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NAXOS
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8.570436
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ハチャトゥリアン:交響曲 第2番 ホ短調「鐘」
他
1-4.交響曲 第2番 ホ短調「鐘」(1943)
5-7.レールモントフ組曲(1959)(抜粋)
<イントロダクション: Andante maestoso「詩人の死について」/
マズルカ: Allegretto/ワルツ:Allegro
agitato> |
ロシア・フィルハーモニー管弦楽団/
ドミートリー・ヤブロンスキー(指揮) |
録音 2006年11月18-23日 ロシア放送TV&ラジオ・カンパニー
KULTURA 第5スタジオ
ハチャトゥリアン(1903-1978)の2番目の交響曲が構想されたのは1942年のことですが、実際に作曲されたのは1943年の夏でした。当時のロシアは戦争の真っ只中であり、イヴァノヴォの作曲家組合の隠れ家で暮らしていた彼は、ここに思いの丈をぶつけたのです。
そして出来上がった交響曲第2番は、同じ年に書かれたショスタコーヴィチの第8番のように「怒り」や「戦争と暴力への抗議」といった側面も持っています。
初演後、彼は楽章の入れ替えや、金管の増強、一部短縮など、納得が行くまでこの作品を何度も改訂し、1946年にはスターリン賞第一席を受賞するという栄誉も受けることとなります。曲の構成は、重苦しい第1楽章で始まり、ピアノも交えた軽妙でエネルギッシュな第2楽章、不気味なピアノとパーカッションのオスティナートに支えられた葬送行進曲を思わせる第3楽章、そして第4楽章は金管の力強いファンファーレで始まり、少しずつ力を増しながら、最後は鐘の音に彩られながら曲を閉じるという壮大なもの。
サブタイトルの「鐘」は、残念ながらこれは作曲家自身がつけたものではありませんが、曲の特質を良く表しています。「レールモントフ組曲」は“仮面舞踏会”で知られる文豪レールモントフのエピソードを、1954年にボリス・ラヴレニョフが劇化。ハチャトゥリアンが音楽を書き、その後1959年に組曲にしたものです。ワルツを始めとした聞き覚えのあるメロディが耳に残る、いかにもハチャトゥリアンらしい音楽です。

おっと、ハチャトゥリアンの「鐘」シンフォニー!
いつ以来の新録音でしょうね!?ヤルヴィかはたまたチェクナヴォリアンか・・・
とりえずここでは永遠の名盤、自作自演をご一緒にどうぞ。
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8.573513
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ようやくの王道路線!ヘンニング・クラッゲルード
モーツァルト:ヴァオリン協奏曲 第3番・第4番・第5番
1-3.ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K216
4-6.ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K218
7-9.ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K219
※1.2.4.5.7.8…カデンツァ:ヘンニング・クラッゲルード作曲 |
ヘンニング・クラッゲルード(ヴァイオリン)/
ノルウェー室内管弦楽団 |
録音 2015年1月27-29日 ノルウェー オスロ,アケルフス城教会
ノルウェーに現れたヴァイオリン界の俊英、ヘンニング・クラッゲルード。
2003年録音のシンディングとシベリウスのヴァイオリン協奏曲で鮮烈な印象を残す彼は、それ以降もシンディングやグリーグなどの北欧ヴァイオリン作品や、イザイ、シュポアといった高い技術を要求される作品を次々とリリースし、国際的な評価を受けています。
また作曲家、編曲家としても才能を発揮、そして最近はクラシックだけに留まらず、ジャズ・アーティストとコラボしたりとマルチな活躍をみせています。
そんなクラッゲルードが今回取り組んだのはモーツァルト(1756-1791)の3つの協奏曲。
彼のヴァイオリン協奏曲の中で最初に成功したと言われる第3番、勇壮な主題で知られる第4番、終楽章にトルコ風の楽想が用いられているため「トルコ風」と呼ばれる第5番と、どれも人気の高い作品です。どの作品にもカデンツァが置かれていて、奏者の腕の見せ所となっていますが、クラッゲルードはもちろん自作を演奏。変幻自在な彼の楽想の迸りをぜひ聞いてみてください。
*****
ああ、こうしてクラッゲルードのモーツァルトのコンチェルトが聴けるとは!
こんな王道コンチェルトは絶対やってくれないと思っていたのに・・・
やっぱり長生きはするものだ・・・
それではヘンニング・クラッゲルード特集いきます! |
(かれこれ12年も前のコメントから・・・)
NAOXSは毎月、3ヵ月後くらいにリリースされるCDのハイライトを収録したサンプルCDを送ってくる。
流し聴きして、印象に残ったものはチェックする。
わずか2、3分とはいえ、すごい演奏、すごい音楽というのはさすがにピピンとくる。しかし聴いた瞬間のけぞって、泡吹きそうになり、いきなり代理店に電話して未発売のCDを無理やりドイツから取り寄せてもらったのは今回が初めてである。
ヘンニング・クラッゲルードというヴァイオリニストのシベリウスのヴァイオリン協奏曲。
すごい。
ほんとにすごい。
この曲には数々の名演があり、最近ではCD−Rで紹介したブスタボやクレーメル、トゥルバン、CDならムター、ヘンデル、フリード、イグナティウス、ウィックスと恐るべき名演がひしめく。ちょっとやそっとの演奏ではなかなかそのすさまじい集団に入り込むことはできない。
ところが・・・。
ヘンニング・クラッゲルード。1973年オスロ生まれ。いかにも北欧系の美青年である。
ウィックスなどに師事したあと、1992年にデビュー。地元で活動しながらいくつかの賞を取りつつ、1998年にカーネギー・ホール・デビュー。2000年には北欧系のオケと数多く共演、翌年には全世界各地で公演している。協奏曲ではベルグルンド、ザンデルリンク、ヤンソンス、ドミトリエフ、I・フィッシャー、ラザレフ、室内楽ではアンズネス、アルゲリッチ、カプコン、コヴァセヴィチ、モルク、ウィスペルヴェイなど超一流と共演してきた。
クラッゲルードといえば、3、4年前に同じNAXOSから「ノルウェー・ヴァイオリン名曲集」というアルバムをリリースして、ベストセラーになった記憶がある。が、それ以来とくに名前は聞かなかったような気がする。そのアルバムはノルウェーの知られざる美しいヴァイオリン作品を集めたもので、北欧ファンばかりでなく一般ファンからも大いに受け容れられた。
そのアルバムはまさにクラッゲルードのためのアルバム。
超・超絶技巧となるシンディングの作品もすごいのだが、ブルやハルヴォルセン、スヴェンセンたちの作品に抒情と憂愁と激しい情熱をこんなにも心込めて音楽に注ぎ込めることができたのは、まさにクラッゲルードだったからこそ。美しい作品にも注目が集まったが、やはりクラッゲルードのヴァイオリンに話題が集中した。
・・・だが、20代半ばの青年らしい清潔で若々しさに満ちた素敵な演奏ではあったが、そこに人生を変えさせるようなおそるべき魔性は存在しなかった。
しかし、あれから6年。
クラッゲルードが放った最新作は、まさしく魔性というにふさわしい特別ななにかをまとっていた。
・・・今回のシベリウス。技巧は完璧。
しかしそんなことはどうでもいい。このヴァイオリニストの放つ強烈、且つ甘美なエネルギーに魅せられたのである。
ヴィオラ・ソリストとしても活躍しているからなのか、ヴァイオリンとは思えないような野太い音。一音一音に込めるずっしりとした思いのようなものが伝わってくる。それは早いパッセージでも同じで、決して安直に弾き流さない。
ジェラール・プーレも同じように一音一音を大事に弾くが、プーレが軽快なのに対してクラッゲルードは重い。
グルベルトも同じように一音一音を大事に弾くが、グルベルトが殺気立っているのに対してクラッゲルードはもっと颯爽としている。
そのずば抜けた存在感は単なるマッチョな太さや、根暗な鈍重さからくるものではない。なんだかスケールのでかさを感じさせる安心感。男が惚れる男気のようなものか?
