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フランス発、知られざる音源レーベル
Forgotten Records
その8 ~60アイテム

1CD-R\4200→\3790
2CD-R\7000→\5990



 埋もれた音源をCD-R復刻させているフランスのレーベル「Forgotten Records」。日本でも一部のCD-R製作レーベルががんばっているが、ここのラインナップも魅力的。知らない名前がガンガン出てくる。
 一般に馴染みの薄い、しかしマニアックな音源が中心なのがやはりフランス。価格はかなり高いが品質がよく、日本のマニアの受けもかなりいい。






特におすすめの一枚
マーラー・ファンなら必ず聴きたくなると思う

fr 1439
ハロルド・バーンズ指揮&北西ドイツ放送放送交響楽団
 マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」
ハロルド・バーンズ指揮
北西ドイツ放送放送交響楽団


Recording: 1955年6月27日-29日、ハンブルク
Length: 01:17:27


 未完成に終わったマーラーの《交響曲第10番》についてのエピソードはご存知と思う。
 デリック・クックが、遺された草稿をもとに演奏可能な形へまとめたものの、マーラーの未亡人アルマは当初、その演奏を頑として認めず、自分のために用意された非公開の録音さえ、聴こうとしなかった。
 そこでアルマと親しかったある友人が、アルマを説得し、「まず一度だけ聴いてほしい」とテープを聴かせた。
 そして音楽を聴き終えたアルマはその場でクック版を認めた。
 こうして、長く封印されかけていたマーラー《第10交響曲》は、世に出る道を開かれることになったのである。

 そのアルマと親しかったある友人というのが・・・ハロルド・バーンズ。
 つまりこの演奏はそんな男が指揮したマーラーの6番というわけである。

******

 もちろんハロルド・バーンズ、ただものではない。

 ハロルド・バーンズ(Harold Byrns, 1903-1977)は、ドイツ出身の指揮者、作・編曲家。本名ハンス・ベルンシュタイン。
 ハノーファーに生まれ、シュテルン音楽院で学び、エーリヒ・クライバーやレオ・ブレッヒらの薫陶を受けた。卒業後は彼らの助手を務めながらドイツ各地の歌劇場で指揮し、1930年代にはウィーン交響楽団などに客演。マーラー作品の普及にも尽力した。

 1936年にアメリカへ移住してハロルド・バーンズと改名。ロサンゼルスを中心に活動する一方、ブロードウェイ・ミュージカルの編曲にも携わった。
 1949年にはロサンゼルス室内シンフォニーを結成し、現代作品を積極的に紹介。バルトーク《弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽》の初録音も行っている。

 戦後は欧米を往来し、1954年にはウィーン交響楽団を指揮してコルンゴルトの交響曲嬰ヘ長調を初演。編曲家としてもマーラー作品などを手がけた。
 マーラーへの思い入れは深く、1963年には未発表作品の演奏を禁じようとしたアルマ・マーラーを直接訪ね、声明撤回を説得している。





<第103号 紹介アイテム>


fr 1326
チャイコフスキー:交響曲第3番 ニ長調Op.29「ポーランド」*
 Recording: 1952
リムスキー=コルサコフ:
 ロシアの主題によるシンフォニエッタ イ短調 Op. 31
  Recording: 1949
 ピアノ協奏曲 嬰ハ短調 Op.30
  パウル・バドゥラ=スコダ (piano)
   Recording: 1951
ヘンリー・スウォボダ指揮
ウィーン歌劇場管*
ウィーン響
 Original edition: Concert Hall Society CHS 1139 - Westminster WL 508, WL 5068
 Length: 01:18:25
 チャイコフスキーの交響曲の中でも、第4番以降の劇的な世界に隠れがちな第3番。しかしこの作品には、若き作曲家ならではの伸びやかな旋律美と舞曲的な躍動感が満ちあふれています。指揮はヘンリー・スウォボダ。戦後ウィーン楽壇を支えた名匠らしく、作品を過度にロマンティックへ傾けることなく、古典的な均整と豊かな歌心を両立させています。併録のリムスキー=コルサコフ作品では、ロシア音楽特有の色彩感覚とウィーンの洗練が見事に融合。バドゥラ=スコダによる協奏曲も若々しい気品に満ち、この時代ならではの名演をまとめて味わえる魅力的な一枚です。
 

fr 1332/3
(2CD-R)
モーツァルト:
 交響曲第26番 変ホ長調 K. 184
   Recording: 1954
 交響曲第28番 ハ長調 K. 200
   Recording: 1954
 交響曲第29番 イ長調 K. 201
   Recording: 1954
 フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K. 299
  ジャン=ピエール・ランパル (flute) ,
  ドーラ・ワグネル (harpe)
    Recording: 1954
 交響曲第35番 ニ長調 K. 385「ハフナー」
   Recording: 1954
 交響曲第36番 ハ長調 K. 425「リンツ」
   Recording: 1954
 オーボエ協奏曲 ハ長調 K. 314
  ピエール・ピエルロ (hautbois)
   Recording: 1956
 ファゴット協奏曲 変ホ長調 K. 191
  ポール・オンニュ (basson)
   Recording: 1956
カール・リステンパルト指揮
ザール室内管
 Original edition: Les Discophiles Francais DF 117, DF 134, DF 135, EX 25069
 Length: 02:32:36
 カール・リステンパルトとザール室内管によるモーツァルト録音は、古楽器演奏が一般化する以前に生まれながら、驚くほど透明で軽やかな響きを実現した先駆的名演。本盤では中期交響曲から《ハフナー》《リンツ》、さらにランパル、ピエルロら名手を迎えた協奏曲まで収録。どの演奏にも重厚さよりも室内楽的な機動力と歌心が貫かれ、モーツァルト本来の若々しい生命力が自然に浮かび上がります。1950年代フランス録音黄金期の香りをたっぷり味わえる、リステンパルト芸術の集大成ともいえる貴重な2枚組です。
  

fr 1349
ハイドン:
 交響曲第88番 ト長調 Hob.I/88「V字」
  Recording: 1962
 トランペット協奏曲 変ホ長調 Hob.VII/1
  アドルフ・シェルバウム(trompette)
   Recording: 1958
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 Op.43
  Recording: 1955
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
北ドイツ放送響
 Original edition: Capitol P 18009
 Length: 01:18:54
 一見意外な組み合わせながら、シュミット=イッセルシュテットの音楽作りを知るには理想的なアルバム。ハイドンでは無駄を削ぎ落とした端正な構築美が際立ち、《V字》の機知と生命力を鮮やかに描き出します。シェルバウム独奏によるトランペット協奏曲も、伸びやかな音色と自然な歌い回しが魅力。そしてシベリウス第2番では一転、北欧的な透明感と雄大なスケールが広がり、決して感情過多にならない気高い終結へ導きます。一人の名匠が古典派から後期ロマン派まで一貫した美意識で描いた、隠れた名盤です。
 

fr 1354
ベートーヴェン:「エグモント」序曲 Op. 84
  Recording: 1953
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
  ギオマール・ノヴァエス(piano)
  Recording: 1953
ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」
アンドレ・クリュイタンス指揮
NYP
 Recording: 1953
 Length: 01:08:41
 フランス音楽の名匠という印象の強いクリュイタンスですが、このアルバムではドイツ・ロシア作品でも卓越した統率力を披露しています。ギオマール・ノヴァエス独奏によるシューマン協奏曲は、優雅さと芯の強さが絶妙に調和した美しい演奏。《展覧会の絵》では色彩感豊かな管弦楽を生かしながらも、決して絵画的効果だけに終わらない構築力が光ります。《エグモント》序曲も格調高く、ニューヨーク・フィルの豊麗なサウンドとの相性も抜群。クリュイタンス芸術の幅広さを改めて実感できる好企画です。
 

