RAM0403
\2800→\1990 |
ルイス=オタビオ・サントス (ヴァイオリン)
ジャン=マリー・ルクレール (1697-1764)
ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調 Op. 9, No.
10
ヴァイオリン・ソナタ ト長調 Op. 9, No.
7
ヴァイオリン・ソナタ イ短調 Op. 9, No.
5
ヴァイオリン・ソナタ ト長調 Op. 9, No.
12 |
ルイス=オタビオ・サントス (ヴァイオリン)
リカルド・ロドリゲス・ミランダ (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アレッサンドロ・サントーロ (チェンバロ) |
録音: February 2004, Church of St. John &
St. Philip, The Hague, The Netherlands
フランス・バロック最大のヴァイオリン芸術家ルクレール。若き日にトリノで研鑚を重ね、完璧なイタリア様式をマスターしフランス音楽にそのテイストを根づかせた立役者の一人。
バロック・ヴァイオリンはシギスヴァルト・クイケンの愛弟子、ブラジル生まれのルイス・オタビオ・サントス。
ベネズエラ生まれのリカルド・ロドリゲス・ミランダ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)。ブラジル生まれのチェンバロ奏者、アレッサンドロ・サントーロ。
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RAM 0405
\2800→\1990 |
キワモノじゃない、知的で涼やかで優雅なダルシマーの響き
カルダーラ:独唱&器楽作品集
~ダルシマー(プサルテリウム)の響きを添えて
アントニオ・カルダーラ(1671~1736):
1. オラトリオ『セデチア』(1732)~
アリアああ!民で溢れたかの都市も今や
2. カンタータ『小さな嵐のすぐそばで』(1729)
3. チェロ独奏[と通奏低音]のためのシンフォニア(1700以降?)
4. カンタータ
『苦しむがいい、わが愛しきアルチーノ』(1715)
5. チェロ独奏[と通奏低音]のためのソナタ(1700頃?)
6. カンタータ『美しき顔をした星たち』(1710年代)
7. オラトリオ
『ジョゼッフォ、夢を解き明かす』(1726)~
アリア自由―いとしくも歓迎すべきものよ |
ラ・ジョイア・アルモニカ(古楽アンサンブル)
ユルゲン・バンホルツァー(C-T)
マルギット・ユーベルラッカー(ダルシマー) |
独特のハンマーで弦を叩いて玄妙なる音を出す楽器ダルシマーが“古楽器”として使われ、心が洗われるような素晴らしいアルバムに仕上がった。
昨今とみに録音数が増えている後期バロックの大作曲家カルダーラによる、初期から後期までのさまざまな作品を集めた一作。ダルシマーの美音、出どころを心得たバロックチェロの縦横無尽なサウンド、そして“綺麗に乾いているのに艶がある”ニュアンスゆたかなカウンターテナー...いかんなき実力派たちが洗練された名作群と出会い、めくるめく世界が描き出されてゆく。
ダルシマー(サルテリオ、プサルテリウムとも)といえばリストの「ハンガリー狂詩曲」に使われているように、東欧の民俗音楽によく登場する楽器だが、もとは18世紀ドイツで、ジルバーマンのフォルテピアノにヒントを得て発案されたらしい。実際ダルシマーを使った18世紀の芸術音楽作品もあり録音もままあるのだが、現代楽器の合奏にフォルテピアノを組み込むような“珍品”扱いの従来録音とは違い、今回のアルバムはピリオド楽器アンサンブルでダルシマーと音楽がごく自然にマッチしている。それもそのはず、ダルシマー奏者はAlphaで大活躍
中の撥弦楽器集団ラルペッジャータで長く活躍し、古楽シーンでの経験を十全に積んできたマルギット・ユーベルラッカーなのだ。
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RAM 0501
\2800→\990 |
ドイツ黎明期のチェンバロ音楽
J.ハスラー&H.L.ハスラー作品集
ヤーコプ・ハスラー(1569~1621/22)
第4旋法によるトッカータ
リチェルカール
第1旋法によるリチェルカール
第9旋法によるファンタジア
カンツォーン
第7旋法によるフーガ
ハンス・レオ・ハスラー(1564~1612):
「あるとき、私は散歩に出かけ」の旋律による31変奏 |
レオンベルベン(Cemb)
使用楽器:フランチェスコ・パタヴィーノ
1561年製 |
たった1曲でベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲やドヴォルザークの第8交響曲と同じくらいの演奏時間になる後期ルネサンスのチェンバロ独奏曲をご存知だろうか。それは宗教改革の坩堝アウグスブルクで活躍した作曲家ハンス・レオ・ハスラーの「あるとき私は散歩に出かけ」による大変奏曲。
「ルネサンスのハンマークラヴィーア・ソナタ」か「16世紀のハイドン変奏曲」か、といった堂々たる風情のこの異色作、かなり昔にMD+Gから手堅い演奏のものが1枚出ていたきり、活き活きとした新鮮さを感じさせる新録音など望むべくもなかったところ、ご覧のとおり気鋭レーベルRAMEEがすばらしい美麗アルバムのなかに収録してくれた!
収録曲目数からすれば一見、弟のヤーコプ・ハスラーの作品集のように見える本作、何しろ当該の変奏曲がたった1曲で40分以上にもわたる大作なため、実に総演奏時間の半分以上(!)がハンスレオハスラーの曲で占められているわけだ。
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RAM 0502
\2800→\1990 |
ムファット:合奏ソナタ集
「アルモニコ・トリブート(和声の捧げ物)」~
合奏協奏曲風の室内ソナタ集(1682) |
ペーテル・ファン・ヘイヘン指揮
レ・ムッファッティ(古楽器使用) |
ムファットの合奏曲集「アルモニコ・トリブート(和声の捧げ物)」。
ザルツブルクで1682年に出版され、一説ではコレッリの合奏協奏曲の原型となったといわれるムファットの重要曲集で、均整のとれた構成のなか多彩なリズムの舞曲や長大な変奏曲が交錯する室内ソナタ集。
ギィ・ファン・ヴァースやフランク・テュンスらとともに新世代のベルギー古楽を牽引するファン・ヘイヘンが新世代奏者を集め結成したレ・ムファッティは、往年のEC
バロック管やベルリン古楽アカデミーの登場時を思わせる自発性あふれる鮮やかな音楽を聴かせてくれ、各パートの対比、鮮烈なアーティキュレーション、多彩な通奏低音...と魅力はつきない。
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RAM0705
\2800→\1990 |
J.C.ペーツ 組曲、協奏曲、ソナタ 他
ドイツ後期バロック、器楽合奏のパイオニア-
ヨーハン・クリストフ・ペーツ(1664-1716):
1.序曲(管弦楽組曲)変ロ長調
R.9
編成:2ob,fg,2vn,va,bc
2.協奏曲=ソナタ ヘ長調 R.15
編成:3vn,va,fg,vc,bc
3.合奏協奏曲またはシンフォニア
ト短調 R.18
編成:2ob,fg,2vn,va,vc,bc
4.ソナタまたは協奏曲=シンフォニア
ト長調
R.11
編成:2vn,va,vc,bc
5.序曲(管弦楽組曲)、または
食卓で奏でる小品集 ニ短調
R.24/D.7
編成:3ob,fg,2vn,va,bc
6.協奏曲=パストラーレ ニ長調
R.16
編成:vn solo,2vn,vc,bc |
アンサンブル・レ・ムファッティ
(古楽器使用) |
この名前をご存知だった方に朗報、心のスキマを埋めてあまりある名演奏の登場です!
テレマンも脱帽したという手際よさで絡み合い、戦いあう、さまざまな楽器たち-- ベルギー気鋭勢はソロもうまい!
バッハやテレマンが好きな方に、ぜひともおすすめの一枚
1725年、テレマンは尊敬すべき音楽家の名前を6人あげていて、そこにはカイザーやクーナウなど「まあなるほど」の先達、同世代のヘンデル、そのライヴァルで「乞食オペラ」の作者ペプーシュ、ピアノの前身たるダルシマーの改良楽器の名手ヘーベンシュトライトとならんで「ヨーハン・クリストフ・ペーツ」なる作曲家の名前が。
他にもさまざまな古楽系ドキュメントでペーツ(PEZ)という名前だけはご存知だった方は少なくないはず。
テレマンも讃える巨匠とは、どんなものか--
そんなモヤモヤを痛快に吹き飛ばしてくれるのが、ベルギーの若手勢が大活躍をみせるこのアルバム!
弦楽合奏にせいぜいオーボエ2とファゴット...といった月並みな編成ばかりが目につく1700年頃にあって、やれヴァイオリンとファゴットがソロだったり、チェロが独立して動いたり、中音域オーボエを使ったりヴィオラ・ダ・ガンバが登場したり...とひたすら多種多様オリジナリティあふれる編成で、ヴィヴァルディ式とはまたちょっと違った協奏曲だの、フランス風味ゆたかな組曲だの、ソナタだか協奏曲だかわからない構成(タイトルも上述のとおりで、作曲者さえわかっていなかったかも?)だがひたすら面白い楽曲だの、鮮烈至極のオーケストラ音楽が繰り広げられていきます。
レ・ムファッティの面々はベルギー最前線の一流古楽アンサンブルで活躍する若手たちが集まっているだけあって、ソロも闊達そのもの!オーボエにはヴェテラン・北里孝浩さんも参加、バッハやテレマンの傑作群の直前にあった、興奮必至のアンサンブル音楽をどうぞ!
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RAM1007
\2800→\1690 |
超・実力派の「隠れ名匠ふたり」
ルイ・シュポーア(1784-1859):
1. 大九重奏曲 ヘ長調 op.31(1813)
ジョルジュ・オンズロウ(1784-1853):
2. 九重奏曲 イ短調 op.77(1849) |
アンサンブル・オスモーシス(古楽器使用)
ケイト・クラーク(fl)
オーファー・フレンケル(ob)
ニコール・ファン・ブリュッヘン(cl)
ベニー・アガシ(fg)
ヘレン・マクドゥガール(hr)
フランク・ポルマン(vn)
エリーザベト・スマルト(va)
ヤン・インシンゲル(vc)
ピーテル・スミットハイゼン(cb) |
ベートーヴェン前後の同時代人のなかでも、古くからor昨今ひそかに注目を集めてきた超・実力派の「隠れ名匠ふたり」--コントラバスも管楽器群も、もちろん弦楽器も、19世紀そのままのサウンドと解釈で聴けることの刺激と喜び。じっくり楽しめます。
ピリオド奏法も古楽器演奏も躍進めざましい昨今、なにしろマーラーの交響曲が古楽器演奏で録音されるご時勢ですから、19
世紀前半、ベートーヴェンやショパンの時代はもう完全に範疇内。そのわりにはどうしたものか、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲だけは古楽器録音がいまだ滅多に登場しないなど、古楽器演奏によるこの時代の「開拓度」はまあ、だいたい40%くらいでしょうか。本盤が光をあててくれるのも、まだまだ古楽器録音が充実しているとはとうてい言いがたい注目ジャンル、管・弦とりまぜての大規模室内楽!
