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フランス発、知られざる音源レーベル
Forgotten Records
その6 ~70アイテム

1CD-R\4200→\3790
2CD-R\7000→\5990



 埋もれた音源をCD-R復刻させているフランスのレーベル「Forgotten Records」。日本でも一部のCD-R製作レーベルががんばっているが、ここのラインナップも魅力的。知らない名前がガンガン出てくる。
 一般に馴染みの薄い、しかしマニアックな音源が中心なのがやはりフランス。価格はかなり高いが品質がよく、日本のマニアの受けもかなりいい。






特におすすめの一枚
ロスバウトとコーガンのベートーヴェン


fr 1049
初出!
ロスバウトとコーガンのベートーヴェン!

 モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 61
レオニード・コーガン(Vn)
ハンス・ロスバウト指揮
NYP
Recording date : 1960
Length : 01:11:27

 ロスバウトという名を聞くと現代音楽のスペシャリストという印象が強いが、その本質は作品の構造を透徹した目で見抜く「知性の指揮者」であること。この「ジュピター」でも華美な演出を排し、対位法の絡み合いを驚くほど鮮明に描き切っている。
 一方、コーガン独奏によるベートーヴェンは、切れ味鋭い技巧とロマンティックな情緒を絶妙な均衡で融合させた名演。剛直さだけではない歌心が随所に現れ、ロスバウトとの緊密な対話も実に見事である。二人の巨匠が互いの美学を高い次元で結び付けた、埋もれさせておくには惜しすぎる一枚。

*****************************************


 このときコーガン、36歳。後年58歳で突然世を去ることになる天才が、まさに世界を席巻していた絶頂期の記録である。


***************************************

 こんな顔合わせが実現していたとは!
 1960年11月、ニューヨーク。世界最高峰のヴァイオリニストとしてまさに絶頂期にあったレオニード・コーガンが、なんとハンス・ロスバウト指揮ニューヨーク・フィルとベートーヴェンの協奏曲を演奏していた。コーガンにはシルヴェストリとの名高い1959年録音があるが、こちらはそれとはまったく別物。研ぎ澄まされた鋼のような音、恐るべき精度、そしてライヴならではの緊張感。そのコーガンを支えるのが、作品の構造を透徹した眼で見抜く知将ロスバウトというのだからたまらない。しかも同じ演奏会のモーツァルト《ジュピター》まで収録。ロスバウトがNYPを振ったモーツァルトだけでも十分に事件なのに、後半にコーガンが登場するのである。
 「コーガン+ロスバウト+NYP」――この3つの名前が並んだだけで、歴史的録音ファンなら素通りできない。
 Forgotten Recordsだからこそ蘇った、とんでもない一夜の記録!




FR974

FR1018

もお見逃しなく・・・



 

<第90号 紹介アイテム>

fr 1050
ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」
 Recording date : 1952
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op. 36
 Recording date : 1956
アンタル・ドラティ指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管
Length : 01:09:27
Original edition : Philips A 00607 R et A 00399 L

ドラティというとマーキュリー時代の鮮烈な録音を思い浮かべる人が多いが、本盤はそれ以前のフィリップス時代の貴重な記録。しかも相手は名門コンセルトヘボウ管である。オーケストラの磨き抜かれた色彩感を生かしながらも、ドラティらしい鋭いリズム感と劇的推進力はすでに完成の域。「展覧会の絵」では絵巻物が次々と眼前に現れるような鮮やかさ、チャイコフスキーでは一切の感傷に流されない引き締まった構築が印象的だ。後年とはひと味違う若きドラティの魅力が凝縮された貴重な復刻である。
 

fr 1052
ブラームス:
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77
  Violin : バール・セノフスキー
 ハンガリー舞曲第5番 ト長調
 同第6番 ニ長調

ルドルフ・モラルト指揮
ウィーン響
Recording date : 1955
Length : 00:46:29
Original edition : Philips S 04021 L et Fontana CFE 15017

ソリストのバール・セノフスキーは決してスター・ヴァイオリニストではない。しかし、この録音を聴けば忘れ去られた名手というForgotten Recordsらしい醍醐味を存分に味わえる。派手な自己主張ではなく、ブラームスの旋律を誠実に歌い抜く自然な音楽づくりは実に好感が持てる。支えるモラルトとウィーン響も滋味深く、作品本来の温かな抒情を大切にした伴奏が見事。ヴィルトゥオーゾ的興奮よりも、ブラームスという作曲家の人間味を静かに味わいたい方にぜひ薦めたい隠れた名盤である。
 

fr 1051
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op. 43 クルト・ザンデルリンク指揮
レニングラード・フィル
Recording date : 1955
Length : 00:42:45
Original edition : MK 03180

ザンデルリンクとレニングラード・フィルが築き上げた独特のサウンドは、シベリウスにも驚くほどよく似合う。北欧的な透明感よりも、大地の奥深くから湧き上がるような重量感を前面に押し出し、作品を壮大な精神ドラマとして描き切っているのだ。終楽章の高揚も決して勢い任せではなく、長大なクライマックスへ向けて巨大な建築物を組み上げるような構成感が圧巻。後年の円熟とは異なる、若きザンデルリンクならではの情熱と緊張感がみなぎる、知る人ぞ知る貴重な記録である。
 

fr 1053
ブラームス:ピアノ五重奏曲 ヘ短調 op. 34
 Recording date : 1958
シューマン:フモレスケ op. 20
 Recording date : 1956
ボロディンSQ
スヴャトスラフ・リヒテル(P)
Length : 01:11:40
Original edition : Melodiya D 05576/7 et D 03642/3

リヒテルの室内楽録音には特別な熱気がある。本盤でもボロディン四重奏団と一歩も譲らぬ真剣勝負を繰り広げ、ブラームスの濃密な書法を息詰まる緊張感で描き出している。ここで耳を奪われるのはリヒテルだけではない。四重奏団が築く重量感ある響きと、互いの呼吸を寸分違わず合わせるアンサンブルの完成度は驚異的で、五人が一つの巨大な楽器となって作品を歌い上げるかのようだ。併録の《フモレスケ》では一転して内省的で詩情あふれるリヒテルの世界が広がり、一枚で二つの異なる芸術を堪能できる贅沢なアルバムとなっている。
 

fr 1054
フォーレ:
 ピアノと管弦楽のための幻想曲 ト長調 op. 111
  Piano : マリー・アントワネット・レヴェーク
  フランス国立放送管
   Recording date : 1955
ファリャ:スペインの庭の夜
 Piano : マリー・アントワネット・レヴェーク
 スイス・ロマンド管
  Recording date : 1959
ファリャ:三角帽子 第2組曲
 フランス国立放送管
  Recording date : 1956
ペドロ・デ・フレイタス・ブランコ指揮
Length : 00:50:32

ポルトガルの名匠ペドロ・デ・フレイタス・ブランコは、スペイン・フランス音楽の色彩感覚においてもっと高く評価されるべき指揮者である。本盤ではフォーレの繊細な抒情とファリャの情熱を、決して派手さに頼ることなく気品ある響きへと昇華している。ソリスト、マリー・アントワネット・レヴェークも華やかな技巧より音色の美しさで聴かせるタイプで、《スペインの庭の夜》では幻想的な空気を見事に描出。ラテン音楽特有の濃厚さよりも、洗練された美しさを味わえる隠れた逸品といえよう。
 

fr 1057
ベートーヴェン:
 ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op. 58
  Piano :フリードリヒ・ヴューラー
  オーストリア響
  カール・ランドルフ指揮
   Recording date : 1951
 交響曲第2番 ニ長調 op. 36
  ベルリンRIAS響
  ゲオルク=ルートヴィヒ・ヨッフム指揮
   Recording date : 1955
Length : 01:07:39
Original edition : Remington R-199-72 - Bertelsmann 8099

フリードリヒ・ヴューラーは、戦後ドイツ・ピアニズムを語るうえで決して欠かせない存在でありながら、日本では驚くほど紹介される機会が少ない。この協奏曲でも華麗さを競うことなく、ベートーヴェンの内面的な精神世界へ静かに迫っていく姿勢が印象深い。一方、ゲオルク=ルートヴィヒ・ヨッフムによる交響曲第2番も快活さだけに終わらず、古典派からロマン派へ踏み出すベートーヴェンの革新性を巧みに描き出している。Forgottenならではの「もう一人の名匠たち」を知る喜びに満ちた一枚だ。
 

fr 1058
ラフマニノフ:24の前奏曲
 op.3-2,op.23,op.32
コンスタンス・キーン(P)
Recording date : 1961
Length : 01:13:48
Original edition : Stand SLP 421/422