fr 1360
モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 K. 385「ハフナー」
 Recording: 1957
ドビュッシー:
  カンタータ「選ばれし乙女」
  Bidu Sayao (soprano) , Maureen Forrester (contralto)
  ウェストミンスター合唱団
   Recording: 1957
フランク:交響的変奏曲
  アルド・チッコリーニ (piano)
   Recording: 1957
オネゲル:ピアノ協奏曲  H. 55
  アルド・チッコリーニ (piano)
アンドレ・クリュイタンス指揮
NYP
 Recording: 1957
 Length: 01:02:23
 モーツァルトの《ハフナー》からドビュッシー、フランク、オネゲルまで、一枚でクリュイタンスの驚くべき芸域を堪能できる興味深い内容。《ハフナー》を端正で軽快にまとめながら、ドビュッシー《選ばれし乙女》では官能的な響きを引き出します。さらにチッコリーニ独奏による《交響的変奏曲》とオネゲル協奏曲では、フランス近代の洗練と知性が鮮やかに表現されます。一見雑多な選曲ながら、一人の指揮者の幅広い芸術性を見事に浮かび上がらせる内容です。
 

fr 1364/5
(2CD-R)
J.S.バッハ:管弦楽組曲全曲(第1番~4番)
 BWV 1066-1069
フリッツ・ライナー指揮
RCA室内グループ
ジュリアス・ベイカー (flute)
 Recording: 1952-1953
 Original edition: RCA LM-6012
 Length: 01:27:07
 フリッツ・ライナーというとシカゴ響での鋭利な名演がまず思い浮かびますが、本盤では驚くほど繊細で引き締まったバッハを聴かせます。現代楽器による演奏ながら、過度なロマン化とは無縁で、各声部が驚異的な明晰さで浮かび上がる演奏はまさにライナーならでは。名フルート奏者ジュリアス・ベイカーも美しい音色で華を添えています。古楽器時代以前の名演として今なお色あせず、20世紀バッハ演奏史を語る上でも重要な全集です。
 

fr 1368
ストラヴィンスキー:
 交響組曲「妖精の接吻」-ディヴェルティメント
  Recording: 1960
バルトーク:ピアノ協奏曲第1番 Sz 83, BB. 91
  ルドルフ・ゼルキン (piano)
   Recording: 1960
ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」
 Recording: 1960
フリッツ・ライナー指揮
NYP
 Length: 01:19:00
 ライナーの鋭いリズム感と完璧なオーケストラ統率力が存分に味わえる豪華プログラム。《妖精の接吻》では新古典主義の洗練、《展覧会の絵》では色彩豊かなオーケストレーションが鮮烈に響きます。そして圧巻はゼルキン独奏によるバルトーク第1協奏曲。ピアノとオーケストラが火花を散らすような緊張感に満ち、巨大な打楽器的エネルギーが一気に噴き出します。ライナー芸術の本質を一枚で味わえる充実盤です。
 

fr 1370
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
 Recording: 1959
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op. 35
 Recording: 1959
ジャニーヌ・アンドラード(Vn)
ハンス・ユルゲン・ヴァルター指揮
ハンブルク・プロムジカ響
 Original edition: Vega MT 10121 - Classic Club 3002
 Length: 01:16:20
 ジャニーヌ・アンドラードの魅力を存分に味わえる貴重な一枚。ブラームスでは優雅さと芯の強い構成感を両立させ、チャイコフスキーでは華麗な技巧と情熱を惜しみなく披露します。技巧を誇示することなく、常に自然な歌を大切にする演奏姿勢が実に魅力的。重厚で内省的なブラームスと、旋律が奔放に羽ばたくチャイコフスキーという二つの名協奏曲を、ひとりの奏者の異なる表情で味わえるのも大きな聴きどころです。録音数が限られているだけに、彼女の芸術に触れる機会としても価値の高い復刻です。
 

fr 1372
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」 ヨーゼフ・クリップス指揮
チューリヒ・トーンハレ管
 Recording: 1960
 Original edition: Guilde internationale du Disque MMS 2216
 Length: 00:43:14
 ヨーゼフ・クリップスといえばモーツァルトやベートーヴェンの名匠という印象が強いものの、この《悲愴》はその固定観念を覆す演奏。感情を過度に煽ることなく、作品本来の構造を丹念に描きながら、終楽章では静かな絶望が胸に深く染み入ります。チューリヒ・トーンハレ管も端正で透明感のある響きを聴かせ、ロシア作品をドイツ・オーストリア的な造形美の中で再構築したような独自の世界を築いています。知る人ぞ知る、味わい深い《悲愴》です。
 

fr 1373
メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90「イタリア」
 Recording: 1955
ルーセル:交響詩「フランドル狂詩曲」 Op. 56
 Recording: 1957
レ・フレム:管弦楽のためのスケルツォ
 Recording: 1955
ジャン・マルティノン指揮
フランス国立放送管
Length: 00:54:24
 ジャン・マルティノンの美点である色彩感覚と明晰な構成力が存分に発揮されたアルバム。《イタリア》交響曲では南国的な明るさとフランス音楽の洒落たエスプリが絶妙に融合し、終始軽やかな推進力に満ちています。さらにルーセル《フランドル狂詩曲》やレ・フレム作品では、20世紀フランス音楽特有の洗練された響きが実に魅力的。名曲と知られざる作品を自然につなぎ合わせた、Forgottenならではの価値ある一枚です。
 

fr 1378
ブラームス:
 交響曲第2番 ニ長調 Op.73
 大学祝典序曲 ハ長調 Op. 80
ヨーゼフ・クリップス指揮
チューリッヒ・トーンハレ管
 Recording:1960 STEREO
 Original edition: Guilde internationale du Disque MMS 2208
 Length: 00:49:04
 クリップスのブラームス、それも1960年ステレオ録音というだけで気になる一枚。重々しく構えたり必要以上に粘ったりせず、音楽の呼吸に任せて悠然と進んでいく第2交響曲。そこから浮かび上がるのは、この作品が本来持っていた牧歌的な明るさと、室内楽的な精妙さでしょう。チューリヒ・トーンハレ管の渋く落ち着いた響きも好ましく、《大学祝典序曲》まで収録。巨匠然としたブラームスとは一味違う、クリップスならではの温かなブラームスです。
 

fr 1399
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op. 67「運命」
 Recording: 1956
シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D. 759「未完成」
 Recording: 1956
シューマン:序曲「メッシーナの花嫁」 Op.100
 Recording: 1955
アーサー・ヴィノグラード指揮
ハンブルク・プロムジカ響
 Original edition: Parlophone PMC 1039, MGM E3437
 Length: 00:59:36
 これはいかにもForgottenらしい一枚。アーサー・ヴィノグラードは、もともとレナー弦楽四重奏団のチェリストだった人物。その室内楽的な感覚を持つ音楽家が、1950年代半ばに《運命》《未完成》という王道中の王道へ挑んだ記録です。巨大な響きで押し切るのではなく、各声部の動きが見え、音楽そのものが前へ進んでゆく感覚が面白い。さらにシューマンの珍しい《メッシーナの花嫁》序曲まで収録。有名曲だからこそ、今日とは違う1950年代の演奏様式を聴く楽しみがあります。
 

fr 1405
ドビュッシー:交響詩「海」*
 Recording: 1941
イベール:寄港地
 Recording: 1945
モートン・グールド:管弦楽のための黒人霊歌
 Recording: 1946
コープランド:リンカーンの肖像
 ケネス・スペンサー (recitant)
  Recording: 1946
アルトゥール・ロジンスキ指揮
クリーヴランド管*
NYP
 Original edition: Columbia ML-2005, Columbia ML-2093, Columbia ML-2042
 Length: 01:05:37
 これは凄い選曲です。ロジンスキが1941年にクリーヴランド管を振ったドビュッシー《海》を筆頭に、イベール《寄港地》、モートン・グールド、そして《リンカーンの肖像》まで。強烈な統率力を持ったロジンスキが《海》を振ると、夢幻的な色彩画というより、輪郭の鋭い巨大な交響作品として立ち現れてくるのが興味深いところ。後半には戦時下から戦後直後のアメリカを映すグールドとコープランド。1940年代のアメリカ音楽界そのものを封じ込めたような歴史的アルバムです。
 

