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フルトヴェングラー最初の「運命」、そして29年の「アリア」
第64弾
フルトヴェングラー指揮＆ベルリン・フィル
ベートーヴェン：交響曲第５番 1926年
バッハ：Ｇ線上のアリア 1929年
ARIA AR 0064 1CD-R\1700

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　この盤から得られるものは少なくないと思う。

　1922年、フルトヴェングラーはニキシュの後任として、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団およびベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者となる。
　すでにそれ以前からマンハイム、ウィーン、ベルリン、ライプツィヒ、ハンブルク、フランクフルト、ストックホルムなど各都市で活躍を見せていたフルトヴェングラーだが、この２つのポストを得ることでまちがいなくヨーロッパ最高の指揮者の一人となった。
　
　さらに続いてアムステルダム・コンセルトヘボウ管、スカラ座管、ロイヤル・フィルとも共演、1925年からはついにアメリカに進出、ニューヨーク・フィルでは予想通りの人気を博し次期常任指揮者とも噂された。
　その地位は社交に不慣れなせいもあってトスカニーニに譲ったが、1927年再びヨーロッパに腰を落ち着けるや否や今度はウィーン・フィルから首席指揮者を依頼され受諾。さらにウィーン国立歌劇場からも音楽監督を打診される。

　引っ張りだこなんてものではない。
　完全にフルトヴェングラーを中心に音楽界が回り始めていた。

　ウィーンの申し出にあわてたベルリンはフルトヴェングラーをウィーンに横取りされぬようさまざまな条件を出して奪還、ここでフルトヴェングラーはベルリン市の音楽監督となる。
　さらにバイロイト音楽祭も日の出の勢いのこの男を音楽監督として迎える。
　
　この時期、まだナチスが台頭する前。
　もちろんあの「Ｋ」という男も現れていない。　

　ニューヨークでもライプツィヒでもウィーンでもバイロイトでもいざこざはあったにせよ、フルトヴェングラーは音楽だけに心を向けていればよかった。
　その後フルトヴェングラーが背負うことになる悲痛な十字架は、このときにはまだ片鱗もなかった。この1922年からの10年というのはフルトヴェングラーが最も幸せだった時期だったといっていい。

　そんな時期に、もうひとつ注目すべき出来事があった。

　初録音である。

　1926年。ウェーバー「魔弾の射手」序曲。
　そしてそれに続いて録音されたのがベートーヴェンの交響曲第5番「運命」・・・。繰り返しの省略はあるにせよ、全曲である。

　このあとフルトヴェングラーは1929年まで録音に手を出さない。
　再開してからも録音するのは小品ばかりで、1937年まで交響曲全曲には手を付けない。

　なのでこの1926年の「運命」全曲録音というのは、フルトヴェングラー録音の中でもきわめて異例な中で執り行われたものであることが分かる。
　残されたこと自体が奇跡ではないかとさえ思う。

　光学式録音だったために楽章をぶつ切りにしなくても通しで収録できたともいわれる。逆にその方式はあまり音質が良くないためすぐに採用されなくなったともいわれる（ARDMORE）。
　
　しかしいずれにせよこれがフルトヴェングラーが残したあの栄えある交響曲録音の最初のもの。
　40歳になるかならないかという当時の指揮界の覇王が残したエネルギッシュな「運命」。
　そしてナチスが現れる前、唯一残した交響曲の全曲録音。
　突出して早い時期に残された奇跡的な交響曲全曲録音。

　これを聴かずにフルトヴェングラーを語るわけにはいかない。
　フルトヴェングラーの輝かしい録音史はここから始まるといっても過言ではない。しかもおそろしく贅沢な幕開け。

　
　もちろん音質はなかなか苦しい。
　しかし今回１年以上かけてようやく探し当てた盤の状態は決して悪くない。
　店主は先日フルトヴェングラー・センターで目の覚めるような音質のこの録音を聴いて仰天したが、今回のアリア・レーベルもなかなかがんばっていると思う。
　雑音の中から音がする、というようなことはない。きっちりフルトヴェングラーの音楽をとらえているので安心してほしい。
　
　一方演奏についてはいろいろ言われている。
　さすがに後年のあの破格のスケール、神がかり的な圧迫感はない。しかしその代わりに溌剌としたエネルギー、そして正々堂々とも言うべき率直さがある。
　ヨーロッパの2大オケを手中に収め、ニューヨークの一大オケをも我が物にするか、というまさに昇竜の勢いのフルトヴェングラー。

　この時期のフルトヴェングラーを体験できる最高の楽曲の録音が残されたことを神に感謝したい。

　そしてもうひとつ収録したのが1929年の「アリア」。
　実は、昔この演奏を聴いて「アリアＣＤ」という店名を決めた。

　1926年の「運命」の録音のあと、数年間のブランクを経てすぐに取り上げたのがこの「アリア」。

　ファンの方は良くご存知のように、これがすごい。
　現代人の耳には厳しい音質の中から浮かび上がる、まるで「儀式」のような音楽。
　いまではありえないずしりとした重厚なテンポ。この曲をＢＧＭとして聴くなど想像もつかないような尋常ならざる世界。