この形式に先鞭をつけたベートーヴェンの七重奏曲(1800)とシューベルトの八重奏曲(1828)のほかにも無数の傑作があることは、コンソルティウム・クラシクム(cpo)やアンサンブル・ヴィラ・ムジカ(MD+G)、ナッシュ・アンサンブル(CRD)などの名盤群でご存知の方も多いはず--小さな管弦楽のような、室内楽のような、その独特の音響世界には明らかにオーケストラ音楽と相通じる「響きの可能性」が秘められていて、古楽器で聴くことによって19
世紀の人々が思い描いていたサウンドが、現代楽器のものとどう違っていたのかを如実に体感できるジャンルだったのだ(特に管楽器やコントラバスなどの響き具合...)と、この名手揃いのアルバムを通じて思い知らされました。
弾き手はヨーロッパ随一の古楽最先端地域、つまりイギリス、オランダ、ベルギーの3国の第一線で多忙な活躍を続ける実力派奏者たち--そして演目2曲はなんと、昔から隠れファンの少なくない巨匠シュポーアの最も有名な作品「九重奏曲」と、昨今あらためて「フランスのベートーヴェン」との呼び声が高まってきた室内楽曲の大家、オンスロウの名品!(いずれも音盤シーンではかなり見られている作曲家・作品で既存盤もありますが、もちろん現代楽器ばかり。)
ヴァイオリン演奏の大家シュポーアはドイツにおけるパガニーニの好敵手のひとりで、経験豊かな指揮者でもあり(指揮棒を初めて使ったのが彼、とも伝えられています)、ワーグナーを最初に評価した人物のひとり。NAXOS
にまとまった録音のある弦楽四重奏曲・五重奏曲、CPO
での協奏曲全曲録音などはもとより、ハイフェッツが二重弦楽四重奏曲とレチタティーヴォ入り協奏曲「劇唱の形式で」を録音するなど、隠れた名盤も多数なその作品群はみな、静かに表情を変えてゆく曇り空のような、静かに聴き深めたくなる独特の魅力に満ちています。
対するオンスロウは英国からフランスにワケあり亡命してきた一家の出身で、生前は絶大な敬意を集め、「フランスのベートーヴェン」の呼び名を得るほど味わい深い室内楽曲を多数残した人物--このところ日本でもとみに注目が高まっている一人でもあります。本盤収録の九重奏曲は1849
年作とかなり後年の曲で、深い陰翳を感じさせるロマン的味わいたっぷり!シュポーア作品同様、曲構造を語りほぐすようなアーノンクール的テンポで、一瞬ごとに思わぬ響きの魅力を垣間見せてくれます。
シュポーア作品の魅力の一つである「第1ヴァイオリンの活かし方」も、両者の管楽器ひとつひとつの扱いの妙も、この録音でなくては伝わらない「旨味」もたっぷり...!他のロマン派のオーケストラ音楽なども、本盤に触れたあとでは俄然新たな楽しみ方ができるはず。秀逸古楽レーベルRamee
の快挙です!
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RAM1105
\2800→\1690 |
~ルイ王朝のヴィオールとクラヴサン さまざまな小品の世界~
ジャン=アンリ・ダングルベール(1635~1691)
マラン・マレ(1656~1728)
アントワーヌ・フォルクレ(1671~1745)
シャルル・ドレ(1710~1755)
①クラヴサンのためのプレリュード
~自筆譜より(ダングルベール)
②組曲 ハ長調~第3曲集(1711)より(マレ)
③マラン・マレ1世のトンボー(ドレ)
④クラヴサンのためのプレリュード
ト長調
~『クラヴサン曲集』(1689)より
(ダングルベール)
⑤第2組曲 ト長調より
デュブリュイユ/ルクレール/ビュイソン
~
『ヴィオールのための作品集』(1747)より(フォルクレ)
⑥リュリ氏のトンボー ~第2曲集(1701)より(マレ)
⑦組曲 ホ長調 ~同(1701)より(マレ)
⑧プレリュードト長調(作曲者不詳)
⑨第5組曲 ハ長調より
ラモー/レオン:サラバンド/モンティニ
~同(1747)より(フォルクレ) |
ミーネケ・ファン・デル・フェルデン...ヴィオール
(ヴィオラダガンバ)
グレン・ウィルソン...クラヴサン(チェンバロ) |
進化しつづける古楽大国オランダの“いま”を代表する大物ガンバ奏者ファン・デル・フェルデン、満を持してのフランス・アルバム!
パートナーはNAXOSに名盤続々のグレン・ウィルソン。みずみずしさと深さ――フランス・バロックからロココへの、ほんとうにうつくしい古楽芸術。今、古楽の世界は相変わらず才能ある演奏家たちが続々現れていて、実は20
世紀から名前の出てきている実力派の演奏家たちはもう、軒並み大御所になりつつある――つまり、やることなすこと「格」が出てきた演奏家が少なからずいるという現状なのですが(たとえば鍵盤のインマゼールやスホーンデルヴルト、弦のエンリーコ・ガッティやパオロ・パンドルフォ、あるいはオルガンのフォクルール、バロック・オーボエのベルナルディーニ…)そうした人がきっちり作り上げてきたCD
アルバムの充実度は、かつて古楽復興の勢いが出てきた頃とはまるで違う(否、当時の聴き手が感じていた驚きと同じくらいのインパクトで迫ってくる)、みずみずしくも深い魅力を放ってやみません。
ここにご紹介するのは、かつてフォルテピアノのインマゼール同様Channel
Classics に数々の名盤を放ってきたオランダのガンバ奏者、ミーネケ・ファン・デル・フェルデン!ヴィーラント・クイケンが育てた門弟でも指折りの技量を誇る彼女はドイツ語圏ものにも強いのですが(バッハ、17
世紀ドイツ音楽...)ガンバ芸術といえば、やはりフランスもの。かつてクープランの曲集でChannel
Classics レーベルにこの人あり・の存在感を示した適性そのまま、例によってチェンバロ1台だけで共演するというストイックなスタイルで(つまり通奏低音用のガンバは交えず)、フランス・バロックの2大ヴィオール(=ガンバ)の巨匠であるマレとフォルクレを軸に、クラヴサン(=チェンバロ)の独奏曲も交えながら綴る艶やかなプログラムは、ルイ14
世の治世末期から18 世紀のロココ期にかけての、高雅さ一辺倒ではない、親しみやすさや煽情性を漂わせたニュアンス豊かなフランス後期バロックの魅力を、さまざまな角度から堪能させてくれます。
脇役にとどまらない確かな伴奏をつとめ、時にはソロ・トラックでクラヴサン芸術の至芸をいかんなく味あわせてくれるのは、Naxos
にもソロの名盤あまた、アルノンクールのモーツァルト録音、レオンハルトやブリュッヘンのバッハ録音でも通奏低音を支えてきた超ヴェテラン、グレン・ウィルソン!!
長年のパートナーシップが織りなす阿吽の呼吸は、バロック・ヴァイオリン奏者出身のエンジニア=プロデューサーが活躍するRamee
レーベルの自然派サウンドに美しく刻まれていて、まるですぐそばで名手ふたりが演奏しているかのような臨場感...嬉しいのはやはりプログラム構成で、クラヴサン独奏トラックがヴィオール曲並の存在感を放っているところもさることながら、曲集だけはガンバ奏者に愛奏されていながらいまだ正体不明なバロック最晩期のヴィオール芸術家ドレの作品が数々収録されているのも吉。Digipackパッケージも美しく、1枚でヴェルサイユ気分に浸れる好感度古楽盤です。
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RAM1202
\2800→\1690 |
ジャン=マリー・ルクレール(1697~1764):
『六つの協奏曲』作品7(1733)
①協奏曲 第5番 イ短調
②協奏曲 第2番 ニ長調
③協奏曲 第4番 ヘ長調
④協奏曲 第1番ニ短調
⑤協奏曲 第6番 イ長調 |
ルイス・オタヴィオ・サントス(バロックvn)
ペーテル・ファン・ヘイヘン指揮
アンサンブル・レ・ムファッティ(古楽器使用)
ドミトリー・バディアロフ、
マリー・ハーフ、
カトリーヌ・メーユス(vn1)
マルサン・ラシア、
ラウレント・ヒュルスボス、
中丸まどか(vn2)
ヴェンディ・ライメン、
ユリー・フェルミューレン(va)
マリアン・ミンネン、
コランタン・デリクール(vc)
ブノワ・ファンデン・ベムデン(cb)
クリス・フェルヘルスト(cmb,org) |
フランス・ヴァイオリン楽派の祖ルクレール、あまりにもセンスのよい協奏曲群を、一挙に!独奏者はRamee初期の大ヒット盤でも独奏をつとめたラ・プティット・バンド出身の俊才。
古楽大国ベルギーの最前線をひた走るレ・ムファッティのアルバム、充実度高いです!!
私たち日本のクラシック・ファンが普通に「バロック」と認識する音楽、つまり「聴きたいバロック」は、実は少しロココ期が見えてきた18
世紀前半の音楽である場合が多いように思います。
つまり、ヴィヴァルディの「四季」やバッハの協奏曲群、ヘンデルの一連の合奏曲...といったあたりを中心とするレパートリー、1720~30
年代以降の音楽の感覚。イタリア音楽こそが最も広く愛されていた時代の音楽ですね。
当時ヨーロッパ上流階級の音楽生活は、イタリア音楽とフランス音楽という2種類の美しい音楽に彩られていたわけですが、実はこの1720~30
年代ともなると、すでに太陽王ルイ14世も亡くなり、フランスの音楽家たちでさえイタリア音楽の良さをみとめないわけにはゆかず、ついにフランスでもイタリア最前線の音楽がもてはやされはじめた頃――まして、元来イタリアからもたらされたヴァイオリン音楽や協奏曲・ソナタといったジャンルでは、フランス人たちの書く音楽もほとんどイタリア人のそれと変わらないくらいイタリア的になりつつあったのが、1720~30
年代の実勢だったのでした。
そんな時代にあって、イタリアにも近い南仏リヨンで生まれたルクレールは、若い頃に(後のイタリア統一運動の中心地となる)トリノの宮廷で仕事をしていたこともあり、さらに後年はイタリア人も多い国際都市アムステルダムで同世代の異才ロカテッリと出会うなど、ことさらイタリア最先端のヴァイオリン芸術に触れる機会の多かった人物――そしてそのルクレールの書く協奏曲やソナタは、もはや最高級のヴィヴァルディやアルビノーニの作例にも比肩しうるほど、イタリアでも充分やってゆけるのでは?と思うくらいとびきり洗練されたイタリア様式が聴かれる傑作ぞろい!
20 世紀初頭のヴァイオリンの名手たちもタルティーニやコレッリらと並んで常にその名を忘れることのなかった、常に意識されていたヴァイオリン芸術家ルクレールではありますが、実は体系的な録音というのがあるようでなく、とくに協奏曲群をまとめて聴ける機会となると、もう何十年も前の初期古楽器録音などに頼らざるを得なかったところ、古楽大国ベルギーの俊才集団レ・ムファッティがセンス抜群の協奏曲集を録音してくれたというのですから、これはもう飛びつかずにいるほうが難しいというもの。
バロック・ヴァイオリン奏者ライナー・アルントが録音技師からプロデュースまで丁寧な仕事を続けているRamee
レーベルは、立ち上げ初期にもルクレールの素晴らしいソナタ集をリリースしてくれていましたが、そこで玄妙な名演を聴かせてくれた名手L-O.サントスがここでもソロとして招かれており、ヴィヴァルディの名品も顔負けな作品美を縦横無尽の運弓で堪能させてくれます。
ドキドキするようなバロック体験に絶好の1枚!
