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フランス発、知られざる音源レーベル
Forgotten Records
その2 72タイトル!
1CD-R\4200→\3790
2CD-R\7000→\5990

 

 埋もれた音源をCD-R復刻させているフランスのレーベル「Forgotten Records」。日本でも一部のCD-R製作レーベルががんばっているが、ここのラインナップも魅力的。知らない名前がガンガン出てくる。
 一般に馴染みの薄い、しかしマニアックな音源が中心なのがやはりフランス。価格はかなり高いが品質がよく、日本のマニアの受けもかなりいい。





特におすすめの1枚
イーゴリ・オイストラフ(Vn)

fr 694
(下にも再掲載されてます)
J.S.バッハ:
 ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV 1042*
 Recording date : 1956
同:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV 1052+
 Recording date : 1958
同:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ト短調 BWV 1001
 Recording date : 1954
ヴィターリ:シャコンヌ
 Recording date : 1954
モーツァルト/クライスラー:
 セレナーデ第7番 ニ長調 K. 250**
  Recording date : 1954
イーゴリ・オイストラフ(Vn)
コンヴィチュニー指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管*
シュターツカペレ・ドレスデン+
アブラム・マカロフ(P)**
Length : 01:16:31
Original edition : Eterna 820027 et 720064 - Le Chant du Monde LD A-8092

イーゴリ・オイストラフの若き日の多彩な芸術を一枚に凝縮。バッハの協奏曲では、コンヴィチュニーとゲヴァントハウス管、シュターツカペレ・ドレスデンという重厚な東独の響きを背景に、力強く格調高い独奏を聴かせる。無伴奏ソナタでは、一本のヴァイオリンだけで巨大な建築を築くような集中力を示し、ヴィターリ《シャコンヌ》ではロマンティックな情熱を存分に解放。さらにクライスラー編曲によるモーツァルト《ハフナー・セレナード》の小品では、軽妙さと優雅な歌心を披露する。協奏曲、無伴奏、大技巧的小品まで、イーゴリの芸風を立体的に知ることのできる、内容ぎっしりの76分。父ダヴィッドの巨大な影の下で語られがちなイーゴリだが、このアルバムには独自の若々しい気迫と、端正な造形感覚が刻まれている。東独録音の渋い音色も、この芸風によく似合う。




<第65号初紹介アイテム>

fr 673
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K. 488
 同第27番変ロ長調 K. 595
デニス・マシュース(P)
ルドルフ・シュワルツ指揮
フィルハモニア管
Recording date : 1954
Length : 00:57:06 Original edition : Columbia S 1039 et S 1032

英国モーツァルト演奏の良心、デニス・マシューズが残した協奏曲第23番と第27番。華麗さを競うのではなく、楽譜の呼吸を丁寧にすくい上げ、明るさの奥にある翳りまで静かに浮かび上がらせる。ルドルフ・シュワルツとフィルハモニア管も、独奏を包み込みながら決して重くならず、1950年代英国ならではの端正で気品あるモーツァルトを形づくる。円熟の第23番と、モーツァルト最後の協奏曲第27番という組み合わせも絶妙。派手な名盤とは違うが、聴くほどに心へ染み込んでくる、忘れがたい一枚。マシューズの清潔なタッチ、シュワルツの誠実な支え、そして往年のフィルハモニアの柔らかな響き。その三者が過不足なく溶け合った演奏は、静かな夜にじっくり向き合いたくなる。

fr 674
C.P.E.バッハ:
 フルートと管弦楽のための協奏曲イ短調 Wq 166
 同ト長調 Wq 169
 交響曲ニ長調 Wq 183/1*
 同ヘ長調 Wq 183/3
ジャン=ピエール・ランパル(Fl)
オワゾリール・アンサンブル
ルイス・デ・フロメント指揮*
パリ器楽アンサンブル*
Recording date : 1956 Length : 01:13:08
Original edition : L'Oiseau-Lyre OL 50121 -Pathe DTX 180

若き日のジャン=ピエール・ランパルを聴く、なんとも魅力的なC.P.E.バッハ集。疾走する楽想、突然の陰影、鋭い感情の揺れ――古典派の整然とした世界から一歩はみ出すC.P.E.バッハの面白さを、ランパルの明晰な音色と自在な息遣いが鮮やかに描き出す。さらにルイス・デ・フロメント指揮による交響曲2曲を収録し、協奏曲だけでは見えにくい作曲家の大胆な管弦楽感覚まで味わえる構成。古楽器演奏が一般化する以前の録音ながら、音楽の生命力はまったく古びない。ランパル・ファンはもちろん、バッハ一族の「最も刺激的な息子」を知る格好の一枚。二つの協奏曲の性格の違いも鮮やかで、イ短調の切迫感からト長調の晴朗さへと移る流れが心地よい。初期ランパルの若々しい勢いと、すでに完成された歌の技術が同居している。

fr 675
J.C.バッハ:
 2本のクラリネット、2本のホルンとバスーンのための4つの四重奏曲
  Recording date : 1957
同:
 交響曲変ロ長調 op. 18 nー 2(「ルーチョ・シッラの為の序曲」
 Recording date : 1956
W.F.バッハ:交響曲ニ短調 F.65
 Recording date : 1956
ジャン・ランスロット(Cl)
ギルバート・クルジエ(Hr)
アンドレ・フルニエール(Hr)
クラウド・デスルモント(Cl)
パウル・ホンネ(バスーン)
フランス管楽アンサンブル
ルイス・デ・フロメント指揮
パリ器楽アンサンブル
Length : 01:02:14
Original edition : L'Oiseau-Lyre OL 50135 -Path? DTX 180

これは管楽器好きにはたまらない珍品。J.C.バッハの、2本のクラリネット、2本のホルンとバスーンのための四重奏曲を中心に、交響曲、さらに兄W.F.バッハの激しいニ短調交響曲まで収める。ジャン・ランスロットをはじめ、フランス管楽界の名手たちが織りなす響きは、柔らかく典雅でありながら、各楽器の色彩がくっきりと立ち上がる。ルイス・デ・フロメントの指揮も軽快で、18世紀音楽の快活さと意外なドラマ性を見事に両立。モーツァルトへとつながる優雅な世界と、バロックの激情を引きずる世界が一枚の中で交差する、まさにForgotten Recordsらしい発見盤。とりわけ管楽器同士が問いかけ、応え、笑い合うような四重奏曲の愉悦は格別。名曲中心のカタログではまず出会えない作品と名手が一堂に会した、資料的価値だけでは終わらない楽しいアルバムである。

fr 676
レスピーギ:
 ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲「グレゴリオ聖歌風」
 Recording date : 1953
ベリオ:
 ヴァイオリンと管弦楽のための「バレエの情景」 op. 100*
  Recording date : 1955
クルト・スティーラー(Vn)
エルネスト・ボルサムスキー指揮
ライプツィヒ放送響
カール・タシュケ(Vn)*
ヘルベルト・ケーゲル指揮*
ライプツィヒ・フィル*
Length : 00:44:08
Original edition : Urania URLP 7100 et URLP 7166

レスピーギの《グレゴリオ聖歌風協奏曲》は、華麗な《ローマ三部作》とはまるで異なる、祈りと古い旋法の神秘に包まれたヴァイオリン協奏曲。クルト・スティーラーの独奏は、作品の内省的な美しさを誇張せず、静かな熱をもって歌い上げる。併録のベリオ《バレエの情景》では、カール・タシュケと若きヘルベルト・ケーゲルが、より劇的で色彩的な世界を展開。ライプツィヒの二つのオーケストラによる1950年代録音という点も興味深い。知られざるイタリア近代のヴァイオリン作品を、東独演奏陣の重厚な響きで聴くという、実に味わい深い一枚。レスピーギの長い旋律が静かに空へ伸びていく瞬間と、ベリオの舞台的な華やぎとの対照も鮮明。44分という収録時間ながら、知られざる協奏的作品の世界を濃密に味わえる。

fr 677
グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 op. 16
 Recording date : 1944
スクリャービン:ピアノ協奏曲嬰ヘ短調 op. 20*
 Recording date : 1954
フリードリヒ・ヴューラー(P)
カール・ベーム指揮
ウィーン・フィル
ハンス・スワロフスキー指揮*
ウィーン・プロ・ムジカ管*
Length : 00:54:50
Original edition : Urania URRS 7-15 - Vox PL 9200

これは強烈。1944年、フリードリヒ・ヴューラー、カール・ベーム、ウィーン・フィルによるグリーグの協奏曲というだけで、歴史的録音ファンなら胸が騒ぐ。ヴューラーのピアノは甘美さに流れず、骨太な和音と堂々たる構築力で作品を北欧の抒情詩から巨大なドラマへと変貌させる。ベームとウィーン・フィルの濃密な伴奏も聴きもの。さらに1954年のスクリャービン協奏曲では、ハンス・スワロフスキーとともに、夢幻的な作品を明晰かつ力強く描く。録音年代も指揮者も異なる二つの協奏曲から、ヴューラーという大ピアニストの知性と剛毅な個性が鮮烈に伝わる貴重盤。ヴューラーの録音を追う人にはもちろん、ベームやスワロフスキーの戦中・戦後初期の姿を知りたい人にも見逃せない。二作品を貫くのは、虚飾を排して音楽の骨をむき出しにするような強さである。

fr 678
ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調
ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
カーティス四重奏団
Recording date : 1955
Original edition : Westminster WN 18049

ドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲を、アメリカの名門カーティス四重奏団が演奏した1955年ウェストミンスター録音。フランスの団体とは異なる、引き締まった造形と力強い推進力が大きな魅力で、色彩や香りだけに寄りかからず、両作品の緻密な構造をくっきりと浮かび上がらせる。ドビュッシーでは鋭いリズムと官能的な陰影、ラヴェルでは精密なアンサンブルと気品ある歌が際立つ。録音史上、この二曲は数多く組み合わされてきたが、これほど骨格が明瞭で、室内楽としての緊張感に満ちた演奏は意外に少ない。フランス近代の名作を、別角度から再発見させてくれる一枚。カーティス四重奏団特有の、四人が大きなひとつの楽器となって鳴るような統一感も聴きどころ。ウェストミンスター全盛期の骨太な録音美学を伝える、室内楽ファン注目の復刻である。

fr 679
アルベニス/エンリケ・フェルマンデツ・アルボス編:
 イベリア(管弦楽版)
  Recording date : 1953
ジョージ・セバスティアン指揮
コンセール・コロンヌ協会管
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」
 Recording date : 1952
アンパリト・ぺリス・ド・プリュリエル(S)
ジャン・マルティノン指揮
パリ・オペラ・コミーク管&合唱団
Length : 01:07:01
Original edition : Urania URLP 7085 et URLP 7034

スペイン音楽の熱気とフランスの洗練が一枚に凝縮された魅力盤。アルベニス《イベリア》のアルボス編曲版を、ジョージ・セバスティアンとコンセール・コロンヌ協会管が、濃厚な色彩と躍動感をもって描き出す。そしてファリャ《三角帽子》では、若きジャン・マルティノンがパリ・オペラ・コミークのオーケストラと合唱を率い、舞台の匂いが立ちのぼるような生々しい演奏を展開。後年の精緻な名指揮者マルティノンとはまた違う、血気盛んな推進力が実に痛快である。1950年代初頭のパリで花開いた「スペイン趣味」を、豪華な二本立てで堪能できる、色彩派必携の復刻。歌手を含む《三角帽子》の本来の劇場的魅力も十分で、単なる管弦楽組曲とは違う熱と匂いがある。パリのオーケストラがスペインの光と影をどう受け止めたか、その歴史的な面白さも尽きない。

fr 680
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K. 503
  Recording date : 1958
 幻想曲ハ短調 K. 475
  Recording date : 1959
 ピアノ・ソナタ第14番ハ短調 K. 457
  Recording date : 1959
 同第10番ハ長調 K. 330
  Recording date : 1959
アンドレ・チャイコフスキー(P)
フリッツ・ライナー指揮
シカゴ響
Length : 01:15:55
Original edition : RCA LSC 2287 et LSC 2354