コンスタンス・キーンの名を知る人は決して多くない。しかし1950年代アメリカを代表する女流ピアニストの一人であり、その自然体の音楽づくりは今聴いても実に魅力的である。この《24の前奏曲》でも過度な情熱や劇的効果を求めることなく、一曲一曲の性格を丁寧に描き分けながら、ラフマニノフの豊かな歌を気負いなく響かせている。技巧の誇示ではなく、作品そのものへの深い愛情が伝わる演奏であり、華やかな名盤とは異なる温もりを持ったラフマニノフとしてぜひ再発見していただきたい。
 

fr 1061
ブラームス:
 チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 op. 38
 同 第2番 ヘ長調 op. 99
アンリース・シュミット・デ・ヌヴ―(Vc)
ロルフ・クニーペル(P)
Recording date : 1960
Length : 00:48:30
Original edition : BAM LD 063

真摯な音楽性が随所に感じられ、ブラームスの深い抒情を決して感傷へ流さず、内側から静かに燃え上がらせていく。
ロルフ・クニーペルとの息も実にぴたりと合い、室内楽本来の対話が自然に息づいている。華やかなスターではなくとも、一度耳にすれば忘れ難い存在感を持つ名演である。
 

fr 1063
ラフマニノフ:
 交響曲第1番 ニ短調 op. 13
  ストックホルム放送管
  ジャック・ラフミローヴィチ指揮
   Recording date : 1952
同:交響的舞曲 op. 45
 ソヴィエト国立放送響
 アレクサンドル・ガウク指揮
  Recording date : 1956
Length : 01:15:29
Original edition : Mercury MG 10111 et Decca LW 50087

現在ではラフマニノフの傑作として定着した第1交響曲だが、この録音当時はまだ演奏機会も少なく、作品自体が再評価され始めた時代であった。その意味でもジャック・ラフミローヴィチの録音は極めて歴史的価値が高い。一方、《交響的舞曲》ではロシア音楽の名匠アレクサンドル・ガウクが本領を発揮。作品に刻まれた民族的な力強さと晩年特有の陰影を、圧倒的な説得力で描き切っている。ラフマニノフ演奏史を辿るうえでも見逃せない、資料価値と芸術性を兼ね備えた復刻である。
 

fr 1072
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op. 92
 Recording date : 1952
同:「コリオラン」序曲 op. 62
 Recording date : 1953
同:「エグモント」序曲 op. 84
 Recording date : 1953
モーリス・エウィット指揮
エウィット管
Length : 00:53:18
Original edition : Les Discophiles Francais DF 90

フランスの名ヴァイオリニストとして知られるモーリス・エウィットだが、指揮者としても独自の活動を展開していたことはあまり知られていない。本盤はその貴重な記録であり、編成こそ大規模ではないものの、軽快な機動力と引き締まったリズムが実に魅力的だ。ことに《第7番》は、重厚さよりも舞曲的生命力を前面に押し出し、全曲を颯爽と駆け抜ける。フランス的な洗練とベートーヴェンのエネルギーが見事に融合した、戦後ヨーロッパの知られざる一頁である。
  

fr 1073
ブラームス:ドイツ・レクイエム op. 45 ロバート・ショウ指揮
RCAビクター響
ロバート・ショウ合唱団
ジェイムズ・ピース(Br)
エレノア・スティーバー(S)
Recording date : 1948
Length : 01:05:53
Original edition : RCA LM 6004

合唱指揮者ロバート・ショウの名を世界に決定づけた歴史的録音のひとつ。後年の壮麗な演奏とは異なり、この1948年盤には若きショウならではの張り詰めた緊張感が漂う。声部は驚くほど明晰で、一つ一つの言葉が音楽として生きていることに驚かされるだろう。ブラームスが求めた「慰め」は決して甘美ではなく、人間への深い共感として静かに語りかけてくる。戦後間もない時代だからこそ生まれた切実な祈りが胸を打つ名演である。
 

fr 1075
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」 ハインリッヒ・ホルライザー指揮
バンベルク響
Recording date : 1959 Stereo
Length : 01:03:44
Original edition : Vox SVBX 5117

ホルライザーといえばオペラ指揮者という印象が強いが、この《ロマンティック》を聴けば、そのイメージは鮮やかに覆される。歌劇場で鍛えられた息の長いフレージングがブルックナーの旋律に豊かな生命を吹き込み、各場面がまるで舞台の情景のように立ち上がる。バンベルク響も温かなドイツ音色で応え、金管の輝きも実に自然。巨大建築としてではなく、生きたドラマとして味わえるブルックナーであり、この録音が忘れられていたこと自体が惜しまれる。
 

fr 1077
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
ラヴェル:
 水の戯れ、
 「鏡」~道化師の朝の歌、鐘の谷
ルドルフ・フィルクシュニー(P)
Recording date : 1960 Stereo
Length : 00:49:19
Original edition : Deutsche Grammophon 138679

フィルクシュニーはチェコ音楽の名手として知られるが、その透明なタッチは《展覧会の絵》にも驚くほど新鮮な光を当てている。重厚さや豪壮さを競うのではなく、一枚一枚の「絵」を繊細な色彩で描き分ける演奏は、まるで水彩画を眺めるような趣がある。併録のラヴェルでも卓越した音色のコントロールが際立ち、《道化師の朝の歌》では洒脱なリズム、《鐘の谷》では幻想的な響きを自在に表現。知性と詩情が見事に調和した隠れた逸品である。
  

fr 1083
チャイコフスキー:
 交響曲第4番 ヘ短調 op. 36
  Recording date : 1954
 イタリア奇想曲 op. 45
  Recording date : 1952
 序曲「1812年」 op. 49
  Recording date : 1952
フランツ・アンドレ指揮
ベルギー国立放送協会響
Length : 01:06:31
Original edition : Telefunken LSK 7009, LB 6016, VSK 9018

ベルギー放送界を代表する名匠フランツ・アンドレは、決して派手な個性で語られる指揮者ではない。しかし作品を誠実に読み込み、オーケストラ本来の響きを自然に引き出す力量は第一級。本盤の《第4番》も必要以上に煽ることなく、運命との格闘を着実な歩みで積み上げていく。《イタリア奇想曲》の明るさ、《1812年》の壮麗さも節度ある表現だからこそ音楽そのものが際立つ。古き良きヨーロッパ放送オーケストラ文化の香りが漂う一枚だ。
 

fr 1084/5
(2CD-R)
ショパン:
 19の夜想曲
  Recording date : 1957
 24の前奏曲集 op. 28
  Recording date : 1952
アレクサンダー・ブライロフスキー(P)
Length : 02:18:14
Original edition : RCA LM 2160/1 et LM 1150

ブライロフスキーほどショパンと人生を重ね合わせたピアニストも珍しい。技巧の完璧さを競う現代的演奏とは異なり、一音一音に歌心を込め、自由な呼吸で旋律を紡いでいく。そのため夜想曲ではまるで即興演奏を聴くような親密さが生まれ、前奏曲集では短い作品それぞれが鮮やかな性格を持って立ち現れる。今日では忘れられつつある「古きショパン様式」を知るうえでも極めて貴重な全集であり、往年の香気をたっぷり味わえる。
  

fr 1080
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 ハンス・ロスバウト指揮
バーデン=バーデン南西ドイツ放送響
Recording date : 1957 Stereo
Length : 01:03:13
Original edition : Vox STPL 10752

ロスバウトのブルックナーは意外なほど演奏機会が少なく、その意味でも本盤は極めて重要な存在である。作品を巨大な宗教建築としてではなく、緻密な対位法と構造美によって組み立てていく手腕はさすがロスバウト。旋律は決して停滞せず、終始緊張感を保ちながら大きな流れを形成していく。感情に溺れない知的なブルックナーでありながら、終楽章では自然な高揚感が訪れる。ロスバウトという巨匠の懐の深さを再認識させる名演だ。
 

fr 1089
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 op. 55「英雄」 ヴラディミール・ゴルシュマン指揮
ボストン響
Recording date : 1944
Length : 00:46:26

