NAXOS
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8.573297
\1100 |
スラットキン(指揮)
ベルリオーズ:イタリアのハロルド 他
1-4.交響曲「イタリアのハロルド」Op.16 H68
<第1楽章:山におけるハロルド、憂愁、幸福と歓喜の場面/
第2楽章:夕べの祈祷を歌う巡礼の行列/
第3楽章:アブルッチの山人が、その愛人によせるセレナード/
第4楽章:山賊の饗宴、前後の追想>/
5.序曲「ローマの謝肉祭」Op.9 H95/
6.夢とカプリース Op.8 H88/
7.序曲「ベンヴェヌート・チェッリーニ」Op.23
H76 |
リーズ・ベルトー(ヴィオラ)…1-4/
ジョヴァンニ・ラディヴォ(ヴァイオリン)…6/
フランス国立リヨン管弦楽団/
レナード・スラットキン(指揮) |
録音 2013年10月24-26日 フランス オーデォトリウム・デ・リヨン
イギリスの名詩人、第6代パイロン男爵ジョージ・ゴードン・バイロンが1812年に出版した「チャイルド・ハロルドの巡礼」は当時大ベストセラーになりました。彼は当時の偽善と偏見に果敢に立ち向かい、また恋多き男でもあり、そんなところもベルリオーズ(1803-1869)がこの物語に音楽を付けるモチベーションになったのではないでしょうか。この作品は当初、パガニーニが演奏することを想定して書かれましたが、パガニーニが曲の出来に不満を漏らしたという説や、ベルリオーズが途中で書く気を失ったという説など様々な原因があったようで、結局のところ、第1楽章でふんだんに使われたヴィオラは、楽章が進むにしたがって姿を潜めてしまいます。
しかしながら、曲全体の物語はとても面白く、まだベルリオーズ特有の「イデー・フィクス(固定観念)」もふんだんに登場し、特に第4楽章での楽器たちの喧騒と狂乱は幻想交響曲を超えるほどの熱狂を呼ぶものです。
ヴィオラのリーズ・ベルトーは1982年生まれの才能あるヴィオラ奏者。この難曲を容易く手中に収めています。残りの3曲は、全て歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」に関係する作品で、有名な「ローマの謝肉祭」も元々はこの歌劇の間奏曲として作曲されたものです。「夢とカプリース」はテレサのアリアを編曲したもの(このアリア自体は初演前に削除されてしまった)で、現在では独立した曲とされています。 |
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8.573008
\1100 |
エルネー・ドホナーニ:交響曲 第2番 他
1-4.交響曲 第2番 ホ長調 Op.40(1945/1957改編)
<第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ、力強く情熱的に/
2.第2楽章:アレグロ・パストラーレ、ひどく感傷的に/
3.第3楽章:ブルラ:アレグロ/
4.第4楽章:序奏、フーガとJ.S.バッハのコラールによる変奏とコーダ>/
5-6. 3つの歌 Op.22(1912)より「2つの歌」〜
ウィリアム・コンラッド・ゴモル(1877-1951)のテキストによる
<第1番:神/第2番:太陽への憧れ>
※世界初録音…5.6 |
エヴァン・トーマス・ジョーンズ(バリトン…5.6)/
フロリダ州立大学交響楽団/
アレクサンダー・ヒメネス(指揮) |
録音 2013年3月1-3日 フロリダ州立大学,ルビー・ダイヤモンド・コンサート・ホール
ハンガリー屈指の音楽家で、その孫に世界的指揮者として知られるクリストフ・フォン・ドホナーニを持つエルネー・ドホナーニ(1877-1960)。ダルベールに学び、ベルリンでピアニストとしてデビュー。その後はヨーロッパ全土で演奏旅行を行い高く評価された人です。教師としても優れていて、1905年から1915年まではベルリン高等音楽学校で教え、1919年には一時的にブダペスト音楽アカデミーの院長も務めています(政治的圧力でその年のうちに解任)それほどの人なのに、自作の演奏にはあまり積極的ではなかったようで、現在でもあまり彼の曲を聴く機会はありません。
この交響曲第2番は、第二次世界大戦で荒廃を極めたハンガリーが復興していく時期に書かれたもので、激しい爆撃をかいくぐった都市の姿を彷彿させる堂々とした輝かしい楽想に満ちています。作風は後期ロマン派に属するものであり、この時期の作品に拘わらず調性も付されていますが、曲の要所要所には新古典派的な面持ちも垣間見えます。変奏曲形式を持つ第4楽章には、バッハのコラールのメロディが埋め込まれ、様々な形で「死と生」について語りかけます。最後には「生きること」が勝利し高らかに曲を閉じるというものです。
2つの歌曲は神への賛歌と、闇を克服する夜明けが描かれており、ここでもドホナーニの世界観をつぶさに知ることができるはずです。 |
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8.573290
\1100 |
ブロッホ:交響曲 変ホ長調 他
1-2.歌劇「マクベス」の2つの交響的間奏曲(1939)
<第1幕:間奏曲/第3幕:間奏曲>/
3-6.交響曲 変ホ長調(1954-1955)/
7.イン・メモリアム(1952)/