アンドレ・チャイコフスキーとフリッツ・ライナー、シカゴ交響楽団――この顔合わせだけでも特別だが、演奏は期待以上に鮮烈。第25番ではライナーの厳格で引き締まったオーケストラに対し、チャイコフスキーが鋭い知性と独特の自由さで切り込み、モーツァルトの雄大さと危うい緊張を同時に引き出す。後半の幻想曲とソナタでは、彼の孤高の精神がさらに露わになり、ハ短調作品の暗い情念からK.330の透明な明るさまで、ひと筋縄ではいかない表情を聴かせる。奇人として語られがちな彼だが、ここに刻まれているのは、疑いなく第一級のモーツァルト弾きの姿である。ライナーの冷徹さとチャイコフスキーの奔放さは、衝突するどころか互いを刺激し、比類ない緊張を生む。名盤の多い作品でなお、これでしか聴けない個性がはっきり存在する。

fr 681
リスト:ダンテ交響曲 S 109 ジョージ・セバスティアン指揮
コンセール・コロンヌ協会管
Recording date : 1953
Length : 00:52:47 Original edition : Urania URLP 7103

リストの《ダンテ交響曲》を1953年のコンセール・コロンヌ協会管で聴くという、なんともそそられる復刻。ジョージ・セバスティアンは、地獄篇の禍々しい咆哮から煉獄篇の静かな祈りまで、作品の巨大な振幅を劇場的な感覚で描き切る。現代の超高性能オーケストラによる精密な演奏とは違い、管楽器の生々しい色合い、弦の熱っぽいうねり、そして一歩間違えば崩れそうなほどの切迫感が、かえってダンテの幻想世界を目前に出現させる。フランスの伝統あるオーケストラが奏でるリストという組み合わせも独特。作品の宗教性と怪奇性を濃厚に味わえる、歴史的録音ならではの一枚。終結部に女声合唱が加わる瞬間の劇的効果も大きく、暗闇の彼方から救済の光が差し込むようだ。音の豪華さよりも物語の切実さを求める聴き手に、強く薦めたい《ダンテ交響曲》である。

fr 682
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲第17番ト長調 K. 453
 同第24番ハ短調 K. 491
ジーナ・バッカウアー(P)
アレク・シャーマン指揮
ロンドン響
Recording date : 1956
Length : 00:58:17 Original edition : His Master's Voice DLP 1124

ジーナ・バッカウアーのモーツァルトは、優雅で可憐という一般的なイメージを鮮やかに突き破る。第17番では豊かな音量と堂々たるフレージングで作品の祝祭性を押し広げ、第24番ではハ短調の悲劇性を深く掘り下げ、まるでベートーヴェンへ直結するかのような劇的世界を築く。それでいて細部は粗くならず、旋律の歌わせ方には独特の温かさがある。夫でもあったアレク・シャーマンの指揮、ロンドン交響楽団の厚みある響きも、このスケールの大きなモーツァルトをしっかり支える。小粒で端正な演奏とは正反対。大ピアニストが真正面から作品に挑み、巨大な音楽へと成長させた異色の名演。バッカウアーの大きな手から生まれる豊かな響きは、決して鈍重にならず、弱音では驚くほど柔らかい。この豪胆さと繊細さの両立こそ、彼女が世界的名声を得た理由を雄弁に物語る。

fr 683
モーツァルト:
 ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K. 216
 同第4番ニ長調 K. 218
ポール・マカノヴィツキー(Vn)
カール・リステンパルト指揮
ザール室内管
Recording date : 1961
Length : 00:43:41 Original edition : Le Club Francais du Disque CFD 2266

ポール・マカノヴィツキーとカール・リステンパルト――通好みの二人が出会った、実に魅力的なモーツァルト。マカノヴィツキーのヴァイオリンは、艶やかさを前面に押し出すのではなく、細身で気品ある音色の中に鋭い集中力を宿す。ひとつひとつの装飾やフレーズが自然に息づき、第3番の若々しい輝き、第4番のより堂々とした表情が鮮明に描き分けられる。リステンパルトとザール室内管の伴奏も、軽快でありながら芯が強く、独奏との対話が絶妙。古楽器以前の演奏でありながら、重さやロマン的な誇張とは無縁で、清新な生命力に満ちている。1961年という時代の先を行くモーツァルト像。カデンツァでも自己主張を膨らませず、作品の若々しい会話を壊さない節度が美しい。リステンパルトのディスコグラフィーを追う人にも、マカノヴィツキー再評価の入口としても絶好である。

fr 684
モーツァルト:
 交響曲変ロ長調 K. 311 A「フランス風序曲」
 交響曲第32番ト長調 K. 318「イタリア風序曲」
 同第33番 変ロ長調 K. 319
 同第34番ハ長調 K. 338
モーリス・エウィット指揮
エウィット管
Recording date : 1951 Length : 00:55:25
Original edition : Les Discophiles Francais DF 88

モーリス・エウィットが自らのオーケストラを率いて録音した、若きモーツァルトの交響曲集。K.311aの《フランス風序曲》から第34番まで、オペラ序曲のような華やかさと、交響曲としての充実が一気に深まっていく時期をまとめて味わえる選曲がうれしい。エウィットはヴァイオリニストとして培った感覚を生かし、弦楽器をしなやかに歌わせながら、鋭いアクセントと快活なテンポで音楽を前へ進める。1951年録音らしい端正さの中に、戦後フランスの明るさと洒脱さが宿る演奏。後期三大交響曲とは違う、劇場人モーツァルトの若々しい才気を存分に楽しませてくれる、軽やかで味わい深い一枚。小編成ならではの透明感がありながら、必要なところではティンパニとトランペットが鮮やかに輝く。忘れられた指揮者エウィットの音楽家としてのセンスを再認識させる、実にチャーミングな復刻。



fr 685
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K. 466
  Recording date : 1959
フランク:交響的変奏曲*
 Recording date : 1955
ラフマニノフ:
 パガニーニの主題による狂詩曲 op. 43*
  Recording date : 1955
モニク・ド・ラ・ブルショルリ(P)
ジャン・マルティノン指揮
パリ・フランス放送響
イオネル・ペルレア指揮*
コンセール・コロンヌ協会管*
Length : 01:08:57
Original edition : Pathe-Vox PL 9750

モニク・ド・ラ・ブルショルリの個性を知るには、これ以上ないほど強烈な一枚。モーツァルト第20番では、悲劇的なニ短調の世界へ真正面から踏み込み、強靭な打鍵と大胆な感情表現で音楽を燃え上がらせる。ジャン・マルティノンの鋭敏な伴奏も見事。さらにフランク《交響的変奏曲》とラフマニノフ《パガニーニ狂詩曲》では、華麗な技巧、濃厚なロマン、そして驚くほど繊細な歌心が一気に解き放たれる。事故によって演奏活動を断たれ、録音も決して多くない彼女だけに、この三作品をまとめて聴ける価値は大きい。気品よりも情熱、均整よりも生命――ピアノが生き物のように躍動する。ブルショルリはコルトー、ザウアーらに学び、舞台で圧倒的な人気を得ながら、残された録音は限られている。だからこそ、この激しくも華麗な演奏の一音一音が、失われた大芸術家の証言として重い。

fr 686
ハチャトゥリアン:
 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
  Recording date : 1953
サン=サーンス:
 序奏とロンド・カプリチョーソ op. 28*
  Recording date : 1957
イーゴリ・オイストラフ(Vn)
ユージン・グーセンス指揮
フィルハモニア管
シュヒター指揮*
プロ・アルテ管*
Original edition : Columbia CX 1141, CX 1594

イーゴリ・オイストラフ若き日のハチャトゥリアン協奏曲。父ダヴィッドの名演があまりにも有名だが、息子イーゴリもまた、鋭い技巧と灼熱の歌心を備えた大ヴァイオリニストだったことを思い知らせる。民族舞曲の激しいリズム、官能的な旋律、火花を散らす終楽章まで、一瞬たりとも気を緩めない。ユージン・グーセンスとフィルハモニア管の豪快な伴奏も圧巻で、1953年のモノラル録音とは思えぬ迫力を放つ。併録の《序奏とロンド・カプリチョーソ》では、軽やかな身のこなしと洒脱な色気を披露。大協奏曲の熱狂と小品の鮮やかな切れ味、二つの顔を楽しめる充実盤。父とは異なる、やや硬質で直線的な音の運びが、ハチャトゥリアンの野性味をいっそう際立たせる。若きイーゴリが自らの名を刻もうとする気迫が、スピーカー越しにもひしひしと伝わってくる。

fr 687
ショパン:24の練習曲集 コルトー(P)
Recording date : 1942
Length : 00:51:48 
Original edition : La Voix de Son Maitre W1531/36 (78t.), FJLP 5030

コルトーによるショパン《24の練習曲》、1942年録音。これは技巧の完全無欠さを測るための演奏ではない。音がこぼれ、リズムが揺れ、時に危うさを見せながら、その一瞬一瞬から詩とドラマが噴き出してくる。コルトーにとって練習曲は「指の訓練」ではなく、24篇からなる巨大な幻想詩だった。作品10では若々しい情熱と憂愁、作品25ではさらに深い陰影と夢幻性が広がり、有名な《別れの曲》《革命》《木枯らし》も、聴き慣れた表情を脱ぎ捨てて迫ってくる。戦時下のパリで刻まれた歴史的記録であり、現代のピアニストには決して再現できない、危険なまでに人間的なショパン。ミスタッチさえ表現の渦に飲み込まれ、聴き手は採点することを忘れてしまう。技術の時代が進むほど、こうした演奏の自由と切実さは貴重になる。ショパン演奏史の中でも、避けて通れない記録である。

fr 688
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲第12番イ長調 K. 414
 同第14番変ロ長調 K. 449
デニス・マシューズ(P)
ルドルフ・シュワルツ指揮
フィルハモニア管
Recording date : 1954
Length : 00:48:39 Original edition : Columbia SX 1031

デニス・マシューズ、ルドルフ・シュワルツ、フィルハモニア管による1954年のモーツァルト。第12番と第14番という、華やかな大協奏曲の陰に隠れがちな二作品を組み合わせたところが何とも渋い。マシューズは軽やかなタッチと自然な語り口で、室内楽的な親密さを大切にしながら、ふとした転調や陰影にモーツァルト特有の切なさをにじませる。第12番の晴朗な美しさ、第14番の引き締まった気品が明瞭に描き分けられ、シュワルツの伴奏も控えめながら実に雄弁。スター的な誇示とは無縁だが、音楽そのものが静かに語りかける。英国の良質なモーツァルト演奏文化を伝える佳品。第23番や第27番のような深いドラマとは異なり、若いモーツァルトの社交性と創意が親密なサイズで花開く。派手な宣伝文句は似合わないが、棚から静かに取り出して何度も聴きたくなる一枚。

fr 689
ヘンデル:オルガン協奏曲集
 第2番変ロ長調 op. 4, n° 2
 第4番ヘ長調 op. 4, n° 4
 第8番イ長調 op. 7, n° 2
 第10番 ニ短調 op. 7, n° 4
ジェライント・ジョーンズ(オルガン)
シュヒター指揮
フィルハモニア管
Recording date : 1952
Length : 01:04:23
Original edition : His Master's Voice DLP 1037 et DLP 1052