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RAM1108
\2800→\1690 |
中世のチェンバロと、笛の調べ~中世北イタリア、ゴシック期の器楽芸術~
①ある日、美の女神は(ドナート・ダ・フィレンツェ
Pit)
②誇り高き鷹(Fa)仲よくできないのは、欲望と、希望(Fa)
④喜ばないようにするために(ギラルデッロ・ダ・フィレンツェSq)
⑤無題の小品(Fa 第93
葉表面・第94 葉表面)⑥ガエッタ(L)
⑦ディアナはもう恋人に(ヤーコポ・ダ・ボローニャ
Fa)
⑧サルタレッロ(L)
⑨優美なる鹿、気高きけもの(バルトリーノ・ダ・パドヴァ
Fa)
⑩素敵な花ひとつ(アントニオ・ザカラ・ダ・テナーモ
Fa)
⑪楽しいことの始まり(L)
⑫ロゼッタの調べ(アントニオ・ザカラ・ダ・テナーモ
Fa)
⑬めでたし海の星(グレゴリオ聖歌
Fa)⑭無題の小品(Fa
第49 葉 裏面)
⑮わたしが家路をたどるとき
(ギヨーム・ド・マショー
MA)
⑯皇帝は座し(バルトリーノ・ダ・パドヴァ
Fa)
⑰なぜなら、わたしの悲しみは(ギヨーム・ド・マショー
MA)
⑱なんという痛み(フランチェスコ・ランディーニ
Fa)
⑲サルタレッロ(L) |
【楽譜出典】
Fa:ファエンツァ区立図書館
MS117(通称「ファエンツァ写本」)/
L:英国国立図書館 Ms Add.29987/
Pit:パリ、フランス国立図書館
イタリア叢書568/
Sq:フィレンツェ、メディチ=ラウレンツィアーナ図書館Platino87
(通称「スクヮルチャルーピ写本」)/
MA:パリ、フランス国立図書館
フランス叢書1514(マショーA
写本) |
コリーナ・マルティ(中世チェンバロ、各種中世リコーダー) |
時代は飛んで、ルネサンスよりもさらに昔の中世へ――理屈抜きに音の美にも浸りたい、ダ・ヴィンチらルネサンス絵画の三大巨匠さえまだ活躍していなかった頃、すでにチェンバロがこんなに美しい音楽を奏でていた!
リコーダー無伴奏曲も素朴で快い、いとおしき古楽器盤。
古楽器の録音と言えば、後々まで末永く味わえる充実した企画ばかりを出してきてくれているのが、ラ・プティット・バンドやリチェルカール・コンソートなど古楽大国ベルギーの一流楽団でバロック・ヴァイオリン奏者として活躍してきたライナー・アルントの主宰するRamee――誰も知らなかったすてきな音色の楽器、誰も知らなかった思わぬ作曲家の名品、そうしたものを集めてくるセンスは、やはり自分が発見し、弾く側の人間だったからこその視点があるからなのでしょう。
近年ヨーロッパの古楽界で研究者・実践者として目覚ましい躍進をみせている中世音楽のパイオニア、コリーナ・マルティも、このレーベルが見出し世界に広めた俊才のひとり...2008
年には現存最古のチェンバロ(15
世紀末製、縦型のドイツ製楽器)をモデルに復元した中世チェンバロを用い、リュートとの共演で『最古のチェンバロ、その傍らに』(RAM0802)という注目アルバムを発表、その前には十字軍時代のキプロス島にあったフランス君主の国に花開いた声楽芸術に注目(RAM0602)、このアルバムは今なお売れています。
そんな「発見」の視座が新たに着目したのは、研究者たちのあいだではつとに知られた「ズヴォルのアルノー」なるオランダのフランス人が残した1440
年のチェンバロ設計図をもとに復元した楽器による、前作よりもさらに古い時代の鍵盤作品アンソロジー!15
世紀中盤以前、マショーやランディーニといった中世末期の大家たちの作品を織り交ぜながら、中世でも最重要の器楽曲集のひとつ『ファエンツァ写本』の作品を中心に、ダ・ヴィンチらルネサンス絵画の三大巨匠さえまだ活躍を始める前の「中世のチェンバロ音楽」を次々に綴ってゆくのです!
チェンバロのような新発明楽器が奏でられるのは非日常、祝宴の席...というセッティングで、祝いの場には欠かせなかったリコーダー作品も無伴奏でいくつか演奏(ひとりで何種もの楽器をこなせるのが、本物の中世音楽専門家たちのすごいところ)。教会での自然派録音でほどよい残響感とともに収録された古雅なチェンバロの美音が、素朴なつくりの音符の並びのなかで端正に響きわたる...弦に楽器の爪が当たり、たわみ、爪が外れて音が作られる瞬間ひとつひとつが、限りなくいとおしく感じられてなりません。
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RAM1204
\2800→\1990 |
音楽不毛の地?いや、17世紀の英国はこんなにもがんばっていた!
ふたつのヴァイオル 英国音楽の分岐点
~17世紀英国、リラ・ヴァイオル二重奏のための音楽さまざま~
【登場する作曲家】
ジョン・ジェンキンズ(1592~1678)
ウィリアム・ロウズ(1602~1645)
クリストファー・シンプスン(1605頃~1669)
ジョン・バニスター(1624~1679)
トーマス・バルツァー(1631
頃~1663)
ソロモン・エックルズ(1649~1710)
①リラ・ヴァイオルのためのコンソート
ニ長調(ジェンキンズ)
②二つのディヴィジョン・ヴァイオルとオルガンのための組曲ト短調(ロウズ)
③二つのヴァイオルのためのディヴィジョン第7番ト長調(シンプスン)
④プレリュード(バルツァー)
⑤ジョン・エックルズ氏のグラウンドによるディヴィジョン(エックルズ)
⑥二つのヴァイオルのためのディヴィジョン第1番ハ長調(シンプスン)
⑦リラ・ヴァイオルのためのコンソート
ニ短調(ジェンキンズ)
⑧二つのヴァイオルのためのディヴィジョン第5番ヘ長調(シンプスン)
⑨バニスター氏のグラウンドによるディヴィジョン(バニスター)
⑩リラ・ヴァイオルのためのコンソート
ニ短調(ジェンキンズ) |
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Ens.ミュージック・アンド・マース(古楽器使用)
イレーネ・クライン、
ヤーネ・アハトマン(vg)
アマンディーヌ・ベイエール(vn)
他 |
「ピューリタン革命で、英国音楽は枯渇した」...?いやいやいや、17世紀こそは英国音楽が最もエキサイティングだった時代のひとつ。「知られざる古い響き」を伝えるRameeの新録音は艶やかさとダイナミズムが交錯する、ルネサンスからバロックへの極上ヴィオラ・ダ・ガンバ音楽!
クラシックの世界で、いったい誰がいつ「イギリスは音楽不毛の地」という世評を作ったのやら――おそらく19
世紀、ロマン派初期のことでしょう。当時はパリのグランド=オペラ作曲家たちをはじめとするフランス語圏の巨匠たち、ウィーン古典派から初期ロマン派へいたるドイツ語圏の作曲家たち、いわずもがなイタリアのベルカント・オペラ作曲家たち...といった外国人たちがロンドンでも大いに幅を利かせていたところ、外国文化好みの英国人たちは自国の作曲家たちにあまり関心を払わなかったのですから。
いまの音楽史はおおむね19 世紀以降のドイツ語圏で作られたので、英国人をひいきにする理由はなく、結果なしくずし的に「英国=音楽不毛の地」の図式ができあがってしまった次第。しかし!そもそも今の英国はどうでしょう?ビートルズを生んだこの国の音楽界は、実は19
世紀だけが妙に自己評価の低い時代だったのであって、18
世紀以前、とくに14~17 世紀の英国は立派な音楽先進国でした。
中世末期にはフランス人作曲家たちやネーデルラントの作曲家たちが英国の作曲家たちを手本にしていたほどで、17
世紀にもフランスやドイツの作曲家たちが、英国のヴァイオル(ヴィオラ・ダ・ガンバ)のための合奏曲をさかんに模倣していました。本盤に収録されているのは、そうした「ヴィオラ・ダ・ガンバ音楽の先進国」としての英国をありありと印象づける、17
世紀中盤から後半にかけての名曲の数々。この時期にはリラ・ヴァイオル(イタリアのヴィオラ・バスタルダとも関係があると言われる、独奏用のガンバ)のための音楽が人気を得て、ふたりの独奏者のための二重奏作品が数多く書かれました。
ルネサンス期のガンバ四重奏・五重奏は名盤も多いところ、この時期の英国のガンバ二重奏は意外に名盤がなかなか出ないもの。
ドイツ古楽界の最先端をゆく(かつては俊才ヒレ・パールも参加していた)ユニット「ミュージック・マース」が、一部ヴァイオリンを使う新時代の曲ではなんと(Zig-Zag
Territoires に名盤あまたの)俊才アマンディーヌ・ベイエールも交え、オーガニックな羊腸弦の響きをしなやかに操り、豊かなる17世紀英国音楽の変遷をじっくり味あわせてくれます。「古い時代の知られざる音はRamee」の面目躍如な1枚です!
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RAM1206
\2800→\1690 |
語らう声、静寂の声
~バロック初期から後期へ、
フルート・コンソートの世界~
ファンタジア(5曲)カンツォーナ(2曲)他、舞曲、
教会音楽編曲、歌曲編曲、ソナタ…
(全30曲収録・リュート独奏曲(2曲)・
テオルボ独奏曲(3曲)を含む
16世紀末~18世紀前半)
ジョヴァンニ・バッサーノ(1558頃-1617)
ルッツァスコ・ルッツァスキ(1545頃-1607)
ジローラモ・フレスコバルディ(1583-1643)
ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリンク(1562-1621)
フランシス・ピルキントン(1565-1638)
トマス・モーリー(1557-1602)
ジョン・ダウランド(1563-1626)
ロベール・バラール(1575-1650頃)
アントワーヌ・ボエセー(1587-1643)
ロベール・ド・ヴィゼー(1655頃-1732/33頃)
ミシェル・ランベール(1610-1696)
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ(1689-1755)他の作品 |
アテニャン・コンソート(古楽器使用)
〔ケイト・クラーク,マルチェッロ・ガッティ,フレデリ
ク・ショーヴェ,マチュー・ラングロワ(ft)〕
ナイジェル・ノース(リュート&テオルボ) |
「縦の笛」リコーダーだけではなく、横笛も…ルネサンスからバロックへ、しずかでオーガニックな独特の境地を横吹式のフルートは、リコーダーのあとから18世紀になって人気を得ていった…というのは、実はバッハやヴィヴァルディ周辺にだけ焦点を絞った、ごく近視眼的な音楽史観。
すこし引いてみてみれば、横笛というものはルネサンス期に大いに流行、さまざまな絵画にもリコーダー以上にしばしば描き込まれていると言っても過言ではありませんし、ドイツやイタリアを離れれば、フランスでは17世紀にもオトテール一族をはじめ、横の笛を活用したすばらしい音楽家は少なくありませんでした。
その全盛期がルネサンスにひとたびあったとすれば、ルネサンス世俗音楽の系譜をひく17世紀前半のエール・ド・クールや英国マドリガルなど、声楽作品を楽器で演奏するという当時の習慣はまさにこれらルネサンス・フルート向きのスタイル…この作法で中世末期からルネサンスにかけてのフルート芸術の魅力を伝えてきたアテニャン・コンソートが、RAMEEレーベルの既存2枚につづく第3作として制作した本盤は、時代を大きくうしろにとり、17世紀初頭以降の作品を多く扱っている点でユニークな企画!
