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フランス発、知られざる音源レーベル
Forgotten Records
その7 ~65アイテム

1CD-R\4200→\3790
2CD-R\7000→\5990



 埋もれた音源をCD-R復刻させているフランスのレーベル「Forgotten Records」。日本でも一部のCD-R製作レーベルががんばっているが、ここのラインナップも魅力的。知らない名前がガンガン出てくる。
 一般に馴染みの薄い、しかしマニアックな音源が中心なのがやはりフランス。価格はかなり高いが品質がよく、日本のマニアの受けもかなりいい。





特におすすめの一枚
バルトーク、コダーイに学び、ブルーノ・ワルターにも師事した巨匠セバスティアンが、フランス放送管を振ったブルックナー

fr 1227
下でも登場します
ジョルジュ・セバスティアン指揮&フランス放送管
 ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」
ジョルジュ・セバスティアン指揮
フランス放送管
 Recording: 1958
 Length: 00:54:58

 ハンガリー出身のジョルジュ・セバスティアンは、オペラ指揮者として高く評価されながら、交響曲録音は意外なほど少なく、本盤はその隠れた実力を知る絶好の一枚です。フランス放送管を率いたこの《ロマンティック》では、ドイツ的な重量感よりも透明感と流動性を重視した独自のブルックナーを展開。重苦しさとは無縁のしなやかな歌心が全曲を貫き、木管の美しさや弦の柔らかな響きも印象的です。フランスのオーケストラだからこそ生まれた、他ではなかなか聴けないブルックナー像と言えるでしょう。




 ハンガリーに生まれ、ブダペストでバルトーク、コダーイに学び、その後ミュンヘンでブルーノ・ワルターの薫陶を受けたジョルジュ・セバスティアン。
 戦後はパリ・オペラ座を中心に活躍した名指揮者ですが、交響曲録音は意外なほど多くありません。そんな彼が1958年、フランス放送管と残したブルックナー第4番《ロマンティック》がこれ。中欧的な構築感を土台にしながら、響きは重く沈まず、フランスのオーケストラらしい透明感としなやかさが全編を貫きます。演奏時間も約55分と引き締まり、荘重さより流れと歌を重視した独特のブルックナー。
 「こんなブルックナーがあったのか」と耳を奪われる、Forgottenならではの一枚です。







<第97号 紹介アイテム>


fr 1219
メシアン:トゥーランガリラ交響曲 イヴォンヌ・ロリオ (piano) ,
ジャンヌ・ロリオ (ondes martenot)
ハンス・ロスバウト指揮
北ドイツ放送響
 Recording: 1958
 Length: 01:15:34

 メシアン作品を語るうえで、ハンス・ロスバウトほど信頼できる存在はありません。20世紀音楽の最前線を歩み続けた名匠は、作曲家たちからも絶大な信頼を集め、新作初演にも数多く携わりました。この1958年録音は、《トゥーランガリラ》がまだ「現代音楽」として恐れられていた時代の貴重な証言。ロリオ姉妹という理想的な布陣を迎え、複雑極まりない巨大作品を驚くほど自然な流れで描いています。後年の豪壮な名演とは異なり、作品そのものの神秘性や官能性がむき出しになった演奏であり、メシアン演奏史を語るうえでも欠かすことのできない歴史的録音です。
 

fr 1225
ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調(原典版) ジークムント・フォン・ハウゼッガー指揮
ミュンヘン・フィル
 Recording: 1938
 Original edition: His Master's Voice DB 4515-21
 Length: 00:55:23

 ブルックナー演奏史を知る人なら、この名前だけで胸が高鳴るでしょう。ジークムント・フォン・ハウゼッガーは、まだブルックナー演奏の伝統が生きていた時代を知る最後の巨匠の一人。本盤は1938年録音という年代以上に、その様式の古さが魅力です。現代のように均整を整えるのではなく、巨大なフレーズを自在に伸縮させながら音楽を築き上げる語り口には、まるでワーグナーを指揮しているかのような濃密なロマン主義が息づいています。戦前ドイツのブルックナー美学を体感できる、資料的価値も極めて高い一枚です。
 

fr 1226
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 OP. 61
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 OP. 77
アルバート・スポルディング(violon)
ヴィルヘルム・ロイブナー指揮
オーストリア響
(Tonkunstler-Orchester Niederosterreich)
 Recording: 1952
 Original edition: Remington R-199-144 et R-199-145
 Length: 01:19:27

 アルバート・スポルディングは20世紀前半を代表するアメリカの大ヴァイオリニストでありながら、今日ではその名を目にする機会は決して多くありません。しかし、その演奏はヴィルトゥオーゾ的な華やかさよりも、作品を端正に歌わせる知性と品格に満ちています。本盤ではベートーヴェンとブラームスという二大協奏曲を実に自然体で弾き切り、聴き手は技巧を意識することなく音楽そのものへ引き込まれます。1950年代らしい温かみある録音も魅力で、往年の名手たちが持っていた「歌うヴァイオリン」の伝統を味わえる貴重な復刻です。
 

fr 1227
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」 ジョルジュ・セバスティアン指揮
フランス放送管
 Recording: 1958
 Length: 00:54:58

 ハンガリー出身のジョルジュ・セバスティアンは、オペラ指揮者として高く評価されながら、交響曲録音は意外なほど少なく、本盤はその隠れた実力を知る絶好の一枚です。フランス放送管を率いたこの《ロマンティック》では、ドイツ的な重量感よりも透明感と流動性を重視した独自のブルックナーを展開。重苦しさとは無縁のしなやかな歌心が全曲を貫き、木管の美しさや弦の柔らかな響きも印象的です。フランスのオーケストラだからこそ生まれた、他ではなかなか聴けないブルックナー像と言えるでしょう。


 

fr 1228
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調「田園」 OP. 68
 Recording: 1957
シューベルト:交響曲ホ長調 D. 729
 Recording: 1959
ウジェーヌ・ビゴ指揮
フランス放送管
 Length: 01:19:43

 ウジェーヌ・ビゴといえばフランス音楽の名指揮者という印象が強いかもしれません。しかし、この《田園》を聴けば、そのイメージは一変します。全体に流れるのは過度な感傷を排した爽やかな歌と、極めて自然な呼吸。フランス放送管の透明な響きを生かしながら、ベートーヴェンの自然観を軽やかに描き出しています。併録されたシューベルトの幻の交響曲D729も大きな魅力で、現在でも録音が少ない作品だけに、この一枚の資料的価値は非常に高いと言えるでしょう。
 

fr 1229
ブロッホ:シェロモ*
 Recording: 1952
ソーゲ:交響曲第1番「贖罪」"
 Recording: 1948
エルネスト・ブール指揮
フランス国立放送管
モーリス・マレシャル(violoncelle)*
 Length: 01:04:19

 《シェロモ》の独奏を務めるモーリス・マレシャルは、カザルスと並び称された20世紀フランス・チェロ界の伝説的存在。本録音では人生を語るような深い音色でブロッホの世界を描き尽くします。そして指揮は若きエルネスト・ブール。後年の現代音楽のスペシャリストとしての姿とは異なり、ここでは濃厚なロマン性を存分に発揮しています。さらに併録されたソーゲの交響曲という珍しいレパートリーもForgottenならでは。歴史的名演と未知の作品が共存する、実に魅力的な一枚です。
 

fr 1230
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」 (1919)
ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調*
ストラヴィンスキー:詩篇交響曲
ニコライ・マルコ指揮
デンマーク放送響
イダ・ヘンデル(violon)*
 Recording: 1959
 Length: 00:58:25