8-10. 3つのユダヤの詩(1933)
<第1番:舞曲/第2番:儀式/第3番:葬列> |
ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団/
ダリア・アトラス(指揮) |
※ASVより移行盤
録音 1996年10月14-15日 UK ミッチャム サリー,聖バルナバス教会
エルンスト・ブロッホはスイス出身のユダヤ人作曲家で、主にアメリカで活動したとされています。若い頃はジュネーヴで学び、イザイにヴァイオリンを学び、フランクフルトで研鑽を積み、更に一時はパリにも住み、その後は1916年からアメリカに渡り、様々な場所で活躍、1924年にはアメリカの市民権を獲得します。彼はオーケストラや室内楽団のために30ほどの作品を書き、その中にはとびきりの傑作も含まれています。
歌劇「マクベス」の交響的間奏曲は、30年近く前に完成を見た歌劇を見直したブロッホが、プログラムノートに手を入れ、2つの幕間の間奏曲を付け加えたというもの。曲全体のライトモティーフが使われた色彩感豊かな作品です。
1955年に完成された交響曲は、彼自身においても自信作であったようで、曲についての詳細な説明を友人であるA.チャップマンに送っています。そこには第1楽章から第4楽章までの楽想の移り変わりと感情推移が記され、演奏するためにも素晴らしい手引きとなっています。
短い「イン・メモリアム」は彼の友人であったピアニスト、エイダ・クレメントに捧げられたもの。
3つのユダヤの詩は彼の「ユダヤ・ツィクルス」の一つの作品で、ユダヤの伝統的な旋律を引用し、素晴らしいオーケストレーションを施した表現的な作品であり、ブロッホの面目躍如と言った感のあるものです。 |
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8.573088
\1100 |
ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲集 第2集
1-4.弦楽四重奏曲第1番 イ長調 Op.4(1896)/
5-9.弦楽四重奏曲第2番 Op.15(1913) |
エッシャー弦楽四重奏団
<メンバー:
アダム・バーネット=ハート(第1ヴァイオリン)/
ウー・ジー(第2ヴァイオリン)/
ピエール・ラポワント(ヴィオラ)/
デーン・ヨハンセン(チェロ)> |
録音 2012年5月9-12日 USA フロリダ,ポート・シャーロット・ユナイテッド・メソジスト教会
25歳の若き才能溢れる作曲家ツェムリンスキー(1871-1942)は、ブラームスの後押しを受けて「クラリネット三重奏曲」の出版を行い、また最初のオペラ「ザレマ」が賞を獲得するなど、順風満帆たる人生を歩み始めたところでした。その年に書かれた弦楽四重奏曲第1番は、若々しい活力と流麗なメロディが漲る、叙情的で輪郭のはっきりした音楽であり、若さゆえの冒険心や遊び心が感じられる瑞々しいものです。
しかし、その17年後に書かれた第2番の弦楽四重奏曲は、まるで別人の作品?とも思えるほどにその表情が変化しています。確かにその間に彼の身の回りに起こった様々な出来事は、野心溢れる青年から幾多の希望を奪っていったに違いありません。曲は調性感を保ちながらも、第1楽章は無調とも思えるやるせなさが支配していたり、第2楽章も薄い美しさの中にのたうちまわるような苦しみが感じられます。第3楽章は特徴的なリズムが支配する忙しないもの、そして第4楽章には先の見えることのない薄暮が覆っています。最終楽章は一層混沌が激しくなり、取り留めのない不安感の中に取り残されるかのようです。とは言え、この時期の彼はまだ、指揮者としては名声を獲得しており、曲の中にも、若干の明るい光が宿っています。
以降のツェムリンスキーの生涯は転落の一途を辿り、書かれる曲調も暗く変化していきます。彼の3番と4番の四重奏曲は8.572813で聴くことができます。 |
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8.573116
\1100 |
ヴィラ=ロボス:ギターの写本 傑作集と失われた作品集
第2集
1.理由を私に話して(A.ビッソーリによる復元版)(1901/2010)/
2.ワルツ協奏曲 第2番(A.ビッソーリによる補筆完成版)(1904/2009)/
3.神秘的な六重奏曲(1917)/
4.ショーロへの序奏(1929)/
5.ショーロ第1番/6.ショーロ第6番/
7.アマゾンの森-愛の歌 ※世界初録音…1 |
アンドレア・ビッソーリ(ギター)…1-5.7/
ガブリエラ・パース(ソプラノ)…7/
アンサンブル・ムーサゲート
<メンバー:
アンドレア・ビッソーリ(ギター)/
ファビオ・プピッロ(フルート)/
レモ・ペロナート(オーボエ)/
マウロ・リビチーニ(アルト・サクソフォン)/
アンナ・ピッターロ(チェレスタ)/
フランチェスカ・ティラーレ(ハープ)>…3/
ミナス・ゲラリス・フィルハーモニック管弦楽団…4.6.7/
ファビオ・メケッティ(指揮)…4.6.7 |
録音 2013年3月24日 イタリア ヴィチェンツァ,キエサ・ディ・クリストフォーロ…1.3,
2010年3月17日 イタリア ヴィチェンツァ,キエサ・ディ・サンタ・マリア・デイ・カルミーニ…2.5,
2012年10月4日 ブラジル ミナス・ゲラリス,イビリテ
