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ドイツが世界に誇る本格派古楽レーベル
RAMEE在庫特価
名盤ずらり!
その1
1CD\2800→\990/\1690/\1990

~6/18(火)午前9時


ふだんめったに意識しないような領域にも耳をすませ、
思わぬところから「ぜひ聴きたい音」をみつけてくるセンスが抜群



 いちいち手が込んでるドイツが世界に誇る本格派古楽レーベルRAMEE。
 2004年にライナー・アルントによって設立された名レーベル。

 一流の古楽演奏家のみを起用しており、数々の賞を受賞。録音も超優秀なら、美しいジャケットのアートワークも目を引く。

 フランス、ベルギー系の古楽器レーベルがはばをきかすなか、このRAMEEはずっと国内盤で¥3000を越える国内盤のみ流通していたこともありなかなか一般には浸透せず、熱心なファンだけが「あれ?RAMEE、知らないの?」というような隠れ名レーベルであり続けていた。

 そのRAMEEの国内代理店が交代、ようやく輸入盤が普通に流通するようになった。
 そして今回久しぶりとなる特価セール。

 ひとつひとつが宝物のようなその高水準仕様、どうぞじっくりごらんください。



 すべて輸入盤です、日本語解説は付いておりません。



RAM0702
\2800→\1690
アントワーヌ・ダール(1715-84):
 『六つのソナタ
  -バソンまたはチェロと通奏低音のための』作品2(1759?)*


 『音楽の新しい諸原則』(1765頃?)付録曲+
 1. ソナタ第1番 ハ長調*
 2. ソナタ第2番 ト長調*
 3. フルート伴奏つきエール「ラ・コケット(心そそる女)」+
 4. ソナタ第3番 ハ短調*
 5. フルート伴奏つきエール=
   ミュゼット・アン・ロンドー「親愛なるティルシ」+
 6. ソナタ第4番 ヘ長調*
 7. ソナタ第5番 ニ短調*
 8. アリエット「心そそる女」(1767)
 9. ソナタ 第6番 イ短調*
 10. パロディ=アリエット
  「もいちど、おれを愛しておくれ」(1766)
ヒカルド・ハポポルト(バロック・ファゴット)
使用楽器:パリリのプリュダン1760年頃製作楽器によるコピー
パスカル・デュブリュイユ(クラヴサン)
使用楽器:リュッケルス1624年モデルによるコピー
フランソワ・ニコレ(フラウト・トラヴェルソ)
カラン・セラファン(S)

 「ヘッケル以前の1800年頃までは、フランスのバソンも事実上バロック(orクラシカル)・ファゴット」だそうなのですが、まあ雰囲気ということで「バソン」の呼称を適宜。Antoine Dardなる人はラモーと同じブルゴーニュの出身で、1760年頃パリのオペラ座に入団したというから『レ・パラダン』の初演や『ボレアド』のリハーサルなど、ラモー最晩年の傑作群の上演にはばっちり関係していたわけで。

 その彼がパリに来てすぐ出版したのが本盤のソナタ集・・・18世紀中後半のバソン音楽といえば古典派末期のドヴィエンヌまで殆ど何も録音のないところ、本盤はACCENTのボワモルティエ&コレット曲集への貴重な対抗盤となる-しかもその音楽はずっと古典派に近く、ルクレールのヴァイオリン・ソナタとボッケリーニのチェロ・ソナタの間をゆくような、典雅な歌心とスピード感が交錯する耳なじみのよい音作り(モーツァルトの協奏曲もかくや、というくらい高音域で暴れまわるのも、ボッケリーニのチェロの扱いに似ている)。さらに、大昔ブリュッヘンのオトテール作品集で片鱗が紹介されていたような「フルートだけで伴奏する歌曲」など歌曲ものが折々意趣を添える。18世紀中盤の(とくにフランス語)歌曲は録音が皆無に等しく、その点でも嬉しい計らいだ。

 同時期の作曲家プラのオーボエ・ソナタ集(RAM0603)が絶好調のRAMEEだけに、バソン奏者の見立ても完璧!ハポポルトはブラジル出身、もともとパリで「現代バソンの大家」モリス・アラールに師事したのち、ミンコフスキやニケの古楽器オケに連なったという異色の経歴の持ち主。師匠アラールを思わせる繊細な歌わせ方は古楽器と曲によく調和して、曲の面白さを何倍にも際立たせる--ちょっと聴き逃せないユニークな中低音の魅力、ぜひご注目を!


RAM1208
\2800→\1690
16世紀、北ドイツ・バルト海沿岸の音楽
 -シュトラールズント写本(1585)より-

 O.ホフマン:①主を信じなさい
 ジョスカン:②おお、いとも思慮深きおとめ(器楽合奏)
 不詳:③あなたは傷をつけました
 アルカデルト:④婚礼が、ガリラヤのカナで
 マイラント:⑤おお、女性たちのなかで最も美しく
 ゼンフル:⑥アレルヤ、主とともにあれ
 スカンデッロ:⑦救世主は死の縄につながれても ⑧あなただけが、主よ
 ランゲ:⑨わたしは神の怒りに従います
 シュトルツァー:⑩祝福あれ、主を畏れる全ての者に
 イザーク:⑪救世主、神の子であらせられるかた
スコラ・ストラルスンデンシス
           (古楽器使用)
〔独唱5、ヴィオラ・ダ・ガンバ5、
 リコーダー5、ドゥルツィアン(ルネサンス・
 ファゴット)、ルネサンス・フルート3、
 オルガネット(ポルタティーヴ・オルガン)〕

 ルネサンスの「意外な美」、さすがRAMEEの視点!
 古楽器+声楽、16世紀の「北の美」に息を飲みます
 実際に「音」にされ演奏を聴くと、びっくりするくらい耳なじみがよかったり、そのなかに思わぬ意外な、オーガニックな魅力あふれる響きの発見があったり…古楽の領域を中心、上質すぎる美麗パッケージとともに「知られざる美しい音」をみつけだしてくるのがあまりにうまいRameeレーベル。

 諸般の事情から発売時にご紹介できなかった傑作盤がいくつか在庫確認できましたので、徐々にご紹介してゆくのですが、まっさきにお届けしたいのが、これ!
 ブクステフーデやスヴェーリンクら偉大なオルガン芸術家たちが活躍を始める前の、16世紀のドイツ北方の音楽世界--ポーランド国境にも近いシュトラールズントに伝えられてきた1585年制作の写本をもとに、当時この地で演奏されていたゼンフル、イザーク、シュトルツァー、あるいはフランドル楽派の巨匠たちの音楽などを、ガンバ合奏+リコーダー合奏+ソリスト重唱を中心とした大規模室内楽風の精鋭集団で織り上げてゆく内容で、ア・カペラだと少し聴きにくい?と感じられる「楽器寄り」のクラシック・ファンにもおすすめできる、ガンバやリコーダーと人の声との交錯がえもいわれぬ美を醸し出す1枚です。
 北ドイツの峻厳さというより、北欧の清らかさに近い世界かも--ダウランドのガンバ合奏などがお好きな方にもお奨め。発見にみちた1枚!


RAM1401
\2800→\1690
J.H.シャインと、ライプツィヒの町楽師の伝統
 -コラールと、吹奏楽と-

 シャイン:
  ①カンツォーナ「コロラリウム」
  ②わたしは口を閉ざす(詩編 第39編)
  ③主が、あなたの苦難に耳を貸しますよう(詩編 第20編)
  ④『音楽による祝宴』第7の組曲
  ⑤わたしを憐れんでください、主なる神よ
  ⑥主キリスト、神のただひとりの子
  ⑦起きて輝け、シオンよ⑧4声のパドゥアーナ
  ⑨「あなたに望みをかけます、主よ」によるファンタジア
 クリーガー:⑩ファンタジア ニ短調
 H.バッハ:⑪「わたしを憐れんでください、主なる神よ」によるフーガ
 ライヒェ:⑫4声の第12フーガ⑬4声のソナティナ
 シェッレ:⑭今ぞ来たれ、異邦人の救い主
 J.S.バッハ:⑮「アダムは堕落し、人みな罪に染まり」によるフーガ BWV705
   ※曲順は①②⑩③④⑪⑤⑫⑥⑭⑬⑦⑧⑨⑮
ランベール・コルソン指揮
アンサンブル・インアルト(古楽声楽集団)
アリス・フォクルール、
ベアトリス・マヨ=フィリプ(ソプラノ)
レイナウト・ファン・メヘレン(テノール)

 「ドイツ三大S」の名は、伊達じゃない。シュッツ、シャイトらと並ぶ名匠シャインの金管と歌を、当時の楽器で!
 バッハ以前のドイツ・バロックの大家としては、やはり巨匠シュッツとその同時代人ふたり、いわゆるドイツ三大Sの存在が大きい…と音楽史の本などで書いてあっても、なぜか録音が少なく注目される機会が少ないのがJ.H.シャイン。
 大バッハより1世紀前のライプツィヒで、高い名声を誇る楽長をしていた人でもありますが、今は古楽界よりも金管界隈で、バロック系の金管五重奏曲などの作曲家として有名かもしれません。
 大御所ブラス・アンサンブルの録音でも折々名を見かけるところ、しかし何しろ17世紀の作曲家だけに、アクセントの効いたサウンドと滋味あふれるオーガニックな響きが美しい「当時の金管合奏」で聴きたいところ...この録音では、17世紀製の素晴しいオルガンが残るドイツ北部のゴットルフ城を録音場所に、シャインをはじめとする巨匠たちの金管合奏曲のほか、オルガン曲や歌をまじえた作品も一部収録、バッハ前夜のライプツィヒの楽師たちの伝統にも迫る、後年の同市の発展を準備した豊かな音楽文化をたっぷり味わえます。
 ブランデンブルク協奏曲第2番の初演者とも目される喇叭奏者ライヒェの曲がさりげなく収録されているのも憎いところ!知れば知るほど、の1枚です。



RAMEE
RAM1405
\2800→\1990
銀の糸、金の糸-
 2本のフラウト・トラヴェルソのための組曲とブリュネット(恋歌)-
 ピエール・ダニカン・フィリドール(1681-1731):
  『2本の横吹式フルートのための組曲3編 他』(1717)より
  組曲第1・2・3番
  2本の横吹式フルートのための組曲第7・8・11番
 ミシェル・ピニョレ・ド・モンドンヴィル(1667-1737):
  『古今ブリュネットさまざま、フルート編曲作品集』(1695)より
   (優しい目の小さなブリュネット/草原と森/
    あなたと会わずに過ごした二日/
    リゼットはその羊飼いを愛してる/
    草の上に座って/セーヌの川縁に咲くアイリス/
    恋人がなんであれ/羊飼いのアネット/恋人/あなたは酷い人)
マリー=セリーヌ・ラッベ、
マリオン・トロイペル=フランク(フラウト・トラヴェルソ)
使用楽器:
 インスブルックのルドルフ・トゥツによる再現楽器、
 ブリュッセルのJ.H.ロッテンブルフ
 1730年頃製作モデルによる

 2本で2倍、2人で2倍--ロココを見据えて、18世紀美しきフルート・デュオの、魅惑2倍なフランス古楽18世紀に入ったフランスでは、フラウト・トラヴェルソ(フルート)が大流行。人々の願いに応えて、作曲家たちはこぞってこの楽器のために曲を書きました。
 それらは舞曲を連ねた組曲のスタイルを取るものが大半でしたが、王室の吹奏楽団を支えた音楽家一族フィリドール家のピエール・ダニカンもまた、そんな作曲家の一人。
 ここに収められた曲は、2本のフルートのために書かれた組曲--伝統的な舞曲で構成されているのはもちろんですが、各曲に「フーガ」が置かれていることがポイント。センス抜群の追いかけあいが絶妙なのです!
 そして今回これら組曲と組曲とのあいだをつなぐのは、イタリア趣味前回の大家としても知られた大御所モンテクレール若き日の人気曲集、ブリュネットと呼ばれる素朴で小洒落た恋の歌--これを聴けば、声楽家によって歌われるよりもむしろ、ことばなくフルート2本だけで奏でられたほうが魅力的だとすら思えてきます。

 ラッベとトロイペル=フランクのデュオは、フルートやトラヴェルソ(古楽器フルート)のアマチュア奏者だけでなく、未経験の人にも、この楽器を吹いてみたい!という衝動に駆り立てそう。
 もちろん聴いているだけでもこの満足感、もはや通奏低音も伴奏もなくてよいのだ...と思えてくる不思議さ。小さな音でのBGMにしても、おしゃれに空間を彩ってくれそうです。


