンタの最盛期の録音が楽しめる。
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SC815(22CD)\7200
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アタウルフォ・アルヘンタの芸術
CD1 オペラ前奏曲と間奏曲集
Ruperto Chapi y Lorente (1851-1909)
1 Musica clasica: Prelude 4:32
2 La corte de Granada: Serenata 3:34
3 La Revoltosa: Preludio 5:01
4 La Revoltosa: Intermedio 1:57
Reveriano Soutullo Otero (1880-1932)
5 La leyenda del beso: Preludio 5:47
6 La Leyenda del Beso: Intermedio 3:20
Amadeo Vives (1871-1932)
7 Bohemios: Intermedio 5:34
8 Bohemios: Preludio 1:50
Pablo Luna Carne (1879-1942)
9 Los Cadetes de la Reina: Intermedio 3:44
10 La Picara Molinera: Intermedio 5:35
11 El nino judio: Preludio 4:04
Federico Chueca (1846-1908)
12 La Gran Via: Preludio 3:36
13 La gran via: Introduccion 5:06
14 La Alegria de la Huerta: Pasacalle 2:07
Federico Moreno Torroba (1891-1982)
15 Luisa Fernanda: Introduccion Act III
1:21
Vicente Lleo (1870-1922)
16 La Corte de Faraon: Vals 2:17
グラン・オルケスタ・シンフォニカ [1-4, 6-10,
12, 14-16]
スペイン国立交響楽団 [5, 11, 13] |
CD2 オペラ前奏曲と間奏曲集
Geronimo Gimenez y Bellido (1854-1923)
1 La Boda de Luis Alonso: Preludio 3:13
2 La Boda de Luis Alonso: Intermedio 5:27
3 La Torre del Oro: Intermedio 6:47
4 El Baile de Luis Alonso: Intermedio 3:40
Francisco Alonso (1887-1948)
5 La Calesera: Pasacalle 3:14
Manuel Fernandez Caballero (1835-1906)
6 La Viejecita: Preludio 3:40
7 El Cabo Primero: Preludio 2:01
Tomas Breton y Hernandez (1850-1923)
8 La Verbena de la Paloma: Preludio 4:00
Jose Serrano Simeon (1873-1941)
9 La Cancion del Olvido: Preludio 3:14
Joaquin Turina Perez (1882-1949)
10 La Procesion del Rocio 8:53
11 La Oracion del Torero 8:07
Ruperto Chapi y Lorente (1851-1909)
12 El tambor de Granaderos: Prelude 5:17
Jesus Guridi Bidaola (1886-1961)
13 El Caserio: Preludio Act II 5:44
グラン・オルケスタ・シンフォニカ [1-9, 12,
13]
スペイン国立交響楽団 [10, 11] |
CD3
ヘスース・グリーディ(1886-1961):10のバスクの旋律
スペイン国立交響楽団
ブレトン (1850-1923)
アンダルシアの風景
アルハンブラにて
ボレロ
ラ・ドロレス
グラン・オリケスタ・シンフォニカ
Rec: 1953-1956 |
最近注目のグリーディ「バスクの10の歌」は、バスク地方生まれのコテコテ民族主義音楽(なんだか甘く切ない、ちょっと演歌風で、単純なほどロマンチック)。 |
CD4
ロドリーゴ,:
アランフェス協奏曲
ナルシソ・イエペス(ギター)
スペイン国立交響楽団
夏の協奏曲
クリスチャン・フェラス(ヴァイオリン)
フランス国立管弦楽団
ファリャ:
スペインの庭の夜
ゴンツァロ・ソリアーノ(ピアノ)
スペイン国立交響楽団
Rec: 4th April 1951 (ライヴ) |
半世紀も前の録音にもかかわらずいまだにこの曲の代表的録音として絶対的な地位を持つイエペス&アルヘンタの演奏。イエペスを見出して「この曲を演奏するのは君しかいない」と言い放ったアルヘンタ、そしてそれに応えるイエペス。両者の奇蹟的な出会いがこの歴史的な名演奏を生んだ。 |
CD5
ラヴェル
道化師の朝の歌
Rec: 19th November 1956
マ・メール・ロワ(管弦楽組曲, 1911)
Rec: 1956
スペイン狂詩曲(1907) (orch. version of
the 1895 Habanera for two pianos)
亡き王女のためのパヴァーヌ (管弦楽のための,
1910)
Rec: 1956
チェント・ソリ管弦楽団
ドビュッシー:管弦楽のための映像
Rec: 12-14 March 1957
スイス・ロマンド管弦楽団 |
CD6
グラナドス:アンダルーサ(スペイン舞曲第5番)
ロンドン交響楽団
Rec: January 1957
ゴィエスカス
Ana Maria Iriarte, mezzo; Consuelo
Rubio, soprano
Manuel Ausensi, baryton; Gines Torrano,
tenor
Coro Cantores de Madrid
スペイン国立交響楽団
Rec: 1953-1956 |
CD7
ファリャ:
ペドロ親方の人形芝居
J.ベルメヨ(ソプラノ),R.トレス(バリトン)
C.ムングイア(テノール)
スペイン国立交響楽団
チェンバロ協奏曲
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(チェンバロ)
スペイン国立管弦楽
Rec: 1958 (stereo)
恋は魔術師
アナ・マリア・イリアルテ(メゾ・ソプラノ)
パリ音楽院管弦楽団
Rec: 29th/30th January 1951 |
あまり聴く機会のないファリャのオペラを、アルヘンタの指揮で楽しめる。
しかしこれがむちゃくちゃ素敵なオペラなのである。
オペラは苦手という人も、割り切って声楽付き管弦楽作品と考えてぜひぜひ聴いてほしい(人形芝居だからオペラとは違うわけだし・・・)。
