CAPRICCIO
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C5163
\2600 |
シグナム弦楽四重奏団/ベルク、バルトーク、シュニトケを弾く
1-2.ベルク(1885-1935):弦楽四重奏曲 Op.3(1910)/
3-6.バルトーク(1881-1945):弦楽四重奏曲
第3番 BB93(1927)/
7-9.シュニトケ(1934-1998):弦楽四重奏曲
第3番(1983) |
シグナム弦楽四重奏団
<メンバー:
ケルスティン・ディル(ヴァイオリン)/
アンネッテ・ヴァルザー(ヴァイオリン)/
ザンティ・ファン・ダイク(ヴィオラ)/
トーマス・シュミッツ(チェロ)> |
録音 2012年12月3-6日 ベルリン デーレム,イエス・キリスト教会
丁寧に描かれたスコアと、精緻に仕組まれた音の結びつきが「弦楽四重奏」の良し悪しを決めるとするならば、ベートーヴェンやシューベルト、もしくはブラームスあたりの時代で、その基準は頂点を迎えてしまったかもしれません。そのため20世紀の作曲家たちは“どのようにそれを超えるか”を模索し、新しい音を造りだすために様々な試みをしたのです。このアルバムに収録されているのは、20世紀になって書かれた3つの「3番」にまつわる弦楽四重奏曲。
まだシュトラウスやマーラーが調性音楽を書いていた頃、25歳のベルクは、シェーンベルクの元でこんな音楽を書いていました。無調ではなく、そこはかとなく感じられる調性感は時に抒情的で妖艶。師シェーンベルクも絶賛した作品です。
そしてバルトークの作品は、調性の探究ではなく「民俗音楽」の探究。激しいリズムの応酬と懐かしいメロディ。これらが発展し、交錯した上に生まれたシュニトケの作品は、一種の先祖帰り的な要素も持つ不思議な音楽。若きアンサンブル、シグナム弦楽四重奏団の素晴らしい演奏でお聞きください。 |
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C5174
\2600→\2390 |
シュヴァネヴィルムス/ワーグナーを歌う 〜ワーグナー:作品集
1-3.歌劇「タンホイザー」から
<序曲/ヴェーヌスベルクの音楽/第2幕:崇高な殿堂よ“エリーザベトの挨拶”>/
4-8.女声のための5つの詩「ヴェーゼンドンク歌曲集」
<第1番:天使/第2曲:とまれ/第3曲:温室にて/第4番:悩み/第5曲:夢>/
9-10.楽劇「トリスタンとイゾルデ」から
<第1幕の前奏曲/
第3幕:やさしく,かすかに,彼が微笑んでいるのを(イゾルデの愛の死)> |
アンネ・シュヴァネヴィルムス(ソプラノ)/
ウィーン放送交響楽団/
コルネリウス・マイスター(指揮) |
録音 2013年3月7-10日,10月30-31日 ウィーン
ORF放送
1849年のドイツ三月革命運動に参加し、それが失敗したために指名手配されてしまったワーグナー(1813-1883)。彼はスイスに逃れ、1858年までの9年間、亡命生活を送りました。しかしそんな中でも彼の創作意欲は旺盛であり、「ニーベルングの指環」に着手し、また楽劇「トリスタンとイゾルデ」も平行して書いていたのでした。もちろん彼のこと、その旺盛な意欲は音楽だけに向けられていたのではなく、何人かの女性たちにも向けられていたことはご存知の通りです。
中でも、当時のパトロンの夫人であったマティルデ・ヴェーゼンドンクとの許されぬ愛は、「トリスタン」の創作の源になり、彼女が贈った詩は「ヴェーゼンドンク歌曲集」として生み出され、このメロディは「トリスタン」の中でも効果的に使われているのです。
このアルバムは、そんなワーグナーとマティルデの禁断の恋から派生した作品が中心に収録されています。歌うのは現代最高のワーグナー歌手であるアンネ・シュヴァネヴィルムス。まさに「震える心」を具現化した見事な歌唱です。 |
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C5028
(2CD)
\2600 |