テアトロ・ド・チェントロ・エドゥカシオナル…4,
2013年5月1日 ブラジル ミナス・ゲラリス,ベロ・ホリゾンテ,パラチオ・ダス・アルテス…6.7
1887年、リオデジャネイロで国立図書館員の父親の元に生まれたヴィラ=ロボス。熱狂的な音楽好きだった父のと彼の叔母の影響で、最初はピアノ、チェロ、クラリネットを学び、一度は医療系の技術を学ぶも、結局は音楽の道を選択、作曲を独学で勉強する傍ら、ブラジルの民謡の採集を行うなど活発な活動を行います。一時期はパリにも留学、そこでも先鋭的な音楽を吸収し、後の創作への糧としました。
このアルバムには一般にはほとんど知られることのないいくつかの作品が収録されています。彼の最も初期に書かれた「Dime
perche-理由を私に話して」は短いながらも充実した構成を持ち、めまぐるしくテンポが変わる面白い曲です。
2014年に出版されたばかりの「ワルツ協奏曲
第2番」は未完成ではありますが、ビッソーリが補筆完成させており、タイトル通りショパンの面影を感じさせる名曲です。チェレスタやハープまでを用いたユニークな音色が特色の「六重奏曲」には確かに熱帯地方の空気が漂っています。民俗舞曲に基づく「ショーロ」の数々は有名な作品。これを聴かずにはヴィラ=ロボスは語れません。最後の「愛の歌」は、映画のサウンドトラック。と言っても、彼の曲が使われたのは映画の最後のカットのみ。しかし印象的な曲で、人々の心に強い印象を残したであろうことは間違いありません。 |
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8.559730
\1100 |
スーザ:吹奏楽のための作品集 第14集
1.ロイヤル・トランペットのマーチ(1892))/
2.アメリカン・メイド-喜歌劇「ガラス吹き」序曲(1909)/
3.トリトン・メドレー-行進曲(1892)/
4.ユモレスク 「私の苦悩の物語を聞いてください」(1888)/
5.子羊-マーチ(1914)/6.行進曲「団結心」(1888)/
7-9.組曲「エル・カピタンと友人」
<エル・カピタン(1896)/偽医者(1898)/花嫁探し(1897)>/
10.行進曲「世界一周旅行クラブ」(1931)/
11.行進曲「忠誠軍団」(1890)/
12.3つの幻想曲 - 第1番 国際会議(1876)
※K.ブライオンによる吹奏楽編…1.2.3.5-12,
J.P.スーザ、
L.シッセルによる吹奏楽編…4, 世界初録音…2.4.6 |
英国王立空軍中央軍楽隊/
キース・ブライオン(指揮) |
録音 2012年2月24-28日 UK ロンドン ノルトホルト
英国王立空軍
スーザ(1854-1932)の行進曲は、当時から国を挙げての大人気を誇っていました。もちろん彼は行進曲だけを書いたのではなく、ここに収録されているような「エル・カピタン」などのオペレッタも書き、これも高く評価されていました。1892年には自らバンドを結成し、7年間で3500回ものコンサートをこなしたと言われます。そして電車や船でヨーロッパ中を移動し、それは40年で100万マイル(1マイルは約1.6km)を移動したというのですから、その活躍たるや推して知るべしといったところでしょう。
ここに収録された12の作品はどれも楽しいものですが、注目は「国際会議」でしょうか。1876年に開催されたフィラデルフィア・センテニアル博覧会にて、結成された「オールスター・フェスティヴァル・オーケストラ」(結成にあたってはオッフェンバックが音頭をとった)のために書かれたもので、当時21歳のスーザはアメリカ、イギリス、フランス、アイルランド、ドイツをはじめとした欧州の主要国の国歌、民謡、クラシックなど様々なメロディをつなぎ合わせ、長大なマーチを作り上げました。そして、曲の終わりは、タンホイザー序曲のパロディと「星条旗」が融合。壮麗に曲を閉じます。これは聴きものです。例えるなら、スーザの「イッツ・ア・スモールワールド」? |
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8.559764
\1100 |
ジェイク・ヘギー:コネクション-3つの歌曲集
1-5.ナチュラル・セレクション-自然淘汰(1997)
<創造/動物の情熱/アラス!アラック!/
インディアン・サマー-青/たった一人の喜び(コネクション)>/
6-9.オフィーリアへの歌とソネット(1999)
<オフィーリアの歌/女は以前から愛している/銀の棺には入っていない/春>/
10-17.イヴの歌(1996)
<私の名前/さらに/良く/聴く/蛇/男の災い/深い傷/農場>
※歌曲集としての初録音 |
レジーナ・ゾーナ(ソプラノ)/
カスリーン・タグ(ピアノ) |
録音 2013年4月26日,6月4日 USA ニューヨーク,ヨンカーズ,オクタヴェン・オーディオ・LLC
アメリカの現代作曲家、ジェイク・ヘギー(1961-)は常に物語やオペラに強い関心を抱いています。しかし何よりも得意としているのは歌曲であり、これまでに250作を超える歌を書き、またテキストも多方面から選ばれています。
このソプラノとピアノのための3つの歌曲集は彼の初期の作品で、3人の女性(その中にはオフィーリアとイヴも含まれる)が象徴的に描かれています。