fr 1410
チャイコフスキー:交響曲第2番 ハ短調 Op.17「小ロシア」
 Recording: 1946
ラフマニノフ:交響詩「死の島」 Op.29
 Recording: 1945
ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
 Recording: 1945
ディミトリ・ミトロプーロス指揮
ミネアポリス響
 Original edition: Columbia ML 4252, Columbia ML 4196
 Length: 01:06:41
 ミトロプーロスが1945~46年にミネアポリス響と残した、実に濃密なプログラム。まずチャイコフスキーの第2番《小ロシア》という選曲が嬉しい。さらにラフマニノフ《死の島》とヴォーン・ウィリアムズ《タリス幻想曲》。作曲家も国籍も違う3曲ですが、暗い情念、神秘性、深い精神性という一本の糸で不思議につながっています。ミトロプーロスの燃焼するような音楽性だけでなく、その独特の選曲眼まで味わえる一枚。単なる歴史的復刻ではありません。
 

fr 1417
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23*
 クセニア・プロホロワ (piano)
  Recording: 1954
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」組曲 Op.71a
  Recording: 1956
チャイコフスキー:序曲「1812年」 Op.49
  Recording: 1956
チャイコフスキー:憂鬱なセレナーデ Op.26
 マックス・カイザー (violon)
  Recording: 1956
ヴィルヘルム・シュヒター指揮
北西ドイツ・フィル*
FFB響
 
 ヴィルヘルム・シュヒターという指揮者を知る人なら、これは見逃せないでしょう。中心となる第1協奏曲ではクセニア・プロホロワを迎え、華麗な名人芸だけに走らない、骨格のしっかりしたチャイコフスキーを展開。さらに《くるみ割り人形》組曲、《1812年》、マックス・カイザー独奏の《憂鬱なセレナーデ》まで並ぶのが楽しいところです。超有名曲から小品までを通して、1950年代のドイツ系オーケストラがチャイコフスキーをどう鳴らしていたのかを聴ける、味わい深い復刻です。

fr 1420
マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」 サー・エイドリアン・ボールト指揮
ロンドン・フィル
 Recording: 1958
 これは相当気になります。ボールトがマーラーの《巨人》! 英国音楽の大家、端正で客観的な指揮者というイメージの強いサー・エイドリアン・ボールトが、1958年にロンドン・フィルとマーラー第1番を演奏していたのです。後世のマーラー演奏のように世紀末的な情念をこれでもかと強調するのではなく、交響曲としての構造を明晰に見通していくボールト。そのアプローチだからこそ、若きマーラーの古典的な骨格やオーケストレーションの巧みさが新鮮に聞こえてきます。演奏史的にもぜひ聴いておきたい記録です。
 

fr 1421
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23
 Recording: 1959
ハチャトゥリアン:ソナチネ Op.13-1、トッカータ
 Recording: 1961
ショスタコーヴィチ:3つの幻想的舞曲 Op.5
 Recording: 1961
プロコフィエフ:子供のための音楽 Op.65
 Recording: 1961
ジェルジ・シェベーク(P)
ルイ・フレモ―指揮
モンテ=カルロ国立歌劇場管
 Original edition: Erato STE 50029, Erato EFM 42074
 Length: 01:03:30
 ジェルジ・シェベークのチャイコフスキー第1協奏曲というだけでも興味をそそられます。1959年、まだ30代半ばの演奏で、若き日の瑞々しいピアニズムを聴けます。そしてさらに面白いのが後半。ハチャトゥリアンのソナチネとトッカータ、ショスタコーヴィチ《3つの幻想的舞曲》、プロコフィエフ《子供のための音楽》という選曲です。超絶技巧の協奏曲だけでなく、小品で見せる色彩、リズム、詩情まで含めてシェベークというピアニストを知ることのできる、実に魅力的な一枚です。
 

fr 1444
ラヴェル:
 ピアノ協奏曲 ト長調*
  ジャン・カサドシュ (piano)
   Recording: 1956
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調*
   ジャン・カサドシュ (piano)
    Recording: 1957
ラヴェル:ラ・ヴァルス+
 Recording: 1959
ラヴェル:スペイン奇想曲+
 Recording: 1959
ピエール・デルヴォー指揮
パリ音楽院管*
コンセール・コロンヌ協会管+
 Original edition: Club National du Disque CND 516, Guilde Internationale du Disque MMS 2174
 Length: 01:06:09
 ラヴェル好きにはたまらない一枚でしょう。ジャン・カサドシュを独奏に迎えた2つのピアノ協奏曲に、《ラ・ヴァルス》《スペイン狂詩曲》まで収録。指揮はピエール・デルヴォー、しかもパリ音楽院管とコンセール・コロンヌという、本場フランスの顔ぶれです。今日の精密無比なラヴェルとはまた違い、1950年代フランスのオーケストラがまだ持っていた独特の音色、柔らかな管楽器、香り立つような色彩感が魅力。華やかなト長調協奏曲と暗く巨大な左手協奏曲の対照も鮮烈です。
 

fr 1445
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op. 18*
 Recording: 1954
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 op. 19
 ジョセフ・シュスター (violoncelle) ,
 レナード・ペナリオ (piano)
Recording: 1953
レナード・ペナリオ (piano)
ヴラディーミル・ゴルシュマン指揮*
セントルイス響*
 Original edition: Capitol P-8312, Capitol P-8248
 Length: 01:03:17
 レナード・ペナリオの若き日のラフマニノフを、協奏曲と室内楽の両面から味わえる好企画。1954年の第2協奏曲ではゴルシュマンとセントルイス響を迎えます。ペナリオは明晰な技巧と洗練された音色を持ったピアニスト。そのためこの超有名協奏曲も過剰な感傷へ流れず、旋律の美しさがすっきりと浮かび上がります。そして1953年録音のチェロ・ソナタでは名チェリスト、ジョセフ・シュスターと共演。ピアノにも巨大な役割が与えられた作品だけに、ペナリオの力量を知るには絶好です。
  

fr 1448
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op. 92
 Recording: 1957
ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op. 93
 Recording: 1957
ハンス・スワロフスキー指揮
ウィーン国立歌劇場管
 Original edition: Vega MT 10107, Vega MT 10108
 Length: 01:08:19
 スワロフスキーのベートーヴェンは、派手さよりも「楽譜を読む面白さ」を味わいたい人にこそ聴いてほしい演奏です。後にアバド、メータ、ヤンソンスらを育てた名教師として知られる一方、本人も優れた指揮者でした。1957年録音の第7番と第8番という組み合わせも絶妙。リズムの奔流によって巨大な高揚を生む第7番と、古典的な規模の中にユーモアと仕掛けを凝縮した第8番。その性格の違いが鮮明に見えてきます。ウィーンの血が通った音楽として鳴るベートーヴェンです。