RAM1501
\2800→\1690
18世紀ロンドンのスキャンダル女王
 クッツォーニのためのヘンデル・アリア集
  -ヘンデルのソプラノ-

 「シピオーネ」(1726)より
  序曲/マーチ/シンフォニア
  Scoglio d’immota fronde
 「オットーネ」(1723)より
  コンチェルト
 「ジューリオ・チェーザレ」(1724)より
  Che Sento- Oh Dio!-Se pieta di me non senti
  E Tale Otton- -Falsa imagine
 「ロデリンダ」(1725)より
  Ombre, piante, urne funeste!
  Se'l mio duol non e si forte
 「シオレ」(1728)より
  Non credo che sian finti-Or mi perdo di speranza
 「タメルラーノ」(1724)より
  Non e piu tempo
 「トロメーオ」(1728)より
  序曲/Torni omai la pace all’alma
 「アドメート」(1727)より
  シンフォニア
 「アレッサンドロ」(1726)より
  No piu soffrir non voglio
ハスナー・ベンナーニ(ソプラノ)
レ・ムファッティ(バロック・オーケストラ)
ペーテル・ファン・ヘイヘン指揮
 ヘンデルオペラの初演を数々こなしたイタリアのソプラノ歌手フランチェスカ・クッツォーニ(1691-1772)。
 その名声とスキャンダラスなゴシップは、現代でいえば週刊誌を賑わせ、常に話題を振りまくプリマ・ドンナでした。彼女にとってオペラ・アリアは芸術の域にとどまらず、人生そのものだったのではないでしょうか。激動の人生を歩んだ天才肌のソプラノに捧げられた美しいアリアを、古楽界で活躍著しいフランス出身の若手ソプラノ、ハスナー・ベンナーニが歌い上げます。
 この歌手がいたからこのアリアが生まれた…ヘンデル当時の劇場の空気を感じながら、その歌い手の個性を感じ取ることができるアルバムです。


*****



 ヘンデルがロンドンで活躍していた時代、2人の有名な女性歌手がいた。
 フランチェスカ・クッツォーニとファウスチナ・ボルドーニ。
 二人は烈しいライバル意識を持っていたが、1727年6月6日、ボノンチーニのオペラを上演しているときについに大喧嘩に発展、マスコミは両者の血みどろの死闘を面白おかしく書きたてた。



RAM0801
\2800→\990
ミーネケ・ファン・デル・フェルデン (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバのための室内楽作品集


ヨハン・ゼバスティアン・バッハ:
 フルート・ソナタ ト長調 BWV 1038 (ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音編)
 天は神の栄光を語る BWV 76 (ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・オルガン編)
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ ト短調 BWV 1029
 幻想曲 ト短調 BWV 91710.
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ ニ長調 BWV 1028
 3声のインヴェンション(シンフォニア) BWV 787-801 - シンフォニア第3番 ニ長調 BWV 78915.
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ ト長調 BWV 1027 (ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音編)
ミーネケ・ファン・デル・フェルデン (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ラルモニア・ソノーラ
シーベ・ヘンストラ (チェンバロ)
レオ・ファン・ドゥセラール (オルガン)
 
 ミーネケ・ファン・デル・フェルデンはオランダのヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。
 ハーグ王立音楽院でヤープ・テル・リンデン、ヴィーラント・クイケンらに師事。コンチェルト・ヴォカーレ、アニマ・エテルナ、アムステルダム・バロック・オーケストラなどと共演。オランダ・バッハ協会の首席ガンバ奏者。
 2009年からオランダのアムステルダム・スウェーリンク音楽院でヴィオラ・ダ・ガンバの教授をしている。




RAM0404
\2800→\990
J.S. バッハ:フルート・ソナタ集 BWV 1030, 1032, 1034, 1035

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
 (1)フルート・ソナタ ホ長調 BWV 1035
 (2)フルート・ソナタ ホ短調 BWV 1034
 (3)フルート・ソナタ イ長調 BWV 1032 (M. シュパーニによる補筆完成版)
 (4)フルート・ソナタ ロ短調 BWV 1030
ベネデーク・チャローグ (バロック・フルート)
ミクローシュ・シュパーニ ( クラヴィコード(1)(2)/ピアノ(3)(4))

録音: May 2004, Flawinne Castle
 

 名手シュパーニがクラヴィコードとフォルテピアノの弾き分けを。


RAM 0601
\2800→\1690
アントン・エーベルル、モーツァルトの後継者
 ~クラリネットを伴う室内楽作品集


 アントンエーベルル(1765~1807):
  三重奏曲 変ホ長調 作品36
   ~クラリネット、チェロとピアノのための
 クラリネットとピアノのためのソナタ 変ロ長調 作品10-2
 五重奏曲 ト短調 作品41*
  ~ピアノ、クラリネット、2挺のヴィオラとチェロのための 
トリオ・ファン・ブリュッヘン=ファン・ヘンゲル=フェーンホフ(古楽器使用)
(ニコル・ファン・ブリュッヘン(cl)
バス・ファン・ヘンゲル(vc)
アンネケ・ファンホーフ(fp))
*スティーヴン・フリーマン&
フラウケ・モーイ(Va)

 エーベルルは晩年のモーツァルトに師事した作曲家で、早くから熟達した作曲手腕をふるって当初は自作品が何作もモーツァルトの名で出版されたりしていたほど。そのまま芸術性をどんどん養いつづけ、1805年4月にベートーヴェンの「英雄」が初演されたコンサートで同時に演奏されたエーベルルの変ホ長調交響曲(「英雄」と同じ調性である)を聴いた当時の愛好家・批評家諸氏はこぞってエーベルルの方に軍配を上げたという。
 本盤に収録された3作もそれぞれに緻密な書法と19世紀初期ならではの雄大な構想にもとづく古典的形式感が実にすばらしく、ダンツィやクルーセルらにみられるような「モーツァルト妄執世代」特有の“切なさへの憧れ”が美しく滲み出た秀逸な仕上がり。最後に収録された短調と長調が不思議な入り混じりをみせる五重奏曲などは、モーツアルト流儀の悲哀と諧謔の混濁のなか、さながらグリンカの悲愴トリオをさえ予感させる瞬間もあったり、過渡期ならではの偶発的な面白み満載(クラリネットとヴィオラ2本という異例の中音域の厚さが何ともいえぬ滋味を醸し出している点も魅力)。



RAM1103
\2800→\1690
エーベルル 才能あふれるモーツァルトの門弟
 ~大六重奏曲、ピアノ三重奏曲、三重奏によるポプリ~
 アントン・エーベルル(1765~1807):
  1. ピアノ三重奏曲変ロ長調 op.8-2(1798)
  2. 三重奏によるポプリ op.44(1803)
   ~ピアノとクラリネットおよびチェロのための
  3. 第六重奏曲 変ホ長調 op.47(1800)
   ~ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、クラリネットとホルンのための
トリオ・ファン・ヘンゲル(古楽器使用)
ニコール・ファン・ブリュッヘン(cl)
トーマス・ピット(vc)
アンネケ・フェーンホフ(fp)
+アリダ・スハット(vn)
ヴァップ・ヘラスヴオ(va)
バルト・アールベイト(hr)

 モーツァルトが認めた数少ない才人は、すでにロマン派の作法を見据えていた――!
 ベートーヴェンの七重奏曲とほぼ同時代。管・弦・鍵盤の軽やかな交錯が新時代の響きを描き出す...古楽器演奏だからこそ生きる、埋もれていたこの才能。モーツァルトの愛から、ハイドンの面白さから、18 世紀の古典派の響きがすっかり好きになってしまう。そして同時代に素晴しい作曲家たちが多々いたことに気づかされて、古典派音楽のさらなる傑作を探らずにはおれなくなる。
 そんな古典派フェティシズムを十全に満たしてくれるアルバムが、「歴史に埋もれていた、思いがけない素晴らしい響き」を発掘してくることにかけては右に出る者のいない秀逸小規模レーベルRamee から登場いたします!
 かつてメンバーだったものの、2008 年に急逝したバロック・チェロ奏者バス・ファン・ヘンゲルを偲んでこの団体名になったというトリオ・ファン・ヘンゲルは、古楽大国ベルギーや英国、ポーランドなどの最前線で活躍する古楽器奏者の集まりですが、どうやらモーツァルトまわりの事情にはひときわ深く通じているようで、今年もすでに春先の時点でモーツァルトの「クラリネットとピアノのための大ソナタ」なる驚くべき楽譜(!)を発掘(RAM1002 )、シーン最前線にいる俊才たちならではの飛びぬけた水準の演奏でその内容を余すところなく愉しませてくれたところです。
 が、今回はモーツァルトの数少ない「才能ある」愛弟子、エーベルルの作品集!
 Teldec にもコンチェルト・ケルンのぱりっとした交響曲集がありますが、このエーベルルは生前から豊かな才能を開花させていた人で、ピアノ曲を書いては師匠モーツァルトの名で楽譜出版し、楽譜が飛ぶように売れても師匠モーツァルトは抗議さえしなかった...というほどだったそうです。事実、先が読めるようで読めない、時折むわっと情緒豊かなロマン派風味さえ垣間見せるその作風は、たんなるモーツァルトのコピーどころでは済まされないセンスを感じさせてくれます。
 今回はピアノ三重奏にヴィオラ・クラリネット・ホルンが加わる「大六重奏曲」のシンフォニックな魅力(ベートーヴェンの七重奏曲などにも相通じる、意気揚々とした世界!)をはじめ、ロシアで書かれたピアノ三重奏曲や初期ロマン派の人気ジャンルでもあったポプリ(メドレーのようなもの)も含め、ピアノのまわりに加わる楽器の違いがこれほど音楽の様相をヴァラエティ豊かにするものなのか、いや、室内楽の多様さをこれほど自然に使いこなせたのがエーベルル随一のセンスか!と驚かざるを得ません。
 とりわけ中音域を絶妙の逞しさとしなやかさで彩るナチュラルホルンが活躍する大六重奏曲は、アルバム原題を飾るにふさわしい存在感で耳を魅了してくれるはず!
 バロック・ヴァイオリン奏者がふたりもエンジニア陣に加わっていることも、エーベルルが「当時の楽器」で思い描いた響きを理想的なバランスで「いま」に甦らせるのに奏功しているようです。見過ごせない古楽器録音です!



 RAM1106
\2800→\1690
レオン・ベルベン~オルガン独奏による
 ~バッハ:フーガの技法(全曲)

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685~1750):
 フーガの技法BWV1080(全曲・バッハ自身の未完成稿)
レオン・ベルベン(オルガン)
使用楽器:ヨアヒム・ヴァークナー1742~44年建造のオリジナル楽器、
アンガーミュンデ(ドイツ東北部ブランデンブルク)、聖母教会

 ムジカ・アンティクヮ・ケルンの俊才奏者ベルベン――傑作『トッカータ集』に続く、驚きの企画!
 たおやかに、気負わず、隅々まで丁寧に。ありのままの作品そのものと向き合う名手の伴侶は、バッハがこの大作を綴っていたのと同じ頃に建造された、ドイツ屈指の歴史的銘器...!