シューベルト:即興曲と楽興の時 他
<CD1>
1-4即興曲 D899<第1番:ハ短調/第2番:変ホ長調/第3番:変ト長調/
第4番:変イ長調>/
5-7.楽興の時 D780<第1番:ハ長調/第2番:変イ長調/第3番:ヘ短調>/
<CD2>
1-3.楽興の時 D780(続き)
<第4番:嬰ハ短調/第5番:ヘ短調/第6番:変イ長調>/
4-7.ピアノソナタ 第18番 D894 ト長調
<第1楽章:Molto moderato e cantabile/第2楽章:Andante/
第3楽章:Menuetto-Allegro moderato/第4楽章:Allegretto> |
ツィモン・バルト(ピアノ) |
録音 2007年11月29-30日…ソナタ、楽興の時,
2008年9月19日…即興曲 オランダ Concertboerderij
Valthermond
最近、その独特な演奏と解釈で俄然注目を浴びているピアニスト、ツィモン・バルト(1797-1828)。彼の演奏の一つの特徴として、極端な弱音とデリケートな感情表現が挙げられますが、このシューベルトでもそれが炸裂しています。
冒頭の「即興曲 ハ短調 Op.90-1」から、これまで聴いたことのないような不思議な音楽となっています。有名な「楽興の時
第3番」や「ソナタ ト長調」でも新しい発見があるはずです。これはもしかしたら、かのアファナシエフを超える名演と呼ばれるようになるかもしれません。まずは、聴いてみて判断してみてください。 |
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C5155
\2600 |
ゴッフレード・ペトラッシ:ピアノ協奏曲 他
1-3.ピアノ協奏曲(1936/1939)/
4-7.ピアノのためのパルティータ(1924)
<プレリュード/アリア/ガヴォット/ジーグ>/
8.トッカータ(1933)/
9-16.ピアノのためのインベルツィオーニ(1942/1944) |
ピエトロ・マッサ(ピアノ)/
ゲッティンゲン交響楽団…1-3/
クリストフ=マティアス・ミュラー(指揮)…1-3 |
録音 2011年11月1-2日 ゲッティンゲン スタッドハレ…1-3/2012年3月31日-4月1日
ベルリン,ゲルトナーシュトラッセ・スタジオ…4-16
最近注目を浴びている、イタリア近代派に属する作曲家たち。すでにダラピッコラやカゼッラ、マリピエロの音楽は耳にする機会も多くなっていますが、このペトラッシ(1904-2003)はその次の世代の作曲家であり、まだまだ存分に知られているとは言い難いところ。
しかし、レスピーギなどの流れを汲む「旋法」の使い手であり、またストラヴィンスキーなどの影響を強く感じさせる「新古典派」の手法も取り入れた色彩的な作品は、聴けば聴くほどに面白いという異色の作曲家であることは間違いありません。彼は指揮者としても才能があり。1937年から1940年まではフェニーチェ劇場のディレクターを務め、また聖チェチーリア音楽院の教授としても活躍するなど、後進の指導も行っていました。
この2枚組に収録された様々なピアノ作品は、彼の作品像を端的に表すものであり、とりわけ、エネルギッシュなピアノ協奏曲は何の予備知識なしに聴いても、実に面白いものです。この時代の音楽を得意とするピエトロ・マッサの申し分ない演奏で。 |
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C5194
\2600 |
トーマス・ミヒャエル・アレン:遙か遠くに
1.ベートーヴェン(1770-1827):遥かな恋人に
Op.98/
2-6.フォーレ(1845-1924):5つのヴェネツィアの歌
Op.58
<マンドリン/ひそやかに/グリーン/クリメーヌに/恍惚>/
7-12.ツェムリンスキー(1871-1942):トスカーナ地方の民謡によるワルツの歌
Op.6
<愛しきつばめに/不満そうに月が昇ってきた/
小さな窓よ、夜にはお前は閉じている/私は夜にそぞろ歩く/