<第101号 紹介アイテム>


fr 1305
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 op. 90
 Recording: 1961
ベートーヴェン:「フィデリオ」 op. 72~「レオノーレのアリア」
 ビルギット・ニルソン (soprano)
  Recording: 1961
ワーグナー:「神々の黄昏」~終幕
 ビルギット・ニルソン (soprano)
  Recording: 1961
同:ジークフリート牧歌
 Recording: 1961
パウル・クレツキ指揮
フランス国営放送管
 Length: 01:19:58
 パウル・クレツキのブラームス第3番に、ビルギット・ニルソンを迎えた《フィデリオ》と《神々の黄昏》、さらに《ジークフリート牧歌》まで収めた、実に贅沢な1961年録音集。クレツキのブラームスは各声部の動きを明晰に保ちながら、内に秘めた情熱をじわじわと燃やしていくタイプ。そこへニルソンの圧倒的な声が加わると、アルバム全体の空気が一変します。英雄的な輝きと強靱な集中力、そしてワーグナーでの圧倒的な存在感。交響曲と声楽、室内楽的な《ジークフリート牧歌》まで、クレツキの幅広さを一枚で味わえる強力盤です。
  

fr 1310
メンデルスゾーン:
 交響曲第4番 イ長調 op. 90「イタリア」
 「真夏の夜の夢」より
ピエール・デルヴォー指揮
ハンブルク・フィル
 Recording: 1960
 Original edition: Opera ST 1913
 Length: 00:57:02
 ピエール・デルヴォーがハンブルク・フィルを振ったメンデルスゾーン集。フランス人指揮者らしい軽やかな色彩感と、ドイツのオーケストラが持つ落ち着いた響きが、実に心地よく溶け合っています。《イタリア》では第1楽章から明るい推進力があふれ、終楽章のサルタレッロまで息切れすることなく一気に駆け抜ける。一方《真夏の夜の夢》では、木管の柔らかな色彩と弦の軽やかさを生かして幻想的な世界を描きます。メンデルスゾーンを上品で美しいだけに終わらせず、若々しい躍動と劇場的な魅力を引き出した演奏です。
  

fr1313
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」 op. 35
 マヌーグ・パリキアン (violon)
  Recording: 1952
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 op. 48
 Recording: 1947
イサイ・ドブローウェン指揮
フィルハモニア管
 Original edition: Columbia SX 1007 - RCA LBC 1021
 Length: 01:18:29
 イサイ・ドブローウェンとフィルハモニア管による、ロシア音楽の色彩と歌を満喫できる一枚。《シェヘラザード》では、マヌーグ・パリキアンの独奏ヴァイオリンが物語の語り手となり、妖艶さと気品を両立させた美しい旋律を紡ぎます。ドブローウェンはオーケストラを必要以上に派手に鳴らさず、各エピソードの流れを丁寧に描き、物語性を自然に引き出していく。一方、1947年録音のチャイコフスキー《弦楽セレナーデ》では、弦楽合奏の温かな歌が前面に出て、ロシア的な郷愁がじわりと広がります。
 

fr 1327
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op. 23
 ユージン・イストミン (piano)
  Recording: 1962
プロコフィエフ:交響曲第6番 変ホ短調 op. 111
 Recording: 1962
ユージン・オーマンディ指揮
ボストン響
 Length: 01:15:33
 ユージン・イストミンを独奏に迎えたチャイコフスキー第1協奏曲と、プロコフィエフ第6交響曲という意外な組み合わせ。しかも指揮はオーマンディ、オーケストラはボストン響という珍しい顔合わせです。イストミンのピアノは明晰なタッチと気品ある歌を大切にし、超有名協奏曲を必要以上に大仰にしないところが魅力。一方、プロコフィエフ第6番では、戦後の荒涼とした空気と内側から湧き上がる不安が重く響きます。華やかな協奏曲と暗い交響曲。その対照が鮮烈です。
 

fr 1339
メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 op. 56「スコットランド」
 Recording: 1959
同:交響曲4番 イ長調 op. 90「イタリア」
 Recording: 1959
エットーレ・グラチス指揮
ヴェネツィア・フェニーチェ劇場管
 Original edition: Le Club Francais du Disque CFD 189 et 198
 Length: 01:03:42
 メンデルスゾーンの《スコットランド》と《イタリア》という人気の二大交響曲を、エットーレ・グラチスとフェニーチェ劇場管が録音した1959年盤。北の霧と南の陽光――性格の異なる二作品を、イタリアの劇場オーケストラがどう描くかが最大の聴きどころです。《スコットランド》では暗い情緒に沈み込みすぎず、旋律の流れを保ちながらドラマを作り、《イタリア》ではリズムが一気に解放され、終楽章には舞台音楽を思わせる躍動感があふれます。二つの旅行体験をひとつの演奏団体の個性で聴き比べられる面白さがあります。
 

fr 1340
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op. 27*
 Recording: 1955
ドビュッシー:交響詩「海」+
 Recording: 1959
マッシモ・フレッチャ指揮
ボルティモア響*
ローマ・フィル+
 Original edition: BSO BS-01 et RCA 97 SL 04
 Length: 01:05:40
 ラフマニノフ第2交響曲とドビュッシー《海》という、濃密なロマンと精妙な色彩を並べたアルバム。マッシモ・フレッチャはラフマニノフで旋律をたっぷり歌わせながらも、感傷に沈み込みすぎず長大な構成を保っています。ボルティモア響の温かな響きが作品の郷愁を引き立てる一方、ローマ・フィルとの《海》では音の輪郭が一気に軽くなり、波や光の変化を鮮やかに描写。二つのオーケストラ、二つの録音年代、二つの音楽語法を通して、フレッチャの柔軟な指揮ぶりがよく分かる一枚です。
 

fr 1342
ドヴォルザーク:交響曲第5番 ヘ長調 op. 76
 Recording: 1952
同:スケルツォ・カプリチョーソ op. 66
 Recording: 1943
同:祝典序曲 op. 54
 Recording: 1943
カレル・シェイナ指揮
チェコ・フィル
 Original edition: Supraphon DV 5298 - Esta M 5058/9
 Length: 00:53:17
 これはチェコ音楽ファンにはたまらないでしょう。カレル・シェイナとチェコ・フィルによるドヴォルザーク、それも第5交響曲を中心に据えた一枚です。第8番、第9番ほど演奏機会は多くないものの、第5番には若きドヴォルザークの瑞々しい歌と、後年へつながる民族的なリズムがたっぷり詰まっています。シェイナはチェコ・フィルの木管の素朴な味わいと弦の温かな響きを自然に引き出し、作品を外面的に飾らず土地の言葉として語らせます。1943年録音の《スケルツォ・カプリチョーソ》《祝典序曲》も貴重です。
  

fr 1345
ボロディン:交響曲第1番 変ホ長調
 Recording: 1952
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op. 36
 Recording: 1960
コンスタンチン・イヴァノフ指揮
ソヴィエト国立響
 Original edition: Le Chant du Monde LD-A-8060 - Melodiya 05914?5
 Length: 01:13:54
 ソヴィエト国立響の重厚な響きで聴くボロディンとチャイコフスキー。指揮はコンスタンチン・イヴァノフ。ボロディン第1交響曲では、ロシア五人組らしい荒々しい色彩と、どこか土の匂いを感じさせる旋律を豪快に描きます。そして1960年録音のチャイコフスキー第4番では、金管と低弦が強烈な圧力を持って迫り、運命の動機が文字通り壁のように立ちはだかる。西側のオーケストラでは得難い重みと激情があり、ソヴィエト時代ならではのロシア音楽の迫力を味わえる一枚です。
 

fr 1348
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77
 ハワード・ミッチェル指揮
 ワシントン・ナショナル響
  Recording: 1953
ラロ:スペイン交響曲 op. 21
 ユリウス・ルーデル指揮
 ウィーン国立歌劇場管
  Recording: 1959
ジュリアン・オレフスキー(Vn)
 Original edition: Westminster WL 5273, XWN 18938
 Length: 01:05:53
 ジュリアン・オレフスキーの名を知らなくても、この二大協奏曲を聴けば、その確かな実力に驚かされるはずです。ブラームスでは、太く力強い音を押し出すよりも、旋律を丁寧に歌わせながら作品の構造を崩さない知的な演奏を展開。ラロ《スペイン交響曲》では一転して、華麗な技巧と色彩が解放され、オレフスキーのヴァイオリンがぐっと前に出てきます。伴奏もミッチェルとルーデルという異なる二人の指揮者。重厚なドイツ作品と華やかなフランス作品を一人の奏者で聴き比べられる好企画です。
 

fr 1376
ブラームス:
 交響曲第1番 ハ短調 op. 68
  Recording: 1945
 同 第2番 ニ長調 op. 73
  Recording: 1946
アルトゥール・ロジンスキ指揮
NYP
 Original edition: Columbia ML-4016, Columbia ML-4068
 Length: 01:16:51
 アルトゥール・ロジンスキとニューヨーク・フィルによる、1945~46年のブラームス第1番・第2番。戦後直後のニューヨークで刻まれたというだけでも、独特の歴史的重みを感じさせます。ロジンスキの指揮は情緒に流されず、リズムと構築を厳格に保ちながら、オーケストラを強烈な集中力でまとめ上げるタイプ。第1番では緊張感が最後まで途切れず、終楽章の解放が劇的に響く。一方、第2番では牧歌的な表情の中にも芯の強さがあり、決して甘くなりすぎません。硬派なブラームス像が鮮明に浮かび上がります。