 1751 年。
 前年に亡くなったバッハが未完成のまま残した『フーガの技法』が出版されたとき、その絶筆部分にはあえて誰も補筆をせず、書きかけの音符だけが拾われ印刷譜に掲載されました。そこに付された次男C.P.E.バッハの注意書きは「この、対旋律にBACH の主題が現れたところにいたって、作曲者の命は尽きてしまった」とあります。このため『フーガの技法』は、あたかも衰えゆく作曲家が最後の創作力をふりしぼって、命と引き換えに綴り続けた音楽であったかのように信じられてきました。
 とはいえ、バッハ研究の最先端にいる研究者や欧州古楽界の名演奏家たちのあいだで、いまだにこの説を信じている人はいないと思います。というのも、楽譜に対する科学的・様式的研究が進められた結果、この書きかけの最終楽章はすでにバッハが亡くなる前の年、1749 年に書きつけられていたことが判明しているからです。
 いったい、この曲集は本来どんな存在だったのでしょう?はっきり判っていることは、ただひとつ。楽譜上に楽器名をいっさい記していないのは、バッハがこれが実際に公の場で演奏されることなど考慮せず、音楽学に通じた玄人たちに「読んで愉しむ楽譜」にしてもらいたい、と考えていたからに違いない、ということ。
 しかしそれが演奏され鑑賞される作品としても至高の名作であることは周知のとおりで、では何で弾くか?と考えたとき、最も好適なのがおそらくオルガンなのです。複数の人間で弾きあわせるより、ひとりの脳と体で綴られる方が音楽の性質に合っているでしょうし、かといって管や弦では音が足りない、畢竟鍵盤ということになるけれど、チェンバロやクラヴィコードでは音符の長さをちゃんと示せない。となれば、バッハ自身が最も得意としていたオルガンこそが最適ではありませんか。
 ただ昨年『レコード芸術』で特選を取るなど絶賛を博したB.フォクルールの2枚組のような数十年ぶりの?例外を除き、名手によるオルガン版新録音はなかなか出ないもの・・・と思っていたら、古楽大国ベルギーの最前線を担うバロック・ヴァイオリン奏者だった録音技師・プロデューサーが主宰する秀逸古楽レーベルRamee が、やってくれました。ドイツの伝説的古楽集団ムジカ・アンティクヮ・ケルン(Archiv の名盤群…)で最後の通奏低音奏者をつとめ、近年ソリストとして破竹の躍進をみせる名手ベルベンが、ちょうどバッハが(最晩年ではなく)実際に「フーガの技法」を作曲していたのと同じ1740 年代半ばに建造された歴史的オルガンで、いつわりの伝説の向こうにある“真実の『フーガの技法』の姿”を解き明かしてくれたのです。
 無駄に勿体つけず、CD1枚に入ってしまう速度で端正に織り上げられてゆく音世界は実に気持ちよく自然体。滋味あふれる歴史的オルガンの妙音に聴き惚れ、メロディラインの交錯と変容に心を奪われていると、ふと音楽が途絶える。最後の絶筆部分の、なんという余韻。
 ベルベン氏、前作『トッカータ集』でのバッハ奏者としての高評価はやはり、幻ではありませんでした。

 


RAM1305
(2枚組)
\5400→\2490
バッハ:鍵盤練習曲集 第3巻
 ~オルガンのためのさまざまな前奏曲、フーガ、手鍵盤のための二重奏曲~

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685~1750):
 『鍵盤練習曲集 第3巻
  ~オルガンのためのさまざまな前奏曲』
  (全曲・BWV552/669-689/802-05)
レオン・ベルベン(オルガン)
使用楽器:グラウホーフ=ゴスラール(ドイツ中部)
聖ゲオルク教会、
トロイトマン1737年建造)

 何よりもまず鍵盤奏者=つまり「オルガニスト」だったバッハが、鍵盤芸術の全てを注ぎ込んだ傑作曲集――
 待望の新録音を、異能集団ムジカ・アンティクヮ・ケルンで最後まで通奏低音をつとめた鬼才ベルベンが!

 曲集の出版とほぼ同時期に作られた、ドイツ中部の歴史的銘器の響きも美しい、物語性ある絶美の名演...
 美麗ジャケットと、その美しさ以上にすばらしい音楽体験を約束してくれる古楽系専門レーベル、Ramee―-彼らが未知の作曲家ではなく、有名な巨匠、たとえばバッハ作品のアルバムを出すときには、たいていきわめて高水準の内容で自信満々...ということが多いようで。とくに修辞法の達人パスカル・デュブリュイユ(cmb)のパルティータ全集(RAM0804)、バッハ・コレギウム・ジャパンでもおなじみのペーター・コーイが指揮するモテット集(RAM0906)、そして伝説的古楽集団ムジカ・アンティクヮ・ケルン最後の通奏低音奏者レオン・ベルベンが、オルガンとチェンバロを使い分けて臨んだ2枚組のトッカータ集(RAM0903)…このベルベンという異才が意欲的な企画を形にしようとするとき、他のレーベルではなく必ずRAMEE を選んでいるということも、このレーベルの主宰者(もとラ・プティット・バンドやリチェルカール・コンソートのバロック・ヴァイオリン奏者)がいかに信頼されているかを物語る証左といえると思います。そうした名手とレーベルとの信頼あればこそ、のバッハ盤が、またひとつ――1730 年代、齢40 を過ぎた頃から徐々に書きためていた、自らの鍵盤技法のすべてを総括しようとする自費出版曲集シリーズの第3集目「鍵盤練習曲集 第3巻」を、上述のトッカータ集を成功させたレオン・ベルベンの演奏による歴史的銘器の響きで!

 バッハの時代、専門職の鍵盤奏者といえば、それはたいていの場合(貴族社会という、限られた勤め口しかない職業に従事する音楽家よりもむしろ)津々浦々に無数にあった教会の専属オルガニストのこと――オルガン芸術の粋をきわめることこそが鍵盤奏者の誇りであったとすれば、チェンバロのための「パルティータ」BWV825-830 や「イタリア協奏曲とフランス序曲」など、鍵盤練習曲集シリーズを2作自費出版したあと、バッハが満を持して出版したこの「第3巻」こそは、彼にとってはいわばシリーズのクライマックスを飾る、最も気合の入った曲集になっていた...と考えられます(その後出版されたもうひとつの「鍵盤練習曲集」である「ゴールトベルク変奏曲」は「第○巻」とはしておらず、当初からシリーズの一環として構想されていたわけではなかったらしい…とも言われています)。
 ルター派プロテスタントの礼拝を踏まえ、ミサの式次第をたどりながら、そこに数々のコラールも交えつつ、さらに1曲の「前奏曲とフーガ」BWV552と、足鍵盤を使わず手鍵盤だけで演奏できる「オルガン独奏による(右手と左手のための)四つの二重奏曲」も含め、古風な伝統様式から最新のイタリアン・スタイルまで多種多様なオルガン芸術を網羅したその音楽を、レオン・ベルベンはさながら一続きの物語のようになだらかに、元歌の詩句さえ感じられるような演奏で聴かせ、つい1曲、また1曲...と2枚のアルバムを聴き進めてしまうほど。
 音色選択、コントラスト、タッチ、さながらオルガンによるオペラのようです。しかも使用楽器はバッハの活躍地からもそう遠くないところに現存する、当の曲集とほぼ同時代に作られた歴史的オルガン!古雅な響きは聴き手を圧倒する荘厳さよりもむしろ、オーガニックな温もりをたたえて心地よく響き、ベルベンの音栓選択の妙とあいまって、聴き疲れることなく深みに引きずり込まれてしまいます。

 

RAM 0605
\2800→\1690
ヘンデルと殺しあった男
 マッテゾン:クラヴサンのための作品集
  「クラヴサンのための作品集」(1714年ロンドン刊)より


 1. 組曲 第1番 ニ短調
 2. 組曲 第6番 変ホ長調
 3. 組曲 第9番 ト短調
 同曲集よりの抜粋楽章
 4. 組曲 第12番~
   アルマンド、クラント、サラバンドとジグ
 5. 組曲 第11番~サラバンド
 6. 組曲 第5番~エールと2変奏
 7. 組曲 第4番~
  アルマンド、クラント、フランス風クラント、サラバンドとジグ
クリスチアノ・オルツ(チェンバロ)
 使用楽器:ミートケ1704年頃のモデルに基づく
 ブルース・ケネディ製作のドイツ・バロック式チェンバロ

 ハンブルクにいた頃の若きヘンデルと肩を並べ、テレマンとよく交友を保ち、作曲のみならずオペラ歌手としても才能を発揮、有能な外交官として活躍したうえ、なんと文筆センスも超一流――
 後半生は外交官職務があまりに多忙をきわめ作曲はほとんどできず、仕事の合間に次々と音楽著述を残すのがやっとだった天才マッテゾン、しかし現存作品のあまりの面白さはバロック好きなら当然ご存知のとおり。
 Alphaで全集録音されたトリオ・ソナタ集『誠実なるヴィルトゥオーゾ』(Alpha035)はそんな彼のペンが最も充実していた1710年代末の曲集だが、このたびそれとほぼ同時期に“ロンドンで”“フランス語のタイトルで”出版されたチェンバロ組曲集をRAMEEが世に問うた!
 いかにも、同じくロンドンで、フランス語の表題で出版されたヘンデルのチェンバロ組曲集(1722)を連想せずにはおれない作品集だが、各曲の響きに贅肉はなく優雅にして繊細、むしろバッハの「フランス組曲」あたりに近いかもしれない――ブラジル出身でJ.オッホとレオンハルトに師事した俊英オルツの演奏がこれまた精妙、ミートケ(「ブランデンブルク協奏曲第5番」の成立を促したという名工)のモ デルによるドイツ式チェンバロの特性をよく生かし、潔い音色でマッテゾン一流の半音階的展開や緻密な和声進行にみごとな説得力を付与してゆく。



 マッテゾンはゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルと大の親友であったが、マッテゾンの歌劇『クレオパトラ』(1704年)の上演中に、二人は突然いさかいを起こし、マッテゾンは危うくヘンデルを刺し殺しそうになった。
 ヘンデルの服に付いていた大きなボタンのおかげで辛くも命が助かったという。
 後に両者は和解している。

RAM 0604
\2800→\1990
「深き淵より」/ドイツ17世紀の独唱カンタータとソナタ
 マティアス・ヴェックマン(1619以前~74):


  1. カンタータ「ものみな我のもとへ集まれ」
 ビーバー(1644~1704):
  2. ソナタ 第1番 ~「聖と俗との作品集」より
 ヨハン・クリストフ・バッハ(1642~1703):
  3. 哀歌「おお主よ、なぜ烈火のごとくお怒りなのですか」
 ニコラス・ブルーンス (1665~97):
  4. モテトゥス「深き淵よりわれ汝に呼ばわる」
 ヨーハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1623~80):
  5. ソナタ「皇帝フェルディナントIII世の崩御を悼む哀歌」
 クリスティアン・ガイスト (1640頃~1711):
  6. カンタータ「そこで彼らはイエスの御体を~
    おお悲しみよ、おお心の苦しみよ」
 ベネディクトゥス・ブーンス(1642頃~1716):
  7. モテット「神よ、怒りにまかせて私を責めないでください」
ペーター・コーイ(バス)
アンサンブル・ラルモニア・ソノーラ(古楽器使用)
ミーネケ・ファン・デル・フェルデン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
フランソワ・フェルナンデス(ヴァイオリン)他

 バッハ以前、17世紀初頭から後半までのドイツ語圏で書かれたさまざまな器楽合奏作品とバス独唱カンタータを集めたこのアルバム、一聴いただければその素晴しさに打たれぬはずはない!

 まさに絶美のドイツ・バロック・アルバムなのだが、それもそのはず、メンバーがあまりにも豪華すぎるのだ!
 独唱がブリュッヘン、ヘレヴェッヘ、コープマン、鈴木雅明らのバッハもの録音できわめて重要な役割を担ってきた名歌手ペーター・コーイなのはいわずもがな、ヴァイオリンはF.フェルナンデスと山縣さゆり、オルガンにレオ・ファン・ドゥセラール…とどこを見ても言い訳しようのない実力派ばかり!