 ニコライ・マルコは、北欧楽壇を代表する名匠でありながら、録音では意外なほど忘れられた存在です。この《火の鳥》では色彩感覚の鋭さと、無駄を削ぎ落とした引き締まった構成美が実に見事。デンマーク放送響の透明なサウンドも作品の幻想性を引き立てています。さらにイダ・ヘンデル独奏によるヴァイオリン協奏曲、そして《詩篇交響曲》まで収めた充実の内容。ストラヴィンスキー初期・中期を一枚で俯瞰できる、隠れた名盤として注目したい復刻です。
 

fr 1231
サン=サーンス:交響曲第2番 イ短調 OP. 55
 パリ音楽院管
  Recording: 1959
ケクラン:交響曲第1番 OP. 57 BIS
 フランス放送管
  Recording: 1958
マニュエル・ロザンタール指揮
 Length: 01:05:32

 マニュエル・ロザンタールはラヴェルの弟子として知られますが、フランス近代音楽の伝統を最も自然に受け継いだ指揮者でもあります。本盤最大の魅力は、演奏機会の少ないサン=サーンス第2交響曲とケクラン第1交響曲を並べた大胆な構成。特にケクラン作品は現在でも録音が限られ、フランス放送管によるこの演奏は貴重な一次資料と言える存在です。華やかな印象だけではない、フランス交響曲の奥深さを再発見させてくれる価値あるアルバムです。
  

fr 1232
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 OP. 61 アンリ・メルケル (violon)
モーリス・ソーレ指揮
リール放送響
 Recording: 1953
 Length: 00:42:43

 アンリ・メルケルは、戦後フランス・ヴァイオリン界を代表した名手でありながら、現在では知る人ぞ知る存在となっています。この1953年録音には、フランス楽派特有の気品ある音色と、決して力任せにならない洗練された音楽づくりが見事に刻まれています。ベートーヴェンの構築性よりも歌心を重視した解釈は、ドイツ系の演奏とはまったく異なる魅力を放ち、同じ作品とは思えないほど柔らかく美しい世界を作り上げています。Forgottenらしい「埋もれた名手」の代表格と言える一枚でしょう。
 

fr 1233
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 OP. 77
 Recording: 1958
ルネ・ベネデッティ (violon)
デジレ=エミール・アンゲルブレシュト指揮
フランス国立放送管
ミヨー:ヴァイオリンとピアノのためのシネマ・ファンタジー OP. 58B
  (屋根の上の牛による)
  Recording: 1961
ルネ・ベネデッティ (violon) ,
ジャクリーヌ・デュソル (piano)
 Length: 00:45:33

 ルネ・ベネデッティは、戦後フランス・ヴァイオリン界の中心的人物でありながら、国際的なディスコグラフィでは驚くほど埋もれてしまった名演奏家です。本盤ではアンゲルブレシュト指揮のフランス国立放送管とともに、ブラームスを重厚さよりも流麗な歌として描写。フランス音楽を思わせるしなやかな音色が作品に新鮮な表情を与えています。さらにミヨー《シネマ・ファンタジー》という珍品まで収録され、名曲と稀少作品を一度に楽しめるForgottenらしい実に贅沢な復刻盤です。
 

fr 1235
ハイドン:交響曲第88番 ト長調 HOB.I/88「V字」*
 Recording: 1961
シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D. 759「未完成」
 Recording: 1956
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
 Recording: 1956
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番 ヘ短調 OP. 10
 Recording: 1956
ヴラディミール・ゴルシュマン指揮
フランス国立放送管*
フランス放送フィル
 Length: 01:17:55

 ハイドンからショスタコーヴィチまで、時代も国籍も異なる4作品を一枚に収めた、まさにゴルシュマンの芸域を知るためのアルバム。軽快な機知が求められるハイドン、深い歌をたたえたシューベルト、精妙な色彩のラヴェル、そして若々しい毒気と疾走感を放つショスタコーヴィチ。そのどれにも共通するのは、音楽を停滞させない鮮やかな推進力である。フランスのオーケストラから明晰な輪郭と洒脱な響きを引き出し、作品ごとの表情をくっきり描き分ける。ゴルシュマンという指揮者の柔軟さとセンスが凝縮された、聴き比べの楽しさに満ちた一枚。
 

fr 1239
チャイコフスキー:交響曲第2番 ハ短調 OP. 17「小ロシア」
 Recording: 1953
ウォード:交響曲第3番 (1950)
 Recording: 1954
スタイン:ハシディックの3つの踊り (1940-41)
 Recording: 1954
ソーア・ジョンソン指揮
シンシナティ響
 Original edition: Remington R-199-187 et R-199-185
 Length: 01:09:28

 チャイコフスキーの《小ロシア》に、ロバート・ウォードの交響曲第3番、レオン・スタインの《ハシディックの3つの踊り》を組み合わせた、Remingtonらしい大胆な選曲が魅力。ソーア・ジョンソンは華美な演出に頼らず、作品のリズムと骨格を明快に示しながら、シンシナティ響から力強く素朴な歌を引き出している。《小ロシア》の民族的な躍動に続き、20世紀アメリカ作品の異なる個性が次々と現れる構成は実に刺激的。名曲を入口に、ほとんど顧みられない作品へ自然に導いてくれる、Forgottenならではの発見に満ちたアルバムである。
 

fr 1241
メンデルスゾーン:
 弦楽五重奏曲第1番 イ長調 OP. 18
 弦楽五重奏曲第2番 変ロ長調 OP. 87
ヴァルター・ゲルハルト(alto)
パスカルQ
 Recording: 1953
 Original edition: Concert Hall CHS 1172
 Length: 00:59:11

 メンデルスゾーンの室内楽を語る際、弦楽四重奏曲や八重奏曲の陰に隠れがちな2つの弦楽五重奏曲。しかしここには、若き日の瑞々しい情熱から晩年の緊張感まで、作曲家の変化が鮮やかに刻まれている。パスカル四重奏団にヴィオラのヴァルター・ゲルハルトを加えた演奏は、厚みある響きを保ちながらも決して重くならず、五つの声部がしなやかに絡み合う。旋律の優美さだけでなく、内声の動きや対位法の妙まで自然に浮かび上がるのが素晴らしい。メンデルスゾーン室内楽の奥深さを再発見させる、端正にして熱い名演。
 

fr 1242
ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」
 フランス国立放送管
  Recording: 1954
コダーイ:夏の夕べ
 フランス国立放送管
  Recording: 1951
コダーイ:ガランタ舞曲
 ストラスブール室内管
  Recording: 1957
ストラヴィンスキー:協奏的舞曲
 バーデン=バーデン南西ドイツ放送響
  Recording: 1953
エルネスト・ブール指揮
 Length: 01:19:05

 エルネスト・ブールというと戦後現代音楽の名匠という印象が強いが、本盤ではその卓越した色彩感覚とリズム感が、幅広いレパートリーで存分に発揮されている。《展覧会の絵》ではラヴェルの精緻な管弦楽法をくっきりと浮かび上がらせ、コダーイでは民族的な歌と舞曲の生命力を鮮やかに引き出す。さらにストラヴィンスキー《協奏的舞曲》では、後年のブールを思わせる明晰さと鋭い造形感が際立つ。異なるオーケストラ、異なる録音年を貫いて、ブールの知的で無駄のない指揮が一貫しているのが実に興味深い。
 

fr 1243/4
(2CD-R)
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番 ヘ短調 OP. 10
 Recording: 1954
ショスタコーヴィチ:組曲「黄金時代」 OP. 22A
 Recording: 1954
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 OP. 47
 Recording: 1959
ハワード・ミッチェル指揮
ワシントン・ナショナル響
 Original edition: Westminster WL 5319 et RCA LSC 2261
 Length: 01:32:45