英国の名オルガニスト、ジェライント・ジョーンズが弾くヘンデルのオルガン協奏曲集。壮麗な教会オルガンの響きを押し出すのではなく、オーケストラとの軽やかな応答、即興的な装飾、舞曲のような躍動を大切にした、実に音楽的な演奏である。シュヒター指揮フィルハモニア管も、厚ぼったくならず、晴れやかな弦と明快なリズムで独奏を支える。第2番、第4番、第8番、第10番と、作品4・作品7から性格の異なる4曲を選び、ヘンデルの機知、荘厳さ、親しみやすさを一度に楽しめる構成も秀逸。1952年録音ながら古びた重厚さはなく、むしろ現代にも通じる爽快な生命力がある。ジョーンズはヘンデル演奏・研究の先駆者としても知られ、その確かな様式感が随所に息づく。古楽器の刺激とは別種の、英国的な品格と親しみやすさを備えたヘンデルを存分に楽しめる。

fr 691/2
(2CD-R)
\5990
ボッケリーニ:
 チェロ協奏曲第9番 変ロ長調 G.482
  Recording date : 1955
ハイドン:
 チェロ協奏曲 ニ長調 op. 101, Hob. VIIb, 2
  Recording date : 1955
ラロ:チェロ協奏曲ニ短調+
 Recording date : 1952
ブルッフ:コル・二ドライ op. 47+
 Recording date : 1951
シューマン:トロイメライ(子供の情景より)+
 Recording date : 1951
ティボル・デ・マヒュラ(Vc)
パウムガルトナー指揮
ウィーン響
オッテルロー指揮+
ハーグ・フィル+
Length : 01:26:34
Original edition : Philips S 04020 L, N 00602 R, N 00107 R, 430007 PE

ティボル・デ・マヒュラ――フルトヴェングラーに招かれてベルリン・フィルの首席を務め、戦後はコンセルトヘボウ管の首席として長く活躍した名チェリスト。その貴重な協奏曲録音を2枚に集成した注目盤である。ボッケリーニとハイドンでは、端正な技巧と気品ある歌を聴かせ、ラロでは一転、太く情熱的な音で作品のドラマを押し広げる。《コル・ニドライ》と《トロイメライ》では、深い呼吸と温かな人間味が胸を打つ。パウムガルトナー、オッテルローという名匠の伴奏も申し分ない。オーケストラの名物首席にとどまらない、独奏者デ・マヒュラの大きな器を実感できる、チェロ愛好家必携の復刻。艶を誇示せず、深く落ち着いた音で旋律を語るため、聴き進むほどに味わいが増していく。名門オーケストラの中核を支えた奏者が、独奏の場で見せた誇りと風格がここにはある。

fr 693
サン=サーンス:
 交響詩「オンファールの糸車」 op. 31
  Recording date : 1950
同:交響詩「ファエトン」 op. 39
 Recording date : 1956
同:交響詩「死の舞踏」 op. 40
 Recording date : 1950
同:交響詩「ヘラクレスの青年時代」 op. 50
 Recording date : 1956
デュカス:「魔法使いの弟子」
 Recording date : 1956
ラボー:夜の行列 op. 9
 Recording date : 1950
ミトロプーロス指揮
NYP
Length : 01:04:06
Original edition : Columbia ML 5154, 5198, 2170

ミトロプーロスとニューヨーク・フィルによる、フランス管弦楽曲の大饗宴。サン=サーンスの四つの交響詩をまとめて聴けるだけでも貴重だが、《魔法使いの弟子》とラボー《夜の行列》まで加わる選曲が実に豪華。ミトロプーロスはフランス音楽を上品な色彩画として整えるのではなく、物語の狂気、怪奇、官能をむき出しにする。《死の舞踏》の不気味な跳躍、《ファエトン》の破滅的な疾走、《魔法使いの弟子》の制御不能な高揚――どれも手に汗握る迫力である。ニューヨーク・フィルの強靭な響きも痛快。洗練だけでは終わらない、暗く激しく燃えるフランス音楽を堪能できる異色の名演集。サン=サーンスの交響詩を「軽い名曲」と思っている人ほど、この演奏の凄みには驚かされるはず。ミトロプーロスは作品の奥に潜む死と運命の影を暴き、聴き慣れた曲を異様なドラマへ変えてしまう。

fr 694
J.S.バッハ:
 ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV 1042*
 Recording date : 1956
同:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV 1052+
 Recording date : 1958
同:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ト短調 BWV 1001
 Recording date : 1954
ヴィターリ:シャコンヌ
 Recording date : 1954
モーツァルト/クライスラー:
 セレナーデ第7番 ニ長調 K. 250**
  Recording date : 1954
イーゴリ・オイストラフ(Vn)
コンヴィチュニー指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管*
シュターツカペレ・ドレスデン+
アブラム・マカロフ(P)**
Length : 01:16:31
Original edition : Eterna 820027 et 720064 - Le Chant du Monde LD A-8092

イーゴリ・オイストラフの若き日の多彩な芸術を一枚に凝縮。バッハの協奏曲では、コンヴィチュニーとゲヴァントハウス管、シュターツカペレ・ドレスデンという重厚な東独の響きを背景に、力強く格調高い独奏を聴かせる。無伴奏ソナタでは、一本のヴァイオリンだけで巨大な建築を築くような集中力を示し、ヴィターリ《シャコンヌ》ではロマンティックな情熱を存分に解放。さらにクライスラー編曲によるモーツァルト《ハフナー・セレナード》の小品では、軽妙さと優雅な歌心を披露する。協奏曲、無伴奏、大技巧的小品まで、イーゴリの芸風を立体的に知ることのできる、内容ぎっしりの76分。父ダヴィッドの巨大な影の下で語られがちなイーゴリだが、このアルバムには独自の若々しい気迫と、端正な造形感覚が刻まれている。東独録音の渋い音色も、この芸風によく似合う。

fr 695
ボロディン:交響曲第2番 ロ短調 op. 5
 Recording date : 1953
同:だったん人の踊り(歌劇「イーゴリ公」より)
 Recording date : 1952
同:交響詩「中央アジアの草原にて」
 Recording date : 1954
イッポリトフ=イヴァノフ:組曲「コーカサスの風景」 opus 10
 Recording date : 1954
ミトロプーロス指揮
NYP
Length : 01:11:48
Original edition : Columbia ML 4966 et ML 4815

ミトロプーロスとニューヨーク・フィルが描く、土の匂いと原色の輝きに満ちたロシア音楽集。ボロディンの交響曲第2番では、冒頭から骨太なリズムと濃密な歌がぶつかり合い、《だったん人の踊り》では舞台を突き破るような高揚感が押し寄せる。《中央アジアの草原にて》の静かな遠景から、イッポリトフ=イヴァノフ《コーカサスの風景》の豪快な民族舞踊まで、同じ指揮者とオーケストラで一気に味わえるのも魅力。美しく整えるより、作品の野性、熱気、哀愁をむき出しにするのがミトロプーロス。ニューヨーク・フィルの逞しい金管と厚い弦が、その強烈な音楽観に応える。ロシア管弦楽曲の楽しさを真正面から浴びる、痛快な一枚。聴き終えたあとには、遠い草原の風と祭りの熱狂が鮮烈に残る。

fr 696
ハイドン:交響曲第80番 ニ短調 Hob. I/80 (Haydn)
 Recording date : 1955
同:ディヴェルティメント第5番ハ長調 Hob. II/29
 Recording date : 1955
モーツァルト:
 セレナーデ第6番 ニ長調 K. 239 「セレナータ・ノットゥルナ」
 Recording date : 1955
ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 op. 21
 Recording date : 1953
ジョン・プリッチャード指揮
フィルハモニア管
ウィーン響(ベートーヴェン)
Length : 01:04:10
Original edition : His Master's Voice CPL 1061- Philips S 06037

若きジョン・プリッチャードが、古典派音楽の多彩な表情を一枚にまとめた興味深い録音。ハイドンの交響曲第80番は、ニ短調の緊張感と機知に富んだ展開が交錯する隠れた名作で、続くディヴェルティメントでは軽やかな室内楽的対話が楽しめる。モーツァルト《セレナータ・ノットゥルナ》の夜の優雅さを経て、最後はベートーヴェンの交響曲第1番へ。バロック的な名残から、古典派の洗練、そして新時代の力強さへと向かう流れが見事である。フィルハモニア管の精緻な響きと、ベートーヴェンでのウィーン響の豊かな量感も聴きどころ。プリッチャードの端正さだけでなく、若々しい推進力と劇場的な呼吸が感じられる、選曲の妙が光る一枚。古典派好きなら、思わぬ発見が連続するはず。

fr 698
ワルター・ゲールの第9!
 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調op. 125 「合唱」
ワルター・ゲール指揮
オランダ・フィル&
同合唱団
Soprano : Corry Bijster
Tenor : David Garen
Contralto : Elisabeth Pritchard
Bass : Leonardo Wolovsky
Recording date : 1951
Length : 01:06:52 
Original edition : Musical Masterpiece Society MMS 2034

ワルター・ゲールによる1951年録音の《第九》。この名前でベートーヴェンの「合唱」を聴けるというだけでも、Forgotten Recordsらしい発掘の喜びに満ちている。ゲールは作曲家、編曲家、指揮者として幅広く活動した音楽家で、ここでも作品を巨大な記念碑として仰ぎ見るのではなく、各声部を明晰に動かしながら全曲を一つの劇として押し進める。演奏時間66分台という引き締まった進行も印象的で、第1楽章の切迫感、スケルツォの鋭い推進、終楽章の熱気が途切れない。オランダ・フィルと合唱団、四人の独唱者が一体となって築く、素朴で真摯な歓喜の歌。豪華さや重厚さとは別の、戦後間もない時代の切実な祈りが伝わってくる貴重な《第九》である。

fr 699
ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 op. 98
クリスティアン・フェラス(Vn)
ラファエル・クーベリック指揮
フランス放送フィル
Recording date : 1960
Length : 01:02:58

クリスティアン・フェラス、ラファエル・クーベリック、フランス放送フィルという顔合わせで、ベルクのヴァイオリン協奏曲とブラームスの交響曲第4番を組み合わせた、あまりに魅力的な1960年録音。フェラスのヴァイオリンは、ベルク作品の複雑な書法を冷たく分析するのではなく、一本の長い哀歌として歌い抜く。繊細な美音の奥に、張りつめた神経と深い悲しみが宿る。一方のブラームスでは、クーベリックが透明な構造感と熱い呼吸を両立させ、終楽章へ向かって悲劇の密度を高めていく。ベルクからブラームスへ――時代は異なっても、失われたものへの追憶と厳しい美が響き合う。演奏家、作品、組み合わせのすべてが特別な、忘れがたい一枚。

fr 700
J.S.バッハ:
 ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV1041、
 同第2番ホ長調 BWV1042cki
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 61
ロマン・トーテンベルク(Vn)
スタニスラフ・ヴィスウォッキ指揮
ワルシャワ・フィル
ポズナン・フィル(ベートーヴェン)
Recording date : 1958 Length : 01:19:58
Original edition : Muza XL 0049 et XL 0050

ロマン・トーテンベルクの芸術を、バッハとベートーヴェンという二つの頂点で聴く充実の一枚。バッハの二つの協奏曲では、端正な造形の中にしなやかな歌と気品を宿し、旋律を過度に飾ることなく自然に息づかせる。ヴィスウォッキ指揮ワルシャワ・フィルとの呼吸もよく、独奏と合奏が対等に語り合う。一方、ベートーヴェンではポズナン・フィルを背景に、より大きなスケールと内面的な強さを示す。華やかな技巧を前面に押し出すのではなく、長い旋律を深く歌い、終楽章まで揺るがぬ品格を保つ演奏である。1958年のポーランド録音という点も興味深い。トーテンベルクの知性、温かさ、古典的な節度を一度に味わえる、ヴァイオリン好きには見逃せない79分。

fr 702
シューマン:謝肉祭 op. 9、ウィーンの謝肉祭の道化 op. 26
リスト:パガニーニによる大練習曲
ロバート・ゴールドサンド(P)
Recording date : 1953 Length : 01:16:54
Original edition : Musical Masterpiece Sociey MMS 2053 et 3012

ロバート・ゴールドサンドが、シューマンの二つの《謝肉祭》とリストの《パガニーニ大練習曲》を弾き切った、76分を超える壮大なピアノ・アルバム。シューマン《謝肉祭》では、短い小品が次々と姿を変える仮面舞踏会を、鋭い性格描写と鮮やかな転換で描く。《ウィーンの謝肉祭の道化》では、外向的な華やかさの中に突然現れる抒情を丁寧にすくい上げる。そしてリストでは、技巧そのものが音楽の幻想へ変わる瞬間を聴かせる。派手さだけで押し切らず、各曲の輪郭を明確にしながら、ロマン派ピアノ音楽の奔放さを解放していくのがゴールドサンドの魅力。シューマンの詩情とリストの超絶技巧を一人のピアニストで味わえる、1953年録音の隠れた大作。