1944年という時代背景を思いながら聴くと、この《英雄》はひときわ重い意味を帯びて響いてくる。亡命ロシア人指揮者ゴルシュマンは、戦時下のボストン交響楽団から引き締まった緊張感と熱い精神性を引き出し、英雄賛歌ではなく「人間の闘い」として作品を描いている。テンポは引き締まり、装飾を排した力強い表現が実に印象的。戦後の名盤群とは異なる歴史の空気を封じ込めた、資料価値だけでは語れない演奏である。
 

fr 1097
ルーセル:
 ピアノのための組曲 op. 14
 ソナチネ op. 16
 ピアノのための3つの小品 op. 49
フランソワーズ・プティ(P)
Recording date : 1962 Stereo
Length : 00:41:16
Original edition : L'Oiseau-Lyre SOL 60052

ルーセルというと交響曲やバレエ音楽が有名だが、ピアノ作品にも独特の魅力が眠っている。本盤ではフランソワーズ・プティが、その精緻な書法とフランス音楽特有の透明感を見事に描き分ける。ドビュッシーやラヴェルほど感覚的ではなく、どこか古典的な均整を備えたルーセルの世界が実に新鮮だ。技巧を誇示する演奏ではなく、作品の造形美そのものを味わわせてくれるため、「こんなルーセルがあったのか」と思わず膝を打つ一枚になるだろう。
 

fr 1099
シューベルト:
 交響曲第4番 ハ短調 D. 417「悲劇的」
  ワルター・ジュスキント指揮
 交響曲第6番 ハ長調 D. 589
  ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
ロンドン響
Recording date : 1958 Stereo
Length : 00:56:11
Original edition : Mercury SR 90196 A

同じオーケストラを用いながら、二人の名匠がまったく異なるシューベルト像を描くという贅沢なカップリング。《悲劇的》ではジュスキントが劇的な起伏を鮮やかに描き出し、一方《第6番》ではシュミット=イッセルシュテットが持ち前の自然体の音楽づくりで若きシューベルトの瑞々しさを引き出している。録音としてもマーキュリー黄金期ならではの鮮明なサウンドが魅力で、1950年代ロンドン響の充実ぶりも存分に味わえる。聴き比べの楽しさまで備えた、実に興味深い復刻盤である。
 

fr 1100
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 シルヴィア・マーロウ(クラヴィコード)
Recording date : 1962 Stereo
Length : 00:52:09
Original edition : Decca DL 710056

《ゴルトベルク変奏曲》といえばチェンバロかピアノで聴くもの、という先入観を心地よく裏切ってくれる一枚。シルヴィア・マーロウはクラヴィコードという極めて繊細な楽器を用い、まるで作曲家が書斎で一人、静かに鍵盤へ向かっている場面を覗き見るような親密な世界を作り上げている。小さな音量だからこそ生まれる無数のニュアンスは、現代のチェンバロやモダン・ピアノなどの大型楽器では決して味わえない魅力。華麗さではなく、バッハの内なる詩情に耳を澄ませたい方へ、自信を持って薦めたい貴重な録音である。
 

fr 1104
ハイドン:
 交響曲第86番 ニ長調 Hob. I/86
 同 第92番 ト長調「オックスフォード」 Hob. I/92
フランコ・カラッチオーロ指揮
アレッサンドロ・スカルラッティ管
Recording date : 1955
Length : 00:49:56
Original edition : Columbia CX 1378

イタリアの名匠フランコ・カラッチオーロは、古典派作品に独特の品格を与えることのできた指揮者だった。本盤でも過度な重量感とは無縁で、流れるような歌と自然な呼吸によってハイドンの魅力を存分に引き出している。ことに《オックスフォード》では各声部の対話が実に明快で、作品が持つ機知やユーモアまで鮮やかに浮かび上がる。古楽器演奏とは異なるが、戦後ヨーロッパにおけるハイドン演奏の理想形の一つとして改めて評価したい名盤である。
 

fr 1106
シューベルト:
 交響曲第5番 変ロ長調 D. 485
  Recording date : 1955
 同第7(9)番 ハ長調 D. 944「グレイト」
  Recording date : 1959
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
北ドイツ放送響
Mono et Stereo
Length : 01:17:29
Original edition : Capitol P 18021 et Telefunken LT 6635

シュミット=イッセルシュテットほど「自然」という言葉が似合う指揮者も少ない。本盤でも作品へ余計な解釈を持ち込まず、音楽そのものが自ら呼吸を始めるような美しい流れを作り出している。《第5番》の若々しい軽やかさ、《グレイト》の雄大な構築、その対比も見事。特に《グレイト》は壮大でありながら決して重苦しくならず、終始爽やかな生命力に満ちている。シューベルト演奏の王道とはこういうものだった、と改めて教えてくれる一枚だ。
 

fr 1107
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op. 68「田園」
 ヴュルテンベルク州立劇場管
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op. 92
 シュトゥットガルト州立劇場管
カール・ダマ―指揮
Recording date : 1959
Length : 01:19:04
Original edition : Club Mondial du Disque CMD 356 et 352

現在ではほとんど語られることのないカール・ダマーだが、この録音を聴けば忘却が惜しまれる理由がよく分かる。《田園》では風景描写よりも人間の温もりを感じさせる柔らかな音楽づくり、《第7番》では引き締まったリズムと躍動感が全曲を貫き、舞曲としての魅力を存分に味わわせてくれる。オペラ劇場オーケストラならではのしなやかな響きも実に魅力的で、大指揮者の陰に隠れてしまった職人芸の素晴らしさを再認識させる一枚である。
 

fr 1108/9
(2CD-R)
モーツァルト:
 交響曲第33番 変ホ長調 K. 319
  Recording date : 1962
 同 第36番 ハ長調 K. 425「リンツ」
  Recording date : 1962
 ディヴェルティメント ヘ長調 K. 247
  Recording date : 1961
 ディヴェルティメント ニ長調 K. 251
  Recording date : 1961
コリン・デイヴィス指揮
イギリス室内管
Stereo
Length : 01:37:06
Original edition : L'Oiseau-Lyre SOL 60049 et SOL 60029

若きコリン・デイヴィスがL'Oiseau-Lyreに残した初期モーツァルトの代表的録音。古楽器時代到来以前の演奏ながら、その透明なテクスチュアと軽快なテンポ感は驚くほど今日的である。特にディヴェルティメントでは、祝祭音楽としての華やかさだけでなく、モーツァルトならではの優雅な対話が実に美しく描かれている。後年の巨匠デイヴィスへとつながる音楽性を若々しい瑞々しさの中に聴き取ることができる、ファンには見逃せない記録である。

<第88号 紹介アイテム>


fr 993
シャブリエ:
 叙情的情景「スュラミの女」
  ジュヌヴィエール・モワザン(S)
   Recording date : 1958
サティ:バレエ「メルキュール」*
 Recording date : 1961
ダニエル=ルシュール:バレエ組曲「e Bal du Destin」
 Recording date : 1957
ドラージュ:「酔いどれ船」(ランボーの詩による)
 Recording date : 1955 
マニュエル・ロザンタール指揮
フランス国立放送管&合唱団
フランス放送フィル*
Length : 01:08:36

まさにフランス音楽の宝石箱。シャブリエからサティ、さらには今日ほとんど演奏されないドラージュまで、ロザンタールならではの粋な選曲が実に楽しい。しかも指揮者自身がラヴェル直系の伝統を受け継ぐ存在だけに、管弦楽の色彩は本場ならではの洗練に満ちている。香水のようにほのかに漂うエスプリ、軽妙なリズム感、絶妙な管楽器の音色……。フランス音楽好きなら思わず頬が緩むこと請け合いの、とびきり洒落た一枚である。
 

fr 994
ハイドン:
 交響曲第45番 嬰ヘ短調 Hob. I/45「告別」
  Recording date : 1962
 同 第55番 変ホ長調 Hob. I/55「校長先生」
  Recording date : 1962
レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ op. 132
 Recording date : 1957
オッテルロー指揮
ハーグ・レジデンティ管
Length : 01:10:56 Stereo et mono
Original edition : Deutsche Gramophon 138825 et Philips A 00486 L

オッテルローは近代作品の名手として知られるが、このアルバムではハイドンでも実に魅力的な演奏を聴かせる。引き締まったリズム、爽快な推進力、そして作品全体を見渡す優れた構成感。そこから一転してレーガーでは濃密な対位法世界へ自然に入り込み、巨大な変奏曲を見事にまとめ上げる。その振幅の大きさこそ、この指揮者の真骨頂。古典派から後期ロマン派までを一枚で堪能できる、実に知的なプログラムである。
 

fr 1008
バルトーク:
 弦楽のための」ディベルティメント Sz 113
パウル・ミュラー=チューリッヒ:
 弦楽とフルートのためのシンフォニア第2番 op. 53
  Flute :アンドレ・ジョネ
エドモンド・ド・シュトウツ指揮
チューリッヒ室内管
Recording date : 1955 Length : 00:45:54
Original edition : Decca LXT 5081