 ハワード・ミッチェルとワシントン・ナショナル響によるショスタコーヴィチ集。若き天才の鋭い諧謔と爆発力を刻んだ第1番、社会的緊張と巨大なドラマを抱えた第5番、その間に《黄金時代》の鮮烈な舞曲を配した構成が実に面白い。ミッチェルの指揮は作品を必要以上に重くせず、リズムの切れ味と管弦楽の色彩を前面に押し出す。そのためショスタコーヴィチ特有の皮肉やグロテスクなユーモアが、驚くほど生々しく立ち上がる。1950年代アメリカにおけるショスタコーヴィチ受容を知るうえでも貴重な、充実の2枚組である。
  

fr 1245
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 OP. 67「運命」
 Recording: 1960
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 OP. 92
 Recording: 1957
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響
 Length: 01:04:40

 シャルル・ミュンシュのベートーヴェンは、ドイツ的な重厚さよりも、燃え上がるような推進力と瞬発力が魅力。《運命》では冒頭から緊張が途切れず、音楽が猛烈な勢いで終楽章の解放へ向かう。一方、第7番ではリズムが脈打ち、オーケストラ全体が巨大な舞踏の渦へと巻き込まれていく。ボストン響の華麗な金管と俊敏な弦も圧倒的で、整然とした構築よりも、ライヴさながらの熱気が前面に出る。ミュンシュならではの危ういほどの高揚感が、ベートーヴェンの生命力をむき出しにする、実に痛快なカップリング。
 

fr 1247
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 OP. 23
 ミヒャエル・・ギーレン指揮
 ウィーン国立歌劇場管
  Recording: 1959
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 OP. 16
 ハンス・スワロフスキー指揮
 ウィーン・プロ・ムジカ管
 Recording: 1958
フェリシア・ブルメンタール (piano)
 Original edition: Vox STPL 511.510 et STPL 511.780
 Length: 01:01:24

 フェリシア・ブルメンタールが弾く二大ロマン派協奏曲。彼女の魅力は、力で圧倒するのではなく、明晰なタッチと豊かな歌心によって音楽を自然に語らせるところにある。チャイコフスキーでは華やかな技巧の奥にある繊細な抒情を丁寧にすくい上げ、グリーグでは北欧的な透明感と親密な旋律美を引き出す。しかも伴奏がギーレンとスワロフスキーという、性格の異なる二人の名指揮者なのも興味深い。名曲を聴き慣れた耳にも新鮮な表情を届けてくれる、ブルメンタール再評価にふさわしい一枚。
 

fr 1246
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 OP. 77
 Recording: 1960
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 OP. 73
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響
ジェイコブ・クラクマルニック(violon)
 Recording: 1960
 Length: 01:18:59

 ミュンシュとボストン響によるブラームスを、協奏曲と交響曲で味わえる贅沢な一枚。ヴァイオリン協奏曲では、コンサートマスターを務めたジェイコブ・クラクマルニックが、華美に走らず、端正で芯の強い独奏を聴かせる。ミュンシュの伴奏も重苦しさを避け、呼吸の大きな流れの中で独奏を包み込む。一方、交響曲第2番では、ボストン響の明るく艶やかな響きが作品の牧歌的な面を鮮やかに照らし出す。濃厚さよりも躍動と歌を重んじた、爽快で人間味あふれるブラームスである。
   

fr 1251/2
(2CD-R)
マーラー:交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」 ハンス・ロスバウト指揮
ベルリンRIAS響
 Recording: 1953
 Original edition: Urania URLP 405
 Length: 01:20:49

 マーラー第7番がまだ難解な異形の作品と見なされていた1953年、ロスバウトはその複雑な構造を驚くほど明晰に読み解いていた。夜の闇をさまよう第1楽章、幻想的な二つの《夜曲》、不気味なスケルツォ、そして突然まばゆい光へ転じる終楽章。各場面を感情的に誇張せず、冷静な造形力で組み立てることで、作品に潜む奇怪さがむしろ鮮烈に浮かび上がる。後年の巨大編成による華麗な演奏とは異なり、鋭く乾いた緊張が全編を支配する。マーラー演奏史の先駆者ロスバウトの慧眼を示す、極めて重要な記録。
    

fr 1257
ベートーヴェン:交響曲第9番 OP. 125「合唱」 ドナルド・ベル (basse-baryton) ,
エラ・リー (soprano) ,
フローレンス・コプレット (contralto) ,
ジョン・クレーン (tenor)
ポール・パレ―指揮
ラッカム交響合唱団
デトロイト響
 Recording: 1962
 Length: 00:58:49

 ポール・パレーとデトロイト響による《第九》は、演奏時間58分台という引き締まった造形がまず目を引く。そこには荘重な儀式性よりも、音楽を一気に前へ押し進める圧倒的なエネルギーがある。各楽章は明晰で、リズムは鋭く、終楽章の声楽陣と合唱も過度に重くならず、歓喜の爆発へ一直線に突き進む。フランス人指揮者ならではの透明な管弦楽処理と、デトロイト響の輝かしい機能性が結びついた、実に爽快な《第九》。重厚長大な名演とはまったく異なる角度から、作品の革命性を突きつける一枚である。




<第94号 紹介アイテム>


fr 1162
シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 op. 39*
 Recording: 1943
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op. 43+
 Recording: 1942
トゥール・マン指揮
ストックホルム放送響*
ストックホルム楽友協会管+
Original edition: Capitol P 8020 et P 8107
Length: 01:17:01

 1942年と43年、まさに戦時下の北欧で刻まれたシベリウス初期交響曲の貴重な記録。第1番では、荒涼とした空気を切り裂くクラリネットから、若き作曲家の激しい情熱がむき出しになり、第2番では民衆的な歌と雄大な高揚が堂々と築かれていく。華麗な音響美を競う後世の名盤とは異なり、ここには作品が生まれた土地の厳しい風土と、音楽を生きた言葉として伝えようとする切実さがある。シベリウス演奏の源流へ直接触れるような、歴史の重みを帯びた二大交響曲である。
 

fr 1163
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op. 68
 Recording: 1962
アンタル・ドラティ指揮
フランス国立放送管
ブラームス:
 二重協奏曲 イ短調 op. 102
  Recording: 1961
アンリ・ブロンシュワク (violon) ,
ジャック・ネイルズ (violoncelle)
モーリス・ル・ルー指揮
フランス国立放送管


 ドラティがフランス国立放送管を率いたブラームス第1番と、モーリス・ル・ルー指揮による二重協奏曲という、実に興味深い組み合わせ。交響曲ではドラティならではの引き締まった構成と推進力によって、重厚一辺倒ではない、緊張感あふれるブラームスが立ち上がる。一方の二重協奏曲では、ヴァイオリンとチェロが互いに競うのではなく、時に寄り添い、時に鋭く応答しながら晩年の複雑な情感を描いていく。同じオーケストラから二つの異なるブラームス像が現れる、聴き比べの妙味に満ちた一枚。
  

fr 1164
バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 Sz 95, BB 101
 エーリッヒ・ラインスドルフ指揮
 ボストン響
  Recording: 1962
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 Sz 119, BB 127
 オイゲン・ヨッフム指揮
 フランス国立放送管
  Recording: 1960
ゲザ・アンダ(P)


 峻烈な第2番と、透明な抒情に満ちた第3番。バルトークのピアノ協奏曲における両極を、ゲザ・アンダが見事に弾き分ける。第2番では複雑なリズムと打楽器的なピアノ書法を鮮やかに処理しながら、決して冷たい技巧に終わらない強靱な生命力を聴かせる。一方、第3番では角の取れた柔らかな音色によって、晩年の作曲家が求めた穏やかな光を丁寧にすくい上げる。ラインスドルフとヨッフムという個性の異なる指揮者との共演も興味深く、アンダの知性と詩情の幅広さを一枚で味わえる。
 

fr 1167
ハイドン:交響曲第98番 変ロ長調 Hob. I/98
  Recording: 1960
ハイドン:交響曲第100番 ト長調 Hob. I/100「軍隊」
  Recording: 1959
ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 op. 60
  Recording: 1961
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響