<第63号初紹介アイテム>

新録音シリーズ

fr 16/17P
(2CD-R)
\5990
L'ECHO DES BATAILLES
 シュタイベルト:
  ピアノフォルテのための大ソナタ 変ホ長調 op. 45
 ジャダン:アウステルリッツの大戦
 ル・ミエール:イェーナでの戦い
 ドゥセック:ソナタ 嬰ヘ短調「和声的悲歌」)
 シュタイベルト:モスクワの破壊
 ルッペ:ワーテルローの大戦
 モシュレス:パリ陥落による大変奏曲
Piano :ダニエル・プロッパー
Recording date : 2012 Length : 02:24:14

戦争と革命の時代を、ピアノ一台で巨大な歴史絵巻にしてしまった異色の2枚組。題名は《戦いのこだま》。アウステルリッツ、イェーナ、モスクワ、ワーテルロー、そしてパリ陥落――ナポレオン時代の戦場を題材とした作品が次々と現れ、大砲、行進、勝利、敗北、哀悼の情景が鍵盤上に描き出される。シュタイベルト、ジャダン、ル・ミエール、ルッペといった滅多に聴けない作曲家に、ドゥセックの《和声的悲歌》、モシュレスの大変奏曲まで収録。ダニエル・プロッパーは単なる珍曲紹介に終わらせず、フォルテピアノの音色と語り口を生かして、作品ごとの劇性と時代の空気を鮮明にする。2時間24分、歴史好きにも古楽好きにも強烈に訴える、Forgottenならではの新録音企画。

以下、歴史的録音シリーズ

fr 671/2
(2CD-R)
\5990
J.S.バッハ:
 ブランデンブルク協奏曲全曲BWV1046-1051
 2台のチェンバロのための協奏曲 ハ短調 BWV 1060
カール・ハース指揮
ロンドン・バロック・アンサンブル
Clavichord : ライオネル・サルター
Clavichord :チャールズ・スピンクス
Recording date : 1952-1953 
Length : 02:27:03
Original edition : Westminster WL 5172, 5113, 5174 -Parlophone PMA 1009

カール・ハースとロンドン・バロック・アンサンブルによる、1952~53年録音の《ブランデンブルク協奏曲》全曲。今日の古楽演奏とは異なる奏法と響きを持ちながら、各協奏曲の編成の違い、独奏楽器の個性、バッハの構築美を生き生きと伝える歴史的記録である。重厚一辺倒ではなく、室内楽的な対話と柔らかな歌が随所に現れ、戦後英国におけるバロック演奏の豊かな成果を感じさせる。さらにライオネル・サルターとチャールズ・スピンクスを迎えた2台の鍵盤楽器のための協奏曲BWV1060も収録。2枚で2時間27分という堂々たる内容で、作品そのものを楽しむだけでなく、古楽復興の歩みを耳でたどれるのが大きな魅力。ウェストミンスター原盤の復刻としても注目したい。

fr 670
フォーレ/ヘンリ・ラボー編曲:
 バレエ組曲「ドリー」 op. 56
   ロンドン響
プーランク:バレエ組曲「牝鹿」
   ロンドン響
プーランク:オーバード、ピアノと18楽器のための舞踏協奏曲
 Piano : ファビアンヌ・ジャッキーノ
 ウェストミンスター響 
アナトール・フィストラーリ指揮
Recording date : 1953
Length : 00:55:38
Original edition : Parlophone PCM 1004 et PCM 1019

バレエ指揮の名手アナトール・フィストラーリが、フランス音楽の洒落た色彩と舞踏のリズムを存分に引き出した一枚。フォーレ《ドリー》では、子どもの世界を思わせる優しさと夢のような響きを、ヘンリ・ラボーの巧みな管弦楽法で味わえる。プーランク《牝鹿》では一転して、1920年代パリの軽妙さ、皮肉、華やぎが弾ける。そして《オーバード》では、ファビアンヌ・ジャッキーノのピアノと18の楽器が、室内楽的な鋭さと舞台的な官能を交錯させる。ロンドン響とウェストミンスター響の響きを、フィストラーリが柔軟なテンポと鮮やかな身振りでまとめ上げる。甘美なフォーレと都会的なプーランク――フランス・バレエ音楽の二つの表情を、約56分で贅沢に楽しめる魅惑の復刻。

fr 669
ドヴォルザーク:
 ピアノ三重奏曲第2番 op. 26
 同第4番 op. 90「ドゥムキー」
Cello :アントニオ・ヤニグロ
Violin :ジャン・フルニエ
Piano :パウル・パドゥラ =スコダ
Recording date : 1950
Length : 00:56:28
Original edition : Westminster XWN 18398

アントニオ・ヤニグロ、ジャン・フルニエ、パウル・バドゥラ=スコダ――三人の名手が1950年に残した、ドヴォルザークのピアノ三重奏曲第2番と《ドゥムキー》。若き日の瑞々しさと、すでに完成された室内楽的な呼吸が共存する貴重な録音である。第2番では、ブラームスにも通じる重厚な構築の中から、チェコ音楽特有の温かな歌と翳りが浮かび上がる。《ドゥムキー》では、哀歌と舞曲、静けさと激情が目まぐるしく交替し、三人が互いの音を聴きながら自然に物語を紡いでいく。ヤニグロの深いチェロ、フルニエの端正なヴァイオリン、バドゥラ=スコダの柔らかく推進力あるピアノ。その個性が競い合わず、一つの呼吸へ溶け合う。室内楽ファンなら手元に置きたい、ウェストミンスターの名録音。

fr 668
ラフマニノフ:
 ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op. 18
  ミュンヘン・フィル
  ハンス・ロスバウト指揮
   Recording date : 1948
 パガニーニの主題による狂詩曲 op. 43
  ベルリン放送響
  アルトゥール・ローター指揮
   Recording date : 1952
 前奏曲第1番 op. 3, n° 2
  Recording date : 1952
 同第6番 op. 23, n° 5
  Recording date : 1952
Piano : ジュリアン・フォン・カロリ
Length : 01:02:44
Original edition : Deutsche Grammophon 18053 - Urania RS 7-15

ジュリアン・フォン・カロリがラフマニノフの華麗さと憂愁を存分に歌い上げた一枚。ピアノ協奏曲第2番では、ハンス・ロスバウト指揮ミュンヘン・フィルとの組み合わせがまず興味深い。緻密な構造感で知られる指揮者が作品を過度に甘く流さず、カロリの豊かな歌と強靭な技巧を引き締める。1948年という早い時期の録音に、戦後ヨーロッパの切実な熱気が刻まれている。《パガニーニ狂詩曲》ではアルトゥール・ローターとベルリン放送響を迎え、変奏ごとの性格を鮮やかに描き分ける。さらに二つの前奏曲では、鐘のような低音と深い抒情を凝縮。協奏曲、狂詩曲、独奏曲を通して、カロリの豪快さと詩情の両面を知ることのできる、密度の濃い復刻である。

fr 667
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第4番 ハ短調 op. 44
 Piano :グラント・ヨハネセン
 フィルハモニア管
  Recording date : 1956
ミヨー:ピアノとオーケストラのための幻想曲「エクスの謝肉祭」
 Piano :グラント・ヨハネセン
 フィルハモニア管
  Recording date : 1956
オネゲル:ピアノとオーケストラのためのコンチェルティーノ
 Piano : モニーク・ベラルド
 フランス国立放送管
  Recording date : 1957
ジョルジュ・ツィピーヌ指揮
Length : 00:54:35
Original edition : Capitol G 7151- Columbia FCX 665

フランス近代のピアノ協奏作品を三曲集めた、選曲だけでも胸が躍る一枚。グラント・ヨハネセンはサン=サーンスのピアノ協奏曲第4番で、二楽章構成の独創的な作品を、明晰な技巧と堂々たるスケールで描く。続くミヨー《エクスの謝肉祭》では、南仏の眩しい光、街のざわめき、目まぐるしいリズムを軽やかに解放。一方、オネゲルのコンチェルティーノではモニーク・ベラルドが、簡潔で機知に富んだ音楽を鋭く浮かび上がらせる。ジョルジュ・ツィピーヌの指揮は、フィルハモニア管とフランス国立放送管から、作品ごとに異なる色彩と推進力を引き出す。有名曲一辺倒では見えてこないフランス音楽の知性、ユーモア、華麗さを一度に味わえる、実にForgottenらしい好企画。

fr 665
J.S.バッハ:
 ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV 1041
 ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV 1042
  Violin : フゲット・フェルナンデス
 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV 1043
  Violin : ミケリーヌ・ブランシャール
  Violin : フゲット・フェルナンデス
 2つのヴァイオリン協奏曲 ハ短調 BWV 1060
  Violin : フィリッペ・ラマク
  Violin : フゲット・フェルナンデス
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮
ジャン=マリー・ルクレール器楽アンサンブル
Recording date : 1958
Length : 01:05:40
Original edition : Erato EFM 8021, 42057

ジャン=フランソワ・パイヤールとジャン=マリー・ルクレール器楽アンサンブルによる、1958年録音のバッハ・ヴァイオリン協奏曲集。フゲット・フェルナンデスを中心に、ミケリーヌ・ブランシャール、フィリップ・ラマクが加わり、独奏、二重協奏、編曲協奏曲と多彩な編成を楽しませる。後年のパイヤールの洗練された響きへつながる、若々しく瑞々しい演奏が魅力で、弦楽器の柔らかな艶と快活なリズムが心地よい。バッハを重々しい大音楽として構えるのではなく、独奏者同士の会話、旋律の流れ、舞曲的な躍動を前面に出す。今日のピリオド演奏とは異なるが、フランスのバロック演奏史を知るうえでも貴重。エラート初期の香りを伝える、優雅で親しみやすい65分。

fr 666
ショパン:14のワルツ集 Piano : アレクサンドル・ウニンスキー
Recording date : 1957
Length : 00:52:26
Original edition : Philips A 00429 L

アレクサンドル・ウニンスキーによるショパン《14のワルツ》、1957年フィリップス録音。ウニンスキーは華麗な技巧を誇示するより、ワルツ一曲一曲の性格、呼吸、陰影を丁寧に描き分ける。若々しい第1番《華麗なる大円舞曲》の輝き、作品34の優雅さ、作品64の親密な詩情、そして遺作群に漂う淡い寂しさ――舞踏のリズムを保ちながら、その奥にあるショパンの私的な感情へ自然に踏み込んでいく。テンポをいたずらに揺らさず、それでいて歌は決して硬くならない。端正なタッチと気品あるルバートが、古き良きショパン演奏の魅力を伝える。52分で主要ワルツを一望でき、鑑賞用としても演奏史の記録としても価値の高い、静かに愛着の湧く一枚。

fr 664
リスト:交響詩第3番「前奏曲」)
 Recording date : 1953
R.シュトラウス:
 交響詩「死と浄化」 op. 24
 Recording date : 1955
ドビュッシー:3つの夜想曲
 グラインドボーン音楽祭合唱団団員
  Recording date : 1950
アルチェオ・ガリエラ指揮
フィルハモニア管
Length : 01:06:16
Original edition : Columbia SX 1013, CX 1328, S 1002