ドン・キホーテのエピソードによる人形劇。人形劇の中にまた人形劇があったりする。大昔スペインBMGで手に入るということがわかったとき大騒ぎになったが、当初半信半疑だった店主も聴いてみて納得。ファリャの熱い情熱と切ない抒情、しゃれた洒脱さ、アンニュイな諧謔、いろんな要素が詰まった素敵な作品だったのである。さらにスペイン古楽や民族音楽など、円熟期のファリャがその技量と知識をがんがんに詰め込んだ作品でもある。そしてヤナーチェクやリヒャルト、プッチーニといった作品を思わせる本格的な内容ももつ。そしてそれらを軽妙に、そしてきっちりと表現するアルヘンタ。
またコンチェルトはバロック楽器の現代復興運動の一環、ということで作られたということだが、冒頭などまるでシンセサイザーによるミニマル音楽。
スペイン風のオケのバックが出てこなければマイケル・ナイマンに聴こえるかも。ランドフスカに献呈されたというが、ずいぶんと過激な作品。かっこいい。
フランスの 名チェンバリスト、ヴェイロン=ラクロワのソロも激しいです。
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CD8
シャブリエ
狂詩曲「スペイン」
ロンドン交響楽団
Rec: 31st December/1st January
1957
ファリャ
恋は魔術師 (Concerto version)
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 29th August 1957 (ライヴ)
三角帽子
スペイン国立交響楽団
Rec: 1958
モシュコフスキ
スペイン舞曲第I巻 Op.12
ロンドン交響楽団
Rec: January 1957 |
「三角帽子」は「こってり熱い」タイプではなく、直情型のストレートな熱さ。あまり余計な味付けをしないで、スパッと大きな刀で切り落としたような音楽作り。これが他のスペインの指揮者と違うところであり、シューリヒト譲りの客観性なのかもしれない。
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CD9
リヒャルト・シュトラウス
交響詩「ティル・オレインシュピーゲルの愉快ないたずら」,
Op.28
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 1957 (ライヴ)
リスト
ファウスト交響曲
パリ音楽院管弦楽団
Rec: 10th/11th & 13th/14th
June 1955(stereo) |
CD10
リスト
ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
ピアノ協奏曲第2番 イ長調
ユリウス・カッチェン(ピアノ)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Rec: January 1957
交響詩「前奏曲」
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 25th & 27th May 1955
リヒャルト・シュトラウス
交響詩「ドン・ファン」
スペイン国立交響楽団
Rec: 24th June 1956 (ライヴ) |
伴奏指揮の録音としては最も評価の高いもの。 |
CD11
ベルリオーズ
幻想交響曲
パリ音楽院管弦楽団
Rec: 11th-13th November 1957
リムスキー・コルサコフ
スペイン奇想曲, Op.34
ロンドン交響楽団
Rec: January 1957 |
スタイリッシュでクールな「幻想」。 |
CD12
スメタナ
「売られた花嫁」序曲
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 29th August 1957 (ライヴ)
ウェーバー
「オベロン」序曲
スペイン国立交響楽団
Rec: 24th June 1956 (ライヴ)
ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調, Op.55「英雄」
スペイン国立交響楽団
Rec: 24th May 1957 (ライヴ) |
「英雄」はICAからも発売されていた知る人ぞ知る名演。 |
CD13
ブラームス
交響曲第2番 ニ長調, Op.73
フランス国立管弦楽団
Rec: 4th April 1951; Centre
Pistor, Paris (ライヴ)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調, Op.77
ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
スペイン国立交響楽団
Rec: 24th June 1956 (ライヴ) |
なんといっても交響曲第2番がすごい。「ブラームスなんかもう一生聴かなくてもいいや!」と思っているブラームス嫌いの方にこそ聞いて欲しい。ライヴである。
超一流ヴァイオリニストとのピアノによる共演も貴重。大音楽家アルヘンタの新たな認識を得るために絶対に押さえておきたいセット。メニューインがすごかったりする。 |
CD14
チャイコフスキー
交響曲第4番 ヘ短調, Op.36
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: October 1955
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調, Op.35
アルフレード・カンポーリ(ヴァイオリン)
ロンドン交響楽団
Rec: 27th & 28th December
1956 |
CD15
トゥリーナ
幻想舞曲集
パリ音楽院管弦楽団
Rec: October 1953
セビリヤ交響曲
スペイン国立交響楽団
Rec: 1958
アルベニス(編曲:アルボース)
組曲「イベリア」
パリ音楽院管弦楽団
Rec: October 1953 |
トゥリーナの「幻想舞曲集」が知られざる名曲。同郷の作曲家の中でも、最も熱い故郷愛と最も熱い作風を誇るトゥリーナの作品にふさわしい快演。むちゃカッコいい。
「セビーリャ交響曲」は3楽章構成、演奏時間22分ほどの情熱的な作品。なじみのない作品だが、いかにも「スペインの抒情」といった感じの中間楽章が美しい。生まれ故郷に捧げたトゥリーナの切ない思いが詰まった隠れたシンフォニーの傑作。
「セビーリャ交響曲」、そして「幻想舞曲集」というトゥリーナの代表的管弦楽作品が、アルヘンタの演奏で聴けるというのはすごい!
そしてアルベニス「イベリア」はミュンシュ、アンセルメ、バティスなどと並ぶ名演といわれてきたもの。壮大で華麗な一大管弦楽絵巻。アルヘンタのアプローチは色彩的でスタイリッシュ。情熱的な部分も切なく熱いが、決して羽目は外さない。我を忘れて荒れ狂うタイプではなく、自分は冷静でいながらオケを狂わせるタイプ。きっと男性としてももてただろうな。
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CD16
フランシスコ・エスクデロ(1912-2002)
バスク協奏曲
マルティン・イマス(ピアノ)
バイエルン放送交響楽団
Rec: 4th May 1951
アルベニス
ナヴァーラ
スペイン国立交響楽団
Rec: 1953-1956 (?)