とにかくかっこいいのである。
こんなにも重厚で颯爽としていて、そしてセクシーなシベリウスは初めて。
この曲は男には弾けない、となんとなく思っていたが(クレーメルのライヴCD-Rやトゥルバンの演奏があってもなお)、今回完全に撤回する。
あのベストセラー・アルバム「ノルウェー・ヴァイオリン名曲集」から6年。クラッゲルードは音楽を愛する気持ちはそのままに、ひとまわりもふたまわりも大きくなって、男らしくなって我々の元に返ってきたのである。
ちなみに続くシンディングがまた美しく切ない作品。シベリウスやメンデルスゾーン、ブルッフなど古今の名作をひっくるめたような作品だが、もちろん独立した作品としても十分な傑作。なんとなく聴いたことがあると思って誰の演奏で聴いたんだろうとカタログを見たら、完全な錯覚だった・・・・なんと競合盤は1枚もなかった。ひょっとしたら初CD化なのか?クラッゲルードのヴァイオリンはここでももちろん縦横無尽。この無名の名作を華麗に美しく仕立て上げる。
さて、そのクラッゲルード、今回のアルバムより先に2枚のアルバムを出していた。1枚はグリーグ、1枚はノルウェーの作品集。グリーグが1996年、ノルウェー作品集が1997年だから、今回の録音は久しぶりだったことになる。 |
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8.573394
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ジョン・ラター:祝祭詩篇 他
1-9.祝祭詩篇(1993)
<O BE JOYFUL IN THE LORD-喜びを持って主を礼拝せよ(詩篇第100番)/
I WILL LIFT UP MINE EYES-私は目をあげる:都もうでの歌(詩篇第120番)/
PRAISE THE LORD, O MY SOUL-わたしの魂よ、主を賛美せよ(詩篇第146番)/
THE LORD IS MY SHEPHERD-主は私の羊飼い:ダビデの歌(詩篇第23番)/
Cantate Domino-カンターテ・ドミノ
(詩篇第66番/来たり給え、創造主なる聖霊よ)/
The Lord is my light and my salvation-主はわが光、わが救いなり(詩篇第27番)/
O CLAP YOUR HANDS-手を打ち鳴らせ(詩篇第47番)/
O how amiable are thy dwellings-あなたの住まいはなんと愛らしい(詩篇第84番)/
O praise the Lord of heaven-天において主を賛美せよ(詩篇第148番)>/
10.今日のこの日(2011)/11.主よ、あなたはわれらの避難所である(2008)/
12.詩篇第150番(2002) ※世界初録音…1-9 |
エリザベス・クラッグ(ソプラノ)…4.6.8/
パスカル・シャルボンヌー(テノール)…4.6.8/
マイク・アレン(トランペット)…11/
トム・ウィンペニー(オルガン)…11.12/
セント・オールバンズ大聖堂合唱団…1-7.9-12/
アビー少女合唱団…1-7.9-12/
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団…1-4.6-10.12/
アンドリュー・ルーカス(指揮) |
録音 2014年7月14-17日 UK ヘルフォードシャー,セント・オールバンズ大聖堂
旧約聖書に収められた150篇の詩篇のほとんどは、神への感謝の詩と、典礼用の詩に分けることができます。どれもヘブライ語の詩句自体が美しく、また希望や信頼、怒り、喜びなどの感情が豊かにあるため、歌のテキストに用いやすく(元々メロディがついているものもある)、何世紀にも渡って多くの作曲家たちにインスピレーションを与え、多彩な作品が生まれています。
イギリスの作曲家ジョン・ラター(1945-)も詩篇に魅せられた一人であり、彼は9つの詩篇をまとめた「祝祭詩篇」の他に、2011年の「ウィリアム王子とキャサリン・ミドルトンの婚礼」など特別の行事の際にも詩篇を用いた作品を書き上げています。
彼の作品はどの曲も荘厳な雰囲気を持ちながらも、独特のノリのよいリズムや、ジャズ風のイディオムが至るところに見え隠れしています。
日本でもアマチュア合唱団を中心に多くのファンを獲得しており、この祝祭詩篇も、しばしばコンサートで演奏される人気曲となっています。
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8.573417
\1100 |
カール・ツェルニー:大協奏曲 他
1.華麗な大夜想曲 Op.95(1826頃)/
2-4.ピアノ大協奏曲 イ短調 Op.214(1830)
<第1楽章:アレグロ・モデラート/第2楽章:アダージョ・コン・モート‐/
第3楽章:ロンド〜アレグロ・コン・アニマ>/
5.ロッシーニの歌劇「コリントの包囲」から
ギリシャ人の行進曲による演奏会用変奏曲
Op.138(1827)
※世界初録音…5 |
ローズマリー・タック(ピアノ)/
イギリス室内管弦楽団/
リチャード・ボニング(指揮) |
録音 2014年12月16-18日 ロンドン ケニス・タウン,聖サイラス教会
以前から「ツェルニーの偉大さ」について力説してきたNAXOSレーベルですが、今回登場の「大協奏曲」を含む3つの協奏的作品も、ピアノ演奏技術の粋を集めた完成度の高いものであり、ベートーヴェンの協奏曲に並ぶ巨匠然とした雰囲気をたたえています(確かにこの華やかなパッセージを楽々と弾きこなすためには、あの無味乾燥な練習曲を仕上げるしかないのかもしれません)。
「ベートーヴェンの才能ある弟子」として各方面で名が知られていたツェルニー(1791-1857)。ベートーヴェンは自作の協奏曲のソリストに彼を指名し、ブラームスも「ツェルニーのピアノ奏法についての著作は一度は読む価値がある」と絶賛、リストは、彼が提案した合作「ヘクサメロン」でツェルニーに曲を依頼したりと、その幅広い才能は誰もが絶賛していました。とは言え、ツェルニー自身は、自らが目立つよりも、後進の指導と、ベートーヴェン作品を広めることのみに喜びを感じていたようで、たくさんの練習曲を書いたのも「ピアノ演奏法について書きたいのに時間がない」というベートーヴェンの意思を継いだからでした。そんな控えめな性格だったが故に膨大な作品はごく一部が出版されたのみ。そのほとんどは机の引き出しにしまい込まれていたため、このような素晴らしい作品もそのまま忘れられてしまったのです。
21世紀になって次々と新曲を聴くことができるようになり、このアルバムにも世界初録音の作品が含まれています。今後もツェルニーからは目が離せません。
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8.555500
\1100 |
シュポア:交響曲 第1番&第5番
1-4.交響曲 第1番 変ホ長調 Op.20(1811)
<第1楽章:Adagio ‐ Allegro/第2楽章:Larghetto
con moto/
第3楽章:スケルツォ〜Allegro/第4楽章:フィナーレ〜
Allegretto>/
5-8.交響曲 第5番 ハ短調 Op.102(1837)
<第1楽章:Andante ‐ Allegro/第2楽章:Larghetto/
第3楽章:スケルツォ/第4楽章:Presto> |
スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団/
アルフレート・ヴァルター(指揮) |
録音 1990年11月30日-12月2日 コシツェ,芸術の家
MARCO POLO 8.223363より移行盤
ドイツの作曲家、ヴァイオリニスト、指揮者ルイ・シュポア(1784-1859)。本来の名前はルートヴィヒでしたが、大人になってからフランス風の呼び名「ルイ」と名乗り、各地で演奏旅行を行いその名を広くとどろかせました。
作曲家としては10曲の交響曲(最後の10番は未完)をはじめ、ヴァイオリン曲を60曲、他、多くの室内楽曲や独奏曲など150曲を越える作品を残し、こちらも当時高く評価されていました。
シュポアは恐らくモーツァルトに倣って交響曲を書いたのですが、完成した作品は既にロマン派の作風を持っており、第7番の「『人生の世俗と神聖』」など工夫の凝らされた標題を持つ曲もいくつかあり、当時としては前衛的な作風を有していたと言えるでしょう。そんなシュポアの交響曲、第1番はまだ古典派の形式に留まっていますが、第5番は作風も成熟しシューマンやメンデルスゾーンの作品にもひけを取らないほどに自由な楽想が満ちています。
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8.559787
\1100 |
ポール・ボウルズ:ピアノ作品全集 第2集
1-3. 2台ピアノのための3つの小品
<夜のワルツ(1949)/夜想曲(1935)/クロス・カントリー(1976)>/
4-7. 4つのピアノ小品
<トンブクトゥの袋小路(1934)/カフェ・シン・ノンブレ(1933)/
テセウスとマルドロール(1933)/エステポナの道(1939)>/
8-10.ソナチネの断片(1933)<Adagio misterioso/Allegro/Adagio>/
11-14. 4つのミニアチュール
<ベルナルド・スアレスへの前奏曲(1932)/
K.M.C.のポートレイト(1935)/空想(1932)/サラバンド(1943)>/
15-17. 3つのラテン・アメリカ小品集
<エル・ベジュコ(続けるには、味に従うこと…)/
オローシ(1948)/サユーラ(1946)>/
18.タマナール(1931-1933)/
19-21.ソナチネ(1932-1933)
<Allegro ritmico/Andante cantabile/Allegro>/
22-25.ブルー・マウンテン・バラード(1946/2014)
(アンドレイ・コスパロフによるピアノ・デュエット編)
<天国的な草/寂しい男/小屋/サトウキビ>/
26-28. 3つのピアノ・デュオ-アーサー・ゴールド&ロバート・フィッツデール編曲
<感傷的な会話(1944)/カミナータ(1940頃)/ターキー・トロット(1940頃)>
※世界初録音…4.5.6.7.17.18.22-25.26-28 |
インヴェンシア・ピアノ・デュオ…1-3.22-28
<メンバー:
ピアノ・プリモ:アンドレイ・カスパロフ…5.7.11-15.18-21(ソロ)/
ピアノ・セコンド:オクサーナ・ルチシン…4.6.8-10.16-17(ソロ)> |
録音 2013年10月5-7日…1-3, 2014年1月11-12日…4.6.8-10.15-17,
2014年2月1-3日…5-7.18-21, 2014年10月11.12日…11-14.22-28
USA ヴァージニア,オールド・ドミニオン大学,ウィルソン.G.チャンドラー・リサイタル・ホール
アメリカの小説家、作曲家ポール・ボウルズ(1910-1999)のピアノ作品集第2集。
前作の第1集(8.559786)と同様に、ここでもユニークな作品が並びます。彼は人生の大半をモロッコのタンジールで過ごし、この地での経験を元にした長編小説で人気を博しました。
とりわけ最初に書いた「極地の空」はベストセラーを記録、こちらは映画「シェルタリング・スカイ」の原作になり一層知られるようになりました。その上、彼はモロッコの伝承物語の英訳にも力を注いでいますし、またアフリカの民俗音楽の研究家でもありました。
そんな彼の音楽は、時にはシリアス、時にはジャズやラテンの雰囲気を持つ興味深いものばかりなのですが、残念なことに作品の管理がきちんとできておらず、その作品の多くは失われてしまい、また忘れ去られてしまったのです。
しかし研究家アイリーン・ハーマンのおかげで、残された作品のほとんどを探し出すことに成功、ようやくCD2枚分の音楽が日の目を見ることになりました。もちろん初録音も多数含まれる貴重な作品集です。
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8.559789
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ランダル・トンプソン:レクイエム(1958)
1.第1部:哀歌/
2-4.第2部:信仰の勝利
<なぜあなたがたはこの騒ぎを起こすのですか?/
彼は誰ですか?/柔らかな良い知らせ>/
5-8.第3部:歌への呼び声
<精神を充填すること/おお、喜んで国をみよ/
彼に歌う/外に向かう歌>/
9-13.第4部:祈りの衣服
<魂とともに歌う/全ての呼吸を/栄光を与えよう/
あなたの光の星は彼を賞賛する/私は彼らの音楽>/
14-18.第5部:告別
<時々闇の中のあなたがた/主はあなたがたの永遠の光であれ/
休息のうちに戻りたまえ/あなたは彼に与えられ/
アーメン、そしてアーメン。アレルヤ。>
※世界初録音 |
フィラデルフィア・シンガーズ/
ディヴィッド・ヘイエス(指揮) |
録音 2014年1月25-26日 フィラデルフィア カーティス音楽学校,グールド・リハーサル・ホール
ランダル・トンプソン(1899-1984)はアメリカの合唱作曲家ですが、アメリカ国内でもよほどの合唱好きでない限り、その名を知っている人はいません。ニューヨークで生まれ、ハーバード大学を卒業、ウェルズリー大学で音楽科の助教授を務めながら合唱指揮者になり、幾つかの大学で後進の指導にあたりました。
なかでもハーバード大学で教えていたときの弟子の一人がレナード・バーンスタインであったことは、彼のキャリアの中でも大切な出来事でした。
その生涯に数多くの合唱曲を遺しましたが、彼がこの世を去って30年以上を経ても、その中で歌われるのは1941年に作曲された「ハレルヤ」(クーセヴィッツキーからの委嘱作品)のみ、というのはちょっと残念なことかもしれません。
この「レクイエム」は彼の個人的な体験・・・親しい友人や同僚を亡くす・・・に起因して書かれたもので、アカペラの二重合唱による5つの場面で構成された全曲は非常に劇的であり、合唱のグループの一つは常に「愛する人の喪失を嘆く会葬者」、もう一つのグループは「会葬者を慰め、現実に戻るように説得する視点」で歌っていくように書かれています。
曲自体は調性感を持ち、時には壮麗なフーガを形成、「死者の安息を祈る」という通常のレクイエムの概念とは異なる作品です。
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8.570618
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かっこいいです!