 さらに総指揮はChannel Classicsの名盤群でおなじみのヴィオール奏者ファン・デル・フェルデン!
 彼女の音楽性なくしては、このたおやかなアンサンブルの統一感は出なかったかもしれない。バッハ以前のドイツ音楽は初めて、という方にも、このジャンル最初の1枚としておすすめ。


RAM0706
\2800→\1690
ルネサンス・フルートの饗宴

【登場する作曲家】
 ロバート・フィアファクス(1464~1521)
 ヘンリー8世(1491~1547)
 ジョスカン・デプレ(1440~1521)
 ルイス・デ・ナルバエス(?~1549)
 ハインリヒ・イザーク(1440頃~1517)
 アルノルト・シュリック(1460頃~1521)
 パウル・ホフハイマー(1459~1537)
 ルートヴィヒ・ゼンフル(1486~1542)
 ハンス・ユーデンキューニヒ(1460頃~1526)
 ゲオルク・フォスター(1510~88)
 ヤーコプ・オブレヒト(1456~1505)
 オルランドゥス・ラッスス(1530~94)
 トマース・ルイス・デ・ビクトリア(1548~1611)
 クローダン・セルミジ(1490~1562)
 ニコラ・ゴンベール(1495~1560)
 ピエール・サンドラン(1538~1560)
 ジャン=ポール・パラダン(?~1565)
 ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ(1510~55)
 ディエゴ・オルティス(1510~70)
 ジョヴァンニ・バッサーノ(1560~1617)
 クレマン・ジャヌカン(1485~1558)
 アルフォンソ・フェラボスコ父(1543~88)
 チプリアーノ・デ・ローレ(1510~65)
 ジョン・ダウランド(1567~1626)
 ヤーコプ・ファン・エイク(1589~1643)
 リッカルド・ロニョーニ(1550~1620)
ケイト・クラーク(ft)
アテニャン・コンソート (古楽器使用)
ナイジェル・ノース(lute)
マルタ・グラツィオリーノ(hrp)

 リコーダーではありません、トラヴェルソともだいぶ違う――ルネサンスの横吹型フルートで コンソート(合奏)を組んでしまった、異色の安らぎサウンドの心地よさ...
 RAMEEならではの「誰も知らなかった素敵な響き」をどうぞ!まったくRAMEEというレーベルは、いつもいつも「誰も知らなかった素敵な響き」をみつけてくるのが上手くて参ります。やれ低音楽器なしの中世キプロス音楽だの、やれ一段鍵盤の古い教会オルガンだの...で、今度のアルバムはなんと「ルネサンス・フルート合奏」。古楽レーベルRAMEEのこと、もちろん現代フルートじゃありません。さりとてリコーダー四重奏でもない。しかもフラウト・トラヴェルソというのともちょっと違う――

 ルネサンス時代の横吹式フルート(あったんです、そういう楽器が)の合奏なんです。

 ジャヌカンやセルミジの世俗シャンソンを出版したことで知られる16世紀フランスの楽譜出版人ピエール・アテニャン(1494~1552)が、いくつかのシャンソンを「ドイツ式(=横吹)フルート合奏で」吹けると書き添えて出版しているのを論拠に、15世紀から16世紀末にかけてフランス、英国、ドイツ語圏などで作曲された、シャンソンやドイツ歌曲、英語のマドリガルといった声楽作品をルネサンス・フルートで合奏してしまった本盤、トラヴェルソともリコーダーとも違う、渋ーい“木材の響き”がえもいわれぬ安らぎをかもし出し、そこへ時折リュートやハープの弦音が涼しげな音色で興を添える、なんとも忘れがたい音響世界の連続なのです。

 主宰者ケイト・クラークはオーストラリア出身、他のメンバー同様バルトルト・クイケン門下で腕を養ったヴェテラン――彼女の人脈か、巨匠ナイジェル・ノースがさらりとゲスト出演しているのも嬉しい驚き!じわりとハマる、独特の納涼サウンドです。

RAM0707
\2800→\990
英国ルネサンスと、フランスのリュート音楽
 1. 組曲 ト短調(ムザンジョー)
 2. 英国のパヴァーヌ(P.ゴーティエ)
 3. リュート練習曲 第1セット(メイス)
 4. チャゴーナ(作者不詳)
 5. 組曲 ニ短調(ムザンジョー、S.アイヴズ、作者不詳/1630頃)
 6. 老ゴーティエのナイチンゲール(作者不詳)
 7. 組曲 ハ長調(P.ゴーティエ)
 8. 組曲 ト短調(ムザンジョー)
 9. フラパール修道士(ブヴィエ)
アンスニー・ベイルズ(リュート)

 リュート界の重鎮ともいえる英国の巨匠アンスニー・ベイルズ御大が、ほんとうにひさびさに録音した充実しまくりのリュート独奏盤!!
 ベイルズさまがどのくらいの重鎮かというと、今やすっかり年季の入った古楽大国たる英国に、まだリュートを学べる音楽院が存在しない頃、わざわざバーゼルまで留学して“神様”オイゲン・ドンゴワに師事した世代…ジョルディ・サヴァールがクイケン門下でようやくディプロマ取得しようという頃、といえば伝わりますでしょうか。
 EMIに古楽部門があったLP時代、誰よりも早く(“リュリ以前”の)ルイ13世時代のリュート音楽やエール・ド・クールなどに着目し、録音された2枚のLPはつい最近まで(ほとんど1990年代まで?)フランス初期バロックの決定盤(というより、ほぼ唯一に近い入手可能録音)であり続けた。長年の沈黙を破って今回録音してくれたのは、彼がパイオニア的に知り尽くしたフランス17世紀初頭のリュート音楽と、ちょうどエリザベス朝ルネサンスのくびきから脱しつつあった、同時期の英国音楽との影響関係をさぐる、という充実プログラム!

 これまで全く知られてこなかったルネ・ムザンジョーなるフランスの巨匠の音響世界を二つの組曲でみごと伝えてくれるほか、メイス、アイヴズといった知られざる英国の作曲家たちも紹介。 キィワードは「17世紀の“新調弦”」――リュートはただでさえ調弦に時間がかかるので、通常とは異なる“新調弦”を採用していたムザンジョーの作品群は、現代のリサイタル奏者たちから敬遠され、17世紀当時にはゴーティエ一族にも比する名声を誇っていたのに、今ではまるで知られていない…とは。

 いずれにせよ、12コースの晩期ルネサンス・フランス式リュートを、こともなげに典雅に弾きこなすそのタッチはまさに「ノーブル」の一言! フランス作品でみせる、絶妙の慎ましやかさでの弾き崩しなど、昨今の前衛的若手奏者たちには真似できない独特の境地。1音目から引きつけられること必至、風格あふれる本格盤!


RAM0804
(2CD)
\5400→\2790
J.S.バッハ:クラヴィーア練習曲集第1 巻 全6曲
 (=パルティータ(組曲) BWV825~830)
パスカル・デュブリュイユ(チェンバロ)
※使用楽器:ティテュス・クレイネン製作
(リュッケルス2世1624 年モデルによる)

 ケネス・ギルバートの秘蔵っ子がつむぎ出す、ひたすらに格調高いバッハ解釈!
 ルネサンス音楽修辞学の研究書もあるくらいの知性派だけに、音符ひとつひとつがなんと意味深長に響くこと…同曲待望のチェンバロ新録音は、こんなにも素晴しかった!

 バッハの鍵盤楽曲でもとりわけ重要な『フランス組曲』『イギリス組曲』『六つのパルティータ』の3シリーズは、古い名盤こそ数あれど、21 世紀以降の新録音がなぜか殆ど出ていません(せいぜいファン・ベルデルとルセ、ボブ・ファン・アスペレンの新録音と…あとはピアノのペライアとヒューイットくらい?)。
 ただ三つのなかでも趣きがちょっと違うのがこの『パルティータ』で、どうしたものかピアノでの録音はちょこちょこと出るようです(フェルツマン、ペライア新録音、全集ではありませんがフレディ・ケンプ、アンデルシェフスキ、ティベルギアン…注目盤めじろおしですね)。だがチェンバロ録音となると話は別。そんな渇を癒すようにして、並居る新世代注目奏者たちを尻目にいきなり現れたのが本盤!フランス気鋭の若手パスカル・デュブリュイユはケネス・ギルバートとヤンニク・ル・ガイヤールの門下から出てきた注目の若手で、すでにRAMEE では『A.ダール ブルゴーニュから来たバソンの名人』(RAM0702)であざやかな伴奏を聴かせてくれている人ですが、もちろんソロ録音はこれが最初――

 しかし、これがすばらしく風格のある、一点のくもりもない解釈となっているのです!

 テンポをすこし遅めにとり、へんにフランス風に弾き崩したりはせず、じっくりと弾いてゆく感じですが(第6番などアルマンド1曲だけで10 分以上!)なにぶん曲がバッハ晩年の充実作だけあって、こうした弾き方がすごくハマっていて、一音一音、すごく含蓄深く響いてくる…チェンバロの音であることさえ忘れるほど、バッハの音楽にのめり込んで聴いてしまうこと請けあい! 溌剌鋭角系の古楽演奏が次から次へとリリースされるなか、若い頃のレオンハルトか、はたまた古楽器を覚えたヴァルヒャか…といったような格調高さを早くから打ち出してくるとは、なかなか先が楽しみな逸材のようでございます。プロフィールをよく見てみると、なんでも1606 年刊行の重要文献、ブルマイスターの『詩的音楽』の仏訳を担当していたり、音楽院では音楽修辞学のクラスを受け持っていたりと、バッハに限らず古楽のイロハを周到に身につけた筋金入りの知性派だったと知り、なるほどと納得。だまされたと思って試してみてください――バッハ好きほど、ハマるはず!


RAM0901
\2800→\990
レデスマ:ヴァイオリンとバスのためのソナタ集
 ~ボッケリーニやスカルラッティと同時代のスペイン音楽~

フアン・デ・レデスマ(1713 頃~1781):
 『ヴァイオリンとバスのためのソナタ集』(1760 頃)
 ①ソナタ 第1番 イ長調 ②ソナタ第2番 ヘ長調
 ③ソナタ第3番 ニ長調 ④ ソナタ 第4番変ホ長調
 ⑤ソナタ第5番イ長調
ブライ・ジュスト(バロック・ヴァイオリン)
エルザ・ホグラル(バロックチェロ)
ベルナルト・ゾンデルマン(バロックギター他)

 なんて艶やか、なんて軽やか――バロック最晩期からロココへと移る頃、スペインで大流行していたヴァイオリン音楽は、まさに「タルティーニ + ボッケリーニ」!チェロ&ギターというボッケリーニ低音編成に乗せて、マヨルカ生まれの実力派が飛翔する。

ラ・プティット・バンドやリチェルカール・コンソートなどで幅広く活躍してきたバロック・ヴァイオリン奏者ライナー・アルントが録音から企画までを幅広くこなし、とにかく綺麗なデジパックで上品に仕上げてくる優等な古楽レーベルRAMEE から、ひさしぶりのアルバム――クールなバロック・ヴァイオリンものが登場いたします!


RAM0903
(2CD)
\5400→\2490
バッハ:さまざまなトッカータ
 ~チェンバロとオルガンのための作品より~

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685~1750):
 ◆チェンバロのための作品
  ①トッカータト短調BWV915
  ②トッカータハ短調 BWV911
  ③トッカータニ短調 BWV913
  ④トッカータニ長調BWV912
  ⑤トッカータ嬰へ短調 BWV910
  ⑥トッカータト長調 BWV916
  ⑦トッカータホ短調BWV914
  ⑧トッカータイ長調 BWV Anh.III-178
 ●オルガンのための作品
  ①トッカータとフーガニ短調 BWV565
  ②前奏曲とフーガニ長調BWV532
  ③前奏曲とフーガニ短調 BWV538
  ④トッカータとフーガヘ長調 BWV540
  ⑤トッカータ、アダージョとフーガハ長調 BWV564
  ⑥前奏曲とフーガホ長調 BWV566
レオン・ベルベン (チェンバロ&オルガン)
チェンバロ:ハンブルクのクリスティアン・ツェル
1728年モデルによる(キース・ヒル製作)
オルガン:ハルテュス・ファン・ハーヘルベール
建造(1646)/フランス・カスパー・
シュニットガー改築(1725)

 ムジカ・アンティクヮ・ケルンの通奏低音を支えた異才は、本当に良いアルバムしか作らない。あの素朴な美しさにあふれたバード作品集(RAM0704)の次は、満を持してのバッハ録音。「トッカータ」という鍵盤芸術のエッセンスを、チェンバロとオルガン双方で、じっくり堪能!レオン・ベルベン――オランダにほど近いドイツきっての古楽都市ケルンで研鑚を積み、その熾烈なシーンを生き抜いてきたうえ、パンキッシュな猛者ぞろいの古楽集団ムジカ・アンティクヮ・ケルンが解散する前まで通奏低音奏者として参加しつづけた、もちろんソリストとしての腕前は超一流。

 Ramee レーベルでは本作が4枚目、ご存知の方はご存知の新世代名手のひとりですが、チェンバロを弾いてもオルガンを弾いても、確たる自分自身の個性がおのずと浮かび上がり、それが作品を幾倍にも面白く感じさせてしまう、そういった独特のセンスには年を追うごとに、どんどん磨きがかかっているようで。ドイツ北方オルガン芸術のうまみを味あわせてくれたプレトリウス=シュルツ盤(RAM0402)、ルネサンスのチェンバロ芸術という稀有なジャンルを愉しませるハスラー盤(RAM0501)、16 世紀の一段鍵盤オルガンがひたすら鮮やかなバード盤(RAM0704)…と、盤を重ねるごと、演奏に深みと迫力が出てきたような。そんなベルベンが満を持して臨んだのが、この充実のバッハ2枚組!

 「(鍵盤に)ふれる」という語から派生した「トッカータ」という呼称の即興的な楽曲形式に着目、ドイツ北方の伝統からイタリア芸術の影響、フランス装飾芸術への興味など、バッハ初期から後期にかけての作風形成の真髄に迫る入魂企画です。チェンバロはバッハ時代のユニークな残存例として知られるツェル1728 年モデルによる再現楽器、オルガンはバッハ時代の北ドイツ最高の名工シュニットガーの手になる銘器――チェンバロCD では、冒頭いきなり完璧な速弾きを聴かせて度肝を抜いたかと思うと、縦横無尽、たおやかなカンタービレも繊細な装飾音も緩急自在に繰り出し続け、耳が離せません!またオルガンCD では、有名なニ短調のトッカータとフーガBWV565 からしてユニーク&周到に考証的な解釈で心そそり(冒頭の下方前打音をトリル的に弾くやり方も、まあなんとスマートなこと…)、ゴツゴツした風格とともに聴き応えある響きを打ち出し続けます。チェンバロと、オルガン――相反する鍵盤の2相から、バッハの「粋」が見えてきます!


