AR 0105
\1700 |
アリア・レーベル第105弾
オッテルロー指揮&ハーグ・レジデンティ管
ベートーヴェン:交響曲第9番二短調『合唱』 |
ウィレム・ファン・オッテルロー指揮
ハーグ・レジデンティ管弦楽団
エレナ・スポーレンベルグ(S)
マリア・フォン・イロスファイ(A)
フランス・フローンス(T)
ヘルマン・シャイ(Br)
アムステルダム・トーンクンスト合唱団 |
1952年5月3,4日録音 MONO
原盤:12inch PHILIPS A00145/6
CD-R製作。薄型ケースで、シンプルなデザインのジャケットと盤面印刷の仕様です。
原盤ジャケット
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オッテルローという人は不思議な人だ。
ご存知のようにPHILIPSの草創期を支えた職人気質の指揮者で、膨大な録音を残している。
ただ「いぶし銀」というタイプではなく、知的でスタイリッシュ、現代的な演奏を聴かせる。そのあたりが新興レーベルPHILIPSに気に入られた理由かもしれない。
ただ戦前から活躍していた大巨匠のような人間離れした迫力は持ってないが、非常に充実したぶ厚い演奏を聴かせてくれる。
存在感あふれる低弦がオケ全体をたっぷりと支え、全体がドラマティックに展開していく。しかもそれが絶対に軽薄にならない。
一時期医者を志したというが、もしその道に進んでいたら神経質な外科医というよりは、熱い情愛に満ちた「赤ひげ的」な医者になっていただろう。
なかなかの大人物なのである。スタイリッシュなのに分厚い・・・。
さすがに一時代を築いたというだけのことはある
ただそんなオッテルロー。一般には広く認知されているとは言いがたい。
当のPHILIPS(今はDECCA・・・)の彼の音源に対する現在の扱いはひどい。
そのオッテルローの名演の中から、今回はベートーヴェンの「第9」。
オッテルローの残した録音の中でもベルリン・フィルとの「幻想」(AR
0047)と並ぶ名演。
これを聴いて悪くいう人に会ったことがない。
大人物オッテルローが残しえた偉大なる遺産。
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しかしそれにしても不思議なのは、これだけの人をどうしてオランダという国はみすみす飼い殺しにしたのか。
ベイヌムが亡くなって、コンセルトヘボウの次の頭首は当然オッテルローではなかったのか。なぜそこで若きハイティンクだったのか。
60年代に入ると、オッテルローはまるで祖国を毛嫌いするかのように海外に活動の場を求め始めた。
またPHILIPSの録音も激減する(というか契約を切られた)。
何があったのか。
これだけの才能がありながらなぜ彼は祖国で名を成さなかったのか。
そしてメジャー・レーベルで活動を続けなかったのか。
オッテルローという人は不思議な人だ。
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