グァン・シァ:交響曲 第2番「希望」
1-3.交響曲 第2番「希望」(1999)
<第1楽章:期待と探求〜 Largo ‐ Allegro
‐ Largo/
第2楽章:暖かさ〜Adagio/第3楽章:光〜Allegro>/
4.アース・レクイエム:第1番.星をみつめて:瞑想(管弦楽版)(1999/2008-09)/
5.交響的バラード「悲しき夜明け」(2000)
※世界初録音 |
ニュルンベルク交響楽団/
シャオ・エン 邵恩(指揮) |
録音 2014年8月1-2日 ドイツ ニュルンベルク,コングレスハレ,ムジークザール
このアルバムに収録されている「交響曲第2番"希望"」は、中国の著名な作曲家、グアン・シァ(1957-)の代表作。彼は1985年に中国中央音楽院を卒業し、数多くのテレビシリーズのサウンドトラックを手掛け、最近では中国国立交響楽団のエグゼクティブ・ディレクターを務めています。
彼の交響曲第1番は1980年代半ばに書かれましたが、そちらはあまり話題になることはありませんでした。しかし「希望」と題された第2番は、善と悪、闘争と持続性など人類の本質に光が当てられており、各々の楽章に付されたタイトルも明るい未来を感じさせるなど、聴き手に明るい希望をもたらす音楽として愛されています。
「アース・レクイエム」は交響曲第2番と同じく1999年に書かれましたが、2008年5月に四川を襲った大地震の犠牲者を悼むために、大幅な改作を行っています。
この「瞑想」はもともと第4楽章に置かれていましたが、ここでは一つの楽章として独立させ、原曲の合唱などを全て省き、管弦楽のみで演奏する形に変えています。「悲しき夜明け」は第二次世界大戦終了後の中国の物語。ワーグナーを思わせる壮麗なファンファーレが印象的な作品です。
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8.572831
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トルコ・クラシック
ウルヴィ・ジェマル・エルキン(1906-1972):交響曲
第2番 他
1.オーケストラのための舞踏狂詩曲「Kocekce-キョチェケ」(1943)/
2-4.ヴァイオリン協奏曲(1946-1947)
<第1楽章:Allegro giusto/第2楽章:Adagio/第3楽章:Allegro
con fuoco>/
5-7.交響曲 第2番(1948-1958)
<第1楽章:Allegro non troppo/第2楽章:Adagio/
第3楽章:Allegro - Alla Kocekce> |
ジェームズ・バスウェル(ヴァイオリン)…2-4/
イスタンブール国立交響楽団/
テオドレ・クチャル(指揮) |
録音 2014年11月29-30日 トルコ イスタンブール,フルヤ・カルチュアル・センター
エルキン(1906-1972)は、サイグンらとともに「トルコ5人組」と呼ばれるトルコのクラシック音楽を発展させたグループの一人の作曲家。
その「5人組」のメンバーは、みな20世紀の初頭に生まれ、当時の大統領と連動し、トルコの西洋化を進めるために力を尽くしたことで知られています。
1906年に生まれたエルキンは、パリに留学しナディア・ブーランジェに師事、最先端のフランス音楽を学び帰国、トルコにできたばかりのアンカラ音楽院の教授となります。
その後、1949年から1951年までは音楽院の院長を務め、後進の指導にあたりながら、自身も2つの交響曲をはじめ、ヴァイオリンやピアノ協奏曲、数多くのピアノ曲、歌曲を作曲します。
以前のトルコの音楽は西洋のものとは全く異なっており、複雑なリズム(西洋人には理解が難しかった)とメロディを持っていましたが、エルキンはこれらの伝統的な要素を西洋音楽に取り入れ融合させたのです。
とりわけ「キョチェケ」と呼ばれる固有の舞曲を用いた狂詩曲が聴きものです。
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8.573280
\1100 |
ヘンリー・パーセル:劇場音楽集 第2集
1-10.劇音楽「女房持ちの色男、無分別な物好き」Z.603
<序曲/スロー・エア/ホーンパイプ/エア/ホーンパイプ/
ジグ/トランペット・エア/歌「後悔したチェリアの横たわるをみよ」/
行進曲/ウラウンド上のホーンパイプ>/
11.劇音楽「スペインの僧、二重の露見 」Z.610
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歌「あなたの目前で私は悲しみ」/
12-15.劇音楽「アンソニー・ラヴ卿、逍遙する貴婦人」
Z.588
<序曲/歌「美女を追い求め、男性は非難し」/
対話「もう結構、卿、もう結構」/歌「無駄です。クリミーン」>/
16.劇音楽「オーレン=ジーブ、偉大なモンゴル」
Z.573/
17.劇音楽「年老いた男やもめ」 Z.607 |
ヨハネ・アンゼル(ソプラノ)/
ジェイソン・ネデッキー(バリトン)/
アラディア・アンサンブル/
ケヴィン・マロン(指揮) |
録音 2013年11月18-20日 カナダ トロント,聖アン・アングリカン教会
イギリス・バロック期の最大の音楽家パーセル(1659-1695)。彼の父も叔父も音楽家で、また弟も音楽家になるという音楽一家に生まれたパーセルは、幼少期に王室礼拝堂の少年聖歌隊に入り、変声期を迎えた後は、名オルガニスト、ジョン・ブロウに学びます。写譜係として古い時代の作曲家たちの作品を研究、これによって伝統的なスタイルを身につけ、18の時に王室弦楽合奏隊の専属作曲家に就任します。
その2年後にはウェストミンスター寺院のオルガニストにも任命され、以降、36歳でこの世を去るまで膨大な作品を遺すこととなるのです。
そんな彼の劇音楽は、主に晩年の5年間に集中的に作曲され、どれもユニークで、規模は小さいものの、歌劇にも近い佇まいを持ったものです。「女房持ちの色男」はややきわどいコメディで、「後悔したチェリアの横たわるをみよ」は独立して演奏されるほどの人気を誇っています。