 燃焼度の高いロマン派演奏で知られるミュンシュが、ハイドンとベートーヴェンでどのような音楽を作るのか。答えは驚くほど明快で、生気にあふれている。ハイドンでは小さく整えることなく、機知や驚きを大胆なコントラストで打ち出し、《軍隊》の打楽器も祝祭的な迫力を放つ。ベートーヴェン第4番では、しなやかな歌と猛烈な推進力が結びつき、作品の若々しさが一気に解放される。端正な古典派という枠を超え、音楽が今ここで生まれるような歓喜を味わわせる、ミュンシュならではの刺激的な一枚。
 

fr 1168
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第4番 op. 44, n o 2
 Recording: 1950
チャイコフスキー:弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」 op. 70
 カートン・クーリー (alto) ,
 ナウム・ベンディツキー (violoncelle)
  Recording: 1950
ギレSQ
Original edition: Concert Hall D-7 et E-10
Length: 00:58:15

 優雅さの内側に熱い衝動を秘めたメンデルスゾーンと、濃密な情熱が全編にあふれるチャイコフスキー。この対照的な二作品を、ギレ四重奏団の端正で引き締まったアンサンブルが見事に結びつけている。メンデルスゾーンでは流麗な旋律の美しさだけでなく、各声部がせめぎ合う緊張感を鮮やかに描写。《フィレンツェの思い出》ではヴィオラとチェロを加えた豊かな響きの中から、ロシア的な歌と舞曲の熱気が立ち上がる。室内楽の洗練と激情、その両方を一度に堪能できる充実盤である。
 

fr 1169
モーツァルト:ピアノ協奏曲第14番 変ホ長調 K. 449
 Recording: 1951
モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K. 482
 Recording: 1951
パウル・バドゥラ=スコダ(P)
ジョナサン・スターンバーグ指揮
ウィーン響
Original edition: Oceanic OCS 22
Length: 00:58:15

 若きバドゥラ=スコダとウィーン響による1951年録音。第14番の親密な室内楽性と、第22番の華やかな管楽器書法という、異なる魅力を持つ二作品が、自然な呼吸の中で生き生きと奏でられる。バドゥラ=スコダのピアノは自己主張を押しつけず、旋律を素直に歌わせながら、オーケストラとの会話を何より大切にしている。ウィーン響の木管も柔らかく温かく、作品全体を包むような響きが美しい。技巧の誇示ではなく、モーツァルトを奏でる喜びそのものが伝わってくる、若々しく幸福な記録。
 

fr 1171
シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D. 759「未完成」*
 Recording: 1952
ショパン:ポーランド民謡による大幻想曲 op. 13
 ハンス・カン (piano)
  Recording: 1951
ドヴォルザーク:管楽セレナーデ op. 44, B.77
 Recording: 1951
オット―・アッカーマン指揮
チューリッヒ・トーンハレ管*
オランダ・フィル
Original edition: Musical Masterpiece Society MMS 51 - Concert Hall H-16
Length: 01:00:53

 《未完成》、ショパンの《ポーランド民謡による大幻想曲》、そしてドヴォルザークの管楽セレナーデ。編成も性格も大きく異なる三作品を、アッカーマンの自然体の音楽づくりでまとめた味わい深いアルバムである。《未完成》では悲劇を過度に強調せず、旋律の呼吸から静かな陰影を引き出す。ショパンではハンス・カンのピアノを柔軟に支え、ドヴォルザークでは管楽器の素朴な歌と屋外音楽のような開放感を楽しませる。名曲と珍しい作品が気負いなく並び、聴くほどに親しみが増す、古き良きレコード文化の香り漂う一枚。
 

fr 1173
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77
 Recording: 1958
ラロ:スペイン交響曲 op. 21
 Recording: 1960
クリスチャン・フェラス(Vn)
エルネスト・アンセルメ指揮
スイス・ロマンド管
Length: 01:04:51

 フェラスの高貴な美音と、アンセルメ率いるスイス・ロマンド管の透明な響き。その組み合わせだけでも心が躍る二大協奏曲集である。ブラームスでは、力で押し切るのではなく、長い旋律を息深く歌い上げながら、内に秘めた情熱をじわじわと燃え上がらせる。一方ラロでは、華麗な技巧と鮮やかな色彩が一気に解放され、フェラスの若々しい輝きが存分に発揮される。重厚なドイツ・ロマン派と南欧的な情熱を、同じ奏者がまったく異なる表情で描き分ける、フェラス全盛期の魅力に満ちた一枚。
 

fr 1172
ドホナーニ:セレナーデ ハ長調 op. 10
 Recording: 1954
フランセ:弦楽三重奏曲 ハ長調
 Recording: 1954
バークリー:弦楽三重奏曲
 Recording: 1954
ジャン・プーネ(Vn)
フレデリック・リドル(Va)
アントニー・ピーニ(Vc)
Original edition: Westminster WL 5316
Length: 00:51:44

 弦楽三重奏という、各奏者の力量と音楽性が裸のまま現れる編成に、三人の名手が挑んだ一枚。ドホナーニでは古典的な均整の中にハンガリー的な情熱が息づき、フランセでは機知と洒脱さが軽やかに弾ける。バークリーでは英国らしい節度の中に、20世紀的な緊張と陰影が浮かび上がる。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロがそれぞれ独立しながら、一瞬ごとに役割を交換していく緻密な対話は聴き応え十分。三曲三様の個性を通して、弦楽三重奏というジャンルの豊かさを再発見できる好企画である。
 

fr 1174
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op. 27
 Recording: 1947
ジーグマイスター:オザーク・セット
 Recording: 1945
ミトロプーロス指揮
ミネアポリス響
Original edition: RCA LM 1068 - Columbia ML 2123
Length: 00:59:48

 1947年のラフマニノフ第2番を、ミトロプーロスがどう描くのか。甘美な旋律に身を委ねる演奏ではなく、全曲を巨大なドラマとして押し進める緊張感と情熱が最大の魅力である。旋律は濃厚に歌われながらも決して停滞せず、終楽章へ向けて高まるエネルギーには凄まじいものがある。併録のジーグマイスター《オザーク・セット》は、アメリカ民俗音楽の素朴な色彩が楽しい珍品。ロシア後期ロマン派の大作とアメリカの郷土色豊かな作品を結びつけた、意外性と発見に満ちた復刻である。
 

fr 1179
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op. 21*
 ニキタ・マガロフ (piano)
  Recording: 1961
リスト:ファウスト交響曲
 (Version pour orchestre seul)
  Recording: 1954
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響
Length: 01:15:38

 ニキタ・マガロフを独奏に迎えたショパン第2番と、ミュンシュ指揮によるリスト《ファウスト交響曲》という、ロマン派の異なる表情を一枚に収めた興味深い組み合わせ。ショパンでは、マガロフの端正なタッチと気品ある歌が、若き作曲家の繊細な抒情を自然に浮かび上がらせる。一方、《ファウスト交響曲》ではミュンシュとボストン響が、作品の劇的な起伏と色彩を鮮烈に描き出す。親密な詩情と巨大な交響的ドラマ。ロマン派音楽の振幅を一度に味わえる、実に贅沢なカップリングである。
 

fr 1180
シューマン:交響曲第4番 ニ短調 op. 120 (1841年版)
 Recording: 1955
シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ op. 52*
 Recording: 1953
スタンリー・ポープ指揮
ロイヤル・フィル
ローレンス・コリングウッド指揮*
ロンドン響*
Original edition: Philips NBR 6004 - Parlophone PMC 1024
Length: 00:47:08