RAM1002
\2800→\1690
モーツァルト(1756~91):「ケーゲルシュタット」
 1.クラリネット、ヴィオラと
  ピアノのための三重奏曲変ホ長調 KV498「ケーゲルシュタット」
 2. 幻想曲 ハ短調 KV475(フォルテピアノ独奏)
 3. 大ソナタ イ長調 * ~1809年出版 二重奏ソナタ版
 (原曲:クラリネット五重奏曲 KV581)
トリオ・ファン・ヘンゲル(古楽器使用)
ニコル・ファン・ブリュッヘン(cl/バセットcl*)
ジェイン・ロジャーズ(va)
アンネク・フェーンホフ(fp)

 「誰も知らなかった素敵な音」を見つけてくるセンスは、超一流。Ramee レーベルはメジャー作曲家の有名作品でも、こうやって意外な「版」を見つけてきたり...古楽大国ベルギー最前線の名手たちが、モーツァルトの「当時の息吹き」を典雅に甦らせる主宰者自らがバロック・ヴァイオリン奏者で、ラ・プティット・バンドやリチェルカール・コンソートをはじめとする古楽バンドで活躍しながら、その明敏な音楽性と学究的見識、そして比類ない「耳」をもって録音技師もつとめている洗練された古楽レーベル、Ramee(ラメー)。

 主宰者自らが古楽に深く通暁していることもあり、多くの人が気づきもしなかったような音楽史上の「知られざる響き」を、明瞭なアルバム作りでさりげなく拾いあげてくれるセンスは絶妙で、近年は日本でもクラシック・ファンにとどまらない「別の層」からのニーズも静かに増えつつあります。

 そのRamee が近年、にわかにメジャー系作曲家の録音を出すようになってきました――それも、今書いたような「知られざる響き」への適性や入念な音楽学知識がぞんぶんに生かされた制作内容で! 今回のアルバムの主役はモーツァルトで、彼が活躍後期にとりわけ愛したクラリネットのための作品集…とここまでは既に名盤あまたな領域ですが、まず注目すべきはその選曲。「ケーゲルシュタット・トリオ」は、古楽器で録音された例が驚くほど出ない盲点的曲目(現役盤ありましたっけ?)で、ベルギー新世代のホープたちによる磨きぬかれた解釈の登場は、その意味で非常に嬉しいところ。フォルテピアノの独壇場となるKV475の幻想曲をはさみ(モーツァルト後期の「光」と「影」を浮き彫りにする名品ですね)、併録はクラリネット五重奏曲…作曲家が意図した使用楽器である、通常より低い音の出るバセット・クラリネットを使っているところまではまだ競合盤もありますが、ここで演奏されるのは、作曲者歿後急速に高まったモーツァルト人気を見越し、1809 年、ウィーンのアルタリア社(ハイドン作品を多数出版している楽譜出版社)が刊行した「クラリネットとピアノのための大ソナタ」としての編曲版なのです!音楽内容は逐一原作と同じ、今とは違う当時のクラリネットを念頭に置いたのか、バセット・クラリネットでしか出せない低い音まで忠実に写してある(ちなみに、同時代に出版された本来の五重奏曲版の楽譜は、そうした局面を通常のクラリネット用に書き換えてあるのだとか)――

 音楽学的にも注目度の高い版ですが、そんなことより何より大事なのは、彼らの演奏解釈が実に美しく鮮やかなところ。あの幻想曲の独特な終止のあとに続き、原作では弦楽器だけで奏でられる冒頭の下降音型が、フォルテピアノ独奏の思わぬ美音でしっとり典雅に始まるところから心をひきつけられ、その後に立ち現れるバセット・クラリネットの素朴にしてニュアンス豊かな美しさ…全く別の魅力を放ち始めるこの版には、耳の肥えきったモーツァルト・ファンも感慨を新たにするでしょう。生音を生かした録音の妙もあり、美麗なパッケージを眺めつつ、純粋にロココの古楽器の典雅さを(絶妙の傑作演目で)堪能できる美盤でもあります。


RAM1001
\2800→\1690
バッハ『鍵盤練習曲集 第2巻』
 +前奏曲、フーガとアレグロ/半音階的幻想曲

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685~1750)
 1. イタリア協奏曲 BWV971(鍵盤練習曲集第2巻)
 2. フランス序曲 BWV831(鍵盤練習曲集第2巻)
 3. 前奏曲、フーガとアレグロ BWV998
 4. 半音階幻想曲 BWV903
パスカル・デュブリュイユ(チェンバロ)

 バロック奏法における“修辞法”のプロ、気鋭デュブリュイユの『パルティータ』に続くバッハ!
 バッハ鍵盤芸術の肝、2段鍵盤チェンバロのあり方を最も端的に示す2傑作のほか、それぞれに重要な二つの傑作も収録――自然にして雄弁、飛びぬけた名録音です!

 レーベル主宰者が録音技師を兼ねており、さらにその主宰者自身もバロック・ヴァイオリン奏者だったという「古楽のツボ」を押さえまくったレーベルRAMEE は、これまで徹底してメジャー路線を離れての秀逸な「知られざる音の探究」に邁進してきましたが、ここ近年になって、そうした経験を十全に活かしたうえでの王道路線レパートリーの録音が増えています。もうすぐ日本リリースとなるヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによる『無伴奏チェロ組曲』(RAM1003・演奏はドミトリー・バディアロフ!)もそのひとつですが、なんと今回またしてもバッハの録音が――

 それも、演奏者はかつて同レーベル初の2枚組アルバムとなった2008 年作『六つのパルティータ』(RAM0804)で、周到そのもののバロック修辞法解釈を披露、この難曲に新たな傑作録音をつけ加えた気鋭奏者パスカル・デュブリュイユ!とくれば、これはもうシーンに敏感な古楽ファンなら注目せずにはおれないところ。

 しかし何より嬉しいのは、その選曲でしょう――さきの録音でデュブリュイユが聴かせた『六つのパルティータ』は、バッハが齢40を数えた頃、鍵盤楽器を自ら奏でる作曲家として練り上げてきた技芸を集大成すべく、鍵盤作法のすべてを周到に楽曲のなかに織り込んだ作品集のかたちで続々出版されていった『鍵盤練習曲集』なるシリーズの第1巻をなすものでしたが、ここに録音されているのは、その次に出版された『第2巻』の収録作2曲(イタリア協奏曲/フランス序曲)と、単独曲ながらそれぞれに充実した内容ゆえ、演奏機会も少なくない名品「半音階的幻想曲」BWV903 と「前奏曲、フーガとアレグロ」BWV998。
 特に後者はチェンバロ用の手稿譜も数多く残っているにもかかわらず、リュートの音に憧れ作曲した音楽、という触れ込みゆえ、ガット弦を張った特殊なリュート風チェンバロ(ラウテンヴェルク)やリュート、ギターなどで演奏されることの多い傑作で、通常のチェンバロによる録音という意味でも嬉しい収録となっています。

 アルバムの核をなす『鍵盤練習曲集 第2巻』の2作は、当時のヨーロッパ芸術音楽における二大潮流だったイタリア様式とフランス様式をテーマに、イタリア=協奏曲、フランス=序曲(つまり舞踏組曲)とそれぞれを代表する器楽形式を用いながら、2段鍵盤のチェンバロで両鍵盤を使い分ける演奏スタイルをじっくり学べる音楽に仕立てたもの。特に「イタリア協奏曲」は、弦を2列鳴らして大きな音量を得られるほうの鍵盤を大合奏に、また弦を1列だけはじく側の鍵盤をソロに見立て、チェンバロ1台で協奏曲を模した作法が絶妙な1編として有名です。もう片方の「フランス序曲」は古くから有名な曲のわりには録音が散発的にしか見当たらない充実作で、バッハの鍵盤曲でも特に長大な部類に属する一編です。

 演奏者デュブリュイユはケネス・ギルバートの門下生で、バロック特有の「ことばはこび」や作品にひそむ隠れた数理的メッセージを読み解く天才として知られる気鋭奏者――バッハの書法をどこまで見通せるか?が演奏の面白さと深さをこれほど左右する曲目において、彼ほど適任な演奏者はいないだろう、と随所で感服せずには周到解釈。自然派録音も絶妙で好感度大!です。



RAM1004
\2800→\1690
オペラや協奏曲の名声に埋もれがちな
 ヘンデルのチェンバロ作品に真正面から取り組んだ超・名演!

 ジョージ・フレデリック・ヘンデル(1685~1759):
  ①組曲 第8番 ヘ短調 HWV433 ②エール 変ロ長調 HWV471
  ③組曲 第3番 ニ短調 HWV428 ④メヌエット ト短調 HWV434
  ⑤組曲 第5番 ホ短調 HWV438 ⑥ソナチネ ト長調 HWV582
  ⑦組曲 第7番 ト短調 HWV432
クリスチャーノ・オウツ(チェンバロ)
使用楽器:18世紀ドイツ北部モデル(M.クラーマー2004年製作)

 ヘンデルのチェンバロ作品集――って、どうしたものかチェンバロの録音が意外に出てこないジャンルでもあったりします。

 なにしろ雄弁な音楽を書かせたら右に出る者はいないヘンデル、オペラ並みの壮大なスケール感から叙情豊かなカンタービレまで自由自在。しかしそんな作風を、チェンバロ語法を意識して不必要なゴージャスさを避けながらピアノで録音する人が意外と多い反面、チェンバロで録音してくれる人が意外にいないのです。英国の小規模レーベルなどには気の利いた充実録音もある一方、国内盤となるともう壊滅的なんじゃないでしょうか。

 そんな「盲点」ともいえるヘンデルのチェンバロ録音に、本場オランダでじっくり研鑽を積んだ本格派の古楽肌チェンバロ奏者、クリスチャーノ・オウツが真正面から取り組んでくれました。なにしろオウツのRamee 録音といえば、第1弾のマッテゾン作品集が、作曲家の(そして、演奏家の)知名度の低さにもかかわらず大いに売れた実績もありますから(『レコード芸術』 でも特選でした)、注目せずにおれぬわけがない。

 なにしろ驚かされるのが、歴史的チェンバロではあまり聴かれない16 フィート弦列(記譜音より1オクターヴ下の音が出る弦列)の音がすること。慌ててチェンバロのスペックを見たところ、それはれっきとした歴史的モデルの復元楽器で、18 世紀ドイツのチェンバロ製作理念を教えてくれるハンブルクの貴重な現存楽器を手本に製作されたもの(J.C.フライシャーと、バッハも絶賛した名工ミートケの門弟C.ツェルの楽器にもとづく、とのこと)。この16 フィート弦列のほか通常の8フィート弦列を2列、4フィート弦列(1 オクターヴ上の音が出る弦列)を1列そなえ、2段鍵盤とレジスター操作でニュアンス豊かな音色変化も愉しませてくれるこの銘器を、オウツは楽器のスペックによりかかることなく縦横無尽に弾きこなし、ヘンデルが的確に配した音符ひとつひとつの存在意義を痛烈に印象づけてくれるのです!