新録音シリーズ


fr 1550
グリーグ:ピアノ作品集
 「ペール・ギュント」組曲第1番 op. 46
 同 組曲第2番 op. 55(ピアノ独奏版)
 25のノルウェーの踊りと歌 op. 17
 自作の歌曲によるピアノ曲~「君を愛す」 op. 41, n° 3
ダニエル・プロッパ―(P)
 Recording: 2018
 Length: 01:08:20
 《ペール・ギュント》をピアノで聴く。それだけでも、このアルバムにはちょっとした発見があります。オーケストラ版で親しまれてきた名旋律が、ピアノ一台になると驚くほど親密で、グリーグ自身の抒情の核心がむき出しになります。さらに《25のノルウェーの踊りと歌》では、民謡的な素朴さやリズムの面白さがいっそう鮮明。プロッパーの演奏は北欧らしい透明感を保ちながら、曲ごとの性格を丁寧に描き分けます。グリーグを協奏曲と抒情小曲集だけの作曲家にしない、広がりのある一枚です。
 

fr 1575/7
(3CD-R)
\5990
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(BWV 1007-1012) ジャン・ド・スペングラー(Vc)
 Recording: 2018
 バッハ無伴奏全曲は、チェリストにとって生涯をかけて向き合う作品。その意味で、この2018年録音もまた一人の演奏家が作品と正面から対峙した記録です。ジャン・ド・スペングラーは、六つの組曲を同じ表情で並べるのではなく、第1番の開放感、第2番の陰影、第5番の厳しさ、第6番の明るい広がりまで、各組曲の性格を丁寧に描き分けていきます。考証一辺倒にもロマン的な誇張にも寄らず、舞曲としての呼吸とチェロの自然な歌を大切にした演奏。3枚かけてじっくり聴き進めたい誠実な全曲録音です。
  

fr 1554
ドヴォルザーク:弦楽六重奏曲 イ長調 op. 48, B. 80
シェーンベルク:浄夜 op. 4
スタニスラフ六重奏団
 Recording: 2016
 Length: 01:07:54
 これ、選曲が実にうまいです。ドヴォルザークの弦楽六重奏曲では、民族的な歌と温かな室内楽の喜びが広がり、シェーンベルク《浄夜》では同じ六重奏という編成が、一転して世紀末の濃密な情念をまといます。わずか数十年の間に、弦楽六重奏という器がどれほど異なる世界を描き得たのか。その対照を一枚で体験できるのが面白いところです。スタニスラフ六重奏団は、ドヴォルザークでは各声部の対話を軽やかに、シェーンベルクでは響きを厚く重ねながら緊張を持続。編成そのものの魅力を再発見させるアルバムです。
    

fr 42/3C
(2CD-R)
J.S.バッハ:フランス組曲(全曲) BWV 812/817 ジャン=レオン・コーエン(P)
 Recording: 2018
 Length: 01:35:49
 バッハの《フランス組曲》は、巨大な建築物というより、小さな舞曲の集積。そのため演奏家の感性がむき出しになります。ジャン=レオン・コーエンは各舞曲のリズムを過度に強調せず、旋律の流れと声部の絡みを自然に生かしながら、6つの組曲それぞれに明確な表情を与えています。アルマンドの落ち着き、クーラントの軽快さ、サラバンドの静けさ、ジーグの解放感。全曲を通して聴くと、バッハが舞曲形式の中でどれほど多彩な世界を作り上げたかがよく分かります。親密なバッハをじっくり味わいたい人にぴったりの2枚組です。
  

fr 45TP
フンメル:ピアノ、ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲 ト長調 op. 17
 トドル・ペトロフ (piano) ,
 Anna Furnadzhieva (violon)
 クリスト・パヴロフ指揮
 ヴァルナ国立歌劇場管
  Recording: 2016
マンフレディーニ (Vicenzo):
  ピアノ、弦楽オーケストラ、2つのオーボエ、
   2つのホルンのための協奏曲 変ロ長調
    トドル・ペトロフ (Petrov, Todor)
    キリル・ラムボフ指揮
    ソフィア・シンフォニエッタ
     Recording: 2017
 Length: 00:59:59
 これはForgottenらしい「知らなかった!」が詰まった一枚。フンメルのピアノとヴァイオリンのための協奏曲は、古典派の均整の中にすでにロマン派の華やかさが顔をのぞかせる、実に魅力的な作品です。ピアノとヴァイオリンが互いに呼応しながら音楽を進めるのが面白いところ。さらにマンフレディーニの協奏曲では、ピアノに加えて弦楽、オーボエ、ホルンが彩りを添え、より古典的な優雅さが広がります。名曲だけを追っていたらまず出会えない、協奏曲史の脇道にこんな宝物があったのかと思わせる一枚です。
  

fr 1418/9
(2CD-R)
ブラームス:弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 op. 18
 Recording: 2008
ブラームス:弦楽六重奏曲第2番 ト長調 op. 36
 Recording: 2006
シューベルト:華麗なるロンド op. 70, D.895
 (John Fadialによる弦楽六重奏版)
  Recording: 2016
ブラームス:間奏曲 op. 118, n° 2
 (John Fadialによる弦楽六重奏版)
 Recording: 2016
スタニスラフ六重奏団
  
 ブラームスの室内楽の中でも、とりわけ豊かで温かな響きを持つ二つの弦楽六重奏曲。スタニスラフ六重奏団は、厚い和音をただ重く鳴らすのではなく、六つの声部を丁寧に分離しながら、音楽の内側にある呼吸を自然に浮かび上がらせています。第1番の若々しい歌、第2番のより複雑で内省的な表情、その違いも鮮明。さらにシューベルト《華麗なるロンド》とブラームス《間奏曲Op.118-2》の六重奏編曲まで収録され、原曲とは違う柔らかな響きが新鮮です。ブラームス室内楽の魅力をじっくり味わえる充実の2枚組です。

fr 40/41C
(2CD-R)
J.S.バッハ:パルティータ全集
 パルティータ第1番 変ロ長調, BWV 825
  Recording: 2017
 同第2番 ハ短調 BWV 826
  Recording: 2015
 同第3番 イ短調 BWV 827
  Recording: 2017
 同第4番 ニ長調 BWV 828
  Recording: 2017
 同第5番 ト長調 BWV 829
  Recording: 2017
 同第6番 ホ短調, BWV 830
  Recording: 2016
ジャン=レオン・コーエン(P)
 Length: 02:29:0
 バッハのパルティータ全6曲は、鍵盤作品の中でも特に自由で華やかな世界。ジャン=レオン・コーエンは、その壮麗さを力で押し出すのではなく、舞曲のリズムと対位法の明晰さを大切にしながら、それぞれの組曲の個性を丁寧に描いていきます。第1番の端正さ、第2番の緊張、第4番の開放感、第6番の厳しさまで、全曲を通して聴くほど作品の幅広さが見えてくる。録音年が2015~17年にまたがることで、演奏家自身の変化も微妙に感じ取れるのが面白いところ。バッハの鍵盤世界をじっくり旅するための2枚組です。
  