スペインの修道士の物語、当時の人気女優のために書かれた「アンソニー・ラヴ卿」、英雄的な悲劇「オーレン=ジープ」の異国的な雰囲気、1693年に初演された皮肉たっぷりの「年老いた男やもめ」と、楽しくウィットに富んだ音楽がたっぷり味わえます。NAXOSが誇る古楽指揮者マロンとアラディア・アンサンブルの息のあった演奏です。
劇場音楽集 第1集…8.570149 |
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8.573430
\1100 |
カミッロ・トーニ:ピアノ作品全集 第3集
1.セレナータ 第3番 Op.13(1941)/
2.セレナータ 第6番 Op.19a(1943)/
3.セレナータ 第7番 Op.20(1943/1944)/
4-6.ソナチネ Op.26(1945)
<ソステヌートとマルカート/間奏曲 I/間奏曲
II>/
7-9.バッハへのオマージュ Op.32(1950/1951)
<グラーヴェ/カノン/主題と6つの変奏>/
10.アルベン・ベルク:抒情組曲 - 第楽章
アレグレット・ジョヴィアーレ(1926)
(C.トーニによる4手ピアノ編)/
11-13. 3つの幻想的スケルツォ 「パラフラージ・ディ・ムジカ・レッジェーラ」(1967)
<第1番/第2番/第3番>
※世界初録音…1.2.3.4-6.10.11-13 |
アルド・オルヴィエート(ピアノ)/
ファウスト・ボンジェッリ(第2ピアノ)…7-10 |
録音 2015年6月24-25日 イタリア ヴェニス,ジョルジオ・チーニ財団
サラ・デッリ・アラッツィ…1-6, 2014年7月30日
イタリア ポルデノン ファッツィオーリ・コンサート・ホール…7-13
20世紀イタリアを代表する作曲家の一人カミッロ・トーニ(1922-1993)。カセッラに作曲を学び、ピアノはミケランジェリに師事、シェーンベルクから多大な影響を受け、1951年から1957年まではダルムシュタット音楽祭にも参加、実験的な音楽を創り上げた人として知られています。
このNAXOSのシリーズでは彼のピアノ全曲リリースが進行中、このアルバムが第3集となります。トーニ作品と言えば、なんと言っても第1集(8.572990)に収録されていたマーラーの「アダージェット」の乾いた響きが衝撃的でしたが、ここに収録されているベルク「抒情組曲」の連弾用編曲版を聞けば、彼の語法をより詳しく知ることができるのではないでしょうか?
初期の作品である一連のセレナータは、半音階進行を追及したもので、こちらは確かにシェーンベルクの影響が強く感じられますが、晩年の「3つの幻想的スケルツォ」は想像以上に調性に回帰した曲(良く知られた曲のパラフレーズでもある)で、何か仕掛けがあるのか?と聴き進むうちに曲が終わってしまうという不思議な感触も残ります。
【トーニ:ピアノ作品集 第1集…8.572990
第2集…8.572991】 |
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8.573447
\1100 |
マルティヌー:歌曲集 4 - 白い鳩(フロチョヴァ/コウクル)
1-30.新しいスロヴァキアの歌 H.126
<わが鉱山は山々を越え/私に話して/ハンカ、何を作っているの?/
ねえ、私の愛する山よ/オラヴァから雨がくる/
わが愛する人よ、話して/私には他の姉妹がいる/
私はブラウスを持っていた/明けの明星/ねえ、あれをみて/
私は結婚している/オオカミさん、私を食べて/
立っている女の子/ヴァホム川まで/フロン川の上流下流/
トレンチンの兵舎で/神よ、私は何をすれば/小さなハンナ/
羊たちはだれのもの/ステキな男/彼を信じてはだめ/
彼女は良く跳ね土を掘る/彼女は70着のスカートを持っていた/
ねえ、メドウ/ねえ、私には恋人がいたの/白い鳩/
黒い山の横から/人々は言う/私は目覚めている/
白い山から来た少女>/
31.光り輝く夜の3人のおとめ H.73/32.童謡
H.283Bis
※スロヴァキア語歌唱…1-30, チェコ語歌唱…31-32
世界初録音…31.32 |
イェネ・フロチョヴァ(ワリンゲローヴァ)(メゾ・ソプラノ)/
ジョルジオ・コウクル(ピアノ) |
録音 2015年6月9日…1-31, 2014年6月17日…32
スイス・イタリアーナ放送 コンセルヴァトーリオ
2010年に録音を始めたマルティヌーの歌曲集も、この第4集で完結となります。
生涯に膨大な作品を書き上げたマルティヌーは、その折々で作風を変化させているため、曲によっては印象派風であったり、新古典派風であったりと、なかなか分類が難しい作曲家の一人です。
歌曲についてこれまでの録音を聞いても、やはり作品の雰囲気が幅広過ぎて全貌を掴むことはとても難しいかもしれません。とは言え、スラヴ民謡に根ざした作品はとても親しみやすく、短い曲の中に独特のウィットが込められています。
このアルバムの中心をなす「新しいスロヴァキアの歌」もそんなタイプの歌曲集であり、歌の内容を問うのではなく、マルティヌーの探究心から生まれた、言葉遊びとメロディを楽しむための作品群なのです。
世界初録音の「チェコ語の2つの歌曲」のうち、「光り輝く3人のおとめ」は後期ロマン派風の重苦しさを持った歌曲。100小節で突然終了し、聞き手を呆然とさせるところもユニークです。
後にヴォーグ誌のジャーナリストになったシャルル・ルーに捧げられた「童謡」も即興的に書かれた面白い作品。
【マルティヌー:歌曲集 既発リリース】
第1集…8.572588 第2集…8.572310 第3集…8.573387 |
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8.573472
\1100 |
「時計仕掛けのオレンジ」の原作者は音楽家だった!