組曲「イベリア」
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 7th March 1956
ファリャ
三角帽子より3つのダンス
ウィーン交響楽団
Rec: 8th December 1954 (ライヴ) |
CD17
モーツァルト
ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調, K.378(注)
ベートーヴェン
ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調, Op.30
ブラームス
ヴァイオリン・ソナタ イ長調, Op.100
アルトゥール・グリュミオー(ヴァイオリン),
アタウルファ・アルヘンタ(ピアノ)
Rec: 6th September 1955 (ライヴ) |
CD18
リヒャルト・シュトラウス
ドン・ファン
ウィーン交響楽団
Rec: 8th December 1954 (ライヴ)
シューベルト
交響曲第9番 「グレイト」
チェント・ソリ管弦楽団
Rec: 8th November 1957 |
CD19
ハイドン
交響曲第92番 「オックスフォード」
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 7th March 1956
メンデルスゾーン
交響曲第3番 イ短調, Op.56「スコットランド」
ウィーン交響楽団
Rec: 6th May 1953 (ライヴ) |
CD20
J.S バッハ
ブランデンブルク協奏曲第4番
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 4th December 1957
ストラヴィンスキー
「プルチネルラ」組曲
Henri Bronschwak, violin; Micheline
Lemoine, viola;
Jacques Neilz, cello; Edmond Primetens,
double-bass
フランス国立管弦楽団
Rec: 4th April 1951 (ライヴ)
エルネスト・アルフテル (1905-1989)
シンフォニエッタニ長調
スペイン国立交響楽団
Rec: 1957 |
CD21
モーリス・オアナ(1913-1992)
オラトリオ「イグナチオ・サンチェス・メヒアスへの哀歌」
チェンバロと管弦楽のためのサラバンド
D.グアルヌ(チェンバロ) Mauricio
Molho(ナレーター)
B.コットレ(バリトン)
セント・ソリ管弦楽団&合唱団
Rec: 1954(モノラル)
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アルヘンタの知られざる録音の一つ。
セント・ソリ管弦楽団は契約上本当の名前が使えないために便宜上使われたパリ音楽院管弦楽団の別称。 |
CD22
チャイコフスキー
交響曲第4番 ヘ短調, Op.36
スイス・ロマンド管弦楽団
Rec: 29th August 1957 (ライヴ) |
DECCAなどで録音する傍ら放送用に収録されたアルヘンタの貴重な録音。今までのアルヘンタの録音はスペインものを中心とした偏ったレパートリーだったので正統派クラシック音楽の録音は非常に興味深い。
以前RTVEから発売になって大ベストセラーとなった。 |
注:当楽曲については使用マスターに起因する音圧レベルの低いレコーディングとなりますこと予めご了承ください。 |
<メジャー・レーベル>
<国内盤>

第102号
5/1(水)紹介新譜
マイナー・レーベル新譜
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AUDITE
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アンドレア・ルケシーニ
シューベルト:後期ピアノ作品集 Vol.1
(1)ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D.959
(2)ピアノ・ソナタ第4番 イ短調 D.537
(3)アレグレット ハ短調 D.915 |
アンドレア・ルケシーニ(ピアノ;Steinway
D) |
知性派ピアニスト、ルケシーニによるシューベルトの後期ピアノ作品録音始動!
セッション録音:2018年11月10-13日/ライプニッツ・ザール(ハノーファー)/72'14"、ディジパック仕様
知性派ピアニスト、アンドレア・ルケシーニ。スカルラッティとベリオ、シューベルトとヴィトマンを交互に収録したユニークな前作(AU
97704)では"バロック、ロマン派と近代作品との対話"
を見事に表現しました。
期待の新録音ではシューベルトの後期ピアノ作品(全3
集でリリース予定)を取り上げます。
あらゆるピアノ作品の中でも孤高の存在ともいえるシューベルトの後期ピアノ作品。1828年に作曲されたピアノ・ソナタ第20番は雄大で華麗なシューベルトの最高傑作で、特徴的な第1主題からシューベルトの世界に誘われます。
一方、1817年作曲のピアノ・ソナタ第4番の第2楽章の旋律はピアノ・ソナタ第20
番で最終楽章に用いられており、この2作品には大きな結びつきがあります。ルケシーニが丁寧に紡ぎだす極上の演奏をお楽しみいただけます。また、audite
レーベルの社主にしてトーン・マイスターのルドガー・ベッケンホーフ氏による高品位の録音であることも注目です。
ルケシーニはマリア・ティーポの弟子で、10代でミラノ・スカラ座ディーノ・チアーニ国際コンクールに優勝し世界的な注目を集め、以来シノーポリ、アバド、シャイー、ルイージなどの指揮者の指名のもと、数々のオーケストラと共演してきました。
幅広いレパートリーを持ち、当ディスクに収録されている作曲家ルチアーノ・ベリオとも交流が深かったピアニストです。
近年はソロ活動の一方、室内楽作品への取り組みも積極的で、ヴァイオリニスト渡辺玲子やチェリスト、マリオ・ブルネロなど名だたる演奏者との共演を誇り、audite
レーベルからはクレモナ弦楽四重奏団との共演でサン=サーンスのピアノ五重奏曲(KKC
5940 / AU 97728)をリリースしております。
ルケシーニ旧譜から
ルケシーニといえば・・・
ルケシーニ。
覚えている方も多いと思う。
1965年フィレンツェ生まれのルケシーニは、17歳という若さでディーノ・チアーニ国際コンクール優勝を果たすなどその実力はホンモノ。
一時期出回ったベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集もすばらしい演奏だった(完全廃盤)。
ただ・・・このひとで思い出すのはやはりあの一件・・・。
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ルケシーニのベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集が出たときの数年前の記事から
(ルケシーニ雑感)
あのルケシーニ・・・。
吉田秀和氏の数あるレコード批評でも最も印象的だったあのルケシーニ。
それは新潮社の「音楽の時間 CD25選」に出てくる。
吉田秀和氏はルケシーニのショパンのアルバムを聴いて、こう語っている。
「(ルケシーニには)ほかでめったにきけない独特の魅力をもったひき方がある。このひとも、自分の感性に忠実な−−そうしてほかの人とはずいぶん違った、ひき方をする。」
「これが19歳の青年の演奏なのか。」
「こんなに大胆に、テンポを変えながら、ひいているのに、不自然に感じさせないひき方のできるのは、最近では、ほかに誰だっけ?」
「もしこんな言い方が許されるのなら、ヴィスコンティの映画の中にしかないような、「華麗を極めた静けさ」とでもいったものが、ここにある。あるいは、豊かな色彩と、的確な線で簡潔に描かれたデッサンとが共有する絵。」
「全部が終わったとき、私は一瞬ぼんやりしたあとで、「ああ、もう終わってしまったのか」と思った。」
等々・・・。
およそ吉田秀和氏の批評の中でもここまで絶賛された演奏家は珍しい。これを読んだ人は誰でもこの青年の演奏を聴きたいと思うに違いない。
しかし店主がルケシーニを覚えていたのは、これに続きがあったからである。
「音楽の時間 CD25選」のルケシーニの項にはめずらしく追記がある。
評論家が自分の書いた評論について撤回することはあまりないが、ここでの追記は壮絶である。
「ルケシーニは1988年の10月に初来日した。私は東京の津田ホールにいってきいてみた。きいて、失望した。言葉にならないくらい失望した。それはこのピアニストの「音楽」がやたらと外交的拡散的で、ただうるさいばかりで、音楽をきく楽しみがあまりにも少ない」
「もし、彼のピアノがこんなに騒々しく、フォルテはやたらに大きいばかりで、耳が痛くなるくらいだと知っていたら、とてもここではとり上げる気にはならなかったろう。」
「とにかく、この場合は、私の完全な思い違い。つまり、ききそこないである。私が雑誌に書いた原稿を読んで、CDを買うとか、わざわざ演奏会に足を運んだ読者もいたかもしれない。私の間違いでした。ごめんなさい。」
ぐう。
あわれルケシーニ。これで彼の日本でのピアニスト人生は終わりを告げたか。
読んだ店主も、ルケシーニをまるでこの世で最も才能のないピアニストのように思ってしまった。
しかしその10年後にリリースされたベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集(現在廃盤)。
さわやかで繊細、決して神経質ではないが優しくナイーヴな、いたわりあるベートーヴェン。がなりたてたり、引きつったような弾き方を絶対にしない。
ふと気づいたらその印象は、まさに吉田秀和氏がさきの本で書いたショパンのCDに対する印象とほぼ同じではないか・・・。
・・・ひょっとして・・・・。
こちらのルケシーニが本当の姿なのではないのか・・・?その東京公演がひどすぎたのではないか・・・?