 後年の改訂版とは異なる、若々しく直接的な息遣いを残す1841年版のシューマン第4番。スタンリー・ポープは作品を必要以上に重くせず、楽章間を貫く衝動と流れを自然に引き出している。併録の《序曲、スケルツォとフィナーレ》も、交響曲ほど知られてはいないが、シューマンらしい熱気と幻想性を凝縮した魅力的な作品。二つの録音を通して、作曲家が交響的形式を模索していた時期の生々しい創作意欲が浮かび上がる。シューマンの「完成された名作」ではなく、「生まれつつある交響世界」を聴く一枚である。
 

fr 1181
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77
 クリスチャン・フェラス (violon)
  Recording: 1959
バルトーク:ヴィオラ協奏曲 Sz. 120, BB 128
 ジョセフ・デ・パスクアーレ (alto)
  Recording: 1960
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響
Length: 01:01:20

 クリスチャン・フェラスによるブラームスと、ジョセフ・デ・パスクアーレによるバルトーク。ヴァイオリンとヴィオラ、それぞれの名協奏曲をミュンシュとボストン響が支える充実の一枚である。ブラームスでは、フェラスの気品ある音色としなやかな歌が、作品の内面的な情熱を静かに燃え上がらせる。バルトークでは、ヴィオラの深く渋い響きが晩年作品の寂寥と温かさを丁寧に伝える。華やかな技巧と陰影豊かな抒情。弦楽器の異なる魅力を、対照的な二作品で味わえる好企画である。
 

fr 1184
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz. 116, BB 123
 Recording: 1957
ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
 Recording: 1957
ドビュッシー:海
 Recording: 1957
ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲
 Recording: 1957
ジョージ・セル指揮
クリーヴランド管
Length: 01:19:47

 1957年のセルとクリーヴランド管、その驚異的な機能性を一枚で堪能できる管弦楽作品集。バルトーク《管弦楽のための協奏曲》では各パートが鋭く立ち上がり、緻密な構造が明快に示される。ヒンデミットではリズムと対位法が精密に噛み合い、ドビュッシー《海》では曖昧さに流れず、光と波の動きが鮮やかな輪郭を伴って現れる。最後の《ラコッツィ行進曲》まで、演奏の集中力は一瞬も緩まない。セルの明晰な統率力とクリーヴランド管の精度が、異なる時代の作品を一本の鋭い線で結ぶ圧巻のアルバム。
 

fr 1188
ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調
 (1890年 シャルク版)
ワルター・ゲール指揮
オランダ・フィル
Recording: 1953

 ブルックナー第3番を1890年のシャルク版で聴けること自体が、この録音の大きな魅力。現在一般的に演奏される版とは異なる構成や響きを通して、この作品が長い時間をかけて姿を変えてきたことを実感させる。ワルター・ゲールは巨大な聖堂のように構えるのではなく、音楽を前へ進めながら、各楽章の劇的な対比を明快に描いている。重厚さだけに頼らないため、若きブルックナーの野心や、まだ荒削りな力強さが生々しく伝わる。作品の変遷そのものを味わう、資料的にも演奏的にも興味深い復刻である。
 

fr 1192
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op. 11
 Recording: 1957
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op. 21
 Recording: 1957
アビー・サイモン(P)
ユージン・グーセンス指揮
ロイヤル・フィル
Original edition: His Master's Voice ALP 1580
Length: 01:06:23

 アビー・サイモンの鮮やかな技巧と、ユージン・グーセンス率いるロイヤル・フィルの色彩豊かな伴奏によるショパン協奏曲全集。サイモンのピアノは明晰で輝かしく、細かなパッセージにも濁りがない。しかし単なる技巧の見せ場には終わらず、緩徐楽章では旋律を息長く歌わせ、若きショパンの夢見るような詩情を丁寧に描く。第1番の華やかさと第2番の親密な抒情、それぞれの個性も鮮やか。二曲を続けて聴くことで、作曲家の若々しい情熱と洗練を存分に味わえる。
 

fr 1194
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 61
 ジャック・ディボー指揮
 パリ音楽院管
  Recording: 1953
サン=サーンス:
 序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 op. 28
  Recording: 1951
 ハバネラ ホ長調 op. 83
  エドゥアルト・リンデンベルク指揮
  フランス国立放送管
   Recording: 1951
ヘンリク・シェリング(Vn)
Original edition: Odeon ODX-109, OD 1007
Length: 01:03:39

 1950年代初頭のシェリングを、ベートーヴェンとサン=サーンスで聴く貴重な一枚。ベートーヴェンでは、音楽の大きな流れを崩さず、一音一音を端正に積み上げる姿勢が印象的。静かな品格の中から、作品の精神性が自然に浮かび上がる。一方、《序奏とロンド・カプリチオーソ》と《ハバネラ》では、洗練された技巧と色彩感が一気に解放される。ドイツ古典派の深みとフランス作品の華やかさを、同じ奏者が鮮やかに弾き分ける。若きシェリングの完成された芸術性を伝える、見逃せない復刻である。
 

fr 1195
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op. 95「新世界より」
 Recording: 1956
スメタナ:モルダウ
 Recording: 1954
ウィルヘルム・シュヒター指揮
北西ドイツフィル
Original edition: Electrola JLX 503 et JLP 105
Length: 00:50:12

 《新世界より》と《モルダウ》という人気作品を、ウィルヘルム・シュヒターが引き締まった造形で描く一枚。過度な感傷や民族色の強調に頼らず、旋律を自然に歌わせながら、全体の構築を明快に保っている。《新世界》では各楽章の性格がくっきりと示され、とりわけ終楽章へ向かう推進力が心地よい。《モルダウ》も情景描写に流れず、川の流れそのもののように音楽が滑らかに進む。聴き慣れた名曲だからこそ、素直で端正な演奏の良さが際立つ、長く付き合える一枚である。
 

fr1197
シューベルト:「ロザムンデ」 op. 26, D. 797~序曲
 Recording: 1961
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 op. 98
 Recording: 1961
ワーグナー:「神々の黄昏」~管弦楽組曲
 Recording: 1961
エーリヒ・ラインスドルフ指揮
ボストン響
Length: 01:15:09

 シューベルト《ロザムンデ》序曲、ブラームス第4番、ワーグナー《神々の黄昏》管弦楽組曲という、ドイツ・ロマン派の広大な流れを一枚に収めたアルバム。ラインスドルフは作品ごとに表情を明確に変え、シューベルトでは軽やかな歌と劇場的な躍動を、ブラームスでは厳格な構成と深い陰影を、ワーグナーでは壮大な音響と劇的な高揚を引き出す。ボストン響の豊かな響きも大きな魅力。古典的な均整からロマン派の巨大なドラマへと至る道筋を、指揮者の確かな構築力で味わわせる。
 

fr 1200
モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K. 550
 Recording: 1952
モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K. 551「ジュピター」
 Recording: 1952
モーツァルト:セレナーデ第13番 ト長調 K. 525
 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
  Recording: 1951
モーリス・エウィット指揮
エウィット管
Original edition: Les Discophiles Francais DF 64 et 317.001
Length: 01:11:46

 モーツァルト後期交響曲の頂点と、親しまれ続ける《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》を収めた王道の一枚。しかし演奏は、現代の整然とした古典派演奏とは異なる、1950年代フランスならではの柔らかな香りをたたえている。第40番では哀しみを過剰に強調せず、流れるような旋律の中に陰影を宿し、《ジュピター》では晴れやかな響きと対位法の躍動を自然に描く。《アイネ・クライネ》も気取らず優雅。モーツァルトを大理石の彫像ではなく、呼吸する音楽として伝える、温かく親密な名演集である。
 

fr 1208
ベートーヴェン:
 ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op. 37
  バイロン・ジャニス (piano)
   Recording: 1962
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
 レナード・ペナリオ (piano)
  Recording: 1958
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響


