RADIOSERVIS
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夭折が惜しまれる凄い才能。
チェコの天才カプラーロヴァーの驚くべきピアノ協奏曲
カプラーロヴァー:
(1)ピアノ協奏曲ニ短調Op.7
(2)3つの小品Op.9
(3)サンテティエンヌ・デュ・モンの鐘による変奏曲Op.16
(4)ソナタ・アパッショナータOp.6 |
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アリツェ・ライノホヴァー(Pf)
トマーシュ・ハヌス(指)
ボフスラフ・マルティヌー・フィル(1) |
[ 録音:2010 年11 月、2011 年6 月/ズリーン芸術の家(ライヴ)] DDD、53’32”
近年再評価の著しいチェコの女性作曲家ヴィチェスラヴァ・カプラーロヴァー(1915-1940)。25
歳の若さで夭折したことは20 世紀チェコ音楽界最大の損失と言えるでしょう。残された25
作品はいずれも進歩的で明瞭な個性と天才性を示していて驚かされます。夫君は日本でも人気の画家アルフォンス・ミュシャの息子、さらにあの大物作曲家マルティヌーがその美貌と才能に激しく恋慕したことなど、話題性満点。
ピアノ協奏曲は1935 年の作で、カプラーロヴァー最大のピアノ作品かつ、最初のオーケストラ作品でもあります。演奏時間20
分ほどの後期ロマン派作品で、ピアノのパートはヴィルトゥオーゾ風、管弦楽法もゴージャスで、抒情性と不思議な熱気に満ちた魅力作です。「ソナタ・アパッショナータ」は驚くべき完成度ながら、何と18
歳の作。ありきたりな所が全くなく、20 世紀のチェコのピアノソナタの最高傑作のひとつと言えるべき作品です。20
世紀チェコ作品を本領とするピアニストでカプラーロヴァーのピアノ曲の研究家でもあるライノホヴァー、説得力あふれる演奏です。 |
モーツァルト、ペルゴレージ、シューベルト、ルクー、アリアーガ、ロイプケ、そしてリリー・ブーランジェ・・・。若くして天に召された作曲家というのはまるで示し合わせたように神秘的な魅力を持つ。それは神から約束された使命を背負っていたからなのか。
ヴィチャスラヴァ・カプラーロヴァ。
彼女もまたそんな運命を背負った作曲家であったかもしれない。
もともと人並みはずれた音楽的才能に恵まれ、幼い頃は作曲家の父親の手ほどきなどでその才能を伸ばしていた。その後ターリヒやノヴァークなどに師事していたが、その才能が一気に花開いたのは1937年フランス政府給付生としてパリへ赴いてから。そこで彼女は指揮をミュンシュに、作曲をマルティヌーに学ぶ。
とくにマルティヌーとの関係は親密で、パリで同郷の師と出会ったことが彼女の作曲家としての人生を大きく変えることになる。マルティヌーもまた彼女のことを深く理解し、尊敬した。彼女の「パルティータ」、マルティヌーの「3つのリチェルカール」はそれぞれふたりの共作である。また彼女は「愛のキャロル」という歌曲集で「マルティヌー」、及び「カプラーロヴァー」という極めて個人的な作品を残している。
50歳に近いマルティヌーと、若く美しい20歳そこそこのカプラーロヴァの間になんらかの愛情関係があったかどうかは不明だが、もちろんそうであったとしてもなんの不思議もない。
彼女の作風は、マルティヌーと知り合うことで一気にその先鋭度を増す。もともと保守的なタイプではなかったが、彼女の作品の特徴である多調生、閉鎖的様式、激しいリズム感、非感傷主義、といった傾向はさらに過激になっていく。女性だからといって甘い抒情性などを望むと痛い目に会う。
その後も、もって生まれた恵まれた才能と、激しい感性、そして熟練した技能を持つことで彼女は次々と進歩的な作品を発表し、一躍有名になる。が、ときはすでに戦争の時代。彼女もまた自作の作曲よりも公の仕事を優先せざるを得なくなる。翌年には「軍隊シンフォニエッタ」を作曲、BBC響を指揮したりしている。
その後、国情不安のフランスからまるで逃げるようにモラヴィアへ帰郷、そこで有名な画家アルフォンヌ・ミュッシャ(最近よく百貨店の展覧会とかで見かける)の息子と結婚、新たな人生を歩むことになる。が、翌年には故郷モラヴィアもヒトラーによって占領され、すでにヨーロッパに平和の土地を見出すことはできなくなっていた。そんな彼女が新天地アメリカに夢を見出し、そこで自分の音楽的才能を解き放とうとしたのは当然のことである。
しかし、・・・・。いよいよその計画を実行しようとした矢先、結核により、彼女の有望な未来は一気に閉ざされてしまった。25歳の惜しまれる死であった。ただ本当に結核だったのか、何かの陰謀によって殺害されたのか、謎は残ったままである。 |
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美しく蘇ったモーツァルト未完の宝石
(1)モーツァルト(ウィルビー補完):
ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ニ長調K.315f
(2)メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 |
フランティシェク・ノヴォトニー(Vn)
セルゲイ・ミルシテイン(Pf)
クリストフ・カンペストリーニ(指)
ブルノ・フィル |
[ 録音:2008 年10 月/ブルノ放送スタジオ] DDD、69’25”
五嶋みどりとエッシェンバッハが録音して話題となったモーツァルトの「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」。モーツァルトは1778
年、この作品に着手しながらも、120 小節しかスケッチが残されていません。英国の音楽学者フィリップ・ウィルビーは「ヴァイオリン・ソナタ
ニ長調K.306」のフィナーレがこの作品のために着想されたのではないかと推理し、それを素材に全曲を復元しました。モーツァルトそのもののスタイルで、新たな作品を発見した幸福感を味わえます。
ザハール・ブロンとヴィクトル・トレチャコフ門下のチェコの俊英ノヴォトニーが、ロシア出身のミルシテインと息の合った共演を聴かせてくれます。 |
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ムラマツ・フルートの柔らかな響きによるノヴォトニーの至芸
(1)フランティシェク・クサヴァー・リヒター:
フルート協奏曲ホ短調
(2)ベンダ:フルート協奏曲イ長調
(3)シュターミッツ:フルート協奏曲ハ長調 |
ロマン・ノヴォトニー(Fl)
プラハ室内管 |
[ 録音:2010 年9、11 月/シモン&ジュード教会(プラハ)] DDD、64’07”
ムラマツ・18gold フルート使用。ロマン・ノヴォトニーは1968
年生まれ。チェコ・フィルのメンバーで、2000
年からはプラハ音楽院教授として後進の指導にもあたっています。ここに収められた協奏曲の作曲家たちはドイツ人と思われがちながら、実はチェコ人で、いわばお国ものの演奏を堪能できます。 |
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伝説のスメタナ、ジェプコヴァー女史入魂の演奏
スメタナ:
(1)チェコ舞曲集(全2巻14曲)
(2)4つのスケッチOp.4
(3)4つのスケッチOp.5 |
ヴェラ・ジェプコヴァー(Pf) |
[ 録音:1959 年/チェコ放送スタジオ] ADD、MONO、79’40”
スメタナは「わが祖国」などの管弦楽曲やオペラで人気がありますが、彼の本領はピアノ曲にあったと言ってもよいほどの量と質を示しています。スメタナのピアノ音楽復興に尽くしたピアニストがヴェラ・ジェプコヴァー(1910-1990)。演奏のみならず、未知作品の発見や楽譜校訂など、スメタナに全霊を傾けました。そのジェプコヴァー伝説のスメタナ演奏が日の目を見ました。1959
年のモノラル録音ですが、演奏の鮮やかさ、説得力はさすがのひと言につきます。ピアノ音楽ファン必聴の世にも貴きCD
です。 |
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ヴァーレク&プラハ放送響/ドヴォルザーク:交響曲第8&9番
ドヴォルザーク:
(1)交響曲第8番ト長調Op.88
(2)同第9番ホ短調「新世界から」Op.95 |
ヴラディミール・ヴァーレク(指)
プラハ放送響 |
日本でも人気の巨匠ヴァーレクの「新世界」
[ 録音:2000 年10 月/プラハ放送第1スタジオ] DDD、74’45”
日本でもお馴染みのヴァーレクが手兵プラハ放響を振ったドヴォ8と新世界。かつてポニーキャニオン社から出ていたものとは別ソースで、より新しい2000
年録音。さすがお国ものの巧さです。 |
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チェコのヴァイオリン小品集
(1)ヤン・ノヴァーク:無伴奏ヴァイオリンソナタ
(2)ヤナーチェク:ヴァイオリンソナタ
(3)スーク:バラードOp.3b
(4)スメタナ:わが故郷より
(5)コチアン:ユモレスクOp.17
(6)セヴシック(シェフチーク):青い目の少女Op.10 |
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フランティシェク・ノヴォトニー(Vn)
ヴラディミール・ホリー(Pf) |
[ 録音:1994、1998、2000 年/チェコ・ブルノ放送ドゥクラ・スタジオ] DDD、69’36”
弦の国ならではの魅力的なヴァイオリン曲集。ヤナーチェクやスメタナの作品は録音がありますが、他は珍しく貴重なものばかり。教則本で名高いセヴシックと、往年の名ヴァイオリニスト、コチアンの曲はお宝発見的な秘曲と申せましょう。ザハール・ブロンとヴィクトル・トレチャコフ門下のチェコの俊英ノヴォトニー、美演です。 |