アンソニー・バージェス:管弦楽作品集
1-9.管弦楽のためのバレエ組曲「ミスターW.S.」(1979)
<前奏曲:劇場 Allegro molto/サラバンド
Slow/
ガリアルド Allegro molto giocoso/キャロル
Allegretto/
クォドリベット Allegro vivace/王子の死
Lento/
グローヴ座の開幕「世界中の俳優の演技」Allegro
spiritoso/
ストラトフォード,1616年4月 Lento/
行進曲:「Non sanz droict(権利なからざるべし)」Allegro
giocoso ma con dignita>/
10.革命の行進 1789-1989(1989)/
11-24.バージェス氏の暦(1987)
<序説:Molto moderato/第1番:Allegro
vivo/
第2番:Poco lento/第3番:Allegro vigoroso/
第4番:Allegretto con grazia/第5番:Allegro
con spirito/
第6番:Adagio/第7番:Allegro con spirito
ma pesante/
第8番:Molto moderato/第9番:Allegro
molto/
第10番:Andantino con malinconia/第11番:Allegro
furioso/
第12番:Allegro maestoso - Allegro
molto vivace/
後奏曲:Postlude: Molto moderato>
※世界初録音
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ブラウン大学管弦楽団/
ポール・フィリップス(指揮) |
録音 2014年11月18.22.23日 USA ロードアイランド
プロヴィデンス,ブラウン大学 サイラス・ホール…1-9,
2014年10月11日 USA ロードアイランド プロヴィデンス,ブラウン大学
サイラス・ホール…10, 2005年5月5日 USA ロードアイランド
プロヴィデンス,ブラウン大学 アラムネー・ホール
☆
あのスタンリー・キューブリックが映画化した近未来的小説「時計仕掛けのオレンジ」。自由=放任が暴走した社会に棲む少年4人組の悪行の顛末を描いた問題作で、1972年の公開時には様々な論争を巻き起こしました。
この原作を書いたのがイギリスの小説家アンソニー・バージェス(1917-1993)です。
映画の中でも「第9」が効果的に使われていたことからわかる通り、バージェスは音楽家としても素晴らしい才能を持っていました。
もちろん彼の作品は独創的というよりも、過去の作曲家たちの影響が強く(ホルストとヒンデミットのハイブリッドと評する人も)、少しばかりの不協和音をスパイスにした聴きやすいものです。
そんなバージェスの管弦楽作品、もちろんこのアルバムが世界初録音となります。
最初のバレエ組曲の題材となった「W.S.氏」とは2016年に没後400年を迎えるイギリスの文豪シェイクスピアのこと。もともとは映画のために書いた曲を後に組曲としてまとめた作品です。エリザベス朝の響きを意識した曲調の中に、暴力的なサウンドを溶け込ませ、独自の雰囲気を醸し出しています(因みに9曲目の行進曲に付された「Non
sanz droict」とはシェイクスピアの紋章に付された銘)。
フランス革命にちなんだ「革命の行進」、自らの誕生日を祝したという「バージェス氏の暦」と、どれも「小説家の余暇仕事」の域を超えた力作です。
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8.573485
\1100 |
リスト:ピアノ作品全集 第43集 交響詩の編曲版
1.交響詩「前奏曲」S511a
(K.クラウザー編曲/F.リスト改編,1885)/
2.交響詩「オルフェウス」S511b
(F.シュピーロ編曲/F.リスト改編,1879)/
3.1859年のシラー祭への芸術家の祝祭行列
S520/R187(第2稿,1883)/
4-6.ゆりかごから墓場まで S512/R179(1882)<ゆりかご/生の闘争/墓場へ>/
7.レーナウのファウストによる2つのエピソード
S110/R427 第1番「夜の行列」
(R.フロイント編曲/F.リスト改編,1872)/
8.メフィスト・ワルツ 第4番 S696/R661(1885) |
セルジオ・モンテイロ(ピアノ) |
録音 2015年6月1-5日 USA オクラホマ市立大学,ワンダ・バス音楽学校,小リハーサル・ホール
NAXOSの人気シリーズ、リスト(181-1886)のピアノ曲全集第43集。
過去には2台ピアノ版の「ダンテ交響曲」(第26集:8.570516)、「前奏曲」(第29集:8.570736)、「ファウスト交響曲」(第34集:8.572560)がリリースされていて、編曲者としてのリストの才能を知ることができましたが、今回はいくつかの交響詩の「ピアノ独奏版」の登場です。
作曲家によっては、ブラームスのように、まずピアノ版を作ってからオーケストラ稿を書く人もいますが、このアルバムに収録された作品はちょっと事情が違い、もともとの管弦楽版を、リストの監修のもと、他の作曲家がピアノ独奏版に仕上げたものです。どれも出来上がった作品をリスト自身がちょっとだけ手直しして出版するという「リスト承認」の編曲版といったところでしょうか。
ピアニスト、モンテイロはブラジル生まれ。4歳からピアノを学びブラジル国内および南米のコンクールで優勝し、ブラジル文化省から奨学金を得てイーストマン音楽学校に留学。第2回マルタ・アルゲリッチ国際ピアノ・コンクールで2位を獲得しました。
GRANDPIANOレーベルからエンリケ・オズワルドのアルバムをリリース(GP682)、こちらも好評を博しています。
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8.573497
\1100 |
パトリック・ガロワ(指揮)
ミヒャエル・ハイドン:交響曲集 第1集
1-3.交響曲 ト長調(Perger16)
4-6.交響曲 ニ長調(Perger 21)
7-9.交響曲 ハ長調(Perger 19)
10-13.交響曲 イ長調(Perger 15) |
フィリップ・ドヴォルザーク(ハープシコード)/
パルドゥビツェ・チェコ室内フィルハーモニー管弦楽団/
パトリック・ガロワ(指揮) |
録音 2015年2月17-22日 チェコ共和国 パルドゥビツェ,音楽の家
ミヒャエル・ハイドン(1737-1806)。幼い頃はシュテファン大聖堂の聖歌隊で美声を披露し、各地の宮廷楽長を務め、聖三位一体教会のオルガニストとザルツブルク大聖堂のオルガニストの職をこなし、ウェーバーとディアベリを教え、マリア・テレジアからはミサ曲を委嘱されるという、素晴らしい才能を持っていたにも拘わらず、偉大すぎる兄ヨーゼフのおかげで、歴史の流れに埋もれてしまった残念な作曲家です。
例えばミヒャエルが書いた交響曲第25番は、モーツァルトがちょっと付け足しを加えただけで、彼の「第37番」として認知されるほど、モーツァルト作品と見分けが付かないほどの素晴らしさなのですが、真相が究明された途端、贋作として扱われるようになってしまったという悲しい作品。