 チェンバロ独奏を聴いていて、まるで古楽オーケストラと向き合うかのような多元的な響きに出遭えるのは、弾き手・楽器・作曲者の3者がすべて卓越した超一流であればこそ。18 世紀当時、ロンドン到着後から飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を馳せ、「あのザクセンの田舎者が!」とアンチ勢力が歯がみするくらい評判をとったヘンデルの鍵盤作品は、出版される前から手書きで書き写されて大人気を誇り、すぐに海賊版楽譜が出回るほど大人気だったそうですが、「なるほど」と納得せずにおられません。


Bononcini: Barbara ninfa ingrata
RAM1006
\2800→\1690
ボノンチーニ、この目覚ましきイタリア・バロックの俊才
 ~室内カンタータとトリオ・ソナタ~

ジョヴァンニ・ボノンチーニ(1670~1747):
 ①シンフォニア 作品4-9(2vn・bc)
 ②カンタータ「きみが話すとき、きみが笑うとき」(T・bc)
 ③カンタータ「バルバラ、不実な妖精」(T・2vn・bc)
 ④シンフォニア 作品4-12(2vn・bc)
 ⑤カンタータ「苦しみに取り巻かれて」(T・vn・bc)
 ⑥カンタータ「そう、ドリンダは昼の太陽」(T・2vn・bc)
アンサンブル・リリアード(古楽器使用)、
シリル・オヴィティ(テノール)
レオノール・ド・レコンド(バロック・ヴァイオリン)他

 この数年、店主が気になって気になって仕方がない、ボノンチーニのアルバム。

 ジョヴァンニ・ボノンチーニ――多くの人が「ヘンデルの対抗馬としてロンドンの貴族たちに担ぎ出され、もろくも人気を失ったイタリア人作曲家」としてご存じかもしれませんが、これは本当にもったいないこと。当時ロンドンの貴族たちは、自分たちにとって文化後進地域の田舎としか思っていなかったドイツから若造作曲家がやってきて、我らが先進国のオペラハウスを席巻してしまったのが面白くなく、それなら本場イタリアから申し分ない巨匠を呼んできてアイツをつぶしてやれ、とばかりにボノンチーニを担ぎ出したわけですが、おそらく彼の敗因は「歴史と時間の流れが真の美を証明した!やっぱりヘンデルは素晴しかった」なんて無責任な話ではなく、たんにヘンデルが新時代の流行にかなった曲を書いていたというだけの話。

 つまりボノンチーニはもはや「昔の人」になっていたというのが実情でしょうが、今こそボノンチーニがなぜ「ロンドン貴族に担ぎ出されたのか?その音楽はどれほどのものだったのか?」と確かめるにはうってつけの時代なのだと思います。
 そして――事実、その音楽は心底素晴らしい、およそハズレなし!と言ってもいいくらい。

 古楽先進地帯のヨーロッパではこの点すでにもう四半世紀ほど前から見直しが進んでいて、音盤シーンだけ見ても、ここ10 年のあいだにArcana、Tactus、Zig-Zag Territoires、Ramee…といった古楽に強いレーベルが、続々ボノンチーニの作品集(なかんずく、声楽曲)を出してきたことからもわかるでしょう(単体アルバムの発売点数はおそらく、同時代の巨匠アレッサンドロ・スカルラッティのそれにも負けていないはず)。
 明敏な古楽プレイヤーたちをここまで熱狂させるその音楽は、1700 年前後(つまりヴィヴァルディやヘンデルの様式が大流行する前、ちょうどコレッリのソナタが最も人気だった時代)のイタリア音楽の真骨頂、つまり絶妙の和声進行に乗せて、ほんとうに美しいメロディを紡ぐ芸術が最も洗練されつつあった時代の、ひとつの理想ともいうべき境地をみせているのです。

 ロンドンに来る前は全ドイツ語圏の名目上の最高権力者、ウィーンの神聖ローマ皇帝に仕えていたばかりか、イタリア中の貴族たちがボノンチーニの室内カンタータに熱狂し、いわゆるナポリ楽派もボノンチーニのメロディセンスから多くを学んだと言われていますが、本盤の演奏に触れれてみれば、なるほど確かにと納得せずにはおれなくなるはず。
 ヨーロッパ各地の歌劇場でも活躍するフランスの実力派古楽歌手オヴィティの優美な声は、そのわかりやすく美しいメロディセンスをきわだたせるのにぴったり。対する器楽陣ではヴェルサイユ系のアンサンブルでも活躍する俊才レコンドを中心に、古楽器の響きを知り尽くした俊才たちが痛快・鮮明なアンサンブルを聴かせてくれます。



 RAM2101
\2800→\1690
『ヘーベンシュトライトのバッハ』
 ~ダルシマーとオルガンで弾くバッハのソナタ~

  ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750):
   1-5. ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのための
    ソナタ ト長調 BWV 1019
   6-9. ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV 1023
   10. サラバンド ハ長調 ~無伴奏チェロ組曲第3番 BWV 1009より
   11. プレリュード ハ長調
    ~無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 BWV 1006より
    (原曲: ホ長調)
   12-15. ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのための
    ソナタ イ長調 BWV 1015
   16. プレリュード ニ長調
    ~無伴奏チェロ組曲 第1番 BWV 1007より(原曲: ト長調)
   17-20. ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV 1021
  ※全てダルシマーと教会オルガンによる演奏
ラ・ジョイア・アルモニカ
 マルギット・ユーベルラッカー
  (テナー・ダルシマー/
   アルフレート・ピヒルマイアー1997年製)
 ユルゲン・バンホルツァー
  (オルガン/
   ゲラルト・ヴェール1990年建造、
    バート・ベルカ聖母教会のH.N.トレープス
     1742年頃建造楽器による)

 録音: 2021年2月8-11日 バート・ホンブルク救世主教会(ドイツ中部ヘッセン州)

【美麗!フォルテピアノに繋がる古楽器の響きが、バッハ作品の意外な魅力を浮き彫りに】
 響箱の上に張り巡らされた弦を撥で叩いて音を出す楽器ダルシマー。ハンガリーやペルシャの伝統音楽での使用例が有名ですが、この種の楽器はバロック期の宮廷音楽でも使われ、ドイツ語圏でのフォルテピアノ誕生にも影響を与えたことが知られています。
 現代の名手マルギット・ユーベルラッカーは異能の古楽器集団ラルペッジャータの常駐メンバーとして活躍する傍ら、古楽器鍵盤奏者ユルゲン・バンホルツァーと組んでラ・ジョイア・アルモニカ名義でもRameeから多数の録音をリリース。
 今回は満を持してのバッハ・アルバムです。
 表題に掲げられた名は、常人離れした腕前でドレスデン宮廷から厚遇されていたダルシマー奏者パンタレオン・ヘーベンシュトライト(1668-1750)。
 自らの名にちなんでパンタレオンと名付けた独特のダルシマーを開発、演奏の巧みさでは彼の雇用主だった芸術愛好家ザクセン選帝侯=ポーランド王のみならず、クーナウやテレマンやマッテゾンら大物作曲家たち、オルガン建造家G.ジルバーマンなど音楽関係者からも大いに注目されていました。
 ヘーベンシュトライト自身ヴァイオリン奏者としても一流だったことから、本盤ではバッハ自家薬籠中の楽器である教会のオルガンとダルシマーの二重奏で弦楽向け作品を演奏。緩徐楽章の旋律を歌うかそけき弱音からアレグロの煌びやかなパッセージまで、フォルテピアノや、どこかハープにも通じるダルシマーの美音は、バッハが知っていたモデルの教会オルガンと意外な相性で響き合い、分散和音などを通じて作品そのものの思わぬ側面を浮かび上がらせます。
 Rameeレーベルならではの古楽器それぞれの響きを的確に捉えた自然なエンジニアリングも好感度大。
 



 RAM2102
\2800→\1690
『サルヴェ・レジーナ』 ~ハッセ、ポルポラ:独唱モテット集
 ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699-1783):
  1-4. モテット「地獄の敵たちよ」 Hostes averni
 ニコラ・ポルポラ(1686-1768):
  5-10. ごきげんよう皇后様(サルヴェ・レジーナ) Salve Regina
 アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741):
  11-13. 弦楽と通奏低音のための協奏曲 ト短調 RV 154
 ポルポラ:
  14-19. モテット「主が建てて下さらなければ」 Nisi Dominus
 ヴィヴァルディ:
  20-22. 弦楽と通奏低音のための協奏曲 ヘ長調 RV 136
 ハッセ:
  23-25. モテット「贖罪主を育てた母なる方よ」 Alma Redemptoris Mater
クリント・ファン・デル・リンデ(カウンターテナー)
レ・ムファッティ(古楽器使用)
 コンサートマスター: 寺神戸 亮(ヴァイオリン)

 録音: 2021年3月27-30日 フリンベルヘン(グリンベルゲン)修道院 (ベルギー中部フラームス・ブラバント州)

 【精鋭集団レ・ムファッティ、俊才歌手と解き明かすカストラート全盛期の作曲家たちの真髄】
 ハッセとポルポラといえば、ヘンデルとモーツァルトの間に活躍した18世紀イタリア語オペラの作曲家たちの中でも、最も人気が高かった二人。
 イタリア半島で華々しい活躍をみせた後にドレスデン宮廷楽団の楽長となったほか、フリードリヒ大王が宮廷外の作曲家で唯一偏愛したことでも知られるハッセと、ナポリ楽派の俊才でハッセ同様に国際的な活躍をみせたポルポラは、どちらも一時はヘンデルの強敵としてロンドンの歌劇界を湧かせ、映画『カストラート』(1994/95)でも重要な見せ場は彼らのアリアに彩られていました。
 彼らのオペラが近年の欧州歌劇界で着実に上演機会を増やしつつあり、録音物も抜きん出て増加傾向にあることは、その作品の質の高さを証明するものです。
 彼らがオペラの傍ら作曲していた小編成合奏を伴う教会向け独唱モテットの数々は、その声楽に対する抜群の適性を端的に味わえる傑作揃い。
 歴史に埋もれた重要作曲家たちの復権に大きく貢献してきたベルギーの精鋭陣レ・ムファッティは今回、話題を呼んだバッハの再現されたオルガン協奏曲集(RAM1804/NYCX-10044)と同じく寺神戸亮をコンサートマスターに迎え、両者の作風をよく伝える名品を2曲ずつ厳選。
 近年楽譜が発見され今回が初録音となるポルポラの「主が建てて下さらなければ」は1712年の最初期作で、独特の古風な味わいが魅力。
 他の3曲のモテットでは、ヘンデル後期の充実作にも比肩しうる両作曲家の実力を存分に楽しめます。
 併録のヴィヴァルディ作品はあえてソロのない曲が選ばれているものの、新世代の俊才ファン・デル・リンデの自在な歌唱を支えるレ・ムファッティが精鋭揃いであることを示して余りある演奏に仕上がっています。
 

 RAM2103
\2800→\1690
ジョスカン・バストン:声楽作品集
 ~知られざる16世紀ネーデルラント楽派の名匠~

  ジョスカン・バストン(生歿年不詳、1542-1563頃活躍):
   1. ある男が、別れるつもりの恋人を食事に誘った
   2. あなたはわたしを悩みと悲しみで苦しめる
   3. 安息日が終わると、マグダラのマリアは
   4. わたしの苦悩が、あなたを大いに喜ばせるなら
   5. 夜が来るたびに
   6. 主よ、あなたこそはわたしの希望でありつづけてきました
   7. さあ喜びに湧け、塞ぎがちな魂たちよ
   8. ある男がヘントまで馬で出かけていった
   9. 甘き思い出
   10. 深い悲しみがなお深まり
   11. ああなんと悲痛なことか、恐ろしいまでの悲痛さよ
   12. 旨いものとビールが少しでもあれば
   13. 苦しみ、それに耐えること、それが今のわたしの運命
   14. 厳格に過ごすことだけが
   15. もし、忠実な恋で
   16. ある小娘が朝早く起きて
   17. 貧者に施しをしない人は
   18. 恋の不平をそんなに言うのに
ラタス・デル・ビエホ・ムンド
 (古楽器&声楽アンサンブル)
  ミヒャエラ・リーナー(ソプラノ)
  スートキン・バプティスト(メゾソプラノ)
  アンネ・リンダール・カールセン(アルト)
  トマス・マシェ(バス)
  サロメ・ガスラン、ギャランス・ボワゾ
   (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  フロリス・デ・レイケル
   (各種リュート、ルネサンスギター)

 録音:2021年5月30日-6月1日 AMUZ、アントウェルペン(ベルギー)

 【謎多き16世紀ネーデルラント楽派の奥深さを、多彩な解釈で変幻自在に!】
 ルネサンス期の音楽を、旧来の慣習にとらわれない自由な演奏スタイルで解釈してゆく新世代の古楽アンサンブル、ラタス・デル・ビエホ・ムンド(スペイン語で「旧世界の鼠」の意)。彼らの快進撃を追う古楽レーベルRameeから、16世紀半ばに刊行された多くの曲集にその名が現れながら正体が今なお謎に包まれている作曲家ジョスカン・バストンの作品集が登場。
 ネーデルラント出身でおそらくはクレメンス・ノン・パパやヴィラールトなどと同世代と考えられているこの作曲家は、ヨーロッパ各地にその名を轟かせ、遠くポーランドにまで活動の足跡を残しました。
 その作品はファレーズやスザートなど、活版楽譜印刷初期の重要な曲集編纂者たちが折に触れ曲集に収録しており、この作曲家が当時広く人気を誇っていた様子が窺えます。当時の宮廷音楽世界で地域を問わず愛されたフランス語による多声シャンソンの他、ここではバストンの出身地フランデレン地域の言葉であるフラマン語(ベルギーのオランダ語)やラテン語の小編成楽曲も収録。
 ガンバ二つと撥弦楽器を巧みに使い分けた器楽伴奏で独唱・重唱を彩りながらの演奏は、ア・カペラ解釈だけでは見えてこない精彩鮮やかな16世紀音楽の魅力を緩急自在に伝えてやみません。
 16世紀ネーデルラント楽派の音楽全体をも捉え直すきっかけになりそうなアルバムです。