《弦楽のためのディヴェルティメント》はバルトーク晩年の傑作だが、本盤最大の収穫は併録のパウル・ミュラー=チューリッヒ作品かもしれない。20世紀スイスを代表する作曲家でありながら、日本ではほとんど紹介されない存在。その清潔で端正な書法はバルトークとも不思議な親和性を見せる。シュトウツ率いるチューリッヒ室内管も透明感あふれる演奏で応え、Forgottenならではの「未知の名曲との出会い」を存分に楽しませてくれる。
  

fr1007
ベートーヴェン:
 ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 op. 73
 ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」 op. 13
モーラ・リンパニー(P)
トマス・シャーマン指揮
スタジアム・コンサーツ響
Recording date : 1957 Length : 00:53:43
Original edition : Musical Appreciation Records MAR 5713

モーラ・リンパニーはリストや近代作品の名手という印象が強いが、このベートーヴェンは実に味わい深い。力任せに押し切ることなく、豊かな歌心を失わない《皇帝》はどこか英国紳士を思わせる品格に満ちている。《悲愴》でも感情を過度に煽らず、古典的均整を大切にした演奏が印象的。女性ピアニストという枠を超え、一人の優れたベートーヴェン弾きとして再評価されるべき録音だろう。
  

fr 1005/6
(2CD-R)
モーツァルト:交響曲集 Vol.2
 交響曲第15~27番
オット―・アッカーマン指揮
オランダ・フィル
Recording date : 1953 Length : 02:37:07
Original edition : Musical Masterpiece Society MMS 3024-3027

モーツァルトの若き交響曲は、長く「習作」と見なされがちだった。しかしアッカーマンは、その一曲一曲にすでに後年の天才の萌芽が宿っていることを見事に証明してみせる。軽やかなテンポ、歌う弦、美しく溶け合う木管。オランダ・フィルの温かな響きも魅力で、全13曲がそれぞれ異なる個性を持って生き生きと響いてくる。今日では全集録音も珍しくないが、この時代にこれだけ真摯に初期交響曲へ向き合った意義は極めて大きい。Forgottenのカタログでも屈指の価値を持つ復刻といえるだろう。
  

fr1004
ヘンデル:ハープ協奏曲 変ロ長調
 Harpe :リリー・ラスキーヌ
 フランス放送室内管
 ピエール・キャプドヴィエル指揮
  Recording date : 1959
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K. 299
 Flute : フェルナンド・デュフレーヌ
 Harpe : リリー・ラスキーヌ
 フランス国立放送管
 アンドレ・クリュイタンス指揮
  Recording date : 1955
ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
 Flute :ジャン=ピエール・ランパル
 Harpe :リリー・ラスキーヌ
 Alto : コレット・ルキアン
  Recording date : 1957
Length : 00:58:46

ハープという楽器の魅力をこれほど贅沢に味わえるアルバムも珍しい。主役は20世紀フランスを代表する名手リリー・ラスキーヌ。その透明で気品ある音色は、まさに「フランス・ハープ芸術」の象徴である。クリュイタンスと共演したモーツァルトでは夢見るような優雅さが広がる。一方、ドビュッシーでは色彩感覚がさらに研ぎ澄まされ、音が空間へ溶け込むような美しさに息を呑む。演奏家、作品、共演者、そのすべてが一級品という、まさしく宝石箱のような一枚だ。
  

fr 1002/3
(2CD-R)
ハイドン:6つの弦楽四重奏曲 op. 76 n° 1 ‐ 6 Hob. III 75/80
 (エルデーディ四重奏曲)
 第75番
 第76番 ニ短調 Hob.III:76 op.76-2「五度」
 第77番 ハ長調 Hob.III:77 op.76-3「皇帝」
 第78番 変ロ長調 Hob.III:78 op.76-4「日の出」
 第79番 ニ長調 Hob.III:79 op.76-5「ラルゴ」
 第80番 変ホ長調 Hob.III:80 op.76-6
シュナイダーQ
Recording date : 1953 Length : 02:05:57
Original edition : Haydn Society HSQ 34/36

現在では数多くの名盤が存在する《エルデーディ四重奏曲》だが、この1953年録音には戦後ドイツ室内楽ならではの誠実さが息づいている。シュナイダー四重奏団は作品を決して軽妙な娯楽音楽として扱わず、一曲ごとの構築美を丁寧に掘り下げていく。《皇帝》の気高さ、《日の出》の柔らかな抒情、《五度》の緊張感──それぞれの個性が鮮やかに描き分けられ、ハイドン晩年の円熟した境地を存分に堪能できる。流行に左右されない、古典派演奏の良心と呼びたい全集である。
  

fr 1009
J.S.バッハ:音楽の捧げもの BWV 1079 Clavichord:イゾルデ・アールグリム
Alto et violon-tenor:クルト・タイナー
Violon et alto:アリス・アーノンクール
Violin:ルドルフ・バウムガルトナー
Flute:ルートヴィヒ・フォン・プフェルスマン
Cello:ニコラウス・アーノンクール
Recording date : 1954 Length : 00:54:00
Original edition : Philips A 00300 L

古楽演奏がまだ黎明期にあった1954年、このメンバーが集まって《音楽の捧げもの》を録音していたという事実だけでも歴史的価値は計り知れない。ニコラウス・アーノンクール、アリス・アーノンクール、イゾルデ・アールグリム、ルドルフ・バウムガルトナー……後に古楽界を築く巨匠たちが若き日に交わした対話が、そのまま刻み込まれている。完成された様式美というより、未知の世界を切り拓こうとする情熱がみなぎる演奏であり、古楽運動の原点を知るうえでも必携の一枚である。
  

fr 1010
モーツァルト:ピアノ三重奏曲集
 第3番 変ロ長調 K. 502
  Recording date : 1954
 第6番 ト長調 K. 564
  Recording date : 1954
クラリネット五重奏曲 イ長調 K. 581
 Clarinet : リヒャルト・シェーンホーファー
 ウィーン響室内音楽協会団員
  Recording date : 1955
モーツァルテウム三重奏団
Length : 01:17:11
Original edition : Philips A 00274 L et G 05370 R

ザルツブルクの伝統を体現するモーツァルテウム三重奏団らしく、肩の力の抜けた自然な音楽づくりが実に心地よい。技巧や個性を競うのではなく、三人が互いの呼吸を尊重しながら、モーツァルトの会話する音楽を丁寧に紡いでいく。併録の《クラリネット五重奏曲》も、リヒャルト・シェーンホーファーの温かな音色が作品全体を包み込み、まるで室内で親しい友人たちが奏でているような親密さを感じさせる。モーツァルト本来の「愉しみ」が自然に伝わる好アルバムだ。
 

fr 1013
ハイドン:弦楽四重奏曲集
 第81番 ト長調 op. 77, n° 1, Hob.III/81
 第82番 ヘ長調 op. 77, n° 2, Hob.III/82
ハイフェッツSQ
Recording date : 1950 Length : 00:48:37
Original edition : E.M.S 301

ヤッシャ・ハイフェッツの名前を冠した四重奏団だけに、超絶技巧を期待する向きも多いだろう。しかし実際に耳にするのは、意外なほど節度と均整を重んじたアンサンブルである。一音一音は磨き抜かれ、各声部の輪郭は驚くほど鮮明。それでいて全体はあくまで四人の対話として自然に流れていく。ハイドン晩年の凝縮された書法をここまで明晰に聴かせる演奏は決して多くない。スター奏者の余技ではなく、本格的な室内楽団としての実力を示した貴重な録音である。
  

fr 1014/5
(2CD-R)
J.S.バッハ:
 ブランデンブルク協奏曲(全曲) BWV 1046-1051
  ハンブルク室内管
    Recording date : 1959
モーツァルト:
 セレナーデ第6番 ニ長調「セレナータ・ノットゥルナ」 K. 239
 交響曲第41番ハ長調 K. 551「ジュピター」)
  ハイドン管
   Recording date : 1953
ハリー・ニューストーン指揮
Length : 02:26:11
Original edition : Saga 5031/2 - Monarch MWL 302