fr 1277
ミヨー:「屋根の上の牛」
 transcription d'Alexis Galperine,
  pour violon, percussions et dixtuor,
  sur une idee de Madeleine Milhaud.
   Alexis Galperine (violon) , Jean de Spengler (violoncelle) ,
   Philippe Moinet (clarinette) , Nicolas Tacchi (basson) ,
   Marie Triplet (alto) , Denis Rocher (contrebasse) ,
   Gregory Ternendji (percussions) , Laurent Causse (violon) ,
   Remy Chopinez (violon) , Olivier Sauvage (flute) ,
   Pierre Colombain (hautbois) ,
   Fabrice Wigishoff (trompette)
    Recording: 2013
マルティヌー:九重奏曲
 pour flute, hautbois, clarinette, basson, cor,
 violon, alto, violoncelle et contrebasse (1959)
  Alexis Galperine (violon) ,
  Jean de Spengler (violoncelle) ,
  Philippe Moinet (clarinette) , Pierre Riffault (cor) ,
  Paul Fenton (alto) , Eric Costa (contrebasse) ,
  Nicolas Tacchi (basson) , Pierre Colombain (hautbois) ,
  Sylvie Tournon (flute)
   Recording: 1993
オーリック:
 組曲「マールボロは戦場に行った」
  instrumentale d'apres la musique de scene
  de la piece de theatre de Marcel Achard (1924)
   Alexis Galperine (violon) ,
   Jean de Spengler (violoncelle) ,
   Philippe Moinet (clarinette) ,
   Nicolas Tacchi (basson) ,
   Fabrice Wigishoff (trompette) ,
   Benedicte Harle (piano)
    Recording: 2001
フランツ・ハーゼネール:
 「もうひとりのティル・オイレンシュピーゲル」
  (R.シュトラウスの
   「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」による)
    Alexis Galperine (violon) , Pierre Riffault (cor) ,
    Eric Costa (contrebasse) , Nicolas Tacchi (basson) ,
    Philippe Moinet (contrebasse)
     Recording: 1993
アンサンブル・スタニスラフ
 Length: 00:54:55
 これはもう、選曲だけで勝ちです。《屋根の上の牛》を室内アンサンブルで聴き、続いてマルティヌーの九重奏曲、オーリックの劇音楽、さらにR.シュトラウスをひねった《もうひとりのティル・オイレンシュピーゲル》へ。20世紀音楽の「深刻ではない側面」を一気に集めたような、遊び心満点のアルバムです。編成も次々と変わり、木管、弦、打楽器、ピアノが思いもよらない組み合わせで登場。アンサンブル・スタニスラフの機敏な反応と洒脱な音楽性が、各作品のユーモアを鮮やかに引き出します。
  

fr 34H
J.S.バッハ:
 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調, BWV 1001
  Recording: 2015
同:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004
 Recording: 2015
ロカテッリ:カプリス第17番 ト長調
 Recording: 2015
パガニーニ:カプリス第13番 変ロ長調「悪魔の微笑み」
 Recording: 2015
タンギー:ソナタ・ブレ―ヴ (1999)
 Recording: 2015
マリー=アストリド・ユロ(Vn)
 Length: 00:57:50
 バッハからパガニーニ、そして現代のタンギーまで。無伴奏ヴァイオリンという一つの楽器の歴史を、300年近くにわたって一枚でたどる大胆なプログラムです。バッハのソナタと《シャコンヌ》では、構造の厳しさと深い精神性が中心に置かれ、ロカテッリとパガニーニでは技巧そのものが音楽の表情へと変わっていく。そしてタンギーの《ソナタ・ブレーヴ》では、現代の鋭い響きへ。マリー=アストリド・ユロは、技巧を誇示するより、それぞれの時代の語法をきちんと弾き分けています。無伴奏ヴァイオリンの系譜を一気に体験できる刺激的な一枚です。
 

fr 36C
J.S.バッハ:
 パルティータ第6番 ホ短調 BWV 830
  Recording: 2016
同:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
 Recording: 2016
同:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV 971
 Recording: 2016
ジャン=レオン・コーエン(P)
 Length: 00:59:22
 バッハ鍵盤作品の中でも、とりわけ性格の異なる三曲を組み合わせた好プログラム。パルティータ第6番では重厚で内省的な世界が広がり、《半音階的幻想曲とフーガ》では即興的な激しさと緊張が一気に噴き出す。そして《イタリア協奏曲》では、独奏楽器一台でありながら、まるで独奏と合奏が応答するような明るい躍動が現れます。ジャン=レオン・コーエンは三作品の性格を明快に描き分け、バッハという作曲家の幅広さを鮮やかに提示。1時間弱で鍵盤バッハの深さ・劇性・華やかさを一度に味わえる一枚です。




<第99号 紹介アイテム>


fr 1259
カプレ:古代エチオピアによる音楽のフレスコ画「エピファニー」
 ジャック・ネイルズ (violoncelle)
  Recording: 1947
リヴィエ:交響曲第5番 ニ短調
 Recording: 1951
ル・フレム:交響曲第2番
 Recording: 1958
エルネスト・ブール指揮
フランス国立放送管
 Length: 01:10:07
 これは選曲だけでもかなり惹かれます。カプレの《エピファニー》は、チェロ独奏を伴う神秘的な管弦楽作品で、古代的な異国情緒とフランス近代特有の精妙な色彩が交錯する異色作。ジャック・ネイルズのチェロも、作品の瞑想的な雰囲気を深く支えます。そこへリヴィエの第5交響曲、ル・フレムの第2交響曲という、現在ではまず耳にする機会の少ない作品を並べるのがForgottenらしいところ。ブールの明晰な指揮によって、戦後フランス音楽の知られざる広がりが一気に見えてくる一枚です。
 

fr 1260
メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 op. 90「イタリア」
 Recording: 1947
サン=サーンス:
 ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲 イ長調 op. 20
  ルイ・ペルルミュテール (violon)
   Recording: 1947
ビゼー:「アルルの女」第1&第2組曲より
 (Extraits des Suites n° 1 et 2)
 Recording: 1947
ロジェ・デゾミエール指揮
フランス国立放送管
 Length: 00:59:11
 1947年のフランス国立放送管を率いるデゾミエール。メンデルスゾーン《イタリア》では、南国的な明るさを過度に華美にせず、軽快なリズムと透明な響きで鮮やかに描きます。さらにサン=サーンスの小協奏曲、ビゼー《アルルの女》組曲抜粋へと続く流れも実に魅力的。フランスのオーケストラが持つ木管の柔らかさと弦のしなやかさが、3人の作曲家の異なる色彩を自然に浮かび上がらせます。戦後直後のフランス楽壇の香りをそのまま封じ込めたような、味わい深い一枚です。
 

fr 1261
シューマン:弦楽四重奏曲 イ長調 op. 41
 Recording: 1960
ヴォルフ:イタリアのセレナーデ
 Recording: 1960
ドヴォルザーク:
 弦楽四重奏曲第13番 ト長調 op. 106
  Recording: 1955
バルヒェットQ
 Original edition: Erato 3154 - Vox PL 9250
 Length: 01:16:14
 バルヒェット四重奏団の魅力は、磨き上げた表面の美しさよりも、各声部が生きた会話を交わすことにあります。シューマンの弦楽四重奏曲では、内面的な熱気とロマン的な揺らぎを丁寧に描き、ヴォルフ《イタリアのセレナーデ》では一転して軽やかな洒脱さを見せる。ドヴォルザーク第13番では、民族的な歌と晩年の円熟が自然に融合します。3作品とも性格は異なりますが、バルヒェットQの温かな音色と誠実なアンサンブルによって一本の流れにまとまる。室内楽好きならじっくり付き合いたい一枚です。
 