 RAM2105
(2CD)
\4400→\2490
アンサンブル・ボンヌ・コルド
ジョゼフ=エクトール・フィオッコ:聖週間の哀歌

 ジョゼフ=エクトール・フィオッコ(1703-1741):
  【DISC 1】
   1-6. 聖水曜日のための第1の哀歌
   7-8. 聖水曜日のための第2の哀歌(ルソン)
   9-13. 聖水曜日のための第3の哀歌(ルソン)
   14-17. 聖木曜日のための第1の哀歌
   18-21. 聖木曜日のための第1の哀歌(レティオーネ)
  【DISC 2】
   1-5. 聖木曜日のための第2の哀歌(ルソン)
   6-10. 聖木曜日のための第3の哀歌(ルソン)
   11-14. 聖木曜日のための第3の哀歌(レクツィオ)
   15. 聖金曜日のための第1の哀歌
   16-21. 聖金曜日のための第2の哀歌(ルソン)
   22-26. 聖金曜日のための第3の哀歌
アンサンブル・ボンヌ・コルド
 (古楽器&声楽アンサンブル)
  アナ・ヴィエイラ・レイテ(ソプラノ)
   ...DISC 1: 1-13/DISC 2: 15-21
  アナ・キンタンス(ソプラノ)
   ...DISC 1: 14-18/DISC 2: 1-10
  ウーゴ・オリヴェイラ(バリトン)
   ...DISC 2: 11-14,22-26
  ディアナ・ヴィナグレ(チェロ&指揮)
  レベッカ・ローゼン(チェロ)
  マルタ・ヴィセンテ(コントラバス)
  フェルナンド・ミゲル・ジャロト(オルガン)

 録音: 2021年11月2-7日 メニーノ・デウス教会、リスボン、ポルトガル

 【フランスとイタリアの伝統を引く、しなやかな旋律美。ベルギー後期バロックの世界】
 中世末期以来、ハプスブルク家支配のもとカトリックの伝統が息づく場所として、豊かな文化が培われてきたネーデルラント南部(現在のベルギー)。
 この地が一時バイエルン選帝侯の所領となった18世紀初頭には、選帝侯がミュンヘンから連れてきた作曲家たちの活躍を通じ、フランス宮廷音楽に加えて最新のイタリア様式が大きな影響を及ぼしました。
 イタリア人の宮廷作曲家を父にベルギーで生まれたフィオッコは、その短い生涯の中で後期バロックの伊仏両様式をともに咀嚼吸収、独自の美しい音楽世界を紡ぎ出した重要人物。
 復活祭前の聖週間に行われる静謐な礼拝のために彼が作曲した小編成教会音楽の数々は、フランス式の作曲分野でありながらイタリア流儀の歌心にあふれ、その才覚をじっくり堪能できる充実作ばかりです。
 
 ヨーロッパ各地で活躍するポルトガル出身の古楽プレイヤーたちが集うアンサンブル・ボンヌ・コルドは、その魅力の粋を追求すべく、フィオッコが書いた聖週間のための哀歌を2枚のCDで網羅。
 ブリュッセルとアントウェルペンで作曲された11篇全てを収めた録音はこれが初めてです。控えめながら印象的な美しさに貫かれたメロディアスな独唱部はイタリア風、復活祭前の節制期間に伴奏楽器を低音部のみに絞る流儀や装飾音の扱いはフランス風に仕上げられた11篇は、複楽章の曲もあれば長めの単一楽章の曲もあり、同時代のヘンデルやヴィヴァルディにも比肩しうる魅力がたっぷり。
 チェロが独立した立ちまわりを演じる局面も多く、ガット弦の低音の響きと歌声の交錯をじっくり味わえます。
 

 RAM2107
\2800→\1690
ジョン・コプラリオと16世紀のマドリガーレ作曲家たち
 1. アルフォンソ・フェラボスコ1世(1543-1588):
  静謐な空から雨滴が降るがごとく
 2. ジョン・コプラリオ(1570頃-1626): 6声のファンタジア
 3. ジョヴァンニ・ピエールルイージ・ダ・パレストリーナ
  (1525頃-1595) :わたしは傷つけられた、なんということか
 4. コプラリオ: 2声のファンタジア
 5. ジョン・ウォード(1571-1638): わたしの心よ、ああ苦しむな
 6. トーマス・ルポ(1571-1627):
  「美しくも陽気なあの顔」によるファンタジア
 7. ジョヴァンニ・デ・マック(1548頃-1614): 美しくも陽気なあの顔
 8. クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1643):
  あの、血糊と死にまみれた場所で
 9. リチャード・ミコ(1590-1661):
  「あの、血糊と死にまみれた場所で」によるファンタジア
 10. ルカ・マレンツィオ(1553/54-1599):
  ああ、このうえなく美しい溜息をつくお人よ
 11. コプラリオ:
  「ああ、このうえなく美しい溜息をつくお人よ」によるファンタジア
 12. マレンツィオ: 残酷な人、どうしてわたしから逃げるのです
 13. フェリーチェ・アネリオ(1560-1640): 天から炎を降らすのだ
 14. トーマス・モーリー(1557/58-1602):
  「天から炎を降らすのだ」によるファンタジア
 15. バルダッサーレ・ドナート(1530頃-1603):
  逃げろ、逃げられようものなら
 16. オラツィオ・ヴェッキ(1550-1605):
  遊べ、ニンフたちよ、草芽吹く野原に
 17. コプラリオ:「遊べ、ニンフたちよ」によるファンタジア
 18. ルポ:「ああ、麗しき夜明けよ」によるファンタジア
 19. ヴェッキ: ああ、麗しき夜明けよ
 20. マレンツィオ: 聞け、涙するアヴェルノの霊たちよ
 21. コプラリオ:
  「聞け、涙するアヴェルノの霊たちよ」によるファンタジア
プルート・アンサンブル
 ハナ・モリソン、
  リーセロット・デ・ウィルデ(ソプラノ)
 マルニクス・デ・カット
  (カウンターテナー、指揮)
 ヒューゴ・ハイマス、
  トレ・デネイス(テノール)
 ハリー・ファン・デル・カンプ(バス)
ハトホル・コンソート (古楽器使用)
 ロミーナ・リシュカ
  (ディスカント・ガンバ、指揮)
 リアム・フェンリー
  (ディスカント&アルト・ガンバ)
 トマ・ベテ、イレーネ・クライン
  (テナー・ガンバ)
 ジョシュア・チータム(バス・ガンバ)
 ニコラス・ミルン
  (コンソート・バス・ガンバ)

 録音: 2020年11月23-25日 デ・シンゲル、アントウェルペン、ベルギー

 【欧州古楽シーン最前線の名手たちが、イタリア音楽贔屓のルネサンス英国で活躍した作曲家の素顔に迫る】
 イングランドがヨーロッパ屈指の音楽大国だった16世紀。その終わり頃には、新たな音楽拠点イタリアの先進的な音楽が英国人たちにも注目されるようになりました。1570年頃に生まれたジョン・コプラリオ(コペラリオ)はそうした時代を象徴する英国人作曲家。イタリア渡航を機にジョン・クーパーという本名よりコプラリオとイタリアめかした名で作品を発表するようになり、同時代のイタリア人作曲家たちの声楽作品を下敷きにした器楽合奏曲を書くなど両地域の文化交流に大きく貢献する活動を続けました。ここでは同時代のイタリアとイングランドの音楽を器楽・声楽の双方に渡って集め、コプラリオの合奏版と元歌となった作品を並べるなど入念な曲順を通じ、16世紀末の英国音楽の活況にイタリア・ルネサンス音楽が、どれほど新たな風として吹きこんでいたかを探る興味深いプログラムが提案されています。
 古楽大国ベルギーを拠点にユニークな活躍を続けるガンバ合奏団ハトホル・コンソートに加え、声楽パートにはコレギウム・ヴォカーレ・ヘントやカピーリャ・フラメンカなどでも絶妙なアンサンブルを聴かせてきたマルニクス・デ・カットを中心に、ソリストとしての活動も目立つバスのハリー・ファン・デル・カンプも加わる実力派集団プルート・アンサンブルが参加。単なる「オウム返し」ではないコプラリオ芸術の奥深さを解き明かす、最前線の古楽プレイヤーたちによる筋の通ったプログラムに興味が尽きません。

 RAM2108
\2800→\1690
フランス初期ロマン派のオーボエ作品 クリストファー・パラメタ(オーボエ)
オリヴィア・シャム(ピアノ)
 ニコラ=シャルル・ボクサ(1789-1856):
  1. 夜想曲 ニ短調 Op.50-1
 ギュスターヴ・フォクト (1781-1870):
  2-3. クレシェンティーニ作曲のヴォカリーズをオーボエで
   2. 第1番: ラルゴ・エスプレッシーヴォ 3. 第2番: ラルゴ
 スタニスラス・ヴェルースト(1814-1863):
  4. スペインの主題による幻想曲「アランフエス」Op.34
 アンリ・ブロド(1799-1839):
  5. 最愛の人の死に寄せる悲歌
 フリードリヒ・ヴィルヘルム・カルクブレンナー(1785-1849):
  6. ロマンス 変イ長調 ~『エオリアン・ハープの溜息』Op.121より 第1曲(ピアノ独奏)
 ヨハン・ペーター・ピクシス(1788-1874):
  7. ロマンツェ ホ短調 Op.35
 ジギスムント・タールベルク(1812-1871):
  8. グレトリー作曲のオペラ『嫉妬深い恋人』のセレナーデ ~
   『歌唱技法のピアノへの応用』Op.70より(ピアノ独奏)
 ルイ=エマニュエル・ジャダン(1768-1853):
  9. 夜想曲 イ短調
 ロベルト・シューマン(1810-1856):
  10. 月夜 ~『リーダークライス』Op.39より 第5曲

 (オーボエ)使用楽器: パリのギヨーム・アドレル1835年製作のオリジナル楽器
 (ピアノ)使用楽器: ロンドン・エラール社1840年製のオリジナル楽器
 ピッチ: A=426Hz
 録音: 2021年9月20-22日 クラクストン・スタジオ、ハムステッド、ロンドン

 【現代モデル誕生直前に作られた二つのオリジナル楽器で、ロマン派の真の響きへ!】
 バロック期に宮廷楽団の楽器として弦楽合奏にいち早く加わり、近代的なオーケストラの歴史を早くから彩り続けてきた管楽器オーボエ。
 その発展史は意外に知られてはおらず、特に19世紀半ばにベーム式キーシステムが導入される前の楽器を独奏で聴ける機会は滅多にありません。
 ここでその未知領域に迫るのは、カナダの古楽器奏者でターフェルムジークやアリオン・バロック・オーケストラの一員として世界的な活躍を続け、ATMAレーベルで18世紀型のオーボエを使った録音を世に問うてきたクリストファー・パラメタ。
 演奏に使ったのは1835年パリ製のオリジナル楽器で、現代型の構造が発案される直前のオーボエの姿を伝える貴重なモデル。
 オリヴィア・シャムが弾くピアノもパリ・エラール社のロンドン支部で作られた1840年製オリジナルで、こちらも現代式の大型金属フレームが採用される少し前のモデルです。
 二人はショパンやベルリオーズがパリにいた時期、当時のオーボエのために綴られた作品を厳選。素材の温もりを感じさせる美音を通じ、初期ロマン派の作曲家たちが思い描いたであろう19世紀本来のオーボエの音色を現代に甦らせます。
 フランス革命期に活躍したジャダンのスリリングな短調作品からリストの好敵手たちの独奏曲まで、当時の楽器ならではの音色と響きで超絶技巧一辺倒ではない魅力に気づかせてくれるピアノの存在感も聴き逃せないところ。
 Ramee特有の美麗外装を裏切らない、確かな時代感に裏打ちされた初期ロマン派古楽器アルバムです。

  