 バイロン・ジャニスとレナード・ペナリオ、二人のアメリカを代表するピアニストを、シャルル・ミュンシュとボストン響が支える豪華な協奏曲集。ベートーヴェン第3番では、ジャニスの強靱な打鍵と大きな呼吸が、作品の暗い緊張と英雄的な推進力を鮮やかに描く。一方、リスト第1番ではペナリオの華麗な技巧が炸裂し、ミュンシュもオーケストラを自在に煽って、作品の劇場的な魅力を全開にする。同じ指揮者と楽団を背景に、二人のピアニズムの違いまで楽しめる、実に贅沢な一枚である。
 

fr 1209
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op. 73*
リスト:交響詩第3番「前奏曲」
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ハインリヒ・ホルライザー指揮
トリエステ・フィル*
バンベルク響
Recording: 1956
Original edition: Pathe Vox VP 420 - Pantheon XPV 1006
Length: 01:09:47

 ブラームス、リスト、ワーグナーという19世紀ドイツ音楽の三つの異なる顔を、ホルライザーの確かな手腕で味わえる好企画。ブラームス第2番では、トリエステ・フィルから柔らかな歌と穏やかな陽光を引き出し、作品の牧歌的な美しさを自然に広げていく。《前奏曲》では一転して劇的な高揚と華麗な響きを、《ジークフリート牧歌》では親密で静かな幸福感を描き出す。オペラ指揮者として名高いホルライザーの、旋律を呼吸させる巧さと場面転換の鮮やかさが光る一枚。
 

fr 1215
チャイコフスキー:
 組曲第1番 ニ短調 op. 43
 同 第2番 ハ長調 op. 53
ワルター・ゲール指揮
ヴィンタートゥール響
Recording: 1951
Original edition: Concert Hall CHS 1121 et 1122
Length: 01:12:25

 交響曲やバレエ音楽の陰に隠れがちなチャイコフスキーの管弦楽組曲。しかしここには、彼の作曲技法と想像力が、より自由な形で解き放たれている。ワルター・ゲールは作品を大げさに盛り上げることなく、舞曲のリズム、洒脱なユーモア、繊細な色彩を丁寧に描き分ける。第1組曲の古典的な佇まいと、第2組曲の多彩で遊び心あふれる音楽が、それぞれ鮮明な個性をもって立ち上がる。チャイコフスキーの「もう一つの管弦楽世界」を知るための、実に味わい深い復刻である。
 

fr 1216/7
(2CD-R)
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲) シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響
Recording: 1957

 ミュンシュとボストン響による《ブランデンブルク協奏曲》全曲。今日の古楽器演奏とはまったく異なる、大編成オーケストラによる豊麗なバッハだが、そこには時代ならではの魅力がある。各協奏曲の性格を大胆なコントラストで描き、独奏楽器をくっきりと前面に出しながら、音楽全体を大きな呼吸で推し進める。第2番の輝かしさ、第3番の推進力、第5番の華やかな対話――どれも実に生命力豊か。歴史的演奏様式とは別の道から、バッハの祝祭性と躍動を伝える豪快な全集である。
 

fr 1218
J.S.バッハ:
 2台のピアノのための協奏曲 ハ長調 BWV 1061
  ジーナ・バッカウアー (piano) ,
  イローナ・カボス (piano)
  アレック・シャーマン指揮
   ロンドン管
   Recording: 1955
J.S.バッハ:
 ピアノ協奏曲第5番 ヘ短調 BWV 1056
  ジーナ・バッカウアー (piano)
  アレック・シャーマン指揮
   ロンドン管
    Recording: 1955
J.S.バッハ/ブゾーニ編:
 トッカータ ハ長調 BWV 564
  ジーナ・バッカウアー (piano)
  Recording: 0001
Original edition: His Master's Voice CLP 1111
Length: 00:45:47

 ジーナ・バッカウアーとイローナ・カボスという二人の強烈な個性が向き合う、2台ピアノ協奏曲がまず圧巻。重厚な響きと鋭いリズムが交錯し、バッハの対位法が巨大な建築物のように立ち上がる。バッカウアー独奏のヘ短調協奏曲では、厳格さの中に深い歌が流れ、ブゾーニ編《トッカータ》では近代ピアノの豊かな響きが一気に開花する。バロック作品を現代ピアノで大胆に再創造した、20世紀中盤ならではの堂々たるバッハ像が楽しめる一枚。




<第92号 紹介アイテム>


fr 1047
ホルスト:組曲「惑星」 サー・エイドリアン・ボールト指揮
ボストン響
Recording date : 1946
Length : 00:47:22

 《惑星》演奏史の中心人物、エイドリアン・ボールトが、ボストン響を指揮した1946年録音。作曲家自身と深い関わりを持つ指揮者だけに、各曲の性格づけは明快で、外面的な派手さよりも作品の構造と精神を重視している。《火星》の冷徹な行進、《金星》の静かな美しさ、《木星》の壮大な歌、《土星》の不気味な時間感覚――それぞれが過不足なく描かれる。ボストン響の豊かな響きが加わることで、英国的な節度とアメリカ的なスケールが結びついた、異色にして貴重な《惑星》となっている。
 

fr 1048
チャイコフスキー:交響曲第2番「小ロシア」
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ジュリーニ指揮
ボストン響
Recording date : 1962
Length : 01:14:39

 ジュリーニとボストン響という組み合わせで聴く、チャイコフスキー《小ロシア》とドヴォルザーク《新世界より》。二つの民族色豊かな交響曲を、ジュリーニは表面的な勢いや土俗性だけで描かず、長い旋律の呼吸と大きな構築感の中に置いていく。《小ロシア》では舞曲的な活力の奥にある抒情を、《新世界》では郷愁と雄大さを丁寧に引き出す。ボストン響の磨かれた響きも美しく、勢いよりも品格と深みを重んじた、ジュリーニらしい成熟した交響曲演奏である。
 

fr 1105
モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K. 201
 Recording date : 1951
モーツァルト:
 管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 K. 297b
  Horn : Louis Cortinat
  Clarinet : Maurice Cliquennois
  Hautbois : Jules Geotgheluck
  Basson : Rene Plessier
   Recording date : 1953
ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 op. 72
 Recording date : 1953
ベルリオーズ:序曲「リア王」 op. 4
 Recording date : 1951
エルネスト・ブール指揮
フランス国立放送管
Length : 01:13:29

 モーツァルト第29番、管楽のための協奏交響曲、ベートーヴェン《レオノーレ》第3番、ベルリオーズ《リア王》。古典派からロマン派へ至る流れを、エルネスト・ブールの明晰な指揮でたどる一枚である。モーツァルトでは軽やかな推進と透明な響きが魅力で、協奏交響曲ではフランス国立放送管の管楽器奏者たちが優雅な対話を繰り広げる。ベートーヴェンでは劇的な緊張が高まり、ベルリオーズでは色彩と幻想が一気に広がる。後年の現代音楽の名匠ブールの原点とも言える、鮮やかな管弦楽感覚が光る。
 

fr 1112
チャイコフスキー:
 交響曲第4番 ヘ短調 op. 36
 スラヴ行進曲 op. 31
 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
カレル・アンチェル指揮
ウィーン響
Recording date : 1958 Stereo
Length : 01:08:08
Original edition : Philips 698 023, 6833 032, 698 009

 アンチェルとウィーン響によるチャイコフスキー。鋭いリズム感と緊張感で知られるアンチェルが、ウィーン響の柔らかな響きを得て、独特の世界を作り上げている。第4番では運命の動機を過度に重くせず、全曲を切迫したドラマとして一気に進める。《スラヴ行進曲》は熱気に満ち、《ロメオとジュリエット》では悲劇的な情熱と美しい歌が鮮やかに交錯する。1958年のステレオ録音という点も魅力で、アンチェルの厳しさとウィーン的な色彩が出会った、異色の名演集である。
 

fr 1113
エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 op. 25「ルーマニア民族風」
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 op. 108
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 op. 121
セルジュ・ブラン(Vn)
ジョルジュ・エネスコ(P)
Recording date : 1952
Length : 01:12:54