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ヤナーチェク愛用のピアノによるほぼ全集
ヤナーチェク博物館1876 年製エアバー・ピアノ
ヤナーチェク:
(1)霧のなかで
(2)ピアノソナタ「1905年10月1日」
(3)草陰の小径にて(全15 曲)
(4)ズデンカ変奏曲
(5)思い出 |
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ヤン・イラスキー(Pf。1876 年製エアバー) |
[ 録音:2004 年7 月/ヤナーチェク博物館] DDD、77’00”
ヤナーチェク遺愛の1876 年製エアバー・ピアノを用いて、そのほぼ全ピアノ曲を録音した好企画。録音場所は現在ヤナーチェク博物館となっているヤナーチェク邸。非常に柔らかみと温かみのある音色で、「草陰の小径にて」など気絶しそうな美しさです。演奏のイラスキーは1973
年生まれ。バッハやベートーヴェンも定評ありますが、何と言ってもヤナーチェクのスペシャリストで、他の追随を許さぬ境地を見せてくれます。作品、演奏者、楽器の三拍子揃った決定盤と申せましょう。 |
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合唱の美しさに酔わされる、チェコ古典派宗教曲集
(1)ヤン・ザフ(1699-1773):テ・デウム
(2)同:荘厳レクイエム
(3)コジェルフ(1738-1814):小荘厳ミサ曲 |
ナジェジダ・ペトレンコ(Sop)
イヴォナ・シュカヴァーロヴァー(A)
ヴラディミール・ドレジャル(Ten)
イジー・カレンドフスキー(Bs)
パヴェル・キューン(指)
プラハ室内管、合唱団 |
DDD、71’57”
チェコ古典派のふたりの作曲家ヤン・ザフ(1699-1773)
とヤン・アントニーン・コジェルフ(1738-1814)
の宗教曲集。バロック的要素の濃いザフとロマン派の萌芽が見られるコジェルフの特徴の違いも興味津々ながら、プラハ室内合唱団の表現力の深さと美しさに酔わされます。 |
CR 0572
(2CD)
\2600
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オンドジェイ・クカル&プラハ放送響/ライヒャの交響曲
ライヒャ(レイハ):
(1)交響曲変ホ長調Op.41(1797)
(2)同ハ短調(1808以前)
(3)同ヘ短調(1808以前)
(4)同ト長調(1808) |
オンドジェイ・クカル(指)
プラハ放送響 |
あの木管五重奏曲のライヒャの堂々たる交響曲
[ 録音:2010 年3、11 月、2011 年5 月/ドモヴィナ・スタジオ(プラハ)] DDD、125’01”
管楽アンサンブルの世界では有名なライヒャはフランスで活躍したものの、出身はチェコ。作品数は膨大で、オーケストラ曲も残しています。そのなかから交響曲4篇をここに収録していますが、いずれも演奏に30
分を要する大作ばかりで、ハイドン、モーツァルトよりはベートーヴェンの世界への近似が感じらる充実した内容に驚かされます。ハ短調交響曲のオルガンを思わせる荘厳な音色もユニーク。交響曲ファン必聴の隠れた名作と申せましょう。 |
CR 0465
(2CD)
\2600
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フェルステル:歌劇「デボラ」(全3幕) |
代官:エドゥアルト・ハケン(Bs)
その息子ヨセフ:テオドル・シュルバル(Br)
司祭:カレル・カラシュ(Br)
その養女ハナ:ヤロスラヴァ・ヴィマザロヴァー(Sop)
デボラ:ドラホミーラ・ティカロヴァー(Sop)
老ユダヤ女:ヴェラ・クリロヴァー(C-A)
カレル・ナーグル(Org)
フランティシェク・ディク(指)
チェコ放送響、合唱団、チェコ語歌唱 |
[ 録音:1959 年8-9 月/チェコ放送スタジオ1(プラハ)] AAD、MONO、69’26”、60’55”
ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステル(1859-1951)
は長くハンブルクに住み、音楽評論家として活躍しました。マーラーの擁護者として知られますが、自身の作風はドヴォルザークの伝統を引き継ぐ国民楽派風のもので、シューマンやブラームスの影響も感じられます。代表作の歌劇「デボラ」待望の全曲登場。とは言っても最新録音ではなく、1959
年、フェルステル生誕100 年を記念して行われたモノラルの歴史的名演。内容はチェコの村を舞台にユダヤ娘デボラと、キリスト教徒の村人たちとの間の相互偏見と、それを克服しようとする努力を描いています。フェルステルの音楽は雄弁で、物語の推移を見事に示していて聴き応え満点です。オペラ・ファン必聴の1枚。 |