古楽器時代以前の《ブランデンブルク》だが、その魅力は少しも色褪せない。ニューストーンはモダン楽器ならではの豊かな響きを生かしながら、作品の舞曲的な軽快さと生命力を巧みに引き出している。さらにモーツァルト《ジュピター》まで収めたプログラムも実に魅力的で、バロックから古典派への流れを自然に感じ取ることができる。演奏史の一時代を代表する、知的で品格あるバッハ演奏として改めて聴き直したい。
  

fr 1016
J.C.バッハ:6つの交響曲集より
 第1番 変ホ長調 op. 18, n° 1 (二重オーケストラのための)
 第4番 ニ長調 op. 18, n° 4
 チェンバロと管弦楽のための協奏曲 変ホ長調 op. 7, n° 5
  Clavichord :グスタフ・レオンハルト
 ヴァイオリンとチェロのための協奏交響曲 イ長調
  Violin : ヴァルター・シュナイダーハン
  Cello : ニコラウス・ヒュープナー
パウル・ザッハー指揮
ウィーン響
Recording date : 1953 Length : 00:59:58
Original edition : Philips S 04003 L

ヨハン・クリスティアン・バッハが「ロンドンのバッハ」と呼ばれ、若きモーツァルトに大きな影響を与えたことは広く知られている。しかし彼の音楽そのものに触れる機会は意外なほど少ない。本盤ではザッハーが持ち前の明晰な指揮で、ギャラント様式ならではの優雅さと軽やかさを見事に表現。さらにレオンハルト、シュナイダーハンら豪華な独奏陣も加わり、歴史的にも演奏内容としても充実した内容となっている。18世紀音楽の魅力を再発見できる一枚だ。
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fr 1018
まさかの初出と思われる
 サンソン・フランソワ(P)


シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op. 54
 パウル・クレツキ指揮
  Recording date : 1959

リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
 ポール・パレ―指揮
  Recording date : 1957

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
 ロリン・マゼール指揮
  Recording date : 1961
サンソン・フランソワ(P)
フランス国立放送管
Length : 01:16:14

見た瞬間ちょっと息が止まりそうになる顔合わせ。初出のようである。


サンソン・フランソワという天才は、作品ごとに人格まで変わるかのような不思議な演奏家だった。シューマンでは夢見る詩人、リストでは華麗なヴィルトゥオーゾ、プロコフィエフでは鋭利な近代人へと自在に姿を変える。その変貌ぶりは驚異的でありながら、どの作品にも彼ならではの即興性と危うい美しさが漂う。指揮者もクレツキ、パレー、若きマゼールという豪華な顔ぶれ。20世紀フランス・ピアニズムの精華を味わえる贅沢なアルバムである。
  

fr 1020
オネゲル:交響曲第2番
 (弦楽オーケストラとトランペットのための) H. 153
  Recording date : 1954
リヴィエ:交響曲第2番(弦楽オーケストラのための)
 Recording date : 1954
ベン=ハイム:弦楽のための協奏曲 op. 40
 Recording date : 1957
アイズラー・ソロモン指揮
The MGM String Orchestra
Length : 01:00:15
Original edition : MGM E3104 et E3423

Forgotten Recordsの真価は、こうした埋もれた20世紀作品を再び世に送り出してくれることにもある。オネゲルの名作に加え、リヴィエ、ベン=ハイムという演奏機会の少ない作曲家を並べた選曲が実に興味深い。弦楽オーケストラだけで描かれる緊張感、透明感、そして静かな熱気。アイズラー・ソロモンは作品ごとの個性を的確に引き出し、戦後モダニズムの多彩な表情を鮮やかに描いている。未知のレパートリーを開拓したい方には格好の一枚だ。
  

fr 1021/2
(2CD-R)
ベルリオーズ:レクイエム op. 5
 Tenor :ジャン・ジロドー
 フランス国立放送合唱団
 パリオペラ座管
  Recording date : 1958
ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」 op. 16, H 68
 Alto : フレデリック・リドル
 ロイヤル・フィル
  Recording date : 1953
ヘルマン・シェルヘン指揮
Length : 02:21:17
Original edition : Vega C 30 A 189/190 et Westminster WL 5288

シェルヘンが振るベルリオーズ──それだけで胸が高鳴る。巨大編成を必要とする《レクイエム》でも、単なる音量勝負に終わることなく、細部まで驚くほど整理された構築力を聴かせるのはさすがである。壮大なクライマックスは圧巻だが、本当の魅力は静寂の場面に宿る緊張感だろう。併録の《イタリアのハロルド》も詩情豊かで、ベルリオーズの幻想性が鮮やかに浮かび上がる。20世紀屈指の異才シェルヘンの真骨頂に触れられる、実に聴き応えのある復刻である。
  

fr 1023/4
(2CD-R)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ全集
  BWV 1014-1019
ラインホルト・バルヒェット(Vn)
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(チェンバロ)
Recording date : 1960 Length : 01:38:11
Original edition : Erato 3169-10

古楽器演奏がまだ一般化する以前、バロック音楽をどう演奏すべきか模索が続いていた時代の貴重な記録。バルヒェットは決して奇をてらうことなく、流麗なボウイングと歌心あふれるフレージングで、バッハの対話を実に自然に描き出している。ヴェイロン=ラクロワのチェンバロも華やかさより親密さを大切にし、二人は競い合うのではなく静かに語り合う。後年の古楽演奏とは異なる美意識だが、その誠実さと音楽性は少しも古びていない。バッハ演奏史の重要な一章として味わいたい全集である。
  

fr 1025
ラフマニノフ:
 ピアノ協奏曲第2番 ハ短調, op. 18
  放送響
  トニー・オーバン指揮
   Recording date : 1951
ミヨー:エクスの謝肉祭
 フランス国立放送管
 ロジェ・デゾルミエール指揮
  Recording date : 1947
ラヴェル:マ・メール・ロワ
 Piano :ジャック・フェヴリエル
  Recording date : 1958
ジャンヌ=マリー・ダルレ(P)
Length : 01:02:32

フランス・ピアノ界の名花ジャンヌ=マリー・ダルレが奏でるラフマニノフは、ロシア的な濃厚さよりも、驚くほど洗練された透明感が魅力だ。旋律は過度に歌い崩されることなく、響きは最後まで清潔そのもの。そのため名曲《第2協奏曲》がまるで別作品のような新鮮さで耳に届く。さらにミヨー、ラヴェルというフランス作品を併録した選曲も絶妙で、ダルレという芸術家の個性が立体的に浮かび上がる。Forgottenらしいセンスが光る好企画である。
  

fr 1026
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」、同第7番 オット―・アッカーマン指揮
チューリッヒ・トーンハレ管
Recording date : 1951 Length : 01:08:39
Original edition : Musical Masterpiece Society MMS 22 et 33

アッカーマンのベートーヴェンには、ドイツ系指揮者とは一味違う爽やかな気品がある。《運命》では必要以上に重く構えず、音楽を前へ前へと自然に進めていく推進力が心地よい。《第7番》ではその特質がさらに生き、リズムの躍動が終始失われない。華美な演出とは無縁ながら、作品の骨格が実に鮮やかに浮かび上がる演奏であり、チューリッヒ・トーンハレ管の明るく透明な響きも大きな魅力。もっと評価されるべきベートーヴェンである。
 

fr 1030
シュトラウス一族&ツィーラー(1929-1931)
 ヨハン・シュトラウスⅡ:
  常動曲(無窮動) op. 257
   Recording date : 1929
  アンネン・ポルカ op. 117
   Recording date : 1929
  ワルツ「朝刊」 op. 279
   Recording date : 1929
  喜歌劇「こうもり」序曲)
   Recording date : 1929
  喜歌劇「ジプシー男爵」~第3幕への入場行進曲
   Recording date : 1929
  ポルカ「浮気心」 op. 319)
   Recording date : 1929
  ワルツ「千夜一夜物語」 op. 346
   Recording date : 1930
 ツィーラー:ワルツ「ウィーン娘」 op. 388
  Recording date : 1931
 ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「天体の音楽」 op. 235
  Recording date : 1931
 ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「愛の歌」 op. 114
  Recording date : 1931
クレメンス・クラウス指揮
ウィーン・フィル
Length : 00:54:18
Original edition : Electrola C 053-01 534