 何より驚くべきは、エネスコ自身がピアノを弾いていること。セルジュ・ブランをヴァイオリンに迎え、自作の第3ソナタ《ルーマニア民族風》を演奏した1952年の貴重な記録である。独特の節回し、即興的な揺らぎ、民族音楽の香りが、作曲者自身の伴奏によって生々しく息づく。さらにブラームス第3番、シューマン第2番という重厚なソナタを組み合わせ、ブランの強靱な音楽性を存分に味わえる。作曲者の肉声に触れるようなエネスコと、ドイツ・ロマン派の深みが並ぶ、歴史的価値の高い一枚。
 

fr 1115
モーツァルト:
 ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調, K. 330
 同 第11番 イ長調 K. 331
 同 第14番 ハ短調 K. 457
 幻想曲 ハ短調 K. 475
 ロンド イ短調 K. 511
ヴィルヘルム・バックハウス(P)
Recording date : 1955
Length : 01:01:57
Original edition : Decca LXT 5167, SXL 2214

 バックハウスというと、まずベートーヴェンやブラームスを思い浮かべる方が多いだろう。しかし、このモーツァルトには、彼の芸術のもう一つの魅力が刻まれている。音を華美に飾らず、旋律の骨格と和声の移ろいをまっすぐに示すことで、K.330やK.331の親しみやすさの奥にある精巧な構造が浮かび上がる。ハ短調ソナタK.457と幻想曲K.475では、厳格な造形の中から深いドラマが立ち上がり、ロンドK.511では晩年モーツァルトの孤独な陰影が静かに広がる。巨匠の簡潔な語り口だからこそ、作品の本質が鮮明に伝わる一枚。
 

fr 1117
ベートーヴェン:
 交響曲第4番 変ロ長調 op. 60
  Recording date : 1957
 「コリオラン」序曲 op. 62
  Recording date : 1951
 「フィデリオ」序曲 op. 72b
  Recording date : 1957
 「レオノーレ」序曲第3番 op. 72a
  Recording date : 1957
 「エグモント」序曲 op. 84
  Recording date : 1951
ヴィレム・ファン・オッテルロー指揮
ハーグ・フィル
Length : 01:07:49
Original edition : Philips 663008 BR et S 06119 R

 交響曲第4番に、《コリオラン》《フィデリオ》《レオノーレ》第3番、《エグモント》という名序曲を組み合わせた、ベートーヴェンの劇的な魅力を凝縮したアルバム。オッテルローは第4番を軽快に流すだけでなく、序奏の静かな緊張から終楽章の猛烈な運動性まで、鮮やかな対照を作り上げる。序曲群では、短い時間の中に凝縮された悲劇、闘争、解放のドラマを明快に描写。ハーグ・フィルの引き締まった響きも心地よく、重厚一辺倒ではない、俊敏で劇場的なベートーヴェンを味わえる。
  

fr 1118
シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 D. 667「ます」
 パウル・バドゥラ=スコダ(P)
 Recording date : 1958
フランツ・シュミット:
 ピアノ五重奏曲 ト長調
  イェルク・デムス(P)
バリリSQ
Recording date : 1952
Length : 01:13:43
Original edition : Westminster XVN 14 074 et WL 5158

 ウィーン室内楽の名手たちが集った、実に贅沢なピアノ五重奏曲集。シューベルト《ます》では、バドゥラ=スコダの軽やかなピアノとバリリ四重奏団の柔らかな弦が溶け合い、音楽がまるで自然に会話を始めるように流れていく。一方、フランツ・シュミットのト長調五重奏曲では、イェルク・デムスを迎え、より濃密で陰影の深い世界へ。親しみやすいシューベルトと、録音機会の少ないシュミットを並べることで、ウィーンの室内楽伝統が持つ幅広さを実感させる。演奏家の顔ぶれだけでも心が躍る一枚である。
  

fr 1119
ルーセル:交響曲第4番 イ長調 op. 53
オネゲル:交響曲第5番「3つのレ」
ペドロ・デ・フレイタス・ブランコ指揮
フランス国立放送管
Recording date : 1960
Length : 00:46:41

 20世紀フランス交響曲の硬質な魅力を凝縮した、きわめて聴き応えのある組み合わせ。ルーセル第4番では、古典的な均整の中を鋭いリズムが駆け抜け、音楽は簡潔でありながら高い密度を保つ。オネゲル第5番《3つのレ》では、より重く、不穏な空気が支配し、各楽章末の打撃が深い余韻を残す。フレイタス・ブランコは両作品を過剰に色づけせず、構造と響きの輪郭を明確に提示。似ているようで異なる二人の作曲家の個性を、くっきりと対比させた価値ある一枚。
 

fr 1125
ハイドン:
 交響曲第45番 嬰ハ短調 Hob. I/45「告別」
  Recording date : 1961
 交響曲第100番 ト長調 Hob. I/100「軍隊」
  Recording date : 1957
 交響曲第101番 ニ長調 Hob. I/101「時計」
  Recording date : 1957
アンタル・ドラティ指揮
ロンドン響
Stereo
Length : 01:18:22
Original edition : Mercury SR 90280 et SR 90155

 ドラティのハイドンと聞けば、それだけで安心して手に取れる方も多いだろう。本盤には《告別》《軍隊》《時計》という人気交響曲が揃い、それぞれの機知と個性が鮮やかに描き分けられている。《告別》では不安と緊張を含んだ嬰ハ短調の響きを鋭く捉え、《軍隊》では打楽器の効果を大胆に生かし、《時計》では第2楽章の規則的なリズムを軽妙に運ぶ。ロンドン響の力強い演奏とMercury録音の明快さも大きな魅力。ハイドンのユーモアと革新性を、堂々たるスケールで味わえる。
  

fr 1130
シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 op. 104
リムスキー=コルサコフ:「金鶏」組曲
ディーリアス:川の上の夏の夜、奇想行進曲
サー・トーマス・ビーチャム指揮
ボストン響
Recording date : 1952
Length : 01:05:54

 シベリウス、リムスキー=コルサコフ、ディーリアスという、まったく異なる色彩世界をビーチャムの魔法で結びつけた一枚。シベリウス第6番では、透明で冷たい光の中を音楽が静かに流れ、力強さよりも清冽な抒情が印象に残る。《金鶏》では一転して、オーケストラの色彩が華やかに弾ける。ディーリアスでは、輪郭をぼかしながらも決して停滞しない、夢見るような時間が広がる。ボストン響の豊かな響きを自在に操り、三人の作曲家の幻想をそれぞれ異なる光で照らし出す、ビーチャムらしい魅惑の選曲。
  

fr 1131/2
(2CD-R)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲集(全曲) BWV 1007/1012 アントニオ・ヤニグロ(Vc)
Recording date : 1953
Length : 02:30:15
Original edition : Westminster W 9001/3

 1953年に刻まれたヤニグロのバッハ無伴奏全曲。そこにあるのは、後年の考証的な演奏とは異なる、チェロ一挺で巨大な精神世界を築こうとする強い意志である。音色は深く、フレーズは大きく歌われ、舞曲のリズムにも人間的な呼吸が息づく。第1番の開放感から、第5番の暗い緊張、第6番の輝かしい広がりまで、それぞれの組曲が明確な性格を持って立ち上がる。技巧を誇示するのではなく、楽器と音楽が一体となって語り続ける。往年のチェロ芸術の重みを伝える、堂々たる全曲録音である。
  

fr 1133
ウェーバー:
 カンタータ「戦いと勝利」 op. 44 (1815)
  Soprano : Lisbeth Schmidt-Glanzel
  Contralto : Eva Fleischer
  Tenor : Gert Lutze
  Bariton : Hans Kramer
  ヘルベルト・ケーゲル指揮
  ライプツィヒ放送管&合唱団
 交響曲第1番 ハ長調 op. 19
  ゲルハルト・プフリューガー指揮
  ライプツィヒ・フィル
Recording date : 1954
Length : 00:58:07
Original edition : Urania UR 7126 et URLP 239