fr 1262
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op. 35「葬送」
 Recording: 1952
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op. 58
 Recording: 1951
アレクサンドル・ウニンスキー(P)
 Original edition: Philips A 00124 L et A 00113 L
 Length: 00:43:35
 ウニンスキーのショパンは、技巧を誇示するタイプではなく、作品の構造と歌を大切にする知的な演奏です。《葬送》ソナタでは、悲劇性を過度に煽らず、各楽章の性格を明確に保ちながら、終楽章の不気味な虚無感へと導いていく。第3番では、より伸びやかな旋律と堂々たる構成が際立ちます。1951~52年という録音時期も魅力で、戦前から続くショパン演奏の伝統を濃く残したスタイルを味わえるのが大きなポイント。派手さではなく、深く聴き込むほど良さが増すショパンです。
 

fr 1263/64
(2CD-R)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 op. 127
 Recording: 1958
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 op. 130
 Recording: 1958
シェーファーQ
 Original edition: Club Francais du Disque CFD 206/7
 Length: 01:26:51
 後期ベートーヴェンの核心に迫る、第12番と第13番の組み合わせ。シェーファー四重奏団は、作品の難解さをことさらに強調せず、四つの声部の緊張関係と長大な構造を丁寧に積み上げていきます。第12番では静かな深まりと精神的な広がりが、第13番では大胆な形式と劇的な対比が鮮明。1958年録音らしい重厚さと素朴さのバランスも魅力です。後期ベートーヴェンを哲学的な難物としてではなく、生きた室内楽として聴かせるところに価値があります。
 

fr 1265
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op. 47
 Recording: 1959
ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲
 Recording: 1959
ニコライ・マルコ指揮
デンマーク放送響
 Length: 01:03:30
 ショスタコーヴィチ第5番とストラヴィンスキー《3楽章の交響曲》。20世紀音楽の二つの異なる緊張を、ニコライ・マルコが鋭く描き分けます。第5番では、表面的な英雄性に流れず、音楽の内側に潜む不安や皮肉を保ちながら進行。一方ストラヴィンスキーでは、リズムの切れ味と乾いた色彩感が前面に出ます。デンマーク放送響の透明なサウンドも、両作品の構造をくっきり見せるのに効果的。戦後欧州における20世紀音楽演奏の一断面としても興味深い一枚です。
 

fr 1267
モーツァルト:ピアノ協奏曲第5番 ニ長調 K. 175*
 Recording: 1950
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op. 19+
 Recording: 1951
メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第2番 ニ短調 op. 40*
 Recording: 1950
アルトゥール・バルサム(P)
ブロニスラフ・ギンペル指揮*
ワルター・ゲール指揮+
交響楽団
 Original edition: Renaissance X 29 - Concert Hall MMS 17
 Length: 01:14:27
 アルトゥール・バルサムの芸術を知るには、実に面白い3曲です。モーツァルト第5番では古典派らしい均整と軽やかさを保ち、ベートーヴェン第2番では若々しい推進力と力強さを、メンデルスゾーン第2番ではロマン的な歌と華やかさを自然に引き出します。時代の違う3人の作曲家を、同じピアニストがどう弾き分けるかが聴きどころ。バルサムは強い自己主張を前に出さず、作品の語法に寄り添いながら持ち味を変えていく。伴奏指揮も異なり、1950年前後の協奏曲録音文化を楽しめる好企画です。
 

fr 1268
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op. 36*
 Recording: 1950
チャイコフスキー:「眠れる森の美女」組曲 op. 66a+
 Recording: 1954
ヴィレム・ファン・オッテルロー指揮
ハーグ・レジデンティ管*
ウィーン響+
 Original edition: Philips A 00110 L et A 00210 L
 Length: 01:00:32
 ファン・オッテルローのチャイコフスキーは、感情を過度に引き伸ばすことなく、全体の流れを明確に保つのが魅力。第4番では冒頭の運命動機から終楽章まで緊張を切らさず、作品の劇的な骨格をくっきり示します。1950年録音のハーグ・レジデンティ管も、渋く引き締まった響きで応えています。一方《眠れる森の美女》組曲では、ウィーン響の柔らかな音色が加わり、優雅さと色彩が前面に。交響曲の厳しさとバレエの華やかさを、一人の指揮者の別々の表情で味わえる一枚です。
 

fr 1269
J.S.バッハ:ピアノ協奏曲 ニ短調 BWV 1052
 Recording: 1954
J.S.バッハ:ピアノ協奏曲 ヘ短調 BWV 1056
 Recording: 1954
エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調
 Recording: 1948
セリニ・シャイエ=リシェ(P)
ジョルジュ・エネスコ(Vn&指揮)
パリ室内コンセール協会管
 Original edition: Decca FAT 133953 - Columbia GFX 121
 Length: 01:02:37
 これは内容がかなり強烈です。前半のバッハでは、セリニ・シャイエ=リシェのピアノと、エネスコ自身の指揮によって、20世紀中盤らしい重厚で格調高いバッハが展開。そして後半には、なんとエネスコ自身がヴァイオリンを弾く自作の第3ソナタ。ルーマニア民族風の独特な節回しや即興性が、作曲者自身の演奏によって生々しく浮かび上がります。単なる名曲集ではなく、「作曲家エネスコ」と「演奏家エネスコ」の両面に触れられる歴史的価値の高い一枚です。
 

fr 1270
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op. 47
 ルッジェーロ・リッチ (violon)
   Recording: 1960
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op. 30
 バイロン・ジャニス (piano)
  Recording: 1957
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン響
 Length: 01:08:06
 ルッジェーロ・リッチとバイロン・ジャニスという、強烈なヴィルトゥオーゾ二人をミュンシュとボストン響が支える豪華な協奏曲集。シベリウスでは、リッチの鋭い技巧と張り詰めた音色が、北欧的な冷気と野性味を鮮やかに引き出します。ラフマニノフ第3番では、ジャニスの圧倒的なパワーと大きなスケールが炸裂。ミュンシュも両者に合わせてオーケストラを自在に煽り、終始高い緊張感を保っています。難曲を難曲と感じさせない、1950~60年代の名手たちのエネルギーを真正面から浴びる一枚です。
 

fr 1272
フランク:交響曲 ニ短調*
 Recording: 1959
リスト:交響詩第3番「前奏曲」+
 Recording: 1960
サー・エイドリアン・ボールト指揮
ロンドン・オーケストラ協会*
ロンドン新響+
 Original edition: RCA 951 SM.06 et L7OP5501
 Length: 00:50:59
 ボールトのフランクというだけで、ちょっと意外で面白い一枚です。英国音楽の端正な名匠という印象が強いボールトですが、この交響曲では作品を過度に粘らせず、循環形式の構造をすっきりと見通しながら、終楽章へ向けて着実に高揚を築いていきます。濃厚な官能よりも、作品の骨格と流れを重視したフランク。併録のリスト《前奏曲》でも、華美に煽るのではなく、堂々たる構築で音楽を押し進める姿勢が一貫しています。ロマン派作品をボールトがどう料理するか、その美学がよく分かる興味深い組み合わせです。
 

fr 1274
モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K. 271「ジュノム」
 ポール・パレ―指揮
 コンセール・ラムルー管
   Recording: 1947
モーツァルト:
 ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K. 503
  ウジェーヌ・ビゴ指揮
  コンセール・ラムルー管
   Recording: 1949
ギャビー・カサドシュ(P)
 Original edition: Polydor 566235 et 566316
 Length: 01:00:39
 ギャビー・カサドシュのモーツァルトを、パレーとビゴという二人のフランス人指揮者との共演で聴ける貴重な一枚。第9番《ジュノム》では、若々しい躍動と対話の楽しさが前面に出て、カサドシュのピアノも軽やかで気品があります。第25番ではスケールが大きくなり、より堂々とした造形の中にモーツァルト後期ならではの深みが加わる。1947年と49年という録音時期も魅力で、戦前から続くフランス流モーツァルト演奏の香りが色濃く残っています。華やかさよりも知的で自然な会話を楽しみたい人におすすめの一枚です。
 