そう思わせてくれる稀有な才能の感じられるルケシーニの演奏。決して悪意や皮肉でなく、吉田秀和氏にも聴いてほしい。
ちなみに吉田秀和氏に音楽の友社を通じてその全集をプレゼントしたが、音沙汰はない。まあそんなものか。
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PENTATONE
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PTC 5186734
(SACD HYBRID)
¥2700
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フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847):『無言歌集』より
1.-4.『無言歌集』第1巻 Op.19より
第1番「甘い思い出」ホ長調(2'58")/第2番「後悔」イ短調(2'38")/
第3番「狩人の歌」イ長調(2'33")/第5番「眠れぬままに」嬰ヘ短調(3'33")
5.-6.『無言歌集』第2巻 Op.30より
第2番「安らぎもなく」ロ短調(2'13")/第6番「ヴェネツィアの舟歌2」嬰ヘ短調(2'52")
7-.8.『無言歌集』第3巻 Op.38より
第2番「失われた幸福」ハ短調(2'13")/第6番「デュエット」変イ長調(3'17")
9.『無言歌集』第5巻 Op.62より
第3番「葬送のマーチ」ホ短調(2'56")
10.-11『. 無言歌集』第6巻 Op.67より
第2番「失われた幻影」嬰ヘ短調(2'38")/第4番「紡ぎ歌」ハ長調(2'00")
12.『無言歌集』第8巻 Op.102より
第3番「タランテラ」ハ長調(1'17")
エドヴァルド・グリーグ(1843-1907):『抒情小曲集』より
13.-15.『抒情小曲集』第1集 Op.12より
第1番「アリエッタ」(1'10")/第2番「ワルツ」(1'40")/第4番「妖精の踊り」(0'58")
16.-17.『抒情小曲集』第2集 Op.38より
第4番「ハリング」(0'58")/第6番「悲歌」(2'26")
18.-20.『抒情小曲集』第3集 Op.43より
第1番「蝶々」(2'04")/第4番「小鳥」(1'49")/第6番「春に寄す」(2'45")
21.『抒情小曲集』第4集 Op.47より
第7番「悲歌」(2'57")
22.-24.『抒情小曲集』第5集 Op.54より
第3番「小人のマーチ」(3'07")/第4番「ノットゥルノ」(3'02")/第5番「スケルツォ」(3'10")
25.『抒情小曲集』第7集 Op.62より
第4番「小川」(1'53")
26.『抒情小曲集』第8集 Op.65より
第6番「トロルハウゲンの婚礼の日」(6'09") |
デニス・コジュヒン(ピアノ) |
KKC 6033
(SACD HYBRID)
(国内仕様盤・日本語解説付)
¥3000+税
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鬼才コジュヒンが奏でる心温まるアルバム。メンデルスゾーンの無言歌集とグリーグの抒情小曲集!
セッション録音:2018年11月/ MCO スタジオ5(ヒルフェルスム)
PTC 5186734:DSD、マルチチャンネル、65'37"、ディジパック仕様、輸入盤・日本語帯付
SACD ハイブリッド盤。
強靭なテクニックと豊かな表現力を兼ね備えた鬼才デニス・コジュヒンがメンデルスゾーンの無言歌集とグリーグの抒情小曲集から名作を選りすぐって録音しました。
コジュヒンはマドリッドのソフィア王妃高等音楽院に留学し、ドミトリ・バシキロフとクラウディオ・メーネルに師事し研鑽を積みました。
2010年に開かれたエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝し一躍世界から注目されたコジュヒンは、翌2011年2月に初来日を果たし、その演奏会はNHK「クラシック倶楽部」で放映され日本のクラシック・ファンにも広く知られることとなりました。
以後たびたび来日し、2017年9月にはパーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK
交響楽団と共演し、ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番(1941年版)の雄大な演奏は大きな話題を集めました。
ヴェルビエ音楽祭、ルール・ピアノ音楽祭、ラインガウ音楽祭など、数々の著名音楽祭にも出演している現在ヨーロッパで最も人気のある実力派ピアニストのひとりです。
PENTATONE からリリースしているチャイコフスキーとグリーグの協奏曲(PTC
5186566)、ブラームスのピアノ作品集(PTC5186568
/ KKC 5892)、ラヴェルとガーシュウィンのピアノ協奏曲(PTC
5186620 / KKC 5893)のディスクは国内外で高い評価を集めております。
メンデルスゾーンの代表作『無言歌集』は全8巻48曲の小品からなり、この曲集によって"無言歌"
というジャンルを確立されました。「甘い思い出」「狩人の歌」「紡ぎ歌」など単曲で演奏されることも多い作品も含みます。
一方、グリーグの『抒情小曲集』は全10集66曲におよび、「春に寄す」「ワルツ」「小人のマーチ」「トロルハウゲンの婚礼の日」など、グリーグの豊かな抒情性が遺憾なく発揮されたピアノ曲です。
コジュヒンは卓越した技術とともに感受性に満ちた歌心を持って心温まるアルバムを完成させました。豊かな表現力を示した注目のリリースといえましょう!なお、録音はPENTATONE
レーベルが誇る技術チーム「ポリヒムニア・インターナショナル」が手掛けました。コジュヒンが弾くブラームスのピアノ作品集は2018年度第56回レコード・アカデミー賞【特別部門 録音】賞を受賞しており、当録音も期待のできる高音質録音であることも注目です。

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REFERENCE RECORDINGS
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RR 147SACD