クレメンス・クラウスほどウィーンという都市の空気を自然に音へ変えることのできた指揮者はそう多くない。本盤ではヨハン&ヨーゼフ・シュトラウスに加え、ツィーラー作品まで収められ、1929~31年というSP時代の香気をそのまま伝えてくれる。テンポは決して慌ただしくなく、舞踏会の優雅な身のこなしを思わせる絶妙な揺れが実に美しい。ウィーン・フィルも気負いなく歌い、後年には失われてしまう「本場のワルツ」が息づいている。単なる名曲集ではなく、古きウィーン文化そのものを味わうことのできる貴重な歴史的記録である。
  

fr 1031/2
(2CD-R)
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ全集
   BWV 1014-1019
ロベルト・ゲルレ(Vn)
アルバート・フラー(クラヴィコード)
Recording date : 1961 Length : 01:32:06
Original edition : Decca DXA 168

ロベルト・ゲルレは、派手な名声とは無縁ながら、知る人ぞ知る名ヴァイオリニストである。本全集でも技巧を誇示することなく、バッハの旋律を自然な呼吸で歌わせ、室内楽としての親密な対話を何より大切にしている。アルバート・フラーの鍵盤も決して伴奏に回らず、二人で一つの音楽を築き上げる姿勢が印象的だ。後年の古楽器演奏ともモダン奏法とも異なる、1960年代ならではの温かなバッハ像が広がり、聴くほどに味わいが深まる全集となっている。
  

fr 1033
ベートーヴェン:
 ピアノ三重奏曲第6番 変ホ長調 op. 70, n° 2
  Recording date : 1952
メンデルスゾーン:
 ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 op. 49
  Recording date : 1953
トリオ・サントリクィド
Length : 00:56:27
Original edition : Deutsche Grammophon 16039 et 16107

名曲二作を並べた実に魅力的なカップリング。ベートーヴェンでは古典派の均整を崩さず、三人が互いの音を丁寧に受け渡しながら堂々たる構築を描く。一方メンデルスゾーンでは一転して若々しい歌心が全開となり、流れるような旋律美が心地よい。派手なスター・トリオではないが、その分、作品そのものの魅力が自然と伝わってくる。録音から半世紀以上を経ても少しも古びない、誠実な室内楽演奏の見本ともいうべきアルバムである。
  

fr 1036
チャイコフスキー:
 ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op. 23
グリーグ:
 ピアノ協奏曲 イ短調 op. 16
ホセ・イトゥルビ(P)
コンセール・コロンヌ協会管
Recording date : 1956 Length : 01:02:13
Original edition : Columbia FCX 646 et 794

ホセ・イトゥルビといえば映画出演でも知られた華やかなスター・ピアニスト。しかし、その芸術は決して表面的ではない。この二大協奏曲でも輝かしい技巧を土台としながら、旋律は驚くほど自然に歌い、作品のロマンティックな魅力を素直に引き出している。肩肘張った大作ではなく、音楽する喜びが全編からあふれ出るような演奏であり、往年の名手ならではの品格も十分。聴き終えたあとに爽やかな幸福感が残る一枚である。
  

fr 1039
ベルリオーズ:幻想交響曲 op. 14 ジョルジュ・セバスティアン指揮
ベルリンRIAS響
Recording date : 1953 Length : 00:51:28
Original edition : Remington R-199-176

ベルリオーズ演奏史を語る際、この録音はもっと注目されてよい。ジョルジュ・セバスティアンは過剰な劇場性へ走ることなく、作品全体を緻密な構築の上に築き上げている。各楽章の性格は明快で、細部の管弦楽法まで鮮やかに浮かび上がるため、この作品の革新性を改めて実感させられる。ベルリンRIAS響も精緻なアンサンブルで応え、SP時代の名演とステレオ時代の名盤群をつなぐ重要な一枚として、録音史的にも見逃せない価値を持っている。
  

fr 1040
チャイコフスキー:
 ピアノ三重奏曲 イ短調op. 50「偉大な芸術家の思い出に」
ブダペスト三重奏団
Recording date : 1952 Length : 00:41:49
Original edition : Deutsche Grammophon 18067

《偉大な芸術家の思い出に》という副題を持つチャイコフスキー唯一のピアノ三重奏曲。その深い哀しみと壮大な構成を、ブダペスト・トリオは驚くほど自然な呼吸で描き切る。感情をことさらに誇張することなく、三人が互いに耳を澄ませながら紡ぐアンサンブルは実に美しく、終楽章へ向けて積み重なる感情の高まりには思わず引き込まれる。派手な名盤ではない。しかし作品の本質へ静かに迫る、忘れ難い室内楽演奏である。
  

fr 1041
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op. 27 アレクサンドル・ガウク指揮
ソヴィエト放送響
Recording date : 1956 Length : 00:54:44
Original edition : Westminster XWN 18424

ロシア音楽の巨匠アレクサンドル・ガウクが遺した貴重なラフマニノフ。後年の甘美でロマンティックな演奏とは異なり、作品の骨格をどっしりと築き上げながら、ロシアならではの濃密な響きを存分に引き出している。特に緩徐楽章の深い歌と終楽章の圧倒的な推進力は、作曲家と同じ文化を共有した指揮者ならではの説得力。ラフマニノフ解釈の源流を知るうえでも極めて重要な録音であり、この復刻は実に意義深い。



<第86号 紹介アイテム>


fr 972
フローラン・シュミット:
 混声合唱、テノールと大管弦楽団のための劇的バレエ
  「オリアーヌと愛の王子」 op. 83*
   Recording date : 1956
同:交響曲第2番 op. 137
   Recording date : 1960
ジョセフ・ペイロン(T)*
ピエール・デルヴォー指揮*
フランス国立放送管*
ジャン・マルティノン指揮
フランス放送フィル
 Length : 01:16:20

フローラン・シュミットという名を聞いて胸が躍る方なら、このアルバムの価値は説明不要だろう。フランス近代音楽の中でも、とりわけ豊潤な管弦楽法を誇る彼の世界を、デルヴォーとマルティノンという二人の名匠が見事に描き分けている。《オリアーヌと愛の王子》では幻想的な色彩が幾重にも重なり、まるで舞台の情景が目の前に立ち上がるかのよう。一方、晩年の交響曲第2番では複雑な書法の奥に潜む雄大な構築感が鮮やかに浮かび上がる。フランス音楽愛好家なら、これだけでもForgottenを追いかける価値があると思わせる珠玉の一枚である。
 

fr 968/9
(2CD-R)
フォーレ:
 ピアノ四重奏曲 ハ短調 op. 15
  Piano : ギャビー・カサドシュ
  Violin : ダニエル・ギレ
  Cello : デイヴィッド・ソイヤー
   Recording date : 1951
 ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調 op. 108
  Piano : ギャビー・カサドシュ
  Violin : ダニエル・ギレ
   Recording date : 1951
 ピアノ五重奏曲 ニ短調, op.115
  ギレQ
  Piano : ギャビー・カサドシュ
   Recording date : 1953
 チェロ・ソナタ第2番 ト短調 op. 117
  Cello : デイヴィッド・ソイヤー
  Piano : ミットマン
   Recording date : 1951
 弦楽四重奏曲 ホ短調 op. 121
   ギレQ
    Recording date : 1951
Length : 02:01:59
Original edition : Polymusic 1007 et 1008 - MGM E-3166

フォーレ晩年の室内楽世界をこれほど充実した内容で味わえるアルバムは意外に少ない。中心となるギャビー・カサドシュは、華やかな技巧よりも作品の香気を大切にする名ピアニスト。その端正なピアニズムにダニエル・ギレやギレ四重奏団が絶妙に寄り添い、フォーレ特有の淡い陰影と気品が自然に広がっていく。どの作品も静かな情熱に満ち、耳を澄ますほど豊かな和声の美しさが染み込んでくる。フォーレ室内楽の真髄へ導いてくれる、まさに決定的なアンソロジーといえるだろう。
 

fr 967
サティ:バレエ「パラード」
オネゲル:交響曲第5番「3つのレ」 H. 202
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番 ヘ短調 op. 10
イーゴリ・マルケヴィッチ指揮
フランス国立放送管
Recording date : 1955
Length : 01:04:58