最初の曲集「自然淘汰」では一人の若い女性が自らのアイデンティティを探索していく様子が描かれています。空想、妄想、そして性的成熟を経て、彼女にふさわしい夫を見つけるまでを音楽で綴ります。オフィーリアの歌は、誰もが知るシェークスピアの戯曲の登場人物。彼女もヘギーの手にかかると、一人の自立した女性として描かれるのです。そして最後に登場するのはイヴ。蛇=誘惑に唆されて禁断のリンゴに手を出してしまう彼女。ここにヘギーはクルト・ヴァイルのパロディまでをも用いて、多面的に表現していきます。蛇は甘い言葉を吐きながら、声に絡みつき、彼女にこれまで知ることのなかったリンゴの美味しさ(欲望)を体験させますが、彼女はそれを自らに取り入れることで、新たな世界を知るのです。なかなか意味深であり、豊かな世界を持つ音楽です。 |
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8.559777
\1100 |
ドヴォルザークとアメリカ
1-6.メロドラマ「ハイアワサ」 〜ドヴォルザークの作品からA.ギル=オルドニェスによる物語
<プロローグ/ハイアワサの求愛/ハイアワサの結婚式の饗宴/
ミンネハハの死/パウ=プク=キーウィスの狩り/エピローグ:ハイアワサの出発>/
7.ウィリアム・アルムス・フィッシャー(1861-1948):ゴーイン・ホーム
〜
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調
「新世界より」 - 第2楽章 ラルゴによる/
8.ドヴォルザーク:ヴァイオリン・ソナチネ
ト長調 Op.100-第2楽章/
9.ドヴォルザーク:ユモレスク Op.101 第4番
ヘ長調/
10.ドヴォルザーク:ユモレスク Op.101 第7番
変ト長調/
11-15.ドヴォルザーク:組曲 イ長調「アメリカ」Op.98/
16.アーサー・ファーウェル(1872-1952):ナバホ戦争の踊り
第2番/
17.アーサー・ファーウェル:メサと平原から
Op.20 - 第2番 ポーニー族の馬/
18.アーサー・ファーウェル:メサと平原から
Op.20 - 第2番 ポーニー族の馬(合唱版) |
ケヴィン・デアス(ナレーター…1-6,バスバリトン…7)/
チェン・ジュウ(ヴァイオリン)…8/
エドゥムント・バッテルスビー(ピアノ)…8/
ベンジャミン・パステルナック(ピアノ)…9-17/
ユニヴァーシティ・オブ・テキサス・チャンバー・シンガース…18/
マイケル・ウォルフェ(メンバー・テノールソロ)…18/
ポスト・クラシカル・アンサンブル…1-7/
アンヘル・ジル=オルドニェス(指揮)…1-7 |
録音 2013年3月2日 USA メリーランド,クラリス・スミス・パフォーミング・アーツ・センター…1-7.9-15.17,
1998年9月2-3日 UK サフォーク,ポットン・ホール…8,
2003年8月20日 カナダ トロント・センター・フォー・ザ・アーツ…16,
2013年5月5日 USA テキサス、ベイツ・リサイタル・ホール…18
1891年の春、ニューヨーク・ナショナル音楽院の創立者・理事長ジャネット・サーバーから音楽院院長職への就任依頼が届き、逡巡しながらもアメリカに旅立ったドヴォルザーク(1841-1904)。しかしアメリカの人々は彼の渡米を心から喜び、すぐさま彼自身もこの土地に馴染んだのでした。1893年には交響曲第9番「新世界から」を完成させていて、この曲には黒人霊歌の旋律などが使われていることは良く知られていますが、実はそれよりも、彼自身が長年構想を温めていたという歌劇「ハイアワサ」に使うための素材が数多く用いられていたのです。
「ハイアワサ」というのはネイティヴ・アメリカ(昔でいえばインディアン)の英雄の名前であり、彼を主人公にした「ハイアワサの歌」という長編の詩をH.W.ロングフェローが書き、それに目をつけたドヴォルザークが歌劇の題材にしようと目論んだのでした。結局、音楽院の委員会の反対によって、歌劇「ハイアワサ」の構想は実現することなく、ドヴォルザークはいくつかの曲をそのまま「新世界より」に流用。有名な第2楽章が哀しさを帯びているのは、実はハイアワサの花嫁ミンネハハの死を描写した音楽だったのです。この史実を考えると、これまで言われていたような“「新世界より」はドヴォルザークが故郷を思って書いた作品である”と簡単に言ってしまうのは早計であるのかもしれません。
このアルバムは、そんなドヴォルザークの構想を「メロドラマ(音楽と朗読の融合)」として再現したもの。良く知っているメロディが次から次へと現れる興味深い物語となっています。歌詞をつけて歌われる「ラルゴ」にも思わず涙するはずです。 |
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8.571351
\1100 |
モーリス・ジェイコブソン:主題と変奏
1.モザイク(1949)/2.セルシー・ローン(チェロとピアノ版)(1946)/
3-7.組曲「音楽室」(1935)
<素朴なバレエ/サラバンド/バガテル/茶色の研究/川の音楽>/
8.主はわが羊飼い(1936)/
9-15.ロマンティックな主題と変奏(主題…1910/変奏…1944)/
16.雅歌(1946)/17.哀歌(チェロとピアノ版)(1941)/
18.回転木馬(1946)/19.ユモレスク(チェロとピアノ版)(1948)/