(SACD HYBRID)
¥2600
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ロシア出身の若手実力派によるラフマニノフの難曲トリオ
ラフマニノフ:
(1)ピアノ三重奏曲第1番ト短調
(2)ピアノ三重奏曲第2番ニ短調Op.9「悲しみの三重奏曲」(1917年版)
(3)ヴォカリーズOp.34の12(ユーリ・コニュス編ピアノ三重奏版) |
エルミタージュ・トリオ
【ミーシャ・カイリン(ヴァイオリン)、
セルゲイ・アントノフ(チェロ)、
イリヤ・カザンツェフ(ピアノ)】 |
録音:2017年9月3-7日/メカニクス・ホール(マサチューセッツ)
マルチ・チャンネル、HDCD Stereo、5.1サラウンド、71'
43"
2011年に結成されたエルミタージュ・トリオ。2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクール・チェロ部門優勝のセルゲイ・アントノフをはじめ、ロシア系の3名による超高性能ピアノ三重奏団。
彼らがラフマニノフに挑戦しました。チャイコフスキー以来、ロシアの作曲家は特別な人の追悼にピアノ三重奏曲を作ることが慣わしとなりました。
1893年10月にチャイコフスキーが急逝すると、ラフマニノフは長大かつ感動的な作品をその霊に捧げました。長さ、構造など「偉大な芸術家の思い出」を意図的に真似ていますが、ピアノが主役で非常に技巧的なのがラフマニノフならでは。意味深長な引用や慟哭などチャイコフスキーへの思いにあふれる重い作品となっています。
単一楽章の習作的なピアノ三重奏ももちろん収録されていますが、注目なのはラフマニノフの親友だった作曲家ユーリ・コニュスがピアノ三重奏に編曲した「ヴォカリーズ」が収録されていること。コニュスはもともとヴァイオリニストでもあり、弦の特性を知り尽くしていたうえ、後に息子がラフマニノフの次女と夫婦になるという因縁もあります。効果と美しさに満ちたアンコールとなっています。
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FR 731
(2HDCD)
¥2800
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21世紀にアメリカ人が作曲した英語のロシア聖歌
カート・サンダー:聖ヨハネス・クリュソストモスの典礼
(2017) |
ピーター・ジャーミホーヴ(指揮)
パトラム学院合唱団 |
録音:2017年8月3-5日/新グラチャニツァ教会(イリノイ)/90'
06"
パトラム学院合唱団の第2弾は混声で、現代アメリカの作曲家カート・サンダーの新作「聖ヨハネス・クリュソストモスの典礼」に挑戦。アメリカの作品ながら伝統的なロシア正教の典礼音楽という異色作。チーホン総主教ロシア・アメリカ音楽研究所の委嘱でパトラム学院合唱団を念頭に2016年から17年にかけて作曲されました。
カート・サンダーは1969年生まれ。ノースウェスタン大学でベイン・マレーらに学び前衛的な作風を展開していましたが、1992年に知り合ったロシア女性から正教会の合唱団で歌うことを誘われてその音響世界に開眼、翌年に改宗して以来ロシア聖歌の作曲と研究に打ち込み、今やアメリカを代表する権威となっています。
ロシア正教は教会内での楽器演奏を禁じているため、この作品も90分アカペラ合唱のみで構成され、さらに教会スラヴ語が常識の典礼をなんと英語にしているのも驚き。ペルトを思わす瞑想的な世界から分厚いハーモニーまで、声だけで存分に感動させられます。
さらに魅力なのが、リファランス・レコーディングス・レーベルならではの高音質録音。グラミー賞の常連サウンドミラーのチームによる音作りが、オーディオ・ファンも満足な音響を実現させています。
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CHRISTOPHORUS
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ベデッカー:聖なる楽譜 〜
独唱モテット&ソナタ集 |
クヌート・ショホ(テノール)
イ・ソナトーリ |
フィリップ・フリードリヒ・ベデッカー:マニフィカト
ヨハン・ウルリヒ・シュタイグレーダー:主の祈り(変奏第4、第19、第28)
ベデッカー:O Vatter aller Frommen
シュタイグレーダー:主の祈り(変奏第40)
ベデッカー:Haec est Dies、Veni Salvator
ザムエル・フリードリヒ・カプリコルヌス:ソナタ(ヴァイオリン独創と通奏低音)
ベデッカー:
イエスは生まれた、ソナタ・ソプラ 《ラ・モニカ》(ファゴット独奏と通奏低音)、
わが神よ、Christ lag in Todesbanden、ヴァイオリン・ソナタ、主を賛美せよ |
"イ・ソナトーリ"は、2019年2月〜3月にも日本での演奏会や東京藝術大学、明治学院大学等での特別講座が開かれたドイツのテノール、クヌート・ショホを中心に、ヴァイオリン、バス・ドゥルシアン、オルガン(&チェンバロ)、ヴィオラ・ダ・ガンバの編成からなるピリオド楽器アンサンブル。
シュトゥットガルトやヴュルテンベルクでオルガニストを務めた17世紀ドイツの音楽家、フィリップ・フリードリヒ・ベデッカー(1607−1683)の、独唱モテットといくつかの器楽ソナタ集。
※録音:2018年10月22日−24日、ドイツ
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FRA BERNARDO
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「ハープシコード4手連弾」によるモーツァルトのソナタ集
モーツァルト:
ソナタ ニ長調 K.381
アンダンテと変奏 K.501
ソナタ ハ長調 K.521
ソナタ 変ロ長調 K.358
フーガ K.401(断片) |
パトリック・アイルトン(ハープシコード)
ヴォルフガング・グリュクサム(ハープシコード) |
「ハープシコード4手連弾」によるモーツァルトのソナタ集!
☆オランダで学んだ二人のハープシコードの才能が共演!
☆「ハープシコード4手連弾」による、モーツァルトのソナタ集!