しかし作品自体の躍動感や色彩感が失われたわけでもなく、良い曲であることは変わりありません。ようやく最近になってその作品の素晴らしさに共感する人が増えてきたようです。名フルート奏者で、最近は指揮者としても活躍しているパトリック・ガロワもそんな一人で、彼は44曲ほどのミヒャエルの交響曲の全曲録音に取り組み始めました。全集完成が待たれるシリーズです。
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8.573526
\1100 |
金管七重奏のための音楽集 第4集
1-4.ビクトリア(1548頃-1611):4つのモテット(S.コックスによる金管七重奏編)
<すべての人よわれを祝福せよ/汝はペテロなり/
おお、聖なる饗宴/よい羊飼いはよみがえられた>/
5-10.ジョヴァンニ・ガブリエリ(1554/1557-1612):
3つのカンツォンと3つのモテット(S.コックスによる金管七重奏編)
<4声のカンツォン 第1番 「陽気な女」/私の心は主によって喜び/
4声のカンツォン 第2番/
聖なるマリアよ、あわれな者たちを救いたまえ/
カンツォンとソナタ集 - 6声のカンツォン
IV/
主にむかいて新しき歌をうたえ(カンターテ・ドミノ)(6声)>/
11-13.パレストリーナ(1525頃-1594):
ミサ曲集 第2巻「教皇マルチェルスのミサ曲」
(S.コックスによる金管七重奏編)
<キリエ/グローリア/サンクトゥス‐ベネディクトゥス>/
14-20.ラッスス(1532-1594):宗教的マドリガル集
「聖ペテロの涙」(抜粋)
(M.ナイトによる金管七重奏編)
<高潔のひとペテロはかつて/
私が自分のものと認めた人々の/凍てついた雪片が/
去り行け命よ、行け/おお罪深き不条理な生命よ/
わが主を否定するものは/見よ人間よ> |
セプトゥーラ<メンバー:アラン・トーマス(B♭管トランペット)/
サイモン・コックス(B♭管トランペット)/
ヒュー・モーガン(E♭管トランペット)/
ピーター・スミス(テューバ)/
マシュー・ギー(トロンボーン)/
マシュー・ナイト(トロンボーン)/
ダン・ウェスト(バス・トロンボーン)> |
録音 2015年5月2-4日 ロンドン ニュー・サウスゲート、セント・ポール教会
金管アンサンブル「セプトゥーラ」のシリーズ第4集は、彼らの出発点にもなったというイタリアの作曲家ジョヴァンニ・ガブリエリの作品を中心とした、16世紀の音楽集です。
ここでは宗教的合唱曲を金管アンサンブルに編曲するというユニークなことをやってのけますが、これが全く違和感なく、ごく自然な音楽の流れの中に輝かしい響きを融合するという完成度の高いものとなっています。
ここに選ばれた4人の作曲家たちは、イタリア、スペイン、フランドルと活躍の場は様々ですが、例えばパレストリーナはビクトリアの師であったり、ガブリエリはラッススに師事してたりと、互いに影響しあっているのです。
そして4人それぞれ、異なるルネサンス合唱の伝統の源であり、彼らが創り上げた神聖派なポリフォニーは当時の教会音楽にも強く影響を与えています。
その時々でメンバーの顔ぶれが少しずつ変化しているセプトゥーラですが、緊密なアンサンブルは決して変わることがありません。
【第1集…8.573314 第2集…8.573386 第3集…8.573475】 |
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8.573552
\1100 |
ヨーゼフ・ランナー:ウィーン舞曲集
1.タランテラ・ギャロップ Op.125/
2.ワルツ 「魔女の踊り」 Op. 203/
3.ギャロップ 「エリーゼとカティンカの仲間」
Op.56-2/
4.ワルツ 「宮廷舞踏会」 Op.161/5.忠誠行進曲
Anh.54/
6.新年のギャロップ Op.61b/7.真夜中のワルツ
Op.8/
8.ハンス・イェルゲン・ポルカ Op.194/9.シュタイアー風舞曲
Op.165/
10.ワルツ 「シェーンブルンの人々」 Op.200 |
カンヌ管弦楽団/
ヴォルフガンク・デルナー(指揮) |
録音 2015年6月24-26日 フランス カンヌ,JWマリオット・クロワゼットホテル劇場
ヨハン・シュトラウス1世よりも3年早く生まれ、それまでは「農民の踊り」であったワルツを洗練された「ウィンナ・ワルツ」に格上げしたとされるヨーゼフ・ランナー。旅行勝ちであった彼は、良きライバルであったシュトラウス1世ほどには、ヨーロッパでの名声を獲得することができませんでしたが、彼が書いた400曲ほどの作品は、ストラヴィンスキーやリヒャルト・シュトラウスなど、後世の作曲家たちに大きな影響を与えることとなります。
このアルバムには彼の代表的な作品10曲を収録、熱狂的なタランテラや、初期の作品「真夜中のワルツ」、晩年の作品「魔女の踊り」まで、ワルツの創始者ランナーならではの貫禄たっぷりの作品が楽しめます。
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8.573553
\1100 |
オーベール:序曲集 第1集
1.歌劇「コーカサスから来た娘」序曲 S.48(1861)/
2.歌劇「青銅の馬」序曲 S.25(1835)/
3.歌劇「黒のドミノ」序曲 S.30(1837)/
4.歌劇「フラ・ディアヴォロ,またはテッラチーナの宿屋」序曲
S.18(1830)/
5.歌劇「婚約者」序曲 S.17(1829)/
6.歌劇「王冠のダイヤモンド」序曲 S.34(1841)/
7.歌劇「マルコ・スパダ」序曲 S.43(1852)/
8.歌劇「放蕩息子」序曲 S.41(1850) |
カンヌ管弦楽団/
ヴォルフガンク・デルナー(指揮) |
録音 2015年6月24-26日 フランス カンヌ,JWマリオット・クロワゼットホテル劇場
フランスに生まれた偉大な作曲家オーベール(1782-1871)。彼は、ケルビーニに作曲を学び、19世紀前半のオペラ・コミーク作曲家として広く名声を博し、また数多くの管弦楽、合唱作品を書き、ロマン派オペラに広範囲に渡って影響を及ぼしました。
彼の名はパリの地下鉄の駅や、ガルニエ宮の通りに冠せられるほどに、パリでは重要視されているにもかかわらず、残念なことにその作品自体は現在ほとんど演奏されることがなく、いくつかの歌劇の序曲が細々と演奏会のプログラムに掲載されるのみとなっています。
当時はワーグナー作品と人気を分け合うほどの人気者だったオーベールの作品。まずは序曲から楽しんでみてはいかがでしょうか?例えば、「コーカサスから来た娘」は、よくある「女性が男性に扮する」のではなく「男性が女性に扮する」物語。若い将校アレクシスが娘に扮してコーカサス、モスクワで冒険するというストーリー。
他の歌劇もタイトルを見ただけで、なんとも面白そうなものばかりではありませんか。
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8.573556
\1100 |
ティボール・ハルシャーニ:パリのハンガリー人
1-3.ヴァイオリン・ソナチネ(1919)
<第1楽章:モデラート/第2楽章:スケルツォ/
第3楽章:アレグロ・ジュスト>/
4-6.ヴァイオリン・ソナタ(1925)