 ウェーバーの名を《魔弾の射手》だけで知っているなら、この一枚は驚きに満ちている。カンタータ《戦いと勝利》は、独唱、合唱、オーケストラを動員した大規模な作品で、祝祭性と劇的な勢いが全編を貫く。若きケーゲルの鋭い統率によって、合唱と管弦楽が力強く結びつき、作品の熱気が生々しく伝わる。併録の交響曲第1番では、古典派の形式の中に、後の劇音楽作曲家を予感させる色彩と動きが見える。知られざるウェーバーの創作世界を一気に広げてくれる貴重盤。
  

fr 1135
ニールセン:ピアノのための組曲「堕天使」, op. 45
 ペーター・ザウアーマン(P)
  Recording date : 1997
ニールセン:
 弦楽四重奏曲第2番 ヘ短調 op. 5
  ムジカ・ヴィタリスQ
   Recording date : 1954
ホルンボー:弦楽四重奏曲第2番 op. 47
  ムジカ・ヴィタリスQ
   Recording date : 1954
Length : 01:13:06
Original edition : Decca LXT 5061

 ニールセンのピアノ組曲《堕天使》と弦楽四重奏曲第2番、さらにホルンボーの弦楽四重奏曲第2番を組み合わせた、北欧近代音楽の奥深さに触れる一枚。《堕天使》では、簡潔な書法の中に不穏さや皮肉が潜み、ザウアーマンの明晰な演奏が作品の鋭い輪郭を引き出す。二つの弦楽四重奏曲では、ニールセンの若々しい情熱と、ホルンボーのより引き締まった現代性が鮮やかに対照される。有名曲では見えにくい北欧音楽の実験精神と、素朴な歌心の共存を味わえる好企画。
   

fr 1138
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 op. 15
 Recording date : 1956
ブラームス:
 ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ op. 24
 Recording date : 1955
ダニエル・ワイエンベルク(P)
エルネスト・ブール指揮
バーデン・バーデン南西ドイツ放送響
Length : 01:17:09
Original edition : Ducretet-Thomson 320 C 118 et 320 C 084

 ブラームスの巨大なピアノ協奏曲第1番と、独奏曲の最高峰《ヘンデル変奏曲》を組み合わせた、ワイエンベルクの力量を存分に味わえる一枚。協奏曲では、荒々しい情熱に流されることなく、ピアノとオーケストラの複雑な関係を明快に築き上げる。ブールの指揮も鋭く、若きブラームスの野心と緊張を引き締まった響きで支える。《ヘンデル変奏曲》では、各変奏の性格を鮮やかに描き分けながら、最後のフーガへ向けて堂々たる構築を完成させる。知性と力強さを兼ね備えた、実に充実したブラームス集。
   

fr 1139
ブラームス:
 ワルツ op. 39
  Recording date : 1955
 8つのピアノ小品集 op. 76
  Recording date : 1954
 7つの幻想曲集 op. 116
  Recording date : 1954
ダニエル・ワイエンベルク(P)
Length : 01:13:35
Original edition : Ducretet-Thomson 320 C 084 et 320 C 067

 軽やかな《ワルツ》から、内省の深まるOp.76、そして晩年の孤独がにじむOp.116へ。ブラームスのピアノ音楽がたどった長い道のりを、ワイエンベルクの端正な演奏で一望できる一枚である。《ワルツ》では気品を失わない柔らかなリズムと親密な歌を聴かせ、後期作品では響きをむやみに重くせず、短い小品の中に凝縮された感情の揺れを丁寧に解きほぐしていく。激情を前面に出すタイプではない。しかし、音楽の構造を明晰に保ちながら、行間から静かな寂しさをにじませる語り口には、繰り返し聴くほど深まる味わいがある。
  

fr 1144
ブラームス:
 ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op. 83
 ハンガリー舞曲第1番、同第5番
ハンス・スワロフスキー指揮
ウィーン国立歌劇場管
エドゥアルド・ムラツェク(P)
Recording date : 1959
Length : 00:55:23
Original edition : World Record Club T 50

 交響曲にも匹敵する巨大なピアノ協奏曲第2番を、ムラツェクとスワロフスキーが堅実かつ堂々と描く。ピアノを華麗な独奏楽器として突出させるのではなく、オーケストラの一員として緻密に組み込み、四つの楽章を大きな流れの中で構築していくところが、この演奏の魅力である。第3楽章ではチェロとの親密な対話が静かな温かさを生み、終楽章では重厚さから解放された軽やかな表情が現れる。併録のハンガリー舞曲では一転してリズムが弾み、ウィーンのオーケストラらしい色気も顔をのぞかせる。
  

fr 1156
メンデルスゾーン:
 交響曲第4番 イ長調 op. 90「イタリア」*
  Recording date : 1947
ロッシーニ:序曲集+
 アルジェのイタリア女、セミラーミデ、
 チェネレントラ、ランスへの旅、イタリアのトルコ人
  Recording date : 1954
マリオ・ロッシ指揮
トリノ響*
ウィーン国立歌劇場管+
Length : 01:12:58
Original edition : Decca LX 3004 - Amadeo AVRS 6012

 これほど「イタリア」という言葉が似合う一枚も珍しい。メンデルスゾーンの《イタリア》では、マリオ・ロッシが作品の明るさと推進力を正面から解放し、終楽章のサルタレッロまで一気に駆け抜ける。1947年録音ならではの率直な熱気も魅力だ。一方、ロッシーニの序曲集では、歌劇場を知り尽くした指揮者らしく、序奏からクレッシェンドへ至る呼吸が絶妙。旋律はよく歌い、リズムは軽快で、ユーモアも決して大げさにならない。ドイツ人が夢見た南国と、イタリア人自身が描いた劇場の熱気を聴き比べる、実に楽しいアルバムである。
  

fr 1159
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」
 (1936年 ハース版)
ヘルマン・アーベントロート指揮
ライプツィヒ・フィル
Recording date : 1949
Length : 01:03:49
Original edition : Urania URLP 401

 1949年、戦後間もないライプツィヒで刻まれたアーベントロートの《ロマンティック》。今日の精密に磨かれたブルックナーとはまるで異なり、音楽は巨大な生き物のように呼吸し、テンポはその瞬間の感情に従って大胆に揺れ動く。第1楽章冒頭のホルンから、遠い森の記憶が呼び覚まされるような深い情趣が漂い、クライマックスではオーケストラが崩れ落ちる寸前まで燃え上がる。整然とした美しさより、音楽を生き抜こうとする切実さが前面に出た演奏。戦前のドイツ指揮伝統を戦後へつないだ、重い歴史を背負う記録である。
  

fr 1160
ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調
 (1876年 ノヴァーク版)
ゲルハルト・プフリューガ-指揮
ライプツィヒ・フィル
Recording date : 1952
Length : 01:13:47
Original edition : Urania URLP 239

 ブルックナーの交響曲の中でも、とりわけ厳格な構築を誇る第5番。ゲルハルト・プフリューガーは、この巨大な作品を荘厳さだけで覆わず、各声部の動きと対位法の積み重なりを明快に示していく。序奏から主部へ移る緊張、スケルツォの骨太な運動、緩徐楽章の沈思、そして終楽章で二つの主題が結びつく圧倒的な瞬間。全曲が巨大なフィナーレへ向けて組み立てられていることが、手に取るように伝わる。華麗なオーケストラ美よりも、作品の骨格そのものに迫った演奏であり、第5番の建築的な凄みを味わうには格好の復刻である。




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