アルチェオ・ガリエラとフィルハモニア管による、リスト《前奏曲》、R.シュトラウス《死と浄化》、ドビュッシー《夜想曲》という豪華な組み合わせ。三作品はいずれも管弦楽の色彩と変容を極限まで追求しながら、その語法はまったく異なる。ガリエラは《前奏曲》で雄大な起伏と劇的な推進を築き、《死と浄化》では苦悩から光へ至る長い呼吸を粘り強く描く。《夜想曲》では一転して、輪郭を柔らかく溶かし、《雲》《祭》《シレーヌ》それぞれの幻想的な空気を引き出す。グラインドボーン音楽祭合唱団員の女声が加わる《シレーヌ》も魅力。1950年代フィルハモニア管の精妙なアンサンブルと豊かな音色を、三つの異なる世界で味わえる。ガリエラの力量を再認識させる一枚。

fr 663
グルック:「アルチェステ」序曲
ウェーバー:「オイリアンテ」序曲
メンデルスゾーン:
 序曲「フィンガルの洞窟」
 序曲「静かな海と楽しい航海」
  ベルリン・フィル
シューマン:「マンフレッド」序曲
 バンベルク響
ブラームス:悲劇的序曲
 ベルリン・フィル
ワーグナー:「リエンツィ」序曲
 バイエルン放送響
フリッツ・レーマン指揮
Recording date:1951-1954
Length : 01:17:00
Original edition : Decca DL 4075 - Philips A 00115 R - Deutsche Grammophon 17044, 16024, 17065

フリッツ・レーマンが1951~54年に残した序曲録音を集めた、77分の堂々たるアンソロジー。グルック《アルチェステ》からウェーバー、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、ワーグナーへと、ドイツ・ロマン派序曲の流れを一望できる。ベルリン・フィル、バンベルク響、バイエルン放送響というオーケストラの違いも聴きどころで、作品ごとに響きの質感が変わる。レーマンは大仰な身振りに頼らず、序奏から主部への移行、内声の動き、クライマックスの築き方を着実に積み上げる。《フィンガルの洞窟》の陰影、《マンフレッド》の苦悩、《悲劇的序曲》の厳しさ、《リエンツィ》の高揚まで、各曲のドラマが鮮明。堅実な名匠の真価をまとめて知ることのできる、渋くも充実した復刻。

fr 662
シューベルト:
 弦楽四重奏曲第14番D.810「死と乙女」
 同第12番 D.703「四重奏断章」
シェーファー四重奏団
Recording date : 1958
Length : 00:52:29
Original edition : Resonances RES 22

シェーファー四重奏団によるシューベルト《死と乙女》と《四重奏断章》、1958年録音。二作品を組み合わせることで、シューベルトの弦楽四重奏に潜む不安、焦燥、死の影がいっそう鮮明に浮かび上がる。《四重奏断章》では、冒頭から張りつめた震えが走り、未完成のまま閉じられた作品ならではの切迫感が残る。《死と乙女》では、四人の奏者が一つの巨大な呼吸となり、激しい両端楽章、変奏曲の沈痛な歌、スケルツォの荒々しい跳躍を容赦なく描き切る。表面的な美しさより、作品の暗い情念と構造の強さを前面に出した演奏である。知名度の高い団体ではないからこそ、先入観なく出会えるForgottenらしい発掘。シューベルト室内楽の核心に迫る52分。

fr 661
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番 K. 207
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 op. 26
ティボール・ヴァルガ(Vn)
フィストラーリ指揮
フィルハモニア管
Recording date : 1953
Length : 00:48:59
Original edition : Columbia SX 1017

ティボール・ヴァルガが、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第1番とブルッフ第1番を組み合わせた1953年録音。若きモーツァルトの瑞々しい古典美と、ブルッフの濃密なロマンティシズムを、一人のヴァイオリニストがどう弾き分けるかが最大の聴きどころである。モーツァルトでは、細身で清潔な音色と軽やかな語り口を生かし、作品の素朴な魅力を自然に引き出す。ブルッフでは、旋律を大きく歌いながらも感情を過度に膨らませず、気品ある熱さを保つ。フィストラーリ指揮フィルハモニア管は、柔軟な伴奏と鮮やかな色彩で独奏を支える。ヴァルガの知性、技巧、歌心が、古典派とロマン派の両面から照らし出される、簡潔ながら内容の濃い一枚。二つの時代を48分で鮮やかに渡り歩く。

fr 650
サリヴァン:序曲「舞踏会で」
チャイコフスキー:
 タチアナの手紙の場(歌劇「エフゲニー・オネーギン」より)
  Soprano : ジョアン・ハモンド
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第10番 ホ短調 op. 72, n° 2
シャブリエ:ポーランドの祭り
チャイコフスキー/アドルフ・シュミット編:
 アンダンテ・カンタービレ
リトルフ:
 交響的協奏曲第4番 op. 102~
  スケルツォ
 Piano : シューラ・チェルカスキー
エルガー:威風堂々第1番
マルコム・サージェント指揮
BBC響
Recording date : 1959 Length : 00:58:17
Original edition : His Master's Voice ALP 1658

マルコム・サージェントとBBC交響楽団による、英国流コンサートの楽しさをそのまま封じ込めたような一枚。サリヴァンの序曲に始まり、ジョアン・ハモンドが歌うチャイコフスキー《タチアナの手紙》、ドヴォルザーク、シャブリエ、《アンダンテ・カンタービレ》、チェルカスキーを迎えたリトルフのスケルツォ、そして最後はエルガー《威風堂々》第1番。作曲家も編成も次々と変わるが、サージェントの明快な指揮と華やかなショーマンシップが全体を一つの祝祭へまとめる。ハモンドの豊かな歌、チェルカスキーのきらめくピアノという豪華な客演も嬉しい。1959年の演奏会プログラムを追体験するような楽しさがあり、珍曲と名曲が絶妙に交差する。肩肘張らずに歴史的名演を満喫できる痛快盤。

fr 660
ヴィヴァルディ:スターバト・マーテル
 Alto : マリー=テレーズ・カーン
  Recording date : 1958
管弦楽のための協奏曲 ト短調 P. 362
  Recording date : 1958
同 イ長調 P. 235
 Recording date : 1958
バスーン協奏曲 変ロ長調 P. 386
 Basson : ゲラルド・ファイザンディエール
  Recording date : 1954
2つのオーボエ、2つのクラリネットと管弦楽のための協奏曲 P. 74
 Hautbois : ロベルト・カジエル
 Hautbois : アンドレ・フランソワ
 Clarinet : アンドレ・ボータール
 Clarinet : ヘンリ・ドルアート
  Recording date : 1954
フルート協奏曲 イ短調 P. 74
 Flute :ジャック・カスタニエール
  Recording date : 1954
ゲラルド・カルティグニー指揮
ゲラルド・カルティグニー室内管
Length : 01:01:07
Original edition : Deva M 16 - Ducretet-Thomson LA 1080

ヴィヴァルディの宗教曲、管弦楽協奏曲、バスーン、管楽合奏、フルート協奏曲までを一枚に収めた、多彩さが際立つ1950年代フランス録音。中心となる《スターバト・マーテル》では、マリー=テレーズ・カーンのアルトが、華美に流れず、深い陰影と静かな祈りを伝える。続く協奏曲群では空気が一変し、ゲラルド・カルティグニー室内管の軽快な運動性と、各管楽器奏者の個性的な音色が楽しめる。とりわけバスーン協奏曲や、二本のオーボエと二本のクラリネットを用いた作品は、ヴィヴァルディの楽器への好奇心を鮮やかに示す。宗教的な沈思から協奏的な華やぎまで、作曲家の幅広さを約61分で実感できる。フランスにおける初期ヴィヴァルディ受容の記録としても興味深い復刻。

fr 655
プロコフィエフ:
 交響曲第5番 変ロ長調 op. 100
  エリク・トゥクセン指揮
  デンマーク放送響
   Recording date : 1952
 組曲「3つのオレンジへの恋」 op. 33 a
  アナトール・ローター指揮
  ベルリン放送響
   Recording date : 1951
 ロシア序曲 op. 72
  ハンス・シュタインコップ指揮
  ベルリン・フィル
   Recording date : 1951
Length : 01:09:06
Original edition : Decca LXT 2764 - Urania URLP 5005

プロコフィエフの大作から機知に富む小品まで、三つの異なる顔を一枚で味わえる好企画。中心はエリク・トゥクセンとデンマーク放送響による1952年の交響曲第5番。戦時下に生まれた壮大な構築と、冷ややかな諧謔が交錯する作品を、北欧のオーケストラが引き締まった輪郭で描く。《三つのオレンジへの恋》はベルリン放送響、《ロシア序曲》はベルリン・フィルという顔合わせも魅力的で、同じ作曲家の音楽が指揮者と楽団によってどう表情を変えるかを聴き比べられる。三曲とも巨大な音響だけに頼らず、旋律の奇妙なねじれや突然現れる抒情を鮮明にするタイプの演奏。1951~52年というプロコフィエフ存命中に近い時期の録音を集めた点でも、資料的価値の高い一枚。

fr 659
シューベルト:
 5つのドイツ舞曲、7つのトリオとコーダ D. 90
  チェコ・フィル
   Recording date : 1957
シュトラウス:ポルカ・マズルカ「女心」 op. 166
  チェコ・フィル
   Recording date : 1957
シュトラウス:
 ワルツ「ウィーンの森の物語」 op. 325
  チェコ・フィル
   Recording date : 1957
シュトラウス:トリッチ=トラッチ・ポルカ op. 214
  チェコ・フィル
   Recording date : 1957
シュトラウス:ポルカ「観光列車」 op. 281
  チェコ・フィル
   Recording date : 1957
スッペ:「詩人と農夫」序曲
  ウィーン・フィル
   Recording date : 1960
スッペ:軽騎兵序曲
  ウィーン・フィル
   Recording date : 1960
スッペ:序曲「ウィーンの朝・昼・晩」
  ウィーン・フィル
    Recording date : 1960
ハンス・スワロフスキー指揮
Length : 01:11:23
Original edition : Supraphon DV 5657 - Vega 16070 A

ハンス・スワロフスキーというと、後進を育てた名教師、あるいは重厚なドイツ音楽の指揮者という印象が強い。しかし本盤では、シューベルトの舞曲からヨハン・シュトラウス、スッペの序曲まで、ウィーンの軽やかな音楽を存分に楽しませてくれる。1957年のチェコ・フィルによる舞曲集は、華美に流れず、端正なリズムとしなやかな歌を備えた味わい。さらに1960年のウィーン・フィルによるスッペ三曲が加わり、音楽の香りはいっそう濃くなる。速い曲では拍節を明快に立て、ワルツでは少し溜めた呼吸を生かすため、各曲が短くても表情は実に豊か。学究的な指揮者という先入観を心地よく裏切り、スワロフスキーの別の一面を伝えてくれる、実に愉しいアルバム。

fr657/8
(2CD-R)
\5990
チャイコフスキー:
 交響曲第5番
 序曲「1812年」op. 49
 スラヴ行進曲op. 31
 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ワルツ(バレエ「眠りの森の美女」第1幕より)
マルコム・サージェント指揮
ロイヤル・フィル
Recording date : 1960
Length : 01:37:17
Original edition : His Master's Voice ALP 1236, SXLP 20023

マルコム・サージェントとロイヤル・フィルによる、チャイコフスキーの人気管弦楽曲をまとめた堂々たる2枚組。交響曲第5番を中心に、《1812年》《スラヴ行進曲》《ロメオとジュリエット》、さらに《眠れる森の美女》のワルツまで収め、作曲家の英雄性、哀感、劇的な高揚、バレエ的優雅さを一気に味わえる。サージェントは大きな流れを明快に整え、旋律をたっぷり歌わせながらも、音楽を過度に重くしない。交響曲の宿命的な暗さと、祝典作品の華やかさが鮮やかに切り替わるため、長時間でも聴き疲れしにくい構成。1960年録音らしい華やかなオーケストラ・サウンドも、この選曲によく似合う。チャイコフスキーの魅力を正面から豪快に楽しみたい人にうってつけの、充実したセット。

fr 656
シューベルト:弦楽四重奏曲第10番 変ロ長調 op. 125 D. 87
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 op. 12
パスカル四重奏団
Recording date : 1956
Length : 00:48:40
Original edition : Bertelsmann 7029