20-26.主題と変奏(ピアノ・デュオ版)(1943-1947) |
ジュリアン・ジェイコブソン(ピアノ)/
ジェニファー・ジョンストン(メゾ・ソプラノ…8.16)/
ラファエル・ウォルフィッシュ(チェロ…2.17.19)/
マリコ・ブラウン(ピアノ…1.20-32 |
録音 2013年1月11日…1-7.9-15.17.19, 2013年2月3日…8.16.18.20-32
UK ストーク・ダベルノン,メニューイン・ホール
イギリスの音楽家モーリス・ジェイコブソン(1896-1976)は多くの面で非常に優れており、「突出した才能を持つ音楽家」と評されました。演奏家としては、幼い頃からバッハの平均律とベートーヴェンの32のピアノソナタを自在に弾きこなし、王立音楽大学では第一次世界大戦で中断されながらも、ホルストとスタンフォードの協力者であり、また偉大なるテノール、ジョン・コーツの伴奏者として注目され、キャスリーン・フェリアの才能にも着目したということです。
第二次世界大戦後には、更に活動の幅を広げ、それはナショナル・ユース・オーケストラの創立や、様々な出版物の編集、ディレクターを行い、音楽祭での審査員を務め、英国だけでなく、カナダ、香港にも強い影響力を及ぼしていました。そんな多忙な彼ですが、生涯に450曲もの作品を残したのは、まさに驚異的なことだったに違いありません。
このアルバムには1935年から1949年までに書かれた作品を収録。戦時中の困難な生活を乗り越えて書かれた、ちょっと風変わりな作品を彼の息子であるピアニスト&作曲家ジュリアンが中心となって演奏。この知られざる作曲家の魅力を丹念に描き出しています。 |
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8.571352
\1100 |
イギリスのチェロ作品集
1-4.ウィリアム・ブッシュ(1901-1945):チェロとピアノのための組曲(1943)/
5-13.ケネス・レイトン(1929-1988):パルティータ
Op.35(1959)/
14-16.ウィリアム・ワーズワース(1908-1988):
チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.66(1959)/
17-20.アーノルド・クック(1906-2005):チェロ・ソナタ
第2番 |
ラファエル・ウォルフィッシュ(チェロ)/
ラファエル・テッローニ(ピアノ) |
BMSより移行盤
録音 2010年2月18日…1-4, 2009年4月3日…5-13,
2008年10月9日 UK ストーク・ダベルノン,メニューイン・ホール…14-16/2005年10月
UK ロンドン,ギルドホール音楽・演劇学校・ミュージック・ホール…17-20
イギリスの近代音楽は、最近人気が出てきたとは言え、まだまだその全貌が知られているわけではありません。たとえばこのアルバムに収録されている4人の作曲家については、その名前すらご存知ない方も多いのではないでしょうか。これらの作品はイギリス国内でもほとんど演奏される機会を持たず、1960年代の始めに「前衛音楽」が省みられたときにも、古風すぎる作風ゆえ、その網から漏れ出してしまったという経歴を持ちます。その上、いくつかの作品は、作曲家自身によって「習作である」とみなされ公開もされなかったというもので、ここで録音され、多くの人に聴いてもらえる機会を持つことは、格別大きな意義を持つものではないでしょうか。
曲ごとのコントラストが美しいブッシュの組曲、教会音楽の作曲家として知られるレイトンの陰鬱なパルティータ、平和主義者であったと言われるワーズワースのブラームス風のソナタ(ぎりぎり調性を保っている)、6つの交響曲で知られるクックの新古典派を思わせる快活なソナタ。どれもが独特な味わいを有しています。 |
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8.572621
\1100 |
モンサルバーチェ:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
1-3.パラフラシス・コンチェルタンテ(1975)/4.子守歌(1957)/
5.スペインのスケッチ(1943)/
6-8. 3つのプリクロミア(1994)
<第1番:難解なファンファーレ-アンダンテ・コン・ブリオ/
第2番:ひそやかなシチリア-落ち着いて優しく/
第3番:アダージェット-ラファーガ・デ・タンゴ-アレグレット>/
9-13.ファーナビー:「エスパニョレッタ」の主題による変奏曲(1945)/
14-16.ピアノ三重奏曲(1986-1988)
<第1楽章:ドゥルシネアのバラード/
第2楽章:モンポウとの対話/第3楽章:リトルネッロ> |
エヴァ・レオン(ヴァイオリン)/
ホセ・ラモス・サンタナ(ピアノ)/
シビル・ジョーナー(チェロ…14-16) |
録音 2011年4月22日…4-8, 2011年5月25日…1-3.9-13,
2011年5月26日…14-16