マルケヴィッチという稀代の知性が選び抜いたプログラムは、今回も実に刺激的だ。サティの洒脱なユーモア、オネゲル晩年の凝縮された精神性、そして若きショスタコーヴィチの爆発するエネルギー。一見共通点のない作品群が、一人の指揮者の手によって鮮やかに一本の線で結ばれていく。マルケヴィッチの精緻なリズム感と透明なオーケストラ・コントロールは圧巻で、20世紀音楽の魅力をこれほど自然に伝える録音もそう多くない。選曲そのものが一つの芸術作品になっている。
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fr 974
超高速パレー、初出
チャイコフスキー:
 交響曲第4番 ヘ短調 op. 36
  Recording date : 1962
同:交響曲第5番 ホ短調 op. 64
  Recording date : 1961
ポール・パレ―指揮
デトロイト響
Length : 01:19:48

4番5番を1枚に収められるという・・・どんだけ速いんだ。

パレーとデトロイト響の黄金時代を代表する名録音。フランス人指揮者でありながら、チャイコフスキーでも持ち前の明晰なサウンドは健在で、濃厚なロシア趣味へ流れることなく、作品の構築美を鮮やかに浮かび上がらせている。金管の輝き、弦の推進力、木管の歌心、そのすべてが高い次元で融合し、第4番の劇的緊張感も、第5番の大きなうねりも実に爽快だ。マーキュリー時代のデトロイト響がいかに優れたオーケストラだったかを改めて実感できる名盤である。
 

fr 976
ショパン:
 ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op. 11
  Recording date : 1957
 ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op. 58
  Recording date : 1952
ギオマール・ノヴァエス(P)
イオネル・ペルレア指揮
バンベルク響
Length : 01:07:55
Original edition : Vox PL 10710 et PL PL 6710

ギオマール・ノヴァエスは、20世紀ショパン演奏史を語るうえで欠かせない存在である。その演奏には技巧を誇示する気配がまったくなく、旋律はまるで自然に呼吸するように歌われる。《協奏曲第1番》では若きショパンの瑞々しい詩情があふれ、《ソナタ第3番》では成熟した精神性が静かに花開く。華やかなヴィルトゥオーゾとは一線を画す、人間味豊かなショパン。時代を超えて愛される理由が、この一枚を聴けばよくわかる。
 

fr 977/8
(2CD-R)
ベートーヴェン:弦楽三重奏曲全集
 第1番 変ホ長調 op. 3
 第2番 ニ長調 op. 8「セレナード」
 第3番 ト長調 op. 9, n° 1
 第4番 ニ長調 op. 9, n° 2
 第5番 ハ短調 op. 9, n° 3
Alto : フレデリック・リドル
Violin : ジャン・プーネ
Cello : アンソニー・ピニ
Recording date : 1952
Length : 02:26:49
Original edition : Westminster WL 5226, W 5219, W 5198

弦楽四重奏の陰に隠れがちなベートーヴェンの弦楽三重奏曲。しかし、この全集を聴けば、それがいかに豊かな創意に満ちた世界であるかに驚かされる。三人の名手は決して華美に飾らず、作品が持つ古典的均整と若きベートーヴェンの瑞々しい情熱を丁寧に描き出していく。声部は明晰で対話は生き生きとしており、まるで作曲家の創作現場に立ち会っているかのよう。ベートーヴェン室内楽の原点を知るうえで、極めて価値の高い全集である。
 

fr 979
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 op. 40 (1934)
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 op. 119 (1949)
Cello :アントニオ・ヤニグロ
Piano :エヴァ・ヴォルマン
Recording date : 1955
Length : 00:51:00
Original edition : Westminster XWN 18791

ヤニグロのチェロには、人の声を思わせる不思議な温もりがある。ショスタコーヴィチでは若き作曲家特有の繊細な感情を深く掘り下げ、プロコフィエフでは一転して鋭いリズム感と現代的な響きを鮮やかに描写。対照的な二つの名作を見事に弾き分けている。エヴァ・ヴォルマンとの息もぴたりと合い、終始室内楽らしい緊密な対話が続く。20世紀チェロ作品の代表作を知る入口としても、演奏そのものを味わう一枚としても第一級の内容である。
 

fr 980
バラキレフ:
 交響詩「タマーラ」
  Recording date : 1954
 交響詩「ロシア」
  Recording date : 1954
 東洋風幻想曲「イスラメイ」
  Recording date : 1954
ボロディン:
 「イーゴリ公」~
  序曲、前奏曲、だったん人の踊り
   Recording date : 1958
マタチッチ指揮
フィルハモニア管
Mono et Stereo
Length : 01:13:57
Original edition : Columbia CX 1280 et SAX 2327

マタチッチのロシア音楽は、豪放さだけでは語れない深い魅力を持つ。《タマーラ》では妖しく揺らめく東洋趣味を濃密な色彩で描き、《イスラメイ》では圧倒的な推進力で聴き手を一気に引き込む。そして《イーゴリ公》ではフィルハーモニア管の洗練された響きが存分に生かされ、壮麗さと気品が見事に両立している。ロシア国民楽派をこれほど高い完成度でまとめたアルバムは意外に少なく、Forgottenらしい「埋もれた名盤」の代表格といえるだろう。
 

fr 973
ショパン:
 スケルツォ 第1番 ロ短調 op. 20
 同 第2番 変ロ短調 op. 31
 同 第3番 嬰ハ短調 op. 39
 同 第4番 ホ長調 op. 54
 幻想曲 ヘ短調 op. 49
ユリ・ブーコフ(P)
Recording date : 1957
Length : 00:48:13
Original edition : Westminster XWN 18781

ユリ・ブーコフは、豪腕のヴィルトゥオーゾではない。しかし、その知的な構成感と陰影豊かな表現力は、このショパンで存分に発揮されている。四つのスケルツォは単なる技巧の見せ場ではなく、それぞれが独立したドラマとして描かれ、《幻想曲》では即興性と建築美が見事に共存する。派手な個性を前面に出さないからこそ、ショパン自身の声が自然と浮かび上がる演奏。静かに耳を傾けるほど、その奥深さに魅了される名盤である。
 

fr 982
シューベルト:歌曲集「冬の旅」 op. 89, D. 911 Piano : ジェラルド・ムーア
Tenor :ヴィクター・カルネ
Recording date : 1951
Length : 01:11:31
Original edition : Westminster WL 5087/8

《冬の旅》は歌手だけでなく、ピアニストによっても大きく印象が変わる作品である。本盤では名伴奏者ジェラルド・ムーアの存在が実に大きい。ヴィクター・カルネの素直で誠実な歌唱を支えながら、ときには雪景色を描き、ときには主人公の孤独を静かに語りかける。その絶妙な呼吸が、歌曲集全体を一つの長大な物語へとまとめ上げている。スター歌手による名盤とは異なるが、作品の本質へ真摯に向き合った演奏として、長く心に残る《冬の旅》である。
 

fr 981
ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
 フランス国立放送管
 ジャック・ペルノー指揮
   Recording date : 1956
アリュー:ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ短調
 フランス放送フィル
 ウジューヌ・ビゴ指揮
   Recording date : 1959
ジャンヌ・ゴーティエ(Vn)
Length : 00:44:40

デュカ、ロジェ=デュカスらに師事した女性作曲家、クロード・アリュー(1903-90)の作品が含まれている。


Forgotten Recordsらしい選曲センスが光る一枚。ストラヴィンスキーの名協奏曲に加え、女性作曲家クロード・アリューの第2協奏曲を組み合わせたプログラムは実に魅力的だ。ジャンヌ・ゴーティエは華麗な技巧を誇示するタイプではなく、作品の輪郭を明晰に描きながら、フランス音楽らしい洗練された色彩感を巧みに引き出していく。ことにアリュー作品では、デュカやロジェ=デュカスの系譜を思わせる繊細な和声と、20世紀フランス音楽ならではの優雅さが鮮やかに浮かび上がる。知られざる名作との出会いという、Forgotten本来の醍醐味を味わわせてくれる好企画である。
 

fr 988
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 61
 ミュンヘン・フィル
 フリッツ・リーガー指揮
  Recording date : 1961
ベートーヴェン:
 ロマンス 第1番 ト長調 op. 40
  北西ドイツ・フィル
  ゲオルク=ルートヴィヒ・ヨッフム指揮
   Recording date : 1959
 ロマンス第2番 ヘ長調 op. 50
  北西ドイツフィル
  ゲオルク=ルートヴィヒ・ヨッフム指揮
   Recording date : 1959
シュポア:
 ヴァイオリン協奏曲第8番 イ短調 op. 47「劇場の形式で」
  北西ドイツフィル
  ゲオルク=ルートヴィヒ・ヨッフム指揮
   Recording date : 1959
Violin :ジークフリート・ボリース
Stereo
Length : 01:19:49
Original edition : Opera 1113 et Imperial ILX 531