パスカル四重奏団による、シューベルトとメンデルスゾーンの若々しい弦楽四重奏曲。シューベルトの第10番は、後年の《死と乙女》のような深刻さとは異なり、明るさと素朴な歌に満ちた作品。一方、メンデルスゾーンの作品12では、瑞々しい情熱と緻密な書法が同居する作品。二曲を並べることで、若い作曲家たちが古典派の形式を受け継ぎながら、ロマン派独自の息遣いへ歩み出していく様子が鮮やかに浮かび上
がる。1956年録音の隠れた室内楽名盤。

fr 654
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op. 36
 Recording date : 1960
ベルリオーズ:「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲 op. 23
 Recording date : 1954
同:「ベアトリスとベネディクト」序曲 H. 138
 Recording date : 1954
ロベルト・デンツラー指揮
スイス・ロマンド管
Length : 00:59:35
Original edition : Decca ACL 127, LW 5125

ロベルト・デンツラーとスイス・ロマンド管によるチャイコフスキー第4番。デンツラーは華やかなスター指揮者ではなかったが、劇場とコンサートの双方で経験を積んだ堅実な音楽家。本録音では、冒頭の運命動機から終楽章の爆発まで、作品の大きな設計を崩さず、熱気と節度を両立させている。組み合わされたベルリオーズの二つの序曲も注目。《ベンヴェヌート・チェッリーニ》の奔放な勢い、《ベアトリスとベネディクト》の軽妙な歌心が、チャイコフスキーとは異なるオーケストラの魅力を引き出す。ロマンド管の明るく乾いた色彩が、重い悲劇性に偏りがちな第4番へ新鮮な風通しを与えている。1954年と1960年、デンツラーの芸術を二つの時期から味わえる貴重な一枚。

fr 614
ラヴェル:ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重奏曲
オネゲル:
 ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ
 ピアノとチェロのためのソナチネ
Piano : ノエル・リー
Violin : ロベルト・ゲンドル
Cello : ロベルト・ベックス
Recording date : 1960 Length : 00:47:25
Original edition : BAM LD 059

ノエル・リーを中心とする三人の奏者が、20世紀フランス室内楽の洗練と大胆さを伝える一枚。ラヴェルのピアノ三重奏曲は、透明な響き、複雑なリズム、バスク風の情熱が緻密に組み合わされた難曲で、三者の均衡と対話が最大の聴きどころ。そこにオネゲルの二つのソナチネを組み合わせた選曲が洒落ている。ヴァイオリンとチェロ、ピアノとチェロという異なる編成を通して、凝縮された形式の中に辛口のユーモアや鋭い運動性が浮かび上がる。華麗なラヴェルのあとに簡潔なオネゲルを置くことで、同時代フランス音楽の色彩と造形の違いがいっそう明瞭になる。1960年のBAM原盤という点も魅力で、名曲と珍しい佳品を一度に楽しめる実に知的な好企画。

fr 612
ブラームス:
 チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 op. 38
  Recording date : 1956
 同第2番 ヘ長調 op. 99
  Recording date : 1956
 弦楽四重奏曲第1番 ハ短調op. 51, n° 1*
  Recording date : 1952
Cello :アントニオ・ヤニグロ
Piano : パウル・バドゥラ=スコダ
ヴェーグQ*
Length : 01:17:51
Original edition : Westminster XWN 18234 - Decca LXT 2710

ヤニグロとバドゥラ=スコダによるブラームスのチェロ・ソナタ二曲に、ヴェーグ四重奏団の第1番を組み合わせた、室内楽ファンには見逃せない一枚。チェロ・ソナタでは、深く歌うヤニグロの音と、柔らかさの中に確かな骨格を持つバドゥラ=スコダのピアノが理想的に溶け合う。若き日の第1番の内省と、晩年の第2番の雄大さを続けて聴くことで、ブラームスの成熟の歩みも実感できる。さらにヴェーグ四重奏団による作品51の1が加わり、濃密な対位法と劇的な緊張が一気に高まる。二重奏と四重奏で音の密度は変わっても、低声部から湧き上がる情熱と厳格な構築は一貫している。1950年代を代表する名手たちが集った、密度の濃いブラームス・アルバム。

fr 610
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
 パスカル四重奏団
 Recording date : 1951
序奏とアレグロ(ハープ、フルート、クラリネットと弦楽四重奏のための)
 パレナン四重奏団
 Clarinet : グイ・デプラス
 Harpe : マリー=クレール・ジャメット
 Flute : クリスティアン・ラルデ
 Direction : ルイス・マルタン
  Recording date : 1955
ヴァイオリン・ソナタ
 Violin :ルイス・カウフマン
 Piano : アルトゥール・バルサム
  Recording date : 1955
Length : 00:56:13
Original edition : Musical Masterpiece Society MMS 2076

ラヴェルの室内楽を三つの異なる編成で味わう、実に贅沢な一枚。パスカル四重奏団による弦楽四重奏曲では、若きラヴェルの精緻な色彩感と、各声部が絡み合う官能的な響きが楽しめる。《序奏とアレグロ》では、パレナン四重奏団にハープ、フルート、クラリネットが加わり、まるで小さな管弦楽のような輝きが広がる。そしてルイス・カウフマンとアルトゥール・バルサムによるヴァイオリン・ソナタは、ブルースの要素も交えた辛口で都会的な世界。同じ作曲家でありながら、作品ごとに音色の設計がまったく異なることを実感させる。奏者陣の顔ぶれも豪華で、1951年と1955年の複数原盤をまとめ、ラヴェルの多彩な室内楽語法を一望できる魅力的な復刻。




<第62号初紹介アイテム>

新録音シリーズ


fr 15C
ハイドン:
 ピアノ・ソナタ ト短調 Hob XVI/44
 同 変ホ長調 Hob XVI/49
 同ニ長調 Hob XVI/37
シューベルト:即興曲集 op. 90
Piano :ジャン=レオン・コーエン
Recording date : 2011 Length : 01:13:35

Forgotten Recordsの歴史的録音群の中では異色となる、2011年録音のピアノ・リサイタル。ジャン=レオン・コーエンが選んだのは、ハイドンのソナタ三曲とシューベルトの即興曲作品90という、古典派からロマン派への流れを静かにたどる構成である。ハイドンでは、簡潔な形式の中に潜む機知、陰影、突然の表情変化が聴きどころ。続くシューベルトでは、同じ鍵盤楽器からより長い呼吸と深い歌が引き出される。調性や性格の異なる三つのソナタを置いたことで、ハイドンの語法の幅広さもよく分かる。派手な技巧を誇示するプログラムではなく、一音一音の意味と作品同士のつながりを味わわせる知的な選曲。歴史的名盤の復刻とは別の角度から、レーベルのこだわりを示す一枚。

歴史的録音シリーズ


fr 647
プロコフィエフ:
 ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26*
  Recording date : 1953
 ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 op. 83
  Recording date : 1958
 トッカータ ニ短調 op. 11
  Recording date : 1955
 行進曲 op. 12 n° 1
  Recording date : 1958
 前奏曲 op. 12 n° 7
  Recording date : 1958
 ガヴォット op. 32 n° 3
  Recording date : 1958
 同 op. 12 n° 2
  Recording date : 1958
 舞曲 op. 32 n° 1
  Recording date : 1958
アレクサンドレ・ウニンスキー(P)
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮*
ハーグ・フィル*
Length : 01:02:01
Original edition : Philips A 00650 R, A 02065 L

ウニンスキーによるプロコフィエフは、ショパン弾きとして知られた彼の別の顔を伝える興味深い記録。ピアノ協奏曲第3番では、目まぐるしく変化するリズムと鋭い打鍵、抒情的な中間部を鮮やかに弾き分け、オッテルロー指揮ハーグ・フィルが堅固に支える。後半には戦争ソナタの一角である第7番、凶暴な《トッカータ》、行進曲、前奏曲、ガヴォットなどを収録。大作だけでなく、小品に込められた皮肉、機械的運動、ふと現れる優美さまで見渡せる。リズムの切れ味だけで押し切らず、旋律線を明晰に整えるところにウニンスキーらしい美質がある。1953~58年の録音を集成し、幅広いレパートリーとプロコフィエフの多面性を同時に味わえる一枚。

fr 648
ブラームス:
 セレナーデ第1番 op. 11
  パリ音楽院管
  アンドレ・ヴァンデルノート指揮
  Recording date : 1957
 大学祝典序曲 op. 80
  ロンドン響
  ローレンス・コリンウッド指揮
  Recording date : 1953
 悲劇的序曲 op. 81
  ロンドン響
  ローレンス・コリンウッド指揮
   Recording date : 1953
Length : 01:08:01
Original edition : La Voix de Son Maitre FALP 471 - Parlophone PCM 1024

ブラームスの管弦楽作品の中でも、若々しく牧歌的な《セレナーデ第1番》と、円熟期の二つの序曲を組み合わせた好選曲。ヴァンデルノートとパリ音楽院管によるセレナーデは、交響曲ほど重厚ではないこの作品の、晴朗な響きと室内楽的な透明感を引き出している。対してコリンウッド指揮ロンドン響による《大学祝典序曲》と《悲劇的序曲》は、祝祭と悲劇という対照的な表情を明快に提示。三曲を通じて、ブラームスの管弦楽書法が持つ親しみやすさ、堅固な構築、深い陰影をバランスよく味わえる。明るいセレナーデから二つの序曲へ進む流れは、若い作曲家が次第に重厚な語法を獲得していく小さな音楽史のようでもある。英仏二つの名門オーケストラを聴き比べる楽しみも大きい。

fr 646
フィリップ・アントルモン/ショパン・リサイタル
 ポロネーズ第6番 op. 53「英雄」
 即興曲第3番 op. 51
 夜想曲 第4番 op. 15, n° 1
 ワルツ第5番 op. 42
 バラード第1番 op. 23
 マズルカ第32番 op. 50, n° 3
 スケルツォ第3番 op. 39
 スケルツォ第1番 op. 20
 ポロネーズ第3番 op. 40 n° 1「軍隊」
 即興曲第1番 op. 29
 ポロネーズ第5番 op. 44
 夜想曲第8番, op. 27, n° 2
フィリップ・アントルモン(P)
Recording date : 1956
Length : 01:15:29
Original edition : Musical Masterpiece Society MMS 80 - Philips S 05804 R

若きフィリップ・アントルモンが1956年に残した、ショパンの魅力を凝縮した充実のリサイタル。英雄、軍隊、第5番という三つのポロネーズを軸に、バラード、スケルツォ、即興曲、夜想曲、ワルツ、マズルカを配し、ショパンの雄大さ、詩情、舞曲性、暗い情熱を一枚でたどることができる。後年の洗練された名匠像とはまた異なる、若々しい推進力と鮮烈な技巧が期待されるプログラムである。とりわけ大曲と小品を交互に置いた構成が巧みで、聴き進むほどに表情が変わる。華麗な曲だけでなく、即興曲や夜想曲で歌わせる能力も確かめられるため、若きアントルモンの全貌がよく分かる。フランスのピアニズムとショパン演奏の伝統が交差する貴重な記録。

fr 645
プロコフィエフ:
 交響曲第1番 op. 25「古典」
  ロイヤル・フィル
  Recording date : 1956
 組曲「3つのオレンジへの恋」 op. 33 a
  ロイヤル・フィル
  Recording date : 1956
 交響曲第5番 op. 100
   NYP
  Recording date : 1946
アルトゥール・ロジンスキ指揮
Length : 01:07:41
Original edition : Westminster XWN 18701, XWN 18542 - Columbia ML 4037

ロジンスキのプロコフィエフをまとめた、強烈な個性を放つ一枚。《古典交響曲》と《三つのオレンジへの恋》は1956年のロイヤル・フィル、交響曲第5番は1946年のニューヨーク・フィルという組み合わせで、戦前・戦後の二つの時期における指揮者の芸風を聴き比べられる。ロジンスキの持ち味は、鋭いリズム感、明快な輪郭、劇場的な緊張感。古典的な均衡を装う第1番、辛辣なユーモアに満ちた組曲、そして巨大な構築を持つ第5番という三作が、その資質を異なる角度から照らし出す。とりわけ1946年の第5番は、作品がまだ新しかった時代の緊迫した空気を伝える点でも興味深い。プロコフィエフに潜む冷徹さと熱狂を真正面から味わえる復刻。

fr 644
ハイドン:チェロ協奏曲第2番 ニ長調 op. 101 Hob.VIIb/2
ボッケリーニ:チェロ協奏曲第9番 変ロ長調 G.482
 Recording date : 1957
フェルナンド・プレヴィターリ指揮
プロ・アルテ管
Cello : アマデオ・バルドヴィーノ
Length : 00:52:50
Original edition : His Master's Voice ALP 1541