ハーグ王立音楽院でトン・コープマンに師事し、現在はハープシコード奏者、オルガン奏者、指揮者として活躍するイギリスの音楽家パトリック・アイルトン。
アムステルダムのスヴェーリンク音楽院でトン・コープマンに師事したオーストリアのハープシコード奏者、ヴォルフガング・グリュクサム。
ホロヴィッツの「ジャズ・ハープシコード協奏曲」を含む、ジャズ・スタイルのハープシコード作品集という秀逸なアルバム(GLO
5272)を録音したアイルトン、fra bernardoレーベルにバッハやフローベルガーの優れた録音を残しているグリュクサムという2人の才能が交わる「4手ハープシコード」のためのアルバム。
姉ナンネルとの連弾用に書かれたと考えられているモーツァルトの「4手のためのピアノ・ソナタ」は、もともと「フォルテピアノもしくはハープシコード(チェンバロ)のため」に書かれており、ここではハープシコードによる新鮮な響きでモーツァルトの「4手のためのソナタ」を堪能できます。
※録音:2001年9月、フレ教会(ブルゴーニュ、フランス)
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QUARTZ
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ヒンデミット:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
ヴァイオリン・ソナタ 変ホ調 Op.11-1(1918)
ヴァイオリン・ソナタ ニ調 Op.11-2(1918)
ヴィオラ・ダモーレとピアノのためのソナタ
《小ソナタ》 Op.25-2(1922)
ヴァイオリン・ソナタ ホ調(1935)
葬送音楽(1936)
バレエ音楽《気高い幻想》より 瞑想曲(1938)
ヴァイオリン・ソナタ ハ調(1939) |
ロマン・ミンツ
(ヴァイオリン、
ヴィオラ・ダモーレ)
アレクサンダー・コブリン(ピアノ) |
現代ヴァイオリン作品の申し子、ロマン・ミンツ!ヒンデミットのヴァイオリン・ソナタ全集!
☆現代ヴァイオリン作品の申し子、ロマン・ミンツ!
☆ヒンデミットの4つのヴァイオリン・ソナタと、珍しい「ヴィオラ・ダモーレ・ソナタ」を収録!
☆伴奏は、アレクサンダー・コブリン!
モスクワ生まれ、現代ヴァイオリン作品の申し子として知られ、ジョン・タヴナー、ジェームズ・マクミラン、ジャチント・シェルシなど、数多くのロシア初演を任されるヴィルトゥオーゾ、ロマン・ミンツ。
Quartzレーベルのプロデューサーも務めるロマン・ミンツが、古い友人であるというロシアの名ピアニスト、アレクサンダー・コブリンとの共演で、パウル・ヒンデミットの4つヴァイオリン・ソナタ、そして稀少な録音となる「ヴィオラ・ダモーレとピアノのためのソナタ《小ソナタ/クライネ・ソナタ》」を含む、ヴァイオリンとピアノのための作品全集を録音。
ヒンデミットのソナタは、ロマン・ミンツがモスクワで学んでいた若き頃から触れ、以来30年以上にわたって特別な意味を持つ作品となってきたという重要レパートリーです。
※録音:2017年、アカデミー・オヴ・コラール・アート(モスクワ)

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ライヴムーヴメント 〜 アントン・ドレスラー作品集
アウラヴ/アトランティス/組曲/ハッピー・コード/
トゥー・イズ・ベター・ザン・ワン/コンテンポ/
ウォーキング・オン・ザ・ワイアー/プレアー/
ウィル・ビー・ファイン |
アントン・ドレスラー
(クラリネット、
ライヴ・エレクトロニクス) |
1974年モスクワ生まれのクラリネット奏者、アントン・ドレスラーはイタリアのカレイド・アンサンブルの創設メンバーであり、クラシックではジュリアン・ラクリン、ロマン・ミンツ、ミッシャ・マイスキー、イングリット・フリッター等世界的なアーティスト達と共演、またクレツマー、ジャズ、クロスオーヴァー音楽など多ジャンルで活躍しています。
「ライヴムーヴメント」は、クラリネットのアコースティック・サウンドとエレクトロニクスを組み合わせたユニークなコンサート・プログラム。ちなみに、ジャケットやブックレット内のイラストは、ドレスラーの妻でもあるピアニスト、イングリット・フリッターが描いた作品とのことです。
※録音:2017年6月、ボローニャ(イタリア)
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TACTUS
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大林奈央果が歌う現代イタリア歌曲。
カルタ:
ソプラノと弦楽オーケストラのための
《エミリー・ディキンソンの詩による12の歌曲》 |
大林奈央果(ソプラノ)
ガブリエーレ・デル・サント(指揮)
ヌォーヴァ・オルケストラ・ペドロッロ |
日本人ソプラノ、大林奈央果が歌う現代イタリア歌曲。
1896年以降、276人の作曲家の1615曲を超える作品においてその詩が題材とされ、音楽学者のエンリコ・マリア・ポリマンティによる研究では2007年にはこの数字が倍増したという結果が出るなど、時代を越えて親しまれ続けている19世紀の天才詩人エミリー・ディキンソンの詩。
イタリアのコンポーザー=ピアニストであり、主にジャズ・シーンでその才能を発揮している音楽家、フランチェスコ・カルタ(1969-)が、ディキンソンの詩を題材としてソプラノと弦楽オーケストラのための12曲から成る歌曲集を作曲。形而上学(メタフィジカル)的な一面を巧みに表現した秀作が、ディキンソンの詩を題材とする作品群に加わりました。
このカルタの12の歌曲を歌うのは、現在イタリアで活動する日本人ソプラノ、大林奈央果。武蔵野音楽大学からヴィチェンツァ音楽院へと渡り、古楽シーンを中心に活躍しています。
※録音:2018年2月、ヴィチェンツァ(イタリア)
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ジャルディーニ:2本のヴァイオリンのための6つの二重奏曲
Op.2
二重奏曲第1番ニ長調/二重奏曲第2番ヘ長調/
二重奏曲第3番ハ長調/二重奏曲第4番イ長調/
二重奏曲第5番ホ短調/二重奏曲第6番ト長調 |
アルシミー・デュオ
〔アレッサンドロ・カッツァート
(ヴァイオリン)、
シャロン・トマセッリ(ヴァイオリン)〕 |
フェリーチェ・ジャルディーニ(1716-1796)は、ミラノ、パリ、ベルリン、そして特にロンドンで同地におけるイタリア音楽の発展に寄与した18世紀イタリアのコンポーザー・ヴァイオリニスト。