青い小さな星よ/手紙を書いたのは私>/
13-19.ブリテン(1913-1976):ミケランジェロの7つのソネット
<あたかもペンとインクで記したように/ああ、なぜ私は涙を流し/
おまえの美しい目によって優しい光を見る/わたしが思うにおまえも/
私の目に返して、おお流れのそばの泉よ/もし愛が純潔であるならば/美しい魂よ>/
20-24.バーバー(1910-1981):過ぎゆきしものの歌
Op.27
<全て過ぎ行くがゆえに/白鳥/公園の中の墓/鐘は鳴る/出発>/
25-28.アイスラー(1898-1962):ハリウッド・エレジー集より
<緑胡椒の木の中で/この都市は天使にちなんで命名された/
ラットマン「悪夢」/ハイウッド・エレジー
第7番>/
29.ヴァイル(1900-1950):歌劇「街の風景」より“ロンリー・ハウス”/
30.ヴァイル:歌劇「間の女」より“マイ・シップ”/
31.ヴァイル:歌劇「愛の生活」より“ここに私はいる” |
トーマス・マイケル・アレン(テノール)/
チャールズ・スペンサー(ピアノ) |
録音 2011年6月24-29日 オーストリア,ウィーン
シカゴで生まれ、最初はピアニストとしての勉強を始めたトーマス。しかしニューヨークのマンハッタン音楽学校で学んでいた時に、声楽の才能を見出され、歌手としてデビュー。ウィリアム・クリスティやルネ・ヤーコプス、ガリ・ベルティーニ、シモーネ・ヤングなど錚々たる指揮者たちと共演、古楽系から現代曲までを歌いこなすテノールへと成長したのでした。
そんな彼、このアルバムでは、アメリカ人である彼の「心の憧れの地」であるヨーロッパの作曲家たちによる歌曲を連綿と歌います。
ただし、選ばれている作品はどれも、何かしらの「憧れ」を秘めているものばかり。
フォーレやツェムリンスキー、ブリテンにおけるイタリア、バーバーの古きものに対する郷愁、ベートーヴェンは「恋する人への憧れ」など、様々な想いが交錯する珠玉の1枚です。 |
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C5172
\2600 |
パウル・アルミン・エデルマン/シューマンを歌う
1-12. 12の詩 Op.35
<あらしの夜の楽しみ/愛と喜びよ、消え去れ/旅の歌/新緑/
森へのあこがれ/亡き友の杯に/さすらい/ひそやかな愛/問い/
ひそやかな涙/誰がお前をそんなに悩ますのだ/古いリュート>/
13.5つのリートと歌 Op.127より第3番「私の恋は輝く」/
14.4つの歌 Op.143より第4番「ぼくの馬車はゆっくりと行く」/
15.ベルシャザール Op.57/
16-22. 6つの詩とレクイエム Op.90
<鍛冶屋の歌/私のばら/出会いと別れ/
牛飼いのおとめ/孤独/重苦しい夕べ/レクイエム> |
パウル・アルミン・エーデルマン(バリトン)/
チャールズ・スペンサー(ピアノ) |
父親が出版業を営んでいた事もあり、若い頃から音楽だけでなく、文学にも強い関心を抱いていたシューマン(1810-1856)でしたが、不思議なことに歌曲の作曲にはほとんど興味を示しませんでした。しかし、愛するクララと結婚が決まった時から、突然堰を切ったかのように歌曲を書き始めた彼、たった1年の間に「ミルテの花」や「詩人の恋」などを始めとした名作を次々と作曲するのです。
歌曲の作曲に没頭していた彼はクララに手紙を書きました。「私はほとんど死にそうだよ。ああ、クララ。歌を書くことの至福を私は長い間逃していたようだ・・・。」そんなシューマンは、それ以降も事ある毎に美しい歌曲を書き続けました。
そして、そんな珠玉の歌曲を歌うのは名歌手パウル・アルミン・エーデルマン(彼の父は偉大なるバス・バリトン歌手オットー・エーデルマンです)。シューマンのデリケートな感情を丁寧に紡ぎ出し、全てのフレーズに心が通った、きめ細やかな歌がここにあります。 |
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C5196
\2600 |
フェルナンド・ロペス=グラサ:作品集