アマデオ・バルドヴィーノのチェロで聴く、ハイドンとボッケリーニの二大協奏曲。古典派チェロ協奏曲の定番を一枚に収めながら、1957年という時代の演奏様式を伝える点に大きな魅力がある。ハイドンでは明るく堂々とした曲想の中に、独奏チェロの敏捷な動きと歌心が映える。一方、ボッケリーニでは、より優雅でしなやかな旋律美と、楽器を知り尽くした作曲家ならではの技巧が楽しめる。プレヴィターリ指揮プロ・アルテ管の端正な伴奏も、独奏を過度に飾らず作品の輪郭を明快にする。現代の軽快な古楽的演奏とは異なる、豊かな響きとロマン的な呼吸もこの盤ならではの魅力。二曲の個性の違いと、バルドヴィーノの音楽性をじっくり味わえる好盤。

fr 643
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op. 64
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 35
 Recording date : 1959
サルヴァトーレ・アッカルド(Vn)
ヘルベルト・アルベルト指揮
コンセール・パドルー管
Length : 01:00:32
Original edition : Pretoria CL 8013

後に世界的巨匠となるサルヴァトーレ・アッカルドが、まだ十代だった1959年に録音したメンデルスゾーンとチャイコフスキー。二つの大協奏曲を一枚に収めた王道の組み合わせだが、若き名手の記録という点で特別な輝きを持つ。メンデルスゾーンでは軽やかな運動性と透明な歌、チャイコフスキーでは広い旋律と華麗な技巧が求められ、その対照が奏者の才能を鮮やかに映し出す。ヘルベルト・アルベルト指揮コンセール・パドルー管という珍しい顔合わせも興味深い。技術的な難所を越えるだけでなく、緩徐楽章でどれほど自然に歌えるかが聴きどころとなる。完成された大家の演奏とは異なる、瑞々しい感性と恐れを知らぬ推進力を刻んだ、アッカルド初期の貴重な一枚。

fr 640
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 op. 15
 Orchestre Philharmonique Neerlandais
 Direction : Walter Goehr
  Recording date : 1958
バラキレフ:東洋風幻想曲「イスラメイ」
 Recording date : 1951
ヴェンティスラフ・ヤンコフ(P)
Length : 00:54:12
Original edition : Musical Masterpiece Society MMS 2152 - Pathe PDT 265

ヴェンティスラフ・ヤンコフによるブラームスのピアノ協奏曲第1番と、バラキレフの《イスラメイ》という、重量級の技巧と情熱をぶつけた組み合わせ。ブラームスでは、若き作曲家の苦悩と野心が巨大な交響的構築となって押し寄せる。ワルター・ゲール指揮オランダ・フィルが骨太な枠組みを作り、その中でピアノが独奏と管弦楽の境界を越えて格闘する。一方、《イスラメイ》は東洋的な色彩と猛烈な技巧を凝縮した難曲で、協奏曲とは別種の鮮烈さを示す。内省的なブラームスと、火花を散らすバラキレフの落差が大きく、ヤンコフの表現力と指の強靭さを別々の角度から確認できる。1951年と1958年の録音を組み合わせた、聴き応え満点の実に豪快な一枚。

fr 639
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 61
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 35
 Recording date : 1957
イゴール・オイストラフ(Vn)
ウィルヘルム・シュヒター指揮
プロ・アルテ管
Length : 01:17:55
Original edition : Columbia CX 1514 et CX 1594

イーゴリ・オイストラフによるベートーヴェンとチャイコフスキー。ヴァイオリン協奏曲の二大名作を収め、奏者の音楽性を正反対の方向から照らす。ベートーヴェンでは、長い呼吸、気品ある歌、全体を見渡す構築力が問われる。一方チャイコフスキーでは、熱い旋律、華麗な技巧、舞曲的な躍動が前面に出る。オイストラフは父ダヴィドの巨大な名声の陰に隠れがちだが、ここでは独自の清潔な音色と若々しい生命力を存分に示している。シュヒター指揮プロ・アルテ管の堅実な支えも好ましく、独奏を急かさず、二作品それぞれの大きな呼吸を守る。同じ1957年に録音された二曲から、若きオイストラフの充実ぶりが鮮やかに伝わる、聴き応え十分の一枚。

fr 641/2
(2CD-R)
\5990
バルトーク:弦楽四重奏曲(全曲)
 Recording date : 1954
ヴェーグ四重奏団
Length : 02:34:30
Original edition : Columbia CX 1245, 1267,1285

ヴェーグ四重奏団によるバルトーク弦楽四重奏曲全6曲、1954年録音の歴史的全集。作曲家の初期から晩年までを貫くこの六作品は、20世紀室内楽の巨大な山脈であり、民謡的なリズム、夜の音楽、鋭い不協和、古典的な対称構造が絶えず姿を変えて現れる。ハンガリーの伝統に根ざしたヴェーグ四重奏団にとって、まさに核心的なレパートリー。作品の難解さを抽象的な響きに閉じ込めず、旋律の訛り、舞曲の足取り、切迫した対話として伝える点に大きな魅力がある。六曲を順に聴けば、ロマン派的な初期作品から、凝縮と沈黙が支配する晩年へ至る変化も鮮明。後年の録音とは異なる若々しい緊張と直接性を備えた、バルトーク演奏史上きわめて重要な2枚組。

fr 638
ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 op. 62*
 Recording date : 1957
ウェーバー:「オイリアンテ」序曲*
 Recording date : 1957
ボイエルデュー:「バグダードの太守」序曲+
 Recording date : 1958
エロール:「ザンパ」序曲+
 Recording date : 1958
ロッシーニ:「セヴィリアの理髪師」序曲+
 Recording date : 1958
ニコライ:「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲+
 Recording date : 1958
スッペー:「軽騎兵」序曲+
 Recording date : 1958
シュトラウス:「こうもり」序曲+
 Recording date : 1958
ブラームス:大学祝典序曲 op. 80*
 Recording date : 1957
ピエール・デルヴォ指揮
パリ・オペラ座管*
コロンヌ管+
Length : 01:13:21
Original edition : La Voix de Son Maitre FBLP 1093-FALP 30201-His Master's Voice XLP 20039

ピエール・デルヴォがパリ・オペラ座管とコロンヌ管を振った、序曲ばかり九曲の痛快なアルバム。ベートーヴェン、ウェーバー、ブラームスのドイツ系作品から、ボイエルデュー、エロール、ロッシーニ、ニコライ、スッペ、ヨハン・シュトラウスまで、劇場の幕開けを彩る名曲が次々に現れる。荘重な《コリオラン》と《悲劇的序曲》、華やかな《ザンパ》や《軽騎兵》、洒脱な《こうもり》という振幅が楽しい。デルヴォはフランス・オペラの現場を知る指揮者らしく、音楽を停滞させず、場面転換の鮮やかさを際立たせる。短い曲の連続だからこそ、オーケストラの色彩とリズムの切れ味が次々に試される。1957~58年録音、気分を一気に高めてくれる序曲名演集。

fr 637
フランク:弦楽四重奏曲 ニ長調
フランク:前奏曲、コラールとフーガ
 Recording date : 1955
パレナン四重奏団
Piano :セリニ・シャイエ=リシェ
Length : 01:10:12
Original edition : Westminster W 9063 - Decca FMT 163640

フランクの弦楽四重奏曲と《前奏曲、コラールとフーガ》を組み合わせ、室内楽とピアノ独奏の両面から作曲家の世界を見つめる一枚。弦楽四重奏曲は晩年の大作で、循環形式によって各楽章が緊密に結ばれ、濃密な情熱と厳格な構築が共存する。パレナン四重奏団の明晰なアンサンブルは、複雑な書法の中から旋律の流れを浮かび上がらせる。一方、セリニ・シャイエ=リシェによる《前奏曲、コラールとフーガ》では、宗教的な静けさから壮大なクライマックスへ向かうピアノ書法が味わえる。編成は異なっても、主題が回帰しながら全曲を一つに結ぶフランク独特の発想が共通している。1955年録音、フランス後期ロマン派の精神性と建築美を凝縮した充実盤。

fr 636
モーツァルト:
 セレナーデ第7番 ニ長調 K. 250「ハフナー」
  (Avec Marche d'Introduction en re majeur K. 249)
   Violin : フィリップ・マタイス
   ウィーン・フィル
    Recording date : 1957
 交響曲第14番 イ長調 K. 114
  デンマーク放送室内管
   Recording date : 1955
モーゲンス・ヴェルディケ指揮
Length : 01:08:49
Original edition : Vanguard PLV 7055 - Decca LXT 5135

モーゲンス・ヴェルディケが二つの異なるオーケストラを率いたモーツァルト集。《ハフナー・セレナーデ》は、行進曲を伴う祝祭的な大作で、独奏ヴァイオリンが協奏曲さながらに華やかな役割を担う。ウィーン・フィルの豊かな響きとフィリップ・マタイスの気品ある独奏が、若きモーツァルトの晴れやかな世界を広げる。一方、交響曲第14番はさらに若い時期の作品で、簡潔な形式の中に軽快な旋律と瑞々しい発想が息づく。1957年のウィーンと1955年のデンマークという異なる録音を並べることで、壮麗なセレナーデと可憐な初期交響曲の対照が鮮明。モーツァルトの成長と、多彩な楽しさを一枚で味わえる魅力的な組み合わせ。二つの楽団の響きの違いも、聴き比べの楽しみとなる。

fr 635
グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ヘ長調 op. 8
 Piano :フランク・シェリダン
 Recording date : 1951
グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ短調 op. 45
 Piano : フランク・シェリダン
 Recording date : 1951
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
 Piano :アルトゥール・バルサム
 Recording date : 1955
ジョセフ・フックス(Vn)
Length : 00:54:29
Original edition : Brunswick AXTL 1017 - Decca DL 9836

ジョセフ・フックスが、グリーグのヴァイオリン・ソナタ第1番、第3番と、ドビュッシー晩年のソナタを弾いた充実の一枚。グリーグ第1番には若々しい抒情と素朴な舞曲の息吹があり、第3番では情熱と陰影が一段と深まる。同じ作曲家の初期と円熟期を並べることで、北欧的な歌がどのように劇的な表現へ育ったかがよく分かる。そこへ、断片的な楽想と微妙な色彩が交錯するドビュッシーを加えた構成も巧妙。フランク・シェリダンとアルトゥール・バルサム、二人のピアニストとの対話にも注目したい。フックスの端正な音と確かな造形を、ロマン派と20世紀フランス音楽の双方で味わえる、変化に富んだ室内楽盤。一人の奏者が三つの異なる詩情をどう描き分けるか、そこにも耳を傾けたい。

fr 631
ドビュッシー:l交響詩「海」
 Recording date : 1949
ラヴェル:ダフニスとクロエ組曲第2番
 Recording date : 1949
ラヴェル:ラ・ヴァルス
 Recording date : 1949
ラヴェル:ボレロ*
 Recording date : 1950
エルネスト・ボルサムスキー指揮
ライプツィヒ放送管
アルトゥール・ローター指揮*
ベルリン放送響*
Length : 01:04:07
Original edition : Urania 7-26 et 7-28