その作風はイタリアとドイツの伝統に通じており、典型的なギャラント様式の特徴を持っています。1751年の「6つの二重奏曲
Op.2」は、当時の王族ハインリヒ・フォン・プロイセンに献呈された作品です。
※録音:2018年10月、バーリ(イタリア)
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フォルリヴェジ:作品集
電子音楽 〜 Elements、Through the Looking-Glass
日本の伝統楽器のための作品 〜
Ugetsu、En La Soledat i el Silenci、Chinmoku
no Tsuki
室内楽作品 〜
Two Ornaments、Rosenleben I、Rosenleben
II、
La Pointe a la Droite du Coeur
声楽作品 〜 Spem in Alium、Petite Priere、Audivi
Vocem
編曲作品 〜
Ave Maris Stella、Stella Splendens、The
Unanswered Question |
サミュエル・ダンスコム(クラリネット)
ルイーザ・エスピゴレ(ピアノ)
カルロ・フォルリヴェジ(オルガン)
シエラ・フランク(ピアノ)
ジュディス・ハマン(チェロ)
稲垣聡(ピアノ)、入江要介(尺八)
ベッティーナ・ライトナー(オルガン)
京都室内管弦楽団《ランサンブル・デュ・タン》
他 |
文部科学省給費生として来日し、東京音楽大学で湯浅譲二に作曲を師事した経歴を持つカルロ・フォルリヴェジ(1971-)は、武満徹作曲賞入選、アイヌの音楽の研究など日本と縁の深いイタリアの作曲家。
母国ではボローニャ音楽院、ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院、サンタ・チェリーリア音楽院といった同国の名門で研鑽を積んだ後、IRCAM(フランス)、DIEM(デンマーク)でコンピューター音楽を学ぶなど、現在のイタリア楽壇で注目を集める現代音楽のスペシャリストです。
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シモーニ:室内楽作品集
弦楽四重奏曲第2番 Op.23《オルトレ・ラ・ヴィタ》
弦楽四重奏曲第6番 Op.54
ヴァイオリン、チェロとピアノのためのピアノ三重奏曲
《ポエメット・ロマンティコ》
弦楽四重奏曲第8番 Op.67 |
アンサンブル・レスピーギ |
電気工学と作曲の両面で活躍したイタリアのエンジニアであり音楽家、ルチアーノ・シモーニ(1932-2010)。ヨハネ・パウロ2世の追悼のために作曲された「レクイエム」、ボローニャ大学の創設900周年記念の「ミサ・ソレムニス」が代表作として知られています。
この室内楽作品集には、全9曲の弦楽四重奏の中から、70年台の「第2番」、90年台の「第6番」、2000年台の「第8番」の3作品、1981年の「ピアノ三重奏曲」を収録。「第8番」はチェンバロのオブリガート付きというユニークなスタイルの作品です。
※録音:2010年12月、ボローニャ(イタリア)
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フェデリコ・ペロッティ(1993-)の壮大なオラトリオ
ペロッティ:オラトリオ《フランカ・ダ・ヴィタルタ》 |
カルロッタ・コロンボ(ソプラノ)
アンナ・ピローリ(ソプラノ)
クリスティーナ・カルツォラリ(メゾ・ソプラノ)
レナート・カデル(バリトン)
コーロ・ヴォクス・シルヴァエ
フェデリコ・ペロッティ(指揮) |
イタリア、コモのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で作曲とオルガンを学んだピアチェンツァ出身の若手作曲家フェデリコ・ペロッティ(1993-)の壮大なオラトリオ。
イタリア、ピアチェンツァ生まれと伝わるイタリアの修道女、フランカ・ダ・ヴィタルタ(1175-1218)を題材とした4部構成のオラトリオであり、作曲だけでなく作詞もペロッティが手掛けています。
※録音:2018年4月、ピアチェンツァ(イタリア)
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第102号
4/30(火)紹介新譜
マイナー・レーベル新譜
COBRA RECORDS
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アフター・ザ・ダークネス
ハンス・クラーサ:パッサカリアとフーガ、タネック
ギデオン・クライン:弦楽三重奏曲
ラースロー・ヴァイネル:セレナーデ
ディック・カッテンブルグ:弦楽三重奏曲(世界初録音)
ミェチスワフ・ヴァインベルク:弦楽三重奏曲
Op.48 |
ハーグ弦楽三重奏団 |
ハーグ弦楽三重奏団は、3人の女流奏者によって2006年に設立され、オランダを中心にドイツ、イギリス、ロシア、メキシコ、ノルウェーなど国際的に活動しているオランダのアンサンブル。
アウシュヴィッツを生き残ったノーベル平和賞作家エリ・ヴィーゼルの「After
The Darkness」から取られたこのアルバムは、迫害、虐殺、追放など第二次世界大戦の犠牲となった作曲家たちの知られざる弦楽三重奏のための作品集。
1933年から1945年頃の「暗黒時代」に書かれ、近年ようやく研究・評価されはじめてきた室内楽作品です。
※録音:2018年7月8日−11日、オランダ
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ET’CETERA
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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲全集 Vol.2
弦楽四重奏曲第3番変ホ短調 Op.30
弦楽六重奏曲ニ短調 Op.70《フィレンツェの思い出》 |
ルスクヮルテット
〔クセーニャ・ガマリス(ヴァイオリン)、
アンナ・ヤンチシナ(ヴァイオリン)、
クセニア・ズーレヴァ(ヴィオラ)、
ピョートル・カレトニコフ)〕
イリヤ・ホフマン(ヴィオラ)
ミハイル・ネムツォフ(チェロ) |
シェバーリンに学んだロシアの若き四重奏団!チャイコフスキー第2弾!
☆シェバーリンに学んだロシアの若き四重奏団!
☆チャイコフスキー第2弾は、弦楽四重奏曲第3番と「フィレンツェの思い出」!