20世紀スペインで最も重要視されている作曲家、モンサルバーチェ(1912-2002)。彼はその生涯に渡って様々なジャンルの200以上の作品を書いています。中でもヴァイオリンとピアノのための作品は、彼の音楽生活のほぼ全ての時期に渡って書かれていて、この1枚を通して聴くだけで、その作風の変遷がわかるという優れものです。確かに彼の作風は時代によって変化しており、初期の頃は12音技法とワーグナー風の厚みのある音を好んでいましたが、その後はカタロニア民謡の影響を受け、最終的には前衛的でありながらも、どこか温かみのある響きを作り出すことに成功したと言えるでしょう。小規模ながらも見事な均整を誇るパラフラシス・コンチェルタンテ。ちょっと古風な子守歌、そして“いかにも”と言った「スペインのスケッチ」。彼の後期の代表作の一つ「3つのプリクロミア」では巧妙にダンスのリズムを取り入れながら音楽が進みます。
変奏曲は、ルネサンス時代の作曲家ファーナビーの親しみやすいメロディを主題にしていますが、以降の変奏でのヴァラエティ豊かな音楽の作りが魅力的。聞き手は知らない間に300年の時を旅することとなります。
ピアノ三重奏も後期の作品であり、エレガントな第1楽章の最初はヴァイオリンとチェロの対話で始まり、ピアノが彩りを加え、曲は少しずつ盛り上がりを見せます。第2楽章はモンポウに敬意を表した静かな音楽。第3楽章は激しく情熱的。印象的で明快な楽章です。 |
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8.572907
\1100 |
レーガー:オルガン作品集 第14集
1-4.5つのやさしい前奏曲とフーガ Op.56
<前奏曲 第1番 ホ長調/フーガ 第1番
ホ長調/
前奏曲 第2番 ニ短調/フーガ 第2番 ニ短調>/
5-19. 52のやさしいコラール前奏曲 Op.67より
<第1番:いと高きにある神にのみ栄光あれ/
第2番:すべてのものは神の祝福により/
第3番:深き苦しみの淵より、われ汝を呼ぶ/
第4番:わが心の深みより/第5番:わが命なるキリスト/
第6番:われらが神はかたき砦/第7番:汝エホヴァにわれ歌わん/
第8番:栄光の日は来たりぬ/
第9番:主イエス・キリスト、われらを顧たまえ/
第10番:救いはわれらに来たれり/
第11番:おおわが魂よ、大いに喜べ/第12番:天と地の神/
第13番:主よ、汝の御心のままにわれはあらん/
第14番:わが心の切なる祈り/
第15番:地と天は喜びの声を高くあげよ>/
20-25. 5つのやさしい前奏曲とフーガ Op.56
<前奏曲 第3番 ト長調/フーガ 第3番
ト長調/
前奏曲 第4番 ハ長調/フーガ 第4番 ハ長調/
前奏曲 第5番 ロ短調/前奏曲 第5番 ロ短調> |
ヨーゼフ・スティル(オルガン…
トリーア大聖堂、ヨハネス・クライス・オルガン) |
録音 2013年6月4-5日 ドイツ トリーア大聖堂
レーガー(1873-1916)のオルガン作品は、どれもバッハの伝統を引き継ぐものであり、後期ロマン派のオルガン作品の最高峰に位置するものとしても認知されています。彼自身はカトリックでしたが、ルター派の伝統にも長けており、このアルバムにもあるように「コラール前奏曲」や「コラール幻想曲」など音楽を重視するルター派の特徴とも言える作品(祈る前に一般会衆たちが歌ったり、歌う前にオルガンのみで華やかに演奏する)も数多く作曲したのです。もちろん歌うためのコラールは、単純なものですので、そこに様々な装飾をつけたり、対戦率を付けたりして、聴き応えのある作品に仕上げたのが、このアルバムにも収録されているコラール前奏曲というわけです。
「前奏曲とフーガ」、「コラール前奏曲」のタイトルにそれぞれ「やさしい=Eazy」とありますが、お聴きいただいてわかるように、決してやさしくなどない(もちろん演奏も困難です)力強く光輝く、また若干難解な部分もある見事な曲ばかりです。一度聴けば必ずはまる不思議な味わいのオルガン曲。いかがですか? |
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8.573048
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フェルディナント・ダヴィッド:20の技巧的練習曲・6つのカプリース
1-20. 20の技巧的練習曲(モシュレスの「24の練習曲
Op.70」に基づく)/
21-26.独奏ヴァイオリンのための6つのカプリース
Op.9 |
レート・クッペル(ヴァイオリン) |
録音 2012年7月13日…1-7, 2012年9月15日…8-14,
2012年9月16日…15-20, 2013年1月7日…21-23,
2013年1月8日…24-26 ドイツ ミュンヘン,バイエルン放送
第2スタジオ
ドイツ系ユダヤのヴァイオリニスト、作曲家フェルディナント・ダヴィッド(1810-1873)。幼い頃から神童として知られ、13歳の時にはルイ・シュポーアとモーリッツ・ハウプトマンに師事、16歳でベルリン王立劇場のヴァイオリン奏者に就任しています。その後は優れたヴァイオリニストとして活躍し、ロシア方面にも演奏旅行に出かけ、25歳のときにはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターに就任、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の初演も彼が担うことで、メンデルスゾーンにヴァイオリンの技術やその他の助言を与えたことでも知られています。このアルバムにはそんな彼の自作を収録。