表題にあるとおり、ふ、と黙り込むときの古楽器フルートの味わい、残響の重なりがたまりません。
18世紀作品ではフランス流トラヴェルソを使用。ホグウッドらとも共演してきたリュート奏者ナイジェル・ノースの参加も随所で効果大!です。
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RAM1207
(2枚組)
\5400→\2490 |
パスカル・デュブリュイユ(チェンバロ)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685~1750):
六つの組曲 通称『イギリス組曲』
1.第1 番イ長調BWV806 4.第4
番ヘ長調BWV809
2.第2 番イ短調BWV807 5.第5
番ホ短調BWV810
3.第3 番ト短調BWV808 6.第6
番ニ短調BWV811 |
パスカル・デュブリュイユ(チェンバロ)
使用楽器:アムステルダムのティテュス・クライネン1996年製作
(リュッケルス1624年製作モデルによる復元楽器) |
バッハの肝は「音楽のことばづかい」、いわゆる音楽修辞学。
この道を究めるフランスの名手、新たに世に送り出した充実録音は、なんと「あの名曲集」――
バッハの組曲語法の粋が凝縮された音楽、1音1音の含蓄はとてつもなく深く...RAMEEならではの自然派録音で!
ラ・プティット・バンドやリチェルカール・コンソートなどベルギー最前線の古楽バンドでバロック・ヴァイオリンを弾いてきたライナー・アルントが、自ら録音技師やプロデュースまでつとめる秀逸古楽レーベル、RAMEE。
近年のリリースからもわかるとおり、基本的には誰も聴いたことのないような、それでいて多くの人の耳と心に理屈抜きで刺さる古い音楽(現存最古の15
世紀チェンバロ、16 世紀のフランス語教会音楽、ルネサンス・フルート合奏...)を選んでくるセンスがずばぬけているレーベルですが(このあたり、録音技師自身が古楽器奏者である点も大きいのでしょう)、そのセンスそのままに有名作曲家の王道名曲盤を作ったときの仕上がりの洗練度たるや、いつも破格のものがあり。
そのことは、2008 年末に制作された同レーベル初の2枚組アルバム、バッハの『パルティータ』全6編でいかんなく示されていました。その弾き手であるフランス最前線の名手パスカル・デュブリュイユが満を持して新たに世に送り出すのが、新たなるバッハの名演、『イギリス組曲』の全曲盤!
デュブリュイユはフランスのレンヌ音楽院でチェンバロのみならず「音楽修辞学」、つまり古い音楽の音の並びがどういう「語順」で組み立てられていて、それぞれ何をいわんとしていたのか?についての研究でも確たる信頼を勝ち得てきた人物で、こうした音楽修辞学がバッハの音楽を演奏するうえでいかに大切か、『パルティータ』盤では説得力あふれる演奏のみならず、長大な解説でも詳述していました。
実際、それがあるとないとでは、ただでさえタッチの強弱で音の強弱を変えられないチェンバロという楽器での演奏は、これほど大きく変わってくるのか――そのことをあらためて印象づけずにおかないのがデュブリュイユの演奏なら、この最新アルバムもまさにそういう意味で圧倒的な存在感を放っていると言ってよいでしょう。
名工ティテュス・クライネンが作ったチェンバロはRAMEE
レーベルでの過去録音でも愛奏している精巧かつ充実した銘器で、その美音のニュアンスを的確に拾いあげ、多すぎない残響感とともに自然な響きで私たちの耳に届けてくれるオーガニックなエンジニアリングも、なんと快いこと...そうした「お膳立て」が整っているからこそ、私たちはバッハの音楽の深さをいっそう奥まで体感できるのかもしれません。
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RAM1109
\2800→\1990 |
こういう天才がパーセル以降ヘンデル以前のイギリスに存在していたのである
ヨハン・クリフトフ・ペープシュ
(1667-1752)
~18世紀ロンドン、演奏会生活の幕開け~
ヨハン・クリストフ・ペプーシュ:
①歌劇『乞食オペラ』序曲
②5声の協奏曲 ト短調 ~オーボエ、
弦楽合奏と通奏低音のための
③ヴァイオリン協奏曲 イ長調
④6声の合奏協奏曲 ニ長調
~トランペット、弦楽合奏と通奏低音のための
⑤ヴァイオリン協奏曲 イ短調
⑥合奏協奏曲 変ロ長調
~ヴァイオリン、弦楽合奏と通奏低音のための
⑦6声の合奏協奏曲 ヘ長調
~チェロ、ファゴット、弦楽合奏と通奏低音のための
⑧歌劇『ヴィーナスとアドニス』序曲 |
ロバート・ローソン指揮
ティクル=フィドル・
ジェントルメン音楽協会
(古楽器使用)
タッシロ・エーアハルト(vn)
キンガ・ガーボルヤーニ(vc)
マーク・ベイジェント(ob)
サリー・ホルマン(fg)
クリスピアン・スティール・
パーキンズ(tp) |
音楽史に横槍を刺すかのごとく、驚くほど早い作例!
協奏曲は、英国でまず花開いた?痛快古楽器演奏!
音楽史上に埋もれた作品や、思いがけない古楽器の響きを見出すことにかけては他の追随を許さない、RAMEEレーベル。
美麗パッケージが醸す期待感を裏切らない内容は日本でも定評がありますが、ここにお届けする作曲家の名前はおそらく、ヘンデルの伝記をちょっとでも読んだ人ならご存知では――
そう、これはイタリア・オペラ贔屓の英国人たちを痛烈に風刺し、ヘンデルを人気低迷にまで追いやった大成功作『乞食オペラ』(ジョン・ゲイ台本…のちのヴァイル『三文オペラ』の元ネタ)の作・編曲者として知られたドイツ出身の英国の作曲家、ペプーシュの珍しい協奏曲集なのです!
アマチュア・リコーダー奏者たちは彼が素晴しいソナタを書いていることもご存知かもしれませんが、しかし合奏曲とは...しかもペプーシュは17世紀末からロンドンに来ていて、協奏曲はヴィヴァルディ『調和の霊感』などよりずっと早く、トレッリやアルビカストロら先達たちと同じ頃から書いていたというから驚きです。その手際よい作風はまったく圧巻、これら傑作がどう生まれたのかは解説参照としても、演奏陣のさりげない豪華さも名演が生まれる秘訣のひとつ。
英国古楽界の大御所が続々、トランペットにC.スティール・パーキンスまで参加しているのに瞠目です!
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あの「乞食オペラ」の作曲者ヨハン・クリフトフ・ペープシュ
(1667-1752)の見事な協奏曲。
ペプーシュがロンドンに定住したのは1700年。ヘンデルよりも大分早い。
彼はその異国の地で活躍、多くの作品を残し、晩年は研究に没頭したという。
偉大な人だったのだ。
そしてその音楽はきらびやかで鮮烈。そしてメロディアスで親しみやすいものだった。
序曲の楽しさも異彩を放つが、ヴァイオリン協奏曲や合奏協奏曲の「鑑賞音楽」としての水準の高さはどうだろう。
こういう天才がパーセル以降ヘンデル以前のイギリスに存在していたのである。
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RAM1403
\2800→\1690 |
「獅子の耳」~レオ10世と音楽~
マントヴァのロッシーノ:①リルム・ビリリルム
ダ・ピアチェンツァ:②ロスティボッリ・ジョイオーゾ
ブリュイエ:③幸せにお生きなさい
ダ・ミラノ:
④リチェルカール#4
⑤わたしの悲しき絶望について
⑥「わたしの悲しき絶望について」によるファンタジア
⑦リチェルカーレ#10
ぺセンティ:⑧彼女はどうするだろうか、何というだろう
ピサーノ:⑨道ゆく者たちよ、みな聞きたまえ
クラーン:⑩そこでわたしは見た、天が裂け
カルパントラス:⑪イェルサレムよ、思いなおしなさい
カヴァッツォーニ:
⑫レチェルカーダ ⑬ある日、その朝
⑭おお、海の導き星よ
イザーク:
⑮望みなきこの運気/聖ペトロが
⑯どのように報いればよいのでしょう、獅子なるかたよ
ムートン:⑰あらゆる苦難と絶望を越えて
ジョスカン⑱ごきげんよう、天の皇后(サルヴェ・レジーナ)
不詳:
⑲わたしは、いかなる希望もあなたにかけたことはない(伝レオ10世)
⑳驚きとともに天を仰いだことがないなら
(21)望みなきこの運気
レオ10世:
(22)それは、何はなくとも
(23)教皇レオ10世のカノン
※曲順は①②③④⑤⑥⑧⑲⑳⑨⑩⑪⑫⑬(21)⑮⑯(22)⑰⑦⑭(23)⑱ |
Ens.ラ・モルラ(古楽器使用)
コリーナ・マルティ(各種bfl/cmb)、
ミハウ・ゴントコ(リュート他)…音楽監督 |
15世紀が熱い!
古楽集団ラ・モルラならではの企画性あふれる録音は、絵画鑑賞にもピッタリの内容古楽の音盤に手を伸ばされるお客様の特徴として、企画性の高いものをじっくり楽しむ…という傾向が最近ますます高まっているように思われます。
解説もさほどついていない単なる音源であれば、今やYoutubeに駆逐されてしまう時代――1枚分のCDのストーリーを考えぬき、各作品についてよく分析しながら、楽究性を追い過ぎず、あくまで音楽に軸足を置いた音作りをしつづけているラ・モルラの企画は、これまでも一貫して好評を賜ってきました。
5月にはリーダーのひとりで笛と鍵盤をどちらも弾きこなすコリーナ・マルティが来日予定、ますます目がはなせないグループです(ラ・モルラ名義での来日も待たれるところ)。
数年前にはスペイン古楽界の名花アリアンナ・サヴァールをゲストに『夜明けの星』と題したスペイン音楽アルバムで好評を得ましたが、今度はその少し前、15世紀末のイタリアがテーマ!フィレンツェの豪商メディチ家に生まれ、教皇となったレオ10世を中心に、その頃まさに花ひらきつつあった器楽芸術と「イタリアのネーデルラント楽派」たちの傑作を、さまざまなかたちで「いま」に息づかせてくれます。
深く読み解くことなく、ただ中世楽器の心安らぐ響きに身を任せているだけで好きになってしまいそう、そんんな1枚。お見逃しなく!