 RAM2202
\2800→\1990
1723年~ヴァイオリンとオルガンによるバロック期のソナタ
 ちょうど300年前
  バッハがライプツィヒ聖トーマス教会の聖歌隊監督の座についた1723年
   その年に作られた二つの古楽器を使って
ナージャ・ツヴィーナー(ヴァイオリン)
ヨハネス・ラング(オルガン)
 1-4. ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750):
  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV 1021
 5. ハインリヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビーバー(1644-1704):
  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第5番 ホ短調 C.142(1681)
 6-10. アルカンジェロ・コレッリ(1653-1713):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調 Op.5-6
 11-14. バッハ: ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV 1023
 15-17. バッハ: プレリュード、ラルゴとフーガ ハ長調 BWV 545/529
 18-20. ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1688-1755):
  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 JunP IV.1
 21. アントニオ・ベルターリ(1605-1669): チャッコーナ(シャコンヌ)ハ長調

 (ヴァイオリン)使用楽器: ローマのダヴィド・テクレル1723年製作のオリジナル楽器
 (オルガン)使用楽器: ツァハリアス・ヒルデブラント1723年建造のオリジナル楽器
 録音: 2022年8月29日-9月1日 シュテルムタル十字架教会(ライプツィヒ近郊)
 収録時間: 73分

 【使用楽器まで徹底して300年前!バッハが耳にした響きに迫る】
 "音楽の父"こと大バッハが、亡くなるまで勤め上げたライプツィヒ聖トーマス教会の聖歌隊監督の座についたのが1723年。
 その年に作られた二つの古楽器を使い、ちょうど300年後にあたる2023年を記念すべく録音されたこのアルバムは、希代のオルガニストとして知られた一方で生涯ヴァイオリンも演奏し続けたバッハの作品を軸にプログラムが編まれています。
 他にはドイツ語圏南部とイタリアで17世紀に活躍をみせた作曲家たちや、バッハとも交友があり影響関係も指摘されているドレスデンの名手ピゼンデルらの名品をチョイス。
 チェンバロと違い音が減衰しないオルガンならではの音使いが効果的に用いられ、書法の緻密さが浮き彫りになるのも興味深いところ。
 ヴァイオリンと通奏低音のための二つのソナタの他、バッハ作品では室内楽の書法を応用したオルガン作品も味わえます。
 バロックから後期ロマン派まで広範なレパートリーを誇るヨハネス・ラングが楽器の特性をよく踏まえた音色変化を巧みに使いこなせば、英仏の古楽シーンで経験を積んできたドイツ人バロック・ヴァイオリン奏者ナディア・ツヴィーナーも銘器の美音を鮮やかに際立たせる音運びで、各作品の味わいを印象づけてやみません。
 当時の楽器であればこその説得力を随所で感じる高感度なバロック・アルバム。
 バッハ研究の大家クリストフ・ヴォルフとの共著もある音楽学者マルクス・ゼンプフによるライナーノート(英・独・仏語)も、深い作品愛と楽器愛を感じさせる充実した内容になっています。

  
 

 RAM2203
\2800→\1990
『バッハのお墨付き』 ~
 コンティウス・オルガンによるバッハ周辺の作曲家たちの音楽
バルト・ヤーコプス(オルガン)
  1-2. ゴットフリート・キルヒホフ(1685-1746): ファンタジアとフゲッタ 変ロ長調(BWV 907)*
  3. ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750): シャコンヌ
   ~無伴奏ヴァイオリン・パルティータ ニ短調 BWV 1004より (ト短調に移調)**
  4-9. 作曲者不詳(18世紀): コラールによる三つのトリオ(BWV Anh.i.V.)
   ~テオドール・ハーン(1809-1864)所有の手稿譜より
    4. Chorale O Gott, du frommer Gott コラール「おお神よ、信じる神よ」BWV 94-8
    5. Trio super O Gott, du frommer Gott 「おお神よ、信じる神よ」によるトリオ
    6. Chorale Wir Christenleut habn jetzund Freud
     コラール「救世主に連なる私たちは今こそ歓喜する」BWV 40-3
    7. 「救世主に連なる私たちは今こそ歓喜する」によるトリオ
    8. Chorale Was Gott tut, das ist wohlgetan
     コラール「神の成すことは全て善きこと」BWV 99-6
    9. Trio super Was Gott tut, das ist wohlgetan「神の成すことは全て善きこと」によるトリオ
  10-12. ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(1710-1784)&J.S.バッハ:
   前奏曲とフーガ ヘ短調 (BWV 534)/ラルゴ ~チェンバロ協奏曲 BWV 1056より
    10. 前奏曲(BWV 534) 11. ラルゴ(BWV 1056より)*** 12. フーガ(BWV 534)
  13. ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681-1767):
   アンダンテ~フルート協奏曲 ト長調 TWV 51: G2より***
  14-17. ヨハン・ゴットフリート・ヴァルター(1684-1748): テレマン氏の教会向け協奏曲
  18-22. J.S.バッハ:
   コラール「ただ愛する神の摂理に任せる者は」によるパルティータ BWV 690/691/691a/692
  23-25. カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714-1788):
   ヴァイオリンまたはフルートとオブリガート鍵盤のための
    トリオ・ソナタ ニ短調 H.542-5(BWV 1020)***
  26. ヨハン・ゴットフリート・ミューテル(1728-1788):ファンタジア ヘ長調
 * バルト・ヤーコプス補筆によるオルガン版
 ** グスタフ・レオンハルトによるチェンバロ用編曲に基づくバルト・ヤーコプスによるオルガン用編曲
 *** バルト・ヤーコプスによるオルガン用編曲

 使用楽器: ハインリヒ・アンドレアス・コンティウス 1779年建造モデルによる再現楽器
 録音: 2022年6月23-24日 聖ミヒール平和教会、ルーフェン、ベルギー

 【18世紀ドイツの建造理念を忠実に辿った再現楽器が響かせる、バッハとその周辺のオルガン芸術の真髄】
 中世から近世までを通じてドイツ語による礼拝や商業交流がさかんだったバルト海沿岸で活躍、ラトヴィアやエストニアにドイツ式の銘器を残したオルガン建造家ハインリヒ・アンドレアス・コンティウス(1708-1795)は、若い頃にはハレを活躍拠点とし、大バッハ長男のヴィルヘルム・フリーデマン・バッハとも親しい間柄でした。後年ライプツィヒに向かい、長男以上にオルガンの構造に詳しい大バッハからも絶賛されます。
 ラトヴィアの古都リエパヤの聖三位一体教会にも1779年、コンティウスの新造楽器が設置されましたが、これは後の時代の理念に基づき改装が繰り返された末、21世紀に入ってオランダとベルギーの工房によりオリジナルに忠実な復元を達成。
 そのモデルを克明に再現した楽器がベルギーのルーフェン(ルーヴァン)聖ミヒール平和教会にあり、今回の録音はこの楽器を使い、バッハとコンティウスに縁があった作曲家たちの音世界を辿るプログラムとなっています。
 
 バッハと同世代のヴァルターやテレマンによる作品から、バッハ作品と誤認されてきた秘曲群、大バッハの息子たちや最晩期の弟子ミューテルによる古典派前夜の音楽に至るまでを収録。世界的に高い評価を得てきたオランダの名手バルト・ヤーコプスが、豊かな演奏経験を活かした編曲も織り交ぜながら綴る世界が、コンティウス・モデルの楽器から繰り出される明瞭かつ古雅な響きで瑞々しく響きわたります。
 無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌやトリオ・ソナタの編曲もさることながら、ヴァルターによるオルガン独奏のための協奏曲のような充実作に出会える愉しみもまた格別の選曲。各曲紹介やオルガンの来歴についての解説(英・独・仏語)も充実しています。

 
 



 RAM2208
\2800→\1990
ニュー・コレギウム (古楽器使用)
 J.S.バッハ:フーガの技法

 1. Contrapunctus BWV 1080/1 コントラプンクトゥス1
 2. Contrapunctus BWV 1080/3 コントラプンクトゥス3
 3. Contrapunctus BWV 1080/2 コントラプンクトゥス2
 4. Contrapunctus BWV 1080/5 "In stile antico"
  コントラプンクトゥス5「擬古様式で」
 5. Contrapunctus BWV 1080/9 "Spiritoso"
  コントラプンクトゥス9「スピリトーゾ」
 6. Contrapunctus BWV 1080/10a "Es ist ein Ros entsprungen"
  コントラプンクトゥス10a「一輪のバラが咲き」
 7. Contrapunctus BWV 1080/6 "Ouverture"
  コントラプンクトゥス6「フランス風序曲」
 8. Contrapunctus BWV 1080/7 "Memoria"
  コントラプンクトゥス7「記憶」
 9. Canon in Hypodiapason BWV 1080/15 八度のカノン
 10. Contrapunctus BWV 1080/8 コントラプンクトゥス8
 11. Contrapunctus BWV 1080/11 コントラプンクトゥス11
 12. Canon (BWV deest) "Contemplatio" カノン「熟考」
 13. Contrapunctus BWV 1080/12,1 コントラプンクトゥス12-1
 14. Contrapunctus BWV 1080/12,2 コントラプンクトゥス12-2
 15. Contrapunctus BWV 1080/13,1 コントラプンクトゥス13-1
 16. Contrapunctus BWV 1080/13,2 コントラプンクトゥス13-2
 17. Canon al roverscio et per augmentationem BWV 1080/14
  反行形および拡大によるカノン
 18. Fuga BWV 1080/18,1 "La Rameau" フーガ「ラ・ラモー」
 19. Fuga BWV 1080/18,2 "La Rameau alio modo"
  フーガ「ラ・ラモー(別の手法で)」
 20. Fuga BWV 1080/19 "Ewige Wiederkunft" フーガ「永劫回帰」
ニュー・コレギウム (古楽器使用)
 サラ・デコルソ(ヴァイオリン)
 バディアロヴァ朋絵、
  バルバラ・コンラート(ヴィオラ)
 レベッカ・ローゼン(チェロ)
 アンナ・ラツヘージ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 イネシュ・ダヴェーナ(リコーダー)
 タミ・クラウス(フラウト・トラヴェルソ)
 ダニエル・ランティエ
  (オーボエ、オーボエ・ダ・カッチャ)
 ジェイミー・セイヴァン(木管コルネット)
 マテイス・ファン・デル・モーレン
  (アルト&テナー・トロンボーン)
 ヨースト・スヴィンケルス(テナー&バス・トロンボーン)
 ヴァウテル・フェルスヒューレン(ファゴット)
クラウディオ・ヒベイロ(チェンバロ・指揮)

 録音: 2022年10月6-8日、ヴェストフェスト90、スヒーダム、オランダ
 1/6 コンマ・ミーントーン A=415Hz

【実力派古楽器プレイヤー続々!多様な音色で浮かび上がるバッハの真意】
 少年時代からオルガンに親しみ、17世紀ドイツの先人たちの語法を咀嚼吸収しながら、後年さまざまな音楽様式を身につけ、多声音楽の大家となっていったバッハ。
 その作曲技法の集大成ともいえる『フーガの技法』は、楽譜上に演奏楽器の指定がなされていない音楽理論的作品でありながら、実演を通じても多くの人の心を捉えて離さず、いろいろな楽器編成で披露されてきました。
 楽譜が未完のまま残された理由はしばしば作曲家自身の死と結び付けられてきましたが、実際にバッハの筆が途絶えたのは1749年秋、つまり彼が亡くなる9ヵ月も前のこと。
 歿後まもなく次男C.P.E.バッハや音楽理論家=作曲家マールプルクが出版した楽譜は、それぞれ多くの点で自筆譜との違いが指摘されています。
 
 20世紀以来、世界的に知られた古楽器プレイヤーを多く輩出してきたオランダ語圏を活躍拠点とするブラジル出身のリコーダー奏者イネシュ・ダヴェーナと古楽鍵盤奏者クラウディオ・ヒベイロは、彼らと同じく欧州古楽シーンで多忙な活動を続ける名手たちとともに、現存する関連楽曲まで含めバッハの自筆譜に準拠し曲順を再構成した『フーガの技法』を提案。
 彼らはあえて第1曲をチェンバロ独奏で聴かせたあと、曲ごとの個性をふまえて楽器を選びつつ、声部ごとに別々の楽器を使い、多声の絡みを明瞭に浮かび上がらせます。
 曲によっては副題を添え、彼らが読み取った曲の性質をわかりやすく伝える試みも。楽器それぞれの味わい深い響きと相まって、この難渋ともいえる曲集が驚くほど親しみやすく感じられる充実録音。
 自身もバロック・ヴァイオリン奏者としてのキャリアを持つ俊才技師ライナー・アルントによる、名手それぞれの演奏の妙をよく伝えるエンジニアリングも光ります。

 
 




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