　先日音楽サロンでこの録音をかけたら、クラシックを普段聴かない人たちまでそのあまりの圧倒的な雰囲気に仰天し、そしてまちがいなく感動していた（30代の女性が予約してきた）。
　普通じゃないのである。

　この演奏を聴くまで、フルトヴェングラーの特別な音楽というのは戦時中の苛烈な体験から産み出されたと思っていた。
　ところがこれは1929年。
　すでにこの時点でフルトヴェングラーはこういう音楽を創り出していた。

　この時期のいろいろな指揮者の演奏を聴いてきたが、ここまでの音楽を産み出した人を知らない。シリングスもプフィッツナーもニキシュもここまで壮絶な演奏は残していなかった。

　やはりフルトヴェングラーはこのときからすでに特別だったのだ。
　
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AR 0064 1CD-R\1700 通常盤	第64弾　フルトヴェングラー＆ベルリン・フィル　　ベートーヴェン：交響曲第５番　　バッハ：Ｇ線上のアリア	ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル
AR 0064-F 1CD-R\2500 特別装丁盤
通常盤は、薄型ケースで、シンプルなデザインのジャケットと盤面印刷の仕様です。特別装丁盤は通常ジュエル・ケース入り。表裏ジャケと盤面印刷の仕様です。原盤：（日）POLYDOR 60024/8　重複部分はカット、欠落部分は原盤のまま　　　　（日）POLYDOR 60171 録音：1926年モノラル　　　　1929年モノラルフォーマットはＣＤ-Ｒ。針音や歪みなどのオリジナル・ノイズがありますがご了承ください。

（フルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲第5番の録音）

戦前	1926	当録音		BPO	ポリドール
戦前	1937.10.8/11.3	第62弾		BPO	EMI
戦中	1939.9.13			BPO
戦中	1943.6.27-30	第11弾		BPO
戦後	1947.5.25			BPO
	1947.5.27			BPO
	1950.9.25		ストックホルム	VPO
	1950.10.1		コペンハーゲン	VPO
	1952.1.10			ローマ・イタリア放送管
	1954.2.28-3.1			VPO	EMI
	1954.5.4		パリ	BPO
	1954.5.23			BPO

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アリア・レーベル/フルトヴェングラーの「運命」

詳細 AR 0011 \1700	第11弾　フルトヴェングラー＆ベルリン・フィル 1943年6月　　ベートーヴェン：交響曲第4番変ロ長調作品60 　　　　　　　　　　交響曲第5番ハ短調作品67 「運命」	ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
原盤：第4番 12inch DG LPM-18817 　　　第5番 12inch Melodiya D-05800/1(OCT5289-56) 録音：第4番 1943年6月27-30日ベルリン　モノラル　　　第5番 1943年6月27-30日ベルリン　モノラル

AR 0062 1CD-R\1700 通常盤	第62弾　フルトヴェングラー＆ベルリン・フィル　　ベートーヴェン：交響曲第5番「運命」　1937年　　ワーグナー：楽劇「トリスタンとイゾルデ」　　　　　　　　　　　　　　第1幕への前奏曲と「イゾルデの愛の死」　1938年　　　　　　　　　　楽劇「神々のたそがれ」より　　　　　　　　　　　　　　ジークフリートの葬送行進曲　1933年	ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
AR 0062-F 1CD-R\2500 特別装丁盤
詳細はこちら
原盤：「運命」：78rpm VSM DB3328/32　フランス盤SP使用　　　　　　　　　　matrix(第6面第3楽章前半）　2RA2340-1A 　　　　　　　　　　matrix(第7面第3楽章後半と第４楽章前半）　2RA2341-3A 　　　　「トリスタン」：HMV DB3419/20 　　　　「ジークフリート」：グラモフォン 67054 matrix 733BE , 734 １/2BE1 録音：「運命」：1937年11月3日　　　　「トリスタン」：1938年2月11日　　　　「ジークフリート」：1933年11月フォーマットはＣＤ-Ｒ。針音や歪みなどのオリジナル・ノイズがありますがご了承ください。

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Ｃｏｐｙｒｉｇｈｔ（Ｃ）　2015　ＡＲＩＡ−ＣＤ．Ａｌｌ　ｒｉｇｈｔｓ　ｒｅｓｅｒｖｅｄ．

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フルトヴェングラー最初の「運命」、そして29年の「アリア」 第64弾 フルトヴェングラー指揮＆ベルリン・フィル ベートーヴェン：交響曲第５番 1926年 バッハ：Ｇ線上のアリア 1929年 ARIA AR 0064 1CD-R\1700

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ベートーヴェン：交響曲第５番 1926年
バッハ：Ｇ線上のアリア 1929年
ARIA AR 0064 1CD-R\1700