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RAM1404
\2800→\1690 |
バッハ:ゴールトベルク変奏曲
鍵盤練習曲集~アリアと30の変奏、
二段鍵盤チェンバロのための、
(通称“ゴールトベルク変奏曲”)
1741年ニュルンベルク刊 |
パスカル・デュブリュイユ(チェンバロ)
使用楽器:
ティテュス・クライネン製作
アントヴェルペンのI.クーシェによる
1679年製作モデルにもとづく再現楽器 |
欧州古楽界の成熟、ここに極まる――音楽修辞学の達人パスカル・デュブリュイユ、ついに「第4巻」へ!
古楽先進国フランスで活躍するチェンバロ奏者の層の厚さは、おそらく日本で広く知られている以上のものがあると思います。
各音楽院で教鞭をとっている名手たちだけでも、ひとりひとり濃密な個性派が…すでにRAMEEレーベルで3作のソロ・アルバムを発表、バッハが生前に自費で楽譜出版してきた集大成的傑作『鍵盤練習曲集』シリーズを続々リリースしてきたデュブリュイユ、いつか必ずその『第4巻』にあたる『ゴールトベルク変奏曲』をリリースしてくると思っていたら...ついにやってくれました!
バッハ後期の作品に通底している音楽修辞学にふかく通暁したこの名手らしく、今回もじっくり全ての繰り返しを守りながら、じわり、ゆったりめのテンポで音運びのひとつひとつを精巧に伝えてやまないその解釈は、少し耳にするだけで何度でも聴き深めてみたくなること必至――
使用楽器は今回も現代の名工ティテュス・クライネンが手がけた素晴しい再現楽器(モデルは17世紀アントヴェルペン、リュッケルス工房の後継者たるクーシェの楽器)の、息をのむほど美しい音がRAMEEならではの自然派録音で、あざやかに収められている点も魅力です。
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RAM1406
\2800→\1690 |
ポーランドとルネサンス・リュート音楽
~1600年前後の独奏曲さまざま~
ヤコブス・レイス、通称ポーランドのジャック(1550頃-1605)
ディオメデス・カート(1555-1628)
ヴォイチェフ・ドウゴライ(1557/58-1619頃以降)
エリアス・メルテル(1561頃-1626)
ジャン=バティスト・ブサール(1567頃-1616以降)
カスペル・シェリツキ(1570頃-?)
エマヌエル・ヴルスティーゼン(1572-1619)
トバイアス・ヒューム(1579頃-1645)
ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィ(1580頃-1600)
ニコラ・ヴァレ(1583頃-1642以降)
ペトルス・ファブリツィウス(1587-1651)
ヨハンネス・アルピヌス2世(1571-1606)
アドリアン・デンス(16世紀末に活躍)
ヨハンネス・ナウクレルス(1579-1655)
【出版譜出典】
M.ヴァイセル編『リュート奏法譜集』
(1591年フランクフルト・アン・デア・オーダー刊)/
A.デンス編『音楽の精華』(1594年ケルン刊)/
ジョヴァンニ・アントーニオ・テルツィ『リュート奏法譜集第2巻』(1599年ヴェネツィア刊)/
J-B.ブサール編『音楽の宝物庫』(1603年ケルン刊)/
T.ヒューム『第一楽曲集』(1605年ロンドン刊)/
N.ヴァレ『ムーサの秘術』(1615年アムステルダム刊)/
E.メルテル『新たなる音楽作品集』(1615年シュトラスブルク[=ストラスブール]刊)/
J-B.ブサール編『新作曲集』(1617年アウクスブルク刊)...他、欧州各地の図書館・個人蔵の手稿譜より |
ミハウ・ゴントコ(リュート)
使用楽器:
7コース、イタリア・ルネサンス型ポール・トムスン1996年製作 |
「コペルニクスの国」は、ルネサンス期の超・大国!
ポーランドの絶品リュート芸術、同国の異才が深々と。
ショパン、ルービンシュタイン、シェリング、ペンデレツキ…クラシック音楽の世界でのポーランドは、やはり19世紀ロマン派以降の華やぎがめだつもの。
18世紀末に王朝が途絶え、周辺列強に分割され国そのものが消滅、その状態が第一次大戦まで続いたためでしょうか。しかし王朝断絶前、とくに17世紀以前のポーランドは東欧屈指の大国で、東洋人の支配に長く甘んじたロシアよりもずっと強大だったのです!
当然、そこには文化の実りも豊かにありました――それを改めて認識させてくれるのが、近年ますます古楽シーンが充実しつつあるポーランドの出身、欧州各地で活躍をみせるリュート奏者ミハウ・ゴントコによる畢生の録音!
構想20年以上、古楽愛あふれるRameeレーベルでついに実現した本盤は、16世紀後半から17世紀にかけ、諸外国で高い名声を誇ったポーランド人リュート芸術家たちの足跡を各地の史料からたんねんに集め、知られざるルネサンス末期のポーランドの至芸を「いま」に甦らせる充実盤になりました。
少し後にテレマンが魅せられた民俗音楽とは明らかに違う、いわば「コペルニクスと同時代の、先進国ポーランドの人文主義的音楽」とみなしうる精巧な、深夜にじっくり聴くのが最も合いそうな、美しい小品の数々、かけがえのない音楽の喜びをもたらしてくれそうな1枚です。
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RAM1407
\2800→\1690 |
古楽大国オランダ屈指の名匠ファン・デル・フェルデン
ヴィーラント・クイケンも登場
マレ:二つのヴィオールのための組曲集 第1巻(1686)
1. 第1組曲 ニ短調
プレリュード~アルマンド~クラント~サラバンド~
ジグ~ガヴォット~ムニュエ(メヌエット)
2. 第2組曲 ト長調
プレリュード~アルマンド~クラント~サラバンド~
ジグ~ガヴォット・アン・ロンドー~ムニュエ~
ガヴォット~こだまのファンタジア~シャコンヌ~
メリトン氏の墓標(トンボー) |
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ミーネケ・ファン・デル・フェルデン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ヴィーラント・クイケン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
フレッド・ヤーコプス(テオルボ) |
古楽大国オランダ屈指の名匠&「あの巨匠」。
マレ芸術の粋、満を持してというほかない境地…!
ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の魅力を誰よりも多面的に引き出してみせた人…といえば、これはもう英国のヒュームか、あるいは“天使のごとく弾く”と讃えられたマラン・マレ、そしてそのライヴァルだった“悪魔のごとく弾く”フォルクレか…といったところでしょう。
そしてもちろん、最も有名なのはマラン・マレ。しかもマレは他の二人よりも明らかに多作で、その意味でも深めがいのある音楽世界を形作ってきた人ではありました。とくに注目が集まるのは、18世紀になってから順次楽譜が刊行された、ヴィオールひとつと通奏低音で弾く第2~5曲集。
しかしフランス古来の弦楽芸術の伝統を最も確かに受け継いでいる「出発点」と目すべきはやはり、1686年、二つのヴィオールのために書かれ楽譜出版された第1曲集にほかなりませんーーその音楽世界を最新録音で聴こうとするとき、古楽大国オランダ随一の細やかなガンバ芸術家ファン・デル・フェルデン女史と、20世紀以来この楽器の復権に大きく貢献してきたパイオニアたる巨匠ヴィーラント・クイケン(!!)による新たな録音に出会えるとは!
Rameeレーベルでともに録音を続けてきたテオルボ奏者ヤーコプスの共演も絶妙、阿吽の呼吸のすばらしさには「幽玄」などという言葉も思い浮かぶほど...。
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RAM1502
\2800→\1690 |
ヨハン・クリストフ・ペプーシュ(1667-1752):
2幕のマスク(仮面劇)「ヴィーナスとアドニス」
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クララ・ヘンドリック(ヴィーナス)
フィリッパ・ハイド(アドニス)
リチャード・エドガー=ウィルソン(マルス)
ロバート・ローソン(指揮)
ティクル=フィドル・ジェントルメン音楽協会
(古楽器オーケストラ) |
1715年3月12日にロンドンの王立劇場で初演されたペプーシュの英語のマスク(仮面劇)『ヴィーナスとアドニス』。ドイツ出身でイギリスに帰化したヘンデルの先輩ともいえるこの作曲家の作品は、現在一部のリコーダー作品のみが愛好家に知られるのみですが、当時イギリスでも主流であったボノンチーニや、スカルラッティのイタリアオペラに影響を受け、“いかにして英語で歌うか”をこのマスクで実現した人気作曲家でありました。
当時のロンドンでの劇場での熾烈な争いの中で、ペプーシュはこの作品のために最上級の指揮者と器楽奏者、そして最も人気のあった二人の歌い手イタリアのマルガリータ・デ・レピーネを男性役のアドニスとして、コントラルトのジェーン・バービアーをヴィーナスとして雇いました。結果、今までの英語の作品ではありえなかったイタリアの音楽の輝きと力強さを持ち、劇的な英語のレチタティーヴォで満ちています。
これは間違いなくのちのヘンデルのマスク『エイシスとガラテア』に続くものであり、この世界初録音の『ヴィーナスとアドニス』は英語のオペラの歴史を我々にみせてくれるものとなります。
リコーダー作品が有名なペプーシュですがそれだけではありません。イギリス、ヨーロッパで活躍する若手古楽歌手達が共演、ローソン率いる器楽集団の歯切れのよい演奏も売りどころです。
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RAM1702
(2CD)
\4600→\3290 |
通奏低音だけに絞りヴァイオリンなどの器楽合奏をいっさい廃した編成、
声楽パートも13名からなる室内楽編成
モンテヴェルディ(1567-1643):聖母マリアの夕べの祈り(1610)
~声楽と通奏低音のみによる17世紀式解釈~ |
ルドゥス・モダリス(声楽アンサンブル)
ブリュノ・ボテルフ(音楽監督・テノール)
アンヌ=マリー・ブロンデル…オルガン
ジャン=リュック・ホー…チェンバロ
フランク・ポワトリノー…バス・サックバット
ヴォルニー・オスティウ…バス・コルネット
メリュジーヌ・ド・パ…ヴィオラ・ダ・ガンバ |
これは注目度大!