ルスクヮルテット(RUSQUARTET)は、2001年にモスクワ音楽院付属中央音楽学校で結成されたロシアの弦楽四重奏団。メンバー全員がモスクワ音楽院へと進学し、ボロディン・クヮルテットの元メンバーとして知られる名ヴィオリスト、ドミトリー・シェバーリンの生徒となりました。2006年には、ショスタコーヴィチの生誕100周年を記念したドイツ(ラインスベルク)のコンクールで第1位を受賞した他、バンフ国際弦楽四重奏コンクール(カナダ)、ショスタコーヴィチ国際弦楽四重奏コンクール(ロシア)、トロンプ国際音楽コンクール(オランダ)などで入賞してきた実力派です。
高水準の技術、音楽性で評価された前作(KTC
1598)に続くチャイコフスキー第2弾。弦楽四重奏曲第3番と弦楽六重奏のために書かれた名曲「フィレンツェの思い出」で、シェバーリンが育てた豊かな才能が発揮されます。
※録音:2018年8月20日−24日、ベルギー
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マ・メール・ロワ 〜 ピッコロのためのフランス音楽
ドビュッシー:ピッコロとピアノのための
《ビリティスの歌》
ルイ・デュレ:ピッコロとピアノのためのソナティネ
Op.25
プーランク:ピッコロとピアノのためのソナタ(原曲:オーボエ・ソナタ)
ケクラン:ピッコロとピアノのための14の小品
Op.157b
ラヴェル(アラン・クラーンス編曲):
ピッコロとピアノのための 《マ・メール・ロワ》 |
ペーター・フェルホーエン(ピッコロ)
ステファン・デ・シェパー(ピアノ) |
アントワープ交響楽団(元ロイヤル・フランダース管弦楽団)の首席ピッコロ奏者を務めるベルギーの名手、ペーター・フェルホーエン。
「ピッコロの旋律(KTC 1296)」、「泥棒かささぎ(KTC
1570)」などのピッコロ名盤に続くEt'ceteraレコーディングは、「ピッコロとピアノ版」に編曲されたラヴェルの「マ・メール・ロワ」など、瀟洒で雅なフランス音楽を軽やかで美しいピッコロの音色で贈ります。
フルート、ピッコロ、管楽器関係者注目!
※録音:2018年1月、2月、9月、ベルギー
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KTC 1402
【新装再発売】
¥2500
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カリオペ・ツパキの世界初録音「ルカ受難曲」が新装再発売
ツパキ:ルカ受難曲(世界初録音) |
マルセル・ビークマン(テノール)、
イオアニス・アルヴァニティス(ビザンチン・シンガー)、
ラネーン・ハンア(イースタン・シンガー)、
エギディウス・クヮルテットのメンバー、
イオアニス・アルヴァニティス・ビザンチン合唱団のメンバー、
ハリス・ラブラキス(ネイ)、
ネヴァ・エズゲン(ケメンチェ)、
バッセム・アルコウリ(カヌーン)、
エド・スパニャールド(指揮)、
ニェーウ・アンサンブル |
ギリシャのピレウス生まれの女流作曲家カリオペ・ツパキ(1963−)の世界初録音となる「ルカ受難曲」が新装再発売。
ビザンチン聖歌、グレゴリオ聖歌の旋律、トルコの民族楽器ネイ、ケメンチェ、アラブの民族楽器カヌーンを採り入れるなど、西洋と東洋のスタイルを融合させたエキゾチックで全く新しい「受難曲」。
2008年6月にアムステルダムで開催されたオランダ・フェスティヴァルで初演された際のライヴ録音です。
※録音(ライヴ):2008年6月5日、アムステルダム
※再生産による旧譜新装再発売
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フランドルのレクイエム
ジョゼフ=エクトル・フィオッコ(1703−1741):
死者のためのミサ曲
ピエール・エルキュール・ブレーイ(1673−1737):
死者のためのモテット、モテット「我を救いたまえ」、
死者のためのミサ曲
フィオッコ:Memento Mei |
カントルクス
フランク・アグステリッベ(指揮)
サン=マルク礼拝堂アンサンブル |
ルクセンブルクの注目ヴォーカル・アンサンブル、18世紀前半フランドル地方の2つのレクイエム
☆ルクセンブルクの注目ヴォーカル・アンサンブル。
☆18世紀前半フランドル地方のレクイエム!
2017年4月に行われた第1回たかまつ国際古楽祭へのメイン・ゲストとしても来日を果たしたルクセンブルクのヴォーカル・アンサンブル、カントルクス(CantoLX)。
フレスコバルディの「アリエ・ムジカーリ第1巻」とジョン・ケージを組み合わせた衝撃のプログラム(KTC
1448)でデビューし、ルイージ・ロッシのオラトリオ(KTC
1586)など知られざる作品を録音してきたカントルクスのEt'cetera第4弾。
ジョゼフ=エクトル・フィオッコ(1703−1741)とピエール・エルキュール・ブレーイ(1673−1737)、二人のフランドル地方の作曲家によるレクイエム(死者のためのミサ曲)。
※録音:2018年9月27日−29日、ベルギー
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ベルギー・ロマン派のチェロとピアノのための作品集
ヴュータン:エレジー Op.30
ルクー:ヴァイオリン・ソナタ ト長調(チェロ版)
イザイ:子供の夢 Op.14
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調(チェロ版)
ペーテル・ブノワ:Heeft het roosje milde
geuren |
ポール・ハイマン(チェロ)
イシル・ベンギ(ピアノ) |
☆フランクとルクーの"チェロ版"
ヴァイオリン・ソナタを含む、ベルギーのチェロ作品集!
1994年生まれのベルギーの若きチェリスト、ポール・ハイマンと、トルコ系ベルギーのピアニスト、イシル・ベンギによるデュオのデビュー・レコーディング。
ヴュータン、フランク、イザイ、ルクー、ブノワといった偉大なベルギー・ロマン派の作曲家たちによるチェロとピアノのための作品集。ロマン派ソナタの人気曲であるフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」のチェロ版から、ペーテル・ブノワの知られざる作品まで、ベルギー・ロマン派の技巧的で濃密なチェロ作品を鮮烈なチェロで描きます。
ライプツィヒ時代のJ.S.バッハへの主要な楽器提供者であったヨハン・クリスティアン・ホフマンによる1740年頃製の貴重なチェロを使用。
※録音:2019年1月、ベルギー
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KTC 1392
【旧譜新装再発売】
¥2500
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18世紀のチェンバロ二重奏曲集
シャフラート:二重奏曲イ短調
ル・ルー:組曲第1番ニ短調
J.S.バッハ:コントラプンクトゥス13
クープラン:
2台のクラヴサンのためのアルマンド、
選り抜きのミュゼット、居酒屋のミュゼット
C.P.E.バッハ:4つの小二重奏曲Wq.115
J.C.バッハ:2台のチェンバロのためのソナタ
ト長調
ソレール:協奏曲第3番ト長調
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ヤン・デフリーヘル(チェンバロ)
ギー・ペンソン(チェンバロ) |
クープランからバッハ一族、ソレールなど、18世紀のヨーロッパで作曲された2台のチェンバロのための協奏曲集。
古楽大国ベルギーの鍵盤奏者、デフリーヘルとペンソンのデュオがゴージャスで高貴なチェンバロの"饗宴"をたっぷりと楽しませてくれる。
※録音:2008年12月27日−30日、ベルギー
※再生産による旧譜再発売
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<メジャー・レーベル>
<LP>

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