ここでダヴィッドが練習曲のベースに用いたのは、彼の親しい友人であったイグナツ・モシェレス(1794-1870)の「ピアノのための24の練習曲」をヴァイオリン練習曲に置き換えるというある意味、困難な試みです。両手で鍵盤を自由に操るピアノのパッセージが、どのような形でヴァイオリンに移し変えられているか、それをつぶさに聞き比べるのも一考でしょう。
「6つのカプリース」でのヴァイオリンのパッセージは、編曲という制限から逃れ、更に自由に飛翔しているかのようです。
ドイツのヴァイオリニスト、クッペルは13歳でデビューし、ハンブルク、ミュンヘンのオーケストラでソリストを務め、1997年から2013年まではバイエルン放送交響楽団のアシスタント・コンサートマスターも務めていました。確かな技術と表現力で、この難曲をぐいぐい演奏しています。 |
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8.573142
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サンドロ・フーガ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番-第3番
1-3.ヴァイオリン・ソナタ 第1番(1938-1939)/
4-6.ヴァイオリン・ソナタ 第2番(1972)/
7-9.ヴァイオリン・ソナタ 第3番(1989) ※世界初録音 |
マウロ・トルトレッリ(ヴァイオリン…1-3)/
アレッサンドロ・ミラーニ(ヴァイオリン…4-6)/
セルジオ・ランベルト(ヴァイオリン…7-10)/
ジャコモ・フーガ(ピアノ) |
録音 2013年2月1-2日 イタリア ポリテクニコ・オブ・トゥリン,アウラ・マーナ。ジョヴァンニ・アネッリ
NAXOSのCDを聴く喜びの一つに「これまで名前すら知らなかった作曲家の作品と出会える」ことがあります。このサンドラ・フーガ(1906-1994)のヴァイオリン・ソナタ集もそんな1枚。音楽辞書どころか、日本語のWIKIでもこの人の名前を検索することはできません。かろうじてイタリアのWIKIに簡単な解説があり、それによると「トリノ音楽院でアルファーノとゲティーニにピアノ、オルガン、作曲を学び、その作品は国際的に認められた」とあり、その最後には「1995年に家族によって彼の名前を関した組合が設立された」とも書いてありました。イタリア国内でもこの程度の知名度しかない作曲家ですが、彼の作品はなかなか聴き応えのあるものです。
ヴァイオリン・ソナタ第1番は、当時世界を覆っていた戦争の暗い影を伴う悲哀に満ちたもの。
そして彼の友人のために書かれた第2番は、一層穏やかで悲しさを帯びたエレジーで始まり、永久に続くかのような第2楽章を経て、激しい第3楽章へと続いていきます。第3番はバランスの取れたスタイルで書かれており、繊細さと流麗さはまるでドビュッシーやフォーレ作品を思い起こさせます。この3つの作品を「時代に即していない」と捉えるか、それとも「美しいメロディは永遠に滅ぶことない」と捉えるかは、聴き手の感性に委ねられるのかも知れません。 |
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8.573177
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W.F.バッハ:鍵盤音楽集 第5集
1-3.ソナタ ト長調 F.7/BR A14/4-6.ソナタ
ホ短調 BR A9/
7-9.ソナタ ハ長調 BR A1/10-12.ソナタ ヘ長調
F.6a/BR A11c/
13-15.ソナタ イ長調 F.8/BR A15/16-18.ソナタ
変ホ長調 BR A8 |
ジュリア・ブラウン(ハープシコード) |
録音 2013年10月6-7日 USA オレゴン ユージェニー,AGRパフォーミング・アーツ・センター
大バッハと最初の妻マリア・バルバラとの間の第二子、および長男として生まれたヴィルヘルム・フリーデマン(1710-1784)。彼へかかる期待の大きさは想像を絶するものであったようで、父バッハは自らの持つ技術の全てを彼に注ぎ込みました。その甲斐あってか、23歳の時にはドレスデンの聖ソフィア教会、そして1746年にはハレの貴婦人教会のオルガニストに就任します。彼は、もともと才能に恵まれていたことは確かですが、あまりにも溺愛され、また期待されすぎた反動か、独立心に欠け、猜疑心が強いなど人間的魅力が乏しく、最終的にはあまり恵まれた人生を送ることはできなかったと伝えられます。
そんなヴィルヘルム・フリーデマンの作品は、どれを聴いても、確かにこの時代の枠には入りきることのない、不思議な味わいをもっています。冒頭のソナタの第1楽章での自由な和声の進行は、まるでシューベルトを思わせるロマンティックなもの。明らかに時代を先取りしていますが、当時、これを受け入れるまでには時代は進歩していなかったと思われます。
彼の作品は、その成立過程や成立年代がわかっていないものが多く(これも彼自身の怠惰な性格が災いしているのですが)実際に聞いてみて、初期の作品か後期の作品かを判断するほかなく歴史上の位置づけも困難だと言われています。しかし、ここに溢れる表現力豊かな音楽は、確かに天才の息遣いを感じさせるものばかりです。