過去半世紀にわたりさまざまな解釈が打ち出され、すでに競合盤も多いモンテヴェルディ屈指の名作『聖母マリアの夕べの祈り』ですが、ここまで楽器編成を絞った解釈が可能であることは意外にも知られていないところ。
そもそも17世紀当時の楽譜は伝わった先ごとに演奏環境がまちまちである可能性が高かったため、状況しだいで演奏編成を自在に読み替えられるようにできており、モンテヴェルディのこの作品も実はその例にもれません。
とくに『聖母マリアの夕べの祈り』は作曲者自身が多彩な作曲技法を使いこなせることを、新旧の作曲様式をつうじて縦横無尽に披露しようとした側面が強いとも言われており、曲集に併録されているルネサンス様式のミサ曲(RIC321など録音もあり)と対比させて検討するなら、いっそ楽器をほとんど使わないで、ア・カペラに近い編成で解釈したほうが曲ごとの様式の違いをより明瞭に感じ取れる可能性も出てきます。
すでにRAMEEレーベルで数々のルネサンス多声楽曲の名盤をリリースしているルドゥス・モダリスは今回、思い切って楽器の使用を通奏低音だけに絞り、ヴァイオリンなどの器楽合奏(コンチェルタート)をいっさい廃した編成、声楽パートも13名からなる室内楽編成(作曲者によって提唱された最小の編成)でこれを録音。
解説でも事情が詳説されていますが、何より作品像をあざやかに一新してくれる演奏のみごとさは圧巻。見逃せないリリースです。
録音:2017年10月 プランザック(フランス)、サン・シバール教会
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RAM1701
\2800→\1990 |
ヨハン・フランツ・クサヴァー・シュテルケル(1750~1817):
『ヴァイオリン伴奏を添えた、チェンバロまたはピアノのための三つのソナタ』ほか
ソナタ ヘ長調 作品33-1
~『ヴァイオリン伴奏を添えた、チェンバロまたはピアノのための三つのソナタ』作品33より
1.第1楽章 アレグロ
2.第2楽章 アンダンテと変奏
3.ピアノ独奏のための幻想曲
イ短調 作品45
大ソナタ 変ロ長調 作品25
4.第1楽章 アレグロ・カンタービレ
5.第2楽章 カンタービレ
6.第3楽章 アレグロ・ウン・ポーコ・ヴィヴァーチェ
7.ロマンツェ ヘ長調 作品24-3
~『J.F.シュテルケルのささやかな美品さまざま
:チェンバロまたはピアノのための六つの小品』作品24より
ソナタ ヘ長調 作品33-3
~『ヴァイオリン伴奏を添えた、チェンバロまたはピアノのための三つのソナタ』作品33より
8.第1楽章 アレグロ
9.第2楽章 ロンド |
メレット・リューティ…ヴァイオリン
(ミラノのアントニオ・テストーレ
18世紀初頭製作によるオリジナル楽器)
エルス・ビーセマンス…フォルテピアノ
(ウィーンのアントン・ヴァルター1805年製モデルにもとづく
ポール・マクナルティ2013年製作の再現楽器)
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サリエリと同い年の1750年生まれで、モーツァルトやハイドンと同じ時代を生きたJ.F.X.シュテルケルは19世紀にひとたび忘れられこそすれ、生前は彼らにも比しうる名声を誇った人気作曲家のひとりで、ここに集められたヴァイオリンとピアノのためのソナタの数々を聴けば、なぜ彼が歿後これほど長いあいだ見過ごされていたのか理解に苦しむのではないでしょうか(18世紀の史料にはさかんに登場する名前で、近年DHMから交響曲集が登場するまでまとまった音盤がなかったことが異例だったと言ってもよいほどです)。
活動領域はおもに現在のドイツ西部。ロココの宮殿が有名なヴュルツブルクで生まれ、マインツ大司教のもとで宮廷鍵盤奏者として活躍、その作品はパリのコンセール・スピリチュエルでも大いに人気を博しました。イタリアにも遊学してナポリ宮廷でも寵愛を受けましたが、マインツ大司教は彼を惜しんで呼び戻し、この人気作曲家を長く擁護したそうです。
古楽教育の拠点バーゼルで研鑽を積んだ二人の古楽器奏者がここで演奏しているのは、フォルテピアノ普及初期の1780~90年代、その魅力を大いに引き出した傑作二重奏ソナタの数々。
ヴァイオリン・パートが鍵盤の助奏として添えられる18世紀式の二重奏でありながら、両者の対等な対話やスリリングな楽想の応酬はすでにベートーヴェンの二重奏ソナタさえ予感させるほど。
フォルテピアノ独奏のための幻想曲も充実した仕上がりで、初期ロマン派を見据えた古典派後期の素晴らしい音楽が味わえる、見過せない発見にみちた1枚に仕上がっています。
録音:2017年1月、チューリヒ=ヴィーディコン(スイス) |
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RAM1803
\2800→\1690 |
フィレンツェ、見出された中世音楽 ~
14世紀、羊皮紙写本の下から浮かび上がる音楽
ピエロ・マッツォーリ(1386-1430)
ジョヴァンニ・マッツォーリ(1350頃/61-1426)
パオロ・ダ・フィレンツェ(1355-1436)
アントニオ・ザカラ・ダ・テラーモ(1360頃-1416)
ヤーコポ・ダ・ボローニャ(1340-1360頃活躍)
フベルトゥス・デ・サリニス(1390-1420頃活躍)
ジョヴァンニ・ダ・カシア(1340-1350頃活躍)
1.ピエロ・マッツォーリ:御婦人、わたしの迷いは
2.作曲者不詳:わたしにとって、苦しみは甘味〔器楽〕
3.作曲者不詳:幸せでいなさい、楽しくしていなさい
4.ジョヴァンニ・マッツォーリ:そう知ってからは〔器楽〕
5.パオロ・ダ・フィレンツェ:ほとんど見えはしないのだ
6.ジョヴァンニ・マッツォーリ:丘のふもとで
7.ピエロ・マッツォーリ:あな痛ましきかな
8.アントニオ・ザカラ・ダ・テラモ:これだけは申し上げられよう
9.ヤーコポ・ダ・ボローニャ:力ある君主のもとでは〔器楽〕
10.ジョヴァンニ・マッツォーリ:天上の輝きが、この地上に
11.作曲者不詳:あなたを思い出しては、御婦人よ〔器楽〕
12.ピエロ・マッツォーリ:太陽神がみたダフネでさえ
13.フベルトゥス・デ・サリニス:現世の救世主イエス
/いかなる罪で傷を負い
14.フベルトゥス・デ・サリニス:あなたは何も残さなかったのか
/高価なものほど讃えられる
15.ジョヴァンニ・ダ・カシア:おお音楽よ、我がいとおしき技芸よ
16.パオロ・ダ・フィレンツェ:その男、至高の美をまのあたりにしようと
17.パオロ・ダ・フィレンツェ:恋は、わたしを充分に縛りつけてきた |
ラ・モルラ(古楽器使用)
アンナ・ミクラシェヴィチ(ソプラノ)
ドロン・シュライファー、
ロマン・メリッシュ(カウンターテナー)
イーヴォ・ハウン・デ・オリヴェイラ(テノール)
コリーナ・マルティ
(クラヴィシンバルム、オルガネット、
各種リコーダー)
ミハウ・ゴントコ(リュート)
ナタリー・カルドゥッチ(中世フィドル) |
かつてサヴァールやバンキーニが無数の門弟を育ててきた古楽教育の世界的拠点バーゼル・スコラ・カントルムは、バロックやルネサンスのみならず、中世音楽の研究・演奏再現でも世界をリードする重要な拠点。
そこでクオリティの高い演奏を続け、近年は同時期にバーゼルで学び合ってきたチェンバロと歴史的ハープの名手・西山まりえとの共演を通じて日本でもファンを増やしつつあるコリーナ・マルティが、パートナーのミハウ・ゴントコと主宰するラ・モルラとともに、中世音楽研究の最前線にいればこそ!というほかない新録音をリリースします。
テーマは「14世紀のフィレンツェ」北フランスのアルス・ノーヴァを横目に見ながら、やがて花開くルネサンス音楽への礎が着実に築かれつつあったこの時代のイタリア音楽世界にあって、水準の高い市民文化が育まれていたフィレンツェは大きな存在感のあった場所でしたが、折々の戦乱や長い年月をへて15世紀以前の音楽資料はほとんど数えるほどしかなく、専門家たちは同じ写本に繰り返し立ち返るしかなかったのですが……なんと今回は最新発見の楽曲が続々。
カメラ性能の向上により、中世当時は古い記述内容を全て削り落として別用途に再利用されていた羊皮紙写本に「かつて記されていた楽譜」まで判読ができるようになったため、思わぬ写本から未知の楽譜が続々出てきた……それを実演・録音したアルバムなのです。チェンバロ以前の中世鍵盤楽器クラヴィシテリウムでの妙技はRAMEEレーベルの過去盤(RAM1108・0802他)で実証済み、さらにカウンターテナーのドロン・シュライファーをはじめ世界的な古楽歌手たちが清らかな声で紡ぎ出す多声楽曲も魅力。
録音:2018年3月、メーリン(スイス)、聖レオデガル教会
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RAM1808
\2800→\1690 |
「愛の執着」
イタリアのマドリガーレ、愛と苦悩の250年
1.アドリアン・ヴィラールト(1490頃-1562):
見たのだ、天使のような姿で
2.ヤーコポ・ダ・ボローニャ(1340-1360頃活躍):おお、俗世は何も見えておらぬ
3.ドナート・ダ・フィレンツェ(1350-1370頃活躍):白い鳥はもう
4.イーヴォ・バリー(1525-1550頃活躍)/
バーリント・バクファルク(1526/30-1576):
わたしはもう安らげない
5.ヤーコプ・アルカデルト(1507頃-1568):ああ、あの美しい顔はどこに
6.グリエルモ・エブレオ・ダ・ペーザロ(1420頃-1484頃):アモローゾ〔愛をこめて〕
7.アロンソ・ムダーラ(1510頃-1580):おお、嫉妬よ
8.作曲者不詳:清水の湧く泉のように
9.ヴィンチェンツォ・ガリレイ(1525/30頃-1591):空想にまかせての二重奏
10.フィリッポ・デ・モンテ(1521-1603):自らの悲しき音をもって
11.フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ(1497-1543):リチェルカーレ
12.作曲者不詳:バッサ・ダンツァ
13.ヴィンチェンツォ・ガリレイ:コントラプント
14.ヒューベルト・ヴァールラント(1517頃-1595):むしろ死んでしまいたい
15.フリウリ地方(イタリア東北部)の伝承曲:ウイキョウの枝で
16.ヨアン・アンブロージオ・ダルツァ(1508頃活躍):ピーヴァ
17.カルロ・ジェズアルド(1566-1613):すっかり悲しみ嘆いたので
18.バルトローメオ・トロンボンチーノ(1470頃-1534以降):
わが身を悩ませた炎を思い出さなかったなら
19.ミケラニョーロ・ガリレイ(1575-1631):トッカータ
20.ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):もはや墓に入り
21.作曲者不詳:陽光ふりそそぐ岸辺で
22.オルランド・ディ・ラッソ(1530/32-1594):ただ希望を持って生きよう |
ラタス・デル・ビエホ・ムンド(古楽器使用)
ミヒャエラ・リーナー(ソプラノ)
スートキン・バプティスト(アルト)
トゥマス・マシェ(バス)
インドレ・ユルゲレヴィチウーテ(声、カンテレ)
エリーザベト・ザイツ(プサルテリウム)
フローリス・デ・レイケル
(シターン、中世リュート、ルネサンス・リュート、総指揮) |
スイス、オーストリア、カタルーニャ、リトアニア……欧州屈指の古楽拠点ベルギーに集うさまざまな国の俊英たちによって2017年に結成されたばかりのアンサンブル「ラタス・デ・ビエホ・ムンド」は、スペインが世界最強の帝国だった15~16世紀を主たるフィールドに据え、世俗曲を中心とした企画性の高いプログラムを提案する古楽グループ。
誰も知らなかったのに極度に魅力的な音楽を掘り起こすことにかけては世界随一のレーベルRAMEEがこのグループに注目したことの意義は、同レーベル初となるこのアルバムで明らかになるでしょう。
テーマはマドリガーレ。16世紀末のイタリアで全盛を迎えるこの曲種のルーツは14世紀まで遡れるところ、その歴史を柔軟な器楽・声楽解釈を通じてあざやかに解き明かす充実演目。全22曲、
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RAM 0602
\2800→\1990 |
美の精華
――中世、十字軍時代のキプロス島のフランス語歌曲
1. 美しく高貴なるバラは
2. 高らかに、心愉しく歌うには
3. 愛神よ、わたしは誰に心を尽くそう
4. 薔薇という薔薇、みな花ざかり
5. 不幸な結末の話なら、いやというほど聞いてきた
6. よき船着場を見つけるために
7. とこしえに、よき心とともに花を捧げたく
8. 愛神が、わたしの心を袋に詰めて持ち去った
9. 甘美な苦しみあればこそ
10. いとやんごとなく、純潔にして細やかな百合の花
11. あなたの僕たる生き物にどうか慈悲を垂れたもう
12. あなたの高貴な魅力ゆえ、わたしはあなたの僕となろう
13. 運にまかせて富を得ようと思う者は |
アンサンブル・ラ・モルラ(古楽器使用) |
キプロスで15世紀初頭に作成されたとおぼしき写本が、トリノ国立図書館に残されている。15世紀初頭にキプロスを訪れた、デュファイを育てたカンブレー大聖堂の音楽家2人が作成したものらしく、つまりド・マショーとデュファイの間をつなぐフランス音楽遺産ともみなしうる重要な写本なのだった!
