アリア・レーベル第129弾
これがタリアフェロなのだ・・・
スペインのピアノ作品集
ARD 0129 (1CD-R)\1800
これがタリアフェロか。
これがタリアフェロなのだ。
ブラジルに生まれ地元サン・パウロ音楽院で学んでいたタリアフェロの才能を見出し、彼女にパリ音楽院への入学を勧めたのはカザルス。
そのパリ音楽院で彼女に指導し、強い個性を羽ばたかせたのがコルトー。
そして入学後わずか8ヵ月後の試験でプルミエ・プリを獲得した彼女に対し、「すでに一人の芸術家で、人もうらやむ才能を持っている」と絶賛した審査員の一人がアルベニス。
その賞を彼女に授与し、のちにピアノ協奏曲第5番で半世紀たった今も決定盤となっている名演を彼女に残してもらうことになるのがサン=サーンス。
自分の演奏旅行に同行させ、もちろん自分の曲を数多く演奏させたのがフォーレ。
歌劇「はかなき人生」のピアノ編曲用舞曲を彼女に捧げたのがファリャ。
世界で最初に彼女に作品を録音してもらったのがモンポウ。
美しいピアノ協奏曲を献呈し、指揮までして録音を残したのがアーン。
・・・タリアフェロ、いやはや、とんでもない御仁。
その魅力は、コルトー譲りの純フランス的ピアニズム、とよく言われる。店主もそのつもりで今まで聴いてきた。
ただ同時にどこか出生地ブラジルを思わせる熱く激しい情熱やリズムを感じることがあった。ただのフランス風ピアニストで終わらない何か。でもこれまでそれをはっきり認識させてくれるアルバムには出会っていなかった。
しかし今回のスペインもの(+ヴィラ=ロボス)は、それをはっきり感じさせてくれる。
ただの優雅さや艶やかさだけでは、こうまで匂い立つような音楽にはならない。ここには独特の強いリズム感がある。もっといえば彼女だけが持っている舞踏感覚。いや・・・人間としてのかっこよさとでも言おうか。これは間違いなく生まれながらのものだ。自分自身は強い香りを発しながら、決して自らはその香りに溺れない南国の花のような。
このファリャ、アルベニス、グラナドス・・・ただのフランスの優れたピアニストが弾いたスペインものではないのである。スペイン音楽の熱く沸きあがるような血を全身に浴びながらの演奏とでも言おうか。
これがタリアフェロなのだ。
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