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8.573294
\1100 |
アルベニス:ピアノ作品集 第4集 古風な組曲
第3番 他
1-2.古風な組曲 第3番 T.76(1886)<メヌエット/ガヴォット>/
3-6.ピアノ・ソナタ第5番 変ト長調 Op.82
T.85(1887)/
7.マズルカ「比類なき歌姫」T.63(1886)/
8.ポルカ「バルビナ・バルベルデ」T.64(1886)/
9.即興練習曲 Op.56 T.50(1885頃)/
10-12.夢 Op.201 T.99(1890)<子守歌/スケルツィアーノ/愛の歌>/
13.アラブのセレナーデ T.60(1885頃)/
14.カディスのカディナータ T.93(1891頃)/
15.グラダナのサンブラ T.97(1891頃)/
16-18.3つのインプロビゼーション(1903)(A.ローファーによる復元版)
※7.8.14…世界初録音 |
ルベン・ラミーロ(ピアノ) |
録音 2013年7月8-9日スペイン「ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス」コンセルヴァトーリオ・プロフェッショナル・デ・ムジカ
アルベニス(1860-1909)の作品を録音する際、直面する問題の一つに、曲の配列と作曲年代の特定がある。と演奏しているラミーロは書いています。それはアルベニス自身が初期の作品の出版の際に、同じ作品を異なる曲集に入れたり、出版社もタイトルと番号が連動していなかったりと、若干の混乱をきたしているからでしょう。
そのためこのNAXOSのシリーズでは、2001年に研究家ハシント・トレス氏による整理番号「T.」に基づいて体系的に曲を集めています。
その分類によると、このアルバムに収録されている曲は全てアルベニスの初期の作品に属するもので、ロマンティックなスタイルと古典的な形式がうまく組み合わされた聴き応えのあるものばかり。当時のスペインの貴族やブルジョワ階級の人々が、このような「サロン風」の曲を求め、それに応えて書かれたと推測されます。彼自身がコンサートで演奏する際は、このような軽い曲と、ソナタなどの重厚な曲を交互にプログラムに載せて、表現力に幅を持たせたようです。復元されたインプロビゼーション(即興)では、アルベニスの技量やアイデアなど、様々なことを知ることができるでしょう。 |
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8.573360
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ドニゼッティ:カンタータ「アリステア」
1.シンフォニア/2.序奏:2回目の投票/
3.レチタティーヴォ:アマール、何か良いことがあるの?/
4.二重唱:その胸にあなたは私の宝物を抱き/
5.合唱:ここに痛みと信頼と友情が/
6.レチタティーヴォ:だんな様、最後に再びお会いいたしましょう/
7.カヴァティーナ:私たちは怒り、運命に苦しむ/
8.レチタティーヴォ:みじめな王子よ/
9.レチタティーヴォ:とんでもない、やめてください/
10.四重唱:不公平だ。私はあなたの話を黙ってきくことはできません/
11.四重唱:あなたの苦痛は続くだろう/12.四重唱:遠く、私の目から/
13.レチタティーヴォ:慈しみのために、そして復讐の喜びに/
14.終曲:とても愛しく大切なもの ※世界初録音 |
アリステア/クロエ:フィリントの秘密の妻…アンドレア・ローレン・ブラウン(S)/
フィリント:コモーネの息子…サラ・ヘルシュコヴィッツ(S)/
コリンナ:羊飼いの娘、フィリントと恋仲…キャロライン・アドラー(S)/
リチスコ:メッセニアの王子…コーネル・フライ(T)/
エラスト:羊飼い、アリステアの父とされる…ロバート・シリアー(T)/
コモーネ:メッセニアの貴族…アンドレアス・ブルクハルト(B)/
バイエルン国立歌劇場合唱団のメンバー&アンサンブル/
ジーモン・マイヤー合唱団&アンサンブル/
フランツ・ハウク(指揮) |
録音 2012年9月3-6日 ドイツ ノイブルク・アン・デア・ドナウ,コングレゲーションザール
19世紀前半の作曲家たちは、本格的な歌劇だけでなく「小さな歌劇」もしばしば作曲しました。これらは特定の人の誕生日や命名日を祝うためや、何か栄誉を受けたときのために演奏され、その題材は神話や寓話から取られることが多かったのです。
「小さな歌劇」と言っても、素晴らしい歌手とフルオーケストラ、そして合唱が要求され、規模は小さいものの、通常の歌劇を上演するのとさして変わらない手間が掛かったのですが、何分にも目的が「個人的使用」だったため1回上演すれば用が終わり。その後はそのまま忘れられてしまうが、もしくは作曲家が別の歌劇に「転用」するかして、かろうじて曲の一部が残るという運命を辿るものが多かったのです。
このドニゼッティ(1797-1848)のカンタータも、ブルボン君主フェルディナンド1世とシチリア王アルフレッド大王に敬意を表して書かれたもので、牧歌的風景の中に、父と娘の葛藤を盛り込み、最後は平和的解決を得るというもので、ドニゼッティの初期作品らしく、幾分ロッシーニの影響も感じられながらも、後の革新的な作風を予見させる見事な音絵巻となっています。 |