《海》《ダフニスとクロエ》第2組曲、《ラ・ヴァルス》《ボレロ》という、フランス管弦楽の精華を集めた一枚。しかも演奏は、1949~50年のライプツィヒ放送管とベルリン放送響。フランスの名曲をドイツのオーケストラが戦後間もない時期に録音したというだけでも、独特の歴史的興味がある。ボルサムスキーの《海》や《ダフニス》では、色彩だけに流れず、低音から積み上げる重厚な構築が期待される。《ラ・ヴァルス》の崩れゆく舞踏、ローターによる《ボレロ》の執拗な高揚も聴きもの。洗練一辺倒ではない、輪郭の濃いドビュッシーとラヴェル。フランス作品の別の表情を発見させる、Forgotten Recordsらしい個性派復刻。硬質な響きと濃い陰影が、作品に新しい遠近感を与えている。

fr 630
リスト:
 「ドン・ジョヴァンニ」の回想 S. 418
 ラ・カンパネッラ
 ハンガリー狂詩曲第2番 S. 244/2
 同第12番 S. 244/12
Piano : ジャン・ミコー Jean Micault
Length : 00:46:27
Original edition : Le Club Francais du Disque 102 Recording date : 1957

ジャン・ミコーによる、リストの超絶技巧と幻想性を凝縮したプログラム。《ドン・ジョヴァンニの回想》は、モーツァルトの歌劇を素材にしながら、華麗な変奏、重厚な和音、複数の旋律が同時に走る難所を連ねた大作。《ラ・カンパネッラ》では軽やかな跳躍と鐘の響き、ハンガリー狂詩曲第2番と第12番では、即興的な語り口から熱狂的な舞曲へ移る劇的な変化が楽しめる。単なる速さや大音量だけでは成立せず、長い曲を見通す構成力と、旋律を歌わせる余裕が問われる選曲である。1957年、フランスのクラブ盤に刻まれた演奏。知られざるピアニストの力量を、リストの代表的難曲で一気に確かめられる痛快な一枚。華やかさの裏にある知性と造形美まで聴き取りたい。

fr 626/7
(2CD-R)
\5990
バッハ:
 ブランデンブルク協奏曲 BWV 1046/51
  ミュンヘン・プロ・アルテ室内管
  クルト・レーデル指揮
   Recording date : 1955
 マニフィカト ニ長調 BWV 243
  ソリスト達、合唱団
  ミュンヘン・プロ・アルテ室内管

   Recording date : 1956
Length : 02:14:18
Original edition : Erato LDE 3033/4 et LDE 3047

クルト・レーデル指揮ミュンヘン・プロ・アルテ室内管による、ブランデンブルク協奏曲全6曲と《マニフィカト》を収めた2枚組。協奏曲では、曲ごとに独奏楽器の組み合わせが変わり、ホルン、木管、弦、チェンバロが次々に主役を交替する。全曲を通して聴けば、バッハの発想の豊かさと、合奏協奏曲という形式の面白さが鮮やかに浮かび上がる。さらに、独唱、合唱、管弦楽が輝かしく結びつく《マニフィカト》を加え、器楽と声楽の両面を網羅。1955~56年という録音年代からは、後の古楽器演奏とは異なる、端正で柔らかな響きも味わえる。初期エラートの魅力をたっぷり収めた、聴き応え十分のバッハ集。全体で二時間を超えながら、楽器と声の変化によって飽きさせない。

fr 628/9
(2CD-R)
\5990
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77
 Recording date : 1958
同:交響曲第1番 op. 68
 ハーグ・フィル
 Recording date : 1953
ミシェル・オークレール(Vn)
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮
ウィーン響
Length : 01:22:58
Original edition : Fontana 6554031 - Philips A 00198 L

ミシェル・オークレールを独奏に迎えたブラームスのヴァイオリン協奏曲と、交響曲第1番を組み合わせた2枚組。いずれもウィレム・ヴァン・オッテルローの指揮で、協奏曲はウィーン響、交響曲はハーグ・フィル。独奏曲と交響曲を通じて、ブラームスの壮大な構築と内面の熱をじっくり味わえる。協奏曲では、ヴァイオリンが華美な技巧を誇るのではなく、オーケストラと対話しながら深い歌を紡ぐ。オークレールの繊細な音色と、オッテルローの堅固な支えが大きな魅力となるだろう。交響曲第1番では、長い緊張の末に終楽章の主題が開ける瞬間が聴きどころ。1953年と58年、二つの録音でブラームスの核心へ迫る重厚なセット。協奏曲と交響曲を続けて聴くことで、指揮者のブラームス観もより立体的に見えてくる。

fr 619
シベリウス:
 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op. 47*
  Recording date : 1952
 トゥオネラの白鳥 op. 22 n° 3
  Recording date : 1952
 レンミンカイネン op. 22 n° 4
  Recording date : 1952
 フィンランディア op. 26+
  Recording date : 1951
カミラ・ウィックス(Vn)*
シクステン・エールリンク指揮
ストックホルム放送響
エーテボリ響+
Length : 00:53:25
Original edition : Capitol P 8327 et H 8138

カミラ・ウィックスのシベリウス《ヴァイオリン協奏曲》を中心に、《トゥオネラの白鳥》《レンミンカイネンの帰郷》《フィンランディア》を収めた、まさにシベリウス一色の一枚。協奏曲では、凍てつくような静寂から独奏が立ち上がり、激しい技巧と暗い抒情がせめぎ合う。ウィックスの鮮烈なヴァイオリンと、シクステン・エールリンク指揮ストックホルム放送響という布陣は、この作品の荒々しさと透明感を引き出すのにふさわしい。《トゥオネラの白鳥》の沈黙に近い幻想、《レンミンカイネン》の疾走、《フィンランディア》の強い意志まで、北欧の神話と風景が次々に現れる。1951~52年録音、作品世界へ深く入り込める濃密なシベリウス集。協奏曲だけでなく管弦楽曲まで揃うため、シベリウス入門としても理想的な内容。

fr 623/4
(2CD-R)
\5990
ドビュッシー:3つの夜想曲
 Chorale Elisabeth Brasseur
 Recording date : 1957
ドビュッシー:海
 Recording date : 1957
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
 Recording date : 1958
デュカス:魔法使いの弟子
 Recording date : 1958
サン=サーンス:死の舞踏
 Recording date : 1958
ラヴェル:ボレロ
 Recording date : 1958
ラヴェル:スペイン奇想曲*
 Recording date : 1953
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮
パリ音楽院管
チェコ・フィル*
Length : 01:49:43
Original edition : La Voix de Son Maitre FALP 498 et FALP 538 - SUPRAPHON LPV 210

コンスタンティン・シルヴェストリがパリ音楽院管を振ったフランス管弦楽作品集。ドビュッシーの《夜想曲》《海》《牧神の午後への前奏曲》から、デュカス、サン=サーンス、ラヴェルへと続く2枚組で、色彩とリズムの饗宴である。シルヴェストリの演奏は、ただ上品に整えるのではなく、強いアクセントと大胆な起伏によって、音楽の奥に潜む不安や野性を表へ引き出す。《海》のうねり、《魔法使いの弟子》の劇性、《死の舞踏》の妖気、《ボレロ》の異様な高揚など、曲ごとの性格が鮮烈に立ち上がる。さらにチェコ・フィルとの《スペイン狂詩曲》も収録。1953~58年、異才指揮者と名門楽団の出会いをたっぷり味わえる豪華な復刻。均整よりも生命力を優先するその音楽作りが、名曲集に強烈な個性を与えている。

fr 621/2
(2CD-R)
\5990
モーツァルト:ディヴェルティメント第2番 ニ長調 K. 131
 Recording date : 1952
モーツァルト:交響曲第34番 K. 338
 Recording date : 1955
モーツァルト:交響曲第35番 K. 385「ハフナー」
 Recording date : 1954
モーツァルト:交響曲第36番 K. 425「リンツ」
 Recording date : 1954
モーツァルト:交響曲第40番 K. 550
 Recording date : 1953
ハイドン:交響曲第86番 Hob. I/86
 Recording date : 1953
ハリー・ブリーチ指揮
ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
Length : 02:26:14
Original edition : Decca LXT 2753 - His Master’s Voice CLP 1063, CLP 1014, CLP 1009

ハリー・ブリーチ指揮ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズによる、モーツァルトとハイドンの2枚組。ディヴェルティメント第2番から、交響曲第34番、《ハフナー》《リンツ》、第40番へと進む選曲により、若々しい娯楽音楽から円熟期の劇的な交響曲までを一望できる。《ハフナー》の祝祭感、《リンツ》の堂々たる序奏、第40番の切迫した陰影が、それぞれ異なる表情で迫る。最後にハイドン第86番を置くことで、モーツァルトが生きた時代の交響曲の広がりも実感できる。1952~55年録音。現代の快速な古楽器演奏とは異なる、落ち着いたテンポと温かな合奏で作品を味わえるのも魅力。室内管弦楽による古典派演奏の伝統を伝える貴重なセット。古典派の骨格と歌心をじっくり楽しみたい。

fr 618
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア組曲1、2、3番
 (管弦楽版)
エドアルド・トルドラ指揮
Clavichord : ロベール・ヴェイロン=ラクロワ
Clavichord : Denise Gouarne
フランス国立管
Recording date : 1956  Length : 00:52:49
Original edition : Columbia FCX 635

レスピーギの《リュートのための古風な舞曲とアリア》全3組を一枚に収めた、実に贅沢なアルバム。16~17世紀のリュート曲を素材にしながら、レスピーギは単なる復元ではなく、20世紀のオーケストラによる新たな幻想世界を作り上げた。第1組の素朴な舞曲、第2組の繊細な宮廷情緒、第3組の有名な《シチリアーナ》と荘重な終曲まで、組ごとに響きの色合いが変化する。エドアルド・トルドラ指揮フランス国立管という顔合わせも珍しく、南欧的な旋律とフランスの洗練された管弦楽の色彩が美しく交わる。1956年録音。三つの組曲を通して聴くことで、古い旋律が豪華な音響へ生まれ変わる過程を存分に楽しめる一枚。各楽器の独奏的な扱いにも耳を澄ませたい。

fr 617
ドビュッシー:前奏曲 (Premier Livre)
 Recording date : 1956
ファリャ:スペインの庭の夜
 ウィーン・プロ・ムジカ響
 ハンス・スワロフスキー指揮
  Recording date : 1954
Piano : ギオマール・ノヴァエス
Length : 01:05:16
Original edition : Vox PL 10180 et PL 8520

ギオマール・ノヴァエスがドビュッシー《前奏曲集》第1巻と、ファリャ《スペインの庭の夜》を弾いた魅力的な組み合わせ。前奏曲集では、《デルフィの舞姫》《亜麻色の髪の乙女》《沈める寺》《ミンストレル》など、性格の異なる十二の情景が短い曲の中に凝縮される。音色の微妙な変化、余韻、沈黙の扱いまで、ピアニストの想像力が試される世界である。一方《スペインの庭の夜》では、ハンス・スワロフスキー指揮ウィーン・プロ・ムジカ響とともに、夜の香り、遠い舞曲、きらめく噴水を幻想的に描く。1954年と56年の録音。独奏の親密さと、管弦楽を伴う色彩的な広がりの双方から、ノヴァエスの表現を味わえる個性的な一枚。ピアノが描く光と影の移ろいが、全編を通じて大きな魅力となる。

fr 616
ベートーヴェン:
 ヴァイオリン・ソナタ第3番 op. 12
 同第9番 op. 47「クロイツェル」
シャルル・シルルニク(Vn)
アルド・チッコーリ(P)
Recording date : 1961 Length : 00:51:04 Original edition : Vega C 30 A 314

シャルル・シルルニクとアルド・チッコリーニによる、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第3番と《クロイツェル》。作品12の第3番は、明るく機知に富み、ヴァイオリンとピアノが軽快に言葉を交わす初期の佳作。一方《クロイツェル》は、激しい序奏から巨大な第1楽章、深い変奏曲、猛烈な終楽章へ進む、室内楽の枠を越えた大作である。二曲を並べることで、若きベートーヴェンの優雅さから、中期の英雄的なスケールへの飛躍が鮮明になる。名ピアニスト、チッコリーニの室内楽録音という点も大きな聴きどころで、ピアノが伴奏にとどまらず、ヴァイオリンと対等にぶつかり合う。1961年録音、二人の緊密な対話を楽しむ貴重盤。技巧と構成、歌と闘争が一体となったベートーヴェン演奏である。






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