今回のアルバムではこの曲集から13曲を選出、歌入りトラックと純粋に器楽だけによるトラックとがちょうど半分ずつくらいになるようバランスよいプログラムにしている。
低音楽器が入ってこないせいか(ドゥルツィアンもバスではなく、オーボエに似た音のトレブル楽器を使用)、ナチュラルな録音とあいまって、時間を超越してたゆたうような中世音楽独特の美がきわだって感じられる。澄み切ったリコーダーやまっすぐなソプラノ、メッサディヴォーチェ?の美しいフィドルなど、古楽マニアならずとも食指の伸びる素晴しいサウンド!珍品に終わらぬ洗練された一作だ。
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RAM0603
\2800→\1690 |
~オーボエのためのトリオ・ソナタ集
ジョアン・バティスタ・プラ (1720~70):
ジョゼプ・プラ (1728~62):
1. トリオ・ソナタ ヘ長調
2. トリオ・ソナタ ニ短調
3. トリオ・ソナタ ト長調
4. トリオ・ソナタ 変ホ長調
5. オーボエと通奏低音のためのソナタ
ハ短調
6. トリオ・ソナタ ハ長調 |
アンサンブル・ロッシ・ピチェーノ(古楽器使用)
エミリアーノ・ロドルフィ、アンドレアス・ハイム(ob)
マリアン・ミンネン(vc)ラウル・モンカダ(cmb)
+松永綾子(vn)、ヴィム・マーゼレ(theo/g) |
スペインを出て、広くヨーロッパへ…晩期バロックと古典派の様式が入り混じるプラ作品の面白みを、絶品バロック・オーボエで!バロック後期~初期古典派の流儀で、スペイン臭さのない流麗な音楽を紡ぎ続けたプラのファンは演奏家にも多いと見えて、古くから折に触れて録音にも供されている――
かのJ-P.ランパルも晩年SONYでプラ・アルバムを制作していたし、スペインの老舗御国芸レーベルENSAYOにも協奏曲集があった。十八世紀当時も、兄のマヌエル(当盤には作品収録なし)意外の2人はシュトゥットガルトへ、パリへ、ロンドンへ…と諸外国へ出て大いに名声を馳せていた。
今回はそんなプラ兄弟の魅力あふれる音楽世界を、ばっちり古楽器で、秀逸な演奏とともに味わいつくせるアルバムの登場だ。演奏陣は6月の来日公演も好評だったカペッラ・デッラ・ピエタ・デ・トゥルキーニでオーボエを吹いているE.ロドルフィを中心に集まった、Ens.ゼフィーロ、エスペリオンXXI、コンチェルト・イタリアーノ、BCJやオーケストラ・シンポシオンといったアンサンブルで今まさに忙しく活躍中の実力派たち。しかもバロック・オーボエがダブルで協和するトリオ・ソナタが大半で、その美音の重なり具合といい、流麗な機能性といい、なかなか得がたい古楽サウンドがかもし出されているのが嬉しいところだ。
ヴァイオリンの松永綾子も1曲参加、曲調にヴァラエティをもたらしているのも素敵。プラ兄弟じたいの名はそれなりに知られていても、古楽器による録音がこれまで意外となかっただけに、1枚まるまるプラ作品だけで作られた(しかも極上演奏による)このアルバムの登場は全く嬉しい限り!
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RAM0703
\2800→\990 |
パスカル・ド・レストカール
~知られざるリヨンのユグノー作曲家~
パスカル・ド・レストカール(1537頃~87以降):
『サクレ・カンシオーネス』(1582・全曲) |
アンサンブル・ルドゥス・モダリス
総指揮:ブリュノ・ボテルフ |
エール・ド・クールをはじめフランス・バロックの「リュリ以前」の闇がずいぶん解明され、17世紀前半ではブジニャック(HMFのクリスティ盤)やフォルメー(Alphaのシュネーベリ盤)など合唱曲の「ルネサンスからバロックへの推移」もだいぶ見えてきた昨今の録音シーン。
しかし16世紀の音楽世界となるとアルバムはぐっと減ってくる・・・だが16世紀といえばフランスの国力が充実しはじめてきた頃。ネーデルラントやイタリアのような、ハイ・ルネサンスのア・カペラ対位法音楽がこの国で花開かなかったわけがない!
ルジュヌの録音はAlphaのそれも含め少しばかりあるが、レストカールは重要作曲家であるにもかかわらず、ヴィス&ジャヌカンEns.の世俗シャンソン集のほか単独録音は皆無だった―しかし本盤はその渇をいやして余りある、ポリフォニー教会音楽の精華をこれ以上ないほど見事に示してくれる名演の連続!
レストカールは生涯について未知の部分が多いが、ユグノー(新教徒)だったためカトリック色濃厚なフランス中央部では活躍しづらかったか、ずっとドイツに近いリヨンを拠点に活躍した人。
『サクレ・カンシオーネス』はラッススやバードの名作群と同時期、1582年に出版された曲集で、小さなフランス語宗教歌とラテン語ポリフォニー音楽の双方が収録されている大著―精緻にして晴朗な対位法の味わいに、彼の立身を阻んだのはただ信仰の相違だけだったことを思い知らされる傑作ぶり!その美が際立つのも、平均律和声ではなく中世旋法を基準にしてハーモニーを作れる超実力派古楽歌手集団あってこそ!
指揮者はルネサンス期のディクションや歌声のあり方など「意外な細部」までこだわる異才ボテルフ――そのこだわりが隅々まで徹底されると、ここまで結果に反映されるのか!と、ひたすら印象的な極上ア・カペラ古楽。3声から7声まで、多様な全28曲をご堪能あれ!
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RAM 0701
\2800→¥990 |
ロベルト・ヴァレンティーニ(1680~1750)(=ロバート・ヴァレンタイン):
リコーダーと通奏低音のための12のソナタ
(パルマの写本SANV.D.145
による) |
ザビーネ・アンボス(リコーダー)
フェリックス・コッホ(バロック・チェロ)
ヴィープケ・ヴァイダンツ(Cemb) |
ヘンデルよりも親しみやすく、ヴィヴァルディよりもスタイリッシュ!
3 分程度のミニマル・ソナタから大規模な4
楽章ソナタまで、何と多様な味わい深さ――意外と見つからないリコーダー秘曲ソナタもの。見つかったのは、こんな傑作アルバム!!リコーダーのアルバムというのは意外と多くはないもので、あってもヘンデルやテレマンの作品集ばっかりだったりするものですが――そんな環境にブレイクスルーをもたらすRamee
レーベルのアルバムが登場!
「リコーダーでバロックものは同じ曲しか聴けない」とお悩みの方々にぜひおすすめしたい、演奏内容も曲のクオリティも格別!の1
枚をリリースしてくれました。
ジャケのウェッジウッドも伊達じゃない!
~ロベルト・ヴァレンティーニとイタリア語の名前ですが、本当は正真正銘イギリス人。
18 世紀初頭、最晩年のコレッリが活躍していたローマに渡り、そこでリコーダーをよくするパトロンを見つけ、擁護にすがろうと献呈したのがこの12のソナタで。1730
年頃の作ということはまさにヴィヴァルディやヘンデルと同時代――手堅さと伸びやかさが同居する大小さまざまなソナタ群は、リコーダーの音色をあますところなく堪能させてくれる絶妙の仕上がり!細かいものは3
分程度、長い曲はヴィヴァルディのソナタくらいの規模をもち、かなりいろいろ楽しめます。仕事の合間などスキマ時間にじっくり聴くにも丁度良いつくり!
独奏者アンボスはミヒャエル・シュナイダーとメーメルスドルフ、つまり名手と奇才に学んだ腕前確かな若手で、緩急自在にしなやかに飛び回る歌心と技巧はすでに圧巻!
伴奏陣のオツなサポートを受けて、悲喜大小さまざまなソナタそれぞれの面白さを鮮やかに吹き分け、隅々まで堪能させてくれます。ちなみに通奏低音にもちょっとした注目ポイントが――いくつかの曲では、バッハがリュート作品を作曲する時に使ったといわれている「ガット弦チェンバロ」が使われているのです。
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RAM0704
\2800→\1990 |
ウィリアム・バード(1542~1623):
1. プレリュード(12)
2. ファンタジア(13)
3. 父よ、わたしに光を(48)
4. 父よ、わたしに光を(49)
5. 女王陛下のアルメイン(10)
6. ファンタジア(25)
7. ファンタジア(63)
8. グラウンド(86) DiapasonD’or受賞盤
9. イン・ノミネ(51)
10. ラクリメ(涙)のパヴァーン(54)
11. ファンタジア(67)
12. ミゼレーレ(67)
13.ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラの音列による変奏曲
(64)
14. 或るヴォランタリー(27)
15. グラウンド(42) ( )内の番号は作品整理番号 |
レオン・ベルベン(オルガン)
使用楽器:オーストハイゼン(オランダ北部)大教会、1521年頃建造 |
ムジカ・アンティクヮ・ケルンの気鋭奏者ベルベンは、オルガンもチェンバロもイケるクチ。
一段しか鍵盤がないとは思えない、無辺に広がる幻想のゆたかさ...!素朴にしてひたすら古雅、後期ゴシックの「古い木材の響き」がひたすら味わい深い... ほとんどの場合あまり(orめったに)録音されない作曲家に光をあて、「あたらしい聴覚体験」の喜びをもたらしてくれる、つくづく貴重なレーベルRAMEE。
バッハやらハスラーやら多少なりと聞き覚えのある名前が出てきても、こだわりまくりのトラヴェルソやタンジェントピアノや16世紀製の貴重なドイツ型オリジナル・チェンバロなどを使い意外なアプローチをみせ、かならず響きの新鮮さを打ち出してくる――
今度のアルバムもバードの鍵盤作品という、古楽ファンにはよく知られた作曲家の王道ジャンルながら、なんとチェンバロでもヴァージナルでも室内オルガンでもなく、教会の大オルガンを使ってみせる大胆さ!