1-9.9つの小さな舞曲(1938-1948)/
10.ポルトガルの有名な主題による変奏曲(1927)/
11-13.ピアノソナタ 第2番 Op.26(1939)/14-29.年と時間に沿って |
アルトゥール・ピツァッロ(ピアノ) |
録音 2012年6月11-15日 ベルリン ジーメンスヴィラ
ルイス・デ・フレイタス・ブランコ(1890-1955)、ジョリ・ブラガ・サントス(1924-1988)、そしてこのフェルナンド・ロペス=グラサ(1906-1994)。この3人が近代ポルトガル音楽の巨匠と呼ばれる人たちです。
ただ3人の作風には違いがあり、ドイツとフランスで学んだブランコはドイツ後期ロマン派の?影響が感じられる作品を書き、サントスの作品は民族音楽からの影響を半音階的進行に閉じ込めたもの。そしてこのロペス=グラサは、パリでシャルル・ケクランに学び、ポルトガルのポピュラー音楽とバルトークやヒナステラなどの他の国の現代作品との融合を図った音楽を書いたのです。
彼はポルトガル共産党に入党したことで、強い迫害を受けたことでも知られますが、それにもめげず強靭な音楽を残しています。このピアノ曲集は、彼の作風を端的に知ることができるでしょう。 |
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C5197
\2600 |
エルヴィン・シュルホフ:協奏曲集
1-3.ピアノと小管弦楽のための協奏曲 Op.43
WV66(1923)/
4-6.フルートとピアノ、弦楽合奏、2台のホルンのための二重協奏曲/
7-9.弦楽四重奏と管楽アンサンブルのための協奏曲
WV97(1930)/
10.ベートーヴェン:失われた小銭への怒り(シュルホフ編) |
フランク=インモ・ツィヒナー(ピアノ)…1-6/
ジャック・ズーン(フルート)…4-6/
ライプツィヒ弦楽四重奏団…7-9/
ドイツ交響楽団/
ローランド・クルティヒ(指揮) |
録音 2007年11月21-22日 ベルリン,ゲルトナーシュトラッセ・スタジオ…4-6.7-9/2007年11月28-29日
RPB センデザール…1-3.10
エルヴィン・シュルホフ(1894-1942)はプラハの裕福な商人の息子として1894年に誕生。音楽の大切さを良く知っていた彼の母は、幼い彼のためにヨーロッパ中から有名な教師を呼び寄せ、また、たくさんの演奏会に出かけ、その音楽的素養を育んだのでした。
やがて、家族はライプツィヒに移り、14歳の彼はライプツィヒ音楽院に入学、レーガーに師事したことで彼は作曲にも興味を持つようになります。若きピアニスト、作曲家として活躍を始めた彼ですが、第1次世界大戦で従軍し、戦争への嫌悪感を募らせることになります。この頃からダダイズムに傾倒し、自身の音楽にも無力感や虚無感を漂わせることや、当時流行のジャズの形式を取り入れることで、その時代に対しての反感を示したのでした。
ここで聞ける音楽も、その傾向は顕著であり、たとえばピアノ協奏曲は、印象派と後期ロマン派、そしてジャズ風のサウンドと激しいリズムが絶妙なバランスで同居している不思議な音楽として仕上がっています。 |
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C5198
(2CD)
\2600 |
ブゾーニ:バッハによる編曲集
<CD1>
1-2.前奏曲とフーガ ニ長調 BWV532/
3-4.トッカータとフーガ BWV565/
5-9.オルガン前奏曲より第1集
<来たれ、創り主にして聖霊なる神よ
BWV667/
目覚めよと呼ぶ声あり BWV645/
7.いざ来たれ、異教徒の救い主よ BWV659/今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たちよ
BWV734/
主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ BWV639>/
10-14.オルガン前奏曲より第2集