<第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ/
第2楽章:レント/第3楽章:ヴィヴァーチェ>/
7-9. 3つの舞踏小品(1928)
<第1番:タンゴの楽章/第2番:ボストンの楽章〜レント/
第3番:フォックスロットの楽章>/
10-12.ヴィオラ・ソナタ(1953-1954)
<第1楽章:アレグロ・カンタービレ/第2楽章:アダージョ/
第3楽章:アレグロ・ジョコーソ・コン・ブリオ>
※世界初録音 |
チャールズ・ウェザービー…ヴァイオリン(1-6),ヴィオラ(10-12)/
ディヴィッド・コレヴァー(ピアノ) |
録音 2014年6月4-6日 USA コロラド大学ボルダー校音楽部,グルージン音楽ホール
20世紀初頭の作曲家、ハルシャーニ(1898-1954)はハンガリーで生まれ、ブダペストでコダーイに師事し、その後ヴェネツアを始めとしたヨーロッパ各地でピアニスト、指揮者として活躍。その後はパリで、マルティヌー、タンスマン、ミハロヴィチ、チェレプニンら各国からやってきていた作曲家たちと交流を結び「エコール・ド・パリ(パリ派)」を結成します。
彼らはパリの雰囲気を吸収しながらも、決して自国の固有の文化を捨てることなく、独特の音楽を熟成させていくこととなります。
ハルシャーニの作品は、初期のものは本質的にロマンティックで、1919年のヴァイオリン・ソナチネの冒頭はフランクのソナタを思わせるけだるさもある面白い曲調を持っています。やがて当時ヨーロッパを席巻したジャズのリズムを取り込み、また同胞であるバルトークの民族的要素も取り込みと、その作品は肥大しながら複雑さと土臭さを兼ね備えていくことになるのです。
最晩年の「ヴィオラ・ソナタ」では、その民族的要素が洗練された姿で現れ、抑制された表情を持った傑作となっているところにも注目。アメリカの名手ウェザービーによる演奏です。
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8.573579
\1100 |
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ集
1-3.ソナチネ ニ長調 Op.137 第1番 D384
<第1楽章:Allegro molto/第2楽章:Andante/第3楽章:Allegro
vivace>/
4-7.ソナチネ イ短調 Op.137 第2番 D385
<第1楽章:Allegro moderato/第2楽章:Andante/
第3楽章:メヌエット〜Allegro/第4楽章:Allegro>/
8-11.ソナチネ ト短調 Op.137 第3番 D408
<第1楽章:Allegro giusto/第2楽章:Andante/
第3楽章:メヌエット〜Allegro vivace/第4楽章:Allegro
moderato> |
チャン・ヒェジン(ヴァイオリン)/
ウォーレン・リー(ピアノ) |
録音 2015年9月18-20日 香港 チェン・ユ・タン・ビルディング
CMAレクチャー劇場
1816年の春、19歳のシューベルト(1797-1827)が作曲した3つのヴァイオリンのためのソナタ。これらは結局彼の生前に出版されることはなく、1836年になって兄のフェルディナントが出版社ディアベリに持ち込み、ようやく世に出ることになったのです。
もともとは「ソナタ」と題されていた作品に、出版の際ディアベリが「ソナチネ」と名前をつけたという説もありますが、ともあれ、規模も小さく演奏も比較的容易なこれらの作品は、学習者たちにもとりわけ好まれることとなります。
モーツァルトのソナタとの類似性も指摘されますが、シューベルトならではの美しいメロディも随所に溢れています。
演奏しているヴァイオリニスト、チャン・ヒェンジンは香港舞台芸術アカデミーで西崎崇子に師事し、モスクワ音楽院で、レオニード・コーガンの助手を務めたS.クラヴチェンコから教えを受けたという注目の若手です。
ピアノのウォーレン・リーは6歳で香港フィルと共演、ロンドン王立大学を卒業後、ストラヴィンスキー国際ピアノコンクールで第1位を獲得。彼も世界的に高く評価されています。
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8.660386
(2CD)
\2200 |
なんと正式な世界初録音
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」3幕
カルロ・ツァンガリーニ(1874-1943)&エンリコ・ゴリアシーニ(1848-1919)
台本
<CD1>
1-22.第1幕/
<CD2>
1-13.第2幕/
14-22.第3幕
※世界初録音 |
マリエッラ…ナタリア・ウシャコーヴァ(ソプラノ)/
ジェンナーロ:鍛冶屋…キム・キョンホ(テノール)/
ラファエレ:秘密結社の首領…ダニエル・チャプコーヴィツ(バリトン)/
カルメラ:ラファエレの母…
スザンネ・ベルンハルト(メゾ・ソプラノ)/
チッチーロ:結社員…ペーテル・マリー(テノール)/
ロッコ:結社員…フランチェク・ドゥリアツ(バス)
他/
ブラティスラヴァ少年合唱団/
プレスブルク・シンガーズ/
スロヴァーク・ナショナル・オペラ合唱団/
スロヴァーク放送交響楽団/
フリードリヒ・ハイダー(指揮) |
録音 2015年11月29日.12月2日 スロヴァキア
ブラティスラヴァ,ドゥリング・パフォーマンス・イン・ザ・グレート・コンサートホール
イタリアの作曲家ヴォルフ=フェラーリ(1876-1948)の代表作「マドンナの宝石」。一昔前、レコードで音楽鑑賞をしていた時代、クラシックの小品といえば必ず名前が挙がるのが、この歌劇の第2幕への間奏曲でした。かの“イージー・リスニングの巨匠”ポール・モーリアや、大指揮者カラヤンがこよなく愛し、度々録音を行ったために広く知られるようになった美しい曲です。
とは言え、今回の録音がオペラ全曲の正式な世界初録音となるほどに、実際の上演を体験する機会は全くないと言っていいほどのレアな作品です。
実は内容もかなり凄惨。その時代を席巻した「ヴェリズモ・オペラ」の典型的な作品といえるでしょう。物語は1900年頃のスペイン統治下のナポリ。情熱的で奔放な娘マリエッラと、その義兄ジェンナーロ。マリエッラが心を寄せるのは悪の親玉ラファエレですが、ジェンナーロはマリエッラに好意を寄せています。ある日ラファエレが彼女に「マドンナの宝石を盗み出してこよう」と囁き、嫉妬したジェンナーロが先に宝石を盗み出してマリエッラに渡すと、喜んだ彼女はジェンナーロに心を許してしまいます。しかし、街のシンボルである聖母像の宝石を盗むのは大罪。自責の念にかられたジェンナーロは宝石を返しに行くのですが…。
リヒャルト・シュトラウスや、ベルカント・オペラを得意とするフリードリヒ・ハイダーが美しく全曲を纏め上げています。
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エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリの世界
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