確かにバードは英国王室の聖歌隊長でしたから、曲が教会のオルガンと相性がいいのもなるほど頷ける、みごと説得力あふれるトラックの連続です。使用楽器がこれまたこだわりの逸品――
オランダ東北部のドイツ国境付近にある教会のオルガンは推定1521年建造と、現存する教会オルガンとしてはほぼ最古の部類に属するユニークな存在。鍵盤は1段、音栓も少なく響きはごく簡素ながら、そこから縦横無尽のファンタジーが広がるのは奏者が名手ベルベンだから!
チェンバロもオルガンも絶妙にウマいこの名手、ムジカ・アンティクヮ・ケルン最後の鍵盤奏者のひとりとして活躍してきた達人で、その腕前はRAMEEでの2作の既存盤で実証済み。本盤も早々にフランスの“特選”Diapason
D’or賞を獲得しています!
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RAM0802
\2800→\990 |
15世紀 ゴシック期のリュートと鍵盤音楽
『ローハム歌集』より 3曲
『ブクスハイム・オルガン写本』より12曲
バーゼル大学図書館所蔵の写本より
4曲
ウィーン、オーストリア国立図書館所蔵の
写本より 4曲 他、計26曲収録 |
コリーナ・マルティ(クラヴィシテリウム=竪型チェンバロ)
ミハル・ゴントコ(リュート、ギテルン) |
中世末期、ゴシック時代――古雅なエキゾチズムもただよう「ほぼ最古の鍵盤音楽」の時代は
よく考えてみたら、リュート音楽さえも発展途上!
典雅にして涼しげな音響世界を 「中世キプロスの音楽」(RAM0602)でヒットを飛ばしたユニットが、じっくり愉しませる!
ラ・プティット・バンドやリチェルカール・コンソート、レザグレマンなどで活躍してきたバロック・ヴァイオリン奏者ライナー・アルントが録音・主宰する優良古楽レーベルRAMEE、快進撃は続きます!
古楽アーティストが運営しているだけに、「音」へのこだわり、企画のユニークさ・最先端ぶりには毎回まったく驚かされるが(他でやってないことばかり、しかもいちいち素敵な結果!)今度のアルバムはなんと「ゴシック時代の鍵盤音楽&リュート音楽」――考えてもみてください、チェンバロ音楽の歴史を遡ると、だいたい有名どころではバッハやスカルラッティ→クープラン→フローベルガー→フレスコバルディ→イギリスのヴァージナル音楽…と、せいぜい16世紀後半が「最古」あたりなわけですが、ここに収められた作品群ときたら、なんと15世紀のものが大半。まともなチェンバロはおろか、活版印刷術も鉄砲もない頃の鍵盤音楽とは!
トン・コープマンが手がけたときも教会の大オルガンでしか録音していない15世紀の貴重な資料『ブクスハイム・オルガン写本』(この頃「オルガン」といえば「鍵盤楽器」くらいの意味)からの曲目をメインに、古風なおもむきの中世旋法がうつくしい佳品の数々を、現存最古のチェンバロと目されている、ロンドン王立音楽アカデミーのクラヴィシテリウムにもとづく銘器で、たおやかに聴かせてくれるのです!
コピー制作は現代きっての名工E.ジョバン――レオンハルト御大の名盤(Alpha026)や、某誌特選に輝いたクラヴィコード盤(MFUG508)も彼の手がけた楽器が使われているが、ここでもチェンバロとはまた違う、リュート風ミュートのかかったような妙音が美しく。必聴モノ!
で!考えてみれば、15世紀までさかのぼってしまうと、チェンバロどころかリュートの音楽だってまだまだ未開発の発展途上なわけで。当時の音楽理論書によれば、鍵盤楽器はしばしばリュートとのデュオで弾かれることが多かったらしく、そんなわけで本盤ではリュートがクラヴィシテリウムの伴奏的に参加するだけでなく、こちらもきわめて貴重な15世紀末のタブラチュアなどをもとに「最古のリュート独奏曲」の世界までも復元してしまうという周到さ!
演奏は、一昨年から連綿売れ続けている『中世キプロスのフランス音楽』(RAM0602)の仕掛け人ふたり。あの納涼サウンドにも通じる、忘れがたい音響世界をどうぞ!
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RAM 0803
\2800→\990 |
フリードリヒ大王と、ロココの響き
~古典派前夜のヴィオラ・ダ・ガンバ~
ルートヴィヒ・クリスティアン・ヘッセ(1716~72):
1. パンクラス・ロワイエの歌劇『グラナダの女王ザイード』~序曲とエール
2. フィリドール&モンシニーの歌劇『王様と庭師』
~
エール「ああ、おばさま」、アンダンテ・アレグロ
3. ラモーの歌劇『カストールとポリュクス』
~ユピテルの降臨
4. ラモーの歌劇『エベの饗宴』~エール「さあ、笑う若さよ」、ロンド風タンブラン
ゲオルク・アントン・ベンダ(1722~95):
5. 鍵盤のための6つのソナチネ(第1~6番)
クリストフ・シャフラート(1709~63):
6. 二つのガンバのための二重奏曲
ニ短調
ヨーハン・ゴットリープ・グラウン(1702~71):
7. 協奏的トリオ ニ長調
作者不詳(18 世紀中盤):
8. スケルツァンド ヘ長調
9. ロンド ハ長調 |
イレーネ・クライン&ヤーネ・アハトマン(vg)
レベッカ・ルソー(vc)
バールバラ・マリア・ヴィッリ(FP/cmb) |
「モーツァルト前夜」になおドイツで人気のあったヴィオラ・ダ・ガンバ。して、その音楽とは?
ぽってり素直で叙情的なロココ風あり、荘厳なバロック風あり、フランス歌劇の編曲まで――演奏はもう文句なしに極上、録音もみごと。
チェロとの対比やピツィカート奏法も絶妙!年季の入った古楽ファンさえ知らなかったような「すきま」を突き、それがいちいち絶妙な企画ばかり――
そぞろ5周年を迎えようとしている新鮮なる古楽レーベルRAMEE
から、またもや「これしみじみいいよなあ・・・」という傑作リリースが登場!
エマヌエル・バッハの君主として知られるフリードリヒ大王の宮廷で愛奏されていた、ロココから古典派初期頃の、つまり“最晩期の”ヴィオラ・ダ・ガンバ音楽!18
世紀音楽が好きな方々であれば、フリードリヒ大王の音楽趣味の古めかしさはよくご存知でしょう。啓蒙主義にかぶれたこの君主、“前衛思想家”ルソーを宮廷に招くなどフランス贔屓にもひとかどのものがあったようですが、ここでもラモーのような「往年の巨匠」の、あるいはフィリドールやモンシニーといった当時最先端をゆく流行作曲家のフランス・オペラから編曲された作品などが興を添えているのですが、基本は「ヴィオラ・ダ・ガンバ(二重奏)で綴る前古典派作品」。
ロココふうの小品はフランスのクラヴサン小品のように多種多様、対するソナタの数々は、歌心たっぷり&きれいな叙情の香るメロディアスなガンバが美しく、リズミカルな伴奏進行はまさに古典派の到来を予言するかのよう――なんといっても、新世代のドイツの名手イレーネ・クラインらが奏でるガンバがきわめてウマく、絶妙の間合いで重なりあい、うたいかわす「ガット弦の中低音」の渋ーいカッコよさ、えもいわれぬ美音は、古楽器ファンすべて、いやあらゆる人を魅了せずにはおかないでしょう!
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RAM0805
\2800→\990 |
ヴェネツィアに、バロックの芽生えるころ
~モンテヴェルディの先駆者たち、追従者たち~
ジョヴァンニ・バティスタ・リッチオ(1570
頃~1630 頃):
1.4声のソナタ
2. カンツォーナ4編:
「ラ・フィネッタ」・「ラ・サヴォルディ」
「ラ・ピッキ」「ラ・グリレッタ」
カルロ・フィラーゴ(1589~1644):
3. 神よ、わが声をお聞きください(4声)
4. 天よ、讃えられよ(2声と通奏低音)
5. あなたの慈悲の庇護のもとへ(協奏様式)
6. 我は我なり(協奏様式)
7. 神よ、あなたを愛します(協奏様式)
8. 神に感謝し、その名を思え(協奏様式)
9. おお、汝ら、わが最愛の友(3声)
10. あなたはなんと麗しく(高音2声)
クラウディオ・メールロ(1533~1604):
11. トッカータ(スピネッタ(小チェンバロ)独奏)
ジョヴァンニ・バッサーノ(1558
頃~1617):
12. 別れにさいして、なお
ビアージョ・マリーニ(1597~1665):
13. 3声のソナタ「フォスカリの娘」
ジョヴァンニ・ピッキ(1571 頃~1643):
14. カンツォーネ 第15 番 |
Ens.インスルメンタ・ムジカ(古楽器使用) |
さすがは秀逸古楽レーベルRAMEE、ヴェネツィア・バロックでも一枚上手のサウンド――!モンテヴェルディと同時代、丁々発止とからみあう各声部がたまらない「協奏様式」のいちばんおいしいところを、ヨーロッパ最前線のウマすぎる名手たちが華麗に料理!
ベルギー古楽界のさまざまな名門団体で腕を磨いたバロック・ヴァイオリン奏者ライナー・アルントが主宰するRAMEE
レーベルは、現場で細やかな音に耳をすませてきた古楽奏者ならではのセンスで、誰も聴いたことのない美しい響きを美麗パッケージにまとめあげる、ヨーロッパ随一の極上古楽レーベル!
今回のアルバムは「モンテヴェルディと同時代のヴェネツィア」、つまりこの音楽都市にバロック様式が芽生え、いかにして「対比」を旨とする「コンチェルタンテ(協奏)様式」が広まったかを追うプログラム…と聞けば「そんな盤けっこうあるでしょ」と思った方も多いでしょうが、いえいえいえ!ドイツやイタリアの古楽界最前線で揉まれまくっている新世代の気鋭奏者たちが奏で&歌い上げるサウンドは、マクリーシュやパロットら英国勢のアプローチとはどうしたものか一味違う、深みと清らかさが奇妙に同居する、ユニークな魅力あふれる響きになっているのです!
なんとも説明しにくいのですが、ソプラノの美はル・ポエム・アルモニークの花形C.ルフィリアトルに似た清らかさ、楽器群はヴァイオリン2にバロック・トロンボーンの猛者数人(!)、秀逸な自然派録音によって「こだま」の効果も絶妙…といったあたりがキモでしょうか。何しろ録音技師は主宰者アルント本人、古楽奏者ゆえの耳の良さが、各楽器の「空気のふるわせ方」をみごと捉えた成果なのですね。
登場する作曲家では、鬼才ルッツァスキの弟子フィラーゴなる天才が大々的にフィーチャーされていますが、その多彩な作風に驚くためだけでも(晩期ルネサンス風から、縦横無尽の協奏様式まで自由自在――なんでこんな人が無名だったのか?)このアルバムを手にする価値は充分すぎるほど、あります。例によってDigiPack
も美麗そのもの!!
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