<主なる神よ、いざ天の扉を開きたまえ
BWV617/
アダムの罪により全ては失われぬ BWV637/
アダムの罪により全ては失われぬ BWV705/汝のうちに喜びあり
BWV615/
われらが救い主イエス・キリスト BWV665>/
15-17.トッカータ BWV564/
<CD2>
1.コラール前奏曲/
2-7.カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちにあたって」BWV992/
8-10.ファンタジア,アダージョとフーガ
<ファンタジア BWV906/アダージョ BWV968/フーガ
BWV906a>/
11-20.音楽の捧げものよりカノン変奏曲とフーガ/
21.「ノミのジャンプ」2声と通奏低音のためのカノン…初録音/
22.Das Calvarium(断片)…初録音/
23.バッハのコラール《幸なるかな》による即興曲(グロショップによるピアノ独奏編)…初録音/
24.オルガンコラール「甘き喜びのうちに」BWV751/
25.シチリアーノ BWV1031/
26.狩のカンタータ「わが楽しみは元気な狩のみ」BWV208より“羊は安らかに草を食み”/
《ボーナス・トラック》
27.アンナ・ヴァイス=ブゾーニ(1833-1909):サロン・ポルカ「フェルッチョ」…初録音 |
ホルガー・グロショップ(ピアノ) |
録音 2011年5月17-20日 ベルリン,ゲルトナーシュトラッセ・スタジオ
すでにリリースされている、グロショップのブゾーニ(1866-1924):ピアノ作品集(C7015…4枚組)には、バッハを始めとした17人の作曲家たちの作品のトランスクリプションが収録されていますが、実はそこには、ブゾーニがバッハ作品を編曲したものの全てが含まれていたわけではありません。
この2枚組はそんな不足分を補うものと言えるでしょう。この録音の中には、グロショップ自身のバッハ作品の編曲や、優れたピアニストであったブゾーニの母アンナ=ヴァイスの作品までをも収録。
グロショップのブゾーニ:ピアノ作品への傾倒ぶりが感じられる納得の演奏でお楽しみください。 |
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C5203
(2CD)
\2600 |
ブラームス:歌曲集「美しきマゲローネ」 他
<CD1>
1.私の恋は緑にもえ Op.63-5/2.万歳 Op.6-4/
3.たそがれは迫り Op.59-1/4.愛のまこと
Op.3-1/
5.鳩に寄せて Op.63-4/6.森に囲まれた丘から
Op.57-1/
7-21.ロマンス「美しきマゲローネ」 Op.33/
<CD2>
1-30.ロマンス「美しきマゲローネ」Op.33
朗読付き |
ダニエル・ベーレ(テノール)/
スヴァイヌング・ビェラン(ピアノ)/
ハンス・ユルゲン=シャッツ(ナレーター…CD2) |
録音 2013年3月4-6日 チューリヒ
ルートヴィヒ・ティークによる「美しいマゲローネ」は、主人公ペーター伯爵と、ナポリの美しい王女マゲローネが出会ってから、苦難を乗り越え結ばれるまでを描いた長編小説です。
それにヒントを得たブラームス(1833-1897)が、小説の各章の末尾に挿入された詩に音楽をつけ、連作歌曲としたのが「美しきマゲローネの物語」です。
詩=歌曲の部分を聴いただけでは、物語の全てを知ることはできませんが、ブラームスは音楽で丁寧に背景を描いているので、テキストがなくても独自の世界を味わうことは可能です。
この2枚組は、最初はテキストなしで歌曲のみを味わい、次は、もう1枚のCDでテキストの朗読を聞きながら歌を聴くという趣向になっています。
オペラを書くことなかったブラームスですが、この控え目でロマンティックな作品は、彼のオペラと呼ぶにふさわしい逸品と言えるでしょう。
ダニエル・ベーレのセンシティヴな歌唱は、この淡い物語を的確に描き出し、ドイツで人気の俳優ユルゲン=シャッツの朗読は、たとえドイツ語がわからなくとも、2人の愛の世界を目に浮かべることができるでしょう。 |