ジークフリート・ボリースは、戦後ドイツ・ヴァイオリン界を代表する名手でありながら、日本では不思議なほど語られる機会が少ない。本盤では堂々たるベートーヴェンでその格調高い音楽性を示す一方、ロマンスでは温かな歌心をたっぷりと聴かせ、さらにシュポアでは優雅で気品あふれるヴィルトゥオジティを披露する。三つの異なる世界を一人の奏者が見事に弾き分けており、その芸域の広さには驚かされるばかり。ボリース再評価のきっかけとしても大いに価値あるアルバムである。
 

fr 984/5
(2CD-R)
モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集(Volume I)
 第1番 ハ長調 K. 279 -
 第2番 ヘ長調 K. 280 -
 第3番 変ロ長調 K. 281 -
 第4番 変ホ長調 K. 282 -
 第5番 ト長調 K. 283 -
 第6番 ニ長調 K. 284 -
 第7番 ハ長調 K. 309 -
 第8番 イ短調 K. 310 -
 第9番 ニ長調 K. 311 -
 第10番 ハ長調 K. 330
アルトゥール・バルサム(P)
Recording date : 1962
Length : 02:21:50
Original edition : L'Oiseau-Lyre OL 252-254

アルトゥール・バルサムほど「作品に奉仕する」という言葉が似合うピアニストは少ない。自己主張を前面に押し出すことなく、モーツァルトが書いた旋律や和声をそのまま自然に息づかせていく演奏は、何度聴いても飽きることがない。L'Oiseau-Lyreらしい端正な録音も相まって、初期ソナタから《トルコ行進曲》を含む第10番まで、一曲一曲の個性が実に鮮やかに浮かび上がる。華麗さではなく知性と品格で勝負した、モーツァルト・ピアノ演奏史の隠れた名全集と呼ぶにふさわしい内容である。
 

fr 983
ベートーヴェン:七重奏曲 変ロ長調 op. 20
 Recording date : 1996
ドヴォルザーク:
 4つの小品 op. 75a, B. 149
  2つのヴァイオリンとヴィオラのための
   Recording date : 2000
アンサンブル・スタニスラス
(アレクシス・ガルペリーヌ, violon -
 ジー・リー, violon -
 ポール・フェントン, alto -
 ジャン・ド・スペングレール, violoncelle -
 サンドリーヌ・ヴァウトリン, contrebasse -
 フィリッペ・モワネ, clarinette -
 ピエール・リフォール, cor -
 ニコラス・タッチ, basson)
Length : 00:58:33

Forgottenには珍しく比較的新しい録音だが、その内容は実に充実している。ベートーヴェンの《七重奏曲》は、古典派の均整と若き作曲家の伸びやかな創意に満ちた傑作。アンサンブル・スタニスラスは一人ひとりの個性を生かしながらも、全体として見事な一体感を築き、室内楽ならではの親密な対話を楽しませてくれる。併録のドヴォルザーク《4つの小品》も温かな歌に満ち、肩の力を抜いて味わえる佳演。派手さではなく、音楽する喜びそのものが伝わってくる一枚である。
 

fr 989
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 op. 69
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 op. 119
Cello : アンドレ・ナヴァラ
Piano : アルフレート・ホレチェク
Recording date : 1958
Length : 00:50:38
Original edition : Supraphon LPV 468

アンドレ・ナヴァラのチェロには、フランス人らしい気品とロシア的な力強さが不思議なほど共存している。ベートーヴェンでは豊かな歌心を保ちながら構築感を決して失わず、プロコフィエフでは一転して鋭いリズム感と現代的な緊張感を鮮やかに描き分ける。その自在な表現力はまさに巨匠の風格。アルフレート・ホレチェクとの息も実に自然で、二人が対等な立場で音楽を築き上げる姿が美しい。チェロ・ソナタというジャンルの奥深さを改めて教えてくれる名盤である。
 

fr 990
シベリウス:
 交響曲第2番 ニ長調 op. 43
  Recording date : 1958
 フィンランディア op. 26
  Recording date : 1956
サー・マルコム・サージェント指揮
BBC響
Length : 00:52:28
Original edition : His Master's Voice ALP 1639 et 7ER 5029

サージェントというと英国音楽の名手という印象が強いが、このシベリウスも実に魅力的だ。北欧的な冷たさよりも、交響曲全体を大きく歌わせる構成感が印象的で、第2番は終楽章へ向けて堂々たるスケールで築き上げられていく。《フィンランディア》も勇壮一辺倒ではなく、抒情と威厳のバランスが見事。BBC交響楽団の充実した響きも聴き応え十分で、イギリスにおけるシベリウス受容の高さを物語る歴史的録音としても興味深い一枚となっている。
 

fr 975
モーツァルト:
 ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調  K. 219
ラロ:スペイン交響曲 op. 21
 (4楽章版)
クリスチャン・フェラス(Vn)
ポール・パレ―指揮
デトロイト響
Recording date : 1960
Length : 00:50:01

フェラスのヴァイオリンは、ひとたび音が鳴っただけで誰とわかる。それほどまでに気品ある美音の持ち主だった。本盤でもモーツァルトでは優雅で伸びやかな歌を聴かせ、《スペイン交響曲》では一転して情熱と華やかさを存分に発揮する。しかもパレーとデトロイト響の引き締まった伴奏が実に見事で、独奏を支えるだけでなく作品全体に躍動感を与えている。フェラス全盛期の輝きを味わううえでも、ぜひ手元に置きたい一枚である。
 

fr 991
フォーレ:ピアノ三重奏曲 ニ短調 op. 120
ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調
トリオ・アルベネリ
Recording date : 1950
Length : 00:47:10
Original edition : Mercury MG 10089

フランス室内楽の精髄ともいうべき二つの名作を収めた実に贅沢なアルバム。フォーレでは晩年特有の内省的な美しさを丁寧に描き出し、ラヴェルでは色彩豊かな響きと緻密なアンサンブルで作品の魅力を余すところなく伝えている。トリオ・アルベネリは決して自己主張を競わず、三人が呼吸を合わせながら自然に音楽を育てていく。その品格ある演奏は、フランス室内楽本来の洗練を改めて実感させてくれる。静かに、しかし深く心へ染み入る名演である。
  

fr 992
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K. 453*
 ピアノ協奏曲第19番 ヘ長調 K. 459*
 ピアノ・ソナタ イ長調 K. 331
レオニード・ハンブロ(P)
ヴィクター・アレッサンドロ指揮*
オクラホマ・シティ響*
Recording date : 1954
Length : 01:17:00
Original edition : Allegro Royale 1602 et Remington 199-135

レオニード・ハンブロは派手なヴィルトゥオーゾではない。しかし、その端正で知的なピアニズムはモーツァルトと実によく調和する。協奏曲では軽やかなタッチと自然な歌が心地よく、オクラホマ・シティ響との素朴なアンサンブルも作品の魅力を引き立てている。さらに《トルコ行進曲》を含むK.331では、過度な装飾を避けながら作品本来の優雅さを丁寧に描写。華やかさよりも音楽そのものの美しさを味わわせてくれる、隠れたモーツァルト名盤である。
 

fr 996
ハイドン:
 ヴァイオリン協奏曲第4番 ト長調 Hob. VIIa. 4
   Recording date : 1950
 同第3番 イ長調 Hob. VIIa. 3 "De Melk"
  Violin : エディト・ベルトシンゲル
  Clavichord : クリスタ・フールマン
  コレギウム・ムジクム・ウィーン管
   Recording date : 1951
 ホルン協奏曲 ニ長調 Hob. VIId. 3
  Horn : フランツ・コッホ
  Clavichord : エルナ・ハイラー
  ウィーン響
  Recording date : 1951
アントン・ハイラー指揮
Length : 01:03:53
Original edition : Haydn Society HS 9031 et HS 1017

アントン・ハイラーはオルガニストとして名高いが、古典派音楽への深い理解は指揮者としても一級品だった。本盤ではハイドンの協奏曲が持つ晴れやかな気品を自然なテンポで引き出し、作品本来の軽やかさと親しみやすさを存分に味わわせてくれる。エディト・ベルトシンゲルのヴァイオリン、フランツ・コッホのホルンも実に伸びやかで、ウィーンの伝統を感じさせる柔らかな響きが全編を包む。Haydn Society時代を代表する録音の一つとして、古典派ファンには見逃せない価値を持つアルバムである。




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