fr 1275
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調op. 74「悲愴」
 Recording: 1959
グリーグ:「ペールギュント」組曲第1番 op. 46
 Recording: 1959
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 op. 92
 Recording: 1959
アレクサンダー・ギブソン指揮
ロンドン祝祭管
 Original edition: RCA 951.SM.07/9
 若きアレクサンダー・ギブソンの《悲愴》という点がまず魅力です。1959年録音らしい率直な熱気がありながら、感情を過度に引き延ばさず、作品の大きな流れを保ったまま終楽章の悲劇へと進んでいきます。そこにグリーグ《ペール・ギュント》第1組曲とドヴォルザーク《謝肉祭》が組み合わされ、暗い情念から幻想、祝祭へと表情が大きく変化。ロンドン祝祭管の明るく素直な響きも聴きやすく、重厚一辺倒ではないロマン派名曲集として楽しめます。若きギブソンの手腕を知る意味でも面白い復刻です。
 

fr 1276
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 op. 55「英雄」
 Recording: 1959
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op. 16
 ロベルト・リフリング (piano)
  Recording: 1951
オッド・グリューナー=ヘッゲ指揮
オスロ・フィル
 Original edition: RCA 951.SM.03 - Allegro Royale 1612
 Length: 01:15:17
 ノルウェーの名匠グリューナー=ヘッゲとオスロ・フィルによる《英雄》、そしてロベルト・リフリング独奏のグリーグ協奏曲。地元北欧勢によるグリーグだけでなく、ベートーヴェンをどう描くかが興味深いところです。《英雄》では過剰な威圧感を避け、リズムと構造を明快に保ちながら英雄的なスケールを自然に引き出します。一方グリーグでは、リフリングのピアノが素朴な歌と北欧的な透明感をたっぷりと聴かせる。同じ指揮者がドイツ古典派と自国のロマン派をどう描き分けるか、その対比が面白い一枚です。
  

fr 1278
メンデルスゾーン:交響曲第5番 ニ長調 op. 105「宗教改革」
 Recording: 1954
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op. 68
 Recording: 1954
チャイコフスキー:ワルツ(眠れる森の美女より)
 Recording: 1954
チャイコフスキー::ワルツ(白鳥の湖より)
 Recording: 1954
アルフレッド・ウォーレンスタイン指揮
ロス・フィル
 Original edition: Brunswick AXTL 1058, AXTL 1064, AXL 2012
 Length: 01:17:52
 メンデルスゾーン《宗教改革》とブラームス第1番を軸に、チャイコフスキーのワルツまで加えた実に豪快なプログラム。ウォーレンスタインは作品ごとに明確な輪郭を与え、《宗教改革》ではコラールの荘厳さを、ブラームス第1番では厳しい構築と終楽章の解放を堂々と描きます。そして最後にチャイコフスキーのワルツが入ることで、アルバム全体がふっと華やぐのも面白いところ。1954年のロサンゼルス・フィルというのも貴重で、当時のアメリカ西海岸のオーケストラ文化を知る意味でも興味深い録音です。
 

fr 1280
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op. 95 「新世界より」*
 Recording: 1958
リムスキー=コルサコフ:序曲「ロシアの復活祭」 op. 36+
 Recording: 1960
ボロディン:だったん人の踊り(イーゴリ公より)+
 Recording: 1960
ハインリッヒ・ホルライザー指揮
バンベルク響*
ウィーン響
 Original edition: Vox STPL 510810 et STPL 511690
 Length: 01:10:04
 《新世界より》に《ロシアの復活祭》《だったん人の踊り》という、民族色豊かな名曲を並べた楽しい一枚。ホルライザーは《新世界》を必要以上に感傷的にせず、各楽章の構造を明快に保ちながら、旋律の歌を自然に広げていきます。後半のロシア作品では一転して、ウィーン響の色彩が華やかに弾け、リズムもぐっと前へ。ドイツ系の端正な造形と、中東欧作品の濃い色彩が一枚の中でうまく共存しています。王道名曲集でありながら、指揮者の個性がきちんと見えるのが魅力です。
 

fr 1282
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
 Recording: 1956
シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調 op. 56「内なる声」
 Recording: 1955
パスカルQ
 Length: 01:00:55
 ラヴェルの洗練と、シベリウス《内なる声》の孤独な内省。この二作品を同じパスカル四重奏団で聴けるのが大きな魅力です。ラヴェルでは、音色の透明感とリズムの繊細さを大切にしながら、各声部の絡みを精緻に描写。一方シベリウスでは、響きがぐっと暗くなり、静かな緊張と内面的な歌が前面に出ます。華やかなフランス近代と北欧の厳しい精神性。その対照を一本のアンサンブルで味わえるのが面白い。1950年代の室内楽録音らしい温かさもあり、じっくり聴き込みたい一枚です。
 

fr 1286
シューベルト:交響曲第4番 ハ短調 D. 417「悲劇的」
 Recording: 1955
シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D. 759「未完成」
 Recording: 1955
ハインリッヒ・ホルライザー指揮
バンベルク響
 Original edition: Pantheon XPV 1021 et XPV 1014
 Length: 00:51:28
 若きシューベルトの《悲劇的》と、円熟の《未完成》を並べた好カップリング。ホルライザーは両曲を過度にロマン化せず、古典的な骨格を保ちながら、旋律の陰影を丁寧に浮かび上がらせています。《悲劇的》ではベートーヴェンの影響を感じさせる緊張感と若々しい衝動を、《未完成》では静かな不安と深い抒情をじっくり描く。バンベルク響の渋く落ち着いた響きも作品によく合っています。二つの作品を通して、シューベルトの交響曲作家としての成長を感じられる一枚です。
 

fr 1290
ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」
 ゴンサロ・ソリアノ (piano)
  Recording: 1954
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
 ナルシソ・イエペス (guitare)
  Recording: 1954
アタウルフォ・アルヘンタ指揮
マドリッド室内管
 Original edition: Alhambra MCC 30008
 Length: 00:46:04
 これはもう、スペイン音楽ファンなら黙っていられない顔ぶれです。アルヘンタの指揮、ゴンサロ・ソリアノのピアノ、ナルシソ・イエペスのギター。1954年のスペイン勢による本場のファリャとロドリーゴです。《スペインの庭の夜》では、夜気のような柔らかな響きの中にピアノが溶け込み、《アランフェス》ではイエペスの澄んだ音色が哀愁と気品を帯びて歌います。後世の洗練された名盤とはまた違い、土地の空気やリズムがそのまま音になったような生々しさが魅力。歴史的にも演奏的にも価値の高い一枚です。
 

fr 1301
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 op. 35 エーリヒ・レーン(Vn)
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
ハンブルク北ドイツ放送響
 Recording: 1959
 Original edition: Telefunken SLT 43020B
 Length: 00:45:41
 シュミット=イッセルシュテットと北ドイツ放送響による《シェヘラザード》。ドイツ的な厳格さと、この作品の官能的な色彩がどう交わるかが聴きどころです。独奏ヴァイオリンはエーリヒ・レーン。物語の語り手となる旋律を、過度に艶っぽくすることなく、品格ある音色で紡いでいきます。オーケストラも派手さだけを追わず、各場面の構造を明確にしながら、徐々に物語のスケールを広げていく。色彩一辺倒ではない、引き締まった《シェヘラザード》。聴き慣れた名曲に別の顔を見せてくれる一枚です。






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